牛丼を自分で作ってみる

思いつきで、自分で牛丼を作ってみた。
たまたま冷蔵庫に牛バラ肉、玉葱、卵、紅生姜が残りがあったからである。

一応ネットのレシピを参考にして作る事にした。

・牛こま肉……200g
・玉ねぎ……1/2個
・だし汁……200cc(水:200cc、だしの素:小さじ1杯)
a. 酒……大さじ2杯
a. みりん……大さじ2杯
a. 砂糖……大さじ1杯
a. 醤油……大さじ2と1/2杯

とはいえ、正確に量って作るつもりは全然ない。あくまでも参考にしただけである。性格がアバウトなのだ。適当に二人分程度の目分量で作るのじゃ。

①牛バラ肉を適当に切って、酒をブチ込んで揉み込む。
②鍋に出汁、砂糖、味醂、醤油、白ワインを入れて火にかける。玉葱をスライスし、その2/3を鍋に投与。弱火でクタクタに煮る。
③仕上げの前に残りの1/3の玉葱を入れる。ようは玉葱の食感を2つにしようという算段だ。
④丼鉢に御飯を盛り、上から③を入れて真ん中に卵黄を安置して紅生姜を添えれば出来上がり。

(・∀・)みゃあ〜、我ながら旨いと思う。
味は吉野家の牛丼よりも上品に仕上がった。勿論、ややつゆだくにした。ややというのが自分好みなのだ。

だがコストパフォーマンスを考えれば、やっぱ吉野家って凄いなと思う。牛丼戦争が勃発した一時期は、¥298という時代もあったけど、今は幾らになってるのかな❓
調べたら、税込¥365だった。それでも信じられない激安価格だ。
吉野家って、偉いよね。いや、スゲーと言っても過言ではない。

                   おしまい

 
追伸
ちなみに撮影したあとに紅生姜を大幅増量。一味唐辛子も足した。大阪人は紅生姜を偏愛しておるのだ。何せ天ぷらにして食うくらいだからね。

ちなみに翌日も食った。

コチラは温泉玉子バージョンね。

  

だだちゃ豆とあわっちゃ豆

今年ほどスーパーで「だだちゃ豆」を沢山見て、今年ほどだだちゃ豆にガッカリした年はない。

えー、だだちゃ豆とは山形県鶴岡市特産の枝豆のこってす。
邪魔くさいから、あとは袋の裏の説明書の画像を貼っときまっさ。

そうそう、だだちゃ豆って数多ある茶豆の中でも断トツに香りが良いんだけど、よその土地で作ってもその独特の香ばしさが出ないんだよな。

昔は8月の短い時期に「高島屋」でしか見られなかったのに、今年は近所の何処のスーパーでも見かけた。数年程前から一般ピーポーにも知られるようになって💥人気爆発、作付けする農家が飛躍的に増えたのだろう。
でも今年は豆の粒が小さくて、これが全然旨くないんである。3度ほど食ったが、ことごとくそうだったのでガッカリした。
どこでも売っているワケだから、折に触れチェックしたが、どれも栄養失調みたいな豆ばかりだった。

まだマシだったのは、コレくらいだった。

天候のせいかとも思ったが、意外と作る人が増えたせいでクオリティーが下がったんじゃないのかなあ❓作る人が増えれば、慣れないだけにクオリティーの低いものが増えるのは当たり前で、そうゆう人のに当たる確率も当然ながら上がるだろう。経済の功罪、その縮図だね。

探したら、去年か一昨年の画像があったので、貼り付けておく。

まだマシだが、コレとて初めて食った15年ほど前のモノには遠く及ばないような気がする。気のせいかなあ…。

そんな中、わりかしヒットだった枝豆が「あわっちゃ豆」である。

香りは、だだちゃ豆の足元にも及ばないが、味はふくよかで旨味がある。今年みたいな出来のだだちゃ豆なら、迷わずこっちの方を選ぶ。だだちゃ豆は1袋で298円だが、あわちゃまめは通常で198円。安い時だと158円だったりするのだ。コスパ面まで含めれば、断然あわちゃまめに軍配が上がる。

言い忘れたが、「あわっちゃまめ」とは、最近売出し中の徳島産の枝豆のことである。つまり阿波の国の茶豆ってこってすな。
JA徳島市が独自に品質&食味試験を行い、特に風味の良い時期のおいしい品種のみを使用した独自ブランドの茶豆風味の枝豆らしい。ようは特定の品種を指すのではなく、品質の良いものを「あわちゃまめ」として出荷してるって事なのかな❓
吉野川河口流域を中心とした肥沃な土地で栽培されており、「JA徳島市では選別方法として、部会で定めた基準に基づき、農家生産者が選別する個撰出荷とJAの施設光選別機で選別する共撰出荷の2種類があり、安定的に高品質・良味の枝豆を出荷している。」という。
うーむ、かえってソレだと品質にバラツキがあるんのでは❓
ということは、たまたま食べたヤツが旨かったという可能性けは充分に考えられる。
まあ、来年また食べてみて最終のジャッジメントをしよう。

ちなみにだが、今年は豆を茹でるのではなく、もっぱらレンチンしていた。

コヤツをたまたま買ったら、袋のままレンチンできるというので、洗って使い回していたのだ。

枝豆をザッと洗い、そのまま袋に入れて(水気は拭き取らなくてもよい)チャック的なものを締め、皿に乗せて4分半〜3分半レンチンしたらOK。激楽ちんである。
皿に乗せるのは、下部に穴が空いていて、そこから水分が出る仕掛けになってるからです。だから普通の袋でやると爆発しまっせ。

でも、枝豆じたいは全然美味しくなかった。
そういや、コヤツも期待ハズレだったな。

北群馬のJA利根沼田の『豆王』というブランドだ。
名前が名前だし、相当の自信を持っていると思われ、値段も400円以上もしたから、どんだけ旨いねんとかなり期待した。
確かに見た目は立派。粒が大きくて、ふっくらしている。
でも、結果は全然旨くなかった。豆に旨味が全然なくて、香りも薄い。王様を名乗る資格、無しである。これじゃ詐欺だ。
ダァー(ノ`Д´)ノ彡┻━┻〜、二度と買わんわい❗

不味い枝豆は鞘から外して出汁に漬けておく。

したら、だいぶと美味しく食べられます。
飽きたら枝豆ごはんにしてもよい。

土鍋で白飯を炊いて、枝豆を乗っける。

してからに、混ぜる。

薄味だから、おかずにも合う。
枝豆ごはんOnlyとして食べたいのなら、塩をかければいいでしょう。

そろそろ露地ものの枝豆の季節も終りかなあ…。
今年の夏は、何だかアッという間に過ぎちゃったね。

                  おしまい

 

チカとモロコ

 
知佳や千花でもなく、諸子や師子でもない。
女の話だと思った人は残念でしゅー( ≧Д≦)

けど、そういや昔、智加って女がいたなあ…。
顔はかなり可愛いんだけれども、自意識過剰でいつも自爆してるような娘だったな。
この娘が人生稀にみる酒グセの悪い女だった。振り返ってみても断トツにナンバーワンだったと思う。
但し、浴びるように飲んだ揚句にグレキャラ化するのではなく、ムチャクチャ酒が弱いから少しでも飲めば暴走クィーンになるタイプだった。

昔、酔っ払ったチカを勤めていたダイビングショップまで送るのに、あと少しの300mなのにタクシーに乗せたっけ…。
紛れもなく人生最短距離のタクシー乗車だった。勿論オラがタクシーを停めて、お代も払ったんだけども、何であともう少し頑張れんのー❓と思ったからよく憶えている。
無理に歩かせずにあえてタクシーに乗せたのは、多分これ以上はにっちもさっちもいかないと感じて早めに判断したからだ。どんだけ粘ろうがダメなもんはダメなのだ。あの頃、当時の自分の判断力と決断力は神がかってたからね。その力は今は何処へ❓って感じだけどさ。

その智加が最も御乱心となったのが、BARのお客総勢15名程の山陰ダイビングツアーであった。ダイビングして、夏牡蠣とサザエ、アワビ採り放題、魚も突きーので、その場でバーベキューをするという贅沢なツアーである。
タクシーの件があったから、悪戯好きで人をコントロールする事に自信たっぷりの西井さんとカッちゃんには、くれぐれもチカには酒を一滴も飲ませないようにと釘をさした。何せチカはビールをコップ半分飲んだだけでも豹変、荒くれ者になるのである。そのやさぐれ度は半端ない。毒吐きまくりで、誰も宥める事が出来ない傍若無人振りになるのである。
なのに客を潜らせて戻ってきたら、すぐに西井さんとカッちゃんが困惑した顔で申し訳そうに謝ってきた。つまり、潜ってる間に彼らが調子に乗ってチカに酒を飲ませ、全く彼女をコントロール出来ない事態に陥っていたのである。
やっぱりかと思った。モテて自信たっぷりの男たちは困る。自分だけは女性に対して人とは違う特別な存在だと考えているから、他人の言うことはナメてて聞かないのである。
オラに対する対抗心もあったかもしれない。けど、ナメんなよである。こっちは自分の店の客なんだからアンタらより彼女のことは理解している。オラでもグレキャラ化したチカを宥めるのは至難のワザなのである。だから言ったじゃない、( ≧Д≦)モーである。
なのでチカの友だちのオイやんに色々言い含め、説得に行かせて何とかその場を治めた。

