失態(T.T)本格だし巻き玉子

 
久し振りに出汁巻き玉子を作ろうと思った。

先ずは卵を冷蔵庫から取り出し、常温で置いておく。
コレ、大事なのでメモね。

出汁はいつもなら干し椎茸、鰹節、煮干し、昆布を一晩水に浸けておくのだが、思いつきで作ろうと思ったから用意してない。ならばと、市販の昆布だしを使用することにした。

 

  
ヤマサの『昆布つゆ白だし』である。
一応、使用方法みたいなのを見る。卵3個に対して本品10~15㎜lと水30㎜lを入れよと書いてあった。コレがいけなかった。普段なら卵4つと出汁100ccの比率で混ぜるのだが、何にも考えてないからそのまま鵜呑みにしてしまう。

キッチンペーパーで壁面まで油を多めにひく。ポイントはサイドまでキッチリ油を塗りつけることだ。ここも大事なのでメモね。
強火にして、よくかき混ぜた卵液を二回に分けて一気に焼く。形はこの際、気にしない。あとで誤魔化す秘策があるからだ。
仕上げに入る時に違和感を覚えた。何か、いつもより量が少ない。ここで卵が4個ではなく、3個で作っていることに漸く気づく。しかし、今さらコタローである。仕方なくテキトーに巻いて取り出す。

ここから秘策である。す巻きにラップを敷き、形を整える。す巻きを使えば、形は何とでもなるのだ。

( ̄□ ̄;)あっ❗、やっぱり卵が足りなかった。
何だか細くなってまっただよー。

取り敢えず包丁で切って、器に盛る。
器は有田焼をチョイス。

 

 
ここでまた、失態に気づく。
大根が無いから、大根おろしを用意できない。
まっ、いっか…。

まあまあ天才でも、たまには失敗することもある。
正直、見てくれは30点以下だ。
しかし、口に入れると出汁がジュワッと溢れ、卵と出汁の香りが鼻から抜けてゆく。マジ美味い(´ω`)
細かいところに目を瞑れば、本格スペシャル出汁と遜色ない。絶妙のバランスだ。やっぱ出汁巻きは卵液と出汁とのバランス加減だよね。出汁の量が少な過ぎてもダメだし、多過ぎても上手くいかない。

良かったら、試してみてネ(^o^)

 

2018′ カトカラ元年 其の12 前編

 
  vol.12 ジョナスキシタバ

   『ジョナス隊長』

 
実を云うと、人生で初めて採ったカトカラはジョナスキシタバだった。
ムラサキシタバを一目見たくて、A木くんにライトトラップに連れていってもらった時の事である。

 

 
場所は兵庫県但馬地方。
日付を確認すると、2017年の9月23日となっている。
行ったのは結構遅かったんだね。

日没後、暗くなってから直ぐにそこそこ大きい蛾が飛んで来て、目の前の地面にボトッと落ちた。
元来が蛾嫌いなので、瞬間Σ( ̄ロ ̄lll)ヒッ❗と思って、一歩後ろに飛び退いた。ワタクシ、それくらい蛾が怖い人だったのである。

落ちた刹那、僅かに羽を開いたので、ちらりと下翅の黄色が見えた。これが世に言うカトカラって奴なのかなと思った。しかし、下翅の黄色いカトカラは似たようなのが沢山いて、素人目にはさっぱりワカラン。興味が無いから尚更である。すかさず、A木くんを呼んだ。

『あっ、ジョナスですね。結構少ないカトカラですよ。』
『ジョ何❓ジョナサン❓』

思わず訊き返した。そんなカタカナのカトカラがいるなんて初耳だったので、何じゃそりゃ❓と思ったのである。

『ジョナサンじゃなくて、ジョナスです。』

なあ~んだ。ジョナサンじゃないのかあ…。ジョナサンだったら「かもめのジョナサン(註1)」みたくで面白いのに…と思ったのをよく憶えている。
でも、蛾は気持ち悪い。怖々でしゃがんで暫く見てた。元より持って帰る気などさらさら無かったのである。
したら、A木くんが言った。

『採らないんですか❓近畿では中々いませんよ。採っといた方がいいですよ。』

そう言われると、虫屋の性(さが)として、何だか急に惜しくなってくる。
で、記念にもなるしと思って、一応持って帰ることにしたんだっけ。でも当時は蛾を素手で触るなんて到底出来なかった筈だ。どうやって〆たとか全然記憶にない。おそらく優しきA木くんが取り込んでくれたのだろう。
当時のジョナスの記憶は他にあまりない。
あるのは、この日はジョナスの飛来が比較的多かったらしく、A木くんが『今年はジョナスの発生が多いのかも。こんなに飛んで来たのは初めてです。』と言っていた事と、ジョナスという言葉の響きが気に入ったので、飛んで来る度に『ジョナ━━━ス❗』とか叫んでた事くらいだ。アホである。

そういや、この日はただキシタバ(註2)=パタラキシタバ(C.patala)も飛んで来て、そっちの方がデカくて下翅も黄色いので、見映えがいいなとか思ったんだよね。今や屑扱いだけど。

 
【Catocala jonasii ジョナスキシタバ♂】
(2017.9.23 兵庫県香美町)

 
その時のジョナスである。
上翅が尖ってるので、比較的簡単に他のキシタバとは区別がつく。あと、尻が長いのも特徴だろう。
何かシャープでソリッドな感じがして、カトカラ特攻隊の隊長みたいだ。だから、この日から勝手に心の中では「ジョナス隊長」と呼んでいる。

展翅は上翅は上がっているものの、自分的にはバランス良く仕上がってると思う。

 
【同♀】

 
♀は♂程には翅先が尖らず、外縁部に丸みがある。腹も短くて太い。
翅形も腹の形も明らかに♂とは違うので、雌雄の判別が一番容易なカトカラかもしれない。

両方並べてみた。

 

 
形はカトカラの中ではカッコイイ方だと思う。
しかし、如何せん下翅の黄色が薄くて、くすんでいる。残念なことに鮮やかさに欠ける黄色なのだ。今一つ人気がないのも、その辺に原因があるんざましょ。

お気づきの方もおられるかと思うが、このシリーズ連載は採集した順番になっている。だから、何故にジョナスをトップに持って来ないのだ?そう疑問を持たれた方もいるだろう。しかし自分の中では、この2017年のライトトラップはカウントに入れていない。なぜかと云うと、積極的に採ったワケではないからだ。元々蛾を集めようとは露ほども思っていなかったし、この日に採った何種類かのカトカラも記念品みたいなものだった。だから、これがキッカケとなってカトカラを集めようと思ったワケではない。そういう気は全然起きなかった。だいち、所詮は人のライトトラップで採らして貰ったものである。道具、ポイント、移動手段、全てがA木くんのお膳立てである。自分の力はゼロなのだ。とてもじゃないが、自分で採ったとは言えない。貰ったも同然じゃないか、そう考えている。だから、カウントしないのだ。
覚醒したのは、翌年の2018年になってからだ。それゆえの、このメインタイトル『2018’カトカラ元年』なのである。

 
 
2018年 9月1日

 
この日はムラサキシタバを求めて、アホなのか虫採りの天才なのか分からない植村を焚き付けて、兵庫県但馬方面にライトトラップにやって来た。
植村は、ごっつい光量のライトトラップセットを持っているのだ。そのクセ、カトカラはまだあまり採っていない。たぶん、とこでも採れるド普通種くらいだ。そのクセ、珍品カバフキシタバを採ってたりするから、アホなのか天才なのかワカラン奴なのだ。

 

 
しかし、山ほど蛾は飛んで来たが、カトカラはゴマシオキシタバとジョナスのみだった。しかも、それぞれ1頭のみ。A木くんに連れていってもらったポイントはマズイと思って、別な場所に屋台を構えたのだが、見事にコケた。

 
(2018.9.1 兵庫県香美町)

 
♂である。展翅、下手だなあ…。
この頃は、まだまだ上翅を上げ過ぎていた時代だったんだね。

 
 
2018年 9月7日

この日もムラサキシタバを求めて山梨県にやって来た。
大菩薩山麓に、常時ライトトラップが設置されているペンションがあるのだ。

 

 
すずらんというペンションで、関東方面の虫屋にはお馴染みの宿だ。
そういえば、ペンションのお姉さんには、よくしてもらったなあ。楽しかったし、また行けたらと思う。

 

 
ここにジョナスが1頭飛来した。時間は早いと云うイメージも遅いと云うイメージも無いから、7時台か8時台くらいだったのだろう。

 

 
上は、その時の個体である。これまた♂である。
三晩いたが、飛来したのは全部で2、3頭。持って帰ったのは、この1頭のみだった。他はボロボロだったのだ。

 
 
2019年 7月17日

今回も続編を書かずに、2019年の分も組み込んじゃいます。

奈良市でマホロバキシタバの分布調査をしていた時だった。
樹液の出る木の上部に、変なカトカラが翅を閉じて静止していた。小太郎くんはマホロバだと言ったが、自分的には違うと思った。しかし高さは4m程あったので、よく分からない。

 
取り敢えず網の中に入れてみて、何じゃこりゃ(?_?)
❓❓❓❓❓❓…はてな、はてなの嵐。何者かが分からなかったのだ。見た事があるような気がするのだが、何かワカラナイ。一瞬、ヤガ科の糞ヨトウガかなと思ったが、網の中に入った時に裏がチラリと見えたからカトカラの仲間の筈だ。化けた❓まさかと思い、下翅を覗いて見ると、やっぱり黄色いからカトカラだ。くすんだ黄色だから、アサマキシタバかなと思った。

でも、この辺ではアサマキシタバの時期はとうに終わってる筈だ。5月の中旬に現れて、6月半ば頃には姿を消す。今時いるとは思えない。たとえ居たとしても、ボロボロだろう。こんなに鮮度が良いワケがない。(@_@)わにゃにゃにゃにゃあ~、頭が混乱する。
もしかして、また新種見つけちゃんたのう❓だとしたら、オラって天才じゃないか( ̄∇ ̄*)ゞ

『今、ゴチャゴチャ考えても仕方ないですよー。』とか小太郎くんに言われそうだったし、取り敢えずアンモニア注射をブッ刺し、〆る。

  

 
じっくり見る。
ハッ、Σ( ̄ロ ̄lll)
そこで、ようやく記憶のシナプスが繋がった。

声に出して言う。
『コレって、ジョナスキシタバだわさー❗❗』

 

(2019.7.17 奈良市)

 
まさか、こんなところにジョナスが居るワケないと思ってるから、全く頭に無かったのだ。
東日本では、ジョナスは普通種に近い扱いだが、西日本では分布が局所的で少ないのだ。ネットとかで見ても、都市近郊のジョナスの記録は殆んど無いのである。近畿地方で確実に産するのは兵庫県の西部から北部にかけてと、紀伊半島南部の標高の高い所にしかいないとされてきたのだ。後々、A木くんに訊いたが、奈良市内で採れた事に驚いてたくらいなのだ。

 
【裏面】

 
翌日にも、写真を撮った。

 

 
展翅したもの↙。

 

 
【同裏面】

 
上翅は下げているが、触角はLet it be.なすがままで整えた。この時期、まだ触角を殊更(ことさら)に真っ直ぐするつもりはなかった。女性の美しい眉を蛾眉と言うが、蛾の触角とはそうゆうものだと思っていたからだ。自然な感じの方が良いんではないかと思ってたんだよね。けんど、この後くらいから段々と触角が真っ直ぐになってゆく。なぜかと云うと、よくよく考えてみれば、カトカラの触角って生きてる時は真っ直ぐなのである。
もー(# ̄З ̄)、そのまま真っ直ぐになっとけよー。何で死んだら曲がるんだよぉ~。

 
                   つづく

 
追伸
予想以上に解説編が長くなってまったので、分けて次回、後編の方に回します。

前回のシロシタバの英名の項で「Snow underwing 」に文句カマしたんだけど、Facebookにて石塚さんから次のようなコメントを戴いた。

「どうでもいいことですが、シロシタバの英名は Hollandが Snowy Underwing と名付けています。yを加えたほうがいいかも。」

Snowyには「雪の、雪的な、雪の降る、雪の多い、雪の積もった、雪におおわれた、雪白(純白)の、清浄な」と云う意味があるから、ワタクシもそれで宜しいかと存じます。「純白の」とか「清浄な」と云う意味も混じっているのがグッドですな。

考えてみれば、と云うか考えてみなくとも、ジョナスを人にエラそうに語れる程には見ていない。たぶんトータルで15頭にも満たないだろう。だから次回の解説編では、キレが悪いかもしんない。それでも果敢に攻めるとこは攻めようと思う。個人的見解はバシバシ言うつもりだ。

  
(註1)かもめのジョナサン
『かもめのジョナサン』(Jonathan Livingston Seagull)は、リチャード・バックによる寓話的小説。1970年にアメリカで出版され、最初は当時のアメリカのヒッピー文化とあいまって口コミで徐々に広がり、1972年6月以降に大ヒットした。日本では1974年に五木寛之の訳で出版され、120万部の大ベストセラーになった(累計270万部以上)。
食べる時間すら惜しんで飛ぶ事に打ち込み、飛ぶとは何かを探究し、「真に飛ぶこと」を求めた1羽のカモメの物語である。
そこに、キリスト教の異端的潮流ニューソートの思想が反映されていると指摘する者や、禅の教えを表しているとする者もいる。読者たちを精神世界の探究、宗教的な探究へと誘(いざな)う一種の自己啓発本のようにも読まれていた。

