壮麗なる王女~ヤイロタテハ~(改訂版)

 
ここんとこ、ヤイロタテハの展翅をしてFacebookにあげている。
そこで、ふと思い立って記事を一つに纏めようと思った。本当は台湾の蝶シリーズを書くべきなのだが、次の題材選びに思いあぐねているのだ。当初はアサクラコムラサキの事を書こうと思ったのだが、そうなると、その前にタイワンコムラサキ辺りから始めないと話の流れが悪い。順番は大事である。後々、スムーズにいかなくなる。でもタイワンコムラサキだって、そう簡単に論じられるワケでもないのだよ、明智く~ん(ここんとこ江戸川乱歩関連の番組ばっか見ているのだ)。
そう、コレはブログの年末調整的にお茶を濁そうと云う計画なのである。それが、まさかの出口の見えない無間地獄に又しても陥る事になろうとは、この書き出しの時点ではまだ想像だにしていなかった。
(# ̄З ̄)ったくよー。

今までに、以下のような文章をFathbookにアップしてきた。
ついでだから少し手を入れたが、概(おおむ)ね文章は当時のままである。

 
去年、お嬢にお土産で戴いたマレーシア産のヤイロタテハ。

 
【Agatasa calydonia ヤイロタテハ♂ 裏面】

 
(@_@;)ゲッ、お漏らしで翅がグチャグチャやんか。揚げ句、首チョンパのバラバラ~。あらあら、腐ってたのね~。あと2頭残ってるから、まっ、いっか…。
とはいえ、この個体が最も紋が鮮やかで形もいいんだよなあ…。こういう汚れた蝶を綺麗に修復する方法って、ないものなのかしら。

Σ( ̄ロ ̄lll)ゲッゲッ~❗

 

 
2頭めのヤイロタテハもお漏らしさんだべさー。
フタオチョウとかコイツらって、下(しも)がホントっゆるい。食ってるもんも腐った果実や糞尿とかでサイテーの悪食だしさ。あと、現地でそのままタッパーとかに入れてたら腐るし、蟻にもよくタカられる。
何度も、マジかっ、ワレーΣ( ̄皿 ̄;;になったよ。
展翅も羽のバネが強過ぎて、すぐにズリ下がってきて超ウザイし、ボケ~(ノ-_-)ノ~┻━┻❗❗となる。

えーい、急遽、裏展翅じゃボケ~(* ̄ー ̄)

 

 
思うに、タテハチョウって裏の方がカッコいい奴が多いよね。
幸い裏側は汚れてない事だし、コレはお嬢に帰そっかな。でも、臭いと断られそうだな…。

ここからが、Facebookにアップしていない文章。

3頭めも、やはりお漏らしさんだった。
けれど、汚れがまだ少ない方なので、表展翅することにする。考えてみれば、表展翅は初めてだ。

 

 
ヤイロタテハって、上翅を上げるのはこれくらいが限界だと思う。下翅の下辺を無理に真っ直ぐにしようとすると、頭が翅に埋まってしまう。これはあまりにブサいくだ。再三再四そこかしこで述べているが、昔から言われている蝶の展翅のセオリーに囚われ過ぎるのはナンセンスだと思う。翅だけではなく、全体のバランスを考えて整形すべきだと云うのが、ここ数年で行き着いた結論だ。
とはいえ、人にはそれぞれの好みと云うものがあるからして、正解は一つでは無いんだけどもね。
それにしても、汚物で尻が真っ黒けになっとるやないけー。この蝶、お漏らし大王だから、ウルトラ完品って中々手に入らないのかもなあ…。

3日後、嬉しい事に一番最初に展翅したグチョグチョの個体が復活していた。

 

 
少し汚れてはいるが、コレくらいならセーフだろう。
とはいえ、何となく真っ直ぐに写真が撮れてないような気がするので、後日撮りなおす。

 

余計に歪んだ写真になっとるやん( ̄∇ ̄*)ゞ 
それにしても、美しいね(⌒‐⌒)

そういえば、昔ヤイロタテハについてアメブロに書いた文章があったな。

 
https://www.google.com/amp/s/gamp.ameblo.jp/iga72/entry-12110534183.html?source=images

 
暇な人は読んでみて下され。

とはいえ、自分で書いといて、どんな文章を書いたのか全然憶えてない。気になるので、再読してみることにした。

( ̄~ ̄;)むにゃあ~、不満だ。文章に手を入れたくなる。井伏鱒二先生ほどじゃないが、過去の自分の文章が気に入らなくて弄(いじ)くってしまう癖(へき)がある。それがしょっちゅうって云うか、時にパラノイア的であったりする。
大学の後輩が何年か前に言っていたが、或る種の完璧主義なのかもしれない。面倒くさい性格だ。

以下、改訂版である。

 
今回は謂わばマレーシアの蝶の番外編である。

紹介するのはAgatasa calydonia ヤイロタテハ。
この旅では季節が合わず、結局再会できなかった蝶だ。
平嶋義宏氏の『蝶の学名 その語源と解説』に因れば、学名の属名「Agatasa」は語源不詳だそうである。
とはいえ、ギリシャ語のaga(非常に)とtasis(力、強さ)とを合わせたもの、もしくは発音の類似から聖女で殉教者のアガタ(Agatha)に模した造語ではないかと推察しておられる。
小種名の「calydonia(カリュドニア)」は、古代都市の名前で、神話のカリュードンに因むという。

ここで、はたと気づく。そういえば学名の属名は変更されたんじゃなかったかな❓
確認したら、案の定だった。今はヤイロタテハ族・ヤイロタテハ属「Prothoe calydonia」と云う学名になっている。
「Prothoe」の語源は、ネーレース(海神ネーレウスの50人の娘)たちの一人であるprotho(プーロートー)のフランス名なんだとさ。相変わらずのギリシャ神話由来ばかりだ。もう、うんざりじゃよ。

ついでに言っとくと、英名はglorious begum。
gloriousはまだ解るとしても、begumという単語が何なのかさっぱり分からなかったので、これまた調べてみた。お茶を濁すつもりが、もう大変である。

「begum」とは、どうやらインドやパキスタンのイスラム教徒の位の高い女性を指す言葉らしい。辞書によっては、イスラム教徒の王女、王妃、貴婦人とも書かれている。

ここからが種の解説的なものになるのだが、文章の訂正加筆箇所が少ない事を祈ろう。

 
【Prothoe calydonia ヤイロタテハ】
(2011.2.20 Malaysia cameronhighland )

 
大型のタテハチョウの仲間で、フタオチョウに近い種類である(註1)。
和名の由来は、羽の裏側の豪華絢爛たる色彩からであろう。つまり八色からのヤイロなのだ。

4年前(2011年)、初めてキャメロンハイランドで見た時は、その存在さえも知らなかったので仰け反るくらいに驚いた。想像外のデザインだったのである。悪魔的ですらある、そのおどろおどろしくも美しい姿に畏怖さえ覚えた記憶がある。

前に何処かでチラッと書いたかとは思うけど、そのヤイロタテハのラオス産が出てきた。
師匠に戴いたおこぼれのボロだが、探して展翅しようと思うも見つからずに悶々としていたのだ。それが先日、何とまさかの標本箱から見つかった。
まだ展翅していないとばかり思っていたのに、ちゃんと既に展翅してあったのである。人間の記憶なんてものは、如何にいい加減かという証左である。いや、単に己の記憶力が悪いだけか…(笑)

言い忘れたが、師匠に戴いた頃はヤイロタテハは広く東南アジア全般にいる普通種だとばかり思っていた。
だが、それがどうやら違うようなのである。図鑑を見ると、分布はミャンマー、タイ、ラオス辺りから南にあり、その中心はスンダランドだ。驚いた事には、インドシナ半島には多くの空白地帯がある。

 
(出典 塚田悦造『東南アジア島嶼の蝶』)

 
分布図には、ラオスは入っていない。
しかも、既存の分布圏からもかなり離れている。ワケわかんないぞの混乱(´・∀・`)ぴよこちゃんだ。

ならばと他の図鑑でも確認してみる。

 
(出典 五十嵐 邁・福田晴夫『アジア産蝶類生活史図鑑』)

 
こっちの図鑑でもラオスは分布圏に入ってない。(・。・;)どゆ事❗❓

きっと亜種なのだろうが、じゃあ何と云う亜種に含まれるのだろう❓南ミャンマー亜種 A.belisamaなのか❓それとも新亜種なのかな❓

取り敢えずは二つを並べて見比べてみよう。
先ずはマレーシア産の原名亜種 ssp.calydoniaの裏面画像から。

 
(2011.2.20 Malaysia 19miles )

 
お次はラオス南部産の裏面。

 
(2011.4. Laos Tateng)

 
鮮度が悪いので、あまり色は参考にならないだろう。
しかし、上翅の黄色い領域は確実に広い。紋も細かく見れば違う。特に後翅根元の赤い⚡稲妻紋の形などはかなり違う。
だが、こういうのは個体変異もあるから一概には何とも言えない。この2頭だけで判断するのは意気焦燥だろう。

ならばと、表側も見比べてみる。

 
(マレーシア産)

 
(ラオス産)

 
Σ(-∀-;)びっくりだわっ❗、全然違う。
明らかに下のラオス産の方が、マレーシアのものよりも黒い部分が少ない。♀なのかもしれないが、上翅の形も全然違う。こりゃ、完全に別亜種だわ。
塚田悦造氏の『東南アジア島嶼の蝶』には南ミャンマーの個体は図示されていないが、『黄色味の強い基斑紋が後中央まで拡がった美しいもの』とあるから、マレー半島の原名亜種よりかは、そちらの方に近いかとは思われる。

問題は亜種 belisamaに含まれるのか、それとも新たな別亜種となるのかだ。
でも、塚田図鑑にはbelisamaの画像が無いのだから、両者を見比べられない。ここで行き詰まりだ。結局、何かワカランやんか。

 
一応、他の亜種も参考までに図示しておこう。

 
【c.auricinia スマトラ島亜種】
(出典 『東南アジア島嶼の蝶』。以下、何れも同じ。)

 