😱あー、そういや彼女を部屋に一度だけ泊めた事があったんだけども、当時の彼女にベッドに落ちていた髪の毛を見つけられて窮地に追い込まれたのだった。

彼女にチカの金髪を目の前にグイと突きつけられて言われた。
『アンタ、ガード許すぎ。』と。
慌てて『アホー、ワシなー奇病があってなあ。時々金髪が生えてきよるねん』と言った。
しかし、すかさず余裕の表情で言い返された。
『よう、その金髪だけ長く伸びるわよね。』
しまったと思った。チカはロングヘアーで、当時のワシは短髪だったのである。
あの時の彼女の無表情に近い怖い顔は、生涯忘れる事はないだろう。皆さん、くれぐれも女性を泊めた時は髪の毛は回収しておきましょう。

んな事は、(`ε´ )どうでもよろし❗
主題は、そんなとこじゃないのである。

前回は鯵の南蛮漬けについて書いたが、実を言うと鯵の南蛮漬けと思いきや、よく見たらそうじゃないのも出てきた。
そうゆうワケで今回は「食材チャレンジャー、イガがゆく」のカテゴリーに含まれる回になるかと思われる。

えー、チカとは魚のことである。そして、モロコも魚のことを指している。

日付は、2020年の4月2日となっている。
値段は、たったの100円でごわす。

見た目は極めてワカサギに近いね。
だから、チカなの❓
とりあえず、ウィキろう。

学名:Hypomesus japonicus。
おっ、小種名は日本を意味しているね。
キュウリウオ目キュウリウオ科に分類される魚。別名にツカ、オタポッポなどがある。
食用とされ、同属のワカサギとよく似ている。その為、両種が区別されずに流通していることもある。北海道及び三陸海岸以北の本州、朝鮮半島、カムチャツカ半島、樺太、千島列島の沿岸に生息する。
英名は Japanese surf smelt。つまりは「日本のワカサギ」である。
ワカサギによく似ているが、ワカサギの腹びれが背びれの起点の直下、もしくはやや前方から始まるのに対し、本種の腹びれは背びれの起点よりやや後方から始まるという違いがある。

全長は約20cmほどにまで育ち、ワカサギよりも大型になる。
内湾の岸近くに生息する。3月下旬から5月上旬の繁殖期になると河口へ集まり、汽水域の砂底部に産卵する。1年から2年で成熟し、産卵後も生き残って3年から4年生きる個体もいる。

北海道や東北地方では食用魚として流通している。定置網で漁獲されることが多い。また、漁港等に集まるので釣りの対象魚にもなっている。小骨がワカサギよりもやや硬いので、価格はチカの方がやや安価。
小型のものは天ぷらやフライなどにする。又、煮干しや佃煮にしたりもする。大型のものは刺身、素焼き、塩焼きにしても美味である。ただし、生食する場合は寄生虫の危険があるので注意が必要。

コレを先ずは天ぷらにした。

味は、ほぼワカサギである。結構、旨かった。
でも、たぶん飽きて残りは南蛮漬けにしたんだろね。

チカが野菜に埋まって、何ちゃらワカランものになっているが、間違いなくチカの南蛮漬けである。
思うに、鯵の南蛮漬けよかワカサギの南蛮漬けの方が柔らかい。その分、食べやすい。もしかしたら、ワカサギの南蛮漬けの方が旨いかもしれない。
いや、鯵の南蛮漬けも捨て難いな。簡単には甲乙つけれないね。

 
さてさて、お次はモロコである。

小魚なので骨ごと食べることができる。
コイ科のタモロコ属とイトモロコ属に含まれる淡水魚の総称で、単にモロコという和名の魚はいない。モロコとは「もろもろ沢山の子」の意で、体の細長い小魚にこの名のつくことが多い。
琵琶湖周辺では主にホンモロコの事を指し,東京ではタモロコを指す場合が多い。
ホンモロコは全長9cm程度。琵琶湖・淀川水系の特産で、現在は諏訪湖,山中湖,関東地方の川に移殖されて繁殖している。
旬は冬から春。琵琶湖の名物で、漁獲量が極めて少ない上に極めて美味な事から湖魚の中では最も高値で取引される。高い時には1kg1万円くらいするらしい。特に子持ちモロコは珍重され、主に京都の高級料亭で供せられている。
ちなみに環境省のレッドリストでは絶滅危惧IA類に指定されている。おいおい絶滅危惧種を獲っていいのか❓天然のウナギにしてもそうだし、結局は食いもんならお咎めなしなんだろね。ようは全ては人間の都合次第なのだ。

タモロコは田や水路に棲むモロコで、全長7cm程度。静岡・新潟県以西の本州と四国の一部、九州北部に分布。関東地方にも移殖されて繁殖しており、釣りの対象にもなっている。コチラも美味とされるが、ホンモロコよりは味が落ちると言われている。『ぼうずコンニャクの魚貝類図鑑』でも、ホンモロコが★4つの非常に美味、タモロコが★3つの美味になっていた。どちらもタモロコ属に含まれる。
他にモロコと呼ばれる魚に、イトモロコ属のイトモロコ、デメモロコ、スゴモロコがいる。だが、何れも不味くはないものの、ホンモロコと比べて評価は低い。ぼうずコンニャクでは★2つになっていた。

基本は網に乗せて炙り、素焼きにする(白焼き)。
一般的には、それを酢醤油とかで食うんじゃなかったけかな。いや二杯酢か❓他に酢味噌をつけて食べたり、から揚げ、照焼き、佃煮、南蛮漬け、味噌焼き、フライなどにもし、調理法は幅広い。あとは琵琶湖周辺や京都では、白焼きしたモロコを芯にした昆布巻きやモロコの飴煮がよく売られている。

でも、何か今イチだった。で、南蛮漬けにしたというワケである。

コレって、ホンマにホンモロコだったのだろうか❓
昔食った時は、もっと旨かった記憶があるんだけどなあ…。
タモロコだったりして。どころか、下手したらスゴモロコやデメモロコかも…。値段も安かったしね。そもそもが『スーパー玉出』で買ったもんなのだ。信用でけん。

一応、確認しておこう。

【タモロコ】


(出展『雑魚の水辺』)

真ん中の線が太い。しかも何本も線がある。

【ホンモロコ】


(出展『雑魚の水辺』)

一般的にタモロコは体高が高くてふっくらしており、ホンモロコは体高が低くてほっそりしているとされるみたい。けどタモロコにも微妙に細いモノもいるという。確実な識別点は、口の下のヒゲがタモロコよりもホンモロコの方が短いらしい。
でもパックのモロコは、ヒゲが体に引っ付いているようで、区別できん。

【スゴモロコ】

(出展『雑魚の水辺』)

琵琶湖特産種。スゴとは凄いって事なのかと思ったら「卑しい」という意味らしい。すなわち雑魚を表すそうだ。。
イトモロコやデメモロコとよく似ているが、スゴモロコの体側には暗色の縦帯の上に数個から10個程のハッキリとした丸い黒斑点が見られる事から区別できる。

【デメモロコ】

(出展『雑魚の水辺』)

和名は、目が大きい事からの命名。
スゴモロコに似ているが、体高が高く、口髭が短い。体は淡い黄褐色で、側面にはやや光沢があり緑がかった褐色の縦条があり、背部にのみ暗褐色の小さい斑点がある。

【イトモロコ】

(出展『雑魚の水辺』)

最も判別は容易で、体側の側線鱗が他のモロコ類よりも著しく上下に長い。また吻が長く、頭部の背縁が盛り上がる。
コヤツはまあいいとして、正直、他は同定に自信がなくなってきた。買ったのは、見た感じからはホンモロコっぽいけど、それにしては不味い。
こりゃ京都か琵琶湖畔のちゃんとした店で、ちゃんとしたホンモロコをもう1回食わないと、ワカンねぇよ。

ちなみに、過去にモロ子という名前の女性には会ったことはない。もし会っていれば、そんな変わった名前なら鶏並みの脳ミソのワシとて記憶しているからね。

そういや、こんな画像も出てきた。

鯵の南蛮漬けにしては白いし、何でパプリカ❓と思ったら、次の画像を見て解った。

鯵のマリネでござんした。
きっと母体はイカとパプリカのマリネだね。
作り方は簡単。揚げたアジをシンプルなセパレートドレッシングにブチ込み、タマネギとパプリカを入れ、黒胡椒を挽いただけ。シンプルだけど美味しいよ。