  
(註2)ただキシタバ
ジョナスキシタバやカバフキシタバ等と、下翅が黄色いカトカラには後ろにキシタバとつけるのが慣例みたいだ。日本には、この黄色い下翅を持つカトカラが圧倒的に多く、キシタバ類を総称してキシタバと呼ぶ事も多い。
しかし、名前の上に何もつかないキシタバ(C.patala)と云うのがいるから、ややこしい。

 
【キシタバ Catocala patala ♀】
(2019.6月 大阪府池田市)

 
黄色いカトカラの基準となった種だからなのだろうが、これがしばしば混同される。種としてのキシタバそのものを指しているのか、黄色いカトカラの総称としてのキシタバを指しているのかが分かりづらいのである。それを避けるために、種としてのキシタバを普通キシタバとか、ただキシタバと呼ぶのである。これが面倒くさい。だからか、口の悪い人間なんぞは、腹立ちまぎれに糞キシタバとか屑キシタバと呼んでいる。ゆえに、呼称にパタラキシタバを提唱しているのだが、何処にでもいて邪魔なので、つい糞キシタバと言ってしまう(笑)

 

悶絶、ほぼゼロ円銀杏(ぎんなん)

 
秋に人生で初めて銀杏(ぎんなん)を拾った。
大阪のド真ん中に住んでいるから、イチョウ並木で有名な御堂筋はすぐ近くだし、隣の隣のなにわ筋でも実をつける雌木が結構あることは知っていた。
しかし、拾うことには抵抗感があった。何か貧乏くさいし、恥ずかしい。だいち臭い。だから、採りたい気持ちはあったが、ずっと出来なかった。

だが、シルビアシジミの様子を見に行った折りに、中津付近でたくさん銀杏が落ちている所を見つけた。

 
【シルビアシジミ】

 
採集の帰りだから、ビニール袋の一つや二つは持っている。幸い人通りも少ない場所だったし、どうせ今やボンビー人だ。遂に意を決して拾うことにした。

(σ≧▽≦)σくっせー。
でも一つでも拾えば、死なばもろともだ。むしろヤケクソ魂に火が点いた。たぶん、7、80個は拾った。
何か厭世感スパイスの混じる、やり遂げた感ありぃ~のカタルシスがあったよ。遠くへきたなあ…。

お家に帰って、ジップロックに放り込み、キッチリとファスナーを閉めて冷蔵庫に安置した。

一週間後、冷蔵庫から取り出す。冷蔵庫に入れておいたのは、臭さを少しでも軽減させる為である。
もう一度、シッカリとファスナーが閉まっていることを確認して、果肉をむにゅむにゅと手で潰す。
気持ち良さげな感覚と気持ち悪い感覚とが混淆する変態世界だ。何か微かに💩ウンコのような匂いがしてきて、背中がゾワゾワする。もう変態スカトロワールドだ。意識が朦朧とする。
でも、乗り掛かった船だ。今さら後には引けない。半ベソ気味で作業を続ける。

そして、ある程度、種と果肉に分離したところで、ジップロックの端を少し開け、そこから種を搾り出し、貯めておいたシンクに設置したプラたらいに一つ一つドロップしていく。
そう、ジップロックを使ったのは、少しでも臭さが拡散するのを防ぐためだ。水に落としてるのも、同じ理由だ。できるだけ、空気に触れさせてはイケん。

全部を分離させたところで、ジップロックのファスナーを閉めて、ゴミ箱にドォ━━━ン❗ダンクをカマす。これなら、手も汚れない。臭い匂いは、元から断たなきゃダメッ❗
水を出しっぱなしにして、プラたらいの中で果肉を洗い落とす。それでも臭い。(@_@)悶絶しそうじゃよ。
我慢して、丁寧に洗い落とす。臭い匂いは、元から断たなきゃダメッι(`ロ´)ノ❗

何とか処理を終えて、ザルに移し、\(゜o゜;)/キャアーってな感じでダッシュ💨でベランダに運ぶ。

 

 
こんな感じで、一週間ほど乾燥させれば出来上がり。
しかし、そこは天下無双のエエ加減男。結局3ヶ月近くも、そのまま放置する事となる。

銀杏は包丁の背でブッ叩くと割れる。
いつもなら、それをフライパンで煎り、拾ってきた松葉なんぞをあしらってカッコつけるのだが、メンドクセーので茶封筒に放り込み、テキトーに封をしてレンチン。
パン、パン、パァーン💥爆発したところで、レンジから取り出す。この間、たぶん1、2分。そう、超簡単ギンナン乱暴調理法なのだ。
よければ試してけれ、マジ簡単だから。但し、ギンナンは爆発するので、見てくれに目を瞑らねばならぬ事は覚悟されよ。
あとは、塩を振って出来上がり。

 

 
ちゃんとジックリ煎った方が旨いけど、まあ全然問題ない範囲だ。それなりに旨い。

余ったので、翌日は本しめじ、京揚げを加えて、昆布だしで優しく炊いた。仕上げに三つ葉を散らす。

 

 
はんなり、しみじみと旨い。
冬にして、秋をじんわりと楽しむ。
そういえば、今年はろくに🍁紅葉も愛でてないなあ…。

 
                    おしまい

 

アボカドの生ハム巻き

 
何日か前に生ハムが半額(250円くらい)になっていたので買い、毎日ちびちび食っていた。
あと残り少なくなったところで、冷蔵庫の野菜室に放置されていたアボカドを発掘。たしか98円だった。
そこで💡ひらめいた。二つを合わせれば、旨いんでねぇの❓生ハムは日本のだから、はたして合うのかと思ったが、試してみたらコレが予想外に旨い。
というワケで、残り全部の生ハムをアボカドに巻いてやった。

塩味を少し足した方がいいと思ったので、パラッとかけて、黒胡椒も挽いた。

 

 
最初にアボカドとクリーミィーな感じがきて、噛むうちに生ハムの旨みと塩味がクグッと立ち上がってくる。
バリうみゃーい❗d=(^o^)=b
ここは当然白ワインかシャンパンでしょーよ。

 

 
Moment d’Or Brut モマンドール ブリュット。
何となく白ワインではなく、シャンパンにした。コレもひらめき。

アボカド生ハム巻きを食って、シャンパンを飲む。
正解❗❗
( ☆∀☆)ぱひょ━━━━━━ん❗メッチャクチャ旨いやんけ━━━━。

少しアボカドが余ったので、山葵醤油で食べることにした。

 

 
山葵はビシッと本ワサビを擦らして戴いた。
これまた半額以下になってて、250円也。

コチラは何度も作っているので味の想像はつく。
うむ、マグロのトロに似た味で旨いねぇ~(^o^)v
しあわせだよ~ん( ^∀^)

 

2018′ カトカラ元年 其の11 最終章

 
  vol.11 シロシタバ act5

     ー解説編ー
 『天鵞絨(びろうど)の褒章』

 
長々と書いてきたが、やっと種の解説だ。
ここまで、ホント長い道程(みちのり)だったよ。

 
【シロシタバ Catocala nivea ♂】

 
【同♀】

 
【♀裏面】

 
【学名】Catocala nivea nivea (Butler,1877)

小種名のnivea(ニヴェア)は、雪(白)、雪のように白いの意。ラテン語のniveusの女性形。

学名の小種名はニベア(ニヴェア)は女性形なんだね。本文中で度々シロシタバを彼女と呼んだのも、あながち間違っていなかったワケだ。

ニベアで最初に連想したのは、あのスキンクリームで有名なニベア。どうやら両者の語源は同じみたいだ。虫採りをやってると賢くなるのら。今度何かで使ったろー。

『キミの素肌はニベアだね。透き通るように美しいよ。』
『えっ、ニベア❓ニベアってあの手とかに塗るクリームの❓』
『そう、そのニベア。元々ニベアとはラテン語で雪のように白いって意味なんだ。クリームのニベアはそこからパクったってワケ。』
『へぇー、そうなんだー。アナタって❤素敵❗』
『いや、キミの美しい素肌の方が何倍も素敵だよ。』

( ☆∀☆)おー、使えんじゃねえかー。
と云うのは、もちろん嘘で、(/ロ゜)/わうっと仰け反るくらいにゲロ安っぽいわ。
(-_-)んなもん使えねえよ、バーカ(# ̄З ̄)である。

深夜に書いてると、アタマがワいてくるニャー(ФωФ)
一人妄想ごっこはコレくらいにして、先へと進めよう。

学名は「雪のように白い」だが、厳密的にはシロシタバの下翅は真っ白ではない。限りなく白に近い質感のあるオフ・ホワイトだ。それが織物のベルベット、もしくはビロードや別珍(ベッチン)みたいで(註1)、それがかえって上品さを醸し出している。蘚(こけ)のような上翅とのバランスが何とも気品があって素敵だ。

余談だが、ジジミチョウ科の Lachnocnema(ラクノクネマ)属に Lachnocnema nivea というのがいる。和名はケブカアシジジミ。脚がモフモフでとても可愛い。

 
【Lachnocnema bibulus】
(出展『iNaturalist』))

 
L.nivea の画像が見つけられなかったので、同属の別種を貼り付けておいた。
他にもシジミチョウ科には、シロシジミ属(Ravenna(ラヴェンナ))に Ravenna nivea という種がいるみたいだ。

 
【和名】
度々、オオシロシタバとの和名の逆転現象が指摘されている。オオシロシタバよりシロシタバの方が明らかに小さいのにオオと付くのは紛らわしいというワケだ。
『原色日本産蛾類図鑑』のシロシタバの解説欄には「前種(オオシロシタバ)よりは常に大きく、その和名は前種と入れかえる方が合理的であるが、永年使用されてきたものであるし、さして不便もないのでそのままにしておく。」と書いてあるから、皆が妙に納得して声高に糾弾するまでには至らなかったのであろう。この図鑑のメインの著書は江崎悌三先生だもんね。偉い先生だから、文句言えないよね。
自分も図鑑に倣(なら)い、このままで良いと思う。シロシタバはシロシタバでよろし。今さら「明日からシロシタバはオオシロシタバになります。オオシロシタバはシロシタバになります。」と言われても困る。そんなの余計にややこしくなるに決まっているのだ。一々、旧シロシタバとか旧オオシロシタバとかと説明するのは面倒くさ過ぎるし、文献だって後々シロ、オオシロのどっちを指しているものなのかがワカンなくなっちゃうぞー。

でもさあ、そもそも何でこんな和名の逆転現象が起きちゃったのだろう❓
名付けた人が単におバカだったのかなあ❓
いくらなんでも、それはないと思うんだよね。裏には驚愕の命名譚が隠されているのかもしれない。
とはいえ、ここで脱線するワケにはいかない。これは宿題としよう。オオシロシタバの回までに何らかの回答を探しておきま~す。

 
【英名】Snow underwing(雪下翅)

ネットの『ギャラリー・カトカラ全集』には、そう書かれてあった。英名としては違和感がない。でも、それを訳した「雪下翅」というのが気にかかる。
確かに「underwing」は直訳すれば下翅(下羽)だが、「カトカラ」と訳す方が適切なのではないだろうか。いや、それなら「underwing moth」でしょうよと云う指摘を受けそうだが、辞書やネットの表記ではカトカラそのものとして「underwing」が適用されているのだ。ゆえに和訳は「雪カトカラ」もしくは「雪のようなカトカラ」が正しいのではないかと思う。

けれど「snow underwing」で検索してもシロシタバは殆んど出てこない。世界的にはポピュラーな称号ではなく、あまり浸透していないみたい。
試しに「white underwing(白いカトカラ)」で検索してみたら、1件だけシロシタバにヒットした。しかし、その殆んどは北アメリカに生息する Catocala relicta というカトカラの称号として出てくる。

 
【Catocala relicta】
(出展『iNaturalist』)

 
ハクトウワシみたいでカッコイイ奴ちゃのー。
でもシロシタバというよりもシロオビシタバだ。もっと言えぱ、印象的なのは上翅の白だから、ウエシロシタバかな。どちらかと云うと「White underwing」というよりかは「White upperwing」だね。しかし、カトカラを「underwing」とするならば、コレはオカシイ。
厳密的には「White upperwing underwing」、もしくは「White-upperwing underwing」になる。けれど、これでは上白羽下羽になってしまい、何ちゃらワカラン錯綜した名前になるからダメじゃないか(笑)。ややこしい。自分でも段々何言ってんのか分かんなくなってきたよ。
幸いコヤツには他のタイプもいて、上翅がグレーなのもいるようだから「White upperwing underwing 」は使えないだろう。一安心だよ。

 
(出展『Butterflies and Mothes of North America』)

 
(出展『Lepidoptera Odonata web Atlas Detail 』)

 
あれっ❗❓、コレって下翅の帯を青紫色にしたら、何かとソックリになると思いません❓
ほら、↙コレなんか近い。

 
(出展『wikipedia』)

 
そう、ムラサキシタバ(註2)様にソックリなのだ。

 
【ムラサキシタバ】
(2019.9月 白骨温泉)

 
何で似てるのかと云うと、両者は近縁種で親戚関係にあるのだ。但し、大きさは違い、ムラサキシタバの方が遥かにデカイようだ。

今、思い出した。そういえぱ、いたなあ…。
「White underwing」といえば、その名に最も相応しいものがいるわ。2007年に中国四川省で見つかったカトカラは下翅が本当の意味で白いのだ。
話がどんどんシロシタバから離れていくが、まっ、いっか。

で、ネット検索したら見つかった。
画像を見た瞬間は「えっ、これがカトカラ❓」と思ったくらいカトカラに見えなかった。帯紋が全く無い下翅もそうだが、上翅がベタで全然カトカラっぽくない。

