『西へ西へ、南へ南へ』16 奄美の黒兎ぴょーん

ー蝶に魅せられた旅人アーカイブスー
2012-08-25 22:25:00

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

  (第十二番札所・奄美の黒兎ぴょーん)

 
2011年 9月18日

台風がいよいよその重い腰を上げ、ようやく北上を始めたようだ。
流石に今日はどんよりとした天気だ。風も強い。
二日酔い気味だし、10時くらいまで部屋でゴロゴロしていた。

捕虫網の円光・沖縄本島真夏編『ニライカナイの女王』の最終回の続きを書きだしたが、やっぱり嫌になって投げ出す。佳境のところをどう書けば良いのかがわからない。

大の字になる。
首を傾けて外を見ると、雨は小雨になっていた。
部屋で煩悶してるよりかはマシだ。出る事にした。
バイクは今日の天気を見越して既に昨日返してある。荒天の中、返しに行くのは大変だと思ったからだ。

取り敢えず、アカボシゴマダラの偵察にでも行こう。
知名瀬の手前、小宿やあかざき公園にもアカボシの記録があった筈だ。

【アカボシゴマダラ奄美大島亜種】

だが、歩きでは遠い。かといってバイクを借りるのにはチト勿体無い距離である。むうー(;・ω・)
ならば、チャリンコを借りられないかなと考えた。
しかし、何処で借りればよいのか分からない。
取り敢えず、観光案内所に行くことにした。訊けばわかるだろう。
ついでに近所の郵便局にも寄っておこう。そろそろ手持ちの金も底をついてきた。

観光案内所には、二人の女性がいた。
一人は島の女性で、30台前半とゆうところ。もう一人のオッパイのデカい方は20台後半とゆうところか…?こちらは内地から移り住んだ女性だ。
チャリンコのレンタルできる場所を訊き、ついでにお奨めの食いもん屋も訊くことにした。

島育ちの女性が、大ボケでツッコミどころ満載だった。
色々ボケ倒してくれたが、極めつけは『鶏飯(けいはん)の一番美味い店は何処?』と尋ねたら、しばらく黙り込み、
『うちの家です。』と答えた辺りだ。
『(・。・;はあ❓、あんたんとこ、鶏飯屋かよ❓』

勿論、なワケねー。違った。
鶏飯は元々は奄美大島の家庭料理で、島民は外では食わないとゆう事を言いたかったのだろうが、それじゃ質問してる側からすれば、身も蓋もないでしょ?
『じゃあ、アンタの家で食わしてよ❓』と冗談で言ったら、再びしばらく黙りこみ、けっこうな間が空いてから『それは無理です。』と答えた。冗談なのに、たぶん真剣にどうすべきかを考えていたんだろう。
この状況なら、可愛い人だ。(o^O^o)ちょっと面白くなってきたぞ。

他にお奨めの店はないかと尋ねたら、備え付けの観光案内冊子の中のトンカツ屋を得意気に指さした。
奄美大島で、トンカツ❓
『そこは特に何が美味しいの?、ロースカツ?』
と訊いたら、
『行ったことないです。』
と云う力強い答えが帰ってきた。
(゜ロ゜;えっ !?と言ったら、彼女はそれを無視して、『ねっ、美味しそうでしょ?』と満面の笑みを返してきた。
そして、キッパリと『絶対に行ってみたい店だ。』と真顔で付け加えた。
\(◎o◎)/アマミノクロウサギ(註1)、ぴょーん❗
(^ー^;)おいおい、それって、あんたの希望的観測だよね。フツー、自分が行った事ない店を堂々と紹介するかね❓

他に訪れる観光客も無く、ずっとそんな調子で爆笑クロウサギトークが続き、笑いの渦に捲き込んでやった。久々、ツッコミ能力を発揮したって感じ。
なんやかんやで、楽しい時間を過ごせたし、お蔭で暇潰しにもなった。
旅は、こういう現地の人とのふれあいがあってこそ面白くなる。

思いの外、時間が経った。まあ、それもよろし。
1時過ぎ、紹介されたチャリンコ屋に行く。
レンタル代 8時間 500円。

いつ急変するとも知れない怪しい天気の中、30分で目星をつけていた運動公園に着いた。
しかし、住所表記は小宿になっている。どうやら此処はあかざき公園ではないようだ。
まあ、いい。気をとりなおして、強風の中、ポイントになりそうな場所を探して回る。
この何日間かで、アカボシゴマダラは昼間ほとんど活動しない事が解った。春と秋には、トラップにほとんど来ないことも判明した。♂のテリトリーの場所に♀は滅多に来ないと云う事もほぼ確定だろう。
そうなると、産卵に来る食樹を見つけるか、餌場の樹液が出ている樹を探すしかない。

