『世界の美しい蛾』

 

 
『世界の美しい蛾』という、岸田先生が今年出版された本だ。
この本の存在は知ってはいたが、長いこと未見だった。春先だったと思うけど、Oくんが買って損したとか文句を言ってたので、ふ~んと思ってそのまま存在を忘れてしまってた。
で、最近になって大きな本屋に行った時に偶々(たまたま)見つけた。中をパラパラと見ると、見たこともない綺麗な蛾が並んでて、Oくんの口振りから想像していたものとは随分と印象が違った。値段も¥3850と、そう高くはなかったので衝動的に買ってしまったなりよ。ただいま絶賛ボンビー中なのにさ。

帰りの電車の中で、中を見る。
表紙の綺麗な蛾は「Baorisa hieroglyphica タナバタユカタヤガ」という名前のようだ。漢字で書くと、たぶん「七夕浴衣夜蛾」になるのだろう。一瞬、夏祭りの甘酸っぱい思い出が甦る。ノスタルジィーを掻き立てる粋な和名だと思う。

見てると、ガにはチョウには無い独特の翅のデザインが有ることに気づく。チョウよりもそのデザインはバリエーションに富み、種によってはチョウよりも複雑な模様を持っている。男性よりも女性の方が蛾に興味を持つのは、その辺に理由があるのかもしれない。仔細に見れば、スタイリッシュなのだ。
男はモノをざっくりと見がちだが、女性は細部までをよく見ているのだろう。男は色のデザインよりも形、つまりフォルムに反応するように出来ているのかもしれない。車やメカ(機械)、カブトムシやクワガタをカッコイイと感じるのが男なのだ。女性の体も、細部よりも先ずは体のライン、全体のフォルムを重視して見ているところがある。各パーツに目がいくのは、その次だ。で、顔を除けば、乳、ケツ、足に集約される。
一方、女性は最初から細部に目がいっているような気がする。男性の体の中でどこが好きですか?と訊かれて「手」と答える女性は多いが、男からすれば、有り得ない答えだ。もしも男で、最初に「手」とか答える奴がいたら、そいつは間違いなく変態です。乳、ケツ、足以外の「首筋(襟足)」とか「耳」のチョイスも解らないでもないが、1位に持ってきた時点で変態性が強い。
一言添えておくと、もちろん男は細部に拘っていないワケではない。あくまでも全体像、フォルム有りきの細部なのである。
これは太古の昔、狩猟採集の時代は男が狩猟を、女が村の周りの食物の採集を担当していた名残からなのかもしれない。
話が逸れた。このままいくと、また迷走なので本筋に戻そう。

艶やかな蛾が並ぶ中、目新しいもので特に惹き付けられたのはコレかな。

 
【レプレータルリチラシ Eterusia repleta】

 
オキナワルリチラシの親戚だね。
緑に青と少し黄色が入るって、カッコイイなあ。
蝶や蛾の知識の無い人から見れば、蝶にカテゴライズされるかもね。世間一般では、キレイ=蝶。汚ない=蛾という概念が定着しているところがあるからね。

こんなのも気になった。↙

 
【アフリカミドリスズメ Euchloron megaera】

 
黄色と緑の組み合わせの服なんて絶対に着れないけど、デザインとしては全然有りなんだよなあ…。
服や周りの調度品としての緑は好きじゃないが、自然界にある緑は掛け値なしに好きなのはナゼだろう。

更に見ていくと、後半のページで仰け反りそうになった。

 
【アサギマダラガ Cyclosia notabilis】

 
何じゃ、こりゃ(゜ロ゜;ノ)ノ❗❓
へぇ~、アサギマダラに擬態したチョウは知ってるけど、ガにもいるんだ…。そう思った。
アサギマダラは体内に毒を持つ事から、鳥に捕食されにくいと言われている。心憎いことに、殆んど襲われないと知っているからなのか、ゆるりと優雅に飛んでいらっしゃる。
それにあやかろうと、一部の毒の無い蝶や蛾が自らをアサギマダラに似せて難を逃れようと進化したのが擬態だ。本当にそうだとしたら、とんでもない高等戦術だ。しかし、似せようと思って似せられるものなのかね❓それがいまだ疑問だけど、どうあれ自然とか生き物って、やっぱスゲェーな。
ん❓、ちょい待てよ。このアサギマダラガもマダラガの仲間なんだから、元々自身も毒を持ってそうだな。だとしたら、ミューラー型擬態って事になる。種を越えて互いに擬態効果を高めてるってヤツだね。似たような毒ある奴が沢山いた方が、より鳥への訴求力は高まるって寸法だ。

解説文には「中国とラオスでの分布が確認されているが、野性下の姿を見られる機会は極めて稀だろう。」とあった。中国と云うのは、おそらくインドシナ半島北部に隣接する雲南省辺りなのだろう。
ふ~ん、ラオスにいるのなら何処かで見ててもオカシクないよな、と思った次の瞬間、記憶の映像が💥ガーンとフラッシュバックした。
コレって、見たことあるぞーΣ( ̄ロ ̄lll)
どこだっけ❓
たぶん…、インドシナ半島北部だな。確か吸水に来てるのを撮ったぞ。
 
帰宅後、探しまくって漸く画像を見つけた。

 

 
画像を拡大しよう。

 
(2016.4.22 ラオス北部)

 
遠目に見て、一瞬ちっちゃいアサギマダラ(蝶)かなと思った。だが違和感ありありで、すぐにニセモノだなと気づいた。にしても、他のマダラチョウの仲間でもなさそうだった。たぶん見たことがない奴だ。
何じゃらほいと思いながら近づいてゆくと、地面に止まって吸水し始めた。それを見て、一発で蛾だと理解した。だってさあ、触角がモロに蛾なんだもーん。

で、アサギマダラに擬態してる蛾なんて聞いたことがなかったから、一応証拠として写真を撮ったのだった。
ところで、コレって結局採ったんだっけ❓
いや、でも展翅した憶えがない。だとしたら、M氏辺りに渡したのかな❓ いやいや、当時はまだ蛾は気持ち悪かったし、写真撮ったからもういいやと思って採らなかったわ。相当に珍みたいだし、採っときゃよかったなあ…。

あれっ❗❓、でもよくよく見れば、どこかアサギマダラガと違うぞ。あっ❗上翅と下翅の地色が逆になっとるやないけー(@_@)

もしかして、まさかオスとメスとで上下の色が入れ替わるとか❓ でもそんな例、聞いたことがない。そりゃ、たぶん無いわ。
となると、これはアサギマダラガとは違う別種って事になるぞな…。
しかし、だったらコイツはいったい何者なのだ❓
でも、蛾の情報って少ないんだよなあ…。ちょっと調べてみたけど、直ぐにイヤになってやめた。まさか新種だったりして(笑)。まあ、それは無いとは思うけど。
それはそうと、コイツも珍なのかしら❓
岸田先生、教えて下され。

それはさておき、アサギマダラに擬態してる蝶がいると前述したが、コレが凄い精度なのだ。この際、ついでだから紹介しておこう。

 
【カバシタアゲハ Chilasa agestor】

 
タイやマレーシアの可能性もあるが、たぶんラオスで採ったものだろう。サムヌアかバンビエン辺りのものかな。

 
(裏面)

 
コレには完全に騙されたなあ。
その存在さえも知らなかったから、マレーシアで初めて会った時には腰を抜かしそうになった。それくらい似てるのだ。姿、形だけではなく、飛び方までソックリなのさ。マネシアゲハの仲間は擬態精度がメチャメチャ高い。アサギマダラガもいい線いってるけど、カバシタアゲハには敵わないんでねぇの❓
とは言っても、飛んでいる現物を見ないと、何とも言えねえな。余談は禁物だわさ。

おっと、本家本元、肝心要のアサギマダラにも登場して貰わないと本末転倒だ。これじゃ、普通の人には伝わらんよね。

 
【アサギマダラ Parantica sita】

 
とはいっても、ド普通種ゆえに展翅画像なんて撮ってない。よって、図鑑の画像をお借りした。

 
(裏面)
(出展 2点共『日本産蝶類標準図鑑』)

 
コレで如何に似ているかは御理解戴けたかと思う。
擬態って、改めてスゲェー世界だよなあ。

 
本を見ていると、他にも見たことや採った事があるものがそこそこ載っていた。トラシャクなんかは、そこそこ見てる。

 
【トラシャク Dysphania militaris】

 
コレは散々迷った揚げ句、採った記憶がある。
各地で珠に見ていたが、綺麗だけど蛾だと云う概念が邪魔して採る勇気がなかったのだ。じゃあ、何でこの時は採ったんだろ❓魔が差したのかなあ…。それか、この時は目ぼしいものかいなかったからヒマ潰しで、つい採ったのかも…。ブツは蛾好きのM氏に進呈したと思う。

本の解説には「日中、梢を飛翔し樹上に留まることが多いから捕獲は難しい種だと言える。ただし、稀に吸水のため地面に降りることもある。」と書いてあった。
目立つ蛾だから、そんなに珍しいモノだとは思っていなかった。しかし言われてみれば、そんな気もしてきた。よくよく考えてみると、何処にでもいたワケではない。でも吸水に来ている時は集団の事もしばしばあって、アオトラシャクなんかも混じってたなあ。採ろうと思えば、トータルで軽く20くらいは採れてたと思う。
もしも又、東南アジアに行く機会があったなら、真面目に採ろっと。

オウサマアゲハモドキもあった。

 

 
バックが暗くて分かりづらいので、他のところから画像を引っ張ってこよう。

 
【オウサマアゲハモドキ Epicopeia polydora】
(出展 『学研の図鑑 世界の昆虫』)

 
【裏面)
(出展『insectdesigns.comlithops.com』)

 
名前が王様なのだ。おそらくアゲハモドキの仲間の最大種だろう。タイのチェンマイで見たことがある。
最初はナガサキアゲハとかオオベニモンアゲハ、レテノールアゲハ(アルクメールアゲハ(註1))かなと思ったが、よく見ると違うので背中に悪寒が走ったよ。何度も言うが、その頃は蛾を忌み嫌っていたからね。
だから勿論の事、無視した。随分と後になってから、かなり稀なものだと知った。結構沢山いたので、今思えば、コレも採っときゃよかったよ。因みに此の場所以外では見た記憶はない。

チョウと見間違えたのは、コヤツも体内に毒を持つので、コレに擬態してるチョウが多いからだ。
つまり、ガがチョウに似せているのてはなくて、反対にチョウがガに似せているのだ。謂わば、それらのチョウはオウサマアゲハモドキモドキなのである。
いや、違うか❓ 違うな。勢いで、つい筆がスベったが、毒持ちなのはオオベニモンアゲハだわさ。冷静になって考えれば、オオベニモンアゲハはジャコウアゲハ系アゲハだもんね。ジャコウアゲハと言えば、食草はウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)である。この植物には毒があり、幼虫はそれを体内に取り込み、成虫になってもその毒は体内にとどめられる。植物の種類は違うが、原理はアサギマダラと同じだ。それによって、鳥などの捕食者から身を守るのだ。
思い出したよ。台湾のオオベニモンアゲハは、確かタイワンウマノスズクサやリュウキュウウマノスズクサを食ってた筈だ。となると、インドシナ半島北部でも同じ系統のものを食しているものと推察される。毒ありなのは相違なかろう。
一方、アゲハモドキの仲間はアオキ科などを食樹としているものが多く、知る限りでは毒持ちではない。オウサマアゲハモドキが何を食ってるかは調べても分かんなかったから断言は出来ないけど、おそらく毒持ちではないだろう。間違ってたらゴメンだけど。