 
【Catocala uljanae (Sinyaev,Saldaitis&Ivinskid,2007)】
(出展『BOLDSystems v3』)

 
これこそが「White underwing」だよね。
尻が無いが、論文(註3)には尻有り画像もあって、尻まで真っ白なのだ。こんなに腹が白いカトカラって他に類を見ない。
あっ、そうだ。コレって石塚さんの『世界のカトカラ(註4)』にも載ってたよな。

見たら、シロムクシタバと云う和名で載ってました。

 
(出展『世界のカトカラ』)

 
シロムクかあ…、秀逸な和名だすな。中々、白無垢なんて発想は出てこないもんね。素敵な和名だと思う。
図鑑が発刊された2011年の時点では、中国四川省中部の1ヶ所のみから知られる大珍品で、ホロタイプの1個体しかなかったそうだ。
シロシタバとの関係を連想させるが、ゲニタリア(交尾器)の形状などから類縁関係は無いそうだ。

 
【開張(mm)】95~105㎜。

ネットの『みんなで作る日本産蛾類図鑑』にはそうあった。おそらくコレは『原色日本産蛾類図鑑』から、まんま引用したものであろう。一方、岸田先生の『日本産蛾類標準図鑑』には、80~95㎜とあった。随分とズレがある。どっちが正しいのだ❓

もう自分で測っちゃったよ。結果は♀の一番大きなもので、104㎜ほどあった。産地は四條畷だ。
私見では概して西のシロシタバの方が東のものよりも大きい。おそらく『日本産蛾類標準図鑑』では、東の方の標本を基準に検したのだろう。とはいえ、反対に小さい個体は東でも西でも95㎜以下のものもいるから『原色日本産蛾類図鑑』よりも岸田図鑑の方が合っている。まあ、どちらかの記述が正しくて、どちらかの記述が間違っていると云うワケでも無かろう。両者を合わせた開張80~105㎜でエエんでねえの❓
何れにせよ、カトカラの中ではムラサキシタバと並ぶ最大級の大型種である。他のカトカラと比べて、この二つが群を抜いてデカくて迫力がある事に異論はないだろう。

そういえばA木くんに「ムラサキシタバが最大種と言われてるけど、シロシタバとそう変わんないんじゃないの❓」と訊いたら、「似たような大きさだけど、全体的には少しムラサキの方が大きいかなあ…。」という答えが帰ってきたっけ。

ちょっと驚いたのは『原色日本産蛾類図鑑』では、ムラサキシタバの開張が92~102㎜とあり、シロシタバの方は95~105㎜と、シロシタバの方が大きいとされていることだ。発行元の保育社は関西の会社だから、関西の標本を検した結果なのかなあ?…。

ここでまた私見を述べよう。
一般的にはムラサキシタバの方がシロシタバよか大きいとされるが、主に関東方面の意見なんだろね。確かに東日本では、明らかにムラサキシタバの方がデカイと思う。

 

 
上は白骨温泉のムラサキシタバの♂で、下は平湯温泉のシロシタバ♀である。測ったら、ムラサキシタバの開張が100㎜、シロシタバが92㎜だった(一言を添えておくと、一見すると写真では両者は同じ翅幅に見えるけど、下からあおって撮っているので、そう見えます。展翅板の溝幅の違いを見て下されば、御理解いただけるかと思う)。
今のところ中部地方で採ったシロシタバで、ムラサキに匹敵する大きさのものは見たことがない。一方、西日本では同じくらいの翅幅のモノは結構いる。但し、開翅長はそう変わらないが、翅の表面積まで含めるとムラサキシタバに軍配があがると思う。

 
【雌雄の判別法】
何か唐突ではあるが、ここで♂と♀の見分け方を書いておこう。本文の方で、それには一言も触れていないことに気づいたからだ。

♂と♀は翅形が違い、♀は♂と比べて全体的に翅に丸みがある。ゆえに、だいたいはパッと見で判別できるのだが、中には微妙な個体もいたりする。なので、確実な方法は腹を見ることだ。

 
【♂の腹部】

 
【♀の腹部】

 
♂は腹が細く、長い。そして、腹端に毛束があるのが特徴だ。一方♀は腹が太く短い。毛束は無いことはないが、♂と比べて非常に少ない。これで大体の区別はできるだろう。
他に翅の付け根にある毛の数で判別する方法もある。

 
(出展『日本のCatocala』)

 
その刺毛が♂は1本、♀には3本あり、それが一番正確な判別方法なのだが、上翅をめくらないと分からない。なので、素人にはあまり現実的な方法とは言えないだろう。

 
【分布】
北海道、本州、四国、九州。
東日本では普通種だが、西日本では分布が局所的で少なく、関西都市部近郊ではレア。四国でも少なく、九州では珍品だとされる。また、ネット情報だが、北海道でも少ないそうだ。
海外ではインド北部、中国(四川省など)、台湾、朝鮮半島、ロシア沿海州に分布する。

低地から山地帯まで生息域は広いが、個体数はそう多くはないようだ(但し、時に大量に灯火に飛来するケースがある)。
日本では、より局所的に生息するムラサキシタバと比べて分布が広い事から一段下に見られがちだが、海外では逆にムラサキシタバよりも評価が高いそうだ。これは世界的にみれば、シロシタバの方がムラサキシタバよりも分布域が狭いからだろう。アジアの特産種で、特に日本はその分布の中心とされ、他地域と比べて個体数が多いようだ。ゆえに本種の標本は外国の収集家に好まれ、格は逆に一段上とされているという。

 
【亜種】
以下のものが亜種記載されている。

◆Catocala nivea nivea (Butler,1877)
 日本・朝鮮半島・中国(四川省)

日本のシロシタバが原記載亜種のタイプ標本になっている。ようするにシロシタバが最初に見つかったのは日本だということだね。

 
◆Catocala nivea asahinaorum (Owada,1986)
 台湾

(出展 二点共『dearlep.tw』)

 
上が♂で、下が♀。
一見したところ、下翅の黒帯が細くて白い領域が多いように見える。(^^)いいねっ。コレくらい綺麗なら、台湾に行った折りには探してもいいかなと思う。

台湾名は「後雪裳蛾」。
成虫は7月末から9月にかけて発生し、標高1700〜2400メートル付近の森林地帯に生息する。灯火採集をすると、時に3000メートルの山岳地帯にも飛来するという。但し、台湾では稀な種のようだ。
へぇ~、亜熱帯ゆえに日本と比べてかなり標高の高いところに棲んでるんだね。元々は、冷温帯を好む種なんだろね。

 
◆Catocala nivea kurosawai (Owada,1986)
 ネパール

(出展『世界のカトカラ』石塚勝己)

 
石塚さんの図鑑に拠ると、上翅が暗色化するのが特徴なのだそうだ。
記載論文を確認出来ていないが、台湾とネパールの亜種記載者は、おそらく蛾の研究者として知られる大和田守博士であろう。

 
【レッドデータブック】
大阪府:絶滅危惧II類、高知県:準絶滅危惧、佐賀県:情報不足。

こういうのを見ると、レッドデータって間違ってはいないけど、情報量が少ないよね。分布調査って誰がやっているんだろうと思うよ。たぶん、調査してる人員が少ないんだろな。致し方ないところはあるんだろね。

 
【成虫出現期】
成虫期間は比較的長く、7月中旬から現れて10月下旬まで見られる。
新鮮な個体が得られるのは8月下旬から9月上旬迄ってところかな。但し、10月でも新鮮な個体が得られた例もあるようだ。

 
【生態】
最初に断っておくが、生態面については多分に私見が入っている。そういう部分は出来るだけ私見である旨を示すようにするが、微妙な表現もあるかもしれないので、そこんとこ留意されたし。

平地にも見られるが、山地に多く見られる。
長野県などの中部地方では成虫が8月に夏眠するらしい。あまり聞いたことがないし、より暑い関西では8月でもバリバリ活動しているからホントかなと思う。
但し、私見だと西の方が羽がボロになるのは早い。発生期は関西と中部地方との間にそれほど大きな差はないようだから、やっば中部地方とか東では夏眠するのかなあ…。ところで、何を指して夏眠するとしたのだろう。じっとしてて、樹液にも灯火にも集まらないと云うことでいいのかな❓全く活動しないのか、活動が鈍りがちになるのかが書かれていないから、気になるところではある。

成虫は日中、頭を下にして木の幹や岩に静止している。驚いて飛んだ時は上向きに着地し、まもなく下向きとなる。昼間、静止している時は比較的鈍感だという。しかし、自分の経験ではそうでもなく、それなりに敏感だと思った。とはいえ、これは産地や時期、時間帯にもよるものだろう。

それはそうと、何でカトカラって昼間は逆さ(下向き)に止まってんだ❓
これがずっと疑問だった。頭が悪いゆえ、その理由が全く思いつかなかったのだ。
この疑問に対して、どなたかが Facebook で答えておられた。失礼ながら御名前は失念したが、要旨は以下のようなものだったと記憶している。もしも解釈が間違ってたら、ゴメンなさい。

「彼らが下向きに止まるのは、鳥などの天敵から逃れれる為である。つまり、下向きに止まることによって、自重による飛び出しの初速度は上がる。それによって、少しでも天敵に捕まる確率を下げようと云う生き延び戦略だと考えられる。」

なるほど、それだと理にかなってる。
実際、昼間に驚いて飛んでゆくカトカラのスピードは速いもんね。夜、木から飛び立つ時とは大違いだ。上向きに止まっている夜は、逃げる際はパタパタ飛びで、けっして速いとは言えない。それに上に飛ぶ方が目立ち易い。昼間なら、下から鳥にバクッといかれそうだ。反対に低く飛べば、背景に紛れ易いと云うのもある。鳥だって見失いがちだろう。

でもさあ、だったら何で夜も下向きに止まらないのだ❓鳥は活動してはいないものの、コウモリがおるがな。
あっ、コウモリは空中で獲物を捕らえるから、止まってる蛾は襲わないか…。
にしても、遅く飛び出すよりも速いに越したことはないだろう。まさか下向きにばっか止まっていると、血が頭に昇るからとか❓ それは半分冗談にしても、やはり下向きに止まるということは、カトカラにとっても不自然なのだろう。自分がカトカラになった気持ちになってみると、ずっと逆立ちしてるのは耐え難いもんね。生き延びる為に昼間は我慢して逆さに止まってるのかもね。

飛ぶ速度だが、夜は木から飛び立つ時も飛んでゆく時も遅い。樹液に飛来する時も遅い。どこかドタドタ感があるのだ。
だが、灯火に集まって来る際などは速い。空をビュンビュンに飛んでいる。灯火に関係なく、高い位置を高速で飛んでゆくカトカラを見たことも何度かある。本気を出せば速いのだろう。飛ぶのが速い蛾の代表であるスズメガの仲間と翅形が割りと近いから、それは理解できる。
上向きに飛び出すと、トップスピードになるまで時間を要するのかな❓逆にスピードをゆるめるのも下手っぽい。蝶に比べて蛾は胴体が太くて重そうだから、スピードの調整が苦手なのかもしれない。
そういえぱ、夜間上向きに止まっているカトカラは、木から飛び立つ際に、一旦下向きに飛んでから上昇する。体が重いから重力に負けるのかもしれない。だから、採るのは楽勝だ。下から網を持ってゆき、真下をコツンと叩けば、勝手に自ら網に入ってくるのだ。そこを掬い上げるようにカチ上げる。我が秘技の一つ、静居合💥龍昇剣(しずいあいりゅうしょうけん)である(笑)。

夜間、灯火に飛来し、9~10月になると発生地周辺の市街地の街灯にも飛来するという。
灯火採集の経験は少ない。兵庫県の但馬地方と山梨県の大菩薩山麓ぐらいでしか、灯火に来たシロシタバを見た事がない。ゆえに大きな事は言えないが、飛来時間は早くなく、9時半以降だった。尚、灯火に飛来時は、翅を閉じて静止することが多いようだ。自分が見たのも全部閉じていた。

クヌギ、オニグルミ、ハルニレなどの樹液に好んで集まる。腐った果実で吸汁したという例は自分の知る限りでは無い。また花蜜に飛来することは極めて稀で、一例しか観察されていないようだ(池ノ上 2005)。
自分の経験では、樹液に飛来したのは大阪府四條畷市と山梨県大菩薩山麓の2例のみ。何れも遅い時間帯で午後10時を過ぎていた。四條畷では樹液の出ている木の周辺にいるのにも拘わらず、寄って来ないケースを二度見た。何れも日没後、早い時間帯である。一旦、近くまで移動して、夜遅くになって樹液を吸いに来るのかもしれない。

糖蜜トラップにも反応し、比較的よく集まるという。
トラップに寄って来たのは計4回だったと思う。岐阜県と長野県で、それぞれ一回ずつ。四條畷で二回(三回だったかも)だった。時間は何れも夜遅くで、早いものでも9時半だった。
樹液・糖蜜のどちらにも、日没直後に飛来したものは見た事がない。遅々(おそおそ)の御登場なのだ。これは他のカトカラの生態からすれぱ、変わっている。特に樹液・糖蜜に集まる時間が遅いように思われる。多くのカトカラは、日没後、比較的早い時間に樹液に集まって来るのだ。
一応ネットで、シロシタバが樹液・糖蜜に飛来した時刻について言及してあるものを探してみたが、調べた限りでは出てこなかった。