原名亜種とほとんど変わらないが、後翅裏面亜外縁の黄条が少し太まる。

 
【c.mahasthama ボルネオ島亜種】

少し小型になり、裏面の白色部が目立ち、後翅の白横条が太くなる。

 
【c.multicolor シンケップ・リンガ島亜種】

これもやや小型になり、♂の翅表第2室の黄斑が外に細まり、同室裏面黄色が濃色となる。♀は裏面の赤色紋が褐色に変わる。

因みに参考までに言っておくと、フィリピンに代置種とされるクリソドノイアヤイロタテハとゆうのがいる。

 
【Prothoe(Agatasa) chrysodonia】 

黄色味が強い。ミンダナオ島ではまだ比較的得られるようだが、ルソン、ミンドロ島では稀で大珍品らしい。

ラオス産の完品を見ないとわからないが、個人的には裏の色が一番濃いと言われる原名亜種が好きだ。
珍しい亜種よりも、種内で一番美しいものを評価すると云うのが基本的スタンスなのだ。
もっと言うと、亜種に限らず蝶全般を、どちらかというと珍しさよりも美しさで評価する傾向が自分の根本にはあると思う。普通種のベニシジミやキアゲハを素直に美しいと思うのだ。もし、これらが珍品ならば、拝み倒している人は多いと思う。この業界、珍しいか否かで美しさの値打ちが変わる傾向があるのだ。
まあ、どんな蝶でもよく見れば、大概はそれぞれ固有の美しさがあるんだけどもね。

                         おしまい

 
追伸
師匠にメールでラオス産のヤイロタテハについて尋ねたが、調べると言ったまま、いまだ返答がない。
だから、この文章は最初に書いてから、だいぶ経っているのだ。終わり方に尻切れトンボ感があるのも、そのせいなのだ。

後々、解ったのだが、どうやらこのラオス産のヤイロタテハは新亜種ではなく、亜種belisamaに含まれるようだ。

 
(註1)フタオチョウ

【Polyura endamipps フタオチョウ♂】
(2011年 4月 Laos)

 
大型のタテハチョウで、湾曲した羽と2本の剣のような尾状突起が💖萌え~である。頑強な体躯で矢のように飛ぶ事も含め、オラの大好きなグループの一つだ。
日本の沖縄本島にも天然記念物に指定されている亜種e.weismanniが棲息している(註2)。
但し、分布の最東端にあたり、別種と見紛うばかりに原記載亜種とは見た目の印象がかなり違う。大きさが下手したら二回りくらい小さくなり、尾突も著しく短くなる。また、白い部分も減退し、全体的にかなり黒っぽい。

 
(『日本産蝶類標準図鑑』より。)

 
見た目どころか、幼虫の食樹も違うし(インドシナ半島ではマメ科植物だが、沖縄ではクロウメモドキ科ヤエヤマネコノチチとニレ科リュウキュウエノキ(クワノハエノキ)、こんなのもう別種でもいいんじゃないかと思う。
それに噂では、幼虫形態やその生態も違うらしい。でも天然記念物であるがゆえに、採集は元より飼育も出来ない事になっているから研究も発表も出来ない状態のようだ。官がつくる昆虫関連の法律は、大概が柔軟性に欠け、結局クソなのだ。

ヤイロタテハは、激レア亜種は別として、大珍品とまではいかない蝶だろう。
かといって普通種でもなく、何処にでもいるという蝶ではない。図鑑の記述に拠ると、どの産地でも個体数は少ないようだ。
つまり、行けば誰でも簡単に見られるというものでは無いと云うことだ。実際、自分もキャメロンハイランド以外では見たことがない。しかも、いまだメスにはお目にかかった事がない。たぶんPolyura(フタオチョウ)と同じで、メスは珍品なんだと思う。
それに、たとえ見たとしても弾丸みたいに飛ぶから、先ず空中では採れないだろう。自分みたく運良く吸水に来たものが偶然採れるくらいだ。トラップが無ければ、基本的に採れない蝶なのだ。
そういえば思い出した。タイのチェンマイでお会いした爺さまが言ってたな。その爺さまは毎年チェンマイに通っているそうで、昔はヤイロタテハも結構いたらしい。それが10年ほど前から全く姿を見掛けなくなったという。きっと他にもそういう場所は多いだろう。
考えてみれば、図鑑『東南アジア島岨の蝶』が世に出てから、もう40年近くも経っているのだ。その頃とは珍稀度が大きく変わっている可能性がある。この蝶は低山地に棲む蝶のようだから、環境破壊の影響も受けやすいに違いない。現在のレア度はかなり高いかもしれない。
それでも東南アジアに行く機会があったなら、ぜひとも自然の中で生きている王女に会ってもらいたい。
その力強さ、威厳、悪魔的な色柄、深いジャングルと云うロケーションetc…。探す価値はある。

王女には、もう一度会いたいなあ…。

 
追伸の追伸
 それにしても、初期の頃の展翅は我ながら下手だねぇ~(笑)
よほど展翅しなおしてやろうかとも思ったが、思いとどまった。この文章の為だけになんて、(=`ェ´=)邪魔臭いわい。そこまで完璧主義ではごさらん。

おっ、そうだ。それで思い出した。そういえば、お嬢に貰ってすぐに展翅した奴があった筈だ。

 

 
(・。・)あれっ!?、2頭もしたっけか❓
それにしても、(´∇`)カッコいいなあ。
地面に止まっているのを見た時は、Σ(-∀-;)ビクッとなって立ち止まったのを思い出したよ。その存在を知りもしなかったので、(; ̄ー ̄Aあはは…、幻覚でも見てるんじゃないかと思った。それほどの衝撃だった。そういえば、下手したら、コヤツ蛾でねえの❓とも思ったなあ…。
震える指先で手のひらに乗せて、じっくり見た時の感想も思い出した。曼荼羅みたいだとか、歌舞伎的やなとも思ったっけ。
残念ながら、その時の画像は無い。興奮し過ぎて撮るのを忘れたのだ。初めての海外採集の、まだ二日めとかだったもんな。

  

 
おっ、表側もある。
と云うことは、やっぱり2頭を展翅したって事だね。

 

 
針を外した画像もあった。

 

 
と云う事は、全部で5頭も戴いたってワケだ。
お嬢、💖ありがとね。
こうなると、やっぱメスも欲しくなるなあ…。この蝶は雌雄同型だけど、メスはもっとデッカイ筈。どんだけデカイんじゃろう❓
何とか並べてみたいもんだよねぇ~。

(註2)
このあと、日本のフタオチョウは亜種から別種に昇格し、学名は Polyura weismanni となった。
この辺の事は拙ブログの台湾の蝶シリーズの第2話『フォルモサフタオチョウ』と、その番外編『エウダミップスの迷宮』、『エウダミップスの憂鬱』に詳しく書いたので、宜しければ併せて読んでつかあさい。

それにしても、文章の細かいところも含めてかなり書き直す破目になった。お陰で大掃除は進まんし、オジサンは疲れたよ。

                  おしまい

 
ここで終わりにするつもりだった。
しか~し、文章をアップする為に読みなおしたら、またドえれーところに気づいちまっただよ。
ヤイロタテハはフタオチョウに近い仲間と書いたが、本当かよ❓と云う疑問がムクムクと頭をもたげてきたのだ。又しても、無間地獄のドツボに嵌まっちまった。

疑問を持ったのは、フタオチョウの遺伝子解析の結果を思い出したからである。コムラサキ亜科とかの真正タテハチョウのグループだとばかり思っていたが、結果はジャノメチョウに近いという事が判明したのだった。
ヤイロタテハの、その頑強な体躯や翅の分厚さ、翅表の配色、後翅の尾突起らしき形状は、如何にもフタオチョウを彷彿とさせる。ゆえに両者は近縁関係だとばかり思っていた。しかし、フタオチョウがジャノメに近いならば、果してヤイロタテハもそうなのか❓虫の世界には、他人のそら似と云うのがよくあるんである。
よくよく考えてみれば、裏側の斑紋パターンはフタオチョウとはかなり違う。どころか同属のルリオビヤイロタテハを除けば、他に似ているものさえいない。
じゃ、あんた何者❓

ヤイロタテハの遺伝子解析の論文を探すが、見つからない。絶対、既に解析済みの筈なんだけどなあ…。学者さんが、その辺を見過ごすワケがないと思うんだよねぇ。
勝山さあ~ん、おせーてよー(ToT)
とはいえ、直接お尋ねする程の面識は無いもんなあ…。

ならば、幼生期の形態で判断じゃ。蝶は幼生期の形態で、大体の類縁関係が分かるのだ。
伝家の宝刀『アジア産蝶類生活史図鑑』を開いてみる。

(;゜∇゜)あぅぅぅ…ゲロリンコ、何じゃお主は❗❓

 

(出展『アジア産蝶類生活史図鑑』)

 
ヘ(゜ο°;)ノ≡3≡3きっしょー、最低クラスの醜さだ。バケモンじゃよ、バケモン。形だけでなく、色までトドメ色で酷いや。おどろゲロリンコ星人やな、おまえー。
それにしても、フタオチョウの幼虫とは全然似てないぞー。

 
【フタオチョウ幼虫】

 
【フタオチョウ頭部正面図】
(出展二点共 手代木 求『日本産タテハチョウ幼虫・成虫図鑑』)

 
一応、コムラサキ亜科特有のナメクジ型ではある。
強いていうならば、目の先の形状がスミナガシの仲間に近いかもしれない。いや、トゲトゲや突起物は無いけれど、ミスジチョウやイチモンジチョウ系の幼虫にも似てるっちゃ似てるか…?
『アジア産蝶類生活史図鑑』の解説を読むと、興味深いことに、その生態はイシガケチョウ属、スミナガシ属、イチモンジチョウ属、ミスジチョウ属など様々なタテハチョウ科の幼虫の色々な習性が混じっているらしい。何じゃ、そりゃ❓

蛹の形状も見てみよう。
左から側面、腹部側正面、背面側正面である。

 
(出展『東南アジア産蝶類生活史図鑑』)

 
解説にも書かれてあるが、蛹の形状は色は違えど何とまた別なタテハチョウ科のEuthalia(イナズマチョウ属)にソックリじゃないか。色が灰色じゃなくて緑色だったら、まんまである。

一応、フタオチョウの蛹も図示しておこう。

 
(出展『日本産タテハチョウ幼虫・成虫図鑑』)

 
違うなあ…。
この事実を見ると、とてもフタオチョウに近縁だとは言えそうにない。
それにしても、イシガケチョウ、スミナガシ、イチモンジチョウ、ミスジチョウの幼虫と行動様式に共通点があって、蛹はイナズマチョウに似てるって、もう鵺(ぬえ)的存在で、何が何だかワカラナイや。