ゴメン、違った。順番が逆で鯵のマリネが先でした。黄色のパプリカが無いし、更にマヨネーズを加えたからドレッシングが白濁してるからね。

                  おしまい

 
追伸
『とある料理人(弁当屋)の独り言?』というブログを読んだら、モロコが今イチ旨くなかった理由が判明した。

仕入れた天然のスゴモロコの中に、一匹だけホンモロコが混じっていたらしい。
抜粋しておきます。
「スゴモロコ・・・目が大きくホンモロコに比べ、ウロコも大きいのが特徴です。
ホンモロコ・・・スゴモロコに比べ、小顔で端正な顔付き?で、ウロコも小さいです。
ホンモロコと比べてスゴモロコは、値段にして1/3くらい。
ただ時期により、エラが硬くて口に残ったり、ホンモロコに比べ、育つのが早いのでしょうか?内蔵が苦いことがあります。
最近は、ホンモロコの養殖も盛んです(値段はスゴモロコと変わりません)が、一度天然物を食べたことのある方には、お勧め出来ません。
養殖のホンモロコを食うくらいなら、スゴモロコの方がはるかに美味しい。」

でも、画像を見るとスゴモロコとしているモノは、デメモロコのような気がする。


(出展『とある料理人(弁当屋)の独り言?』)

上がスゴモロコ、下がホンモロコとされている。

だとしても、天然ホンモロコが★4つで、スゴモロコが★2つ(デメモロコも★2つ)。養殖ホンモロコはそれ以下と言うんだから★1つ以下になる。そりゃあ、旨いワケないわな。
(☉。☉)あー、でもパッケージを見たら、養殖なんて一言も書いておらんぞ。もっとデカくないと旨くないのか❓

 

豆鯵の南蛮漬け

 
豆鯵(まめあじ)とは、成魚になる前の初夏~秋ごろのアジのことを指す。ようはチビッコ鯵の事だね。コレが1パック100円で売ってた。

鯵の南蛮漬けのアジは小さい方が美味いというのが持論だ。
なぜなら、大きいと骨も頭も硬くて食べにくいからだ。それが嫌なら二度揚げしなければならない。けどそうなると火入れが難しくなる。火入れが足りないと骨や頭が口に残って不快だし、揚げ過ぎると身が痩せ細って、しっとり感が失くなってミイラ化してしまうのである。その加減が難しい。

とは言うものの、作り方自体はそれほど複雑ではないので、料理慣れしてない人でもそう難しくはない。スーパーの惣菜の鯵の南蛮漬けよかマシには作れんだろう。アレって何であんなにもマズいんだろ❓それほど沢山を買って食ってないけど、ことごとくマズかった。だいたいが妙に甘ったるくて、野菜から水が出てクタクタなのだ。

それでは作り方です。

①アジの腹に包丁を入れ、内臓を取り出す。出来れば手で鰓も取り除く。それをキレイに水で洗って、キッチンペーパーで水気を拭き取る。後で油ハネするのはヤだもんね。忘れずに腹の内側の水気も拭き取りましょう。

②したら、南蛮酢を作る。水に顆粒だしの素(鰹&昆布)を入れ、味醂、砂糖、酢、醤油をテキトーに加えて、輪切りの乾燥赤唐辛子をブチ込んで軽く火を入れておく。
レシピの割合は好みがあると思うので、あえて書かない。作るのならネットで検索されたし。自分は甘いのが嫌いなので、砂糖の量を控えめにしている。

③玉葱は薄切りにスライス、人参は拍子切り、ピーマンは種を取り除いて輪切りにする。なお、玉葱は切ってから30分くらいは放置する。そうしないと、何とかっつータマネギの重要な栄養分が失われるからね。

④鯵を油で揚げる。いつもなら片栗粉や小麦粉をつけて揚げるのだが、今回は面倒クセーから素揚げにすることにした。150〜160℃の低温でじっくりと揚げる。そうすることで骨や頭も美味しく食べることができるのだ。

⑤カリッとした揚げたてを、そのまま直接に南蛮酢に放りこむ。意味はワカランけど、20代にバイトしてた銀座の小料理屋がそうしてたからだ。コレが楽しい。入れた瞬間にジュッと音が鳴って、それが何とも心地良いのだ。きっとそれで一挙に味がしゅむんだろう。テキトーに言ってるけど。
揚げる時間の目安は大きさによるが、今回は7〜8分。途中、1回ひっくり返した。

⑥それを冷蔵庫で一晩寝かせて完成。
もっと彩りを良くしたいのなら、皿に盛ってからピーマンを加えるか、新たにネギなどを散らせば良い。

野菜のシャキシャキ感が全体のバランスを上手く支えている。特に人参の食感は全体の調和を引き締めてて、マスト。
正直、客観的にみても美味い和食屋のものと遜色ないような出来じゃよ。

それを都合三日間にわたって食った。
特に意図しての行為ではない。単に一度にそんなに沢山は食えないし、食うべきものでもないからだ。酒の肴とは、チビチビ食うものです。

(2日目)

最初の4枚の画像は鯵が埋まってて、よくワカランものになってたけど、今度はハッキリと「鯵の南蛮漬け」と分かるでしょうよ。
ただ、夕方の中途半端な時間に撮影したので色が悪い。

(3日目)

段々と味が濃くなるけど、それはそれで旨かったりする。

                   おしまい

 
追伸
時々、鯵の南蛮漬けを無性に食べたくなる時ってない❓あるよねっ。だから年2回くらいは作るのだが、過去画像を見ると、去年、今年と結構作ってる。


 
これは片栗粉をつけて揚げてるね。
頭が無いのは、結構大きい鯵だったんだろう。

多分コレも片栗粉をつけて揚げてると思う。
考えてみれば、素揚げすることなど滅多にないのだ。結論から言うと、矢張り片栗粉で揚げた方が旨いと思う。そうした方が身がふっくらと仕上がるような気がする。

コレもそうだから、やっぱ基本は片栗粉仕様みたいだね。
以下も同じだろ。

思った以上に作ってたんだなあ…。

 

鰹の塩たたき丼

高知産の状態の良い鰹のタタキが、半身のサク(下側)で398円で売ってたので買った。

薬味は上が貝割れ大根。右側が芹、茗荷。左側が葱とニンニクのオリーブオイル漬けである。
コレを薬味なしの塩のみで食う。
思うに、鰹のタタキは塩で食うのが一番旨い。究極的には。薬味さえも邪魔だと思ってる。但し、鮮度が良ければの話だけど。

翌日、残りの半分を切り分けて塩を振り、手で叩いて馴染ませる。で、15分程おいてから酢飯の上に乗っけて、薬味を盛れば出来上がり。

途中、飽きてきたので醤油でも食ってみた。醤油は醤油で旨いんだけど、鰹の風味が消えてしまう。

この時期の鰹も旨いけど、10月には脂が乗ってもっと旨いだろう。待ち遠しいね。特に藁焼きしたヤツは悶絶するほど美味いんだよなあ。

今年も何だかんだいって、結構カツオは食ってるなあ。

コレなんか殆んど薬味なしだ。塩のみで押してますな。

コレもそうだね。たぶん皮付きのサクに金串を刺して、ガス火で皮めだけを炙ったんだと思う。

これも同じだね。

薬味は葱、茗荷、ニンニク。通常だと、こうだよね。
あっ、大葉が抜けてるな。

薬味は葱、茗荷、ニンニク、大葉、貝割れ大根。
でも茗荷が無いし、白胡麻はイレギュラーか。

これまた薬味が違ってて、葱、ニンニク、胡麻とシンプルだね。

これは大葉、葱、ニンニク。そして玉葱だね。
普段は薬味に玉葱は使わないから、自分としては珍しいね。結局のところ、冷蔵庫にあるものをテキトーに使ってんだろな。

葱、茗荷、大葉、ニンニクだから、コレこそが王道だろう。
あっ、でもニンニクはオリーブオイル漬けだから、正真正銘の王道ではないね。ちなみに塩は藻塩だったと思う。

コレこそかと思いきや、茗荷さんが不出場でんがな。

これも茗荷さんがいない。ニンニクもオリーブオイル漬けだ。

タタキではなくて、刺身だね。
脂が乗ってそうだけど、期待した程ではなかったと思う。
これも茗荷なしだね。きっと茗荷無しの時は、おそらく値段が高かったからじゃないかな。

カルパッチョだね。
薬味は玉葱と貝割れ大根だね。これは今イチだった。途中で醤油かけたもんね。
思うに、カツオはあまりカルパッチョには向いてないような気がするなあ。

