台湾の蝶21『幽霊スキッパー』

 
   第21話『夕斑挵蝶 』

 
今回はシリーズ初のセセリチョウ科を取り上げてみることにした。
セセリチョウは地味な奴が多いし、蛾っぽいからあまり好きくない。でも、コヤツは可愛くて好きだ。

 
【ユウマダラセセリ ♀】
(2017.6.南投県仁愛郷)

 
【ユウマダラセセリ ♂】
(2017.6.24 南投県尖台林道 alt.1000m)

 
ユウマダラセセリ(別名シロセセリ)という和名は、どこか儚げな風情があって好きだ。夕斑とは何ぞや?と思うが、いにしえの雅(みやび)な言葉に思えてしまう。そこに何らかの深い意味があるのではと感じてしまうのだ。
しかし、おそらく蛾のユウマダラエダシャクに見た目が似ている事から名付けられたのだろう。だとしたら、なんとも不粋だ。

台湾で彼女に初めて会ったのは2016年の夏。
夕方、山から降りてくる途中、横から目の前にふらふらと飛び出してきた。見た瞬間は『(# ̄З ̄)ケッ、蛾かよ』と思った。自分は子供の頃からユウマダラエダシャクの類がどうも苦手だった。と云うか、何だか気持ちが悪くて大嫌いなのだ。見た瞬間に体が固まる。

 
【ユウマダラエダシャク】
(出典『倉敷昆虫同好会 虫たちの素顔』)

 
夕方、群れてひらひら飛んでいるのが許せない。もちろん止まっているのも許せない。背中に悪寒が走る。
人にはそれぞれ配色の好き嫌いというものがあると思う。白と黒の配色は好きなんだけれど、そこに黄色が入ると何故だか途端に気持ち悪く見えるのだ。

 
(2018.5.29 奈良市)

 
このユウマダラエダシャクには似たような仲間が沢山いて、上の蛾はまた別種の大型種なのだが、基本的に白黒柄の羽で胴体が薄黄色いのが特徴だ。
この胴体が黄色いのがダメだ。意味とか原因はわからないが、とにかく本能的に嫌いなのだ。
だから、無視しようと思った。しかし、飛び方に違和感を覚えた。蛾ではないと直感的に網を振ったら、中にコヤツがいた。

 
(2016.7.7 南投県仁愛郷alt.600m)

 
ユウマダラセセリはユウマダラエダシャクに擬態したていると言われている。ユウマダラエダシャクは体内に毒をもつので鳥の捕食から免れていると言われている(註1)。つまりユウマダラエダシャクに見た目を似せることによって、自らも鳥の捕食から免れようという生き残り戦略だね。
その擬態精度はかなり高い。羽の斑紋のみならず、飛び方までも似せているものと思われる。

羽はボロだったけど、見破った自分の感性の鋭さに、ちょっと気分が良かった。
夕暮れのやわらかな光の中、白い者がふわふわとゆるやかに飛ぶ様に不思議な感覚を覚えた。採ってみたら、白黒なのに斑紋がハッキリとはしておらず、上にヴェールとか靄(もや)が掛かったかのようだった。朧(おぼろ)げな感じがしたので、幽霊みたいだと思ったのをよく憶えている。
だから、今でもユウレイセセリと言いそうになる時がある。幽霊セセリ…。たとえ、実際自分で採った事が無くとも、その和名でも納得しそうだと思うのは自分だけだろうか…。
だが、残念なことにユウレイセセリは和名には使えない。日本の南西諸島に、他にその名を冠した蝶が既にいるからだ。

 
【ユウレイセセリ】
(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

 
ハッキリ言って、見た目はどこが幽霊やねん!とツッコミたくなる。見てくれからは微塵も幽霊的なものを感じないからだ。
しかし、由来はその姿に起因するものではない。
長い間その名前がわからず、正体不明の幽霊みたいなものだと云う事で名付けられたそうだ。まあ、それはそれで由来としては面白い。
自分で採った事はあるけれど、標本箱から探す気にはなれなかったので、図鑑から画像を拝借させて戴いた。だって他にヒメイチモンジセセリとかチャバネセセリやトガリチャバネセセリと云う酷似したものがいて、鬱陶しかったのだ。それに、みんな地味でブスだしね。探す気にもなれない。

あっ、写真が新たに見っかった。

 

(2017.6.24 南投県仁愛郷尖台林道)

 
ゲッ、横から見ると胸が黄色いわ。
( ̄▽ ̄;)ちょっと気色悪い。
でも、より擬態精度が高いということだ。
スゴいね、ユウマダラセセリちゃん。

雌雄の違いを示すために、オスとメスが並んだ写真を貼付しておこう。

 

 
斑紋は同じだが、♀の方が明らかに大きいし、翅形が丸いことから雌雄の区別はできる。但し、相対的のものなので慣れないと区別は困難かもしれない。

 
【学名】Abraximorpha davidii (Mabille,1876)

Hesperiidaeセセリチョウ科 Abraximorphaユウマダラセセリ属に分類される。

平嶋義宏氏の「蝶の学名-その語源と解説-」によると、属名 Abraximorpha(アブラクシモルファ)は、蛾のシロエダシャク Abraxas属+ギリシア語のmorphe(姿、形)の合成語だそうである。
Abraxasという属名は、365の天界を支配する大神アブラクサスに因む。アブラクサスは古代ギリシアのグノーシス派の人々が信奉した神で、ギリシア字母のa.b.r.a.x.a.sを組み合わせた神秘的な名。これらの文字を数字として読むと、合計365となる。蛾で、しかもエダシャクの分際のクセに物凄く良い学名だ。
小種名のdavidiiは「David氏の」の意。平嶋氏は、おそらくPere Armand David(1826~1900)に献名したものではないかと推察されておられる。
因みに、このArmand Davidはフランスの宣教師にして博物学者。最初にパンダの存在を欧州に報告した人である。中国での博物調査の折りに、その存在を知り、探したが実物は見つけられずに毛皮を送ったらしい。余談だが、欧州では長い間パンダは鉄(金属)を食う珍獣と信じられていたらしい。

台湾のものは亜種ssp.ermasisとされるが、語源はよくわからない。ermasisは女性の名前を連想させるから、女性に献名されたのかもしれない。

 
【台湾名】白弄蝶
他に白花斑弄蝶、白挵蝶白弄蝶、也稱夕斑弄蝶の別名がある。

「弄」は日本では弄(もてあそ)ぶと読む。
相手を翻弄するとか、女を弄ぶとか、男心を弄ぶなんて感じで使われる。ひどい奴なんである。
何でそんな酷いネーミングをされたんだろう❓ユウマダラセセリの生態とは合致しない。気になるので、中国語の意味を調べてみた。
しかし、出てきた意味は以下のようなものだった。

①手に持って遊ぶ。いじる②得る③細い路地④~する、させる

ん~、スッキリしない。
たぶん遊ぶようにひらひらと飛ぶからかなあ…。

 
【英名】
◆Magpie flat
magpieは鳥のカササギのこと。白黒模様なので、それになぞらえたのだろう。flatは水平とか平たいという意味だから、これはこの蝶が羽を水平に開いて止まるからだろう。

◆Chequered flat
chequeredはチェック模様の事だね。日本語にすると市松模様。これも羽の模様を表している。

ここで、あれっ?と思う。セセリチョウの事を英語ではスキッパーと呼ぶ筈だからだ。たぶんピョンピョンと飛んでは止まり、飛んでは止まるので、スキップしているように見えるところから来ているのであろう。

探したら、『White skipper』というのが見つかった。
白いスキッパーだね。雨上がりに、白いレインコートを着た小さな女の子がスキップしてる画が浮かんだ。何だか、微笑ましい。

 
【分布と亜種】
(出典『原色台湾蝶類大図鑑』)

 
台湾の他には中国、インドシナ半島北部に分布し、亜種には次のようなものがあるとされる。

 
◆ssp.davidii davidii(原名亜種)
中国(四川省、陝西省、湖北省、浙江省、江西省、安徽省)

 
(出典『アジア産蝶類生活史図鑑』)

(出典『yutaka.it-n.jp』)

 
上が香港産で、下がラオス産である。
沢山の個体を検したワケではないが、原名亜種は台湾産と比べて概ね黒い部分が発達し、全体的に黒っぽい印象をうける。

 
◆ssp.ermasis (Fruhstorfer,1914)
台湾

台湾亜種は全島に広く分布し、低地から2500mの高地まで見られるが、個体数は少ないようだ。

 
◆ssp.elfina (Evans,1949)
インドシナ半島北部(ベトナム・タイ・ラオス)

 
(出典『yutaka.it-n.jp』)

(出典『Butterflies of vietnam』)

 
今度は白っぽいのが特徴のようだ。
分布の端にいけばいくほど白っぽくなる傾向があるのかもしれない。

なお、『原色台湾蝶類大図鑑』に以下のような記述があった。
「Evans(1949)は原名亜種に属する”朝鮮”産の1♂がBritish Museum(大英博物館)に保存されていることを記録しているが、これは恐らくラベルの誤であろう。また”ジャバ(ジャワ島)”産と称する1♂で新亜種 A.davidii elfina Evans を記載しているが、これもラベルの誤である可能性が強い。」

余談だが、図鑑には次のような記述もあった。
「斑紋解析の見地から考察すると本種は極東産セセリチョウ科の中では最も原始的な斑紋排列(配列?)を示す1種でその斑紋はセセリチョウ科全般の斑紋解析に重要なヒントを与えるもののように思われる。」

補足すると、「アジア産蝶類生活史図鑑」に拠れば、現在は飛び離れて南ベトナムや香港でも分布が確認されている。南ベトナムには従来から分布している可能性があるが、香港では過去に記録が無く、狭い地域なのにもかかわらず近年になって発見されたので、人為的な移入も考えられる。

 
同属の近似種に以下のようなものがある。

◆Abraximorpha esta (Evans,1949)
雲南省,ミャンマー,ベトナム,ラオス

 
(出典『Wing Scales』)

(出典『yutaka.it-n.jp』)

 
ユウマダラセセリの亜種とする見解もあるようだが、見た目には別種っぽい。とはいえ、斑紋パターンは同じではある。しかし両者の分布が重なるので、ここでは別種扱いとする。

 
◆Abraximorpha heringi (Liu&Gu,1994)
広東省,福建省,ベトナム

いかにも蛾っぽい。これもきっと似たような柄の蛾がいるんだろう。かなりの稀種のようで、ネットでググっても画像が極めて少なく、勝山さんがブログで取り上げていらっしゃるものくらいしか、まともな画像が無い。
参考までに、URLを貼付しておきます。
 
Lepido and Scales

青文字をタップすると、サイトに飛びます。

  
◆Abraximorpha pieridoides (Mell,1922)
海南島(中国)

 

(出典『wikiwand』2点とも)

 
わおっ(@ ̄□ ̄@;)!!、何と雌雄異型なんだね。
海南島にはオウゴンテングアゲハがいるし、生物相が特異で面白そうな島だから、一度は訪れてみたい所だ。
でも、たぶん採集禁止地域なんだろなあ…。

記事をアップしたあとに勝山礼一朗さんから御指摘があった(註2)。詳細は追伸の欄に書きますが、これって、Abraximorpha pieridoides じゃないです。
Calliana pieridoides(Moore,1878)と云う別種。いわゆるモンシロモドキセセリという珍稀種だ。小種名が同じで、見た目が見た目なので間違ってしまった。まさか属名が違うとは思いもしなかったよ。
でも、ググってもAbraximorpha pieridoides
の画像が見つからないんだよね。

  
【生態】
台湾では標高50mから2500mまで見られるが、垂直分布の中心は300m~1000m。3月~12月まで年数回発生するとされる。一方、香港では100~200mの低山地に生息するようだ。周年経過はわからない。
杉坂美典さんのブログでは、飛び方が非常に速いと書かれているが、「アジア産蝶類生活史図鑑」には飛翔は他のセセリチョウのように敏捷ではないと書いてある。自分も速いというイメージはない。何れにせよ、センダングサなど路傍の花によく集まるので、見つけたら採集は容易。
普段は林道沿いなどあまり暗くない樹林の内外で見られるというが、自分は林道沿いの他に渓流、尾根、山頂でも見た。目にした事はないが、驚くと葉裏に静止する習性があるという。この習性はコウトウシロシタセセリやダイミョウセセリにもあるから、分類的には近い間柄なのかもしれない。
♂は地上2~3mの葉先に羽を水平に広げて止まり、他の個体が近づくと激しく追尾する占有活動を行う。これらの習性もダイミョウセセリやコウトウシロシタセセリとよく似ているというが、私見ではそれほど占有行動に執着心は無いように見えた。

 
【幼虫の食餌植物】
Rosaceaeバラ科 Rubasキイチゴ属を食する。
『圖祿檢索』では、台湾での食草は以下のようなものがあげられている。

◆羽萼懸鉤子 Rubus alceifolius

◆榿葉懸鉤子 Rubus alnifoliolatus

◆灰葉懸鉤子 Rubus arachnoideus

◆變葉懸鉤子 Rubus corchorifolius

◆臺灣懸鉤子 Rubus formosensis

◆斯氏懸鉤子 Rubus swinhoei

因みに香港での食草は、Rubas reflexus。
「アジア産蝶類生活史図鑑」では、台湾での食草として、Rubas sumatrensis コジキイチゴ、Rubas shinkoensis ヒメクマイチゴ、Rubas rolfei ミヤマカジイチゴをあげている。全然、最初に挙げられている植物と被ってないよね。
( ・∇・)どゆ事❓
まあ、植物には同物異名がよくあるから、スルーしておこう。自分にとっては、突き詰めて調べる程には興味が無い。

 
【卵】
(出典『圖錄檢索』)

 
毛がついているんだね。
たぶん成虫の腹端の毛だろう。
シジミチョウには、こういう毛のついた卵があるのは知ってたけど、セセリチョウもそういう習性のある奴がいるんだね。何か意味でもあるのかな?