昼間は翅を閉じているが、夜間、樹液や糖蜜を吸汁時には下翅を開く。また、刺激を受けると前翅を広げて目立つ後翅を出すが、これには外敵を驚かす効果があるとされている。この習性を利用として、写真を撮る時は刺激を与えてやるそうだが、やり過ぎると飛んで逃げるので注意が必要みたい。
ところで、下向きに止まっている時は、驚かすと翅を開いて威嚇するのだろうか❓あまり聞いたことがない。おそらく脱兎の如く逃げるんだろな。

下翅を開くで思い出したが、四條畷では夜間はそれ以外の時でも下翅を開いていた。樹液を吸っていない時でも翅を広げているのだ。そんな事はどの図鑑にも一行も書かれていない。
それを確認する為に、翌年再び四條畷を訪れた。

 
(2019.8.11 四條畷市)

 
結果は同じだった。2019年も夜間に木に静止している時は全て下翅を開いていた。
上の写真なんかは、こんな細い木の幹に樹液が出ているワケがないし、実際出ていなかった。露とか他の何かを吸汁していないことも確認している。なのにパンチラなのだ。
もしかしたら、四條畷だけの生態かもしれないけれど、勝手に論を進めてゆく。これは某(なにがし)かの生殖活動、つまり交尾と関係している行為ではなかろうか❓ と言いつつ勘だけの思いつきで言っております(笑)。一瞬、♀が♂に見つけてもらうための行動だと思ったのさ。でも考えてみれば、オスメス関係なしに下翅を開いてたわ。理由は謎のまんまだ。
カトカラ二年生が不遜にも言ってしまうと、カトカラ採集の殆んどが灯火採集で、一部が樹液採集とか糖蜜採集だろう。夜の見つけ採り採集なんてしている人はあまりいるようには思えない。蛾の生態解明が遅れているのは、そういった事も関係しているのではなかろうか。

四條畷では、昼間は翅を閉じて下向きに止まっているが、夜は翅を開いて上向き止まっている事は前述した。ならば、いつぐらいから上向きになり、下翅をいつ開くのだろう❓
これについては、幾つかの観察例を持っているので付記しておく。
下向きから上向きになるのは比較的早いようだ。日が傾き始めた4時、5時台には、上向きに止まっているのを2例ほど見た。但し、下翅は開いていなかった。日没後も薄暮の間は下翅を開いていなかった。これも2例ほど見ている。下翅を開いた個体は暗闇になってからしか見ていない。
来年は見つけても捕獲せず、いつ下向きから上向きに位置を変え、いつぐらいから翅を開くかを観察しようと思う。
朝まで現地にいた事は一度もないので、反対にいつ上向きから下向きになり、翅を閉じるのかも分からない。これも課題で、時間をかけての観察が必要だろう。

交尾は羽化後すぐには行われず、8月下旬頃から行われ、9月に入ってから食樹の根元などに産卵するそうだ。

思うに、シロシタバが生息する場所は河畔、池畔、湿地周辺など、ある程度湿潤な環境ではなかろうか。これは、次に紹介する食餌植物が好む環境と関連しているものと考えている。

 
【幼虫の食餌植物】
バラ科のウワミズザクラ。イヌザクラも食すとされている(両者ともサクラ属ウワミズザクラ亜属に含まれる)。
例外はあるだろうが、主にやや湿潤な環境を好む植物のようだ。

 

 
『原色日本産蛾類図鑑』には、リンゴもあげられている。他にリンゴをあげている図鑑は無いから、ちょっと怪しい。とはいえ、もしかしたら代用食となるのかもしれない。でも同じバラ科でもリンゴ属だから、それも怪しいけど。
なお、シロシタバは「日本産蛾類生態図鑑」にはヤマザクラやソメイヨシノは食べないと書いてある。しかし「日本のCatocala」ではこれらも代用食となると書かれている。自然状態では大抵はウワミズザクラで見られ、孵化幼虫はヤマザクラなどには食いつかないケースが多いそうである。

 
【幼生期】
幼虫を観察したことは全くないので、主に西尾規孝氏の『日本のCatocala(註5)』を参考にさせて戴いた。

 
(出展『フォト蔵』)

 
左下は頭部の画像。
顔がカラフルなんだね。ちょっと可愛い。

 

(出展 2点共『Σ こんちゅーぶ!』)

 
毛虫ではなく、尺取り虫型である。
幼虫の色彩は変化に富み、全体が灰褐色の淡い色調のものから黒い模様が著しく発達したものまでいて、同一種かと疑うほどの差異があるそうだ。

カトカラの幼虫には似通った種が多く、且つ色彩変異が激しいので、同定が難しいと言われている。同定は食餌植物、頭部の斑紋、第5腹節の隆起、分布から総合的に判断する事が必要だという。
ウワミズザクラ及びイヌザクラで幼虫が見つかれば、ほぼシロシタバといっていいだろう。知る限りでは、これらを食樹としているカトカラは他にはいないからだ。但し、絶対ではない。記録されていないだけで、他のカトカラも利用している可能性はあるからだ。
因みにサクラ属を食べるカトカラにはワモンキシタバ、キララキシタバ、ハイモンキシタバの3種がいる。ワモンとキララはウメ、マメザクラ、スモモ等のサクラ属とズミなどのリンゴ属を食する。ハイモンは基本的にはズミなどのリンゴ属だが、サクラ属のスモモも過去に食樹として記録されている。
なるほど。シロシタバもリンゴ属を食う可能性はゼロではないね。

形態からの判別法だが、前述したようにカトカラ類の幼虫には色彩変異があり、同種内でも背面突起がオレンジ、黒、白と様々で、体色も明るい色から黒い色まであって、色だけでは同定は困難とされている。ではどこで見分けるのかというと、区別点として重要なのは第5腹節背面の隆起なんだそうである。シロシタバだけが斑紋がやや横長で幅広い形をしている。ハイモンとノコメは小さめで、ワモンとキララは長く突出するという。また、体表を走るジクザグ模様にメリハリがあって、目立つらしい。

食樹の樹齢15~30年の壮齢木を好む。
若齢幼虫は日中は葉裏に静止しており、成長に従って自身の太さ程の枝に静止するようになる。老熟すると幹の下部や地表近くまで降りてくる。尚、終齢幼虫(5齢)は6月上旬から下旬まで見られ、最終的には80~90mmほどに成長する。
幼虫の葉の食べ方は独特で、枝に止まって葉の主脈から食するため、中央から虫食い穴が出来るそうだ。柔らかい若葉を食べ尽くすと、次には葉柄までも摂食し、食後は尺取り運動で移動する。尚、尺取りで後退も可能なんだそうな。バックもでけるでぇ~なのだ。想像すると、ユーモラスで可愛いかもしんない。それはちょっと見てみたい。

6月下旬辺りから木から降りて、落葉の下などで蛹化する。
ネットでシロシタバの蛹の画像を探したが、見つけることが出来なかった。なので、替わりにムラサキシタバの蛹の画像を添付しておきます。

 
(出展『Lepidoptera and their ecology』)

 
如何にも蛾然とした蛹だね。
細部の形態はシロシタバとは違うのだろうが、基本的な姿はあまり変わらないだろうと思われる。

今年も引き続き生態については観察していこうと思う。けど、夜の森を一人で歩き回るのはヤだなあ…。

                    おしまい

 
あとがき

長かった…。
このカトカラ関連の連載ではシロシタバが最も長くなったのではないだろうか。それだけ思い入れのあるカトカラだったのだろう。
という事は、読む側も大変だったのではなかろうか。
脱線の連続で長かったし、低俗エロ表現も連発だったしね。
それに最後までお付き合いして下さった方は偉い。本当に感謝します。有難う御座ぇますだ。

余談だが、第一章を書き始めた当初は、本気でアミメキシタバの回のように物語仕立てにしてやろうと思っていた。網目男爵に続く白い騎士の物語である。実際、その路線で30行くらいは書いた。
だけど、書いてて直ぐに気づいた。今まで各カトカラについて書き連ねたことはフィクションではない。時々誇張したり、フザけたりもしてきたが、基本はあくまでもノンフィクションである。けれど男爵や騎士の物語となると、フィクションの領域になっちゃう。だいち、フィクションを続けるのは未知の領域だ。小説なんて書いたことが一度もないのである。前回、途中で投げ出した『網目男爵物語』が小説を意識して書いた初の文章なのだ。どうみても無理がある。ただてさえ書くのが大変なのに、そうなると益々まとまりがつかん。そんな事までやりだしたら地獄だもんね。

今回の小タイトルは、当初『攻めた解説』だった。
しかし、つまらないので第四章で使おうとして結局やめてしまった「天鵞絨(びろうど)」という言葉を持ってくることにした。
びろうど(ビロード)はポルトガル語の「veludo」、またはスペイン語の「velludo」からきた言葉で、本来は毛織物の名称だ。この織物はポルトガル商船から京都に伝わり、慶長年間より織り始められたという。結構、歴史は古いのだ。
漢字は、生地が光沢のある白鳥の翼に似ているところから「天鵞絨」の字が宛てられたという。「天鵞」が白鳥を意味し、「絨(じゅう)」が毛の厚い織物を意味している。
と云うことは、もしかしたら「びろうど」とは、元々は光沢のある白い織物のことを指していたのかもしれないと考えた。如何にも、あの美しい下翅に相応しいタイトルじゃないかと思い直したのだ。

褒章は、紫綬褒章とかに使われているから解る人も多いと思うが、勲章という意味。他にメダル、リボンという意味もある。
シロシタバは大きくて立派だし、美しい。世界的に見ても人気があり、評価も高い。それに、最初に見つかった場所が日本というのも褒章に値すると思ったのである。

次回からは、もう少しタイトに書こうと思う。
たぶん書きたくともネタがあまり無いのが2、3あるから、頑張らなくとも短くなる回もありそうだ。ラッキーである。素直に嬉しいわ。

 
(註1)織物のビロードやベッチンみたいで
布製品として両者は見た目では区別がつきづらく、混同され易い。しかし製法に違いがある。
ビロードは、タテ糸パイルの比較的毛足の長い絹やレーヨンで作られたパイル織物の一種。ポルトガル語のveludoが訛ってビロードと称されるようになったとされる。英語ではベルベットと呼ばれる。またスペイン語はベジュド(velludo)、フランス語ではベロア(velours)、和名では天鵞絨(てんがじゅう)と呼ばれる。
一方ベッチン(別珍)は、ヨコ糸パイルの比較的毛足の短い綿で作られたパイル織物の一種を指す。英語名はベルベッティーン(velveteen)。綿ビロードとも呼ばれる。
ベッチンは、日本にはポルトガルからもたらされ、16世紀の戦国武将の帽子や外套に使われた。
また、和名である天鵞絨の天鵞は白鳥の意味であり、伝来した当初は絹製の白い生地を指していたためと書いてあった。
( ̄O ̄)おーっ、自分の見立て通りだ。初期の頃は特に白いビロードの事を指していたのではないかと云う推理は、ビンゴだったってワケだね。

 
(註2)ムラサキシタバ
学名 Catocala fraxini。
日本で最も大きく、最も珍重されるカトカラ。
ヨーロッパから日本まで分布し、日本では北海道、本州中部以北の山地に多い。8~10月に見られ、幼虫はヤマナラシやドロノキの葉を食べる。

 
(註3)論文
New catocala species (lepidoptera, noctuidae) from China

 
(註4)世界のカトカラ

 
月刊むしの昆虫図説シリーズの中の一冊。

 
(註5)日本のCatocala

 
日本のカトカラの生態について最も詳しく書かれた図鑑。特に幼生期の生態解明には大きな足跡を残した。

 

おっさん、芝海老に身悶えす

 
芝海老(しばえび)の良いのがスーパー玉出で売ってた。
最近は芝海老をスーパーであまり見かけなくなったので、飛びつく。

 

 
鮮度は良いし、値段も198円と安い。天然とあるから、バナメイエビではないホンマもんの芝海老だろう。
バナメイエビはメキシコ辺りが原産で、海外各地で養殖されたものが冷凍輸入されている。だから熊本産の天然モノとあらば、バナメイエビであるワケがない。芝海老に間違いなかろう。
それに見た目は似ているようで、よく見れば全然違う。

 
【シバエビ】
(出展『Globridge MARKETING』)

 
【バナメイエビ】
(出展『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

 
芝海老は淡いグレーだが、バナメイエビは系統の異なる濃いグレーだ。だいち大きさが違う。大概が芝海老の方が小振りなのだ。それにバナメイエビの方が身が太い。あとは芝海老は淡くて細かい斑点を有するが、バナメイエビは黒い斑点が濃く、ハッキリしている。
但し、剥き身になると判別は困難。火入れされた後だったら、ワシでも見た目では区別できないかもしれん。

そういえぱ思い出した。芝海老といえば、何年か前の食品偽装事件が記憶に新しい。高級レストランがバナメイエビを芝海老と偽って出していたのがバレて大問題になった事件だ。バナメイエビは芝海老と比べて値段が遥かに安い事から起こった事件だ。
調べてみたら、2013年と意外と古い。バナメイエビを芝海老としてメニューに表記するのは業界の慣例で、当たり前に行われていたらしい。その後、日本各地のホテルやレストランで次々と偽装が発覚したんだよね。

それはさておき、はてさてどう調理したものか❓
鮮度が良いから生でもイケそうだ。ゆえに一瞬刺身も考えた。しかし、あまり刺身が旨いという話を聞いたことがない。となれば、火入れする事になろうが、どないしたろか❓
最初は身を細かく叩いてミンチ状にして、海老団子にする事を考えた。その路線だと、海老だけで作った正真正銘の海老シューマイってのも有りだな。定番ならば、かき揚げや天麩羅というのもある。
しかし、どれも面倒くさい。それに、ここは芝海老そのものの味をじっくり堪能したい。というワケで、シンプルに塩茹でにすることにした。