これはヅケ丼だろう。
ヅケもカツオには向いてないと思う。

たぶん、なめろう。
コレも今一つだった。

こっちは山椒をふんだんに掛けてやった。

鰹とろろめし。
味は悪くはなかった記憶がある。でも、メチャメチャ旨かったという記憶もない。

何か鰹マニアと言ってもいいくらい鰹を食ってんな。
さあ、秋も鰹を食いまくろうぞ。

                   おしまい

 
追伸
薬味に何故に生姜を使わないのか❓と訝る御仁もおられるかと思うが、あんなもんは本場の高知では邪道である。高知ではニンニクが基本なのだ。生姜を使うのは臭みを誤魔化すためだと言われている。高知のカツオは鮮度が良いので、そんなもんは要らんというワケだ。ちなみに、塩で食うのも高知スタイルである。
最近は流通スピードが格段に良くなっているので、大阪でもかなり鮮度の良いカツオが手に入るようになった。だから、塩とニンニクで食ってるんである。
塩で食べた事がない人は、是非とも試して戴きたい。但し、冷凍を解凍したものは言語道断。生で鮮度の良いものじゃないと、ダメだからね。
 

絶海の島の悲しき犀

 
『奄美迷走物語』の最終回で、サイカブトについて書いた。
その文の中で、日本にもう1種いる南大東島に産するヒサマツサイカブト(Oryctes hisamatui)についても少し触れた。
だが、実を言うとアップ直前に何となくヒサマツサイカブトの事が気になったので調べてみた。したら書き進めるうちにズブズブの泥沼にハマッてしまった。ようはサイカブトそっちのけの長大な文章になってしまったのである。本末転倒も甚だしい。いつもながらの事だが、愚かじゃよ。
なので一旦中断して、書きかけのサイカブトの部分を切り離してレイアウトを元に戻して記事をアップした。そして、こうして新たなタイトルを付け、切り離した部分に加筆することにしたのである。

先ずはサイカブトについておさらいしておこう。

【サイカブト(犀兜虫) ♀】

(2021.4.1 奄美大島 朝仁町)

和名の由来は、頭部に動物のサイ(犀)のような短い角があるカブトムシの仲間だからだ。この和名は2000年前後に使われ始めたもので、それ以前はタイワンカブトと呼ばれていた。
学名 Oryctes rhinocerosの小種名”rhinoceros”もサイの事を表している。尚、属名の”Oryctes”は、多分ギリシャ語の”orycho”が語源で「掘る・掘り出す」という意味だろう。これは成虫がヤシなどの内部にトンネルを掘ることからの命名かと思われる。
英名の Coconut Rhinoceros Beetleもサイに因む。ようするに、ココナッツ(椰子)にいるサイみたいな甲虫って事だね。


(出展『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』)

鞘翅目 カブトムシ亜科 サイカブト属に分類される甲虫の一種で、外来昆虫とされる。
ヤシの木やサトウキビ、パイナップルを食害する害虫で、その穿坑能力は極めて強く、成虫は茎頂部にトンネルを掘って潜り込んで摂食を行う。そのためヤシなどは成長点を貫通した時点で枯死する。
日本に侵入したのは20世紀初頭とされ、台湾からの物資に紛れ込んで石垣島に上陸し、以降、凄まじいまでの繁殖力で分布を北に拡大し続けている。そして、現在では南西諸島のほぼ全域で定着。九州南部でも見つかっている。
本種の原産地はインドシナ半島周辺とされるが、農作や植栽による人為的な植物の移動に伴い、東南アジアから西はインド・スリランカ、東は中国南部、台湾、果てはハワイにまで分布を拡げており、在来か外来かが判然としない地域も少なくない。

成虫の体長は雌雄共に30〜45mm。
卵はヤシの枯木内の他、畑脇に積み上げられた肥料用の牛糞の中や堆肥、落葉土に産み付けられる。孵化した幼虫は2度の脱皮を経て4ヵ月程で老熟し、それぞれ3〜4週間の前蛹期と蛹期を経て羽化する。成虫の寿命は2〜5ヵ月程だが、成虫、幼虫共に冬季の約2ヵ月を除きほぼ一年中活動している。
本土のカブトムシのように樹液に来ることは殆どなく、基本的には地面を這って生活しているようだ。
♂の大型個体は弓なりの細長い角を頭部に1本持つが、♀も短い角を備えるため、小型個体では雌雄の見分けがつきにくい。但し♀は尾端が毛で覆われていることから、慣れれば判別は比較的容易である。
夜行性で、しばしば街灯に飛来し、路上でひっくり返ってもがいている姿をよく見かけるという。体が分厚いのに足が短いから起き上がれないのだ。
なお、日本にはもう1種この属に含まれるものがいて、南大東島にヒサマツサイカブトが産する。

扠て、ここからが本番である。
『奄美迷走物語』の最終回では、ヒサマツサイカブトについては詳しく書かなかった。理由は冒頭に書いたとおりである。
そういうワケで、気が進まないけど改めて泥沼の話を始める。

【ヒサマツサイカブト 久松犀兜】

(出展『画像あり。(´・ω・`)』)

2002年に新種記載されたもので、サイカブトよりもふた周りくらいデカくて分厚く、胸部背面後方が高くせり上がり、角も長い。
(・∀・)う〜む、カッコイイかもしんない。興味が出てきたので、もっと本格的に調べてみよう。

体長45〜49mm。体色は黒色〜赤褐色で、個体によって変異がある。雌雄共に頭に角を有し、大型の♂では長く発達して後方に強く湾曲する。♀の腹端部には黄褐色の長毛を密生するが、雄は無毛である。

(♂)

(出展『フィールドガイド 日本のクワガタムシ・カブトムシ観察図鑑』)

(♀)


(出展『学研の図鑑 カブトムシ・クワガタムシ』)

この♀は赤褐色型だね。想像してたよりも赤っぽい。戦国武将の兜に、こうゆう色艶のものが有りそうだね。

前胸背板前部は深く陥没し、♂の後縁中央にある山状の弱い突起がサイカブトは2つなのに対し、3つある。
以上の点で充分区別できそうだが、小さい個体だと判然としないのもいるそうだから、一応、他の区別点も列挙しておこう。

▪雄の胸部背面中央の窪みを取り囲んでいる帯状の浅い溝は、サイカブトでは後方で途切れるが、ヒサマツサイカブトでは繋がる。
▪雌は胸部背面の後方中央に長方形の浅い窪みがある。
▪上翅の点刻がサイカブトよりも細かく滑らかで、光沢がある。一方、サイカブトは点刻が粗く、光沢も弱い。

成虫の発生期は、6~11月。
サイカブトは年中いるが、ヒサマツは夏から秋しかいないんだね。
ヤシ科の常緑高木、ダイトウビロウ(ビロウの変種)の林に生息し、灯火に飛来するが、数が少なくて生態については不明な点が多い。

【ビロウ(蒲葵・枇榔)】

(出展『Inaho Farm』)


(出展『宮崎と周辺の植物』)

おそらくサイカブトと同様に幼虫は枯死したビロウの幹の腐植物を餌にしていると推察されている。って事は卵も幼虫も見つかってないの❓
どうやら、しばしば「幻の」とも形容されるくらいに極めて稀な存在で、全部で10頭ちょっとしか採集されていないようだ。レッドデータブックでも沖縄県の絶滅危惧種IA類に指定されており、県内で最も絶滅に瀕した昆虫類の一つとされている。

南大東島には、わざわざハマヤマトシジミを採りに行ったのだが(当時は確実に採れたのは大東諸島だけだった)、面白い島だったし、一瞬採りに行ったろかと思った。けど2019年に種の保存法により採集禁止となっていた。残念なりよ。

【ハマヤマトシジミ♀】


(2013.2.24 南大東島)

ちなみに、6枚目は製糖工場ね。この寂寥感のある独特の風景を見て、とんでもなく遠い所に来たなと実感したっけ。
まるで古き良き昭和の時代にタイムスリップしたみたいで、絶海の島は浪漫ある島だったよ。
もう1回行きたいなあ…。海は綺麗でダイナミックだし、あのメチャメチャ美味いけど3切れ以上食うと、その場で脱糞してしまうという恐るべし魚、インガンダルマも又食べたい。
それに東洋一美しいとも言われる鍾乳洞、星野洞にも結局入れていないもんね。


(出展『ニッポン旅マガジン』)

南大東島はサンゴ礁が隆起してできた島で、ほぼ石灰岩で形成されており、鍾乳洞がおよそ120カ所もあると言われている。
その中でも星野洞は最大級とされ、長さ375m、約1,000坪もの広さがあるのだ。
けれど、入口まで行ったけど入れなかった。入るには事前に予約が必要なのである。

ところで、和名の頭に冠せられる「ヒサマツ」という名の由来は何だろう❓地名のようだが、南大東島にそんな地名あったっけ❓記憶にないぞ。それに地名ならば、普通は「ダイトウサイカブト」と名付けるだろうに。
蝶屋だったら、ヒサマツといえば真っ先に頭に浮かぶのがゼフィルス(シジミチョウのキラキラグループ)界のスター蝶であるヒサマツミドリシジミだ。もしかしてヒサマツサイカブトの名前の由来は、このヒサマツミドリと何か関係があったりして…。