 
【幼虫】
(出典『圖録檢索』)

 
ガイコツ顔で、ブサいくだなあ(笑)。
越冬態は幼虫のようだ。何齢で越冬するのかはわからない。

 
【蛹】
(出典『圖録檢索』)

(出典『圖録檢索』)

 
蛹は綺麗だね。
白と緑の2色のタイプがあるのかな?
因みに『アジア産蝶類生活史図鑑』では、両者の中間の色のものが載っていた。

成虫の見た目が違うOdontoptilum angulatum(イシガケセセリ)の蛹と形態が似ているのは興味深い。両者は見た目以上に近しい関係なのだろう。

 
【イシガケセセリ Odontoptilum angulatum 】
(出典『ButterflyCircle Checklist』)

 
東南アジアのどっかで何回か採った事があると思うが、どこだかが思い出せない。たぶん調べればわかるだろうけど…。

 
(出典『ButterflyCircle Checklist 』)

 
こっちの蛹には朱が入り、さらにスタイリッシュでお洒落さんだ。

虫の世界では他人の空似もあるし、又、その逆もあるのだ。だから虫は面白い。

                  おしまい

 
追伸
簡単に解説できるかと思ったが、調べれば調べるほど新たな疑問が湧き出してくる。先が思いやられるよ。

(註1)体内に毒をもっている
ユウマダラエダシャクの幼虫の食餌植物は、マサキ。
庭木にもよく使われるから、見た事がある人も多いと思う。幼虫はいわゆる尺取り虫。特徴的な動きで移動する事から付けられた名だ。
マサキには毒があり、幼虫はそれを体内に取り込む事によって天敵から身を守っているのだろう。成虫になってもその成分を体内に貯めこんでいて、鳥からの捕食を回避しているものと思われる。

(註2)勝山礼一朗さんから御指摘があった。
「sp. heringiとsp. pieridoidesは、3年前に新属が立てられ、そちらに移動になりました。新しい属名はAlbiphasma (意味:白い幽霊)と言います。

それと、ブログ記事中でpieridoidesとして引用されている図は、Albiphasma pieridoidesではなく、オバケセセリの一種Capila pieridoides(モンシロモドキセセリ)ですね(笑)。」
 

2019′ 全豪オープンテニス 決勝

 
やったぜ、ナオミ❗
優勝おめでとう🎊

 
(出典『NHK総合第2』以下、全部同じ)

 
勝った瞬間は、その場に座り込んだんだよね。

 
笑顔は暫くして、やっと出た。
 

 
第2セットで勝利目前まで行ったが、プレッシャーからかミスを連発。結局そのセットは落としてしまった。自分をコントロール出来なくなってて、これは完全に心が折れたなと思った。こりゃダメだ、そのままズルズル負けるなと覚悟した。ナオミにはそういう試合が多くて、メンタルの弱さを指摘されてきたからね。けど、トイレ休憩後に見事に気持ちを立て直してきた。それで勝ったから、マジ感動したよ。
これで日本人初の世界ランキング1位にもなった。これはスゴい事だよ。歴史的快挙だ。

最強同士のナダルとジョコビッチが相まみえる明日の男子決勝も楽しみだ。

テニスって面白い❗❗

2017′ 麺の亡霊たち(うどん妖怪編)

 
前回の中華麺に続く2017年に作った和の麺の亡霊たち。今回も🎵般若波羅蜜多時~…。キッチリ成仏させるのじゃあ。

 
【美々卯のうどん】

 

 
元祖「うどんすき」で有名な大阪の老舗高級うどん店のものだ。イオングループのコーヨーで売っている。

うどんすきと言っても関西以外の人には馴染みが薄いと思うので、一応説明しておこう。~すきと言ってもスキヤキのすきではない。蟹すきのすきだ。つまり、具が色々入ったうどんが主役の鍋料理って事だね。

ここの本店に行ったことがあるんだけど、ガッカリだった。名物のうどんすきはハッキリ言って、高いわりには大したことない。

でも冷しうどんにしてみたら、麺にコシがあってツルンツルンで旨かった。麺のポテンシャルは高い。老舗、侮るべからずである。

画像を見ると、生姜とスダチが添えられている。スダチが黄色いのにはワケがある。冷蔵庫に入れっぱなしにしてたら、色が緑色から黄色に変わっちゃったのである。黄色くなると酸味がやわらかくなり、甘みが増すけど、コレはコレで悪かない。

 

 
次はうどんすき風に鍋焼きうどんにしてみた。
具は玉子、豚肉、ネギ、三つ葉ってところかな。こっちも中々美味しい。
値段が高いなりに、やはりその辺の安物の饂飩とは一線を画すね。今回は使わなかったが、美々卯のうどんスープも売っているので、それを使えばお手軽に老舗の味が楽しめるってワケだ。店に直接行くことを考えれば、かなり安くてお得かもしんない。

 
【きざみんうどん】

 
他の地方では何と呼ぶか知らないが、関西ではこの名で通っていてポピュラーな存在。シンプルだけど旨い。
あっ、珍しく天カスが乗せてるなあ。普段は天カスなんて買わないから、乗っけることは滅多にないのだ。
おっ、そうだ。関西以外では天カスとは呼ばないんだよね。東京だと揚げ玉だっけね。
そういえば、昔どっかのうどん屋のオッチャンが、他の地方から来た客に(#`皿´)キレ気味に言ってたなあ…。

『あげだま❓何~やそれっ❗❓』

あ~、そのセリフ、オラも言ったわ。まだ東京に住み始めて半年も経ってない頃で、当時つきあっていた彼女にキレ気味に言うたわ。シチュエーションは憶えてない。東京のうどん屋なんかに入るワケは無いから、お好み焼き屋か、もしくは普段の会話の流れの中での言動だろう。

『天カスは天ぷらのカス(滓)やから、天カスやないけ、ボケー。揚げ玉とかカッコつけんなやワレー』

たぶん、そう付け加えたと思う。
関西人、オバケよか怖い。

 
【日清 鬼かき揚げ太うどん】

 

 
コレ、かなり期待した。だから古伊万里まで登場させたのだ。
何者かっつーと、日清の「鬼かき揚げ太うどん」。

 

 
冷凍食品なんだけど、パッケージ写真とネーミングに完全に騙された。全然旨くねぇんでやんの。
この分厚くて魅力的なかき揚げに心踊らぬものはいないだろう。けんど、よく見ると、海老とおぼしきものは人参だった。更によく見ると何と海老も入ってなけりゃ、小柱も入ってないタダの野菜天。
まあそこは百歩譲ってもいい。世の中には旨い野菜天だってある。しかし、一口食って、何じゃこりゃ❗❓見事に我が期待値を粉々に粉砕しよった。それくらい旨くなかった。
太麺というが、うどんに対する記憶は無い。かき揚げに対しての憤りのせいで記憶がフッ飛んでるんだろ。
コレ、今でも売ってるのを見かけるから、見る度に忸怩たる思いが甦る。年末年始にはよく見るから、皆さん気をつけなはれ。

 
【きざみうどん その2】

 
たぶん、前(さき)のきざみうどんの時に余ったお揚げさんを甘辛く炊いたのだろう。
大阪でうどんといえば、きつねうどんが筆頭格。しかし、意外と家で食う機会がない。なぜかっつーと、お揚げさんを炊くのは手間がかかるのだ。そのわりには店みたいに上手く炊けない。かといって、どういうワケか、スーパーにもあまり売ってない。だから、大阪人はもっぱら外できつねうどんを食う。その方が余っぽど面倒がなくて、かえって安上がりだったりもするのだ。

 
【蕨うどん】

 
コレ、漢字を読めた人は偉い。
ワラビと読みます。わらび餅とかのあのワラビで、山菜のワラビだね。
ワラビは自分で取ってきて調理したヤツで、おひたしにしたあとの残りとキノコを炊き合わせたものだ。
見てくれを意識して温泉玉子なんぞをトッピングしたが、これが失敗。山菜のみの方が余程旨い。カッコつけて損したよ。

 
【かき揚げうどん その2】

 
たぶん、出来合いのかき揚げ。
スーパーで売ってるかき揚げに期待したアタイがバカだった。

 
【焼うどん】

 
実家では焼うどんといえば、ソース味だった。
世間には醤油味もあり、むしろそっち派の方が優勢だと知ったのは随分あとになってからだ。
これは醤油味にした。そこそこ旨かったような記憶がある。具はキャベツに人参、ひき肉だね。
それにしても、何でこんなにも人参だらけなのだ❓
今となっては、全然その意味も意図もワカラナイ。

 
【若竹うどん】

 
コレはねぇー、文句なく美味いです。
なぜなら、アタイの作った若竹煮がベースだから。
タケノコの香りと仄かな苦み、生のワカメの旨みが渾然一体となって押し寄せてくるのだ。あー、でも山椒の葉が無いから完璧ではないね。
今年も手間ヒマ惜しまず、ちゃんと気合いを入れてタケノコを茹でよっと。

 
【舞茸うどん】

 
画像を見て、自分で作っといて何じゃこのオドロオドロしいものは❓と思った。テメエ、油すましかよ❗❓
仔細に画像を点検してみて、ようやく舞茸だと確認できた。
そこそこ旨かったのではないかと思う。でも、ネギは要らないような気がする。

こごで乾麺のうどんの画像が出てきた。

 
【讃岐 太麺強腰うどん】

 
焼うどんには、この乾麺を使ったみたいだ。
強腰と書いてあるけど、全然記憶にない。どうせ言うほどのモノでもなかったのだろう。驚くほど腰の強いものだったら、ちゃんと憶えている筈だ。

 
【温玉ぶっかけうどん】

 
真ん中の茶色いのが何なのかワカラナイ。肉なのか、キノコなのか、はたまた佃煮的なモノなのかが画像を拡大してもワカランのだ。きっと妖怪のしわざだな…。

 
【浅蜊うどん】

 
これも、どうやら強腰乾麺のようだ。
前の温玉ぶっかけもそれっぽい。

何でこんなもんを作ったのか、全然覚えがない。
しかも鍋焼き風。まあ、組み合わせとしては悪かないんだろうけど、妙にスープが妖怪ドロドロ系だ。何がスープのベースになってるのか全く特定できない。
思うに、どうせ酔っ払ってテキトーに作ったんだろう。マッドサイエンストよろしく、残り物の汁の何種類かをアバンギャルドに混ぜ合わせたっぽい。まさかカレーとか入れてないだろな❓想像するだに恐ろしい。
妖怪創造。酔っ払って料理すると、ついワケのワカラナイ野心的なものを作ってしまう。だが、大概は微妙なものになるし、上手く作れたとしても二度と再現できない。阿呆である。

 
【しっぽくうどん】

 
何となく、しっぽくうどんって書いたけど、しっぽくって何だっけ?
あっ、そうそう。香川県の郷土料理だね。野菜や肉を煮たものを汁ごとうどんにブッかけるのだ。
具はコンニャクにゴボウ、人参、キノコ、肉ってところか…。
味はまあ、可もなく不可もなくってとこだったんじゃないかな❓こういう手あいのモノは特別旨いものにはならないけれど、失敗もあまりないのだ。

 
【豪華版しっぽくうどん】

 
まだしっぽくの母体が残っていたので、そこに茹で玉子と鴨の薫製を加えたんだね。
まあ、グレードアップした分、それなりには旨くなってた筈だ。
一応、これで乾麺は終了みたい。

 
【鶏南蛮うどん】

 
本当は鴨南蛮が食いたいところを鶏で代用しましたって感じだ。
鴨南蛮の由来は、江戸時代に来日した南蛮人(白人)がネギに嵌まり、そればっか食べていたからだそうである。で、鴨とネギの相性が良いので、二つを合わせて鴨南蛮ってワケだね。そう、南蛮はネギの事なのだ。鴨は直接は関係無いのである。
でも、ふと思ったんだけど、昔は大阪の難波(なんば)周辺が難波葱と呼ばれるネギの一大産地だったそうだ。その「なんば」が訛って「なんばん」になって、後になって南蛮の漢字をあてがったと云う説とかは無いのかね?

それはさておき、鶏とネギの相性も良い。だから、コレもたぶん旨かったんだろうね。

 
【おろしぶっかけ】

 
具は大根おろし、茗荷、カボス、青ネギだな。
夏場は、こういう冷たい系のを矢鱈と食べたくなるよね。毎年のように冷たい麺をせっせと作ってるけど、失敗作の記憶は無い。だから、これも旨かったに違いない。大根おろしは辛味大根の筈だし、茗荷を筆頭に具にもマイナス要素は無いから尚更のことだ。

きっと麺はコレだったんだろな。

 

 
製造会社はさぬき麺業とある。生タイプのうどんだ。冷たいうどんを作る場合、乾麺は殆んど使わない。だいたい生タイプを使う。喉ごし重視なんだろね。

 
【おろしぶっかけ その2】

 
一瞬、さっきのと同じものかと思った。
けど、よく見れば盛付け違うし、具の構成員も微妙に違う。
それにしても左側の緑色の物体は何者❓河童の化身かあ❓
暫し沈思黙考する。う~む、最初は野沢菜かと思ったが、どうやら大根の茎のようだ。大根の茎は食べられるから、捨てるのは勿体ない。サッと茹でたか、浅漬けにしたものだと思う。浅漬けの方が、きっと旨いと思う。

 
【鱈子うどん】

 
謂わば、鱈子スパケッティのうどん版だ。
作り方はパスタと同じで、ほぐしたタラコとバター、お好みで昆布茶を入れて練り合わしておく。そこに熱々のうどんを投与して、ウルトラ高速でかき混ぜる。時間との勝負だ。トロついていると、あっという間に冷めちまう。皆さんも作る場合は鱈子スパ然り、気合いを入れて混ぜなはれ。

 
【冷しおろしうどん】

 
汁が掛かってないので、ぶっかけではないだろう。
生醤油で勝負している筈だ。
具は大根おろし、茗荷、カボス、貝割れ大根。
コレ、絶対旨かったと思う。

  
【鱧うどん】

 
ハモを霜降りにした時の茹で汁を使ってのうどん。
ハモからは極上の出汁が出る。それを使わない手はない。薄口醤油、塩のみで味を整える。お好みで酒や味醂を少し入れてもいいだろう。ハモの出汁にはネギは邪魔なので、三つ葉を添えた。
(⌒‐⌒)バリ旨~。

 
【釜玉バター】

 
普通の釜玉かと思いきや、ベーコンらしきモノが乗っているので、たぶん釜バターじゃろう。洋風釜玉なのじゃ。バターと胡椒が特徴だ。卵は黄身のみで、白身は使わない。醤油をかけてグシャグシャにかき混ぜて食うと、(о´∀`о)至福だね。

あっ、気に入らないのか、写真撮りなおしてるね。

 

 
湯気があると、どうしてもソフトフォーカスの写真になる。ブスを美人風に見せるのには良いけれど、食べ物の写真だと靄(もや)が掛かり過ぎると、あまり宜しくないのだ。

 
【コロッケうどん】

 
コロッケうどんだね。
うどん界の中では比較的歴史の浅い異端児だ。

 

 
最初はコロッケの表面がカリカリなのだが、やがて汁を吸って弱体化。醜悪で無様な姿になってゆく。
そうなる事は年端のいかぬ子供でも容易に理解できる。だから小学生の頃に、外でコロッケうどんの存在を初めて知った時は、軽い衝撃を受けた。家庭内ならまだしも、外では禁じ手だろうと思ったのだ。ヴィジュアル的に問題ありだ。食べてる時も食べ終わった時も丼の中は美しくない。
最初にうどんにコロッケを入れた店は何処なんだろう❓勇気があるよね。
この汁が次第に汚れていくところは、うどん好きなら許しまじであろう。澄んだ美しいスープが濁っていく様に耐えられない筈だ。謂わばコロッケうどんはうどん界のタブーを破った存在なのだ。ここで、じゃあかき揚げや天ぷらはどうなのだ❓と疑問を持つ方もおられるだろう。しかし、それらと比べたら汁の汚れ方が半端なく違う。許容範囲を遥かに越えているのだ。

ちょっとでも時間が経つと、こうなっちゃう。

 