①投入した海老がヒタヒタになるくらいの湯を沸かし、塩を入れる。塩は普段は手掴みの目分量だが、今回はブログを書くつもりだったので、小さじ2/3くらいを入れた。

②海老をブチ込み、火を消す。
で、1分間放置して笊にあげる。あとは器に盛るだけ。

髭が長くて、赤い。

 

 
ホクホクの茹でたてを戴く。
甘━━━━━━━━━い❗❗
メチャメチャ、身が甘いわ。
マジ、旨いやんかd=(^o^)=b
味噌まで甘いぞよ。おっさん、あまりの旨さに身悶えする。

次に見っけたら、今度は塩焼きにしよ~っと。もっと甘みを感じられるらしいからね。
季節的には、今が旬。皆さんも見つけたら即買いなされよ。

                    おしまい

 
追伸
もう少し芝海老とバナメイエビの違いを説明しておこう。

◆芝海老
学名:Metapenaeus joyneri。
十脚目クルマエビ科ヨシエビ属に分類される中型のエビの一種。東アジアの沿岸域に分布する。近縁種にヨシエビがいる。
命名の由来は、江戸時代に芝(現東京都港区芝)でよく獲れたからだそう。
旬は11月~3月。目利きのコツは身に透明感のあるもので、頭の中の味噌が黒ずんでいないものを選ぼう。
繊細な身質で、口当たりが良く、濃厚な甘みが特徴。昔はかき揚げの海老といえば、芝海老だったと思う。

見た目はバナメイエビよりも身が細く、淡い斑点がある。食感は柔らかく、身質はややねっとりとしていてサルエビに近い。火を入れても、あまり赤くならず、色が淡い。

 
◆バナメイエビ
学名 Litopenaeus vannamei。
クルマエビ科・Litopenaeus属のエビの1種。東太平洋原産で、食用として広く漁獲・養殖されている。
名前の由来は学名の小種名「vannamei」からで、動物学者のVan Nameに献名されたものだ。
他に標準和名として、シロアシエビの名がある。これは英語名の「Whiteleg shrimp」を直訳したもの。
芝海老に比べて淡白な味わい、食感がプリッとしているので炒め物などに合うとされる。

見た目は芝海老よりも身が少しばかり太く、斑点が黒っぽくて濃い。身に弾力があるが、甘みは芝エビに比べて劣る。また、火を入れると、芝海老よりも鮮やかな赤になる。

芝エビのほうが高価なのは、多くが天然モノで収穫量が少ないからだそう。バナメイエビは丈夫で成長が早く、養殖しやすい。近年では、メキシコなどの東太平洋のみならず、タイや台湾などのアジア諸国でも盛んに養殖されている。

 

2018′ カトカラ元年 其の11 第四章

 

    vol.11 シロシタバ act4
『2019さまよえるパンチラ捜索隊』

 
いつもなら種解説でクロージングして、2019年の事は『続・~』として別項で書くのだが、今回は思うところがあって趣向を変えてみようと思う。2019年の事も組み込む形にして、一つに纏めてみたい。その方が最後の種解説をスムーズに書けるのではないかと考えたのである。

 
 2019年 7月20日

カトカラ1年生だった2018年は、7月半ばからシロシタバを狙って探していたが、場所の選定を誤ってしまった。
らしくない事に、その場所に変に拘ってしまい、諦めて別な場所を探す決断が大幅に遅れてしまった。その為、最初に採集できたのは8月も下旬近くだった。既に採集適期は終わりかけており、個体数は多かったものの翅が擦れ、欠け、ボロの個体ばかりだった。それでも完品の♂♀が採れたから良いようなものの、完全なる作戦ミスだったと言えよう。
今年は同じ轍は二度と踏むまいと肝に銘じていた。だから7月中旬には始動しようと考えていた。しかし、あろうことかニューのカトカラなんぞを見つけてしまった。のちにマホロバキシタバ(註1)と名付けられる日本で32番目となるカトカラである。発見者の一人としては、当然分布調査をせざるおえず、と云うかしたい。そう云うワケで大幅に計画が狂い、シロシタバは後回しにせざるおえないと覚悟していた。

この日も朝から分布調査で、小太郎くん、マオくん、そしてナゼか甲虫界の重鎮である秋田勝己さんも参戦して下さった。それぞれ手分けして分布調査を行ったのだが、そんな折り、奈良市東部の調査を担当していた小太郎くんから、LINEで『こんなん採れましたあー。』と云うメールが画像付きて送られてきた。

 
(写真提供 小太郎くん)

 
( ☆∀☆)おー、もう出てるんかあ❗
しかも、型の良さそうなド完品の個体じゃないか。
小太郎くん曰く、杉の木に逆さま(下向き)に止まっていたそうだ。しかも2頭並んで。昼間だから、勿論のこと下翅は開いていなかったそうだ。
クソー、マホロバの調査にも飽きてきたし、うかうかしてらんねーや。

 
 
 2019年 7月25日

何とか時間を遣り繰りして、やっとこさ5日後に四條畷のポイントを訪れた。出歯亀探偵、始動である。

 

 
今回も四條畷お約束の分厚い「フレスコ名物 自家製カツサンド」の画(え)から入る。
もはやコレを買うのはゲンかつぎの儀式みたいなもんである。そうでなくともメチャンコ旨いから絶対買うんだけどもね。
あっ、考えてみれば、ほぼ一年振りの再会じゃないか。q(^-^q)へへへへ、楽しみだな。
えー、味云々は書きまへん。興味のある方は当ブログに『フレスコのカツサンド』と題して書いてあるので、そっちを読んでたもれ。

話には全然関係ないけど、道中なぜか道端にド完品のゴマダラチョウが落ちてた。他で使えそうにない画像だから、勿体ないので無理矢理貼り付けとく。

 
【ゴマダラチョウ♂】

 
死んだ直後って感じで、まだ柔らかく、目の色も生きている時そのままの透明感のある黄色だった。ちょっと謎。

話をシロシタバに戻す。
去年はルッキングと樹液のみでの採集だったが、今年は糖蜜トラップを用意した。
甘酸っぱい液を(^.^)/占==3 シュッシュッシューと霧吹きで木の幹なんぞに噴きつけて誘い込み、寄ってきたところをエイやι(`ロ´)ノと手ゴメにしてしまうと云う卑怯千万な作戦である。
卑怯だが、樹液は毎年同じ木から出ているとは限らないのだ。謂わば保険をかけたってワケだ。カトカラ2年生ともなれば、ちぃーとは進化もしているのだ。

真っ暗になってから、その糖蜜トラップに向かってシロシタバが1頭飛んできた。
飛んで来た瞬間は、あまりに馬鹿デカイんで笑ったよ。一年振りだから忘れてたけど、やっぱシロシタバとムラサキシタバは日本のカトカラの中では規格外の大きさだ。
しかし今年最初の1頭目、気合いが入り過ぎてコチラの殺気がメチャンコ出てたのかもしれない。( ̄∇ ̄*)あちゃー、止まらずに慌てて逃げてった。

ふ~ん、なあんだ早い時間帯にもちゃんと甘汁に来るんじゃねえか。去年は一度しか樹液に飛来せず、しかも10時過ぎと云う遅い時間帯だった。だからワケわかんなくなったけど、日没後しばらくしてやって来るなら、他のカトカラ類と同じじゃないか。
逃したのは惜しいが、一つ問題、というか疑問が解決した可能性がある。それだけでも儲けもんだ。気持ちを切り替えよう。そのうちまた飛んで来るじゃろう。それに、どうせそろそろパッカーンと下翅がパンチラになるから見つけるのは簡単ホイホイだもんねー(^^)
そんな感じで、まだこの時点では楽勝気分で余裕ブッこいてた。

しか~し、全然見つかれへーん。仕方なく探す範囲を広げて歩き回るも全然だ、成果なし。
糖蜜トラップに寄って来るのも、キシタバ(C.patala)やマメキシタバ、コシロシタバ、名も知らぬ糞ヤガどものみ。いずれもそこそこの個体数が集まってくるのにも拘わらず、ナゼだかシロシタバだけが姿を見せない。もしかして、さっき糖蜜トラップに寄ってきたのは別に糖蜜に引き寄せられたのではなく、偶然飛んでて、そこに止まりかけただけじゃなかろうか❓また頭の中が(?_?)はてなマークだらけだわさ。

(|| ゜Д゜)次第に焦り始める。或いは、まだ出始めで個体数か少ないのか❓…。
小太郎くんが採った奈良市の場所よりもコッチの方が標高は高い筈だ。その可能性はある。それに今年はチョウの発生が1週間以上も遅れているというではないか。ガだって同じ鱗翅類だ。発生時期が去年とズレていても何らオカシクない。

午後8時半、ようやく山道をフラフラ飛んでいるのを見つけた。
ロケットスタートでダーッシュ💨 タタタタタタッ、走りながら繰り出す。夢想神影流居合🔥陰陽麗斬剣❗ うりゃ💥、マッハで横振りじゃあ❗

おほほ(⌒‐⌒)、ワテの必殺技をナメんなよである。
鮮やかな太刀筋で決まったぜよ。

 

 
やっぱシロシタバって、カッケー( ☆∀☆)
嬉しくって、バシャバシャ写真を撮っちまう。

 

 
一応、裏面も撮っとこっと。

 
【裏面】

 
けれど、後が続かない。
探し回るもパンチラなし。もしかして去年のパンチラ行動は偶然だったのだろうか❓でも偶然が二日も続くかね❓ だいちオッピロゲ状態のは、少なくとも十数頭、下手したら20頭近くは見たぞ。

午後10時過ぎ、帰る間際の時間ギリギリで、やっと糖蜜トラップに1頭が飛来した。最初に来た奴だろうか❓ でも時間が経ってるので分かんない。それにしても、飛来時間が遅いじゃないか。(|| ゜Д゜)えーっ、やっぱりシロシタバは樹液や糖蜜に寄って来るのが遅いのぉー❓ 頭が混乱する。問題、疑問が全然解決してないじゃないか。
でもそれを今考えたところで仕様がない。とにかく採ろう。自分の身長に合わせて糖蜜トラップを噴き付けてあるゆえ、ごっつeasyな高さだ。慎重に毒ビンを被せた。

(^o^)v楽勝でGET。だが浸っているヒマはない。終電の時間を考えて迅速に動く。ここは一刻も早くニべアちゃんを死に至らしめねばならぬ。デカいだけに毒ビンだと死ぬのに時間がかかるのだ。
マッドな注射器💉をすかさずセット。ある程度弱ったところで、毒ビンから取り出し、ブスッ&ブチューとアンモニア液を注射。安楽死させ、ソッコー回収して闇濃い坂道を下った。

翌日、展翅する前に写真を撮っておいた。
日の下で見ると、また感じが違うからだ。

 

 
ベルベットのような白い下翅が美しい。
上翅の樹皮についた苔のようなデザインも渋いね。

 

 
♂だな。たぶん2頭めに採った方だ。
展翅は、こんな感じ。

 
【Catocala nivea シロシタバ♂】

 
カトカラ2年生ともなると、展翅も上手くなってまんがな。一年目みたいに上翅が上がり過ぎていないし、触角も整っとる。カトカラ大明神 石塚先生(註2)の展翅を参考にしたら、格段に上手くなったでごさんすよ。トサカ大明神のカトカラ展翅は世界一とも言われておるのだ。本も貰たし、(^人^)感謝、感謝。
但し、翅のバランスと触角を真っ直ぐするのは参考にはしたけど、触角の角度は先生よりも鋭角にして、下翅をほんの少しだけ下げた。そのまんまのパクリだと芸が無いというのもあるが、元来は蝶屋なので蝶屋的触角バランスの方がカッコイイと思うからだ。賛否はあるだろうが、暫くはこのままのパターンでいく事にした。以下、今年採ったシロシタバの展翅は自分的には完璧に近いかな。
と言いつつも、来年になると去年はまだまだやったなとか宣ってそうだけどさ(笑)。いや、その反対の下手クソに戻ると云うのも有り得るな。だって、そもそも展翅って面倒くさいから嫌いなんだもーん(# ̄З ̄)

もう1頭、最初に採った方が♀だな。

 

 
良い♀なのにナゼに裏面❓と思ったら、あとで裏展翅にしてたわ。最初からそのつもりで裏返し写真を撮ったんだね。でもどうして♂ではなく、あまり採れない♀なのだ❓
どうせ何も考えてなかったんだろな。性格がテキトーなのだ。

 
【裏面展翅♀】

 
完璧を期す為に、脚までキッチリ揃えてやったぜ。
それにしても裏はダメダメだなあ。全然キレイじゃない。

 
 
 2019年 8月5日

 
青春18切符で長野まで遠征した。
まあまあ天才を自負していたが、白馬でボコられ、カトカラ歴の短さと経験値の足りなさを痛感する。関西ではそれなりに結果を出してきてるから、ここまでボコボコの結果は予想外だった。カトカラなんそドヤツでも楽勝で鬼採りじゃいと思ってたけど、ここ信州では気合いとかセンスとか根性では何ともならん事を知る。西とは事情が全然違ってて、オラのスペシャルブレンドの糖蜜が思った程には効かんかったのだ。カトカラの種類や糖蜜のレシピにもよるのだろうが、東日本では糖蜜の効力が西日本よりも低いのかもしれない。

遠征4日目。この日は湿原にいた。
ハンノキが、沢山生えてる。

 