【ヒサマツミドリシジミ 久松緑小灰蝶】

(2014.6.25 京都市杉峠)

ヒサマツミドリシジミの名前の由来は、1933年に鳥取県にある久松山(きゅうしょうざん)で最初に発見されたからだ。命名者が山の名前を読み間違えたのか、ワザと読み換えたのかは諸説あるようで定かではないが、どちらにせよ鳥取県の山と絶海の島に棲むヒサマツサイカブトとに接点があるとはとても思えない。
なので調べてみたら、由来は全然違うサイドからの命名であった。
ヒサマツサイカブトが最初に採集されたのは1957年で、採集したのは愛媛大学の久松定成教授。ようは氏に献名されたというワケだ。人名の可能性がある事をすっかり忘れてたよ。
だから学名の小種名である”hisamatui”も久松氏のことを指す。

でも採れたのは♀2頭だった。すぐに記載されなかったのは、おそらく♂が採れていなかったからだろう。そしてその約40年後の1999年に、佐藤勝氏により初めて♂が採集された。それに拠って新種であることが判明し、2002年に漸く新種記載の運びと相成ったものと思われる。
ただ最近は全く採集されていないという噂もある。2000年前後に南大東島でもサイカブトの侵入が確認された事から、その後、ダイトウサイカブトが生存競争に敗れてしまい、絶滅したのでは❓と憂慮されている。

余談だがネットで『〜大人のための甲虫図鑑〜クワガタムシ・カブトムシの知られざる世界』というクソ長いタイトルのサイトを見つけた。そこのヒサマツサイカブトの欄に、こういう記述があった。
「位置的に、フィリピンやインドネシア、またはミクロネシア方面から海流によってもたらされたものと考えられる。」
たぶん南大東島のみの特産種だから、古い時代にフィリピンやインドネシア、ミクロネシア方面から海流に乗って辿り着き、そこで独自進化したのではないかと云うようなことが仰っしゃりたいのだろう。

あれっ❓このサイトのヒサマツサイカブトの画像って、添付した『フィールドガイド 日本のクワガタムシ・カブトムシ観察図鑑』の画像と同じだね。確認したら、どちらも著者は吉田賢治となっている。ワシは蝶屋だから詳しくは存じ上げないが、それでも名前くらいはお聞きしたことがある。多分、クワガタ界のレジェンドと呼ばれてる人だ。
そんなレジェンドにカブ&クワ素人のワシがおこがましくも言っちゃうけど、この海流に運ばれた説って果たしてホントかね❓一見、説得力がありそうだけど、どうも納得がいかない。そもそも何が漂着して、ヒサマツサイカブトに進化したのだ❓書いてないからワカランぞなもし。画像を使わせてもらっといて申し訳ないけど、そうゆうのは書いとくべきでしょうよ。まあ紙面の関係とかもあるんだろうとは思うけどさ。

で、調べた結果、どうやら考えられるのは Oryctes gnuのようだ。ちなみに、和名はオオサイカブトムシ・グヌサイカブト・オオハビロサイカブトと3つもある。以下、和名は学名そのままのグヌサイカブトで話を進めてゆきます。

(グヌサイカブト)

(出展『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』)

55〜72mm。ヒサマツよりも大型だが、外部形態から近縁種とされ、インドシナ半島、マレー半島、インドネシア(ボルネオ島・スマトラ島・ジャワ島・スラウェシ島)、フィリピンに分布する。サイトによっては、スリランカやニューギニアも分布地に含めている。
にしても、ミクロネシアは入ってないぞ。何だか胡散臭いな。
一応ネットで検索したら、ミクロネシア連邦のサイカブト関連記事にはヒットせず、出てくるのはその北に位置する北マリアナ連邦のものばかりだった。どうやらグァム島にサイカブトが侵入してヤシの木を食害しているようだ。2007年辺りに侵入が確認され、その後、急速に被害が拡大しているみたいだ。

一瞬、海流じゃなくて地史と関係あるかも…という考えがよぎった。太古の昔には大陸と沖縄本島は陸続きだった。ゆえに南大東島も陸続きになっていたかもしれないと思ったのだ。その繋がっていた時代に祖先種がやって来て、後に大部分の陸地が海の底に沈み、島に取り残されたものが独自に進化したのではあるまいか…。
けんど、すぐに気づいた。南大東島は海洋島で、一度もどこの陸地とも繋がってはおらんのだ。となると、まさかフィリピンやインドシナ半島から飛んでは来れないだろうから(たぶん体が重過ぎて長距離は飛べない)、やっぱ海流に運ばれて来た可能性が高いという事になる。
だとすれば、グヌサイカブトの分布域の中で、ヒサマツの故郷である可能性が一番高い場所は何処だろう❓
それをさぐる前に、南大東島と各地域との位置関係を確認しておこう。


(出展『風景印のある風景100選』)

絶海の孤島みたいなもんですな。大東諸島は沖縄県だが、沖縄本島から東に約400キロも離れており、間に島らしい島はない。

お次は、一応のミクロネシア連邦。


(出展『ミクロネシア連邦大使館』)

そして、アジアの地図である。


(出展『アジア地図』)

フィリピンの真下のKの形をした島がスラウェシ島で、その左隣の島がボルネオ島である。えーい、面倒くせー。インドネシアとマレー半島、インドシナ半島の位置関係が解る地図を貼付じゃい❗


(出展『旅行のとも、Zen Tach』)

これでジャワ島とスマトラ島の位置も御理解戴けたかと思う。それにしても、えらく大ごとになってきたな。嫌な予感がするよ。ぬかるみの迷路に入り込んだ可能性大だ。

距離だけを考えれば、一番近いのがフィリピンである。次はベトナム(インドシナ半島)だろう。その次が微妙で、ボルネオ島かスラウェシ島、或いはグヌサイカブトが分布するかどうかワカランがミクロネシアかな。以下、目測だけどニューギニア、ジャワ島、スマトラ島の順になるかと思われる。
とはいうものの、距離だけでは場所の特定はできない。海流に運ばれてきたのなら、大東諸島へ繋がる海流でなくてはならないからだ。いくら距離的に近くとも、海流が逆向きなら辿り着けないのである。


(出展『国際深海科学掘削計画』)

アメリカ大陸から流れてきた北赤道海流はフィリピン付近で主に北上する。コレが所謂ところの黒潮という奴だね。と云う事は、グヌサイカブトはフィリピンから流れて来た可能性が十分にある。
一方、フィリピンより下の海流は南下している。となれば、スラウェシ島やジャワ島、スマトラ島に棲むグヌサイカブトは、海に乗り出しだとしても南大東島には辿り着けないだろう。

ではインドシナ半島&マレー半島、ニューギニア、ミクロネシアの可能性はどうだろう❓
しかし、この図には示されていない。他の図を探そう。


(出展『VEHA』)

この図では、ミクロネシアならば北上する海流もあるから、南大東島に辿り着ける可能性はある。でも微妙なところではある。なぜなら、西へと向かう流れなら北上できるが、並行して東へと流れる海流もあるのだ。とは言うものの、グヌサイカブトは、たぶんミクロネシアには居なさそうだもんなあ。
インドシナ半島&マレー半島周辺の海流は南に向かって流れてるね。ニューギニア周辺の海流も北上はしてなさそうだ。
でも、もうちょいインドシナ半島周辺の海流を詳しく知りたいところだ。


(出展『東京情報大学 水圏研究計画』)

この図によると、インドシナ半島を北上する海流もあるね。これならベトナムからの渡航の可能性も有り得るかもしれない。しかし、沖合を南下する流れの方が強そうだ。それに北上できたとしても、海南島を過ぎた辺りで南向きの海流に押し戻されそうである。そして、たとえ一部が沿岸ぞいの流れで北上できたとしても、台湾と中国との間(台湾海峡)を通る潮流に乗ってしまい、次に合流するのは対馬暖流っぽい。これでは南大東島には辿り着けそうにない。

となると、やはり距離的にも海流的にもフィリピンの可能性が一番高そうだ。
ならば、グヌくんの黒潮に乗った壮大なる冒険の旅を検証してみよう。


(出展『日本大百科全書』)

大東諸島の近くには黒潮反流というのが流れているらしい。沖合を南西方向に流れ、その流速は1km内外だそうだ。コレに捕まったら、反対方向の流れだから島には着けないね。余談だが、南大東島は沖縄本島との文化交流はあまりなく、むしろ伊豆諸島の文化が入り込んでいる。うろ憶えだが、開拓前に八丈島辺りから漁師がこの黒潮反流に乗って漂着したと云う記録がある筈だ。後に明治時代に島に入植したのも八丈島の島民だったと思う。入島した時は鬱蒼としたビロウの密林だったらしい。きっとその頃にはヒサマツサイカブトも沢山いたに違いない。その後、開拓により森の大半は失われ、数を急激に減らしたのだろう。