 
七味を取ってきて振り掛けて、写真を撮っているうちに見る見るうちに酷い見た目になってゆく。ぶくぶく水死体のコロッケ土左衛門だ。この世の者ならざる異界の者だ。
最初にうどんをすすり、やおらまだカリッとしているコロッケを囓じる。おいしい。この時点ではまださしたる問題は起きていない。平和な牧歌的風景とも言えよう。だが、囓じって汁に戻した瞬間から惨劇が始まる。囓じった断面から急速に汁が染み込んでゆくのだ。侮っていると、コロッケがアッという間にドボドボのビチャビチャのグジュグジュになる。
しかし、ここからがコロッケうどんの醍醐味なのだ。
その汁を吸ったコロッケが何とも旨いんである。コロッケ本体に箸を入れると、簡単に崩れて見る見るうちに清澄な出汁が穢れてゆく。何か悪い事をしている気分になる。その背徳感に打ち震え、口の中でほろほろと崩れ溶けてゆくジャガイモの悦楽に身悶えするのだ。そして、時間の経過と共にビチャグジュ度が変わってゆくのだが、その変遷までも楽しめるようになれば、貴方も変態の仲間入り。もう立派なコロッケうどんフリークだ。
でも、外でコロッケうどんを食う時は気をつけた方がいいよ。誰がその恥ずかしい姿を見てるいるかワカラナイ。ワタシは外では怖くて、コロッケうどんは食べません。

  
【冷かけうどん】

 
擦りおろした生姜と貝割れ大根のみ。シンプルだ。
何年か前、冷やかけに嵌まっていた時期があった。
今はもう移転してしまったが、道頓堀の裏に『白庵』という店があった。そこの店の冷やかけが、いりこの出汁が効いていて、誠に旨かった。形容が難しいが、麺はコシがあるのにモチモチでグミのような食感なのだ。小麦の香りも仄かにしていて、エッジも立っている。シンブルなだけに、麺の美味さに悶えた。

 

 
あっ、こんな画像が出てきた。
冷やかけと思いきや、ちゃう。どうも「キッコーマン すだちおろしつゆ」を使っているようだ。
んー( ̄ー ̄)、まさかの展開である。この冷やかけへの愛を、アタシャ、何処へ持っていけばいいのだ?…。嗚呼、無性に冷やかけが食べたくなってきたよ。

 
【肉うどん】

 
この年、最後に食ったのが肉うどんとは予想外である。
う~ん、でも全然記憶にないや。
ゴメン。だから、特にコメントは無いです。
ラストがグダグダの終わり方でスマンとです。だって、まるで記憶に無いんだもん。書きようがない。

 
                  おしまい

 
追伸
昔から京極夏彦の小説を読んできてるから、それなりに日本の妖怪の事は知っている。だから、各パートに「砂かけババア」とか「ぬりかべ」とかの妖怪を当てはめて書こうかとも思ったが、1個、1個リンクさせて話を進めるのは、流石に厳しいと下書き途中で解った。砂かけババアとうどんを関連立てて書けるワケがない。
それに、だいたい日本の妖怪を世間の人たちがどれだけ知っているというのだ?少しでもマニアックな妖怪ならば、その都度、妖怪本体の解説から始めねばならない。そんな事してたら、膨大な文章になってしまう。原点に立ち返れば、そもそもがこの文章は携帯のストレージが溜まっているので、過去の画像を消すことが目的なのだ。いつも脱線しきりだけど、そのパターンの脱線はヤバイと阿呆なりに気づいたよ。
だから、妖怪を意識させるが如くの言葉をちょいちょい入れつつ、話を進めた。
次はどう誤魔化すか考えてないが、素麺(そうめん)か蕎麦ヴァージュンを予定しています。

 

2019′ 全豪オープンテニス

 
 
準決勝進出❗

なおみちゃん、おめでとう🎉

 
(出典『NHK総合第2』)

 
大坂なおみは美人ではないけれど、とてもキュートだ。今回もインタビューの最後は満面の笑みでの『おじいちゃん、お誕生日おめでとう』だった。

ブログではあまりテニスのことは話題にしないけど、実をいうと好きだ。全豪、全仏、ウィンブルドン、全米のグランドスラム(テニス四大大会)は必ず見ている。
今回は特にシッカリ見てて、大坂なおみと錦織圭の試合は全試合観てる。

テニスの試合は面白い。観てて退屈することがない。
それにしても、テニスってスゲー大変そうだ。球技のなかでは一番体力を使うんじゃないかと思う。しかも、ケースによれば試合時間がとても長くなる。よくぞあんな何時間も走り続けられるなと思う。
それにメンタルスポーツの要素が強いから、ちょっとした事で、ゲームの流れが大きく変わる。
この全豪だって、二人ともそのまま敗れてしまいかねないような局面が何度もあった。

 
(出典『NHK総合第2』)

錦織圭のこないだの試合なんて、絶体絶命からの大逆転だった。しかも試合時間は何と5時間5分。本当に凄い試合だった。感動したよ。

錦織圭のベスト4を賭けた試合は、今日の午後5時半から。
相手は14連敗中の王者ジョコビッチ。劣勢を強いられるのは間違いないだろうが、波乱の起こりやすい全豪だ。奇跡が起こることを祈ろう。

頑張れ、圭❗❗

 
 

台湾の蝶20 『檸檬色の山娘たち』

 
第20話『台湾山黄蝶と台湾小山黄蝶』

 
今回取り上げるのは、タイワンヤマキチョウとタイワンコヤマキチョウ。
両者ともシロチョウ科(Pieridae・粉蝶科)のヤマキチョウ属(Gonepteryx・鉤粉蝶屬)に含まれる。

 
【タイワンヤマキチョウ♂】

(2017.6.24 南投県仁愛郷尖台林道 alt.1300m)

 
(2017.7.1 南投県仁愛郷alt1990m)

 
レモンイエローの黄色が、とても綺麗だ。
日本にいる近縁のヤマキチョウと比べて色が濃く、より鮮やかで翅形も丸くて可愛い。初めて出会った時は、山でのびのびと育った明るい娘さんみたいだなと思った。

 
【同♀】
(2017.7.2 南投県仁愛郷alt.1900m)

 
メスは白いので雌雄は簡単に見分けられる。
元々個体数がそう多い蝶ではないようだが、特にメスには中々出会えなかった。だから初対面は中途半端に緊張してしまい、珍しく一発目を振りハズした。で、返す網で振って振って振りまくりのタコ踊りになってもた。たぶん6~7回は振ったから、相手が風圧で参って草むらに落ちて何とかゲット。オジサン、Σ(´□`;)ゼーゼーのハーハーである。誰も見てなかったら良かったけど、端(はた)から見たら相当にカッコ悪かったと思う。そんなダサい網さばきは蝶採りを始めた頃以来だから、とってもよく憶えている。
因みに♂は飛ぶのが速いが、♀はそうでもない。

 
【♂裏面】

 
葉っぱみたいだ。台湾でも千切れたキャベツだの白菜だのと呼ばれているようだ。間違いなく葉っぱや草に擬態していて、翅を閉じて止まると見失いやすい。
あとは日本のヤマキチョウと比べて、矢鱈と翅脈が目立つなと思った。

 
【タイワンコヤマキチョウ 裏面】
(2017.6.22 南投県仁愛郷alt.1900m)

 
なぜか裏面の写真しか無い。ググっても適当な表側写真が見つからない。基本的に羽を閉じて止まる蝶で、滅多に羽を開かないからだろう。ゆえに、後に展翅写真を貼付しときますので、そちらで見比べられたし。

タイワンヤマキチョウよりも小型で色もくすんでいるし、後翅がギザギザなので区別は容易である。翅もタイワンヤマキに比べて薄く、胴体も細い。

両者は日本のヤマキチョウとスジボソヤマキチョウの関係になぞらえられることが多いが、概ね当たっていると思う。それぞれを代置種として、タイワンヤマキチョウをヤマキチョウになぞらえ、タイワンコヤマキチョウをスジボソヤマキチョウになぞらえられている。但し、垂直分布は逆。日本ではスジボソヤマキよりもヤマキチョウの方が高所寄りの分布をするが、台湾ではタイワンヤマキよりもタイワンコヤマキの方が垂直分布が高い。

それでは、先ずはタイワンヤマキチョウの解説から。

 
【♂】

 
【♀】

 
ヤマキチョウ系の展翅は嫌いだ。触角が短いから展翅板にギリギリにしか乗らないから調整しにくいし、翅のバランスも分かりづらい。とにかく、触角がバンザイになり過ぎない事と頭が翅に完全に埋らないようにだけはしている。必然、翅はあまり上には上げられない。

 
【学名】
Gonepteryx amintha(Blanchard,1871)

平嶋義宏氏の『蝶の学名-その語源と解説-』に拠れば、属名Gonepteryx(ゴネプテリュクス)の由来はギリシヤ語のgoina(角(かど))+pteryx(翅・翼)、小種名amintha(アミンタ)は語源不詳としている。しかし語感からいえば、神話のAmyntor(アミュントール)を女性形に綴り、yをiにし、tをthとしたものではないかと推測されている。
台湾産は亜種ssp.formosanaとされ「台湾の」という意味。これは昔の欧州での台湾名formosa(フォルモサ)を由来としており、台湾産の多くの生物にこのformosaが学名として使用されている。

 
【台湾名】圓翅鉤粉蝶
「圓」は円の旧い字、「鉤(かぎ)」は釣り針など「くの字」に尖った形を指すから、丸くて羽先が曲がり尖った蝶と云うことからの命名だろう。
その他に、紅點粉蝶、臺灣山黃蝶、橙翅鼠李蝶の別名がある。それぞれの意味は、漢字を見て皆さんで想像してみて下さい。この、漢字と実物の蝶のイメージを頭の中で整合させてゆく作業は結構面白い。

 
【英名】Orange brimstone
黄色いのに何でオレンジなの?と思ったが、或いは上下の中心部にあるオレンジの紋のことを指しているのかもしれない。
Brimstoneとは、硫黄(いおう)のこと。
他に「口うるさい女、地獄、地獄の火の池、地獄の業火、地獄に落ちる罪、激情、空対地ミサイル」という意味がある。おやおや、穏やかではないね。
とはいえ、そういったマイナスの意味で命名されたのではなく、おそらく硫黄の色からの連想だろう。

 
【分布と亜種】
 
(出典『アジア産蝶類生活史図鑑』)

 
台湾以外では主に中国の南西部~南部に分布し,日本の八重山諸島(与那国島)でも記録(註1)されている。
杉坂美典さんのブログ『台湾の蝶』によれば、中国では黒竜江省、吉林省、遼寧省、河北省、山東省、河南省、江蘇省、安徽省、湖北省、浙江省、江西省、湖南省、福建省、広東省、海南省、広西自治区、雲南省、四川省、西蔵自治区に分布しており、黒竜江省と西蔵自治区に分布しているもの以外は原名亜種(名義タイプ亜種)G.amintha aminthaとされる。

亜種には以下のようなものが記録されている。

 
◆ssp.amintha (Blanchard,1871)
原名亜種

◆ssp.formosana (Fruhstorfer,1908) (Taiwan(台湾))

◆ssp.limonia (Mell,1943)
(South Ussuri(南ウスリー), Yunnan(雲南省))

◆ssp.murayamae (Nekrutenko,1973)
(Yunnan, Sichuan(黒龍江省))

◆ssp.thibetana (Nekrutenko, 1968)
(south-eastern Tibet(チベット南東部))

 
シノニム(同物異名)には次のようなものがある。
Gonepteryx amintha meiyuanus Murayama & Shimonoya,1963

 
【生態】
垂直分布の幅は広く、台湾では海抜200~3000mで見られると書かれているが、自分は低い標高では見たことがない。1200m以上、多くは2000m前後から2500mの間で見る機会が多かった。
日当たりの良い路傍や樹林の外側を活発に飛び、花に吸蜜に集まる。飛翔は日本のヤマキチョウと殆んど同じ。しかし、ヤマキチョウよりも少し暗い環境を好むという印象がある。とはいえ、ヤマキチョウが典型的に好むような草原環境が現地には無かったせいもあるかもしれない。

 
【周年経過】
一年を通じて見られるが、冬季には極めて稀。
日本のヤマキチョウは成虫で越冬するが、その辺は果たしてどうなってんだろうと思って調べてみたが、よくわからなかった。
発生回数は年数回とされる。しかし、ヤマキチョウは年1化だから、これも果たして本当にそうなんだろうか?と思ってしまった。思っている以上にこの系統のチョウは長生きさんだ。越冬もすれば夏眠もする。因みに、自分は8月初旬にヤマキチョウのボロボロの越冬個体を採ったことがある。

 
【幼虫の食餌植物】
Rhamnaceae クロウメモドキ科が主な食餌植物。

桶鉤藤 Rhamnus formosana
和名 タイワンクロウメモドキ(シマクロウメモドキ)

小葉鼠李 Rhamnus parvifolia
和名 イワクロウメモドキ

他に、Rhamnus liukiuensis リュウキュウクロウメモドキやマメ科のCassia surattensis モクセンナの記録がある。

 
【卵】

 
【幼虫】
(以上二点共『圖錄檢索』)

 
蛹の写真はググってもヒットしなかった。タイワンコヤマキチョウとどう違うのかを知り得ないのは残念だが、たぶん属典型の蛹で、そう変わったものではないだろう。

 
それでは、お次はタイワンコヤマキチョウ。

 
【♂】

 
オスとメスの違いを解りやすくする為に、もう1枚オスの画像を添付しておこう。

 
【♂】

 
続いてメス。

 
【♀】

 
♂前翅表面には黄斑が広がり,後翅裏面の褐色斑の色が濃くなるので,雌雄を区別することができる。
それにしても、タイワンヤマキに比べて地味。全然美しくない。ゆえに2頭目からは駄蝶扱いになってしまった。

 
【学名】
Gonepteryx taiwana(Paravicini,1913)

学名が錯綜していて、ワケワカメである。
杉坂美典さんのブログでは、台湾特産種として上記のような学名を掲げられているから、それに従った。しかし、従来の学名Gonepteryx mahaguru taiwana と表記されているケースも多い。
でも更に遡ると、これが益々ややこしい事になってくる。古くは白水隆先生が『原色台湾蝶類大図鑑』で次のような解説文を書かれている。

「日本産のスジボソヤマキチョウとは翅形、色彩が著しく相違するため以前はそれとは独立の別種(註2)として取り扱われていたが、現在ではスジボソヤマキチョウと同種(別亜種)であるとされる。」

しかし、現在はスジボソヤマキチョウはG.mahaguruとは別種とされ、新たな学名Gonepteryx aspasiaを与えられている。もう何が何だかワカラナイ(@_@;)
とはいえ、台湾のサイトではGonepteryx taiwanaとするのが主流だから、現在は独立種として定着しつつあるのかもしれない。
では、他の大陸側の従来G.mahaguruとされてきたモノは台湾のモノと比べて、どれくらい違うんだろう?と思って調べてみた。
しかし、見たところ台湾産程にはギザギザの翅の奴は見つけられなかった。にしても、情報量が少ないので台湾産がどれだけ特異なのかはワカラナイ。一方、ロシア産(ウスリー)のモノは限りなく日本のスジボソヤマキチョウに近い。と云うか、種名もG.asapsia。スジボソヤマキチョウそのものの学名になっていた。
アカン、また蝶的無間地獄だ。学者や研究者じゃないんだから、ソッコー離脱じゃよ。亜種も、どんなのがあるかよくワカランし、山娘を田舎娘だとナメてかかってたら、エラいめにあいそうだ。