 
狙いはミヤマキシタバだったんだけど、それについては後日また改めて書く。
で、シロシタバも1頭だけ糖蜜トラップに来た。コレは全く想定していなかったから、遠目に見て一瞬何じゃらホイ❓と思ったよ。ひと呼吸おいてシロシタバだと分かって、ガッカリしながらぞんざいに採った。やはり東日本のシロシタバは小さい。四條畷のものと比べて断然小振りだったので、あまり心が踊らなかったのだ。なのか、採った時の画像はない。

飛来時間は正確には覚えていないが、遅い時間帯だったことは確かだ。午後10時は確実に過ぎていたと思う。下手したら11時台だったかもしれない。
ミヤマキシタバに集中していたので、この時は気にも止めなかったけど、今思えば飛来時間はやっぱ遅い。そんなワケないと思うのだが、シロシタバは早い時間帯には樹液や糖蜜に飛来せず、遅い時間に現れる説がドンドン補完されていくじゃないか。

一応、その時に採った個体の展翅画像を添付しておこう。

 

 
♀だったんだね。全然、記憶にないや。
にしても、キレイな個体だね。展翅もバッチリだしさ。

 
 
 2019年 8月11日

 
今日もゆくゆく、パンチラ捜索隊。再び、四條畷のポイントに立つ。
前回、結局採れたのは糖蜜トラップに来たのと空中シバキの2頭だけ。シロシタバは、夜になると下翅をオープンにするという生態的特徴を証明できなかった。
去年、偉そうに周りに吹聴していただけに、このままだと狼少年のレッテルを貼られかねない。それは何としてでも避けたいところだ。とにかく歩き回って出来るだけ多くの個体を見て、正しいか間違っているかの答えを出したい。白黒ハッキリと片をつけたいのだ。もし間違いだったら、素直に謝れぱいい。いずれにせよ、その為には事実を積み重ねてゆくしかない。

そうは言いながらも、気持ち的には楽勝気分である。日付的に今日なら大丈夫だろう。最盛期な筈だから、去年みたいにそこそこの数は見られる筈だ。今日一日で一挙に問題解決といこうじゃないか。

しかれども、今日も状況は芳しくない。日没からだいぶ経ってるのに、まだ1頭も見ないでいる。
\(◎o◎)/どゆ事~❓ワケがワカンナイじゃないか。まさか空中から農薬とか撒いたんじゃねぇだろなー。

午後9時半。やっと最初の1頭が糖蜜トラップにやって来た。

 

 
やっぱ、飛来時刻は遅めだなあ。日没前から糖蜜を撒き散らしているのに、早い時間帯には1頭も来なかったもんなあ…。って事は、益々樹液や糖蜜にやって来る時間は遅めという説が濃厚になってくる。
う~ん、本当にそうなのかなあ…。でも結論づけるのには、まだ早すぎるような気がする。たまたま偶然が重なっただけなんじゃないかと、まだまだ疑ってる。

(^o^)v楽勝でget。このままだと Null(ヌル(註3))になりかねなかったから嬉しくなくはないが、捜してるのはパンチラさんなのだ。ややガッカリ( ´△`)

ありゃ❗、鮮度は悪くないものの、左下翅が少し欠けとる。そろそろ傷み始めの個体が出てきたって事か…。その割りには個体数が少ないよなあ。

少しホッとして、さあここからだと歩き始めた矢先だった。懐中電灯の光が何か白いものを捉えたような気がした。慌てて照準を合わせ直す。距離は約15メートル。なんちゃって千里眼を持つ男だ。ハッキリ見える。間違いない、シロシタバだ❗

\(^o^)/💥パッカーン、おっぴろげジャ━━ンプ❗
( ☆∀☆)フォンテ~~ヌ❤💕 ようやくパンチラ個体を見つけたよ。

あっ、書いてて今、おっぴろげなんて言葉を使うようになった原典が解ったよ。たぶん、っていうか絶対に永井豪の漫画『けっこう仮面(註4)』の影響を受けている事は間違いあるまい。このマンガ、女子から見ればサイテーのエロ漫画である。しかも少年誌の月刊ジャンプに連載されていた筈だ。ジャーンプ!で少年ジャンプを思い出して、芋づる式に記憶が甦った。
笑けるほど下品でバカバカしい漫画で。必殺技のおっぴろげジャンプなんぞは、その極みだもんね。嗚呼、オラもおっぴろげジャンプ喰らいてぇー。悶絶、気絶(◎-◎;)してぇー。だって世の中に、あんなに男子にとって嬉しい必殺技は他にないもんね。
でも現在の社会状況ならば、コンプライアンス的に大問題だろなー。今の世の中、何でもかんでも規制するって感じだもんな。ホント、ツマンねぇ世の中になったよ。清濁、両方相俟ってのメディアが正常だと思うんだけどね。嘘の上に乗っかった清廉などクソ喰らえだ。わしゃ、エログロ復権を断固望むι(`ロ´)ノ❗
めんご、めんご。こう云うどうでもいいような脱線が話を長くしちゃうんだわさ。本編に帰ろう。

慎重に距離を詰める。
腰の辺りと高さは低い。見覚えのある木だ。この木の前は何度も通っている。だから樹液が出ていない事は知ってる。だいち細い。こんな若い木から樹液は滅多な事では出ない。それに、そもそも木の種類が樹液が出るような木ではない。明らかに照葉樹だ。しかも樹液が出るカシ類ではない。

逃げる素振りはない。更に間隔を詰めて確認すると、吸汁のためのストロー(口吻)は出していない。微動だにせず、静止している。つまり樹液を吸っていないのにも拘わらず、下翅を開いていらっしゃるのだ。
となれば、証拠写真をフライデーする絶好のチャンスである。そっと至近距離まで近寄り、スマホを構えて💥パシャ。💥バシャ💥バシャ💥バシャ💥バシャ💥パシャ…。気分は連写で撮ってるエロエロカメラ小僧だ。拙者、接写で撮りまくっておりまする。

 

 
やっぱ、夜は羽開いてるのが普通なんじゃねぇか。
兎にも角にも、これで証拠写真は撮れた。取り敢えずは一安心だ。

♂っぽいね。でも上翅が完全に破れてんなあ。やっぱ、いよいよシーズンも終わりかけって事なのか…。

この日は、コレで終了。
参ったなあ。どうも上手くいかないや。長野では後半持ち直したものの、らしくない絶不調っぷりだったし、秋田さんの言うようにマホロバキシタバの発見で運を使い果たしたのかもなあ…。岸田先生まで、そんなこと言ってたしなあ。この俺様に限って、んなワケあるかいと思ってたけど、何だか段々そんな気になってきたよ。
因みに、この日採ったのは最初の翅が少し欠けていた個体1頭のみ。展翅はしていない。フォトジェニック、2頭めの完全に羽が破れてたのはスルーした。

 
 
 2019年 8月24日
 
パンチラの証拠写真はおさえたとはいえ、まだたったの1頭だ。これでは夜間パンチラを証明するのには、まだ弱い。もっと証拠写真を撮影しといた方が良いだろうと考え、またもや四條畷に出掛けた。

しかし、今宵も中々姿を現さない。パンチラ捜索隊の前途に暗雲が垂れ込める。
まあ、そのうち会えるだろうと思ってたけど、無常にも時間は刻一刻と削られてゆく。時間と共に焦りが増大する。いったい何が起きているのだ❓ワケ、ワカメーやんかあ(T△T)

れれれー(@_@;)、あろうことか、10時になっても1頭も見ずやんけー。この流れだと、ゼロで終わりかねない。出歯亀探偵、窮地に陥る。
去年は多産地だと思ってたけど、考え直さなくてはならぬ。たまたま去年の発生が多かったのかなあ❓これが常態なの❓それとも今年が特別少ないの❓
どちらにせよ、今のところ現実の成果はゼロだ。このままでは帰れない。終電にあう間に合うギリギリまで粘ることにした。最悪の場合、走って山を下りればいい。

(-“”-;)いない…。

 

 
フォースの暗黒面に陥りそうな気分だった。
👿自然破壊魔王、その辺の枝を叩き折りまくりたい衝動に駆られる。そこを何とか踏み堪えて、夜の道を足早に歩く。顔がどんどん歪んでゆくのが自分でもわかる。マジ卍~、ホンマに今年の運を使い果たしてしまったのかもしれない。

(´д`|||)脱力。諦めかけて帰ろうとした10時半。
ぶわ~ん❗と、浮き上がるかのように突然白いものが目の中にジワリと飛び込んできた。ぼやけていた焦点が、ゆっくりと合い始める。
そこには、懐中電灯の光にピン・スポットで照らし出された、白き女王の姿が在(あ)った。
シャーι(`ロ´)ノ、やっと1頭めっけー。
しかも、大サービスでおっぴろげてくれている。
これで夜は下翅を広げて止まっていることを完全に証明できるんじゃないかなと思った。止まっているのは杉の木だから、絶対に樹液に来た個体ではないからだ。

しかしパンチラ写真は撮らなかった。と云うか、撮れなかった。静止している場所が高くて撮影するのには無理があったのだ。遠目でもいいから撮ろうかと思った。けれど、暗すぎてフラッシュを焚いても映らない可能性が高い。それに帰る時間も差し迫っていた。アレやコレやと考えているヒマは無い。直ぐに諦め、ソッコーでネットインして、ソッコーでアンモニア注射を打って〆る。

 

 
一応、写真を撮り、慌ててブツを回収して真っ暗な坂道を走るようにして下った。

今日は暗闇が全然恐くなかった。👻お化けも魑魅魍魎も恐くなかった。そんな事よりもコケたりして大ケガする事の方が余程恐かったから、そっちに集中してて、それどころではなかったのだ。慎重を期しつつも、大胆に駆け降りる。

🎊パンパカパーン\(^o^)/、最速記録更新~。
結局、何事もなく山を降り、終電にも間に合った。
けんど、あんなに苦労して持ち帰った1頭がコレ↙。

 

 
採った時は完品だと思ったが、左下翅に何か変な2本の線が入っとるぅー(T△T)
一瞬、変異個体かと思ったが、たぶん単なる傷だろう。それに右の触角も折れとるぅ~(ToT)

とにかく、これでシロシタバは夜になると樹液などに吸汁に来なくとも下翅を開くという事をある程度は証明できたかと思う。少なくとも此処ではそうだ。今年も翅を閉じているものは1頭も見ていないのだ。去年と二年連続だし、両年合わせれば相当数のパンチラ個体を見ている。どう考えても、一過性のものではないだろう。

そういえば、樹液に飛来した個体を1頭たりとも見ていない。あてにしていた木からは、ちゃんと今年も樹液は出ていて、他の種類のカトカラは変わらず集まって来てたのにね。コレまた謎のままだ。

前述したが、それにしても、もう8月も終わりだというのに、極めて個体数が少ない。今年は何処へ行ってもチョウが少ないと嘆く御仁も多いようだから、ガも少ないのかもしれない。それとも、たまたま去年は発生数が多かったって事なのかな❓
でも、真相は来年にならないと分からないや。それにパンチラ問題の調査もまだ充分とは言えないし、此処には又来るっきゃないな。とはいえ、こんなに個体数が少なければ今年はもうダメだろう。来年、また来ることにしよう。

 
 
 2019年 9月2日

 
再び旅に出た。
今回も青春18切符の旅だ。
しかし、今回はパンチラ捜索隊の任務ではない。

 

 
夕方、岐阜県・平湯温泉に到着。

 

 
いつもの宿で温泉に入って、キンキンに冷えたビールを飲んでから出陣。
探すはエゾベニシタバ、目指すは白谷方面。
しかし、真っ暗けー。

 

 
ここには妖精クモマツマキチョウを採りに何度か訪れているが、夜はこんなにも真っ暗だなんて予想だにしていなかったよ。

 
【クモマツマキチョウ(雲間褄黄蝶)♂】

 
【裏面】
(2019.5.26 岐阜県高山市新穂高)

 
【展翅画像】

 
そういえば思い出した。白谷では、そのクモツキ採りの時に熊の親子連れを見てるわ。此処には、確実に森のくまさんがいるのである。
真っ暗だし、熊は黒い。背後から襲われでもしたら、お手上げだ。((((;゜Д゜)))ブルッとくる。

🎵ラララ…星き~れい~、とか何とか口に出して歌ってはみるが、恐い。マジ卍で熊も闇も恐い。
幸い❓なことに川沿いの道にトラップを噴きつけるのに適した木がないので撤退。温泉の反対側に行くことにした。

その時に採れたシロシタバがコレ。

 

 
写真は二枚だが、同じ個体である。
キレイな個体だ。四條畷では傷み始めたものが多かったけど、コチラでは9月に入ってもまだまだキレイなんだね。やはり西日本よりも発生が遅いのかな❓それとも、どこかに書いてあったように、この辺では夏眠するからなのかな❓

比較的早い時間帯に採れた記憶があるが、それでも9時は軽く過ぎていたと思う。あっ、写真があるから撮影時刻のデータが拾えるか…。
(|| ゜Д゜)ゲッ、確認したら、午後11時09分になってた。どんだけワシの記憶ってエエ加減やねん。
あっ!、これも又もや遅い時間の飛来である。コレだけ糖蜜への飛来時間が遅い例ばかりだと、そんなワケないと思ってたけど、考え直さざるおえない。でもなあ…、そんなカトカラっているのかね❓ 何で遅くにやって来る意味もワカンないしさ。

この日は、この1頭のみ。勿論、糖蜜に来ていたから下翅は開いていらっしゃった。

 