因みに、食樹はバンレイシ科のDesmos chinensisと云う植物らしい。バンレイシ(蕃茘枝)って、たしか果物だよね?別名シュガーアップルとか釈迦頭と言われている奴だ。味はバナナとパインの合の子みたいで甘みが強い。けど、食感は梨みたいなシャリ感のある摩訶不思議な果物だ。
(`ロ´;)クソッ、食樹までも果物界の鵺とかキメラなのかよ。
とにかくバンレイシ科を食ってる蝶の幼虫だなんて、勉強不足かもしんないけど、知る限り記憶にない。上位分類にまで広げるとモクレン目になるが、それとてざっと見る限り、タテハチョウの食樹らしきものは見当たらない。クスノキとかモクレン系が含まれる目だけれど、それはアオスジアゲハとかのアゲハの食樹なんだよなあ。
これじゃ、植物に疎い自分には何に近い種なのか特定しようもない。
スマン。大風呂敷を広げといて、結局はグダグタの結末だ。

結論の無いまま迷宮に取り残され、歳末の夜は静かに更けてゆく。
皆さん、良いお年を。

              今度こそ、おしまい

  

2018′ 選抜高校野球回顧 決勝戦

 
今更ながらの2018年選抜高校野球の観戦レポートも、いよいよ最終回である。
でもこの試合、あんま印象に残ってないんだよねー。

 

 
試合は例年通りに、お昼に始まった。
そういえば、昔ナイターの決勝戦があったなあ…。
たしか同じく選抜の決勝戦だったと思う。対戦カードは愛工大名電vs済美だったかな。随分と昔のような気がするが、あれはいったい何年前だったのだろう…。

調べてみたら、何と2004年だった。何と14年前じゃないか。そりゃ、アッシだってオジサンにもなるわ。
Wikipediaによると、この第76回大会で初めて球速表示がされるようになったそうである。( ・∇・)へぇ~。
何でナイターになったのかと云うと、天候不順で試合開始時刻が夕方の4時にずらされたのだった。たぶん、この年はよほど日程がカツカツだったのだろう。
実際に試合が開始されたのは、午後4時55分だったそうである。そういえば結構待たされた記憶がある。
その日は物凄~く寒くて、ワンカップの熱燗を買って暖をとりなからの観戦だったのをよく憶えている。
後にも先にも甲子園で熱燗を飲んだのは、その1回こっきりである。
結果は6ー5で済美が勝利。記憶では愛工大名電が優勝したとばかり思いこんでたけど、勝ったのは済美だったんだね。その理由を朧気(おぼろげ)ながらに感じる。まあ、いい。思い出したくない事だってある。
そっか、そういえば済美が初出場で初優勝したんだね。しかも夏は準優勝だった。もし夏にも優勝してたら、もちろん至上初で歴史に残るチームになってたのに…。惜しい。亡き上甲監督が率いた中では、最高のチームだったかもしれない。
済美のエースはドラフト1位で広島カープに入団した福井だったと思う。そういえば今年どっかのチームにトレードに出されてたよね。あとヤクルトの鵜久森なんかもいて活躍した。彼はもう引退したんだっけ?
記憶は思い出し始めると、数珠繋ぎだ。
そして、約束していた彼女はついぞ球場に現れることはなかった。体だけでなく、心も寒さに震えていたのだ。思い出したくないってのは、この事実だ。
その帰りに見た夜桜が、満開だったのを今だに強く憶えてる。凄絶なまでに美しかったのだ(註1)。
春夏通じての長い高校野球の歴史において、ナイターで決勝戦が行われたのは、今もって唯一この試合だけだそうである。

何だか文章全体のカッコつけたラストみたくなっちまっただよ(笑)。
先のことを考えず、思うがままに書いているから脱線はいつもの事じゃないかと書いて、一旦手が止まる。だとしても、文章を閉じるかのような脱線は初めてだわさ。脱線癖もここまでくると重傷かもしんない。かといって急に治るワケでもない。まっ、気を取り直して続けまひょ。

 

 
本日も外野席に回る。
バックネット席も空いていたと思うが、1試合だけだし、勿体ないと判断したんだと思う。高校野球の試合って、すぐ終わっちゃうんだもん。2時間を切る試合なんかざらなのだ。

 

智弁和歌山は大阪桐蔭に対して公式戦3連敗中だそうである。智弁としては是が非でもリベンジしたいところだろう。しかし、実力的には矢張り桐蔭の方が上。順当にいけば大阪桐蔭の春連覇の可能性が高い。
とはいえ、戦前の予想がアテにならないのも甲子園である。智弁は準々決勝、準決勝とミラクルな逆転勝ちで延長戦を制してきた。謂わば波に乗っているチームだ。勢いのあるチームは侮れない。それに名将高嶋監督の今年中の勇退が決まってた筈だから、選手も監督も気合い充分だろうしね。

大阪桐蔭の先発はエースの柿木くんだとばかり思っていたが、何と昨日ロングリリーフした根尾くんだった。多分、柿木くんは監督に今イチ信頼されてないんだろなあ。って云うか、根尾くんはこの世代最高のピッチャーの一人だもんね。素人のワシでも根尾くんでいくわいな。

試合は初回から動くだろうと予想してたが、序盤はスコアボードにゼロが並んだ。何かツマンネーなあと思った記憶がある。

 

 
4回表の智弁和歌山の攻撃で漸く試合が動く。
先頭打者がセカンドのファンブルにより出塁。続く冨田がライトへヒットを打ち、ランナー1、2塁とする。ここで智弁で一番当たってる黒川くんを迎える。で、期待に応えてセンターへのヒットを放ち、満塁となった。
黒川ちゃん、やっぱスゲーわ。アンタ、最高❗
しかし、次打者がピッチャーゴロで1-2-3のダブルプレー。あっという間に2アウトとなる。( ̄▽ ̄;)あちゃまー。こりゃダメかと思いきや、次の東妻くんがレフトへ先制タイムリーヒットを放って、智弁が2点を先制した。
智弁が先制となると、俄然試合が面白くなる。大阪桐蔭が焦り出したら、智弁に勝機有りだ。

だがその裏、大阪桐蔭もすかさず反撃する。
藤原がピッチャーへの強襲安打で出塁。根尾のライトへのヒットで1,3塁とす。藤原くん、やっぱ足が速いわ。故障あけだそうだが、もう大丈夫みたいだね。
そして、山田が死球を受けて満塁となる。
続くバッター石川のショートゴロの間に大阪桐蔭か1点を返した。しかもショートがエラーかましてもうて
、一つもアウトが取れなくて満塁のまま~。
そして次打者のダブルプレーの間に、もう一人ランナーが帰ってきて、2ー2の同点とした。
よっしゃ、これで試合がスリリングなってきたぞー。
でも、智弁和歌山って守備が今イチだよね。少数精鋭でバッティング練習ばっかしてるからかなあ?
何か智弁和歌山って、毎年打撃は凄いけどピッチャーは程々だし、守備は普通か、それ以下ってチームが多い気がするなあ…。

5回裏に大阪桐蔭が1アウト2、3塁のチャンスを作るも、3塁走者が憤死して無得点。智弁も6回にランナーを出すが、無得点。膠着状態が続く。

7回裏、大阪桐蔭が均衡を破る。先頭打者がストレートのフォアボールで歩く。ここで投手交代。漸くエース平田がマウンドへ。
続く打者が送りバントを成功させ、2塁にランナーを送る。そして、宮崎のレフトへのタイムリーヒットが出て3ー2と勝ち越す。

8回表、智弁はフォアボールで出たランナーが、根尾の暴投で2塁に進むも、後続が凡退して無得点。完全に根尾くんを攻略しあぐねている。

8回裏、大阪桐蔭はフォアボールとピッチャーのワイルドピッチで、ノーアウト2塁とする。ここで4番の藤原がレフトへタイムリーツーベースを放ち、4ー2となる。流石、藤原くんだべさ。相変わらずの持ってる男だよ。男前で足が速くて、ここぞと云うところで派手に長打を打つだなんて、女子はワーキャーだな。
そして、二刀流ミスター優等生の根尾くんが、とどめとばかりのレフトへのタイムリーヒット。これでダメ押しの5ー2。いくら爆発力のある智弁打線でも、残り9回の攻撃だけで、根尾くんから3点取るのは厳しいと思った。

そして、とうとう9回表、智弁最後の攻撃まできた。
それはそうと、智弁も桐蔭も応援するブラバンのレベルが高いよね。これも高校野球を楽しむアイテムの一つだから、皆さん球場に行ったらシッカリと耳を傾けましょうね。

 

 
特に大阪桐蔭のブラバンはレベルが高くて、コンクールの常連らしい。
野球やってる子たちだけが青春じゃなくて、アルプススタンドでも青春が迸(ほとばし)っておるのじゃね。アルプススタンド好きのファンは、そこんとこが好物なのだろう。
演奏力だけなら、智弁よか桐蔭に軍配が挙がるかな。とはいえ、曲目は智弁和歌山の方が好き。「アメリカンシンフォニー」とか「シロクマ」が有名だし。それに何より魔曲「ジョックロック」がある。これがかかると球場全体が何かが起こりそうな雰囲気になるのだ。
あっ、そういえばこの選抜から新曲「ミラクルショット」が演奏されるようになったんだよね。これが巷では新魔曲だとか言われてて、もの凄く耳に残る。

 

 
これは聞いた事のある人が多いと思う。元ネタは「報道ステーション」のスポーツコーナーのテーマ曲。それを編曲したものらしい。マジで、この曲とジョックロックのメドレーが流れるとゾクゾクくる。この曲をバックに戦える智弁の選手は幸せものだね。

先頭バッターは黒川くん。今大会の智弁の躍進は、この男なくしては語れない最も期待の持てる打者だ。
もし智弁が三度目のミラクルを引き起こせば、高校野球史に残る名試合になろう。歴史的な試合の証人になる事は、高校野球ファンの願いだ。たかだか観客として、生で試合を観ただけなんだけど、なぜか自慢になる。自分がグラウンドでプレーしているワケでも何でも無いのにね。
しかし、生観戦にはTVでは分からない独特の空気感がある。アナウンサーの絶叫の無い世界には、押し付けの演出や感動は何処にも無い。そこにはリアルな音や匂いがあって、それが堪らなく居心地が良いのだ。

しかし、黒川くんが先頭打者と云う事は、チャンスで打席が回ってこない公算が高いって事だよね。
自分がもしピッチャーならば、黒川くんは最も警戒する打者だが、このシチュエーションだとむしろ気持ちが楽に持てるだろう。一番怖いバッターが、ピンチに打席に立たれる事が最も心拍数が上がるのだ。
と思ってる間に、ライトへのヒットで出塁❗やっぱ、黒川くんは凄いわ。このまま夏、来年と成長していってほしいよね。
しかし、後が続かず。代打が出てきて、空振り三振。
次はセンターフライ。最後はドン詰まりのファーストゴロで、あっさりゲームセット。

  