杉坂さんが提示した学名の小種名taiwanaは「台湾の」と云う意味で、おそらく亜種名を種に昇格させたものだろう。一方、mahaguruは梵語(サンスクリット語)由来で「偉大な師」の意。ちょっとカッコ良すぎるよね。

 
【台湾名】臺灣鉤粉蝶
台湾と強調しているあたり、やはり台湾固有種なのかな?
その他に小紅點粉蝶、臺灣小山黃蝶、鋸緣紅點粉蝶、臺灣鼠李粉蝶、尖鉤粉蝶という別名がある。

 
【英名】
mahaguruには「Lesser brimstone」と云う英名があるからして、さしづめ台湾産のコヤツは「Formosana resser brimstone」ってとこか…。
因みにLesserは「より小さい」と云う意味だ。
あのレッサーパンダくんは、ジャイアントパンダに比べて小さいからと云うことで名付けられたんだろね。
きっとタイワンコヤマキもタイワンヤマキチョウに比べて、より小さいからという意味でのネーミングだろう。安直だぜ。
一言加えておくと、好意的な訳だと「姫」という意味もあるようだ。それにしても、このタイワンコヤマキチョウと云う和名、何とかならんかね❓間に「コ」1文字しか入らんから、カタカナ表記だとややこしくてかなわん。しかも発音しにくい。せめてでも、『タイワンヒメヤマキチョウ』にしてくれ。
和名を考える奴は、もっと考えろや(#`皿´)と思う。ダサい名前ばっか付けやがって、◆$☆@£#ブツクサ、ブツクサ(# ̄З ̄)

 
【分布】
一応、台湾特産とするが、Gonepteryx mahaguruとされてきた頃の分布図も参考までに添付しておく。

(出典『原色台湾蝶類大図鑑』)

 
西は雲南省、北ミャンマーよりヒマラヤ山脈に沿ってカシミヤ地方まで至り、チベット、中国より北は日本、朝鮮、ウスリー、アムール地方まで及ぶ。

台湾においての分布は中部山岳地帯の1000~3000mの常緑広葉樹林に見られるが、タイワンヤマキチョウよりも少ないとされる。
しかし、埔里周辺ではタイワンヤマキよりも多く見かけた。但し、これは発生期や行ったポイントにもよるだろうから、何とも言えない。

 
【周年経過】
年1化、3月~8月に発生し、冬場は成虫越冬するとされるが、諸説あり。2月~10月上旬に発生し、年数回発生するという説もある。年1化のわりには成虫の見られる期間が長いので、数回発生しているように思われがちということもある。果たしてどっちだろう?判断の難しいところだ。因みに日本のスジボソヤマキチョウは年1化である。

 
【生態】
樹林周辺の比較的明るい所を素早く飛翔する。自分は尾根でホッポアゲハを待っている時に、そこそこ見たから、蝶道を持っているのではと感じた。敏捷だがすぐ止まるといった記述を見かけるが、そう言われてみれば、そうかもしれない。

 
【幼虫の食餌植物】

中原氏鼠李 Rhamnus nakaharae
小葉鼠李 Rhamnus parvifolia

食樹がタイワンヤマキチョウと同じだね。
まあ日本でもヤマキとスジボソヤマキの食樹が一部だが被っている(註3)。
因みに日本ではヤマキよりもスジボソヤマキの方が食性が広い。

 
【卵】

 
【幼虫】

 
【蛹】
(以上三点共『圖錄檢索』)

 
幼生期は基本的にヤマキチョウ属の特徴をよく具えており、素人目には特に際立った特徴があるとは思えない。まあ、自分では飼育しない人だから、節穴ポンコツ意見だけどさ。

 
タイワンヤマキとヤマキチョウを筆頭に、この小娘たちの黄色い衣装は本当に美しいと思う。
蝶に興味のない方でも、是非一度は青空の下でその鮮やかな檸檬色を目にしてもらいたいなと思う。
美は自然物の細部に宿るのだ。

 
                 おしまい

 
追伸
考えてみれば、シロチョウ科の蝶を紹介するのは今回が初めてだ。シロチョウ科もネタになる蝶は結構ある。だが、まだジャノメチョウとかヒカゲチョウ、マダラチョウやセセリチョウまでもが登場してないし、先を考えると茫然とするよ。

 
(註1)日本の八重山諸島でも記録されている
1995年に迷蝶として与那国島で2例の記録があるが、放蝶では?と疑問視する声もある。これは迷蝶の多くが低い標高に棲むオープンランドの蝶だからで、タイワンヤマキチョウはそれにはあまり当てはまらず、迷蝶になりにくいのではないかと云うのと、続けて2例も採集されたからだと言われている。つまり全く記録されていなかった蝶が立て続けに採集され、以降は記録が途絶えているから、偶然にしては怪しいという事だろう。
自分としては、んな事どっちだっていい。興味なし。

(註2)以前はそれとは独立の別種
おそらく、Gonepteryx zaneka taiwanaのこと。

(註3)食樹が一部だが被っている
クロウメモドキ科クロツバラ(オオクロウメモドキ)のこと。ヤマキチョウの自然情態での食樹はコレのみ。スジボソヤマキは他にクロウメモドキ、コバノクロウメモドキ、キビノクロウメモドキ、エゾクロウメモドキ、クロカンバなども食樹としている。
この事から、日本ではヤマキチョウの方が圧倒的に少ない。今や絶滅危惧種だ。この辺も台湾とは逆である。スジボソヤマキの代置種タイワンコヤマキの方がタイワンヤマキよりも少ないのだ。本当に代置種なのかな?と思う。
 
  

2017′ 麺の亡霊たち(チャイニーズゴースト編)

 
成仏できずにいる麺の亡霊どもがウヨウヨいる。
ブログに書こうと思って、結局書かなかった為に残された画像たちだ。やがて記憶からも消されてゆく。

 

 
例えば、これなどは出自が全然わからない。作った記憶も食べた記憶も1ミリたりとも有りはしないのだ。だから何味なのかもワカラナイ。味噌や豚骨じゃないにしても、塩?醤油?どっち?下手したら、それとも違う煮物とかの残り汁だって有り得る。

そんな亡霊のような麺たちを成仏させる為に、ここで一挙に画像を放出し、供養しようと思う。
先ずは2017年の中華麺部門。それにしても2017年とは古いね~(^_^;)

 
【カドヤ食堂 中華そば】

 
大阪の有名店のスープ付乾麺である。大阪で中華そばといえばここだろう。シンプルで、とても美味い。たまに食べたくなって、自分には珍しく行列に並ぶ。
何処かのスーパーで、この乾麺を売っているのを見掛けたことがあるけれど、これはお店に食べに行った時に売ってたので、ついでに買った。

 

 
具は玉子、ネギ、キクラゲみたいだね。
旨いラーメン屋の監修モノだから、そこそこ満足した記憶がある。

 
【ざる拉麺】

 
「北陸 夏の風物詩」とあるから、北陸の製麺所のものだろう。北陸ではポピュラーなの❓
買った記憶が微かにある。安かったと思う。

 

 
薬味はネギ、白胡麻、ワサビだね。
つるつるの麺だったように思う。

 

 
2食目は肉のせヴァージョン。
ショルダーベーコンっぽい。でも画像を拡大してみたら、あらまの鴨の燻製だったよ。鴨の燻製は冷たい麺によく合いますな。

 

 
たぶん面倒くさくなって、ぶっかけにしたに違いない。味は全然覚えてないけど、何か旨そうだなあ。

 
【牛肉牛蒡ラーメン】

 
ゴボウにコンニャクと牛肉らしきものが乗っかってる。たぶん煮物系の残り物とその汁をアレンジしたのだろう。こういう場合は煮汁をそのまま使えないので、薄めたり何らかを加えたりして調整してます。
それにしても、何じゃこりゃラーメンだな(笑)。こんなラーメンを出す店は、ソッコーつぶれるぜ。

 
【❓】

 
挽き肉のせのラーメンとしかワカラナイ。何味なのかもワカンナイ。でも旨そう。

 
【天ぷらラーメン】

 
天ぷら蕎麦や天ぷら饂飩があって、なぜ天ぷらラーメンが無いのだ❓
そんな疑問からつくったもの。

 

 
コレはあとでもう1個イカ天らしき具を足したんだね。たぶん最初の1枚を撮ってから、ついでにエイ!とばかりに乗せたんだね。

えー、食ってみて得心。天ぷらラーメンが世の中で流行らない理由が何となく解りました。マズいとまでは言わないけど、味がボケてて思った程には美味しくないんである。ハッキリ言って、天ぷら饂飩や天ぷら蕎麦の方が遥かに旨い。たぶん天ぷらとラーメンスープとの相性はベストではないのだろう。考えてみれば、ラーメン屋の店主の多くがこの組合せを試さない筈はない。それでも見掛けないのは、結果、発売を断念したからに相違ない。蕎麦や饂飩の汁の方が圧倒的に相性が良いんだから、無理にラーメンと合体させる必要性は無いって事だね。因みにイカ天もダメ。饂飩の方が圧倒的に合ってる。

 
【秋田製麺所 白ごま担々麺】

 
秋田って、担々麺が人気あんのかな?
まあ、どうでもいいけど。

 

 
担々麺は好き。
そこそこ旨かったような気がするなあ…。担々麺で激マズって、あんま無いでしょう。

 
【冷し酢橘ラーメン】

 
スダチの季節ならではのチャレンジ。
出汁は和だったと思う。ラーメン系のスープにする勇気が無かったのだ。

コレは爽やかな酸味があって旨かったのを覚えている。残暑の時期には最高の麺です。すだちを切って並べるだけなので、作られることをお薦めします。

 
【鶏ラーメン】

 
麺は広島の熟成生麺のようだ。
隠れてて見えないけど、何とかつゆとある。つゆって何だ?何でラーメンなのにつゆなのだ。

 

 
細麺だね。
スープは謎。醤油や塩ではない事は確かだけど…。
いや、半額シールに隠れてはいるが、よく見るとコレって「つゆ」ではなくて「しょうゆ」じゃねえか?
となると、左の文字は「とんこつ」?つまり豚骨醤油なんじゃねーの。麺しか入ってないと見えたが、スープ付だったのか…。

 
【青椒肉絲拉麺】

 
たぶん、青椒肉絲の残りを乗っけたんだろね。何でも有りかよ、オイラ(笑)。
と書いたところで、筆が止まる。タケノコと肉は入っているようだけど、ピーマンとおぼしきものはよく見ると葱だ。謎である。母体は何なんだ?
味は、微かだが旨かったような記憶がある。

 
【創作麺工房 鳴龍 担々麺】

 
日清の「一度は食べてみたかった日本の名店」シリーズの一つだね。
「鳴龍」はミシュラン1つ星を獲得している東京の人気店みたい。丸鶏、牛、牡蠣の清湯スープで後がけ芝麻醤とある。如何にも旨そうな惹句だ。今でも珠に売っているのを見るので、人気があるのだろう。

コレ、二杯連続で食ったんじゃないかな❓
それくらい旨かったって事か?それとも単にムチャクチャ腹へってたとか?どっちにせよ、アホだ。

 
【日清 台湾まぜそば】

 
これ又、日清だ。
名古屋発とある。そうだ、たしか台湾まぜそばブームは名古屋から火が点いたんだよね。

 

 
ふ~ん、レンジでチンするタイプだったんだ。

 

 
そこそこ旨かった記憶があるが、量が少ないと思った。パスタにしろ、こういうレンチンタイプのものは量が少ないような気がする。あんまし多くは食べた事ないけど…。

 
【台湾まぜそば その2】

 
添付の魚粉を掛け忘れている。

 

 
一方、コッチは卵を入れ忘れている。

 

 
コレ又、日清のもの。この時期の日清食品のイチオシは台湾まぜそばだったのかな?
小さく「麺屋こころ」監修とあるね。この店は東京を拠点にした台湾まぜそばのチェーン店。大阪の大国町にも支店がある。行ったこと無いけど…。
これはかなり旨かったような記憶がある。この時から既に2年くらい経ってるけど、台湾まぜそばって、ジャンルとして生き残れているのかな?2年って、ブームの目安だと思う。今年辺りが完全に定着するか消えてゆくかの正念場であり、分水嶺だろう。

そういえば、台湾で台湾まぜそばは食ってないなあ。見た記憶もない。はたして台湾には台湾まぜそばってあるのかね?料理名に国名や地方名がついてても現地に行ったら無いものって、意外とあるんだよね。例えばナボリには存在しないスパゲッティ・ナポリタンとかさ。もしかしたら台湾には台湾まぜそばなんか無くて、名古屋が発祥だったりして…。
台湾の台湾そばについて、一瞬調べかけたが、やめとく。考えてみれば、そんな事どっちでもいいからだ。

  
【ケンミン 四川風汁なし担々麺】

 
ケンミンといえば、焼ビーフンだが、こういうのも作ってるのね。

 

 
コレ、ちょっと思い出した。
台湾まぜそばの魚粉を1回分使い忘れたので、コレに掛けたんだったと思う。旨かったような気がする。

 
【マルちゃん 黒とんこつ】

 
豚骨ラーメンって、あんま食べないけど旨かった記憶あり。いや、あんま食べないからこそ、逆に覚えているのかもしれない。
豚骨ラーメンは嫌いじゃないけど、一度どっかのラーメン屋で食べたら物凄く獣臭かったので、それ以来敬遠しがちになった。豚骨ラーメンは麺が細いと云うのもある。ワタクシ、太麺派なのです。

 
【飛騨高山 鶏白湯ラーメン】

 
「スーパー玉出」で買ったものだ。
何でわかるのかというと、スーパー玉出でしか売っているのを見たことが無いからだ。値段も1袋100円くらいだったんじゃないかな?