話を本筋に戻そう。
そうなると、黒潮反流の南を流れる亜熱帯反流に乗らなければ島には辿り着けない。運次第のかなり厳しい旅だ。辿り着ける確率はかなり低い。それでも最も可能性があるのはフィリピンだろう。

しかしネットで調べたら、辿り着ける確率はもっと低そうだ。
『比蝶のブログ』には、フィリピンのグヌサイカブトについて以下のように書かれてあった。
「スマトラやボルネオでは比較的多く見られるのだが、ここフィリピンではとんでもなく集まりが悪い。それなりにここでがんばってきたがフィリピンでは珍品なのは間違いない。レイテ・サマールやカタンドゥアネス島などは年数回みる機会があったが、究極に難しいのがパラワン島のOryctes gnu。極稀にしか正体を現さない・・・。年間1頭どころか数年に1頭レベルの激レア産地なのである。」

こんなレアものが偶然に海流に流され、たまたま絶海の島に辿り着く可能性って、果たしてどれくらいあるのだろう❓殆ど奇跡に近いよね。

続いて、他の地域に生息するグヌサイカブトについても検証してみよう。
と思ったが、その前に驚愕の資料を見つけてしまった。
何気に『フィールガイド 日本のクワガタムシ・カブトムシ観察図鑑』をもう一度見たら、見逃していたが解説欄もあった。


(出展『Amazon』)

そこには以下のような事が書かれてあった。

「小型種
体長 45〜55mm
[形態]
♂♀共に黒色で、身体は大きく太い。♂♀共に身体は厚く楕円形で頭部が小さく、上翅には縦筋がある。♂♀共に頭には突起物があり、♂は♀よりもやや大きい程度。♂の前胸中央はやや凹む。」

♂♀共に…連発で変な文章だな。
あれっ❓、他の文献だと体長は45〜49mmじゃなかったっけ❓6mmも大きいじゃないか。なのに小型種とある。ワケわかんねーぞ。それに赤褐色の個体には触れてないね。
「上翅には筋がある。」という記述も気になる。だって、サイカブトもヒサマツサイカブトも筋はあるからだ。コレは何を言わんやとしているのだろう❓まあいい、先に進もう。
いや、ちょっと待て。
「♂♀共に頭には小さな突起角があり、♂は♀よりやや大きい程度。」とな。
(・o・;)えっ、小さな❓♂♀共に小さな突起角❓♀の角は小さいけど、♂の角は小さくないのでは❓

「[生態]1年1化型。
夏に生まれた幼虫は翌年の5〜7月に変態し、羽化した成虫は10日ほど蛹室内にとどまった後、発生する。発生は6月に始まり、7月にピークを迎える。7月中旬〜8月初旬に個体数を最も増す。8月下旬になるとあまり見られなくなる。ミミズの死体や動物の糞にも来る。やや夜行性が高く、夜間の活動が中心。」

先ず驚いたのは、生態に不明な点が多いと聞いていたけど、幼生期まで解ってるの❓それに発生についても詳しく書かれている。でもって、この書き方だとそこそこ採れるような感じじゃないか。10頭ちょっとしか採れてなかったんじゃないの❓
でもレジェンドなんだから、極めて有効な採集方法を編み出してタコ採りしたのかもしれない。
ミミズの死体や動物の糞にも来るってのも驚きだ。最初は、へー、肉食性でもあるんだと思った。けれど近縁のサイカブトには、そうゆう生態は見受けられなかった筈だ。
一応、隣のサイカブトのページを見たら、全く同じ事が書いてあった。それって、やや近縁で肉食性のコカブトの生態と混同してないかい❓
或いは、生態が不明だとか極めて稀だとかの、ワシがヒサマツサイカブトについて調べて知った情報は古いのか❓
それはさておき、「やや夜行性が高く、夜間の活動が中心。」って何だ❓それって表現が矛盾してないか。ややって何だ❓これだと昼間4、夜6の割合で活動してるけど、夜中心に活動してまーすと言ってるようなもんだ。レジェンドは天才だから独特の物言いをするのかもしれんが、だとしたらワシら凡人には理解できましぇーん。

「インドネシア(ニューギニア島を含む)、フィリピン方面からの外来種。サイカブトが棲息していることから、独立繁殖など定着はしないと考えられる。また、タイ地域にほぼ同じものが分布していることからタイからの外来種とも考えられる。」

おいおい、外来種かよ❓ヒサマツサイカブトって、南大東島の固有種じゃなかったんじゃないの❓それにサイカブトが棲息しているから独立繁殖が出来ずに定着はしないって、どうゆう事だ❓元々、島にはヒサマツサイカブトがいて、後からサイカブトが侵入してきた筈だぞ。
「独立繁殖など定着はしない」ってのも意味不明だ。これだと何だかたまに流されて来るけど迷蝶みたいなもんで、繁殖できずに定着はしないって言ってるようにしか聞こえん。完全に外来種扱いじゃないか。
それともサイカブトと交配して特徴が埋没してしまうって事❓まさかの、密かに交配実験を何度も繰り返した上での意見❓

「タイ地域にほぼ同じものが分布しているのでタイからの外来種と考えられる」ってのも、乱暴だなあ。ほぼ同じだからって同種扱いして、挙句には外来種にまで仕立ててしまうなんて荒技すぎるわ。もしかして生態面や発生期についても、ほぼ同じと考えてるタイ産のモノの事を流用して書いているのか❓だとしたら、言ってる事の辻褄は合ってくる。とはいえ、何らそれについての説明がない。もしもタイ産の生態ならば、そう書くべきだ。
それに大きさはヒサマツサイカブトが45〜49mmに対してグヌサイカブトは55〜72mmだから、グヌの方が明らかにデカイ。となると、同種扱いにするのはオカシイ。「ほぼ同じもの」ってグヌの事じゃないの❓もしやグヌじゃなくて、別な種類のサイカブトだったりして…。

にしても、タイから海流に乗ってやって来たというのも信じ難い。ベトナムより遠いじゃないか。
タイの国土は南北に長く、1620kmもある。そして上半分が内陸である。つまり、上半分の内陸部からは来れないと云うことだ。海に面しているのは下半分のバンコクから南、マレー半島北部までだが、そのうち外洋に面しているのはマレーシアと隣接した僅かな部分しかない。そこから南大東島に辿り着くなんて至難のワザだ。内湾部からなら尚更だ。フィリピンからの漂着でさえ奇跡的な事なのに、その確率たるや目眩(めまい)がしそうだ。

でも、海流に運ばれて南大東島に来たのは間違いなさそうだ。何れにせよフィリピンかどっかから、はるばる旅して来たのだろう。そして、その旅はとても長かった筈だ。飢えに耐え抜いたという証左でもある。これも又、奇跡だろう。偶然にヤシの木ごと流されたのかもしれない。木の内部にいる時に、そのまま流されたとかさ。それでも過酷極まりない状況下での旅には変わりあるまい。
グヌサイカブトの冒険の旅に想いを馳せる。波に揉まれ、熱帯の灼熱の太陽に灼かれ、そして時には嵐にも翻弄されただろう。でも、ひょんな事からお魚の友達ができて、励ましてくれたかもしれない。で、お約束のようにサメに襲われて絶体絶命のピンチになるのだ。
何だかドラマチックだなあ。ディズニー映画の題材になりそうじゃないか。

「[産卵・幼虫]
♀は朽木が土化したものに産卵する。幼虫期間は約9〜10ヶ月。」

さっき書いたけど、これだと幼生期も判明している事になる。
けど、累代飼育とかの話は全然聞かない。あっ、採集、飼育、売買はおろか、譲渡でさえも禁止されてる天下の悪法「種の保存法」に指定されてるから無理か…。けれど指定されたのは2019年だ。ならば、それ以前の記録なり噂なりがある筈なのに、とんと聞かない。

一応、ワシが妄想で書いていると思われても困るので、観察図鑑の解説ページの画像も貼り付けておこう。


(出展『フィールドガイド 日本のクワガタムシ・カブトムシ観察図鑑』)

そして、その下に囲い込みがあった。もう面倒だから、これも画像を貼り付けておく。

10頭ちょっとしか採れてないと言われる珍品の採集難易度が、やや容易の★★星2つだとー❓❗
(-_-メ)ナメとんかワレ❗❗
武闘派の血が騒ぎ、一瞬、気色ばむ。
でもやっぱレジェンドはプロ中のプロの筈だから、きっと南大東島でタコ採りしたんだろう。で、標本が出回っていないのは、ヒサマツが絶滅する事を見越して誰にも譲渡も売買もしていないのだろう。後々、値段がハネ上がるからね。だとしたら、流石のレジェンドだ。いや、だからこそレジェンドと呼ばれるのだろう。
あー、でも種の保存法に指定されちゃったから売り飛ばせないか。だったら捕らぬ狸の皮算用だったのね。いやいや待てよ。レジェンドなら、指定される噂を事前にキャッチして高値で売り捌いたに違いない。買った方は法律上それを口外できないし、しないから完全犯罪だ。あっ、施行前だから犯罪にはならないか。