このチェンマイのポイントには、互いに擬態関係にあるものが数種いたと云う記憶がある。オウサマアゲハモドキに、オオベニモンアゲハ、レテノールアゲハ、ナガサキアゲハの4種類だ。

 
【オオベニモンアゲハ♀ Atrophaneura polyeuctes】

 
【裏面】

 
美しくもあるが、毒々しい。翅だけじゃなく、頭や腹まで赤いところが妖しい。毒婦じゃよ。
コレは台湾産のオオベニモンだけど、インドシナ半島のモノとそう変わらないだろう。見事にオウサマアゲハモドキに似ているね。いや、オウサマアゲハモドキがオオベニモンアゲハに似てるってのが正しいか。

インドシナ半島のモノも見っかった。

 

 
こっちは翅形的に♂かな。
白紋が大きいくらいで、やっぱ基本的には変わらんね。

 
【ワタナベアゲハ♀ Papilio thaiwanus】

 
(裏面)

 
これも飛んでたら、同じように見えるだろう。
違うと気づいたとしても、その時にはもう遅い。当然スタートも遅れる。たとえ結果的に見破られたとしても、判断を遅らせることが出来たならば、逃げれる確率は格段に上がるのである。

 
【ナガサキアゲハ♀ Papilio memnon】

 
裏展翅がないので、杉坂美典さんの画像をお借りしよう。

 
(裏面)
(出展『台湾の蝶』杉坂美典)

 
台湾産の有尾型だ。日本のものは、基本的には尾っぽがありゃせん。一応、そっちも載せとくか…。

 
【ナガサキアゲハ無尾型♀】

 
白いから、たぶん沖縄本島のものだろう。
そういえば白いのは、これまた毒を持つオオゴマダラに擬態してるという説もあったような気がするなあ。

 
(裏面)
(出展『蝶の傍らに』)

 
改めて見ると、ナガサキアゲハは腹が赤くないんだね。そういう意味では擬態精度はやや落ちるかもね。

参考までに言っとくと、当時見た記憶は無いが、此の場所にはベニモンアゲハとホソバシャコウアゲハもいるかもしれない。一応、両者とも分布域には入ってるからね。特にベニモンはいる可能性が高いだろう。

ベニモンアゲハもド普通種なので、展翅画像が無い。
まさかベニモンなんぞをブログで取り上げることなど無かろうと思ってたから、写真もありゃせんのだ。って云うか、ベニモンなんて採らない。いても普通種なので今や無視なのだよ。どうせ採っても展翅しないだろうからさ。無駄な殺生してもしゃあないし。

 
【ベニモンアゲハ Pachiliopta aristolochiae】

 
(裏面)
(出展 2点共『日本産蝶類標準図鑑』)

 
毒持ちでやんす。でもオオベニモンアゲハと比べると、かなり小さい。レテノールもやや小さいから、もしかしたらベニモンに寄せて擬態してるのかもしれない。そういう観点からみれば、オオベニモンに一番寄せてるのはオウサマアゲハモドキかもしんない。

 
【ホソバシャコウアゲハ Losaria coon】

 
変な形だニャア(ФωФ)
たぶんラオスで採ったものだ。バンビエンかタボックの個体だろう(どっちにもいる)。
裏展翅をした記憶が無いから、裏面画像はネットから拝借しよう。

 
(裏面)
(出展『SAMUIBUTTERFLIES』)

 
ホソバシャコウもジャコウと名が付くだけあって、毒持ちだ。横から見ると、やはり毒々しいねぇ。

整理すると、毒持ちはオオベニモンアゲハ、ベニモンアゲハ、ホソバシャコウ。毒無しはナガサキアゲハ、レテノールアゲハ&ワタナベアゲハ、オウサマアゲハモドキって事になる。
ここまでパッと見が互いに似ているのがいたら、天敵の鳥だってワケわかんなくなって騙されるに違いない。擬態組の何れ劣らぬ擬態振りに改めて感心するよ。
いかん、いかん。ついつい、またミミクリー(擬態)の話になってしまった。語り始めたら長くなるから、これくらいにしておこう。擬態は奥が深いのだ。
それにオウサマアゲハモドキと擬態については、以前にアメブロの方で『第三のアゲハモドキ』と題して書いた。興味のある方はソチラを読んでたもれ。一応リンク先を貼りつけておきます。

 
https://ameblo.jp/iga72/entry-12248086677.html

 
キボシルリニシキ、アオトラヤガ、アオトラシャク等々、見たり、採ったりしたものがまだまだある。もっと紹介したいところだが、調子に乗って紹介すると、先生の営業妨害になりそうだから、この辺でやめとく。興味を持った方は、あとは本を買って見て下さいな。

                      つづく

 
追伸
意外と日本の蛾も紹介されていたので、次回はそれについて少し書こうかと思います。

 
(註1)レテノールアゲハ(アルクメールアゲハ)
レテノールの画像が、めっかった。♂だけど。

 

 
(裏面)

 
昔は、Papilio rhetenorという学名だったが、近年になって Papilio alcmenorという学名になったようだ。その経緯(いきさつ)は知らないか。
だが勝手に推測するならば、たぶん、P.rhetenorよりも、P.alcmenorの方に名前の先取権があることが後に判明したのだろう。つまりコウテイモンキチョウのパターンと同じじゃないかと考えたワケだ。
個人的には、断然レテノールという名前の方が好きだ。だから、いまだにレテノールと呼んでいる。
歩くメールアゲハだなんて、ダサいじゃないか。
 

味付け玉子

最近は、味付け玉子作りにハマっている。
もとい、ハマってるというのは言い過ぎかな。軽いマイブームってとこです。

 

 
作り方は、いたって簡単。
鍋に水をはり、卵を静かに入れて火を点ける。
火は強火でいい。真ん中に黄身がくるようにテキトーに攪拌する。
約9分経ったら、卵を取り出し水につける。出来れば暫く流水状態にしておき、完全に熱を取り去るのがよろし。
茹で時間は、あくまでも半熟にするための目安だ。各自お好みの固さに調整されたし。

温度が完全に下がったら、水の中で殻を剥く。こうすれば、失敗しにくい。
あとは、お好きな液ダレに一晩ほど浸ければよろし。濃いめの味付けが好きなら、もっと浸けてても構わない。コレも各人の好みで調節されたし。
因みに、今回は残ったラーメンスープ(豚骨醤油)に少し醤油を足した。濃いめにしといて丁度良いくらいに仕上がる。意外とゆで玉子って、液が浸透しないのである。

で、使うときはピンと伸ばした糸で、縦でも横でもいいから真っ二つに切る。
庖丁だと刃に黄身がベットリと付くけど、糸だとその心配はない。糸に付く黄身の量なんて、たかが知れてる。

最近は酒のツマミにするのがマイブームだが、勿論ラーメンに入れてもよろし。

 

 
ラーメン屋の味付け玉子を有り難がって食ってる御仁も、試しに自分で作ってみなはれ。大差ない旨い味付け玉子が食えまっせ。

                     おしまい

青き Lampides

 
ひと月ほど前にシルビアシジミの事を書いたが、その折りに標本箱から変わったシジミチョウが出てきた。
すっかり忘れていたが、思い出深い蝶の一つだ。

 

 
コレ、なあ~んだ❓
見て直ぐに何者なのかが解る人もいれば、解らない人もいるだろうが、ド普通種のウラナミシジミだ。
因みに色の違いに言及しとくと、写真は外光など部屋の明かりの具合(光の射す角度)や背景の色によって写り方が変わってくる。強いて云えば、上から見たら、一番下の画像のように見えることが多いかな。

ラベルを見ると、まだまだ蝶屋も駆け出しだった頃の「2011年11月13日 大阪府豊中市勝部」となっている。ふわっと記憶が映像となって甦る。

夕方4時くらいだっただろうか、大阪空港の豊中市側をシルビアシジミを探して歩いていた。
ここは知る人ぞ知る、飛行機の着陸が物凄く間近で見られる場所だ。

 

 
すっかり傾いた太陽の光が、その長い指を伸ばし、辺りの風景に美しい陰影を与えていた。
そんな折りだった。🍀クローバーだらけの足元から小さな蝶が驚いて飛び上がった。何だろう?と思っ次の瞬間に、右からの淡い斜光に反射して羽がキラリと光った。
( ☆∀☆)青い❗それも物凄く青いと感じた。
Σ( ̄ロ ̄lll)何じゃ、ありゃ❗❓
咄嗟に走り出しながらも、刹那に脳ミソの片隅で考える。小さいといってもシルビアやヤマトシジミにしては大きい。ツバメシジミも同様だ。それに、それらの青とは違うもっと明るい青に見えた。しかも金属光沢があるように感じた。じゃ、何❓ もしかして迷蝶❓ だったとしたら、まだ見ぬどえりゃあ~珍なるモノかもしれない。

2、3歩ダッシュして、網を持つ片手を目一杯伸ばし、前に突んのめりながらもゲット。
で、ドキドキしながら中を見て、びっくり。全然、予想外の奴だった。裏面はどう見ても、ド普通種のウラナミシジミだったからだ。ウラナミシジミって、青というよりも藤色じゃなかったっけ❓あんな青く見えるワケないよな。

 
【Lampides boeticus ウラナミシジミ♂】

 
【同♀】

 
【裏面】

  
締めて、羽を開いてみると、やっぱ青い。どうやらメスのようだ。メスはオスと比べて色が青系だ。といっても青い部分は少なく、金属光沢が全く無いワケじゃないが、かなり弱い。とにかく、こんなに綺麗なもんじゃないのだ。だから、その時は異常型なんじゃないかと思った。

しかし、そこはまだまだ駆け出しの蝶屋。ウラナミシジミに低温期型ってのがあるなんて、まるで知らなかった。帰って調べてみて、漸くそういうのがいるってのを初めて知ったのだった。当時も今も、なあ~んも知らんのである。

今回、改めて見ると、正面からはあまり青く見えないのだが、傾けるとワッと青が浮き上がってくる。構造色なんだね。傾ける角度によって、微妙に色が変わる。

 

 
下翅の外縁部まで青い鱗粉が乗っていて、非常に美しい。黒い紋もよく発達しているね。
更に傾けると、また色が変わり、輝きも強くなる。

 

 
一応、ノーマルの♀も同じように傾けてみた。

 

 
藤色だ。色も薄いし、金属光沢も弱い。
全然、綺麗じゃない。でも、ウラナミシジミの♀って、こんなもんだよな。普通種だし、人気がないのも致し方ないよね。

ねんの為に、低温期型の裏面も確認してみた。

 

 
下翅の帯が太くなり、上翅の波柄にメリハリがあるように感ぜられる。

コレって低温期型にしても、特別美しくないかえ❓
でも、これ以外に低温期型のウラナミシジミなんて見たことがない。って云うか、真面目に探した事などない。或いは、こんなクラスはいくらでもいるのかもしれない。気になったので、ネットでググってみた。