 

 
排骨(パイコー)麺?
骨付きの豚肉とパクチーが乗ってるね。そこそこ旨かったんじゃないか?
毎度こんな感じの解説でスマン。

 

 
コレもどうやら「高山ラーメン」みたいだ。
高山ラーメンって、そこそこ有名だけど、どんなラーメンだったっけ?これといった特徴ってあったかな?あまり記憶に無いんだよね。醤油ベースで、縮れ麺だったような気がするけど、たいして旨くなかったと思う。一時期、しょっちゅう飛騨高山に行ってたのに、1、2回くらいしか食べてないということは、どって事ない御当地ラーメンだと判断したんだろうなあ…。

 
【麻婆豆腐ラーメン】

 
どうせ残りモノの麻婆豆腐をブッ掛けたんじゃろう。
家で作るラーメンなんて、何だって有りだ。好きに色々と実験すればよいと云うスタンスなのだ。
麻婆豆腐はオラが作ったものだから、コヤツはそこそこ旨かった筈。

 

 
麺はこれ又、スーパー玉出で売っているヤツだね。激安の麺で、30円くらい。値段に見合ったクオリティーの、どって事ない麺です。でもわりと食べる機会がある。何でかっていうと、スーパー玉出は千円以上の買い物をすると、このシリーズの麺が1円になる日があるのだ。そういう日に千円を越える買い物をした場合、つい買ってしまう。

 
【長崎ちゃんぽん】

 
長崎ちゃんぽんは大好き。
コレは間違いなく旨かったと思う。
具は茹で玉子に海老、イカ、豚肉、キャベツ、もやし、人参、絹さや、キクラゲってとこかな?麺もストレートの太麺。ちゃんと王道に則った長崎ちゃんぽんだね。麺はアタシのマイフェバリット麺だった筈。

 

 
「マルちゃん 極太中華麺」。
ワタクシのイチ押しの麺です。近所のスーパー、コーヨーで売ってる。たぶんイオングループの店なら何処でも売ってる筈。
自分でラーメンを作る時は、この麺が常に第一候補の選択。モチモチした食感が気に入っているのだ。

 
【わかめラーメン❓】

 
いや、違うな。
たぶんベースは若竹煮。それで思い出してきた。朝掘りの筍をイチから茹でて作った我ながら完璧の若竹煮だったから、それをベースにしたスープが不味いワケがない。それに麺は「マルちゃん 極太中華麺」だろう。旨かったのは間違いなかろう。

 
【❓】

 
コレも何だか分からぬ。
ぞんざいな盛りつけだから、残り物でテキトーにつくったに違いない。

 
【鱧の子ラーメン】

 
魚卵らしきものが乗っかってて、山椒が振られているので鱧の子で間違いなかろう。鱈子に山椒の組合せは、自分的には無いからだ。当然ベースは鱧だしだろうから、不味いワケがない筈。鱧の出汁は、旨みと上品さが具わった一級品の出汁だと思う。茹で汁を捨てるのは勿体ないだすよ。

 
【カレーラーメン❓】

 
全く記憶に無い。
次のもカレーラーメンっぽいな。
その時点で味云々を言えるワケないよね。

 

 
具はジャガイモにオクラ、キノコだから、間違いなくカレーラーメンじゃろう。カレーにはジャガイモがマストアイテムだが、オクラとの相性も抜群だ。たぶんそこそこ旨かったろう。だろう系のコメントばかりで疲れてきた。何だか情けないし、読んでる人に申し訳なくなってきたよ。

 

 
麺は焼きそばの麺を代用したみたいだね。これもスーパー玉出の激安麺ですな。

 

 
コイツもカレーラーメンだよな。
カレーラーメンは好きだが、イチから自分で作るという事は無い。そういう発想がそもそも無い。どうしてもカレーラーメンが食べたきゃ、外で食う。ということは、どう考えても家で作ったカレーライスのなれの果てである。
カレーは気分で作るから、決まった一定のレシピは無い。だから、メチャクチャ旨い時もあるが、今イチな時もある。きっと、この並んだカレーラーメンも甲乙があると思う。

 
【韓国冷麺】

 
「ポリ麺」って、何だ❓
スープの裏面を見ると、どうやら本場韓国のものみたいだね。でも買った記憶が皆無だ。こんなの何処で売ってたんだろ❓ポピュラーな所で売ってたら、少しは記憶にある筈だもんな。たぶん偶然入った店で、たまたま目に入って買ったんだろう。

でも本格的な冷麺で、旨かった事だけは覚えている。
冷麺は冷し中華よりも韓国冷麺の方が好き。あのゴムのような食感が好きなのだ。

 
【天天有のラーメン】

 
アイランド食品の銘店伝説シリーズだ。
現在も売ってるよね。

「天天有」は京都の有名店。鶏ガラ白湯の草分け的存在だ。このシリーズには同じ京都の有名店「新福菜館」もある。真っ黒なスープが有名だ。しかし、オイラは隣の「第一旭」派。新福菜館も嫌いじゃないが、同じ長さの行列なら、間違いなく第一旭を選ぶ。

コレもか❓⬇

 

 
記憶にございません。

 
【蟹かまラーメン】

 
コイツは記憶にある。
ナゼかっつーと、不味かったからだ。

蟹をゆがいたあとのエキス汁があったので、それを母体にして調整した。で、具は蟹本体は既に食って無いから蟹カマで代用したと云うワケだ。でも、これが合うと思いきや、まるで合わなかった。蟹カマと蟹は全く違うモノだと痛感した。かえって、紛(まが)い物感が際立ってしまうのである。

  
【未来亭のラーメン】

 
コレもアイランド食品の銘点伝説シリーズで、今でも見掛ける。
未来亭は滋賀を中心とした有名チェーン店だね。だが、一度も店に入った事は無い。
さっきスーパーに行ってきたので、ついでに確認したら、鶏だしベースの背脂チャッチャッ系で一味が入るのが特徴らしい。
しかし、全然味の記憶が無い。と云うことは、不味くはないという事だ。でも特別に旨いワケでもないということか❓
いや、待てよ。このシリーズって結構食べてるけど、期待していた程ではなかったという感想を思い出した。名店シリーズって、だいたいそんなもんだよね。唸るほど美味いなんてことは滅多にない。強いていえば、中では日清がそこそこ健闘しているのではないかなと思う。日清に今のところハズレなし。

全部で44杯か…。この数字が日本人が食う年間ラーメン数の平均を上回るのか、それとも下回るのか、はたまた平均なのかはワカラナイ。
でも、この数字には外で食ったラーメンの数は入ってないし、カップ麺の数も入れてないんだよね。

今回、解ったこと。

◆人間の記憶は曖昧である。

◆ワタクシはラーメンが好きだ。

 
                  おしまい

 
追伸
酷い終わり方である。明らかに投げ出した感がある。
そうそう面白い記事ばかりを書けるものではないのだ。

タイトルを決めた時点では、よほど各ラーメンを中国の幽霊や妖怪になぞらえてやろうかとも思ったが、あまりにもマニアック過ぎるのでやめた。だいち、中国の妖怪って何❓全然浮かばないよ。そもそも中国に幽霊や妖怪がいるのかね❓あっ、キョンシーがいるか。でも、他に何かいたっけ❓
ただでさえ、ラーメンと幽霊&妖怪というマニアックなカップリングで無理があるのに、そこに誰も知らないような幽霊やら妖怪を登場させるだなんて、いくらアチキがおバカさんでもダメだと解るよ。

携帯のストレージが溢れかけているので、画像を出来るだけ消したかった。ゆえに今後、和の麺やアジア系の麺も続々と紹介する予定でゲス。

 

昆虫スゴいぜ! お正月スペシャル

 
(出展 NHK Eテレ『昆虫スゴいぜ!』。以下、全部同番組より)

 
なんと、元旦から香川さんの「昆虫スゴいぜ!」が見られるとは思わなかった。しかも特番だぜ。この番組もかなり世間的に認識されつつあるよね。Eテレ、凄いぜ。こんなマニアックなジャンルを、よくぞここまで引っ張ってきてくれたなと思う。虫好きとしては、ただ、ただ、Eテレと香川さんには感謝だよ。
しかも、バカみたいに内容が面白い。教育番組というよりも、もう完全なバラエティだ。大物俳優だからこそ許されるがゆえの、その自由奔放なハチャメチャ振りが突き抜けている。誰も香川さんの熱き思いと暴走を止められないのが矢鱈と可笑しいのだ。

正直、虫好きには市民権が無い。誰も虫の事なんて詳しくは知らないし、興味も無い。それどころか忌み嫌われ、毛嫌いされる存在だ。だからこそ、尚さら照之は過剰なまでに奮闘するのである。今まで培ってきた俳優人生が瓦解しかねないその傾(かぶ)きっぷりと狂気に、香川さん大丈夫かあ?と時々心配せずにはおられないよ。

番組をやるキッカケは、2016年の春に放送されたTBSの『櫻井・有吉のTHE夜会』。
ここで、今後どう云う事をやりたいですか?云々的なことを訊かれた香川さんは、Eテレで昆虫番組をやりたいと答えて、突然火がついたように熱く語り出すのである。

 

 
『草むらを見るとムラムラする』

この番組、たまたま偶然に見てたんだけど、何を言い出すんだと思った。

 

 
芸能界では哀川翔が虫好きとして有名だけど、この時はまだ香川さんも虫好きだとは知らなかった。

 

 
そして、カマキリの着ぐるみでポーズを決める照之。
とはいえ、この着ぐるみは漫画チックで気に入らなかったんだよね。彼の求めるのはリアルなカマキリなのだ。香川さんは、そういう科学を無視した虫に対する世間の無知ぶりにも憤慨しておられるのだ。

右上のテロップを見ると、最初は『昆虫サンキュー』ってタイトルを予定してたんだね。
Eテレがタイトルを変更したのは正解だったと思う。虫屋(昆虫好きのことをそう呼ぶ)にとって、昆虫サンキューという気持ちは常に底辺にある。いつも色々と楽しませてくれて、虫さんたちアリガトねという気持ちだ。でも我々にとってはそんなの当たり前で、わざわざ前面に出してまで言うほどの事じゃない。しかも、そういった昆虫愛を一般人が理解できるとは思えない。
それよりも昆虫たちの多種多様な姿、形やその生態に驚かされ、心動かされる事の方が多い。何年経っても新たにビックリする事、しばしばなのである。ホントに虫たちはスゴいのである。だから虫好きにとって、昆虫スゴいぜ!の方が尊敬と畏敬の念が籠っているタイトルだと言えよう。

しかし、この段階では香川照之のただのおフザけだとばかり思っていた。NHKが民放の一番組の冗談まがいの問いかけを本気にするとは思えないし、たとえ作ることになったとしても香川本人が出演するとは考えられなかったからだ。演技派俳優として確固たる地位を築いている役者が、常時昆虫の被り物をしてTV番組に出演するだなんて普通では有り得ない。だいち本人がよくても、そんなの事務所が許さないだろう。
けど、たまたま番組を観てたNHKのディレクターが本気にしちゃってオファーをかけた。それも驚きだが、何と有ろうことか香川本人が快諾しちゃったのである。きっと事務所の人は反対しただろうなあ…。でも、照之が迸(ほとばし)る熱情をぶつけて強硬に押し通したんだろなあ…。相手がヘトヘトになるまで昆虫愛を語ったのが目に浮かぶよ。

そんな香川照之の『昆虫スゴいぜ!』のお正月スペシャルがコチラ。

 

 
番組冒頭は年頭の挨拶から始まるのだが、その前に左上から妙なオッサンの絵が出てきて、変な感じでびよんびよん動く。番組とは全く関係ないオッサンだと思うし、意味不明なのだが、コレでもう心をワシ掴みにされてしまった。

『皆さん、明けましておめでとうございます。香川照之です。』
厳かに始まったかと思いきや、即ワケのワカンナイ思いの丈を力強くブチまける香川先生。

『今年も虫を採って、採って。昆虫、昆虫、また昆虫。ずっと昆虫を採り続ける、昆虫スゴいぜ!の時間がやって参りましたあ。』

何か今年も凄い意気込みだぞ( ; ゜Д゜)

そして、今回のテーマの発表。
その場でマジックでサラサラと絵を書く照之。

 

 
平成最後の先生作。オオクワガタ。
どうやらクワガタムシの成虫が今回のターゲットらしい。
香川さん、けっこう絵が上手い。しかも描写が正確だ。そこが、彼が何ちゃって昆虫好きの人ではないことを証明している。ホンマもんの虫好きなのだ。

 

 
『さあ、何てつけましょうかね、名前を。』
って、クワガタに名前つけるんかぁーい❗❗

 

 
『平成の2文字を入れまして、平鍬 成(ひらくわ せい)。』

 

 
『こんにちわー、平鍬 成です。』

(;゜∀゜)えっ、平泉 成さんのモノマネですか❓
しかも結構似てる。笑てまうわ。

 

 
『平泉 成の弟です。』

Σ( ̄ロ ̄lll)弟なんかいっ❗❗

 

 
で、上の画像にアフレコが入る。平鍬 成は、俳優の平泉 成的な声で喋るんだそうである。
香川さん、のっけから思いっきりフザけてんなあ。しかも、ギンギンのノリノリだよ。

ここで漸くお決まりのオープニング曲が流れ始める。
昭和後半の名曲、クリキン(註1)の『大都会』だ。
もう堪んないよね、この選曲。一挙に期待値がハネ上がる。

 

 
遠くから走ってくる照之。
毎度のカット割り無し、長回しのワン・ショットだ。
先生、このワン・ショットにいたく拘っているのだ。映画人を自称する男の面目躍如だぜ。

で、やっとこさのタイトルコール。

 

 
魂の叫びで、タイトルを読み上げる(冒頭のポーズとってる写真がソレね)。
サブタイトルは『カマキリ先生 冬の森で初暴れ』。
今回も暴れるつもりなんだね、照之さん。

ここで『一富士、二鷹、三カマキリ❗』など、また戯れ言をのたまうが割愛。

えー、雑木林で朽木を割ってクワガタの成虫を探すのが今回のミッションでごわす。

 

 
でっかいカマキリがクワガタを探してると思ったら、不覚にもプッと吹き出してしまった。もう教育番組ではなく、完全にお笑い番組を見てる感覚だ。

斧を渡され、はしゃぐ先生。

 

 
コーエン兄弟だのベニチオ・デル・トロだの(註2)細かい小ネタもカマしてくる。

『すげー!かわいい!』

 

 
さっそくクワガタの幼虫発見。
バックのBGMは、クィーンの「Born to the love you」。(^_^;)苦笑い。でも、その選曲嫌いじゃない。

  

 
で、香川さん、スタッフに向かって言う。

 

 
『名前はわかっているだろうな。』

 

 
『おはようございます。冬眠から覚めた平小鍬 成です。ヨロシクお願いします。』

又しても声色を使っての平泉 成ネタである。ボケまくりやがな。
だが、すかさずスタッフに、今回は幼虫じゃなくて成虫がターゲットですよね云々とツッコまれる照之。

ここで、ナゼに香川先生が成虫に拘るのかということで、未公開シーンが挿入される。

 

 
先生がホワイトボードを使って、虫の講義をするというコーナーである。題字も香川さん作で、文字の先が跗節(甲虫等の爪先部分の節のこと)になっているところが何とも心憎い。

それにしても、サブタイトルが「クワガタと人生」って…(笑)。
これは初回の「トノサマバッタ」の回の時に収録したものみたいだが、永らく倉庫に眠っていたという。講義が長すぎて到底おさまりきらずに、全部カットになったらしい。

 

 
自説を熱く語る照之。クワガタの人生は「人間の生き方に通底する」とおっしゃる。
オオクワガタやコクワガタなど横から見ると角が平べったいクワガタは越冬するが、ノコギリクワガタやミヤマクワガタなどの湾曲した角を持つものは越冬できないという指摘だ。香川さん、中々鋭い。
そして、そこから論理が飛躍する。ノコギリクワガタやミヤマクワガタは樹液やメスを争って激しく闘うが、オオクワガタやコクワガタは比較的おとなしい。それが両者の寿命の長短の原因であると、センセは考えた。ゆえに、オオクワやコクワ達のように体力を温存して生きようではないかというところに繋がり、そこが人間の生き方にも通底するというワケである。ようするにセンセは、謙虚な生き方をすることが、長生きにつながると言いたいワケだね。

映像が流れ終えたあと、スタッフに文句を言う照之。

 

 
『今、やっとお目見えだよ。どんだけ待ったか。クワガタは越冬してもいいけど、俺のコーナーは越冬させる必要はないんだよ。』
笑いのジャブを繰り出してくる。

再びコクワの幼虫、発見。

 