 
大阪桐蔭、選抜二連覇❗
とにかく、🎊おめでとう。

 

 
優勝投手は、去年に引き続き根尾くん。
二年連続で歓喜の真ん中にいられるだなんて、そうある事じゃない。しあわせな選手だよ。
柿木くんは、エースなのに口惜しいだろうなあ。
やはりエースたるもの、優勝の瞬間にマウンドに立っていないと嬉しさも半減するもんね。

 

 
球場を後にして、歩き始める。
歩きながら、ふと思う。来年もまた此処に来られるのだろうかと。立ち止まり、春の優しい青空を仰ぐ。
来年の事なんて、わからないや。

 
                  おしまい

  
ーあとがきー

準々、準決勝と比べて、この今一つ盛り上がりに欠けた試合内容が、冒頭の「あんま印象に残ってないんだよねー。」と云う言葉にきっと繋がったんだろうね。
まっ、決勝戦って案外つまんなくて、期待する程には熱戦にならない事が多いんだけれどもさ。そういえば今年の夏の決勝戦もワンサイドゲームだったなあ。
おっ、そうだ。告知と云う程の事ではありませぬが、夏の大会の観戦レポートは来年に書く予定でゲス。あくまでも気が向けばですが。
蝶の記事ほどではないが、甲子園レポートもそれなりに書くのに時間がかかるのだ。ようするに、面倒くせーって事ね。

え~、こんな今更ながらの文章にお付き合いしてくださった方々、本当に有り難う御座います。
えっ❓何でこんなタイムリーではない文章を今更ながらに書いたかって❓
う~ん、それは自分でも解るようでよく解らん。
人生には、時に本人にもよくワカラン行動とゆうものがあるのだ。

 
(註1)今年は春の訪れが早くて、その球場前の桜はとうに散ってしまっていた。年々により季節の移ろいは一様ではないのだ。
因みに、その桜の木そのものは今は無いと思う。たぶん、タイガースグッズのお店を建てる折りに、伐り倒されたのだろう。

 

2018′ 選抜高校野球回顧 準決勝

 
今更ながらの第90回選抜高校野球のレポートの第2弾、準決勝である。

  

 
前回に3日連続通ったと書いたが、実をいうと一日空いての4月3日の観戦。なぜかっちゅーと、今は準々決勝と準決勝の間に一日休養日が入るからなのだ。すっかり忘れてたよ。

  

 
強豪名門校が集まりましたなあ。
このうち智弁和歌山、東海大相模、大阪桐蔭は春も夏も優勝経験がある。三重だって昭和44年と、ちと古いが春には優勝した事があるし、2014年の夏には準優勝だってしている。充分強豪校と言っていいだろう。
とにかく強いチーム同士の戦いは、レベルが高いだけに面白くなる確率が高いよね。
実際、高校野球ファンの間では、実力伯仲のチームがぶつかるこの準決勝が一番面白いと言われている。
ベスト8までは組合せや運で進出できる事もあるが、準決勝は実力も運もあるチームでないと中々勝ち進めないからだ。今回はそのセオリーに違(たが)わぬ好チーム同士の白熱した試合になった。

この日はバックネット席は売り切れだったので、外野席に回ることにした。

 
第1試合 智弁和歌山vs東海大相模

 
試合は既に3回表の智弁の攻撃まで進んでいて、4ー0と東海大相模がリードしている。でも、コレは知ってた。なぜかと云うと、家でTVを見ていたからである。初回に東海大相模が2年生投手を攻めたてて一挙4点を先制し、智弁は早くもエースピッチャーを投入せざるおえない展開になったところで、急遽球場に行く事にしたのである。自宅の難波から甲子園までは、30分掛かるか掛からないかで行けてしまうのだ。
全国の高校野球ファン諸君よ、どーだ羨ましいじゃろう。Ψ( ̄∇ ̄)Ψそう~りゃ、Ψ( ̄∇ ̄)Ψそう~りゃ、羨ましがれ~、身をよじって羨ましがれ~。
( ̄ー ̄)フフフ…、あたしゃ性格が悪いのですよ。

 

 
センターのレフト側中段に陣取る。
取り合えずは🍺ビールをゴクゴクいかせてもらう。
ぷは~(≧∀≦)==3
世に働く企業戦士たちを尻目に、こうして青空の下で野球観戦しながら飲むビールは、やっぱ、最高じゃよ。
えー、ツマミは画像が無いので分かりませぬ。とはいえ、わざわざ写真を撮ってないところをみると、どうせ定番の枝豆とか唐揚げとかポテサラじゃろう。
と、アルコール摂取に気をとらわれてる間に智弁が2点返した。智弁は林、東海大相模は森下と云うプロ注目のスラッガーを中心とした強力打線だから、戦前の予想通りの打撃戦になりそうだなと思った。そういう試合は好物。皆はん、打って、打って、打ちまくりなはれ~。

4回表に智弁が3点取って、5ー4と逆転した。
やはり、智弁和歌山打線は伝統的に爆発力がスゴい。打ち出したら止まらないイメージがある。帝京との試合とかは凄かったもんね。

5回裏。東海大相模の攻撃。
1回にスクランブル登板で後続を断ち、ここまでスイスイと投げてきたエース平田くんが、この回もポンポンとツーアウトまで取った。こりゃ、智弁ペースになっていきそうだなと思った矢先、打ち取った筈のショートゴロがバウンドが変わってラッキーなヒットになった。そして、次打者渡辺くんがライトに強烈なツーランホームランを打ち、あっという間に6ー5とひっくり返した。
o(^o^)o面白れぇ~。
オジサンになるにつれ、いつしかどちらかのチームに極端に肩入れをして観なくなった。勝ち負けは2の次。そんな事よりもゲームの内容が大事。今は互いが死力を尽くした熱い試合を見られれば、それで良いと云うスタンスだ。どちらかのチームに強い思い入れを持つと、負けた時にガックリきて疲れるのよ。

6回裏、さらに試合が動いた。
ノーアウトから平田くんがフォアボールを許す。その後ファーストが二塁へ悪送球。更に前進守備のショートが正面のゴロを後ろに逸らす。とどめはサード林の1塁悪送球で、あっという間に10ー5になった。フォアボールに連続エラー連発って、負けるチームの典型だ。この時点で智弁の勝ちはないなと思った。

しかし、智弁は7回に1点返し、8回にはランナーを二人置き、エラーした林がライトフェンス直撃のヒットを放って2点返して10ー8と猛追。
それにしても、林くんよ、ホームランと思って、やったとばかりにカッコつけてバットを放り投げたけど、そのせいでシングルヒットどまりになったやないけ。低めのボール玉につられて空振りばっかしてるし、しっかり走らない選手はアカンえ~。彼は秋にはドラフト3位で広島カープに指名されたけど、そういうプレーをしてるとプロでは大成しないぜ。まあ、とはいえ入ったチームがカープだからシッカリ育ててくれるかな。まあ気合い入れて、お気張りしなはれ。
それはそうと、智弁和歌山の選手ってプロに入ってもあんまり活躍しないのは何故なんだろね。日ハムの西川くらいしか思い浮かばない。何か理由でもあるのかな?

そして更にチャンスは広がり、ツーアウト満塁に。
そこで回ってきたのが前の試合でさよならタイムリーを放った黒川くん。
彼はホント良い打者で、打ちそうなオーラがあるから打つんじゃないかなと思ったら、やっぱりのセンターへの鮮やかなヒットを放つ。これで10ー10と試合はふりだしに戻った。( ☆∀☆)スッゲー。

試合は延長戦に入った。
10回表。智弁はヒットとフォアボールのランナーをバントで進め、1アウト2、3塁とする。

当然の如く智弁アルプススタンドから勝ち越しの狼煙(のろし)、魔曲『ジョックロック』が大音量で押し寄せてくる。

 

 
冨田くんのセンターへの犠飛で1点を勝ち越す。
そして、続く黒川くんが左前適時打でダメ押しの2点目が入った。又しても黒川くん❗これで4打数3安打だ。完全に勝利の女神を呼び込むラッキーボーイだね。

その裏の東海大相模が無得点に終わり、12ー10で智弁和歌山が勝った。いやはや、見応えのある試合でした。

 

 
この日は、ぽかぽかして暖かかったんだよね。
春だなあ…と思った記憶が甦ってきたよ。

 
第2試合 三重vs大阪桐蔭

 
センター左中間寄りから、右中間寄りに席を移す。
客席の空席情況によって、席はよく移動する。場所が変われば、視点も変わるからだ。たぶん生来落ち着きの無いせっかちな性格なのだろう。

冒頭に少し触れたが、三重高校が2014年夏に準優勝した時の相手が大阪桐蔭である。謂わば今回は三重のリベンジがかかっている因縁の試合なのだ。
とはいえ、大阪桐蔭に返り討ちにあうだろうと云うのが戦前の予想だった。しかし、試合は意外な展開で進んでゆく。

3回表、三重の攻撃。先発柿木がレフト前にヒットを打たれ、すかさず盗塁を決められる。このチャンスにここまで5打点と当たっている梶田くんが三遊間を抜いて先制する。さらに右中間への大きな当たりで1点を追加。2ー0とリードする。

一方、大阪桐蔭は度々チャンスを作るも、あと1本が出ない。漸く6回に1点を返すが、流れからではない山田のソロホームランでの得点だった。反撃開始と云う程には、ムードは盛り上がらない。
記録を見ると、ピッチャーは5回表からは柿木に変わって根尾が投げている。思い出したよ。それで、三重打線がすっかり沈黙してしまう。今思えば、このエース柿木をあっさり諦めて根尾に変えた西谷監督の決断が、勝負の流れを呼び込んだのだと思う。西谷監督は、ただの流し目デブではないのだ。まだ若いのに名将と言っていいだろう。チンプンカンプンの迷采配をする浦和学院のモリシや横浜のヒラタ、中京大中京のタカハシとは大違いだ。そういえば、平安のハラダも『お前ら、最高だあー!』とか叫んでて、変だなあ。
でも、モリシの采配はあまりにもおバカ過ぎて笑えるんだよなあ。もうファンと言ってもいいくらいに、その一挙手一投足に魅了されてる。モリシー、来年に夏には待ってるよー。

 

 
7回を終わって、三重が2ー1と大阪桐蔭をリードしている。予想とは違うロースコアの展開だ。 
当時の思いでは、三重って準々決勝は乱打戦で結構相手チームにも打たれているのに何で桐蔭打線が抑えられているのかな❓と疑問しきりだった。
三重の選抜の準々決勝までの戦い振りが気になったので、せっかくだからここでちょっと調べてみよう。