低温期型って結構珍しいのかと思いきや、わりかし記事が出てくる。ちょっとガッカリだ。
でも、ここまで青いのは少ないんじゃないかと思う。
いや、やっぱ真面目にウラナミシジミなんて採ったことないから、ワカンねぇや。どれくらいの頻度で出るのかが、実体験として無いもんね。
よし、来年は低温期型をマジで探そう。これくらい美しいなら、採る価値はある。
とは言っても、どうせ秋になったら忘れてそうだけど…。

                    おしまい

 
追伸
『2018′ カトカラ元年』の新作が遅々として進まないので、こんなんでお茶を濁しております。

書き忘れた。
『日本産蝶類標準図鑑』によると、「早春に発生する個体は後翅裏面の白帯は広く、斑紋は不鮮明。後翅肛角部の橙色斑は著しく減退する。」とあった。
たぶん、こういうのを指しているのだろう。↙

 
(出展『g-hopper.ne.jp』)

 
だとすれば、秋冬型とも言える今回のは低温期と言えるの❓言えないの❓(@_@)ワケ、わかんねえや。

 
(註1)ウラナミシジミ
英名『long-tailed blue butterfly』
鱗翅目シジミチョウ科ヒメシジミ亜科。前翅長17mm内外。裏面に褐色の波状紋が密にあるため、その名がある。表面は雄では藤紫色であるが、雌では基半部にのみ青みを帯び、外半は暗褐色。後翅には細い糸状の尾状突起がある。英名はコレに由来する。幼虫はマメ科の栽培種や野生種の花や若い果実などを広範に食害する。暖地性で、本州では房総半島南部、伊豆、紀伊半島などで越冬し、夏から秋にかけてこれらの地方から本州各地,ときには北海道南部まで世代を繰返しながら北上する。しかし冬を越すことはできず、死滅する。四国南部、九州南部と西部、琉球列島などではほぼ一年中みられる。日本以外にも分布は広く、アジア南部、南太平洋の島々、オーストラリア、ハワイ諸島、ヨーロッパ中・南部、アフリカ北部に及ぶ。(参考資料『コトバンク』)

猪名川の河川敷以外でも、淀川や大和川の河川敷なんかでもよく見かける。関西では、平地の河川敷なら何処にでもいるって感じだ。それほど多くはないが、大阪市内でもちょくちょく見かける。そういえば、今年は近所の公園(難波)にもいたな。

 

🎄クリスマス・イヴといえば

 
🎄クリスマス・イヴといえば、最近はマルニの『丸鶏 グリラー・スモーク』である。

 

 
四、五年前から、クリスマスが近づいてくると必ず買うのが、酒屋+輸入食料品で有名なチェーン店「やまや」で売ってるコレである。
小振りの丸鶏の燻製で、コヤツが安くて旨い。
値段は687円(税別)で、小振りとは言っても一人では食べきれない。二人でも腹いっぱいになって、他のもんが食えなくなるくらいだ。

適当にバラして大皿に盛る。

 

  
照りがあり、しっとりしてて旨そうだ。

飲み物は当然シャンパンである。
で、シャンパンを飲みながら、ひたすら鶏を食いまくるのである。勿論、ナイフやフォーク、箸さえも使わない。手掴みだ。囓じり、しゃぶり、シャンパンと共に燕み下す。いつしか手はベトベト、口の周りはヌラヌラになるが、構わず一心不乱に食う。
野卑にして、エロチック。この食い方が一番旨いんである。

 
【モマンドール エクストラ・ドライ】

 
あっ、ゴメン。シャンパンじゃないや。貧乏だからスペイン産のスパークリングワインだね。
待て待て、この言い方は厳密的には間違ってるな。確かにシャンパンよりスパークリングワインの方が傾向的に安くはある。でもスパークリングワインにもバルドリーナ(イタリア)やフランチャコルタ(スペイン)など高級なものは、ちゃんとあるにはあるのである。
コレはどう云う事かと言うと、どれだけ高級なものでも、フランス・シャンパーニュ地方で造られたモノ以外はシャンパンとは名乗れないからだ。そういう規則になっているのだ。

そのスパークリングワインでも、いっちゃん安いものを買ってきた。値段は750㎜lで税別788円とか、そんなもんじゃなかったっけ。
とはいえ、スパークリングワイン世界No.1のワイナリーであるフレシネ社とサントリーとが共同開発したものだ。コスパは高い。去年もコレ飲んでるから知ってるのだ。
味は辛口でクセがなく、普通の人が普通に飲んで旨いって感じ。裏を返せば、深みとか、そんなもんは全然感じられないんだけどね。
嗚呼、ドンペリとか長い間飲んでないよなあ…。
どころか、クリュッグ、モエ(モエ・エ・シャンドン)やヴーヴクリコ、ポメリでさえ長いこと飲んでない。とはいえ、一度だって自分で金出して飲んだ事ないんだけどさ。貰ったり、奢って戴いた記憶しかない。
たぶんバブル時代に一生分、いやそれ以上に飲んだ。昔は何かといえば、周りはシャンパンだったのだ。みんな相当浮かれてたよね。ホント、シャンパンの泡みたいな時代だった。

そういえば街中も、クリスマスといえば相当浮かれてたよね。12月に入れば、街はショーウィンドウ、商店街etc…、多くがクリスマス仕様になってた。そして、至るところでクリスマスソングがかかっていた。TVのCMでも、今では考えられないくらいのクリスマス盛り上げ的なモノが長期間流れていた。恋愛ドラマもイヴに向けて盛り上がってゆくと云うのがパターンだった。

🎵きっとキミは来ない 一人きりのクリスマス・イヴ
🎵サイレンスナイト フォリーナイト

若者もクリスマスイヴまでに何とか彼氏、彼女をつくるのに必死だった。イヴに恋人がいないなんて恥ずかしい事だったのだ。今思えば、バカバカしいけどね。
中には酷い女もいて、「イヴだけの暫定彼氏。」とか平気で言ってるのもいたなあ。それを知らない彼は気の毒としか言い様がない。同情を禁じ得なかったわ。
そう云えば、もっと酷いのがいて、山手線の車内でバッタリ会った知り合いの女は「五十嵐くん、聞いてくれるぅー❓彼氏がさあ、イヴに赤プリ(赤坂プリンスホテル)の部屋、取れなかったのよー。もうサイテー。別れてやろうかと思うわ。」とか言ってた。それほど怒ることか❓メチャメチャ性格が悪い女である。前から嫌な女だとは思ってたし、関わりたくないからテキトーに相槌を打っといたけど、裏回れば、ホント、女って恐いと思った。
それで思い出した。昔、赤プリのフロントに勤めていた娘と付き合ってたなあ…。可愛かったなあ…。関係ないけど。あっ、関係あるか。性格も良くて、おっとりしてたから思い出したのだ。

とにかく、最近はクリスマスも正月も、らしくない。
もう時代は戻ることはないだろうけど、クリスマスはクリスマスらしく、お正月はお正月はらしくあって欲しいものだと思う。ノスタルジック、時代遅れだと言われようとも、そういう季節的なイヴェントは絶対必要だと思うんだよね。キッチリやって戴きたい。情緒の無い日本って、俺はヤだな。

書いてて、ふと思ったんだけど、ところでイブとイヴはどっちが正しいんだっけ❓

 
                    おしまい

 
追伸
イブとイヴの話だが、表記はどちらでもいいみたい。
但し、強いていえば、原語の発音に近いイヴの方が正しいらしい。確かに綴りは「eve」なんだから「ヴ」かもね。

 

2019′ M1グランプリに思う

 

 
(出展『M1公式サイト』)

 
今年のM1グランプリはミルクボーイの優勝で幕を閉じた。
でも、正直その結果に納得いってない。全然、面白くなかったのである。ネタは目新しい感じがしなかったし、ボケ役が弱いわ。キャラが全然立ってない。肝心要の落ちも弱いと云うか、キレイに落ちてないと思う。
しかも2本目のネタは「コーンフレーク」を「もなか」に替えただけやん。オチが読めたわ。
ネタ中、一度も吹き出さなかったのは、あんまり笑いに大きなズレを感じなかったからだ。笑いの持っていき方が予測の範囲なのだ。笑いと云うものは、予想外のズレから生じるものだ。そのとんでもない予想外のズレが大きいからこそ笑えるのである。但し、間違った方向にズレるとワケワカンなくて笑えない。その匙加減が難しいのだ。間とかもあるしね。
なのに審査員の殆んどがミルクボーイに票を投じていたのには驚いた。オチ、予想つくやんけ。
なあ~んか、己の笑いの審美眼みたいなものがズレてきているのかもしれない。

M1は第1回から欠かさず全部見てきているが、優勝者はずっとピタリ予想通りだった。それが自慢だった。
ところが、2017年辺りから優勝者の予想がハズレ始めた。その年の優勝予想は「和牛」だったが、「とろサーモン」だった。2018年の予想も「和牛」だったが、結果は「霜降り明星」の優勝だった。つまり、三年連続ハズした事になる。何か自信喪失である。先端の笑いに追いつけていけなくなっているのかもしれないと思うと、へこむわ( ´△`)

そんな中でも、松ちゃんだけが「かまいたち」に票を入れていたのが唯一の救いだった。俺も「かまいたち」が優勝だと思ってたからね。かまいたちは2本とも違うネタだったし、緻密に作られてたしね。ミルクボーイって、ネタが全体的に雑い感じが否めない。
個人的には「ぺこぱ」が一番笑えたよ。あの化粧したクネクネした奴が気持ち悪いけどツボにハマった。一本目よりも2本目が面白かったしね。

そういえば、松ちゃんだって推したコンビが最近は優勝してないんだよなあ。2017年も2018年も松ちゃんは和牛に票を投じたが、優勝者はどちらも別な組だった。そう云う意味では、松ちゃんと感じ方と考え方が同じなので、自分の笑いの感覚はそんなにズレてないのかもしれないぞ。他の審査員がアカンのとちゃうのん❓ いや、そもそも審査員が古いタイプのお笑い芸人ばっかじゃないか。全員が先端の笑いとか解ってるとは思えん。
巨人のセンスは疑問だし、志らくのセンスは理解出来ない。嫌いだ。上沼恵美子は私情が入り過ぎてメチャクチャや。挙げ句、ツッ伏したのには笑ったけどさ。でも、からし蓮根の批評中に和牛を突然デスり始めたり、それだけでなく和牛が脱落した際にガッツポーズで大拍手するって、どーよ❓和牛に対する愛情の裏返しかもしれんが、審査員としての公正に欠けると言わざるおえない。来年は是非とも御辞退戴きたい。
点数もオカシかったなあ…。上沼恵美子の和牛への点数のつけ方が辛すぎっしょ。反対に他に対して高得点過ぎやしないか。やっぱオバサンには辞めて欲しいよ。松ちゃんもオバハンに忖度するの、やめなはれ。

そういえば今年は審査員の点数のつけ方が、全体的に高得点過ぎで変だった。90点以上ばっかって甘過ぎだろ。ナイツの塙なんて、ミルクボーイに99点も付けてたぞ。バカじゃねぇか。そもそもアンタ、M1で一度も優勝してないし、何で審査員席に座ってるのかワカランよ。面白くない人が面白い人たちをジャッジするなんてオカシイじゃないか即刻、辞めなさい。
中川家の礼二も気の効いた事、一言も言ってなかったような気がするなあ…。信じられるのは、松ちゃんとサンドイッチマンの冨澤くらいだ。来年、半分くらい審査員を入れ替えてくれる事を切に願うよ。