 
♀である。
そして、これが今年最後のシロシタバとなった。

                     つづく

 
追伸

結局、パンチラ問題の証明はある程度は出来たが、まだまだ不充分ではある。引き続き来年も、この件に関しては観察を継続していこうと思う。

その流れで思ったのだが、誤解を怖れずに言う。
蛾屋って、ライト・トラップに頼り過ぎてないかい❓
それで多くの蛾は採集できるかもしれないけど、それだけでは本当の生態は分からない。
真正の蛾屋でもない自分がこう云う事を言うと、激怒される方もいらっしゃると思うが、それって採集方法が片寄ってないか❓ ライト・トラップ自体を否定するつもりは毛頭ないけれど、ターゲットの蛾をライト・トラップで採ると、それだけで満足してしてしまう人が多いのではないかと疑っている。採れたからと、それ以上の生態的興味を失ってしまってないか❓ 勿論、そうでない方も沢山いるだろうけど、どうもそういう気がしてならない。とにかく灯火採集で解るのは生態の極く僅かな一面に過ぎない。もっと自然な状態での生態を観察しなければ、本質は何も見えてこないんじゃないかと思う。各種蛾の生態解明があまり進んでいない原因の一つは、採集をライト・トラップに頼り過ぎているからなのではなかろうか。
つまり、ライト・トラップだけに頼らず、もっと他の方法でも採集、生態観察をする努力をすべきではないかと思うのである。長々とこのシリーズを書いてきた理由の一つは、これが言いたいが為の布石だったとも言える。
図鑑の記述を丸呑みせず、わからない事や疑問があれば積極的に自分で調べる姿勢が必要ではないだろうか。
チョウと比べて、ガには解明されていない事が多い。新たな発見は、まだまだあるだろう。そこにこそ面白味がある。愛好家が生態解明を争うような時代になるように、もっとベテランの人たちの啓蒙活動も必要ではなかろうか。そうなれば、新たに蛾に興味を持つ人の裾野も広がりはしまいか。
今ひとつ上手く言えてないが、言いたい事の根幹はそういうことだ。

  
追伸の追伸

最後の一文は叱られそうだなあ…。まっ、いっか。
叱られるのは構わないが、怒らずにこのシロシタバのパンチラ生態を他の場所でも観察、証明して欲しい。勿論、間違っている事の逆証明でも大歓迎だ。それが不遜、わたくしの願いです。

今回の小タイトルは単なる思いつき。
だから一人でも捜索隊でいいのだぁー。あんましっていうか、全然理屈になってないけど…。
でも、2回も連続でタイトルにパンチラって付けたら、けしからんと思う人もいるんだろなあ…。
もう一言つけ加えておくと、小タイトルは別なものも考えていた。カッコつけた『天鵞絨の~(何ちゃらかんちゃら)』だ。『天鵞絨(びろうど)の刻印』とかさ。けれども、どうしても捜索隊を付けたかったのだ。かといって『天鵞絨捜索隊』じゃあ、漢字だらけでヨロシクないものね。中国のバードウオッチングの団体とか中国雑伎団の名前みたいで、ヤ。

当初は本文に種解説を加えて、今回で最終回にしようと考えてた。けんど、また要らぬ事を沢山書いて長くなってしまい、早々と断念。
(^_^ゞ次は必ずやクロージングしまーす。

 
(註1)マホロバキシタバ

 
2019年7月に奈良県で見つかった新しいカトカラ。
学名 Catocala naganoi mahoroba。惜しくも新種とはならず、新亜種となった。とはいえ、現在のところ分布が確認されているのは、台湾と日本の奈良県の一部のみ。
詳細は「月刊むし」の2019年10月号(No.584)に掲載されてありますので、そちらを読んで下され。

 

 
(註2)石塚先生
カトカラの世界的研究者である石塚勝己氏のこと。
著書『世界のカトカラ』には美しい展翅標本が並んでいる。それを参考にしたでごわす。

 

 
トサカ大明神と、うっかり言ってしまったのはモヒカン頭だから。まだお会いしたことはないけれど、嘘かと思ってたら本当らしい。ファンキー・モスラ・ジジイとは、めちゃめちゃカッコ良すぎるぜd=(^o^)=b

 
(註3)ヌル(Null)
ドイツ語で、Nullは数値の0(ゼロ)を意味し、発音は /nʊl/である。一方、英語においてNullは/nal/と発音される。日本においては「ヌル」という発音が定着しているが、英語読みに近い「ナル」という発音で呼ばれる場合もあるようだ。
初めてこの言葉を蝶屋の先輩達から聞いた時には、意味がワカンナイだけでなく、にゅるっとした感じで何か気持ち悪い言葉だなと思った。しかもダサい。カッコつけたい人が使いだしたのだろうが、カッコつけといてダサいって、どーよ(# ̄З ̄)❓せめてスペイン語のNada(ナーダ)とかにしろよなー。意味は英語でいうところの、nothingにあたり、無し、ゼロってこと。また「虚無」と云う意味でも頻繁に使用されてるようだ。採集しに行って、一つも採れない時などは、まさしく心は虚無。こっちの方が断然良いと思うんだけどね。蝶屋のあいだで流行らしたろかしら(笑)
そう云うワケで、ヌルという言葉は普段は使わない。基本的には、釣りでお馴染みの「ボウズ」を使ってる。

 
(註4)けっこう仮面
ダウンロードした画像を添付しようとしたら、seacretほにゃららみたいな英語の表示が出て不可能でおました。こりゃ、おっぴろげジャンプの画像なんて載せようものなら、何らかのベナルティーを受けかねないな。どうしても見たい人は、ネットで検索しましょうね。

 

大寒 茶ぶり海鼠

 
今日は大寒。
大寒は二十四節気(にじゅうしせっき)のうちの第24節。この日が一年のうちで最も寒いとされる。

何となくこの季節になると、ナマコを食いたくなる。
と云うワケで、ナマコを買ってきた。
都合の良いことに、やや小振りだが、まるのままのナマコが半額になっていた。2匹で250円くらいである。
普通の主婦は、たとえ安くてもナマコなんて捌けない。だから、捌けるオイラにとってはラッキーである。必然、残りやすい。最近の主婦は魚もおろせないと言われるが、それでよろし。みんな、そこそこダメ主婦であってくれた方が、こっちとしては有り難い。

硬いナマコの口を包丁で切り落とし、縦に包丁を入れる。珍味コノワタになりそうな腸管なら使うが、ダメなので洗い流す。
してからに、ビニール袋にナマコと塩を放り込み、揉み揉みして汚れを落とす。で、再び水で洗う。
ほんでもって、沸騰させたお茶にブチ込み、3、4回振り振りしたら、素早く取り出す。で、冷水に浸けて、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
あとは、サイコロ状に切って盛り付け。ポン酢をかけて、かんずりを添えるか、一味唐辛子を振ったら出来上がり。

表面のにゅるとかちゅるの後にコリッと云う歯応えが返ってきて、誠に宜しい。
味の構成要素は殆んどがポン酢の味だから、ポン酢は重要だ。今回は、山形県はセゾン・ファクトリーの「極・ぽん酢」というのを使った。

 

 
このポン酢は当たりだった。高いから当然なんだけどさ。バランスがいい。但し、コレも半額品。

ナマコが残ったので、翌日には酢の物にした。

 

 
具は、胡瓜と茗荷である。酢は土佐酢にした。
これはこれで旨いが、やっぱナマコはポン酢だよな。

大寒といっても、今日は暖かかった。場所によっては3月並みの気温だったそうだ。
寒がり屋としては嬉しいが、この季節の食いもんって寒ければ寒い方が旨くなるんだよなあ。

                    おしまい

 

たまたまローストポーク

たまたまは玉々ではない。偶々の方だ。
何となく酢豚を食べたくなって、骨付きの豚肉の塊を買ってきた。
それを肉塊のまんまで衣を纏わせる。こんなもんを油で揚げるつもりか❓ いくら切るのが面倒くさかったとはいえ、我ながらやってる事が根本的に間違ってんじゃないかと思う。豪快といえば聞こえがいいが、アホっぽい。

肉塊をオリャッと油に流し込む。入れた途端に盛大な音と泡が沸き上がる。
!!(゜ロ゜ノ)ノ恐わっ、慌てて火を弱める。

しかしなあ、デカくてどれくらい揚げたらいいのかワカンナイぞ。後先なあ~んにも考えていないのだ。
されども、よくよく考えてみれば最終的に作るのは酢豚である。どうせもう一回火を入れるんだからと、早めに油から取り出す。で、冷めるまで放置しておいた。

暫く経ってから、なあ~んも考えずに何気に切ってみて、\(◎o◎)/ワオッ❗

 

 
何と何と、余熱で抜群の火入れになっとるやないけー。ロゼ色のピンクが美しい。まるで完璧なローストビーフみたいな色じゃないか。棚からボタ餅の、たまたまローストポークじゃよ。
これに、もう一回火を入れて酢豚を作るだなんて、どう考えても愚かだ。
ι(`ロ´)ノ酢豚なんぞパスじゃ、ボケッ❗

切り分けて、皿に盛る。

 

 
( ☆∀☆)おーっ、ゴージャスにしてボリューミー。んでもってエロチック。もう官能的ですらある。

とりあえず、シンプルに塩、胡椒を振って食べてみる。

 

 
((o( ̄ー ̄)o))ポヨ、ポヨポヨポヨ。
旨すぎて、両手をバダバタさせちまっただよ。

とはいえ、多くて食べきれない。
翌日はローストビーフよろしくグレイビーソースをかけてみた。

 

 
薬味は、ちゃんとホースラディッシュを用意した。
でも付け合わせがクレソンじゃなくて、三つ葉なのは御愛敬。

( ̄∇ ̄)う~ん、コレはコレで旨い❗

 
                    おしまい

 

 

2018′ カトカラ元年 其の11 第三章

 

   vol.11 シロシタバact3
   『パンチラを追え』

 
シロシタバの初採集から中2日後に再び出撃した。
中2日間空いたのは甲子園に高校野球を観に行っていたからなのだ(註1)。

 
2018年 8月22日

   

 
これを買っている時点で、又しても四條畷なのらー。
こないだは思いの外、シロシタバが5♂1♀も採れたので今日もシバくのだ(^o^)v
とは言いつつも、本日は小太郎くんが途中から参戦してくる事になっている。四條畷でシロシタバを採った報告をしたら、行きたいと言ってきたのでホントはその案内ってワケ。ゆえに冒頭のスーパーマーケット フレスコの分厚いカツサンド(註2)も彼の為に買ったものだ。マジで旨いから食ってもらいたいと云う気持ちからだったが、今日は車で来るという事なので(註3)、帰りに駅まで送ってもらうつもりだし、まあその駄賃みたいなもんでもある。あの恐怖に満ちた長く辛い夜の山道を一人で下る事を考えれば安いものだ。

 
今宵は月夜。

 

 
懐中電灯なしでも山道も何とか見える。
夜の山を一人彷徨(さまよ)うのにもすっかり慣れた。人工的な明かりが全く無い世界は恐しくもあり、美しくもある。

謂わば、夜の蛾採りはミステリーである。そして、スリルとサスペンスに満ちている。中でもライトを焚かない夜間採集は暗闇が支配する世界。ホラーであり、スリラーでもある。ミステリーな上にスリルとサスペンスに満ち、更にホラーでもあると云う謂わば全部乗せスペシャルなのである。
ここでふと疑問に思って、ついミステリーとサスペンスとスリラーとホラーの違いについて考えてみた。夜の山に一人いると、想念がどこまでも広がりがちだ。闇と対峙しているうちに、普段ある意識と内奥にある意識との間にある薄い膜のようなもの、心理的障壁や夾雑物が消えるのかもしれない。

その手の映画をAはミステリー映画、Bはサスペンス映画と言ったりする事は多い。それをホラーやスリラーとする人だっているかもしれない。ジャンル分けが人によってバラバラなのだ。自分の中でもそれら似たような言葉がゴッチャになってるところがある。その線引きって、どの辺りにあるのかなと思ったワケ。
したら、急に筆がバッシバッシに走り始めた。でも途中で、こりゃマズイ。大脱線になるのは必至だと気づいて急制動。
脱線ばかりしていては話が全然進まない。徒(いたずら)に長くなるから、それについては最近自分でも反省しているのだ。無駄な文章が多すぎ。
このお題に関しては後日、稿を改めて書けたら書こう。だいち、この日は小太郎くんが後から来たから、全然怖くなかったのだ。それだと論旨にリアリティーを欠きそうだし、タイムリーな話題とは言えまい。

暗闇の世界から暫し離れ、待ち合わせ場所へ行く。
小太郎くんが車でやって来たのは、日没後の7時半から8時の間くらいだった。
この日は小太郎くんには2頭ほど採ってもらったっけかなあ?(註4)。でも最初の1頭しか覚えていない。

一番個体数が多かった森に差し掛かった時だった。
森の入口で、小太郎くんが早くも木に止まっているのを見つけた。三日前、自分が最初に採った個体もその木に止まっていたし、止まっている高さもほぼ同じだったから驚いた。御神木かもと思ったよ。もっとも自分の場合は止まっているのに気づかずに飛んでったけどね。その辺のてんやわんやの件(くだり)は前回に詳しく書いたので、そちらを読んで下され。

記憶は朧ろだけど、下翅は開いていなかったと思う。小太郎くんは、止まっているそれを毒瓶を被せて採ったからだ。ワテの毒瓶を貸したのだが、コンビニで売ってるワンカップ焼酎で作ったものゆえ、大きさ的に翅を閉じて止まっているシロシタバでギリの口径なのだ。もし翅を開いていたなら、鱗粉が傷ついてしまうから網で採っていた筈だ。