見ると、ここまで日大三高を8ー0、乙訓を2ー1、星稜を14ー9と強豪高を破ってきている。
日大三高は夏の大会にはベスト4まで勝ち進んでいる。そのチームを8ー0と退けているのだから、間違いなく強いチームと言えよう。この日、桐蔭戦で投げている定本くんが先発して、日大三打線を散発7安打、与四死球2で完封している。日大三も強力打線が売りのチームだから、それを完封するとなると、やはり良いピッチャーなのだ。大阪桐蔭打線を苦しめているのも偶然ではなかったと云うことだ。
乙訓は夏の大会には戻ってこれなかったが、選抜では投手力のある好チームだったと記憶している。ベスト4くらいまでは勝ち上がるのではないかと思ったくらいだ。そのチームに接戦で勝ち上がると云う事は、チームに地力があると見ていいだろう。因みに、乙訓戦では定本くんは登板していない。
星稜は夏には2回戦で破れてはいるが、相手はその後ベスト4まで勝ち進んだ済美高校で、しかも延長13回の末にサヨナラ負けしている。つまり、星稜も相当強いチームだったということだ。因みに乱打戦になった星稜との試合では、定本くんは最終回だけの登板で、ピシャリと3人で抑えている。
三重の強さ、半年以上も経って納得なるほどだよ。

そして、試合はとうとうそのまま9回裏まで進んでしまう。球場内に、もしかしたら番狂わせが起こるのではないかという雰囲気が漂い始めている。強いチームが破れる時は、往々にしてこんな試合展開が多いものだ。自分も7、8割の確率で三重が勝つのではないかと思った。今思えば、後に春夏連覇を達成したこのチームにも絶体絶命のピンチがあったんだね。圧倒的な強さで、楽勝で連覇したイメージが強いけど、そうでもないのだ。

 

 
先頭打者の根尾が一度もバットを振ることなく、1塁に歩いた。球場がまた別な意味でざわつく。こういうフォアボールを出すのは、ピッチャーが勝ちを意識して体が固くなっている証拠だ。これで三重の全選手にも緊張が伝染する。観客もその辺のところは敏感に嗅ぎとっているのだ。高校野球の面白さは、メンタルがモロに出てしまうところである。それが予想不能なドラマを起こさせるのである。
ここで前の打席にホームランを打った山田がバッターボックスに入る。どうする❓その色っぽい流し目から全国のデブ専に絶大なる人気を博している西谷監督❗
しかし、山田は何とバントの構え。そうだよな、それが正しかろう。ここは是が非でも二塁にランナーを送り、1点をもぎ取って先ずは同点にする事が肝要だ。
だが、あろうことか山田がバント失敗。キャッチャーフライに倒れる。今度は逆に大阪桐蔭側にプレッシャーが掛かるだろう。こういうミスは流れを変えかねない。三重側に運が回ってしまうことだって、往々にしてある。
続く石川が三遊間ヒットを放ち、1、2塁となった。
こういう場面でヒットを打つなんて、メンタル強いね~。強いチームは技術だけでなく、心も強いから強いのだろう。
そして、次の小泉が外角低めの難しい球を執念でライト前に持っていって、土壇場で追いついた。
(≧∀≦)痺れる試合だね~。
あそこでエンドランをかけるとは、西谷監督って勝負師だねぇ~。エンドランじゃなかったら、打者だってあの球は振っていなかったかもしんない。

  

 
エンドランが掛かっていたので、ライナーは1、3塁。もう1本出れば、サヨナラ勝ちだ。
だが、後続が倒れて延長戦に突入。
準決勝は接戦になることが多いとはいえ、2試合とも延長と云うのは珍しい。ざっと記憶を辿ってみたが、思い出せない。調べてみたところ、28年振りで、選抜史上2度めだそうである。

11回裏。大阪桐蔭がツーアウト2塁のチャンスを迎える。しかし、途中出場の井阪の痛烈なファーストライナーを1塁手が好捕して、ピンチをしのいだ。球場内に呻きと溜め息が地鳴りのように広がる。
ここまで書かなかったが、三重の守備は素晴らしい。
この守備の固さが大阪桐蔭の得点を何度も阻んできたのだ。大阪桐蔭の残塁11が、それを示している。
いや~、それにしても完全に抜けたと思ったよ。それくらい良い当たりだった。

そして、ゲームはとうとう12回の裏までやってきた。
今大会から規程が変わり、今までは15回で引き分け再試合となっていたものが、12回を越えると試合形式がタイブレーク制に変わる事が決まっている。つまり、もし12回が終わっても決着がつかなければ、高校野球史上初めてのタイブレークの試合になると云うワケだ。ちょっとタイブレークを期待する。

ワンアウト後、ショートの悪送球でランナーが出る。
ここまで固い守りでしのいできた三重にとっては、浮き足立ちかねない痛い失策だ。そして、迎えるは打線の中軸である。球場内の空気が再び不穏になる。だが三番中川は三振。ツーアウトとなる。そして、打席に四番のイケメン藤原が打席に入った。
ちょっとタイブレークを見たかったけど、打つと思った。彼は、こういうチャンスに回ってくる巡り合わせみたいなものを持っている。そして、そこでド派手な結果を残すスター性みたいなものがあるのだ。去年の選抜決勝戦でも、2本のホームランをカッ飛ばして一挙に全国区の選手になった。ただの男前ではないのだ。

快音を残して、ドライヴの掛かった打球はグンとホップし、左中間に切れ込むようにして曲がりながら飛んでいった。そして、外野手の間を真っ二つに割って抜けていった。
1塁ランナーが疾駆してホームへ戻ってくる。
滑り込んだその瞬間、ゲームが幕を閉じた。
3ー2。大阪桐蔭のサヨナラ勝ちだ。

 

 
歓声が爆発して、やがて、ゆっくりとざわめきへと変わってゆく。

 

 
緑の芝生に照明灯の影が長く伸びている。そこに、夕暮れ間近の春のやわらかな光が降り注いでいる。
ゆっくりと腰を上げ、大阪桐蔭の校歌を背に球場を後にした。
いつ来ても、甲子園は素敵だ。

                   つづく

 

2018′ 選抜高校野球回顧 準々決勝

 
今更ながらである。
でも、今更だからこそ見えてくることもあるだろう。

例年なら『(@@)べろ酔い甲子園』と題して泥酔へべれけ観戦レポートを書いているんだけど、今年は色々あってついぞ書きえなかった。
色々って、何だったっけ(・∀・*)❓
あっ、そっか。この時期は麗しきカラスアゲハについて書き始めてて、アタマがΣ(×
×;)わいていたのだった。
そもそもがこの蝶、色んな人が色んな見解で分類しててシッチャカメッチャに錯綜している。それにも拘わらず、足を踏み入れちゃって立ち往生の脳内大混乱。いたずらに文章が止めどなく長くなってゆくと云う無間地獄に陥っていたのであった…(註1)。
アカン、のっけからの脱線だ。話を本筋に戻そう。

 

 
たしか1回戦とかは全然観に行けてなくて、いきなり準々決勝から3日連続通ったんだよね。
日付を見ると、観戦日は4月1日となっている。
あっ、エイプリルフールだったのね\(^_^)/
別にエイプリルフールだからって、何がどうと云う事はないんだけど、おいちゃん、ついプチ喜んじゃったよ。大概の人間は、こういうどうでもいい様な小んまい事に一喜一憂したりして日々過ごしているものなのだ。人生には多くの小さなアクセントとか句読点が必要なのである。でないと、誰しもがやっとれんだろう。

 

 
( ̄∇ ̄*)ゞあちゃー、全然記憶にないや。
取り敢えず残っている画像を見れば、ボチボチ試合内容を思い出してもこよう。相変わらずの無軌道無計画男だが、このまま書き進めることにする。

こうして対戦カードを見ると、感慨深い。
たとえ選抜でベスト8に残る実力があったとして、夏には来れなかったチームもあるんだなと気づく。この8つの中では日本航空石川、東海大相模、三重の3校が戻って来れなかった。たぶん序盤に破れ去ったチームならば、半分以上は戻って来れてない筈だ(註2)。
改めて甲子園への道は険しいんだなと実感するよ。

 

 
へぇ~、この日はバックネット(中央特別内野自由席)のチケットがまだあったんだね。しかも二千円だもんな。めちゃんこ安いわ。高校野球の魅力の一つは、このチケット代の安さにある。最大4試合まで観れて、この値段はコスパ最高のスポーツイヴェントでしょう。
それがさあ、この先の夏の大会になるとチケットは値上がりするわ、基本的に前売り制になるわで最悪。ふらっと来て『あっ、バックネット席あるやんかー、(^-^)vラッキー!』ってな事は、思えばこの選抜が最後になってしまった。
しかも夏には全席指定制になったんだよね。それって、席がガラ空きになっても移動できないって事じゃないか。世の中、適度なゆるさが失われて、どんどん息苦しくなってゆくばかりよ。嘆かわしい事やね。
値上がりはまだしも、チケットの販売方法を変えたのは完全に改悪だろ。むしろ入場できない甲子園難民を増やす結果になったと思う。オイラのような地元の者なら簡単に諦めもつくが、地方からやって来た人にはあまりにも酷な仕打ちじゃないか。高野連さんよ、その辺の事をちゃんと考えての制度変更なのかね?どうせ高野連なんて、自分たちの都合と金儲けの事しか考えてないんでしょうよ。

 

 
通路から観客席に入ると、突然目の前の視界がワッと開けた。この瞬間が堪らなく好きだ。
すり鉢状のスタンドとざわめく観客。バックネットの向こうに広がるグラウンドと駆け回る選手たち。後ろには巨大なスコアボードが聳え立っている。その上には、少し霞んだ眠たげな春の青空が天蓋の如く在る。そして、僅かな時間差を置いて耳に音の塊が飛び込んでくる。応援団の声援とブラスバンドの演奏だ。
甲子園には、いつ来てもゾクゾクする。特にバックネット裏からの光景は最高だ。球場に漂う独特の空気に一瞬にして包まれ、何だかジワッと全身を這い登ってくるものがあるのだ。これだけでも甲子園球場に来る価値は充分にあると思う。

 
第一試合は既に4回裏の東海大相模の攻撃に入っていた。スコアは1ー1。思った以上に日本航空石川が善戦している。

先ずは🍺ビールをグビッといく。
(≧∀≦)きゃひーん、朝から飲むビールは最高だね。性格が悪いので、働いている人、( ̄∇ ̄)ザマーミロと思ってしまうのだ。

 