よくよく考えてみれば、松ちゃんと紳助(島田紳助)とはずっと優勝予想は同じだった。マジで紳助には帰ってきて欲しい。政治家だって反社と付き合いがあっても許されてるんだから、紳助かて許したれや。だいち、M1の創始者は紳助やんけ。

とにかく残念だったのは、和牛が最後のファイナルに残れなかった事。
準決勝で敗退したけど、敗者復活で戻って来たから、優勝するとばかり思ってた。テレビ局側の感動の優勝を演出したヤラセ、出来レースかよと思ってたくらいだから、逆にショックだった。
何で敗者復活でやったのと同じネタをやったんだよ❓
アレが何らかの影響を与えたんじゃないかと思えてならない。今回は和牛のネタが3本も見れるのかと楽しみにしていたのに、ガッカリだよ。2本目、見たかったなあ…。

                    おしまい

 
追伸
敗者復活戦では和牛と並び「天竺鼠」が個人的には面白かった。M1ナメてんのか?と云うくらい無茶苦茶フザけたネタだったけど笑えた。まあ、一般ウケはせんだろうけどさ。
 

平茸のかやく御飯

 
11月の終わり頃の話。
毎年、秋になると平茸(ひらたけ)が出回るのを楽しみにしている。でも今年は何故か何処へ行っても見かけなかった。
( ´△`)人気ないんかのう。旨みがメッチャあるキノコなのに何でやのん❓

因みに最近スーパーでも普通に出回るようになってきた「霜降りヒラタケ」とは別ものである。平茸はあんなに見た目はシュとしてなくて、地味なグレーでヤワい。だから笠がボロボロになっている事も多い。
昔はこの平茸の笠があまり開いていないものをシメジとして売っていた。シメジのニセモノ第1号である。
しかしある日突然、ブナシメジが本シメジとか粒シメジと名乗って台頭してきたと思ったら、あっという間にそっちがシメジとして認知されるようになった。テメエだってシメジのニセモノだろうがっ(=`ェ´=)、ふてー野郎だ。
そして、気がつけば平茸はいつの間にか市場から消えてしまっていた。哀れな末路である。ブナシメジは長年ニセモノのクセに正統派然としてきた悪い奴なのだ。だから後味が少し苦いのかもしれん。見た目と歯触りの良さは認めるが、そこがあまり買わない理由になっていると思われる。
こういうキノコや野菜などの品種や名前が替わるって事は結構あって、大根といえば、いつの間にか青首大根になりいの、法蓮草といえば葉がギザギザの東洋系から葉が丸い西洋ほうれん草になりいの、人参なんかはもっと前に金時人参などの東洋系から西洋ニンジンにスリ替わっている筈だ。世の中、何かと信用できないよね。

ようやくスーパー玉出の堀江店で見つけたのが11月の下旬。しかも箱売りばかりである。それじゃ、量が多すぎる。辛うじて箱の半分量のものが2つだけあった。それでも量が多い。迷ったが、いつまた会えるかどうかわからない。思いきって買うことにした。

何で平茸が食いたいのかと云うと、とにもかくにも「平茸のかやく御飯」が食いたかったのである。佃煮とか他の料理も悪くないが、圧倒的に「かやく御飯」を熱愛している。

Ψ( ̄∇ ̄)Ψフハハハハハ。他の料理を作るのが何となく面倒くさい気分でもあるからして、全部「かやく御飯」にしてやったなりよ。
もう思う存分食いましたというくらいに食えば、今シーズンはもう食べたいと思わないだろうとも考えたのだ。何軒もスーパーを回って平茸を探すのは、もうウンザリなのだ。

 

 
三つ葉を飾って出来上がり。
食って、拳を軽く握って片手ガッツポーズ。
美味いねぇ~d=(^o^)=b、平茸の旨味が効いとる。他の具材とのバランスも抜群だし、我ながら完璧な出来じゃよ。
あっ、真ん中やや左下の茶色いのが平茸です。
とは言っても平茸自体の画像さえも添付しとらんかった。スマン、スマン( ̄∇ ̄*)ゞ
とは言っても、写真を撮っていないので、過去の画像を使うぜよ。

 

 
昔売ってたのよりもデカイ。最近は大きくしてから出荷しているらしい。ネットで見ると、今度は「大凧シメジ」なんて名前で売ってる。懲りないねー。
昔売ってたような笠が開いていない画像も見つけた。

 
(出展『よろずやオンライン』)

 
おいおい、こっちは「味しめじ」かよ(笑)
ワシがホンマもんのシメジだったら、怒りを通り越して苦笑いじゃよ。これから先も、新たな何とかシメジの登場が絶えることは無いだろうね。
そのうち「ギガシメジ」とか「ウルトラシメジ」、「エロチックシメジ」とかカタカナのシメジまで出てくるやもしれん。

おっと、また脱線じゃ。肝心な事を書かねばならん。
具は平茸の他に鶏肉、牛蒡、人参、蒟蒻、お揚げさんが入っとる。そう「かやく御飯」の王道レシピである。
但し、具材には少々拘りがある。
コンニャクは生芋コンニャクを使う。食感が断然良いからだ。ゆえにやや厚めに切る。
揚げは京揚げ。これは薄揚げより油っぽくない事と厚みがあって旨味も強いからだ。
牛蒡は洗いゴボウではなく土ゴボウ。タワシは使わず手で洗い、水にもさらさない。その方が香りが良いからだ。ささがきにして、水にさらすと真っ黒になるのって、あれはアク抜いてるようで、旨みも香りの成分も捨ててるのと同じ。牛蒡はかやく御飯の脇役ではあるが、必要不可欠な存在だ。香りと云う重要なパートを担っているので、絶対に外せない。
鶏肉は丹波赤鶏。今回はモモ肉を使った。あっさりめに仕上げたかったら、むね肉でもよろし。その中間がお望みならば、モモ肉を軽く茹でておくと、脂が落ちる。又は皮を捨てるという方法もある。但し、旨みも減る。
人参だけは残念なから普通の西洋ニンジンである。金時人参を用意したいのだが、京都みたく正月以外は売っとらんのだ。
米は糯米(もち米)があったので、1/3から1/4ほどを白米(あきたこまち)と混ぜ、ブレンドにしてみた。思いつきで何となくモチモチ感が出て旨くなるのではと考えたのだ。

 
【おくさま印のもち米】

 
因みに、米は研がない。最近は水を入れてサッと混ぜて直ぐその水を捨てる。その1回のみ。洗うと云うよりか、ゴミを取り除く為である。最近の米は精米技術が上がってるので、洗い過ぎると旨みも流れるらしい。面倒くさい時は洗わずに適量の水を入れて、そのまま炊く時さえあるが、出来上がりは何ら問題ない。

出汁は今回、ヤマサの「昆布つゆ白だし」を使ってみた。

 

 
薄味のかやく御飯にしたかったのだ。平茸の旨味と風味をより感じたいと思ったのである。
実を云うと、かやく御飯には2系統がある。味が濃いのと薄いものだ。薄味のは、オカズ有りきのかやく御飯で、道頓堀の老舗名店『大黒』などがその代表だろう。
たまに「大黒」のかやく御飯ってたいした事ないというコメントを聞くが、コレはかやく御飯単独でしか食ってない残念な人の意見。オカズを頼んでない哀れな人たちだ。ここのオカズは一切奇をてらったものは無い。子芋の煮たのとか魚の煮付け、塩焼き、豆腐の味噌汁など、昔からあるようなシンプルな普通の家庭料理なのだ。だけどムチャクチャ美味い。謂わば家庭料理の延長線上の究極の家庭料理みたいなものなのだ。おそらく最高の素材を使い、とても丁寧に作ったものだろう。子芋の面取りなどは大胆で、美味しいとこだけ使っている感じだ。しかも美しい。この辺の詳しいことは拙ブログにも以前書いたので(註1)、コレくらいにしておく。
一方、濃い味のかやく御飯とは、単独それそのもので成立するかやく御飯だ。謂わばオカズを必要としないかやく御飯である。オカズと一緒に食うと濃ゆいので、オカズは寧ろ邪魔になる。

解説はコレくらいにして、本筋に戻ろう。
でも平茸を全部使ったら、結果な量の「かやく御飯」になった。米は二合くらいだけど、具が入ると3倍くらいに膨れ上がりよった。まあ、出来は完璧だったからいいんだけどさ。けど、1週間ずっとかやく御飯ばっか食ってたよ。
阿呆らしいので全部の写真は撮ってないけど、他の幾つかの画像も載っけておく。

 

 
この際、オカズ軍団の画像も添付しておくか…。

 
【秋鱧の落とし】

 
鱧の本当の旬は夏ではなくて秋だ。この鱧は終いの鱧ってところかな…?
軽く刷毛で片栗粉をまぶし、火が入り過ぎないように、サッと茹でて氷水で締める。
味付けは塩と山椒のみ。
脂が乗ってうみゃーいd=(^o^)=b

 
【万願寺唐辛子とじゃこのおばんざい】

 
おばんざいの代表格である。
じゃこは乾燥したのを使い、酒、味醂、醤油で味を整える。ちょっとだけ仕上げに太白胡麻油を入れてみた。
若い時はジジむさいので敬遠してきたが、オッサンになるとこういうのがしみじみ旨いんだよなあ。

 
【烏賊と子芋の煮物】

 
コレも煮物の代表であり、黄金コンビ。
主役はイカではなく、あくまでも子芋。イカの出汁を吸って旨いんだよ、コレが。

 
【雪花菜(おから)】

 
コレまたジジむさいオカズの筆頭。
自分で作ったので、甘さは控えめにしてある。ゆえに地味だけど旨い。

  
【鯖の塩焼き】

 
鯖の塩焼きって、シンプルに美味いよねぇ。
鉄板です。

 
【なめこおろし】

 
軽く塩を振って水気を出しておいた胡瓜とサッと茹でたナメコを大根おろしとあえる。この料理は辛さが命なので、大根は皮ごとする。そうするとヒリヒリする大根おろしになるのだ。あとは醤油かけて七味振って出来上がり。
好きなんで、時々つくる。

 
【金平ごぼう】

 
牛蒡はささがきにはしないで、細めの拍子切りにする。歯応え重視なのである。だから人参も火を入れ過ぎず、食感を生かす。コレも甘くなり過ぎないように注意した。満足な出来上がり。