 
【毒瓶】

 
でも小太郎くん本人に電話で確認したところ、下翅は少しだが開いていたと言う。清純チラ見せパンチラだったワケだね。言われてみたら、翅を開いていたような気もしてきた。
これで人間の記憶が如何にいい加減で曖昧なのかがよく分かったよ。同じ木だっただけに、時間の経過と共に自分が採った夕方4時半の時の記憶とゴタ混ぜになってしまい、いつのまにか夕方なら翅を閉じていた筈だという概念に支配されてしまったようだ。結構、自分の都合の良いように脳が記憶を改竄してるってことは有るんだろなあ…。

ここで今一度、パンチラ問題について説明しておこう。
シロシタバを含むカトカラ(Catocala)属は、上翅が木肌に似た地味な色だが、下翅は黄色や紅色、紫など鮮やかな色を持つものが多い。しかし、普段は昼でも夜でもその鮮やかな色を隠して木に静止している。これは鳥などの天敵から身を守る為だと言われている。つまり上翅の地味な色柄を木と同化させることによって、天敵の眼を欺くと云う高度な生き残り隠遁術なのだ。
そのせいか、下翅を見せる機会は少ない。飛んでいる時と、樹液などの餌を摂取している時くらいにしか下翅を開かないのだ。あとはイレギュラーな例として、天敵に襲われそうになったら、鮮やかな下翅を見せて威嚇するとも言われている。
これがカトカラ属全般の基本的な生態だろう。それが白き女王様ったら、此処では夜になると樹液を吸ってるワケでもないのに、恥ずかしげもなく御開帳。おおっぴらにおっぴろげていらっしゃる。🎵サービス、サービス(あっ、ここ、エヴァ(ヱヴァンゲリヲン)の次回予告の葛城ミサトの口調ねっ❤)。
しかし、こういう生態は自分の知る限りでは聞いた事がない。どこにも書いていないのだ。だから今日はその生態が、はたしてあの日一日だけのものなのか、それとも通常の行動なのかを確かめるという目的もあった。

因みに止まっていた向きは上向きだった。これは覚えているし、小太郎くんにも確認したから間違いない。
カトカラの多くは昼間は下向きに止まっているが、夜になると上向きに止まる。前回書かなかったけれど、一番最初に採った個体だけが日没前の4時半で、驚いて飛び立ったから不明だが、日没後に見た他の5頭は全て上向きに静止していた。
でも何で昼間は下向きに止まってるんだ❓
逆さになって何の得があるのだ❓そこには何らかの理由がある筈なのだが、全くもってその理由がワカラン。

それにもう一つ疑問点がある。では、いつ下向きから上向きになるのだ❓夕方❓夜❓何時何分❓
また、いつ上向きから下向きになるの❓明け方❓朝❓それとも昼❓
これに関しても詳しく書かれたものを見たことがない。
これら疑問については、おいおい解き明かしていくつもりだ。出歯亀探偵、引き続きパンチラも追うぜ。

この日の2頭目は、たぶん自分が見つけたと思う。
池の畔側で、シロシタバがあまり好まない場所なのか、池側ではその一度だけしか見たことがないから覚えてる。上向きに止まっており、下翅は開いていなかった。
後にも先にも日没後に下翅を開いていないノーパンチラ、貞操の固い個体はコレだけだった。この日は前回にも増して個体数が多く、小太郎くん曰く10頭以上は見たそうだが、木の幹に止まっていたものは全て下翅を開いたパンチラ状態だったそうだ。
その割りには採った記憶があまり無いなあと思ってたら、これも小太郎くんの言で疑問が解けた。なぜかと云うと、殆んどの個体が翅が欠けていたり、破れたものばかりで、スルーやリリースしたからみたい。話を聞いているうちに、そういえばそうだったと思い出したよ。
『ほらね、やっぱり下翅を広げてるでしょ。』と小太郎くんに自慢げに言ったわ。彼もちゃんとそのオラの言動は憶えてたし、それで概ね合ってるだろう。
記憶がだいぶ甦ってきたぞ。そういえばこの日はそれだけいたにも拘わらず、1頭たりとも樹液に飛来しなかった。やはり夜遅くにならないと樹液に来ないのか❓そんなワケあるかいと思うのだが、事実なんだから何らかの理由なり意味なりを考えざるおえない。(T_T)もう謎だらけだよ。

情けないことに鮮明に記憶に残っているのは、帰る間際に採ったものくらいだ。
最後に前回♀が採れたウワミズザクラの大木に寄ったのだが、見たところいないので諦めて帰ろうとして振り向いたら背後の木の枝葉に止まっていたのだ。不意だったから、中々に衝撃的だった。
高さは1.8メートルくらいで、幹ではなくて枝と云うか常緑樹の葉っぱに止まっていたのをよく憶えている。葉っぱに止まってるのは珍しいから、映像記憶として鮮明にメモリーされている。勿論、パンチラ全開だった。
今思えば写真を撮っておけば良かったと悔やまれる。パンチラの証拠写真を撮るなら、高さ、近さは申し分なかったし、絵的にも素晴らしいアングルだったのだ。しかも鈍感な子で、近づいても逃げる素振りは微塵も無かった。謂わば最高の条件が揃ったシャッターチャンスだったのだ。終電の時間が気になっていたのだろうが、写真を撮る時間なんてたかがしれている。勿体ない事をした。

結局、この日の個体は翌日に撮った写真しか残っていない。

 

 
お尻の形からすると、♀だね。
次は、たぶん同じ個体の裏面。

 
【裏面】

 
裏面は生成(きなり)色。所謂オフホワイトだ。表よりも薄汚れた感じで、あんまし綺麗じゃない。

探しても展翅写真がナゼか無い。
なので、前回のものをひと纏めに撮ったのを載せて御茶を濁そう。

 

 
この夜に採集したものは、どうせ面倒クセーからと写真を撮らなかったんだろうね。

 
 
2018年 9月7日

 

 
線路の両側の稲穂が金色に輝いていた。

この日は青春18切符で遠路はるばる山梨県までやって来た。
目的は大菩薩嶺の麓で帝王ムラサキシタバ(註5)を狙う為だ。
とはいえ、ライトトラップなんて持ってないからペンションのライトトラップで何とかならんかなと思ったのである。
このペンションは虫屋の間では有名で、毎夜ライトトラップが焚かれているのだ。

 
【ペンション すずらん】

 
ライトトラップはペンションの裏というか横にあり、巨大である。

 

 
横幅が4メートルくらい、高さは3メートルくらいはあったかなあ。
ここにシロシタバが飛んで来た。時刻は比較的早い時間だったと思う。たぶん7時か8時辺りだったかな。

 
【シロシタバ】

 
スマン、間違い。写真のデータを解析したら9時過ぎに撮られたものだったよ。やっぱり古い記憶というものは当てにならん。

ライトトラップに飛来したものはパンチラなし。
灯りに寄って来るカトカラは、翅を閉じるものが多いようだ。ネットの画像なんかでも閉じているものが多い。中々、翅を開いてくれないというコメントも散見されるから、閉じるのが基本だと思われる。
こうして見ると、上翅の黒いスリットのような柄が目立つね。殆んど下翅を開いているものしか見てないから、あまりそっちには目がいかなかったんだろ。シロシタバの苔(地衣類)みたいな上翅は、世界中のカトカラを見回しても唯一無二だが、この黒いスリットが入るカトカラも他には存在しない。
とは言っても、もはや全然興味が無かった。一回やったら飽きるような酷い男なのだ。
それに何だか小さい。四條畷の奴と比べて断然小さく、細いような気もして重量感をあんま感じない。もう魅力半減なのだ。萎えても致し方なかろう。

翌日の夜にはペンション入口の外灯の柱に鎮座していた。飛来時間は同じく9時くらいだったと思う。
この時もパンチラなし。翅は閉じられていた。
翅がコレも少し欠けていたので、蛾LOVEの高校生に譲ったっけ。いや、もしかしたら別な人だったかもしれない。
ここには3泊したが、見たのはその2頭のみだった。

大菩薩山麓で採ったシロシタバ♂を展翅画像を貼り付けとこっと。

 

 
(・。・;あれれっ❓、翅が破れてないぞ。
おっ、そうか。これまた健忘太郎だ。樹液に来たのも採ったんだわさ。たぶん、それだね。
翅は開いていたと思う。なぜなら閉じていたという記憶がないからだ。樹液を吸ってる時は下翅を開くのが当たり前だから、もし閉じていたならば逆に強く印象に残っている筈だ。それが無いという事は、閉じていなかったという三段論法でしかないんだけどもね。
と云うことはライトトラップに来たものは翅が破れていたのでスルーしたんだね。そう云えば持って帰った記憶は1頭しか無い気がする。

あっ、今さら8月22日に四條畷で採った個体の画像が出てきた。随分と後になって撮られたものだから、気づかなかったのだ。

 

 
カトカラの展翅は何が腹立つかって、時間が経って乾燥が進むと触角に狂いが生じてくる事である。
上の画像なんかは、元々はもっと整っていた筈だ。こんなアッチ向いてホイを良しとするワケないのだ。

 

 
両方とも♀だ。
そういえばコレって、たしか秋田さんに蝶屋的展翅だと指摘されてたので、上翅を下げてみたんだよね。
なるほどで納得したよ。確かに、このバランスの方がシックリくる。
同時に、それで画像が後になって撮られた理由も氷解した。展翅バランスが変わったという事は、きっと山梨の個体よりも後に展翅されたものだ。あんまし記憶に無いけど、後になってから軟化展翅したとしたら、話の辻褄が合う。

あっ、よく見ると前肢がもふもふで可愛い(о´∀`о)

 
                     つづく

 
追伸
この第三章から小タイトルを毎回変えることにした。
と云うわけで、第ニ章にも新たにタイトルをつけて、本文も一部手を入れた。
小タイトルの話が出たので、ついでだから書き忘れていたことを書こう。
第一章の小タイトル『ホワイト・ベルベット』のモチーフはデヴィッド・リンチ監督の映画『ブルー・ベルベット』。通の映画好きならば誰もが知っているリンチの代表作であり、カルトムービーの金字塔の一つだ。エキセントリックにしてファンタジック。そしてスタイリッシュ。何度見ても飽きない。
勿論、怪優デニス・ホッパーのガスマスクとか変態っぷりも光るが、一番好きなのはディーン・ストックウェルが「お菓子のピエロ」を歌うシーンだ。映画のストーリーとは直接関係ないのに、とても心奪われる。
そういえば、これまたストーリーとは直接関係ないローラ・ダーンの尋常じゃない泣きじゃくりっぷりがメチャンコ怖いんだよ。全然怖いシーンじゃないんだけど、何だか矢鱈と怖いのだ。
この映画は闇のシーンが多い。それが夜のカトカラ採集と重なり、夜道を歩いている時に珠にこの映画の事を思い出したりもした。更にそこにシロシタバのベルベッドのような下翅とがリンクしたゆえに思いついたタイトルだろう。まあ、映画へのオマージュだね。

第ニ章の『白き、たおやかな女王』のモチーフは北杜夫の小説『白きたおやかな峰』。但し、インスパイアーされたのは題名だけ。ヒマラヤの高峰に臨む登山家たちの話で、その内容とは全く関係がない。

今回の第三章は特に決まったモチーフはない。パンチラという言葉が気に入ったので、単にタイトルに使いたかっただけだ。カッコつけたがると同時にフザけたい人なのだ。
いや、もとい。あるっちゃある。白い下翅を何度も見ているうちに『まいっちんぐマチコ先生』みたいやのうと思った覚えがある。マチコ先生といえば純白パンティーだ。でもってパンチラなのだ。すっかり忘れていたが、その辺が深層心理にあったのだろう。
一瞬、タイトルを『まいっちんぐマチコ先生』に変えてやろうかと今思ったが、やめとく。フザけ過ぎだと叱られそうなんだもん。

次回のタイトルは未だ考えてないから、どうしょっかなあ…。でも全然思い浮かばない。結構、タイトルを考えるのって大変なんだよね。

 
(註1)高校野球を観に行っていたからだ

準決勝と決勝、2日連続で甲子園に行った。

 

 
そう、大阪桐蔭が春夏連覇した時だね。
但し、決勝戦は入場出来ずに近くの喫茶店でTV観戦してた。満杯で入れなかったのだ。下の画像を拡大すると、外野席までもが売り切れになっていることが分かります。

 

 
そういえば毎年恒例の『(@@;)べろ酔い甲子園』と題したシリーズをこの年は結局書いてないんだよねー。選抜の(@@;)ベロ酔いレポートは書いたんだけどさ。

 
(註2)クソ分厚いカツサンド

スーパー・マーケット フレスコの名物カツサンド。
これについては拙ブログにて『フレスコのカツサンド』と題して書いた。

 
(註3)今日は車で来るということなので

こんな事にまで註釈を付ける必要性は無いと思うが、小太郎くんが遂に車を買ったのだ!何か言いたい。
勿論、この日の帰りは車で送って貰ったのだが、車を買って初めて助手席に乗せたのがオラらしい。物凄く残念そうに言われたよ。アンタ如きにと云う気持ちが言外に溢れてとったわさ。
若い女の子じゃなくてゴメンねー(・┰・)

 
(註4)小太郎くんには2頭ほど採って貰ったのかなあ

本人に確認したら、最初の1頭のみだった。この日は発生も終盤なのかボロばっかだったのだ。

 
(註5)ムラサキシタバ

 
日本におけるカトカラの最大種。しかも、美しくて稀な種なので人気が高い。