 
画像を見ると、どうやらこの日の酒のツマミは紀文の「プリプリいか天」と「にせタラバ」だったようだな。
そうだ、ダイエー(イオン)が閉店していたから、仕方なく駅前のコンビニで買い物をしたのだった。
おっといけねー。にせタラバはオラが勝手につけた名前で、正式名称は「したらば」であったぞよ。
どちらもビールのツマミにはベリーgoodだ。プリいかは、中に刻んだイカが入っており、その食感のアクセントがごっつええねん。にせタラバは紀文の最高傑作だろう。プリでブリの食感と本物と見紛うばかりの蟹味。その完成度には驚きを禁じえない。たぶんタラバガニを食った事の無い奴にタラバガニだと言って食わせれば、『タラバって、メチャ旨いやん❗』と言う奴だっているに違いない。
ゆえに、まだ食べた事の無い人には先ずは基本のプレーンタイプをお薦めする。その驚愕のクオリティの高さを存分に味わうがよい。間違っても、ゆめゆめマヨネーズを中に仕込んだヤツなんぞを選ばぬよう。百歩譲って、それも旨い事は認める。しかし、邪道だ。何事においても入口と基本は大事。初めっからSMとか浣腸とか、ほにゃらら等の変態プレーに決して走ってはならない。そんな奴はロクな大人にならんぞι(`ロ´)ノ
思えば、岩清水八幡宮の帰りに京都ローカルのコンビニ『アンスリー』八幡市駅店で、この二つに出会ってから私の人生は大きく変わったのだった…。
ι(`ロ´)ノいかーん、また脱線暴走半島一人旅、ワケわかんねーモノローグが始まっちまうとこじゃったよ。
(  ̄ー ̄)軌道修正。

 

 
結果は、東海大相模がその後に追加点を入れて3ー1と勝利。
日本航空石川も頑張ったが、まあ順当な結果だろう。

 

 
第2試合は創成館vs智弁和歌山。
創成館は確か秋の神宮大会の準優勝チームだ。一方の智弁和歌山は甲子園常連の強豪校。好試合が期待される。

智弁の応援が始まり、人文字が揺れる。
智弁のブラバン演奏は好き。オリジナル曲も多いし、聴いていて楽しい。特にチャンスの時に流れる魔曲『ジョックロック』は、めっさ球場全体が盛り上がり、相手が浮き足だって逆転劇が起こる事が多い。魔曲たる所以じゃよ。

参考までに動画を貼り付けておきます。

 
聴けば、あっコレねと思う人も多いだろう。
そう云えば、過去に奈良の智弁と智弁和歌山が対戦した事があったっけなあ…。アレはとっても変な気分だった。グラウンドにいる全員が同じユニフォームで駆け回り、何が何だか分からなっちゃうし、微妙に違うとはいえ、両方とも白地に赤の人文字だし、どちらのスタンドからも『ジョックロック』が聴こえてくるんだから冗談みたくで笑ったよ。

試合は予想を越える激戦になった。
序盤は創成館がリードして、それを智弁が追いかけると云う展開だったが、中盤で引き離されて一時は5点差にまでなった。その後も智弁が点差を詰めれば、創成館が引き離すと云う目まぐるしい展開が続く。しかし終盤に智弁が盛り返し、最終回にとうとう同点に追いつく。延長戦に入って、創成館が1点を入れて勝利に近づくも、その裏に智弁が2点取って逆転サヨナラ勝ちと云う劇的な終わり方だった。
このシーンは流石によく憶えてて、両チーム絶体絶命の極面のツーアウト1、2塁だったんだよね。
そこで2年生の黒川くんが逆転の2点適時二塁打を放つのだが、打球が左中間の上を越えてゆく映像が今でも頭の中にハッキリと残ってる。彼はその後の試合でもチームを救う安打を打って大活躍したんだよね。そういえば、この日もホームランを1本打った筈。たぶん来年のドラフトにもかかるであろう良い選手なので、ほぼ出場の決まっている次の選抜も楽しみだ。

 

 
最終的なスコアは11ー12だった。
こういう取って取られての乱打戦の試合が一番面白いと思う。昔は緊迫した投手戦の方が好きだったけど、オジサンになると点がバンバン入る試合の方が退屈しなくて良い。球場も盛り上がるしさ。

 

 
いつ見ても、阪神園芸さんのグラウンド整備は素晴らしいやねー。中でも、この水撒きなんかは芸術的ですらある。当時のFacebookの投稿には、興奮していたのか奇跡の試合のあとの奇跡の水撒きとか書いてあったな。

 
第3試合は大阪桐蔭vs花巻東。
優勝候補の大阪桐蔭に、花巻東がどこまで食い下がれるかと云うのが試合の見どころだった。

しかし、序盤から大阪桐蔭の打線が💥大爆発。で、打ちも打ったりの結果は19ー0。
やはり根尾、藤原、柿木、横川、山田、中川とドラフト候補が目白押しのチームはポテンシャルが高いわ。
根尾くんは去年は主に投手と外野の二刀流だったけど、今年からショートとピッチャーの二刀流になったんだね。そういえば去年もショートを守った試合があったような気がするなあ。センスと身体能力が高いんだろね。
藤原くんは足の故障明けだったかと思うけど、所々でその類い稀なる走塁センスを見せてくれたような記憶がある。本来ならばシングルヒットのところを、野手の動きを見て、一気に二塁まで陥れたんじゃないかな?間違ってたら、ゴメンだけど。

 

 
第4試合は三重vs星稜。
試合は14ー9で三重の勝利。ナイターになった試合は8回に星稜が9ー9に追いつくという熱戦。しかし、9回に三重が一挙5点を奪って突き放した。
でも実をいうと、試合は殆んど観てないんだよねー。
なぜかっつーと、試合が始まってすぐにお迎えが来たのじゃよ。
誰かと云うと、❤SMのお姉さん❗
とゆうのは真っ赤な嘘でー。蛾好きの後輩くんです。
その彼と武田尾に春の三大蛾狙いでライト・トラップしに行ったんだよねー。

 

 
大の大人二人が人影の無い山中の暗闇で、夜中まで煌々と灯りを焚いて、一喜一憂しておりました。
野球あほうに加えて虫あほうって、ものすごく阿呆な気がする。

                   つづく

 
(註1)
気になる方は、拙ブログの『さまよえるカラスアゲハ』の回を読んで下され。
いや待てよ。もしかしたらこの時期に追い立てられていたのはホラー仕立ての『2017’春の三大蛾祭り』シリーズの執筆だったかもしんない。

(註2)
気になるので、ご丁寧にも調べてみた。
ベスト8以前に破れた28チームのうちで、夏に戻って来れたのは聖光学院、中央学院、日大三、慶応、富山商、近江、下関国際の6校だけだった。確率にすると、たったの約21.4%だ。しかも、記念大会で出場枠が2枠に増えた千葉の中央学院と神奈川の慶応は例年ならば出られていたかどうかは微妙だ。
ついでに言っとくと、ベスト8を含めた確率で計算しても36分の11だから、たったの30.5%しかない。
そう考えれば、大阪桐蔭の春夏連覇は凄い確率だった事がよく解る。マスコミに煽られた金農旋風に霞んじゃったけど、もっと評価されて然るべき偉業だと思う。
 

台湾の蝶17 タカサゴカラスアゲハ

 
   台湾の蝶17『高砂鴉揚羽』

 
前回の『さまよえるカラスアゲハ』で力尽きて、又しても時が経った。
そもそもがこの回を書かんが為に前回はカラスアゲハ全般の分類について長々と書いたのだが、台湾のカラスアゲハだけでも分類学的にやっぱりややこしい。で、『書くの面倒クセーなあ…』と思ってるうちに再び結構な時間が流れた。とはいえ、この回を書かないと前には進めない。ちゅーワケで渋々書き始めまあ~す。

先ずは前回のおさらい。
と言いたいところだが、そんな事を書き始めたらまた無間地獄に陥るので、前回の続きとしてそのまま書き進めます。気になる方は、前回『さまよえるカラスアゲハ』を読んで下され。

 
従来、台湾のカラスアゲハも日本のカラスアゲハも同じ種類「Papilio bianor」に含まれ、それぞれ別亜種とされてきた。しかし、近年の遺伝子解析の結果に拠り、日本のカラスアゲハは独立種 Papilio dehaaniiとして別種に分けられた。但し、八重山諸島に分布するヤエヤマカラスアゲハは、台湾のカラスアゲハと同じグループとされてPapilio bianorに組み込まれた。
因みに、どうやら台湾のものは、以前はクジャクアゲハ(Papilio polyctor)と呼ばれていたヒマラヤからインドシナ半島等に産するものに近いようだ。

台湾では2亜種が知られ、台湾本土亜種の他に蘭嶼亜種 Papilio bianor kotoensis(コウトウルリオビアゲハ)もいるが、今回は本土亜種のみを取り上げます。ただでさえ既にアタマがパニくりかけてるのに、コウトウルリオビまで論じる力は無いんでござるよ。そちらはまた別の項を設けて書く予定です。あしからずでありんす。

 
【Papilio bianor thrasymedes ♂】
 
(2017.6.19 南投県仁愛郷 alt600m)

 
(2017.7.4 南投県仁愛郷)

 
(2017.6.26 南投県仁愛郷)

 
(2017.6 南投県仁愛郷)

 
(2016.7 南投県仁愛郷)

 
【同 ♀】
 
(2016.7.12 南投県仁愛郷 alt1900m)

 
(2016.7.12 南投県仁愛郷 )

 
【学名】Papilio bianor thrasymedes

小種名「bianor」は、ギリシア神話の半獣人ビアノールの事で、ケンタウロス(下半身が馬で腰から上が人間の怪物)の一人である。
亜種名は世界的にthrasymedesで落ち着いているようだが、以前の学名はPapilio bianor takasagoであった。「takasago」とは台湾の先住山岳民俗の高砂族を念頭に入れての命名だろう。一方、「thrasymedes」はおそらくギリシア神話の登場人物の一人トラシュメーデスを指していると思われる。トラシュメーデス❓聞いた事はあるけど、全然イメージが湧かない。
と云うワケでググってみた。
wikipediaには以下のような記述があった。