 
【う巻き】

 
木津卸売市場内のスーパーで売ってるもの。
中の鰻は当たり外れがあり、これは鰻の量が少なくてハズレ。
それでも味は良いから、時々買う。

 
【寒ブリの刺身】

 
寒ブリの旨い季節になってきましたなあ(о´∀`о)
脂が乗ってます。

 
【茄子の煮物】

 
どっちかというと白飯にあうオカズなんだけど、茄子をそろそろ使い切らないといけないので作った。
まあ薄味にしてあるし、かやく御飯に合わないワケがない。

 
【法蓮草のおひたし】

 
当然、かやく御飯には合うオカズ。
根元の赤いとこや根先は切り落とさない主義。冬が近づくと、ここが甘くなるから捨てるのは勿体ないのだ。

 
【浅蜊の酒蒸し】

 
酒をぶっかけて、蓋をして鍋にかければ直ぐに出来上がり。味をみて、薄いようなら塩少々を振る。
誠にもって簡単だけど、旨いんだよなあ。

 
【ぬたあえ】

 
分葱(わけぎ)を熱湯で茹でて水気をしっかり切る。イカは固くならないようにサッと茹でて、これもしっかり水気を切る。仕上げる直前にキッチンペーパーで拭き取ると水っぽくならない。
市販の辛子酢味噌は甘いので、少し辛子を足して調整。あとは茗荷も合わせてざっくり混ぜる。
オッサンの象徴みたいな代物でダサい食いもんだから、若い頃は居酒屋でヌタを旨そうに食ってるオッサンに殺意さえ覚えたものだが、最近は居酒屋のメニューにあれば必ずたのむ。今や完全にオッサンの仲間入りなのである。コレからはヌタ食ってる時は周りを見よう。殺意ある目でコチラを冷ややかに見てる若者がいるかもしれない。で、『オマエもオッサンなったら、好きなっとるどー。笑ってるのは今のうちじゃ!』と言ってやろう。

 
【たたき長芋】

 
長芋を短冊に切り、ビニール袋に入れて瓶でドツく。
こうするとシャリシャリ感とぬるぬる感が同時に楽しめるのだ。
器に盛り、鰹節、醤油をかけて出来上がり。
簡単で絶対に失敗しない代物。海苔かけたり、卵の黄身を加えても美味しい。

 
【鶏わさ】

 
これまたお手軽オカズというか、どちらかといえば酒のアテか…。
基本的な作り方は鶏のササミをサッと茹でて削ぎ切りにして、山葵を乗っける。あとは醤油につけて食べるだけ。梅肉と煎り酒を混ぜたもので食っても美味。
因みに、今回は少し手が込んでて、酒と昆布の出汁にくぐらせて火を入れ、冷ました出汁に一晩浸けたもの。言わずもがな旨さである。

 
【しらす干し】

 
熊野灘のしらす。
イオンで珠に売っているのだが、ここのしらすは塩加減が絶妙。
しらすは大きなものよりも小さいものの方が、柔らかくて雑味も無くて旨いと思う。

 
【ひじきの煮物】

 
これまた甘さをおさえたもの。
こういうジジむさいものも最近はかなりレベルの高いものを作れるようになった。

  
【自家製浅漬け】

 
世間では捨てられることの多い大根の葉と皮、あとちょっとだけ余った胡瓜で作った。
ビニール袋に鷹の爪、塩、昆布の顆粒だしを入れて揉み揉みして一晩おけば出来上がり。
毎回、テキトーに作っているが、失敗は少ない。
賢い主夫なのだ。誰か婿ってくれよー。

そういえば、別な組み合わせもあったな。
関西では、かやく御飯といえば饂飩とのセットが定番である。うどん屋のかやく御飯も麺あってのものなので、基本は薄味である。
旨いうどんと旨いかやく御飯があれば、幸せなのだ。

でも、謎のブラックホール食糧庫には素麺しかなかったので、にゅうめんを作った。

 

 
にゅうめんでも全く問題無しである。合う。
参考までに言っとくと、素麺は『半田そうめん』を使った。「半田そうめん」を知らない人もいると思うので、軽く説明しておく。
徳島県つるぎ町(旧半田町)で伝統的に作られている手延べそうめんのことで、特徴は一般的な素麺よりも少し太く、そうめんとひやむぎの中間ぐらいの太さである。
あれっ?にしては細いなあ…。もしかしたら、島原そうめんだったかも( ̄∇ ̄*)ゞ

それで思い出したけど、蕎麦との組み合わせもあったな。

 

 
とろろ蕎麦との組み合わせである。
蕎麦は十割そばの乾麺。出来はまあまあ。
なので、最後はとろろ汁をかやく御飯にかけて食ってやった。どうなるか怖かったけど、旨かった。蕎麦なんて使わずに、最初からそうしとけば良かったよ。

かやく御飯ばっか食い続ける中で、ふと幼少の頃からの疑問が頭をもたげた。何で「かやく御飯」って名前やねん❓という素朴な疑問である。
子供心に思い浮かんだ類推は、当然「火薬御飯」である。食うたら口の中で💥爆発すんのかーい❗とツッコミは絶対入れてたと思う。アホな子だから、昔は忍者の暗殺方法の一つで、それがいつしか転じて、庶民の間で具の多い炊き込み御飯の名称になったとかムチャな解釈をしてたっけ。
大人になると、流石にまさか語源がそんな馬鹿げたものであるワケがないとは想像がつく。おそらく「かやく」は「火薬」ではなくて「加薬」だろう。ようするに色んな具材を入れることによって、同時に色んな栄養素が取れるから体に良い。つまり薬がわりにもなるという発想ではないだろうか❓ また初期の頃は、実際に薬も入れていたのではなかろうか❓ 大方、商業の町である船場辺りで生まれ、忙しいからオカズ要らずと流行り、その後定着していったものだろう。今はそんな風に考えている。
でも間違ってるいるかもしんないので、一応ググってみた。

【かやくご飯の語源・由来】
「かやく」は「火薬」ではなく「加薬」と書き、本来は漢方薬の効果を高めるために補助的な薬を加えることや、その薬をいう漢方の用語である。その補助的な意味から、五目飯やうどんに入れる具(主材料を引き立たせる副材料)を言うようになり、五目飯を「かやくご飯」と呼ぶようになった(出展『語源由来辞典』)。

まあまあというか、ほぼ合ってたやん(^-^)v

因みに、Wikipediaだと「かやく御飯」では直接ヒットせず、「炊き込み御飯」の項のなかに出てくる。おいおい、かやく御飯ってまさかマイナーなの❓

「炊き込みご飯(たきこみごはん)は、米料理の1つ。五目ご飯、五目飯ともいう。関西では加薬ご飯(かやくご飯)、かやくめしとも言う。」

Σ( ̄ロ ̄lll)えーっ❗❓、かやく御飯って言ってるのは関西人だけなのー❓全国どこでも「かやく御飯」だと思ってたけど、違うんだ…。関東なんかは「五目ごはん」と呼ぶのが主流らしい。
何十年とそれを疑う事なく生きてきたから、青天の霹靂だ。何だか愕然としたよ。

さらに愕然としたのは、Wikipediaで「平茸」の項を見たら、味とかが糞味噌に書いてある。
ワナワナしつつ、そのまま抜粋する。

「かつては、本種をビン栽培して株立ち状に仕立てたものが「シメジ」を名乗って流通していたが、その後キシメジ科シロタモギタケ属のブナシメジが「ホンシメジ」を騙って流通するようになり、品質でも名称でも劣るヒラタケの「シメジ」は徐々に姿を消していった(現在はブナシメジも「ホンシメジ」を名乗ることが事実上禁止されている)。ヒラタケはその後、袋栽培などによって、ビン栽培よりも傘が大きい野生の形状に近い姿に仕立てることによって、再び市場に出回るようになった。」

何が「品質でも名称でも劣る」だ。おまえ、舌音痴かよ? 平茸を不当に貶めているとしか思えん(-_-#)
信じられん…。納得いかないので、さらに他のサイトの解説を探すことにした。Wikipediaは所詮は半分はトーシロが書いたものだ。経験から全面的に正しいものではないと知っている。結構、間違っている箇所が多いのだ。皆さんも、そのまま鵜呑みにしない方がいいよ。

キノコ栽培といえば、ホクトである。そこのホームページを見たら、霜降りヒラタケの項に色々書いてあった。これも邪魔クセーので抜粋じゃ(=`ェ´=)

「ひらたけは味の良いきのことして昔から親しまれてきました。しかし、ブナシメジやエリンギに席巻され生産量が減少傾向にありました。傘が薄くて柔らかいため、流通過程において物理的な損傷を受けやすく、日持ちが良くないことも原因の一つと考えられています。
当研究所では、日本産ひらたけとエリンギなどのヨーロッパ産ヒラタケ属との種間交配に成功しました。さらに交配育種による品種改良を重ね、従来のひらたけよりも傘が肉厚で日持ちがよく、収量性の良い「HOX 1号」を開発しました。
傘に独特の霜降り模様が見られることから、商品名を「霜降りひらたけ」として2012年秋から販売を開始しました。霜降りひらたけは特に旨味が強く、歯ごたえの良い美味しいきのこです。」

キノコのプロ中のプロ、天下のホクトさんが言ってんだから、やはり平茸は旨いんである。
クソWikipediaめがっ、危うく騙されるとこじゃったよ。

ともあれ、消えた理由がブナシメジの台頭以外にもあったんだね。
「傘が薄くて柔らかいため、流通過程において物理的な損傷を受けやすく、日持ちが良くない」というのは納得だね。
とはいうものの、全ては企業側の都合とバカな主婦の見てくれ重視が招いたものだ。そんな理由かと思うと、脱力してきたよ。
何か、この国のゆく末が見えてくるよ。マスコミといい政治といい、犯罪の質といい、全てがダメになってきているような気がするわ。ニセモノだらけじゃないか。

                    おしまい

 
追伸
因みに、霜降りヒラタケはあまり評価しない。
見た目ほど旨くないと思うんだよね。松茸を越えるとか謳ってるけど、それは幾らなんでも盛り過ぎだろ。キノコ業界って、怖いくらい嘘が蔓延してるよね。まあ、そもそもキノコそのものが自然界ではフェイクだらけで、ニセシメジ満載の毒キノコばっかなんだから致し方ないか…。
栽培されてる比較的新しいキノコで旨いのは「大黒しめじ」「ハタケシメジ(丹波しめじ)」、最近では生の「どんこ椎茸」かなあ…。おっ、そうだ。「大黒しめじ」がホンマもんのシメジ、本シメジらしい。でも、嘘ばっかの業界だから、ホントかよ?とちょっと疑ってる。
松茸は無理としても(註2)、そろそろ「ポルチーニ茸」を何とか栽培できるようにしてくれんかのう。

 
(註1)拙ブログにも以前書いたので
軽くネットでググって探してみたけど出てこなかった。出てきたのは昔アメブロに書いた最初期のブログ記事だけだった。そこに『イガちゃんの勝手に美味礼讚』というシリーズがあって、その4に「大日本キノコ戦争・哀愁の平茸は何処へゆく」というのがあった。ブログを書き始めた初期の頃からフザけていたのだ。アホは最初からアホだったかと思うと、力が抜けるわ。
余談だが、このブログには幻の名作とも言われる『虫屋と呼ばれる人たち』という連載とその番外編がある。興味のある方は上記のキーワードで検索すれば、出てくると思う。
それにしても、絶対「大黒」について精緻に書いた文章がどっかにある筈なのになあ…。労作なのにぃー。ホント、何処行っちゃったんだろ❓