できるだけ山に近いミカン畑を探す。本土ではイメージはないが、柑橘類からも樹液が出るのだ。

程無く、良さげなミカン畑を見つけた。
おっ(^o^)/、見ると吸汁に来たアカボシが木に止まっている。

フンッ( ̄З ̄)、天気が悪くとも何とかする男なのだ、( ̄^ ̄)エッヘン。
この蝶、鮮やかな赤い紋が目立って、止まっていたら意外と簡単に見つけやすい。
それにしても、よくこんな暴風の中、アンタも居るよね。

しかし残念ながら♂で、しかもボロだった。
網を近付けようとしたら、感づいて逃げた。
奄美に来る前の想像とはだいぶと違って予想外だったのだが、この蝶、意外と馬鹿ではない。結構、敏感なのだ。普通、樹液に来た蝶は食事に夢中になって警戒心がかなり薄まるものだが、そんな事はなさそうだ。近縁のオオムラサキの方がよほどおバカさんでしょう。
とにかく、樹液ポイントが見っかった。それだけでも大きな収穫だ。これで♀が採れる可能性が少し拡がった。

朝仁に戻って、あかざき公園を探す。
町のオバーに尋ねたら、あかざき公園は普通の平地の公園ではなくて(なら、楽勝だと思った)、山全体が自然公園なんだと云うことか判明した。考えてみれば、近所の小さい公園だけでなく国立公園も国定公園も同じ公園だもんな。日本語はややこしいよね。

とにかく、チャリンコではとてもじゃないが登れない。それにそれじゃ♂ポイントだ。
諦めて、いつものらんかん山に行った。
3時前。そろそろテリトリーを張る時間だ。だが、流石に暴風になってきているから翔んでない。
これ以上居ても期待は持てないし、どうせ♂ばっかだ。いつ大雨が来るかも分からない。サッサと切り上げた。

そして、いつも通りの脇田丸へ。
やっぱり、アバス(ハリセンボン)の唐揚げから始める。

今日のチャレンジメニューはコレ。

【ホタ(アオダイ)の酒蒸し()】

690円だったか、390円だったかの記憶定かで無し。
アッサリしている。やや磯臭いが、頭周辺は身がしっとりとしていてかなり美味い。

今から、ずっと気になっていた漁師めし(なめろう風)を頼もうかと思う。

どうせまだ2~3日は帰れそうにない。
ボトルをまた入れてやった。

風が本格的に台風っぽくなってきた。
まだまだ、夏休みは終らない。

                   つづく
 

(picture subject)

【アバス(ハリセンボン)の唐揚げ】
いよいよ登場。これがハリセンボンの唐揚げ。
のちに皮で作った大きなハリボテを見せて貰ったのだが、正確にはハリセンボンではないと思う。そんな巨大なハリセンボンはいない。多分、モヨウフグかケショウフグだと思う。これでも、自分はダイビングインストラクターだったのだ。この二種はサイパンで何度か見ている。

この記述を読むと、ほぼライブ配信の当時はアバスの唐揚げの画像アップするのにだいぶと引っ張ったみたいだね。あんだけアバス、アバスと書いといて、この日まで画像無しって事は、半分くらいは意図的だったんだろう。当時は、如何に読者をワクワクさせてやろうかとか考えてたんだと思う。

【ホタ(アオダイ)の酒蒸し】
南方系の魚だと思う。多分、磯に棲む魚なんだろう。

上は当時のコメントだが、今回改めて調べてみたら、新たなる知見を得た。
アオダイはスズキ目フエダイ科に属し、伊豆諸島・小笠原諸島から高知、鹿児島、沖縄などで水揚げされている魚だそうだ。但し、どこでも漁獲量は少なくて高級魚とされているみたい。特に関東ではアオゼと呼ばれ、珍重されているそうな。どんな調理法でも美味いらしいから、評価も高いのだろう。

(新しいボトル)
今回は『天海』。こっちの方が更に飲みやすいと思う。奄美大島と言えば、黒糖焼酎。奄美は食いもんも旨いが、酒も旨い!
そういえば思い出した。15年くらい昔の話だが、酒はだいたい何でもござれの自分だったが、唯一焼酎だけが飲めなかった。
それが、2005年ダイビングの仕事でここ奄美大島で訪れた時に黒糖焼酎に出会い、やがて焼酎全般へと開眼していたのだった。黒糖焼酎は癖が少ないので入口として入りやすいと思う。と云うわけで、今や酒の完全オールラウンダーだべさ。

(アマミノクロウサギ)
どうせ、みんな知ってるだろうと思ってたけど、一応今回を機に説明しときます。
アマミノクロウサギは、世界の中で日本の奄美大島にのみ生息する黒くて小さいウサギ。
でもというか、だからこそなのかも知れないが、映像を見てるとドンくさい。よくぞ、生き残ってこれたもなだなと思う。多分、アカボシゴマダラもアマミノクロウサギも古い時代には沖縄本島にもいた筈だ。でも、両者とも今はいない。そう云う意味では、奄美大島の自然は稀有ではあるよね。