でもなあ…、大きさを45〜55mmと他文献よりも大型サイズの表記にしている事からも、やはりタイ産とか海外産の事を指している可能性が高い。でも本のタイトルには「日本の」と付いてるぞ。
それはさておき、その下の採集方法にも(? _ ?)だわさ。樹液採集が入っとるじゃないか。
サイカブトはサトウキビの維管束や腐果を餌としているが、本土のカブトムシのように樹液に来ることは殆どない筈だぞ。ならヒサマツも同じ生態の可能性が高い。おかしな事だらけだから、もしかしてレジェンド、テキトーに書いてるのか❓採るのと飼育するのはプロでも、学術的な知識にはやや欠けるのかも…。
いや、レジェンドなんだから、んなワケなかろう。そうじゃない事を祈るよ。近縁だからって生態が全く同じだとは言えないからね。ワシの見立てが間違ってて、樹液にも来るのかもしれない。
ピコリーン💡。そうだ、もっと詳しい最新の図鑑を見てみよう。それで事実がすんなり判明するかもしれない。

先ずは、2012年発行の『日本産コガネムシ上科標準図鑑』を見る。多分それが一番手っ取り早く、正確且つ新しい情報だと考えたのだ。


(出展『学研出版サイト』)

図版には冒頭に掲げた赤茶色の♀と同じ個体のみしかなく、♂は図示されていなかった。と云う事は、珍稀種である事を如実に物語っていそうじゃないか。
とはいえ、解説を読んでみないとね。けど、段々ダレてきた。書き写すのが邪魔くさいので写真を撮って貼付しちゃう。

やはり「採集例が少なく、生態など不明な点が多い。」と書いてあるじゃないか。分布も「南大東島だけから知られており、最近の採集記録はない。」とあるし、生態も「未詳」とある。
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻どりゃあ〜、何がタイからの外来種じゃい❗

それに2014年に発表された大東生物相研究グループによる『大東諸島の固有生物相を支えるダイトウビロウの保護に関する緊急調査』という論文も見つけた。
その論文には「大型のカブトムシの仲間であるにもかかわらず近年になって記載された南大東島の固有種である(Nagai 2002)。これまでに発見された個体は極めて少なく,その生息状況や生態については全く知られていない。(田川 2003)」と紹介されている。つまり研究者のあいだでは、間違いなく南大東島の固有種として認識されているのである。
この論文には、生態面についても興味深い記述があるので、併せて紹介しておこう。

「今回,南大東島の住民から聞き取り調査を行なった結果,30年以上前に海岸部の山火事で立ち枯れ状態になったダイトウビロウの幹の腐植物の中からヒサマツサイカブトムシと思われる個体を採集したとの情報を60歳代の男性から得られた。また20年ほど前に自宅に植栽されていたダイトウビロウが枯死し,立ち枯れ状態となったダイトウビロウの内部から,ヒサマツサイカブトムシと思われる成虫や幼虫を複数採集したとの情報も得た。これらの個体が,タイワンカブトムシ(サイカブト)であった可能性も考えられるが,同時期に南大東島で採集されたタイワンカブトムシの標本はこれまでに発見されておらず,いずれもかなり大きなカブトムシであったとのことからヒサマツサイカブトムシである可能性が高いものと思われる。このような聞き取り調査の結果からも,本種がダイトウビロウの枯死木で繁殖している可能性は極めて高いものと思われる。」

あくまでも聞き取り調査である事を忘れてはならないが、信憑性はそれなりに高そうだ。

詳細な採集データもあった。
「一方,採集データが保存されていた11個体の成体の採集日は,6月1日,6月8日,6月21日,7月22日,7月23日,8月2日,8月(日付不明),8月(日付不明),9月5日,9月15日,11月15日であった.これらの採集情報からは本種の成虫は,おもに6月上旬から11月中旬にかけて活動しているものと思われる。また,採集地点の詳細が明らかな6個体については,いずれも内幕のダイトウビロウ林周辺で灯火に飛来した個体であった。また,各標本の性別は雄が5個体で雌が6個体であった。」

10頭ちょっとというのはこの事だろね。それにしても♂はかなり珍しいと思ってたけど、結構採れてるんだね。
(・o・;) ん❓ちょっと待てよ。ネットの『読者メーター』で、♂を最初に見つけた佐藤氏の著者『珍虫ハンターの海外旅行記』が紹介されてたけど、その読者感想レビューには♂は1頭しか採れてないとか書いてなかったっけ❓
確認したら、矢張りそうだった。
「あと、ヒサマツサイカブトの♂はこの筆者の佐藤勝さんが発見した1匹しかいないとは知らなかった。」
って事は、その後にオスが4つ採れたっていう事❓それはちょっと怪しくないかい❓何かヒサマツサイカブトの情報って錯綜していて、どれがホントでどれが間違ってるのかワケわかんないぞ。

とにかく、この論文とコガネムシ図鑑の解説とで固有種である事には間違いなかろう。一件落着だ。
けど、確認のために『フィールドガイド 日本のクワガタムシ・カブトムシ観察図鑑』の出版年も見ておこう。

(┛◉Д◉)┛彡┻━┻どひゃあ〜💦
何と2015年になっとるやないけー。となれば、この図鑑の情報が一番最新って事になっちまうぜよ。
かくなる上は、アジアの他の種類のサイカブトをあたってみるしかない。タイに別種のサイカブトがいたら、そいつがヒサマツサイカブトそのもので、そやつが流されて来たかもしれないのだ。

しかし、今森さんの『世界のカブトムシ』にはグヌサイカブトさえ載っていないし、岡島秀治著、黒沢良彦監修の『世界のカブトムシ1』には、サイカブトとグヌサイカブトしか載っていなかった。

もう頼りは水沼さんの『Giant Beetles コレクションシリーズ テナガコガネ・カブトムシ』くらいしかない。

そこには、サイカブト、グヌの他に「O.heros」というチモール島特産の珍品と「O.centaurus」というニューギニア産のサイカブトしか載っていなかった。ちなみに、サイカブトの仲間の多くはアフリカに分布している。アフリカで生まれ、分化してアジアにも分布を広げたのだろう。

(Oryctes heros ♂)

頭部の角状突起が非常に長いが小型種である。なのでコヤツが南大東島に渡ってヒサマツになったとは思えない。珍品だし、チモール島は遠すぎだろ。

(Oryctes centaurus)

3と5が♂で4が♀である。グヌと大きさ的にも形態的にも似ているが、前胸背の窪みの上部の形、つまり後縁中央にある山状の弱い突起の形が違うようだ。
コレなら可能性はあるかもしれないが、より分布の広いグヌの方が漂着する可能性が断然高いだろう。あっ、もしかしたらレジェンドはコヤツをグヌのニューギニア亜種と考えて、ニューギニアを分布地に含めたのか❓
とにかくアジアには、これ以外の別種のサイカブトはいない。つまり、権威である水沼さんでさえもインドシナ半島にはサイカブトとグヌサイカブトしかいないと言ってるのと同じだ。やはりレジェンド吉田氏の書いてる事はオカシイ。しかし発行年は『世界のカブトムシ1』が1985年、水沼さんの図鑑が1999年だから、何れもレジェンドの観察図鑑よりも古い。となると、その後に新たな分類が提示され、インドシナ半島のグヌは別種になったかもしれないのだ。可能性は低いとは思うけどさ。けど、海外の論文までは追いきれないから真偽のほどは分からない。
他に海外産のカブトムシ関係の図鑑は見つけられなかったし、月刊むしの『世界のカブトムシ』は上巻の南北アメリカ編しか出てない。まだ下巻は発行されてないのだ。もうお手上げである。
(༎ຶ ෴ ༎ຶ)ダァー。誰か、正しい分類を教えてくれよー。

何だか頭がグチャグチャになってきた。もしかしてヒサマツサイカブトはグヌサイカブトから分化したものではなく、O.rhinoceros、普通のサイカブトからの分化だったりして…。

でも『日本産コガネムシ上科図説』には、ハッキリと書いてあった。

生態の欄には、不明(生態が)とあり、最後の方に「東南アジアに分布する O.gnu Mohnike 1874 のグループに属する。」と明瞭に書いてある。
やっぱ、ヒサマツサイカブトと最も近い関係にあるのはグヌサイカブトだったじゃないか。

けど、話はコレで終わらない。
改めて図版の解説を読んでコケる。

雌雄の区別の欄に、何と「外見上の差異はほとんどなく、交尾器による区別が確実。」と書いてあるではないか。
そして驚いた事に図版の1から4は♂で、5と6が♀らしい。
え━━━━\(◎o◎)/━━━━っ❗
全部♀だとばかり思っていたが、♂なのに角が♀みたく短いじゃないか。
謎が謎呼ぶ、新たな謎の登場である。ちなみにこの図鑑の発行年は2006年だから、♂は既に発見されている。つーか、既に記載されてんだから、著者は角の長い♂がいる事は知ってた筈だ。それを図示しないばかりか、触れてもいない。
でも、右下には♂の交尾器まで図示されてるもんなあ…。8が♂交尾器背面で、9は♂交尾器側面とある。ならば、たとえ角が短くともコヤツは♂なのだろう。