(註2)松茸は無理としても
最近、バカマツタケという近縁種の栽培に成功したらしい。学名も Tricholoma bakamatsutake で、まんまのバカマツタケなのは可哀想だけど笑える。
バカとつくのは、松茸よりも早く夏に出てくるからなんだそうな。早松茸(サマツタケ)とも呼ばれている。バカと名がつくが、味と香りは近縁なだけに松茸と変わらないらしい。むしろ松茸よりも味も香りも良いと云う意見もある。しかし、全く逆の評価もあるからややこしい。コレは本当にバカで勘違いして早く出てきてしまった松茸と混同されているからだとも考えられる。その時期の松茸は殆んど香りがしない駄物という説があるからだ。
但し、マツ林ではなくてブナ科のミズナラ、コナラ、ウバメガシなどの広葉樹林で発生するようだから、生えている環境によって区別はできるんじゃないかな。でも店頭に並んでたら、ワカンないけどさ。
とにかく、このバカマツタケ、上手くいけば2021年辺りに市場に出回るらしいよ。そうなれぱ、このバカマツタケがマツタケと言われるようになんだろなあ…。で、本来の松茸は本マツタケって名乗るようになるのが目に見えるよ。バカマツタケが、どんな名前で流通するか楽しみだよ。
「ソウロウマツタケ」に一票❗(笑)

 

喋くりまくりイガ十郎

   
1週間ちょっと前(12月7日)、日本鱗翅学会の東海支部総会に招待されて、不肖ワタクシなんぞが講演しに名古屋へ行って参りやした。
お題は今年7月に新発見されたカトカラ、マホロバキシタバ(註1)についてである。

 
【マホロバキシタバ Catocala naganoi mahoroba】
(2019.7月 奈良市)

 
しか~し、いい加減ちゃらんぽらん男のイガちゃんである。なあ~んも考えずにノープランで大阪からノコノコやって来た。

駅から講演会場に行く道すがら、流石にヤバいと思って話す内容を真面目に考え始めた。
それにしても、名城大学って坂が多すぎ。どうも物事を考えるのに坂道というのは向いていないようだ。考えがまとまらぬうちに会場に着いてしまう。

で、受付でチャラける。
受付が大学院生の可愛い女の子たちだったから、ソッコー笑いを取りにいってしまう。往年の悪いクセが出た。オジサンになってもアホはアホのまんまなんである。

で、調子に乗って話し込む。
一人の女の子は苔とハダニの研究をしているそうだ。
こんな若い娘がハダニとな。世の中、ワカンねえよなあ。

でも今は油を売っている場合ではニャーい(ФωФ)
「早く喋る内容を考えなさいよ、イガ十郎くん。アンタ、名古屋は鬼門やろ。恥かくで。」
心の中で自分で自分に軽くツッコミを入れて外に出る。大学構内は全面禁煙なので、外で煙草を吸いながら考えようと思ったのだ。時間はまだ30分ある。何とかなるだろう。っていうか何とかせんとマズイ。

パンフを改めて見る。
わおっ(゜ロ゜;ノ)ノ、特別講演になっとるやないけー。ちょっと背中がムズ痒い。

 

 
講演名は『マホロバキシタバ発見を振り返って』。
自分で考えたのではない。お任せしたら、そうなっていた。まあ題名としては特に問題はないし、解りやすい題名だ。つまりは、それに従って喋ればいいってだけの事だよね。問題は、最後にどうもっともらしい事を言って壇上を降りるかだ。纏まりのない話を延々して終われば、ノータリンと思われかねない。アホなクセに賢く思われたいのだ。
坂道を下りながら考える。登り坂は物事を考えるのには向いていないが、下りながら考えるのには向いている。何となく考えが纏まってきた。
取り敢えず、アタマの入りとケツの〆だけを決めた。真ん中部分は思い付くままをテキトーに箇条書きでメモっておいた。アタマとケツだけシッカリやっとけば、体裁は何とか保てるだろう。
けど、こんなんで1時間も喋れんのか❓と一瞬思った。講演なんて一度もした事がないのである。だったら、ちゃんと準備しとけよなー、俺。
けんど、アッシは昔から根拠の無い自信に満ちた男なのさ。お気楽なんくるないさで、マイナス思考を打ち消す。幼少の頃より何でもぶっつけ本番で生きてきたもんね。
お題について喋ることが無くなって、早く終わりそうになったら、途中から全然関係ない別の話にすり替えれちまえ。ウケさえすれば、聴衆も文句は無かろう。

会場に戻ると司会の若い子が打ち合わせに来た。
『内容は何をどう話される予定ですか?』
『ワカラン。ノープランでぇーす\(^o^)/。その場で適当に考えて喋りまーす。』
フザけた男である。でも、気がつけば口がそう勝手に動いていた。どうせ、お喋り糞野郎の犬の漫才師なのだ。

考えが今イチ纏まらぬうちに、いよいよ犬の漫才師劇場開幕。
流石に、やや緊張する。マイクを持って人前で喋るだなんて、あんまし有ることじゃないもん。そのまま歌でも歌って帰ったろかしらという考えがチラついたが、そんな事は幾らおバカなアチキでも、ようやりまへん。ここは真面目に話すしかない。肚を据える。

喋り出したはいいが、口の中が直ぐにパッサパッサになる。噛みまくりやがな。
こりゃマジイと思って早々と壇上を降り、持参のお茶を取ってきて飲む。( ̄∇ ̄*)ゞカッコわるぅ~。
でもそれで少し落ち着けた。あとは秋田さんの悪口をちょいちょい挟みつつ笑いを取りながらのマシンガントーク。予定の1時間を越える1時間15分も喋ってしまった。犬の漫才師の面目躍如である。

あっ、秋田さん、尊敬している旨もちゃんと話して、フォローも入れときましたから怒らないでネ(^。^)

 

 
画像はアチキが講演している姿ではないが、会場はこんな感じでありんした。

 
因みに自分のあとの講演は以下のようなものでした。

◆鈴木英文「ラオス10年間の蝶類調査の結果」

◆高橋真弓「蝶はなぜそこに棲むのか」の謎を追って

◆大岡啓二「ベトナム北部クックホン国立公園の蝶 2019」

自分もラオスには三度ほど行っているので、鈴木氏の講演は興味深かった。講演後、ビャッコイナズマのポイントも教えてもらったし、🎵ラッキョンキョンキョン。有意義だった。それだけでも来た意味はある。引きだけは強いから他の稀種には会えるのだが、ビャッコだけがナゼだか会えないのだ。

高橋真弓さんには御迷惑をお掛けした。
自分が15分も超過して喋ったので、講演時間を短くさせてしまった。この場を借りて謝らせて戴きます。先生、申し訳ありませんでしたm(__)m
因みに、せんせは女の子みたいな名前だが、男性のお爺ちゃまです。

高橋真弓さんといえば、蝶界の重鎮である。蝶屋で名前を知らない人はいないだろう。
数々の著書もあり、自分も名著と名高い『チョウ-富士川から日本列島へ』を小学生の時に読んだことがある。大人になって虫採りを再開した時にも読み直した。そんな尊敬する先生の時間を、結果的に削るだなんて恐縮しきりである。
その偉業の中でも特筆されるのは、従来1種類と考えられてきたキマダラヒカゲには実を云うと2種類が混じっていると看破したことだろう。
山地にいるものと平地にいるものとでは羽の模様が微妙に違うが、学者はキマダラヒカゲの単なる山地型と平地型だと片付けてきた。ところがどっこい、高橋先生はこの山地型と平地型を別種だと見抜き、生態や幼虫形態などを精査し、1970年に両種が別種であると証明されたのである。そして、それまで山地型とされてきたものを「ヤマキマダラヒカゲ」、平地型を「サトキマダラヒカゲ」と名付けられた。
この「日本産キマダラヒカゲ属 Neope に属する二つの種について」という論文は、全国の蝶愛好家に衝撃を与えたという。
そりゃそうだ。その年代だと海外を含めてまだまだ新種探しに熱かった時代だ。全く見た目が違う未知なる新種を追い求める虫屋が多かっただろう。そんな中にあって、先生はごく普通種のキマダラヒカゲに疑問を持ち、隠された事実を暴き出してその常識を覆してみせた。そして、それが新種として記載されたワケだから皆がビックリ仰天、灯台もと暗しの目から鱗だったようだ。

 
【サトキマダラヒカゲ】
(2018.5.奈良県 信貴山)

 
なんか、このサトキマって白くねぇかあ?…。
写真撮るのに必死で、その時は気づかんかった。スマホで写真を撮るには相当近寄らなくてはいけないので、大変なのだ。今さらだが、写真なんか撮らずに採れば良かったよ。
でもサトキマなんて、自分的チョウのヒエラルキーの中においては最下層なのだ。普段はフル無視で、ウザい存在でしかない。なので展翅画像もない。ゆえに図鑑からパクらせて戴く。

 
【サトキマダラヒカゲ(里黄斑日陰)】
(出展 以下3点共『日本産蝶類標準図鑑』)

 
【ヤマキマダラヒカゲ(山黄斑日陰)】

 
【両種の見分け方】

 
今さらながらに思うけど、見た目が殆んど同じやないけー。バリエーション豊富な同種にしか見えない。
こんなもん、よくぞ別種と見抜いたなあと思う。
高橋せんせは、やっぱ偉いや。

こう云う誰もが見過ごしてきた「当たり前」を覆したという意味では、マホロバキシタバも蛾愛好家たちに同じような衝撃を与えたかもしれない。
蛾の中でも特に人気が高く、愛好者も多いカトカラから今時まさか新種が見つかり、しかも離島や深山幽谷ではなくて、奈良市内で見つかるだなんて誰も想像していなかったのだ。
けんどオラって蛾屋じゃないから、その衝撃度を周りから言われても今イチ実感は湧かなかったんだけどね。
此処は大物のオオトラカミキリやギガンティアもいるカミキリムシ屋の聖地の一つだし、近年ではゴミムシダマシの聖地と言ってもいいだろう。またルリセンチコガネなど糞虫を求めて訪れる人も多い場所だ。蝶屋だって昔はルーミスシジミやオオウラギンヒョウモンを求めて足を運んだ人は相当数いたと思う。そんな虫屋が数多く入ってきた場所にも拘わらず、長い間発見されてこなかったのである。まあ、そこそこ知識のある虫屋なら驚くわな。絶対に、網膜には映った虫屋は何人もいた筈だからね。つまりは、見えてはいるのに見逃してきたのだ。
だから自分の講演の最後には「少しでも変だなと思ったものは採った方がいいっすよ。どんな小さな事でも疑問に思ったことは自分で調べましょう。予断や常識に囚われない事が大事です。そしたら、意外と皆さんの周りでも新たな発見はあるかもしれませんよ。」云々的な事を言って締め括った。

何かさあ、偶然にもさあ、その先駆者である高橋真弓先生を前にしてこんなセリフを喋れてる自分って、超幸せ者だなと思ったよ。会場でコレを堂々と言える特権を有するのは先生とワシだけだと思うと、強い縁を感じたね。コレって、嘘みたいに偶然過ぎやしねえか❓
神様はきっとテキトー過ぎるワシをテキトーに話させないように高橋先生を遣わしたに違いない。今ではそう思ってる。

 
と、カッコつけて、ここで句切りよく「おしまい」としたいところだが、話はもう少し、いやもうそこそこ続く。

そういえば先生は、台湾のキマダラヒカゲについても調べておられ、従来タイワンキマダラヒカゲとワタナベキマダラヒカゲに分けられていたものを1種とし、ワタナベは単なる季節型(註2)だとも看破したんだよね。今度は1種が2種になるのではなく、2種が1種になるというキマダラヒカゲ逆ヴァージョンだね。