「トラシュメーデース。ギリシア神話の人物である。長母音を省略してトラシュメデスとも表記される。ピュロス王ネストールの子で、ペルセウス、ストラティコス、アレートス、エケプローン、アンティロコス、ペイシストラトス、ペイシディケー、ポリュカステーと兄弟。シロスの父、アルクマイオーンの祖父で、アテーナイのアルクマイオニダイの祖。
トラシュメーデースはネストールやアンティロコスとともにトロイア戦争に参加した。ピュロスの軍勢15隻を率いたともいわれる。トラシュメーデースはキマイラを育てたというアミソーダロスの子マリスを倒した。またパトロクロスがアキレウスの鎧をまとって戦っている間、ネストールの指示でアンティロコスとともに前線から離れたところで味方に気を配りながら戦った。そしてアンティロコスがパトロクロスの死をアキレウスに知らせに行ったとき、彼がピュロス勢を指揮した。
後にアンティロコスがメムノーンに討たれたとき、トラシュメーデースはメムノーンを討とうとして果たせなかった。しかしアカマースを攻撃して戦場から退かせ、また木馬作戦に参加した。
戦後、トラシュメーデースはネストールとともに無事にピュロスに帰り、テーレマコスにも会った。」

(;・ω・)何じゃこりゃ?ゴチャゴチャ人物が出てきて、何ちゃらワカラン。ギリシア神話に通じてる人間でもなければ、チンプンカンプンである。
一応、他のサイトも覗いてみる。

「彼は弟のアンティロコスほどではないが、重要な若いアカイア人リーダーの一人として描かれた。ディオメデスとオデュッセウスがスパイに行った時、彼は鎧と剣を前者に与えた。弟のアンティロコスがメムノンに殺された時、父と共に死体を守って戦ったが、メムノンが優れて強かったため、アキレウスの助けを求めることを余儀なくされた。オデュッセウスがトロイアのお守りを盗んだ時、彼を乞食と思い鞭で打った。トロイの木馬に入った。彼は戦争を生き残り、父と共に故郷へ帰った。」(出典 「wik!」)

少しはマシな説明だが、理解が飛躍的に深まったとはいえない。話の本筋じゃないし、まっいっか…。
それにしても、何で台湾の蝶がギリシア神話と関係あんねん!?どう考えても高砂族の方が相応しいじゃないか。

学名に納得いかないので調べてみる。
藤岡知夫氏の『日本産蝶類及び世界近縁大図鑑1』を見て、漸くその経緯が解った。

「台湾産亜種の学名としては古くtakasago Nakahara et Esaki,1930が使われ、最近でもこの学名が使われることがある。これは台湾産亜種名formosanus Rebel,1906が、オナシモンキアゲハ Papilio castor formosanus Rothschild 1896に先取りされていて、亜種名としては使えないため提起された名である。しかし、永井(1996)も述べたようにPapilio polyctorの亜種として命名されたthrasymedes Fruhstorfer,1909の方がtakasagoより先行していて、大英博物館に所蔵されるタイプ♂♀の内、♂を図示してあるが、台湾のカラスアゲハそのものであるので、台湾のカラスアゲハの亜種名としてはthrasymedesを使うべきである。」

( ̄ー ̄)ん~、納得できるような出来ないようなモヤモヤした気分じゃよ。
学名って、いったい何なのかね❓混乱を避けるために最初に命名されたものに先取権があるのは理解できる。しかし、より相応しいものにフレキシブルに変更できないものなのかしら❓takasagoなら、学名を見ただけで台湾の蝶だと容易に想像できるけど、トラシュメーデスじゃ、想像力が全然もって湧かないよ。
とはいえ、まあ学名はコレでよしとしよう。問題は寧ろ和名である。コチラも、まことにややこしい。

台湾のカラスアゲハの和名は従来「カラスアゲハ」だった。しかし、遺伝子解析の結果、日本本土のモノは別種 Papilio dehaanii になった。そして、沖縄本島・奄美大島に分布するオキナワカラスアゲハも別種Papilio okinawensisになった。八重山諸島に分布するヤエヤマカラスアゲハも分けられ、台湾や中国・インドシナ半島・ヒマラヤに棲むものと同じグループに組み込まれ、Papilio bianor ryukyuensisとなった(オキナワカラスとヤエヤマカラスの学名が逆だと指摘される方もおられるだろうが、自分は和名と連動するコチラを推します)。
こうなると、区別しやすくするために和名も整理する必要があるだろう。dehaaniiは後から種に昇格したのだから、ニッポンカラスアゲハとかキョクトウカラスアゲハにすべきだと云う意見もあるだろうが、そんなクソ長いのは真っ平御免だ。だいち過去にカラスアゲハと記述されてきた出版物はどうなるのだ❓そんなの混乱の極みを生じさせる。それに長年親しまれてきた名前を廃棄するだなんて心情的に許せない。あくまで日本のカラスアゲハは「カラスアゲハ」。そう胸にも刻み込まれておる。他はあり得ない。
まあ、コレにはそう異論は無いとは思うけどね。

オキナワカラスアゲハとヤエヤマカラスアゲハも、そのままの和名で異論は無かろう。
いや、待てよ。ヤエヤマカラスはbianorなんだから、台湾や大陸のものと同じ名前にすべきだと言う輩も出てきそうだ。それには、アタシャ、(*`Д´)ノ断固反対します!!それも混乱を引き起こす事、明白じゃよ。そもそも和名は日本人に解るようにと作られたものなのだ。アタマの堅いリゴリズム(厳密至上主義)って、学名しかりどうかと思うよ。ルールを頑なに振りかざす奴にロクな奴はいない。八重山諸島にいるカラスアゲハはヤエヤマカラスアゲハでよろし❗
因みに台湾のカラスアゲハを同じbianorなんだから、ヤエヤマカラスアゲハと呼ぶべしと云う意見もあるようだが、そんなものは言語道断。論じる気にもなれない。

一番問題なのは台湾と大陸側に連なるbianorだ。
そのままカラスアゲハとするとややこしいから、タイリクカラスアゲハを提唱する人もいたような気がするけど、ここはもういっそのことクジャクアゲハの和名を復活させたらどうだろうか?勿論、異論は有るだろうけど、中国のモノは別としても分布の大部分の地域では孔雀の名に相応しい見てくれのモノが多いような気がするんだよね。
一応、かつてクジャクアゲハ Papilio polyctorと呼ばれていたものの画像も添付しておきましょう。

 
(2015.4.13 Thailand)

 
まあコレに関しては、それほど拘泥しているワケではないんだけどね。別にタイリクカラスアゲハでも構わないやって思う。それよりも何よりも気になるのは、台湾のカラスアゲハの和名だ。
杉坂美典さんのブログ『台湾の蝶』では、「カラスアゲハ」としている。その根拠に日本鱗翅学会の機関誌やどりがのNo.239(2013)の宇野彰氏の論文をあげられている。そこでは台湾産カラスアゲハの和名をカラスアゲハとしており、それに従う云々と述べられていた。
これには納得できない。じゃあ、別種になった日本のカラスアゲハは❓まさかニッポンカラスアゲハとかキョクトウカラスアゲハでもあるまいに。たぶん同じくカラスアゲハと呼んでおられる事でしょう。
今や別種とされる両者が、カラスアゲハと云う同じ和名で呼ばれるならば、その経緯を知らない者はワケわかんなくなるよ。
ゆえに、自分は一部で使われていた「タカサゴカラスアゲハ」を圧倒的に推す。それが最も台湾のカラスアゲハとして容易に認識しやすいではないか(因みに和名タイワンカラスアゲハは別種Papilio dialisに使用されているので使えない)。前述したように、和名とは本来日本人が理解しやすいようにと名付けられたのだから、いたずらに混乱をきたすような名前は宜しくないと云うのが確固たるワタクシの考えでござる。

 
【台湾名】
翠鳳蝶、烏鴉鳳蝶、碧鳳蝶

 
【終齢幼虫と蛹】

(出典 「典蔵臺灣」)

(出典 「台湾昆虫譜」)

(出典 「圖錄檢索」)

 
一見したところ日本のカラスアゲハの幼虫と変わりばえしない。それにしても正面から見た顔はイジケ顔で可愛らしい。何だか奈良美智の絵の女の子にも似てる。

 
【幼虫の食樹】
ミカン科
賊仔樹 Tetradium glabrifolium ハマセンダン
食茱萸 Zanthoxylum ailanthoides カラスザンショウ
Zanthoxylum nitidum テリバザンショウ
Euodia lepta アワダンモドキ

ハマセンダンの学名は、他にEuodia melifoliaやEuodia glaucaと云うのもある。植物は複数の学名があるものが珍しくない。属まで違う事だってよくある。蝶以上に学名バトルがあって、👿憎悪渦巻く錯綜した世界なのかもしれない。
因みに、ハマセンダンとカラスザンショウはヤエヤマカラスアゲハの食樹でもある。おそらくヤエヤマカラスと同じように、ヒラミレモンなどの他のミカン科植物なども利用しているものと考えられる。
余談だが、賊仔樹とは泥棒の木と云う意味らしい。
何でそんな名前が付けられたのかはワカラナイ。何れにしても酷いネーミングだよね。

 
【生態】
台湾本土全域の平地から高地(~2500m)まで広く分布し、雌雄ともに花に集まる。オスは山頂や尾根筋を飛び回り、谷あいの湿地で吸水する姿もよく見掛けられる。飛翔は日本のカラスアゲハと比べて緩やかで、ヤエヤマカラスアゲハの飛び方に近い。

 
【周年経過】
多化性で、成虫は冬期の1、2月でも見られ、周年に渡って発生するとされる。

 
台湾で初めて採った時は「(・。・)何じゃこりゃ❓」と思った。カラスアゲハの仲間なのは理解できるけど、種名が頭の中で合致しなかったのだ。勝手にイメージしてたのは隣の八重山諸島に分布するヤエヤマカラスアゲハ。それと同じような見てくれだとばかり思い込んでいたのだ。
だが、それとは異なる印象をうけた。ヤエヤマカラスと比べて全体的に色調が暗く、スリムに見えた。
ヤエヤマカラスのフォルムは四角っぽいBOX型だが、タカサゴカラスはそれに比して翅先が尖り、どちらかというとクジャクアゲハの翅形に近い。下翅の紋の色も違う。ヤエヤマカラスは紺に近い青だが、タカサゴカラスは水色っぽい青緑色だ。コレもクジャクアゲハ寄りだ。謂わば、ヤエヤマカラスと云うよりも、地味なクジャクアゲハみたいな奴っちゃなあと思った記憶がある。
ちょっと説明が主観的やもしれぬ。ここは藤岡図鑑(日本産蝶類及び近縁種大図鑑1)の力をお借りしよう。
それによると、「八重山産は前翅形が角張り、外縁が直線状または外に膨らむ傾向があるのに対し、台湾産では翅端が外方に突出し、表面の青緑色鱗粉の密度は台湾産の方が薄く、外縁近くまで達することはない。前翅裏面外方の白斑は台湾産の方が薄いなどの諸点で区別できる。」とある。
つまり、あんまり似てないんである。私見だが、正直、同種の亜種関係には見えなかった。
ヤエヤマカラスのパッと見は、むしろタイワンカラスアゲハ(Papilio dialis)に近いと思う。