 
『まぶしいよ 助けてくれよ~』

懲りずに又も平泉 成のモノマネをカマしてくる。コッチも又、性懲りもなく笑ってしまう。

しかし、この後探しまくるも成虫は見つからない。次第に壊れてゆく照之。
形が似てるからって、ついに割った朽木を持ってニッコリ笑い、クワガタだと言い始める始末。

 

 
そして次の瞬間、死んだ目のモノ凄い不機嫌な形相になる。

 

 
あらあら、完全に心が折れちゃったよ、香川さん。
その豹変振りに笑ったね。さすが名優である。 

結局、幼虫は出てきても成虫はオオクワガタどころかコクワガタ一匹さえ出てこなかった。

ハッキリ言って香川さんは知識は豊富だけども、今のところ虫捕りは下手ッピーだ。でも、そこが逆に面白い。必死なところが笑えるんであって、ものすごく上手かったりなんかしたら興ざめだ。それに、中々捕まえられないから昆虫採集は難しくて面白いのである。そこが視聴者に伝わらなくては、昆虫採集復権の啓蒙活動にはならない。たかが虫、されど虫なのだ。
因みに、香川さんの事を今のところ下手と書いたのは、将来的には上手くなる可能性はあるって事ね。なぜなら、情熱があって頭が良い人だからである。何たって香川さんは東大卒なのだ。長くなるから詳しくは書かないけど、頭を使わないと虫は採れない。知識と経験、工夫に勘。気力に体力、運動神経に判断力etc…。虫採りには、ありとあらゆる能力が必要とされるのである。

ロケはまだまだ終わらない。

 

 
あとはスタジオ収録すればいい内容なのに、ナゼか番組は野外で続く。
その他のお題は、こだわりタイトルコール、ガチがうんだ奇跡、ばっさりカット未公開、カマキリ先生からのクレーム、昆虫2ショット、捕獲ウラ話、実験ウラ話、2019 カマキリ準備中と盛りだくさんだ。

先ずは実験ウラ話。

実験とは、照之自らの肉体を使って昆虫の能力を検証するというコーナーである。
1回目はトノサマバッタだったが、ムチャクチャ面白いので、次回、稿を改めて書きます。

2回目はモンシロチョウ。

 

 
4mの羽を身につけて羽ばたこうとするも、パワーが全然足んないし、風の抵抗が大きくて羽を全く動かせなかった。宙吊りにされたまま、照之は『ちょうちょ、スゴいぜ!』と叫ぶのであった。

3回目はオニヤンマ。

 

 
『エイドリアーン❗』

もちろんBGMは『ロッキー』だ。
ヤンマは空中で飛んでくる獲物を捕らえるという事で、又してもクレーンで宙吊りにされ、バンバンに打ち込まれるバレーボールをキャッチすると云う実験だ。さんざんぱらボールを打ち込まれて、やっとキャッチしてのエイドリアーン❗なのである。

4回目はクマバチ。

 

 
クマバチは1秒間に304回も羽を羽ばたかせるらしい。だからこそ、ホバリングできるんだね。しかし、センセは1秒間に3回のみ。やっぱ、昆虫スゴいぜ。

で、一番最近の5回目がハンミョウ。

 

 
ハンミョウはメチャンコ走るのが速い。1秒間に13回も手足を動かして走るそうである。
センセはその秘密を足の長さにあると睨んだ。だからがゆえの竹馬。でも、丸っきしダメ。そんなもん、小学生でも解るわい!と思うのだが、お笑い番組なんだから、それでいいのである。

続けて未公開のニホンミツバチの熱殺蜂球もあったのだが、期待したのに熱湯風呂に落ちなかったので割愛。

因みに、この実験も含めて撮影は4日間もかけているらしい。香川さんが喋りまくりだから、未公開の映像も増えるワケだ。

 

 
お次は「こだわりのタイトルコール」だが、既に言及しているので割愛して、「ガチがうんだ奇跡」のコーナー。
マレーシアで、最悪だった天気予報が奇跡的にハズレてロケができたという話。

 

 
また、奇跡的にプロの昆虫ハンターの爺さんにも会えたという話で盛り上がる。放送当時は、どうせヤラセで仕込んでんだろうなと思っていたが、そうではないらしい。爺さんに会ったのは本当に偶然だったようだ。
この爺さんには4年前と8年前に会っている。小さなビニール袋を網がわりに竿の先に付けて虫採りをするんだけど、そんな粗末な道具なのに信じられないくらいにメチャクチャ虫採りが上手いんだよね。

(・。・;ん❗❓、ちょっと待てよ。コレって、爺さんの網が普通の網になってないかい❓

 

 
別の画像で確認してみたら、ありゃま(;・ω・)、やっぱり普通の網になってるぞ。この何年間で、爺さんにいったい何が起こったのだ❓誰かがプレゼントしたのかなあ❓そういえば爺さん、60年間ずうっと虫採りをしてると言ってたなあ…。ならば普通の網にチェンジする機会はいくらでもあった筈だ。どんな心境の変化があったのだろう❓いずれにせよ、きっと匠の虫ゲット率が益々上がってるに違いないね。

爺さんは、結構いい人です。自分はガイドは誰も雇ったことはないけど、頼むならこの爺さんがお薦めかな。他はガイド料をフッ掛けてきたり、口ばっかで全然虫を見つけられないとか胡散臭い奴が多いとよく聞く。自分もそういう印象を持っている。

そして、「こだわりの2ショット」のコーナー。
ここで再び照之の狂気が噴き出す。

深夜午前0時から5時の放送休止の時間帯に、自分の撮った貴重な昆虫ツーショット写真を流し続けろという無茶な事を要求しだした。でも、コイツら貴重って程のもんでもないんだよね(笑)。

 

 
ゴジラVSメカゴジラになぞらえての力説である。
論理の正当性をドえらいとっから引っ張ってくるなあ。

  

 
オープニングはオニヤンマだ。

 

 
そしてギンヤンマの画像へと移り。

 

 
次にラジャ・ブルック。マレーシアの国蝶、アカエリトリバネアゲハだ。

この順番で映像を流し、フイニッシュはこのお二方で締めることを要望。

 

 
そう、叶姉妹さまである。
センセ自らが二人の撮影に赴くという気合いの入れようだ。

 

 
見たいなあ、香川さんが叶姉妹を撮影してるとこ。けっこうスゴい絵になりそうだ。o(^o^)oワクワクするよ。コレ、マジで実現してくんないかなあ。
視聴率をバッチリとれると豪語してる事だし、NHKさん、流してあげたら❓

ここで再び「バッサリ未公開」のコーナー。

 

 
どうやら視聴者の質問コーナーみたい。
そういえば、茶色カマキリのヴァージョンもあったんだよね。

 

 
先生は、好きな昆虫は何ですか?の問いにエンジンがかかる。

そこで少年の頃の1975年と現在の2018年のベストスリーを発表すると宣言。
しかし、勢いで4番目を書こうとしたところで、スタッフに『あれっ?、ベストスリーでは?』とツッコまれる。

 

 
『10位くらいまで書くつもりではいるんだけどね※◆☆#£グジュグジュグジュ…』

と口を尖らせる香川先生。
これで照之の暴走にスイッチが入った。

2018年のベスト5は以下のとおり。

 

 
ベスト3のカマキリ、オニヤンマ、クマゼミは解る。カマキリは一番好きだと公言しているし、オニヤンマとクマゼミは以前にボディーが黒くてデカイから好きだと言ってたから、これも解る。だが、モンキアゲハとキリギリスが今一つ理解に苦しむ。

キリギリスは和の風情があるからだそうだ。たしかに鳴き声は雅(みやび)だから和に通ずるところはある。
問題はモンキアゲハである。羽がキレイだからと云うのが理由らしいが、モンキアゲハはアゲハの中では取り立てて綺麗な部類じゃない。クマゼミとかオニヤンマとか黒いのが好きだとおっしゃていたから、それだからかな❓モンキアゲハも基本的には黒いもんね。
💡そっか、ひらめいた。それにクマゼミにしろモンキアゲハにしろ、昔は関東には殆んどいなかったからじゃないか❓おまけにどちらも日本ではそのグループの最大種であり、デカイ。謂わばモンキアゲハも憧れの昆虫だったのではないかな❓それが根底にあるのかもしれない。
もっとも最近は地球温暖化の影響で、モンキアゲハもクマゼミも関東でも見られるようになったらしいけどさ。その辺のことを、まだ香川さんは知らないんだろね。

1975年、当時10歳の時のベスト5は以下のとおり。

1位 カマキリ

2位 エゾゼミ

3位 クマゼミ

4位 ミヤマクワガタ

5位 タマムシ

 
この辺は子供に人気ありそうで解りやすい。
しかし、たぶんエゾゼミを知っている人はそう多くはないだろう。ものごっつスタイリッシュでカッコいいセミで、香川さんもこのセミについては熱く語っていた。自分も、このセミには最大級に憧れていた。なのに一般的に知られていないのは、あまり人の目にふれる事のないセミだからなのだ。山地性で、そこそこ高い山にいる。しかも木の高いところで鳴いていることが多い。おまけに何処で鳴いているのかが、よくワカンナイ。音の出所が特定しにくいのだ。必死に目を凝らしてもナゼか見つけられない。

 

 
何か色が悪いね。赤っぽいからアカエゾゼミかと思ったよ。実物はもっと黄色っぽくてカッコイイです。

これで終わりかと思いきや、暴走機関車はまだ止まらない。あろうことか2040年のベスト5まで予想しだした。20年先とは、もう無茶苦茶である。意味が全然ワカラナイ。

 

 
でも内容はカットされていた。きっと長いからだ。このベストスリーの件(くだり)だけで、何と40分も喋っていたそうである。

ホワイトボードを見る限り、次の5つが選出されていたようだ。

1位 タマムシ

2位 モルフォチョウ

3位 アカエリトリバネアゲハ

4位 オウゴンオニクワガタ

5位 ケンランカマキリ

 
何とカマキリが1位から陥落してる。
でも、5位に外国のカマキリが入っている。外人の姉ちゃんに浮気ですか?、香川しゃん。
因みにモルフォチョウは南米にいる世界屈指の美麗蝶。オウゴンオニクワガタは黄金色のクワガタで、ケンランカマキリは豪華絢爛な色鮮やかなカマキリだ。これってもしかしたら、香川さんのもう一回マレーシアに連れてけっていうアピールなんじゃないか❓
オウゴンオニもケンランカマキリもアカエリもマレーシアにいる。あのロケ地の場所にもいる。タマムシだって日本のタマムシじゃなくて、東南アジアにいるもっと大型でキラキラした奴かもしれぬ。おまけに大物コーカサスカブトだって生息している。考えてみれば、あの時は雨季でロクな虫が見つからなかったのである。リベンジの画策は有り得なくはない。だとしたら香川さん、かなり頭脳的プレーである。

最後は「2019 カマキリ準備中」のコーナー。

何やらスタッフにカマキリを大量に捕獲させて飼育しているらしい。内容は明らかにされてないけど、どうやらカマキリの或る生態を確かめたいようだ。これが次回の放送になるのかな❓

番組は、ここで終了。

 
とにかく今回も笑わせて戴きました。
でも実を云うと、初回が一番面白かったんだよね。それはもう衝撃的だった。
そうだ、最後に一応今まで放送された各回のテーマを並べておこう。コレを見て、どうしても視聴したい人は、NHKオンデマンドとかで見られるんじゃないかな。

 
1時限目 トノサマバッタ
2時限目 モンシロチョウ
特別編  出動!タガメ捜査一課(タガメ)
3時限目 オニヤンマ
特別編  カマキリ先生☆マレーシアへ行く
4時限目 クマバチ
特別編  実録!完全変態(カブトムシ・オオムラサキ)
5時限目 ハンミョウ

 
もう5時限目かあ…。
Σ( ̄ロ ̄lll)えーっ、ってことは、もしかして次の6時限目で番組終了❗❓
学校の授業は6時限目までだもんね。有り得るなあ…。やだなー、それ。タマムシとかミヤマカラスアゲハとかダイコクコガネとか取り上げるべき昆虫がまだいるでしょがあ❗❗
でも香川さん、ボクシングマニアでもあるんだよな。
今度は『ボクシング凄いぜ!』とかいうマニアックなボクシング技術を解説する新番組になったりして…。

 
                 おしまい

 
追伸
残念ながら「捕獲ウラ話」と「カマキリ先生からのクレーム」はカットのようです。近い将来、そのうち未公開映像として放送されることを祈りましょう。

この文章は、正月の二日にざあーっと下書きを書いた。その時点では長い文章になる予定ではなかった。しかし、本格的に手を入れてるうちにどんどん長くなり、イヤになって一度頓挫。再び気をとり直して何とか書き終えたのがこの稿である。でも結局、当初の5倍以上の長さになってしまったなりよ。正直、ウンザリだ。酒をしこたま飲んでる時に文章を書き始めるとロクな事がない。
でも続編を書くと宣言したから、書く予定です。だって、初回のトノサマバッタ編が一番面白いんだもん。

(註1)クリキン
クリスタルキングの事。1970年代後半から80年代にかけて活躍したツインボーカルのバンド。『大都会(1979年)』『蜃気楼(1980年)』、アニメ「北斗の拳」の主題歌『愛をとり戻せ!!(1984年)』などのヒット曲がある。

(註2)コーエン兄弟だのベニチオ・デル・トロだの
アメリカの兄弟映画監督と俳優。コーエン兄弟の映画で、斧といえば『フィーゴ』かなあ…。観てないけど『バスターのバラード』も斧が出てくるみたいだ。この正月スペシャルの撮影時期を考えると、香川さんが後者の映画に影響された可能性の方が高い。
デル・トロと斧との関係性はよくワカラナイ。香川さん的には如何にも持っていそうだからと名前を出したのかなあ…。因みにデル・トロはコーエン兄弟の映画に出演したことは無いそうだ。意外だね。

 

台湾の蝶19『水色のさざ波』

 
台湾の蝶19 タイワンサザナミシジミ

 
シジミチョウの第2弾は、タイワンサザナミシジミ(台湾漣小灰蝶)。
カレンコウシジミと同じく美麗種揃いのTajuria属に含まれる稀種だ。

 
【Tajuria illurgis タイワンサザナミシジミ♀】
(2017.7.1 南投県仁愛郷 alt.1900m)

 
【同♀】
(2016.7.11 南投県仁愛郷 alt.1900m)

 
あちゃー、♂の画像は撮っていないようだ。
たぶん日陰の無い炎天下に長い間いたからだろう。南国の直射日光は強烈だ。殺人的と言ってもよい。晒され続けていると、思考も弛緩。色んな事が面倒くさくなり、ぞんざいにもなる。皆さん、クソ暑いところでの採集には気を付けましょう。って、(#`皿´)タアーッ❗そんなこたあ、別に言いたかったワケではない。本当は展翅写真があるから、まっ、いっかと言いたかっただけだ。何か、のっけからスベりがちであるが、気を取り直して話を進めよう。

 
【Tajuria illurgis ♂】

 
上翅を上げ過ぎた。50点ってところだな。

 
【Tajuria illurgis ♀】

 
♀の方が全体的に白っぽくて、翅形が丸みを帯びるので雌雄の区別は比較的簡単。但し、♂はクロボシルリシジミの♀に似ているので注意が必要である。

和名タイワンサザナミシジミは、裏面の特徴から名付けられたのだろう。

 
【裏面】

 
ん~、ちょっと分かりづらいか❓
他から画像をお借りしよう。

 
(出典『臺灣生命百科事典』)