 
【タイワンキマダラヒカゲ Neope bremeri 】
(2016.7月 台湾 南投県仁愛郷 alt.1900)

 
う~ん、上翅を上げすぎてんなあ…。
触角は完璧なのにね。まだまだですわ。

 
(裏面)
(2016.7.12 台湾南投県仁愛郷)

 
キマダラヒカゲは日本では何処にでもいる普通種だが、台湾のタイワンキマダラヒカゲは少ない種なのではなかろうか❓
台湾には6月と7月の2度行った事があるが、この蝶にはたったの1回しか出会えていないのだ。その時に訪れた各ポイントの標高は200~3000mに亘るから、この見立ては間違いないと思うんだよね。それぞれ1週間以上は居たしさ。この2回を繋ぎ合わせると、6月中旬から7月下旬になる。発生期としてはド真ん中だと思うんだよね。
台湾にはキマダラヒカゲの仲間は他に明らかに違う別種が3種いるし、ヒカゲチョウの仲間やジャノメチョウ類の種類数は日本よりも遥かに多い。ゆえに食草の競合相手が多すぎるのかなあ…。テキトーに勘で言ってるから間違ってるかもしんないけどさ。まあ何れにせよ、食草を日本ほど独占は出来ないと思う。

珍しい種だと思ったら、途端にカッコ良く見えてくるから不思議だ。いや、違うな。採って見た瞬間には、直ぐに日本のキマダラヒカゲよかカッケーと思った記憶があるぞ。だから、これは後々の印象操作ではないと思う。タイワンキマダラヒカゲは結構カッコいいのだ。

 
最後に講演された大岡啓二氏は全く知らない人かと思いきや、冒頭の自己紹介でアレ?っと思った。面識は無いけれど、お名前は存じている方だったのだ。
まだまだ蝶屋駆け出しだった頃、大岡氏が『みやくに通信』に書かれた「熱帯降雨林における蝶採集法(註3)」と題された文章は何度も読んで参考にさせて戴いたし、ブログ『ジャングルに蝶を求めて!』の海外採集の情報から随分とヒントも得た。特にバンカナオオイナズマとダンフォルディーチャイロフタオの探索に際しては、初動のヒントを貰えたという記憶がある。
それにも増して大岡氏といえば、特異なキマダラルリツバメの発見者として名の通った人だという印象がある。種名は何だったっけ❓ 確か奥さんの名前が付いてたんだよね。

調べてみたら、やっぱそうだった。

 
【Spindasis masaeae マサエキマダラルリツバメ】
(出展『清邁極楽蜻蛉』)

 
(出展『ジャングルに蝶を求めて!』)

  
キマダラルリツバメの仲間の中では異端。一見、異常型に見えるくらいに変わっている。
木村勇之助氏は、図鑑『タイ国の蝶』で、コレに「キッカイキマダラルリツバメ」なる奇っ怪な和名をつけている。まあ、それくらい変なキマルリって事だね。
 
大岡氏によって、1995年の3月にタイ北部チェンマイで2個体が初採集され、2000年4月に関 康夫氏により新種として記載されたものだ。
コレも考えてみれば、きっと目から鱗の発見だったんだろうと思う。まだ蝶採りしてない頃の発見だから、あくまでも想像だけど。

ドイステープ(Doi suthep)はチェンマイの市街地から、かなり近い。中心部からバイクで30分くらいで山の麓まで行ける。上に有名な寺があって観光客も多いからアクセスもいいし、道も良い。そんなワケだから、日本人を含めてかなりの虫屋が訪れている。なのに長年見つかってこなかったのだ。そう云う意味ではマホロバと発見のシチュエーションが似ているかもしれない。つまり、まさかまさかの新発見なのである。つーことは、この会場にはアチキと高橋先生以外に、もう一人同じ立ち位置を経験されてた人がいたんだね。だとしたら、スゴい確率だよなあ…。
大岡さんには怒られるかもしんないけど、神様は更なる一人をアッシの助けに召喚してたんだね。( ̄∇ ̄*)ゞエヘ、どんだけ自分に都合のええ解釈やねん(笑)。

閉会後、真っ直ぐ帰るかどうか迷ったが、結局飲み会にも参加した。
6、7年前だろうか、ヒサマツミドリシジミを京都・杉峠に採りに行った折りに会った若い青年とも再会できた。彼は当時京都在住だったが、その後に名古屋へ居を移したという。とは言っても、彼に言われるまで全然忘れてた。出来事は何とか憶えてはいたものの、顔はのっぺらぼう、おぼろげでしか記憶にない。青年よ、ゴメンね。でも、そんなのはキミに限った事ではない。所詮はニワトリ並みの脳ミソしかない男なのだ。人の事は大概忘れてる。こう云うケースは過去にも多々あるのだ。「どこそこで会いましたよね。」とは、よく言われる。お喋り犬の漫才師の変な人だから、向こうの記憶には残りやすいのかなあ…。

そうだ。あの時の帰りは結構スゴい人に送ってもらったんだよね。
ヒサマツの食樹の発見に関わり、また『楽しい昆虫採集案内』という伝説の採集バイブルの「京都北山」の項を執筆された方に車で出町柳まで送ってもらったのだった。そういえば、オオイチモンジの交尾写真を野外で初めて且つ完璧に撮ったのも自分だと仰って、証拠写真も見せて戴いたっけ…。

飲み会は楽しかった。
知っている人は誰もいないので、名古屋はアウェーなんだけど、全然そういうのは得意というか、物怖じしない。必要以上の気配りは無駄だと思っているのだ。言いたいこと言いまくって、楽しく過ごさせて戴いた。優しき人たちで、良かったー(^o^)

根がミーハーなだけに、最後には高橋先生ともツーショット写真を撮らせて戴いた。

 

 
先生って、柔和で良いお顔をされてるなあ…。
御年80歳だっけ…。まだまだ日本の蝶界には必要な方だから、長生きされてほしいものだ。

 

 
(|| ゜Д゜)ゲッ、それに引きかえアチキの顔が丸い。パンパンやないけー。思ってた以上に太ってんなあ…。
知らんうちに、見た目まで嘗てない程に太っとるわ。今年は夏場でも体重があまり落ちず、ずっと例年よりも5㎏前後オーバーで推移してきてたんだよなあ…。ベスト体重からだと、7㎏オーバーだもんね。
来年は東南アジアに行って、また過酷な旅でもしない限りは戻らんかもなあ…。
そんなことはどうでもよろし。
とにかく東海地区の虫屋の皆様、本当に有り難う御座いました。d=(^o^)=bとても楽しかったです。

                    おしまい

 
追伸
マホロバキシタバ関連の記事は、他に以前に書いた『月刊むし10月号が我が家にやってきた、ヤァ❗ヤァ❗ヤァ❗』と云う文章があります。又この文章以後には、2019’カトカラ2年生のシリーズ連載に2篇書きました。2篇と言っても、マホロバキシタバ発見記『真秀ろばの夏』と題して書いたものの前・後編だけどさ。現時点ではマホロバキシタバについて最も詳しく書かれた文章です。言い切っちゃうけどね(笑)。

 
(註1)マホロバキシタバ
日本においては、32種目のカトカラ。発見の経緯や生態等については『月刊むし』の10月号に詳しく載っているので、興味のある方はソチラを読まれたし。

(註2)単なる季節型
従来ワタナベキマダラヒカゲと呼ばれていたものは、単なるタイワンキマダラヒカゲの春型、もしくは秋冬型なんだそうな。

(註3)「熱帯降雨林における蝶採集法」
宮国(充義)さんが発行してた蝶のミニコミ誌『みやくに通信』の2012年のNo.195号とNo.196号に前・後編に分けて掲載された。
熱帯ジャングルでの蝶の採集法について、疑問に答える形式で基礎から応用まで細かく書かれている。東南アジアに蝶採りに行く人は必見です。

 

フレスコのカツサンド

 
11月にママチャリで伊丹にシルビアシジミ(註1)の様子を見に行った帰りに北浜に寄った。
目的はスーパー「フレスコ」に行って、カツサンドと京都の「ミスターギョウザ」が出している冷凍餃子を買うことだった。

 

 
ここのカツサンドがメチャンコ旨い( ☆∀☆)
時々、無性に食いたくなる。でもマイナーなスーパーゆえ(註2)、近所には無い。というか大阪市内では見たことがない。
というワケで、今回は事前に大阪市内にあるフレスコを調べてワザワザ寄ったのである。

このカツサンドを知ったのは四條畷のフレスコだった。
2018年のゴールデンウィーク、久し振りに四條畷にミヤマカラスアゲハ、スミナガシ、アオバセセリの様子を見に行った帰りに見つけたのだ。

 
【ミヤマカラスアゲハ 春型♂】

(2018.5.28 大阪府四條畷市)

 
数ある日本の蝶の中で、最も美しいと思う人も多い美麗種だ。

 
【スミナガシ 春型♂】

(裏面)

 
見た目も名前も渋くて美しい。
眼が青緑色なのも蜜を吸うストロー(口吻)が紅いのも、日本ではこの蝶だけだ。何かと素敵な奴なのだ。

 
【アオバセセリ 春型♂】

(裏面)

 
野崎観音から登り、尾根を縦走して四條畷に下りたので相当疲れた。だから、ご褒美に駅前でビールでも飲もうとスーパーに寄ったのである。

そこに、こんなポップがあった。

 
(出展『京都で暮らそう』)

 
「スーパーマーケット お弁当・お惣菜大賞」なんて賞が世の中にあるだなんて全く知らなかった。聞いたことがない。ちょっと胡散臭いような気もするが、何せ準大賞なのである。期待をそう裏切ることはないだろう。
値段も350円と安いし、買うことにした。

 

 
見よ、この分厚さを❗

 

 
渇いた喉にグビグビとビール(スマン、この日は発泡酒やった)を流し込む。で、おもむろにカブりつく。

( ☆∀☆)うんめえーっ❗
食べてみて驚いたのは、簡単に歯でスッと噛み切れたことだ。この厚さなのに肉が柔らかいのである。しかも変に脂っぽくない。かといってパサパサでもない。しっとりとしているのである。
ソースも旨い。甘辛さのなかにコクがあるのだ。
この値段で、このクオリティーは正直やるなと思った。
更に驚くべきは、このカツサンドには端っこが使われていないことだ。カツの厚さが全て同じなのである。
分厚いカツサンドは今やそう珍しいものではない。しかし、上から見たら分厚くとも、横から見たら下がスカスカだったりする。ようするにカツの端っこの丸い部分が使われているのだ。謂わば詐欺みたいなものなのだ。何度、騙された事か。イオングループの厚切りロースカツサンドなんて酷い。3切れ入っているのだが、まともなのは真ん中だけで、両端はボリュームに劣る端なのだ。ようは小さめのカツを三分割しているってワケ。
因みにフレスコのカツサンドの端っこの部分は、端っこだけ寄せ集めて少し安い値段で売っている。

その年の夏、シロシタバ(註3)の産地探索の折りにも買った。

 

 
この時は3個入り(¥498)のを買った。
昼過ぎから夜遅くまでの長丁場になる予定だったからだ。

 