 
ヤエヤマカラスアゲハ♂
Papilio bianor ryukyuensis
(2013.10.4 沖縄県石垣島)

 
タイワンカラスアゲハ Papilio dialis ♂
(2017.6.25 南投県仁愛郷)

 
一応、タカサゴカラスアゲハとヤエヤマカラスアゲハの標本を並べて見比べてみよう。

  

 
上がヤエヤマカラスアゲハで、下がタカサゴカラスアゲハである。こうして改めて並べてみると、見た目は明らかに違う。ヤエヤマカラスの翅形が全体的に丸い印象なのに対し、タカサゴカラスは細っそりに見える。下翅の青緑色紋の色も違う。またヤエヤマカラスの青緑色紋下部の線はシャープで、緑色の部分とのコントラストが強い。そして、緑色の鱗粉は全体的に散りばめられており、隙間があまりない。タカサゴカラスに比して明るく見えるのは、そのせいだろう。更には下翅外側の半月紋が消失仕掛かっている個体が多い(これに関しては手持ちの標本が偶々そういうものばかりだと云う可能性はある)。
大量の標本を検分したワケではないが、概ねコレらの差違は同定の目安にはなると思う。

裏側も検証してみよう。

 
【ヤエヤマカラスアゲハ♂裏面】

 
【タカサゴカラスアゲハ♂裏面】

 
藤岡さんの言うように、確かにタカサゴカラスの方が上翅の白紋が薄い。そして、私見だが下翅を縁取る白紋がヤエヤマカラスの方が発達する傾向があると思う。
こうして事細かに比べてみると、両者は見た目レベルで結構違う事が解った。
実際、遺伝子解析の結果でもそれなりに離れた関係のようだ。分析図では、タカサゴカラスはクジャクアゲハと同一クラスターに含まれるが、ヤエヤマカラスはそれとは分離が進み始めているように見える。

 

(出典 「蝶類DNA研究会ニュースレター」)

 
だからゆえか、ヤエヤマカラスアゲハを独立種とすると云った見解が何処かに書いてあったような気がするが、アレはどうなったんだろう❓個人的には、もう別種にしてもらいたいよなあ…。
(;・ω・)んにゃ❗❓そういえば、かつてヤエヤマカラスアゲハに学名 Papilio juniaを与えて、独立種として扱うと云う見解もあったのではなかろうか?
それならそれで色んな問題が解決するから有り難いんだけど、あまり学名として認知されてないよね?
いや、待ちなはれ。Papilio bianor juniaと云う亜種扱いの学名もあったような気がするぞ。
ジュニア❓何だそりゃ?年少組?下級生?息子?
じゃ、いったい誰の2世なのだ❓Σ( ̄皿 ̄;;キイーッ、バルタン星人Jrは本当にバルタン星人の息子かえ❓おまえ、パチモンやろがっ(#`皿´)❗❗
ハッ(゜ロ゜)、しまった。迷宮で迷走。ワケわかんなくなってきて、危うく気がフレるとこじゃったよ。脱線ポンコツ列車を止めねばならない。冷静になろう。
考えてみれば、そもそもがそのジュニアとは綴りが違うよね。そのジュニアならjuniaではなく、juniorと書く筈だわさ。学なし男の初歩的ミスでありんした。\(__)反省。
落ち着いたところで、先ずはjuniaの意味からさぐってみよう。

juniaと書いて、ユニアと読むようだ。学名の基本はラテン語読みという事をすっかり忘れてたよ。
ユニアとは、ローマ神話のユーノー(Juno)の事で女性の結婚、出産を司る女神。またユーノーはJune(6月)の語源でもあり、ジューンブライド(6月の花嫁)の謂われもユーノー神から来ているようだ。
ギリシア神話ではないけれど、又しても神話だ。ヨーロッパ人は神話が好きだねぇ~。
ユーノーが携えている聖鳥は孔雀だというから、その辺りが命名の由来だと推測する。カラスアゲハの英名は、「Chinese peacock」。中国の孔雀だもんね。

更に図鑑でjuniaの学名を探してみる。
1982年保育社発行の「原色日本蝶類生態図鑑1」では、オキナワカラスアゲハは別種扱いになっていたが、ヤエヤマカラスアゲハはカラスアゲハに含み、亜種 bianor juniaとしている。
一方、2006年学研発行の「日本産蝶類標準図鑑」のヤエヤマカラスアゲハの項には「与那国島産と西表島産・石垣島産の間では(中略)、一般的に、与那国島産の方が青色鱗が発達し、台湾亜種に近いと言われている。八重山諸島に産するものは八重山亜種 junia Jordan,1909とされる。」
(|| ゜Д゜)えー❓、青色鱗はタカサゴカラスよりヤエヤマカラスの方が発達してるような気がするぞー。人によって見え方が違うのかな?
それに、与那国島産も石垣島産も見た目には、そう大差ないと云う記憶があるんだよなあ…。
又しても混乱してきた。もうー(ToT)、結局のところヤエヤマカラスアゲハの学名がどれが正しいのー❓益々、ズブズブの混迷の域に突入じゃよ。もうアタマわいてきた。(_*)ワケわかんねえや。

しかし、確か両者の交配結果では妊性が充分あって、F1(第1世代)もF2(第2世代)も出来るんだったよね。
と云うことは、やっぱり同種と言わざるおえないのかなあ…。しかし、ふと思う。妊性の有無が、はたして種を分ける絶対的なものなのかしら?F1が出来てもF2が出来なければ別種で、出来れば同種って誰が決めたのだ?それだって、誰かが勝手に決めた線引きに過ぎないとは言えまいか?
まあ、きっと学術的にそう認められる整合性のある理論がちゃんとあるのだろうし、そんな事を言い出したら分類なんて出来ないんだけどさっ。
妊性は置いといて、見た目でそこそこ区別できるものは、もう全部に和名をつけちゃったらエエやんかと云う暴論を吐きたくもなってきたよ。
研究者の中で、もの凄くお偉いさんで人望がある人がスッくと立って、カラスアゲハの分類について英断を下してくんないかなあ。ダメならば、いっそこの際ネットの公開多数決でもいいぞー。その結果には素直に従いますよ。とにかく、スッキリさせて欲しいワ。

ここで重大な事に気づく。
書き忘れたが、成虫の画像はみな夏型である。
春に台湾に行った事がないのだ。実をいうと、八重山諸島にも春に訪れた事は無い。勿論、持ち合わせの標本もない。ここまで書いてきて、完全な片手落ちである。相変わらずの詰めの甘いダダ漏れ男なのである。

一応、春型の画像をお借りして添付しておくか…。

 
【ヤエヤマカラスアゲハ春型♂】
(出典「昆虫舘」)

 

 
(出典2点とも「虫村の日記」)

 
【同♀】
(出典「虫村の日記」)

 
前にも言った事あるような気がするけど、この方の展翅は上手いよね。

( ̄ _  ̄)うーむ、夏型とは明らかに違う。
解りやすく纏められている方の画像も見つけたので、更に画像をお借りさせて戴こう。

 
(出典『昆虫館』)

 
上から夏型の♂。春型の♀、春型の♂と云う順番で、その右側がそれぞれの裏面になる。
春型は夏型に比して全体的に色調が暗い。翅の形はヤエヤマカラスだけど、下翅の青緑紋の色調はタカサゴカラスに近いような気もする。でも青緑紋の形はヤエヤマカラスアゲハ寄りである。(-“”-;)むにゃあ~。

お次はタカサゴカラスの春型。

と書いて進めようとするも、おっとととっととー。
Σ( ̄ロ ̄lll)ぎゃひーん❗❗
でもググっても画像が全然出てこん。特に春型とかスプリングフォームと名打っている記述が見つからないのだ。
ここで、ハタと思った。タカサゴカラスって周年発生で冬も成虫がいるって事だよね。ならば、そもそも春型って云うフォームが存在しなかったりして…。だから、春型らしきものが見つからないのかもしれん。
いやいや、🎵ちょっと待て、ちょっと待て、お兄さん
八重山諸島でも、最西端の与那国島辺りまでくると、台湾と緯度は同じだぞ。経度も近い。晴れた日には、与那国から台湾が肉眼で見えるとも言うじゃないか。

再度、図鑑で確認してみる。
標準図鑑には、フォームの違いは特に記されていないが、3月上~中旬が第1化(春型)とハッキリ明記されている。生態図鑑には「八重山諸島では個体数は少ないが低温期にも姿を見ることがあり、発生に遅延はあっても本土産のように明瞭な休眠をしないものと考えられる。」と記述され、春型については触れていない。
\(@@;)/ひょえ~。オイちゃん、又しても迷宮に迷いこむ。
だが、今度は冷静だぜ。タカサゴカラスアゲハの垂直分布は、下は海沿いの海岸林から上は標高2500mくらいと幅が広い。思うに、低地では周年発生で、標高が高い所では日本と同じく蛹で越冬している筈だ。と云う事は、そこでは春型も存在するに違いない。
とはいえ、画像を図示できてないからなあ…。
それに生態写真を数多く見ていると、段々タカサゴカラスアゲハとヤエヤマカラスアゲハが同じに見えてきた。何だか自信が無くなってきたよ。ヤバイ。迷走グダグタだ。
(○
○)ひゅろろろろ~、ピッ・ボッ・ロッコ・ケ~。

『赤ん坊はもう疲れたよ。いつまでも壊れた玩具(オモチャ)で遊び過ぎたからね。もう、さよならをするよ。』

                  おしまい

 
 
追伸
かつてないスゴい尻切れトンボの終わりかたである。
無責任、敵前逃亡、オチなし。こんな突然ブッツリで終わるだなんて、自分でも過去に記憶が無い。
でも、頭の中がサドンデス、突然ブッ壊れてR.チャンドラーの小説『長いお別れ』の一節が口から漏れ出て脳が急停止したのだ。心と体が、これ以上考えるのはよせと命令したのであろう。久し振りの長文に耐えきれず、自己崩壊したのかもね。
ゆえに、この追伸は翌日に書いているのら。
時間が経って冷静さを取り戻しているので、書き直そうと思えば書き直せなくもない。しかし、このままにしとく事にした。コレはコレて良いではないかと思ったのだ。たまには、こう云う回もあってもいいでないか。

               2018.12.16

 
追伸の追伸
お願いだから『復帰早々、ポンコツかよヾ(¬。¬ )』とか言わないでよねー。