 
(出典『アジア産蝶類生活史図鑑』)

 
たぶん、下翅の線がさざ波をうったかのように見えるからだろう。
サザナミと云う和名は雅(みやび)で悪くない。しかし、タイワンと云うのが邪魔だ。最初に台湾で発見されたワケではないし、ヒマラヤ方面にもいるから台湾の固有種と云うワケでもない。この和名だと台湾固有種だと云う誤解を生じさせかねないし、タイワンはいらないだろう。単に「サザナミシジミ」とするか、「ミズイロサザナミシジミ」等の方が良いと思うんだけどね。

 
【英名及び台湾名】

英名は、二つあるようだ。

◆The white Royal
◆The double-spot Royal

前者は翅表の特徴からで、後者は裏面由来だろう。
ダブルスポットというのは、並んだ二つの点の事を指しての命名かと思われる。

台湾名は漣紋青灰蝶。
他に淡藍雙尾灰蝶、漣紋小灰蝶、臺灣漣小灰蝶、臺灣漣漪小灰蝶、漣灰蝶の呼び名がある。

  
【学名】Tajuria illurgis(Hewitson,1869)

白水先生は『原色台湾蝶類大図鑑』で、♂交尾器の形態の違いによりTajuria属とは別属とし、新たにCophanta illurgisの名を与えたが、現在はシノニム(同物異名)とされ、使用されない。
他に以下のような記載があるが、何れもシノニムになっている。

◆Iolaus illurgis(Hewitson,1869)
◆Pratapa illurgis(荒木,1949)

 
小種名の「illurgis」の語源は不詳。平嶋義宏氏の『蝶の学名-その語源と解説-』にも載っていなかった。一応ググってみたが、らしきものにはヒットせず。
参考までに言っておくと、「illu」には光ると云う意味があった(illusion イリュージョンに通づる語のようだ)。「rgis」はそのものの言葉は見つからなかったが、「rex rgis 」という言葉がラテン語にあり、王を表すようだ。他に「regina(女王)」などもあり、illuとrginsを組み合わせたものかもしれない。『光の王(女王)』ならば、物凄くカッコイイ学名だよなあ。

台湾の亜種名「tattaka」は、1941年に台湾中部の立鷹(霧社)で発見された1♀によって記載された事に起因すると思われる。

 
【分布と亜種】

(出典『アジア産蝶類生活史図鑑』)

 
カレンコウシジミとよく似た飛び離れた分布をしている。但し、ジャワ島やスマトラ島には分布しないようだ。前回にも言ったが、どうしてこんな変わった分布をしているのだろう❓広域の空白地帯がある理由がワカラン。

 
現在、以下の2亜種に分けられている。

◆Tajuria illurgis illurgis(原名亜種)
ブータン、アッサム、インドシナ半島北部、雲南省

◆Tajuria illurgis tattaka
台湾中部

原名亜種は、台湾亜種とは印象がかなり異なる。
ちょっと画像が今イチだが、こんなん⬇

 

    (2点共 出典『Wikipedia 』)

 

(2点共 出典『yutaka.it-n.jp』)

 
何れも♂であるが、青白色の紋が著しく減退しており、一見すると別種っぽいくらいに違う。
裏面も違った印象だ。黒点が目立ち、これならダブルスポットと云う英名も納得できる。
それにしても、探してもまともな画像が出てこない。ネットから拾えないのは、きっと原名亜種もかなりの稀種なんだろな。

杉坂美典さんのブログ『台湾の蝶』によると、中国のでも見つかっているようだ。西蔵區(チベット自治区)と台湾対岸の福建省に分布しており、西蔵區に分布しているものはssp.illurgis illurgis(原名亜種)で,福建省に分布しているものは台湾と同じ亜種(ssp.tataka)だそうである。

 
【生態】
前翅長19~21㎜。
台湾においては中部の山地帯、標高600~3000mの常緑広葉樹林周辺に見られる。
成虫は3月下旬~11月上旬まで見られ、年数回発生するが、主に見られるのは4~8月、特に5月下旬から7月上旬に出会える可能性が高い。とはいえ、個体数は何処でも少ないらしいから、探す人は会えればラッキー程度に思っていた方がいいかもしれない。
♂♀共に花に吸蜜に訪れ、♂は湿地に吸水に集まる。
タイワンソクズの花と照葉樹の白黄色の花で吸蜜しているのを見た。たぶん白っぽくて小さな花が集合したようなものを好むのだろう。

杉坂美典さんのブログには、次のような記述があった。

「非常に速く飛ぶ。早朝や日中は,ほとんど活動せず,♂は,夕方の3時半頃から活動を始め,4時半頃まで活発に占有行動をする様子を観察することができた。」

占有行動は見た事はないが、採集したのは何れも4時前後以降なので、その時間帯辺りから活動するのだろう。飛翔は速いと云うが、たぶん占有行動時のことを指しておられるのだろう。自分の見た範囲では、特に速く飛ぶといったような姿は見受けられなかった。但し、それなりに敏感。近づくと、だいたい網を振る前に飛び立った。とは云うものの、すぐ近くの葉や花にとまる。

成虫が記録されている産地は仁愛郷眉渓、阿里山、八仙山、マレッパ、谷関、碧緑神木など。

参考までに言っとくと、旧ブログに2016年の採集記があります(発作的台湾蝶紀行32『(-“”-;)ヤッチマッタナ❗』)。
前半部と最後の解説部分に登場しますんで、よろしければ併せて読んで下され(リンク先は記事の最後の方に貼り付けておきます)。
 
(・。・;あらあら、一応確認のために再読してみると、朝9時くらいに採れとるやないけー。朝や日中は活動しないと聞いていたが、朝も活動するのね。
記憶というものは概して曖昧なものだ。採ったのは夕方近くだとばかり思い込んでいたが、2017年の記憶とゴッチャになったのかもしれぬ。
思うに、生態について書かれたものをそのまま鵜呑みしてはならないね。同じ蝶でもそれぞれの地方や標高によって生態が変わるケースも珠にある。書く人によって観察視点も違うだろう。思い込みが強すぎると視野が狭くなりかちだ。気をつけよっと。

 
【幼虫の食餌植物】
台湾においてはTaxillus nigrans ニンドウバノヤドリギが知られており、他に以下のようなものが記録されている。

木蘭桑寄生 Scurrula limprichtii
大葉桑寄生 Scurrula liquidambaricolus
忍冬葉桑寄生 Taxillus lonicerifolius lonicerifolius
杜鵑桑寄生 Taxillus rhododendricolius
李棟山桑寄生 Taxillus ritozanensis
蓮華池寄生 Taxillus tsaii

 
【卵】
(出典 内田春雄『常夏の島フォルモサは招く』)

 
卵の写真は「アジア産蝶類生活史図鑑」にも載っていなかったし、ネットで検索しても画像が見つからなかった。知る限り卵の画像はこの内田さんの著書のみ。
内田さんは台湾の蝶の幼生期の解明に多大なる功績を残された。このタイワンサザナミシジミの幼生期を最初に解明したのもたぶん氏だと思われる。
Tajuria属の卵もゼフィルスみたいに種によってデザインが違うんだろうが、素人にはワカラン。スンマセン。詳しくは解説できましぇん。

 
【終齢幼虫】
(出典『アジア産蝶類生活史図鑑』)

(出典『常夏の島フォルモサは招く』)

 
何れも上からと横からの写真だ。
「アジア産蝶類生活史図鑑」によると、越冬態は幼虫で、齢数は一定ではないが4月頃になると終齢幼虫と蛹だけが見られるという。

コレまたボコボコで変な形だ。怪獣みたい。
他の同属が平滑なので、白水先生が別属としたのはもしかしたら正解なのかもしれない。遺伝子解析とかは、もう済んでいるのかな❓もしまだなら、分類が変わる可能性はあるかもね。
色も地味だ。これは食樹の色に準じているのではないかと、内田春雄先生が『常夏の島フォルモサは招く』の中で推察されている。カレンコウシジミの食樹カオヤドリギは緑色だが、タイワンサザナミの食樹ニンドウバノヤドリギは茶色っぽいらしい。また、内田さんの言によると、幼虫は若齢の時は花芽(蕾)を食し、3齢になってから漸く葉を食べ始めるという。

 
【蛹】
   (出典『臺灣生命大百科』)

(出典『常夏の島フォルモサは招く』)

 
カレンコウシジミもそうだったが、垂蛹の形をとる。
コレまた色が地味だし、形も素人目には特異と云う程の特徴はない。

 
タイワンサザナミシジミも真面目に探した事はない。
他の蝶を狙ってる時に偶然採れるって感じだ。でも何となく採り方は解ったような気がする。次回、台湾を訪れる時はタコ採りしてやろうかと思っている。稀種と云うが、採り方さえ判れば結構採れるんじゃないかと思う。
でも沢山採っちゃえば、美人もその辺のブスと同じになる。やっぱ、このままでいいや。自身の中で、タイワンサザナミシジミは永遠の美蝶の儘でいい。
 
                  おしまい

 
追伸
アメブロの採集記のリンク先を貼っておきます。

発作的台湾蝶紀行32『(-“”-;)ヤッチマッタナ❗』
https://www.google.com/amp/s/gamp.ameblo.jp/iga72/entry-12199315255.html?source=images

 

2019年 正月の献立 三日目

 
いよいよ三が日の献立シリーズもお終いである。
今回は昼と夜とを分けずに一挙にいく。書き飽きたというのもあるが、昼間っから夜中までダラダラ飲み続けてもいたのである。

 
【鯛のちらし寿司】

 
正月2日目の大トロちらし寿司に続いての豪華ちらし寿司である。そして、遅ればせながらいよいよ縁起物の王者、鯛様の登場である。
とはいえ、満を持しての真打ち登場ってワケではない。鯛の登場が遅れたのには理由がある。
正月の鯛といえば、めでたいに掛けた尾頭付きの『にらみ鯛』が筆頭だが、御祝儀相場か何だか知んないけど、値段がバカ高くて手が出なかったのである。だったら、自分で焼いてやろうじゃないかと思ったが、肝腎の生の尾頭付きの鯛が全く売ってない。そりゃそうだわな。最も需要のあるこの時期、みんな既に焼かれとるわ。
そんなワケで3日目にして値段が落ち着いてきた柵の刺身を購入。柳刃庖丁で削ぎ切りにする。
昨日は岩下の新生姜を使ったアグレッシブな酢めしだったが、今回は普通の酢めし。錦糸玉子をつくり、酢飯の上をおおって、鯛を乗っける。で、白ゴマと貝割れを散らして出来上がり。器は大トロちらしと同じく古伊万里。
我ながら夢のように美しいね。そして、勿論のこと誠に美味い。

そして、酒バカの一日が始まる。

 
【紅白なます柚子ヴァージョン】

 
正月に登場した紅白なますに柚子を加えてみた。
味が劇的に変わるのに自分でも驚く。香りが加わると全然別物になる。柚子って個性強いわ。慌てて少し間引く。柚子の量は控えめがよろし。

 
【祝い三色蒲鉾】

 
正月になると、蒲鉾が大量に出回る。しかも、突然高級化してバカ高くなる。普段は百円から二百円くらいなのに、そいつらは何処かに幽閉され、仰々しいのが出てきてズラリと並ぶ。値段は下は四百円くらいから、高いのになると千円を越えてくる。あたしゃ、ここにカマボコ業界の陰謀と闇を感じるね。
写真の蒲鉾は漸く探し出した¥198の三色蒲鉾。紅白の蒲鉾とどちらにするか迷ったが、より目出度そうなので三色を選んだ。
紅白などの蒲鉾が正月の縁起物に使われるのは、半月の形が元旦の日の出を表しているからである。何で紅白が縁起物として喜ばれるかというと、赤は目出度いとか慶びを表し、魔除けの意味も籠められている。一方、白は神聖や清浄を表していると言われている。
緑は、たぶん「芽吹き」の意味だろう。つまり春の訪れを表しているんだね。

食べ方は板ワサと同じ。醤油にワサビを溶いて戴く。
正月であろうと何であろうと、カマボコはカマボコ。味は同じである。

 
【手綱こんにゃく】

 
結び蒟蒻とも呼ばれる縁起物。
手綱は馬を御するもので「手綱を締める」などに使われるように心を引き締めるとか、今一度結束力を確かめるといった意味あいで用いられる。つまり武運長久の願いが籠められている。また結び目のある事から、縁をとりなす意味もある。結び蒟蒻も同じ意味で、縁を結ぶといったところだろうか。
短冊に切った蒟蒻の真ん中にスリットを入れ、そのスリットに片方の端を捩じ込んだらこんな形になる。
あとは唐辛子を入れて甘辛く炊けばよろし。

 
【大根の皮の漬け物】

 
これはおでんを作った時に厚めに向いた皮と茎の部分を混ぜて作った自家製。大根は捨てる所が無いのである。勿体ないの精神は大切というオイラ風の縁起物ってとこかな。
ビニール袋に材料と塩、昆布の顆粒だしの素を入れて揉み揉みするだけ。お好みで鷹の爪とかレモン汁なんかを入れてもよし。
30分後くらいから食べられるが、一晩くらいおいた方がベターだす。

 
【サル海老の塩茹で】

 
サル海老には多くの地方名があり、関西ではジャコエビ、またはトビアラと呼ばれる事が多い。
サル海老にしてはかなり大きめで、値段は三百円くらいだった。元旦はムキエビなんぞで誤魔化したと云うのもあるから、迷わず買った。

キョエッΣ(゜Д゜)❗❗(゜ロ゜ノ)ノ
ラップを破ったら、海老どもが勢いよく飛び出してきて、そこいらでピョンピョン跳ね上がり、メチャメチャびっくりした。まさか生きているとは思わなかったから、相当驚いたよ。

申しワケないと思いつつ、グラグラと煮え立つ塩入りの熱湯に生きたままザバーッとブチ込む。
Ψ( ̄∇ ̄)Ψケケケケ、お主も悪よのぉー、残酷海老殺地獄の釜ぐらじゃよ。
20~30秒ほど茹でて、火を切り余熱で火を通す。

海老は髭が長くて腰が曲がるので、長寿を祈願した縁起物である。腰が曲がるまで長生きしてねと云う意味が籠められている。

まだほんのりと温もりが残るうちに、それを手掴みでワッシ、ワッシと食う。
(⌒‐⌒)甘みがあって美味い。
この海老を食うと、必ずイスタンブールのガラタ橋のことを思い出す。夕暮れになると、どこのレストランのテーブルもこの海老を山積みにした皿だらけになってたっけ…。秋のイスタンブールの少し冷んやりとした空気が懐かしい。

 
【塩煎り零余子(むかご)】

 
零余子とは山芋の茎が肥大化した肉芽のことだ。種みたいなもので、土に植えると芽が出る。縁起物とされるのは、その辺りに理由があると思われる。
旬は10~11月だが、存在は忘れてて冷蔵庫の底で眠っておったのである。
一瞬、むかご御飯にでもしようかと思ったのだが、塩と少量の胡麻油とで煎ることにした。
(^_^)乙である。渋い大人の酒のツマミは、こうでなくちゃいかんね。