 
夜間に駅に戻って来るので、この日は春とは逆に先にカツサンドを買ってから山に入った。
美味いのは勿論だが、背水の陣での探索だったので縁起を担いだというのもある。カツ=勝つというワケだ。
お陰さまで、大勝利だったよ。

あまりにも旨かったので、数日後の再訪の折りには合流予定だった小太郎くんの分も買っていった。

 

 
今年2019年も買って、山へ登った。

 

 
この山には、その後もう1回入ったのだが、その時は買えなかった。売り切れていたのである。それなりに人気商品だから、夕方近くには売り切れてるケースもあるって事だね。ガックリきたよ。

それ程このカツサンドが好きなのだが、1つだけ不満がある。辛子があんま効いていないのである。だからといって、わざわざ山にチューブの辛子を持ってゆくのはバカバカしい。かといって現地で買うというのも何か腹立つ。ようするに虫採りに行くのに、そういう煩わしいことはあまり考えたくはないのだ。

と云うワケで、今回は外で食うのではない。家で食うのだ。カラシなら冷蔵庫にある。思う存分に塗りつけてやる事が出来る。荷物がちょっとでも増えるのが嫌な人なのだ。

 

 
でや❓、思う存分という程ではないが、たっぷりと塗りつけてやったわい。
バクッといったるでぇー(*`Д´)ノ❗

ガブッ❗❗
辛っ❗鼻にツンときたよ。涙もちょい滲んだわ。
それをビールで流し込む。辛いが美味いねぇ。
あ~、でもソースが辛子に負けてるような気もする。バランスがやや悪い。( ̄ヘ ̄メ)ソースも増量したろか。
でも、思いとどまった。これ以上何かを加えると味のバランスがブッ壊れると思ったのである。
きっと辛子の量を減らすのが正解だな。
よし、これからは「551の豚まん」を買う時は辛子を多めに貰おう。で、それを貯めてやろう。
来年、四條畷に行く時は、その貯めた辛子持ってゆくのだ。さすれば、チューブみたくそう邪魔じゃない。
その際、キンキンに冷えたビールも持ってゆこ~っと。

                    おしまい

 
(註1)シルビアシジミ

 
シバ草原に見られる小型のシジミチョウで、絶滅が危惧されている。拙ブログに『シルビアの迷宮』と題した連載ものがあります。謎が謎呼ぶミステリーなので読んでみたい人はどうぞ。

 
(註2)マイナーなスーパーゆえ…
フレスコは京都府に本社を置く株式会社ハートフレンドが運営するスーパーマーケットで、京都ではマイナーではなく、ポピュラーな存在らしい。

 
(3)シロシタバ

 
主に山地に見られ、下翅の雪のような白が特徴的な大型蛾。飛んでいる姿は結構迫力がある。
現在、シロシタバについては執筆中。だが、上手く書けなくて懊悩、呻吟している。時々、呻き声を上げて、シャッシャッシャーと爪でガラス窓を掻きむしったりしておるのだ。

  

アリストテレスの誤謬

 

  『False hope knight

 

2019年 8月6日。

学生たちは去り、辺りは闇に包まれた。
長野・菅平高原にいる。白馬村で辛酸を舐め、大町市で何とか持ち直して、この地へと移動してきた。

菅平といえば、ラグビーの夏の合宿地としてファンならば誰しもが知っている裏の聖地とも言える地だ。
ゆえに、ポイントと決めた場所には沢山の若いラガーマンたちが夕暮れまでマジ走りでランニングをしていた。
たぶん高校生だろう。地獄の合宿ってところだ。
Ψ( ̄∇ ̄)Ψケケケ、血ヘドを吐くまで走りなはれ。それも時間が経てば、悪い思い出じゃなくなるんだから。

そういうワケで、キッチリ歩いてポイントの概要は下調べしておいた。
狙いはノコメキシタバとハイモンキシタバ、そしてケンモンキシタバである。
ノコメ、ハイモンの食樹のズミ(バラ科リンゴ属)とケンモンの食樹ハルニレ(ニレ科)は既に確認済みである。大町市で溜飲を下げ、流れも良くなってきてる。本日もミッションを遂行して凱歌をあげるつもりだ。まあまあ天才が調子に乗ったら、連戦連勝は当たり前なのだ。
Ψ( ̄∇ ̄)Ψおほほ星人が見える時は強いぜ、バーロー。

日没直後、ズミが多くあるところとハルニレだと思われる大木の周りに糖蜜を吹き付けてゆく。

暫くしてハルニレの大木前の木に、早速ケンモンらしき上翅の一部が白っぽいのがやって来た。

しゃあーι(`ロ´)ノ
余裕でシバく。

 
(2019.8.6 長野県菅平高原)

 
【同裏面】

 
幸先良いスタートだ。
その後、ピンチもそこそこ有りいのだったけど、持ち前の引きの強さでミッションを完遂した。
と、その時は思った…。
翌朝、それを蛾の若手ホープの小林真央くんにLINEで報告したら、「五十嵐さん、ケンモンと言ってるのはワモンですよ。」という衝撃の返信が返ってきた。
慌てて、送った画像を凝視する。

ガビ━━━━━ Σ( ̄ロ ̄lll) ━━━━━ン❗❗

おっしゃる通り、紛れもないワモンキシタバだった。
( ; ゜Д゜)何で❓、(;゜∀゜)何で❓
一瞬、狐に摘ままれたように(・o・)キョトンとする。もしかしたら、闇のイタズラ者ゴブリンにすり替えられたとか❓

暫く考えて得心がいく。
先ず、こんな時期にワモンがいるなんて云う概念が全く無かったのだ。続・ワモンキシタバ『欠けてゆく月』の回でも書いたように、関西では6月後半になるとボロばっかなのだ。8月にまさか鮮度の良いワモンがいるだなんて全く頭に無かった。ゆえに、てっきりケンモンだと思ってしまったのだった。

ワモンがズミも食樹としていると云うのも、完全に失念していた。ワモンの食樹といえば、関西ではウメ、スモモというイメージが強い。関西にはズミなんて殆んど生えてないのだ。

とはいえ、メチャクチャ格好悪い。
我ながら情けない事、この上ない。
でもさあ…、ネット見たら同じ間違いをしてる人が何人かいるじゃないか。アホなのは、ワシだけではないのだ。ちょっとだけホッとする。

考えてみれば、あのソクラテスやプラトンに並ぶ偉大な哲学者アリストテレスだって、現在ではその考えに多くの誤りがあるとされているのだ(註1)。ワシみたいな凡人が間違うのも当たり前じゃないか、(# ̄З ̄)ブー。

こういうのをボーンヘッドという。
コレで意気消沈。運が逃げて再びスランプに陥っていったのだった。ぽよよ( ;∀;)

                    おしまい

 
その時採ったヤツの展翅画像を載せておこう。

 
【ワモンキシタバ Catocala xarippe】

 
2頭とも♀である。
今年、関西では綺麗な♀が採れなかったので、まっいっか…。

 
追伸
今回は、謂わば『続・続 ワモンキシタバ』だすなあ。
メインタイトルも最初はそうしてた。でも何か気に入らなくて、現在のタイトルに変えた。

サブタイトルは、フォールス・ホープ・ナイトと読みます。
意味は「ぬか喜び」や「あらぬ期待」といったところ。
“false”は「間違った」「事実に反する」「偽った」などで、”hope”は「期待」「希望」。ナイトは「夜」ではなくて「騎士」の方です。意訳すると、「糠喜び侍」だ。
あっ、今にして思えばタイトルは「フォールス・ホープ・サムライ」にしても良かったな。直さないけど。
えっ?、騎士は馬に乗っているとな。「あんた、馬に乗って虫採りしとるんかい❓」とツッコミが入りそうだが、騎士は中世ヨーロッパにおける戦士階級の呼称、総称としても使われている。領主に仕え、武芸・礼節などの修業を通じて、騎士道を実践したものは皆ナイト(騎士)なのだよ。

メインタイトルについて誤解のないように言っとくと、流石に自分を偉大な哲学者アリストテレスになぞらえるだなんて不遜な考えはない。そこはシッカリ言っときますね。

何か、やっぱ調子悪いなあ…。あんま納得いく文章が書けないや。

 
(註1)アリストテレスの考えの誤り
誤謬の多さにもかかわらず、その知的巨人さゆえに、またキリスト教との結びつきにおいて宗教的権威付けがされたため、彼の知的体系全体が中世を通じ疑われることなく崇拝の対象となった。これが後にガリレオ・ガリレイの悲劇を生む要因ともなる。
中世の知的世界はアリストテレスがあまりにも大きな権威を得たがゆえ、誤った権威主義的の知の体系化がなされた。しかし、その後これが崩壊することで近代科学の基礎が確立し、人間の歴史は大きく進歩したとも言われる。
補足すると、アリストテレスの誤りの原因は、もっぱら思弁に基づいた頭で作り上げた理論でしかなく、事実に立脚していなかった。それゆえ近代科学によって理論の崩壊をみたが、それがその後に「Fact finding(事実を見出だしてゆくこと)」が新しい原理となったとする見解がある。

 

京揚げ

 
次回の『2018′ カトカラ元年』が全然書けない。
他の虫の事も全然書けない。スランプ、つまり絶不調なのだ。
というワケで、食いもんの話でお茶を濁す。

 

 
京揚げの焼いたん。
油をひかずに、弱火で両面を焦げ目がつくまで焼き、ネギと生姜を乗っけるだけと云う簡単おつまみである。

関西以外の人たちには京揚げという言葉にあまり馴染みがないと思うが、ようは油揚げのことである。
ただし厳密に云うと関東で売っているものとは別物で、あんなに薄っぺらくはない。もっと厚みがあるのである。これは、より厚めに切った豆腐を使って揚げているので、中に少し豆腐が残ってるってワケ。

「京揚げ」という名前の由来は、おそらく京都が発祥であろう。京都で油揚げといえば、コレだからね。

因みに、関東風の油揚げは関西でも普通に売っていて、ポピュラーな存在だ。こちらは関西では「うすあげ」と呼ばれている。
誤解無きよう付け加えておくと、どちらも油揚げとして認識されている。でも、油揚げと呼ぶことは殆んどなくて、両方とも「お揚げさん」と言われることが多い。関西では稲荷寿司のことを「おいなりさん」と言ったり、何でか知らんけど何かと「さん」づけをする風習があるのだ。

京揚げと油揚げ(うすあげ)には、もう1つ違いがある。それは大きさ。
油揚げは一般的に横幅15cmくらい、縦幅10cm前後のサイズで、スーパーでは1袋2~3枚入りで販売されていることが多い。
一方、京揚げは横幅が25cm~30cm、縦幅は10cm~15cmとかなり大きなサイズで、スーパーでは1袋に1枚入りで販売されている。

 

 
もちろん、醤油はかける。
でもって、上に乗ったネギと生姜をグシャグシャに混ぜる。それを左手でグッと押さえて、右手の箸でくるくると巻く。こうすれば、ネギがこぼれないのだ。
それを、あんぐりと口を開けてパックリいく。

外側カリッ、中しっとり。
(^o^)v旨いねー。
チープだけど、酒のツマミとしては高得点じゃよ。

 
                    おしまい