 
【霜降り帆立て貝】

 
ここまでビールで喉を潤し、冷酒、焼酎と進んできたが、この辺りからワインに突入。縁起物もへったくれもなくなってくる。

帆立て貝は、サッと熱湯に潜らせる(有れば酒の方が臭みがとれていいかも)。
狙いはある程度火を通すことによって、帆立の甘みを引き出すためである。
食べる時は塩でも柚子胡椒でも山葵醤油でもよろし。だが、今回はハラペーニョ醤油で食した。ハラペーニョ醤油とは、激辛青唐辛子であるハラペーニョを刻んで醤油に漬け込んだものである。これがピリリとエッジが効いてて嵌まるんである。

 
【白葱のコンソメ煮】

 
網で白葱を焦げ目がつくまで焼き、コンソメスープでトロトロになるまで炊いたもの。
これがシンプルだが意外な程に旨い。白ワインにも合う。葱の甘みが際立つのだ。

 
【ボローニャ・ソーセージ】

 
ぶっといソーセージであるボローニャ・ソーセージを薄切りにしたものだ。よくビア・ソーセージなんて名前でも売っている。とはいえ、まあ酒なら何にだって合うツマミだ。黒胡椒を挽いてやると、エッジが立ってより旨くなる。

 
【モルタデッラ】

 
モルタデッラとは、イタリア・ボローニャ地方伝統のハムの事である。
あれっ?、それってさっきのボローニャ・ソーセージと同じボローニャがついてんじゃん!どう違うの?と訝る向きもあるだろう。
えー、モルタデッラはボローニャ・ソーセージの事です。つまり呼び方が違うだけで、基本的にはどっちも同じボローニャ・ソーセージなのだ。
だが、日本で売られているボローニャ・ソーセージとイタリア本国のものとは製法が違う。日本のものは、基本的に肉の練りが少ないらしい。だから、イタリアに近い製法で作ったものを、あえてモルタデッラと呼んでいるのだろう。断面を見れば、その辺は理解してもらえるだろう。全然違うもんね。
イタリア本国でモルタデッラを食った事はないが、輸入物や日本でモルタデッラと称しているものは、だいたい中にピスタチオだのパプリカだのグリーンペッパーだのが入っている事が多い。これがもう別物と言ってもいい代物で、味が全然違う。勿論、モルタデッラの方が美味い。舌に感じる滑らかさに雲泥の差があるのだ。
最近、気に入ってるのは大山ハムのモルタデッラ。
イオンとかでも売ってるから、値引きしている時などはつい買ってしまう。白ワインにピッタリなのだ。

 

 
特徴はチーズが入ってること。
本当はグリーンペッパーとピスタチオが入っているのが一番好きなのだが、コレはコレで別な旨さがある。

 

 
最後の方は数の子をチビチビ齧じりながら、再び焼酎を飲んでいた。結局、正月料理の中で一等美味いと思うのは、この数の子様だなと呟く。
外に目を遣ろうとすると、窓にはベッタリと結露が貼り付いていた。
今年の正月も、やっぱり酒浸りの日々だった。

 
                 おしまい

 

台湾の蝶18 カレンコウシジミ

 
  第18話『青空色のスキッパー』

 
【カレンコウシジミ ♀】

(2017.6.29 南投県仁愛郷 標高1900m)

 
(同♂)
(2017.7.2 南投県仁愛郷 標高1900m)

 
色が違うので、雌雄の区別は容易だ。
この個体はボロだから分からないが、新鮮なものは金属光沢があるらしい。

 
【裏面 ♂】
(2017.7.2 南投県仁愛郷)

 
ボロ過ぎて、特徴があまり出てない。画像をお借りしよう。

 
(出典『圖録檢索』)

一方、裏面は雌雄共に同じ柄で、葉上に静止している時など自然状態ではその判別は困難である。

展翅画像も貼付しておこう。

  
【カレンコウシジミ♀】

 
美しいね。でも下側の尾突起が捻れてるなあ…。
そういえば展翅中に直すか否かで悩んだんだよなあ。
でもこういうシジミチョウの尾突って、下手に触るとすぐ千切れちゃう。で、やめとくことにしたのだった。

 
【同♂】

 
コチラは尾突が最初から千切れてた。
こういうタイプのシジミって、結構尾突が失われている個体が多い。鮮度が良いものでも切れてたりするから、泣きたくなる時が多々ある。

 
【学名】Tajuria diaeus karenkonis

属名のタユリアは平嶋義宏氏の『新版 蝶の学名-その語源と解説-』には、語源不詳。Moor(1881)の創作とある。
しかし、ローマ・ウルドゥー語にこのTajuriaと云う言葉があることを見つけた。「おめでとう」という意味らしい。意訳すれば「祝福」といったところか。
最初はまさかパキスタンの言語からの引用はあるまいと思ったが、これがそうとも言えないところがある。なぜならウルドゥー語はヨーロッパ・インド語族に属し、ローマ・ウルドゥー語とも表記されるからだ。つまりローマで使われていた言語から派生したものがウルドゥー語というワケである。あとは女性の名前に使われるようだから、ムーアの全くの創作というワケでもなさそうだ。
因みに台湾にはTajuria属のチョウが他に2種(アサギシジミ、タイワンサザナミシジミ)おり、カレンコウを含め何れ劣らぬ稀種とされる。

小種名のディアエウスも語源がハッキリしない。
この名は中米のセセリチョウの属名にも使われていて、平嶋氏はギリシャ語のdiaimos(血まみれの)をラテン語化したDiaemusの誤記(mが脱落)と思われるとしている。
血まみれと云うのは尋常じゃないな。命名された由縁に血塗られた歴史でもあるのかな❓もしそうなら、命名の背景にそれなりの有名なエピソードがあって然りだろう。でも、無いよね。それにカレンコウシジミにしても中米のセセリにしても、見た目のイメージには全くそぐわない。血ならば赤色と云うのが相場だろう。納得いかないので検索してみる。

すると、ローマの軍司令官にdiaeusという人物がいることがわかった。
Wikipediaには、以下のような説明があった。

「ダイアエウスメガロポリス(Διαῖος)は、146BCに死亡した。最後strategosのアカイア同盟における古代ギリシャリーグはローマ人によって解散する前に。彼は死ぬまで紀元前150〜149、紀元前148年からリーグの将軍を務めました。」

翻訳が無茶苦茶で何ちゃらよくワカランが、偉い将軍ではあるのは確かなようだ。それなら学名に採用される可能性は充分にある。或いはコチラが語源なのかもしれない。

余談だが、Diaeusというセセリは1属1種(3亜種)であるらしく、渋カッコイイ。

 
【Diaeus variegata】
(出典『Butterflies of the Andes』)

 
何となく稀種の匂いがするし、これは自分でも採ってみたいなと思う。

亜種名である「karenkonis」の由来は、台湾の地名「花蓮港」から来ている。最初に発見された場所が花蓮港というワケである。和名もそれに因んだもの。
カレンコウシジミと云う名前の響きが好きだ。如何にも珍しくて高貴なチョウといった感じがするではないか。カレンは可憐にも通ずるし、カレンという女性の名前をも連想させるしね。素敵な名前だと思う。

それにしても、はたして花蓮港なんて低地にいるのかな❓港だろ❓そんなところで最初に見つかったとしたら、奇跡みたいなもんだ。カレンコウシジミって、そもそも山地に棲むチョウだもんね。
しかし、この疑問は比較的簡単に解けた。
花蓮港といえば、現在は花蓮県にある港のことを指すが、昔は花蓮県全体を指す言葉だったようだ。どういう事かというと、当時この地方は「花蓮港庁」と云う行政区分名で呼ばれていたようなのだ。つまり、カレンコウシジミは港そのものではなく、花蓮地方の何処かで発見されたというワケだね。それはおそらく低地ではなく山地帯であろう。納得である。

書き忘れたが、このTajuria属にはヤドリギツバメ属とタカネフタオシジミ属と云う2つの和名が使われていて誠にややこしい。ヤドリギツバメ属は、この属のチョウの幼虫の食餌植物がヤドリギ類であることからの命名で、タカネフタオシジミ属は成虫の姿かたち(フタオ=双尾)と生息領域(タカネ=高嶺)を表している。
和名というのは、こういう事がよくあるから面倒だ。どっちゃでもええから、どっちかに統一してほしいよね。

 
【台湾名】
白腹青灰蝶、白日雙尾灰蝶、花蓮青小灰蝶、花蓮小灰蝶、宙斯青灰蝶、白裡青灰蝶

台湾って、相変わらず凄い数の異名のオンパレードだな。オラが台湾人だったら混乱するよ。しかし台湾人でも中国人でもないから、これはこれで純粋に楽しめる。それぞれが、その蝶の特徴を漢字で一所懸命に表そうとしているのが愉しいのだ。それぞれ微妙に観点が違うのが面白い。漢字から推理して、その姿を思い描いてみるのは知的ゲームみたいなもので暇潰しになる。

科名と属名も記しておこう。
Lycaenidae 灰蝶科 Tajuria 青灰蝶屬

台湾や中国ではシジミチョウの事を「小灰蝶」と呼んでいる。諸説あるが、小灰とは「とても小さい」と云う意味で、そこには可愛いというニュアンスも入っているようだ。

 
【英名】
Straightline Royal

ストレートラインとは、裏面にある線のことを指しているのだろうが、ちょっと素っ気ないね。
ロイヤルは、他のTajuria属のチョウの英名にも必ずついている。王とは最大限の賛辞であるからして、それだけこの属のチョウは美しいものが揃っているって事だね。もしかしたら、発見が後の方だったので、賛辞の言葉が尽きてしまい、苦し紛れでストレートラインと名付けたのかもしれない。
この妄想は、記載年の順番を調べれば是非が判るだろうけど、面倒くさ過ぎるのでやめときます。気になる人は自分で調べてみてね。

 
【分布と亜種名】
インド北部、ヒマラヤ、インドシナ半島北部、飛び離れて台湾、インドネシアのジャワ島とスマトラ島に分布する。

(出典 杉坂美典『台湾の蝶』)

 
分布図からスマトラ島が抜けているが、今まで見た分布図は皆んなコレである。これはスマトラ島亜種が比較的最近である1996年に発見され、2006年に記載されたからだろう。

 
亜種には以下のようなものがある。

◆原名亜種 ssp.diaeus
北インド~インドシナ半島北部

◆ssp.karenkonis
台湾中部~中北部

◆ssp.dacia
インドネシア ジャワ島

◆ssp.mirabilis
インドネシア スマトラ島

 
補足すると、以前は西北ヒマラヤ~シッキムのものを原名亜種ssp.diaeusとし、アッサム~インドシナ半島北部のものは別亜種ssp.thydiaとして分けられていた。しかし、変異が連続的で区別できないと云う事で、現在はssp.diaeusに集約されたようだ。
また、台湾亜種は最初は新種Tajuria karenkonisとして記載されたが、後に亜種に降格したという経緯がある。
 
こういう飛び離れた分布の仕方をするチョウって、他にもキゴマダラとか幾つかいるけど、不思議だ。
何でインドシナ半島南部からマレー半島、中国などに分布の空白域が有るのだろう❓
地史とか、きっと何らかの理由が有るのだろうが、さっぱりワカラナイ。空白域のものは絶滅したのだろうが、何で絶滅したのかが解らないのだ。一時期、海に沈んだのでは?とも思ったけど、中国にも高い山がある筈だ。普通に考えればそこで生き残っている筈だ。二次的にその地域だけで地史を揺るがすような地殻変動でも起こったのかしら❓でも、そんな話は聞いた事が無いよなあ。
おバカには、(@_@;)全然ワカンねえや。

 
【生態】
台湾では海抜400m~2500mで得られているが、その生息域の中心は中高海抜であろう。
発生期は4~9月、もしくは5~8月とされ、年に数回の発生をしていると考えられている。しかし、2月の記録もあり、周年発生の可能性もある。
常緑広葉樹林周辺に棲息し、飛翔は活発で、高い梢上を非常に速く飛ぶが、葉上などに静止している事が多い。
♂♀共に花に吸蜜に集まる。

カレンコウシジミを含めてこの属のチョウが中々得られない稀種揃いなのは、この辺に理由があるのかもしれない。梢上高くを素早く飛び、そのクセあまり飛ばないとなれば、目に付きにくい。採集が難しいのは当たり前だ。
因みに、自分は止まっているものしか見た事がない。
敏感なチョウで、近づくとぴょんぴょんとスキップするかのように飛び、すぐに別な葉に止まる。これが愛らしくて可愛いんだけど、網が中々振れなくて結構ムカつく。

花に吸蜜に集まるとあるが、草本ではなく樹木の花を好むような気がする。付近にはタイワンソクズなど複数の花も咲いていたが全く訪れず、もっぱら照葉樹の白くて小さい花に来ていた。

 
【幼虫の食餌植物】
Loranthaceae ヤドリギ科。
台湾では以下のような植物が記録されている。

◆高氏桑寄生 Loranthus kaoi カオヤドリギ

◆大車前草 Plantago major

◆大葉桑寄生 Scurrula liquidambaricolus オオバフウジュヤドリギ

◆忍冬葉桑寄生 Taxillus lonicerifolius

◆杜鵑桑寄生 Taxillus rhododendricolius

◆李棟山桑寄生 Taxillus ritozanensis

 
他に台湾の蝶の幼生期解明に多大なる功績を残した内田春男氏が『常夏の島フォルモサは招く』で、タイワンマツグミ Taxillus caloreas をあげている。
因みに、インドでは同じくヤドリギ科のLoranthus longiflorusを食している事がわかっている。

 
【卵】
(出典『圖錄檢索』)

 
【終齢幼虫】
(出典『圖錄檢索』)

 
シジミチョウの幼生期については、あまり詳しくないからかもしんないけど、(-_-;)変な奴っちゃなー。
シジミの幼虫といえば、団子虫みたいなイメージがあるけど、細長い。頭の形も変だ。
興味深いのは、台湾では同じ食餌植物を利用している近縁種のアサギシジミ Tajuria yajna が葉を食べ、カレンコウシジミが花や若実を食っている事だ。互いが競合しないように食い分けをしているんだね。

 
【蛹】
(出典『圖錄檢索』)

(出典『台灣生物多樣性資訊入口網』)

 
蛹も変だな。
小鬼みたいでグロ可愛い。

 
次に台湾に行く機会があれば、真面目にカレンちゃんを探そうと思う。ポイントではホッポアゲハとスギタニイチモンジ狙いだったから、片手間でしか探していないのだ。
去年は台湾には行けなかったし、今年は何とか行きたいもんだね。シロタテハへのリベンジも残ってるし、ダイミョウキゴマダラの♀がまだ採れていないもんな。
とはいえ、今年は先の事が全然わかんないんだよね。

                  おしまい

  
追伸
考えてみれば、台湾のシジミチョウを紹介するのは、今回がたぶん初めてだ。そういえばシロチョウもジャノメチョウもセセリチョウも未登場だ。まだまだ紹介していない蝶は山ほどあるのだ。
このシリーズ、いつになったら終わるんやろ(笑)。
バカなこと、始めちゃったなあ…。