ここで漸く思い出す。そういや小型個体は雌雄の判別がつきにくいんだっけ❓いや、小型の個体だとサイカブトと間違えやすいんだったっけ❓何か記憶回路がショートしてきた。冷静になろう。
考えてみれば、レジェンドの観察図鑑には「♂♀共に頭には小さな突起角があり、♂は♀よりやや大きい程度。」と書いてあったな。という事は、レジェンドの見立ては正しかったのか…。だったら、それについてはゴメンなさいだ。

思い出した。♀は腹端部に黄褐色の長毛を密生するが、雄は無毛だった筈だ。ソレで解決だろう。改めて図版の裏面写真を見る。
(-_-;)ビミョー…。♀と比べて毛は少ないのだが、無毛ではないのである。

生態欄にも混乱するような事が書かれていた。
「標本のほとんどは1950〜60年代の採集品であり、再発見が期待される。」とある。
再発見が期待される❓もしかして、この著者達は1999年に発見された角の長い♂の標本を見ていないのだろうか❓となると、新種記載の時にタイプ標本に指定された個体も見てないって事❓何だか矛盾だらけじゃないか。そんなんで図鑑なんて書いていいのか❓おかげで益々の謎だらけじゃないか。
w(°o°)wあっ、もしかして角の長い♂は、佐藤氏が1999年に採集したモノだけだったりして…。じゃあ、佐藤氏が採ったのは本当にヒサマツサイカブトなのか❓それこそグヌサイカブトだったりして…。ここへ来て、また新たなる謎の壁にぶつかった。

けれども、それも含めてヒサマツサイカブトの数々の謎は永遠に解けないかもしれない。
既に述べだが、最近は全く採集されていないようなのだ。2014年に発表された大東生物相研究グループの論文『大東諸島の固有生物相を支えるダイトウビロウの保護に関する緊急調査』でも「過去5年間で数個体の発見例しかなく、生息個体数は極めて少ないものと推察される。」と書かれてあったし、調査の際にヒサマツが採れたとも書いていなかった。
そんな状況にも拘らず、年々農地整備や道路設置などによりビロウ林の減少や分断が進んでおり、生息環境が悪化しているという。ヒサマツが生き延びるには、繁殖場所となるビロウの枯死木が常に供給されるような大きなビロウ林が必要なのだ。
そして、既に触れたが2000年前後に南大東島にもサイカブトが侵入し、ビロウ林に大きな被害を与えている。ならばサイカブトとの種間闘争は避けられないだろう。そして、その闘いはヒサマツにとっては極めて不利だ。サイカブトは年中活動しているが、ヒサマツの発生期は夏から秋と短いし、大きな体の分だけ餌の量もサイカブトよりも必要だろう。またその期間も、より長くなる可能性が高い。繁殖力に大きな差があるのだ。これでは対抗できるワケがない。
さらには、近年は外来種であるオオヒキガエルとミヤコヒキガエルが激増して高密度に生息しており、灯火に飛来した昆虫類をガンガンに捕食しているため、本種への影響も懸念されている。
ヒサマツさん、絶体絶命だ。一応、サイカブトをトラップで駆除しているらしいが、あまり効果はないようだしさ。
えっ(☉。☉)、トラップで駆除❓おいおい、ヒサマツサイカブトムシの小型個体は、研究者でもサイカブトとの識別が困難じゃなかったっけ❓そんなの、島民が駆除する際に判別できんのかよ❓ヒサマツを誤って捕殺する可能性は高いよな。
こりゃ、きっと限りなく絶滅に近い状態だな。いや、既に絶滅している可能性の方が高い。あげなサトウキビ畑だらけの小さな島だ。そもそも棲息可能な場所は極めて狭いのだ。そこで探しても見つからないという事は、自ずとそうゆう公算が高いと言わざるおえないだろう。記載からたった20年くらいで消えてしまうなんて例が果たして過去にあるのだろうか❓あったとしても、前例は極めて稀なんじゃないか❓もし絶滅してたら酷い話だし、日本の恥でしょうよ。環境省、糞喰らえだ。

絶滅ならば、まだ解明されてない生態は永遠の謎として残ることになる。
又この論文では、学術的な意義として「海洋島である南大東島の昆虫相の形成過程やOryctes属の海洋分散と種分化を研究する上で重要な種である。」と評価している。その検証も儘ならないという事になりそうだ。

書けば書くほど、何だか悲しくなってきた。
南大東島は元々はビロウの原始林に覆われた島だったのだから、かつてはヒサマツサイカブトにとって天国のような所だったに違いない。なのに人間が入って来たばかりに、この世から永遠に消えようとしているのだ。
絶海の島の悲しき犀。奇(く)しくも動物のサイと同じような運命を辿っているんだね。なんだか哀れだよ。

あの南大東島の星降る夜空を思い出して見上げる。
せめて祈ろう。此の世からいなくなってしまう生き物なんて有ってはならないのだ。

                  おしまい

 
追伸
環境省には、せめてもの罪滅ぼしに、自ら音頭をとってDNA鑑定をして、種の解明くらいはして欲しいよね。まだ絶滅したとは決まってないけど。

参考文献
◆『学研の図鑑 カブトムシ・クワガタムシ』
◆『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』
◆吉田賢治『フィールドガイド 日本のクワガタムシ・カブトムシ観察図鑑』
◆『日本大百科全書』小学館
◆『日本産コガネムシ上科標準図鑑』岡島秀治・荒谷邦男
◆『大東諸島の固有生物相を支えるダイトウビロウの保護に関する緊急調査』大東生物相研究グループ 2014
◆酒井香・藤岡昌介『日本産コガネムシ上科図説』
◆岡島秀治著 黒沢良彦監修『パーフェクトシリーズ22 世界のカブトムシ1』講談社
◆水沼哲郎『Giant Beetles コレクションシリーズ テナガコガネ・カブトムシ』ESI
◆今森光彦『世界のカブトムシ』アリス館

インターネット
◆『Wikipedia』
◆『画像あり。(´・ω・`)』
◆東 和明『南大東島まるごとミュージアムを確立する』
◆『http;//www.pref.okinawa.jp』
◆吉田賢治『〜大人のための甲虫図鑑〜クワガタムシ・カブトムシの知られざる世界』
◆『比蝶のブログ』
◆『国際深海科学掘削計画』
◆『VEHA』
◆『東京情報大学 水圏研究計画』
◆『Inaho Farm』
◆『宮崎と周辺の植物』

 

奄美迷走物語 おまけ編

第20話『奄美大島の蝶と蛾 春編』

前回に、この旅で採った蛾と蝶を紹介して終わる予定だった。けど、またぞろパンドラの匣を開けてしまい、何かと問題が起きてバカ長くなってしまった。拠って、おまけ編として今回に回す次第と相成った。
だだし、採集したものを全て展翅しているワケではないので一部の紹介になります。

 
【アマミシャクドウクチバ ♀】

漢字で書くと「奄美赤銅朽葉」かな。
以下、間違いもあるかもしれないが、解る範囲で漢字表記を試みます。その方が和名の由来をイメージしやすいと思うのだ。

学名 Mecodina sugii Seino, 2003
ヤガ科 シタバガ亜科 Mecodina属に分類される。
開張35〜45mm。
オキナワマエモンヒメクチバと酷似するが、外縁は緩やかに湾曲し、前翅は紫褐色で翅頂が突出することで区別できる。

(オキナワマエモンヒメクチバ)

(出展『日本産蛾類標準図鑑』)

奄美大島の固有種。徳之島からも記録があるようだが、『蛾類通信』でオキナワマエモンヒメクチバに訂正されていた。
尚『日本産蛾類標準図鑑』では、同属の他3種と棲み分けており、分布は重複しないとある。3,5,8月に得られており、季節型があるみたい。春型は全体的に大きく、翅表は強く褐色を帯び、翅頂の三角斑が紫白色に縁取られる。幼生期は未知。
新種記載は2003年と比較的新しく、ネットにもあまり情報がないので雌雄に自信があまりないが、♂触角は絨毛状というから、おそらくこの個体は♀だろう。

 
【オオウンモンクチバ ♂ 大雲紋朽葉】

学名 Mocis undata (Fabricius, 1775)
ヤガ科 シタバガ亜科 ウンモンクチバ属に分類される。
開張45〜50mm。日本産の同属中では最大種となる。

どうやら雌雄の斑紋は少し異なるようである。


(出展『日本産蛾類標準図鑑』)

♂は前翅の黒点は目立つ個体が多い。また横線の縁取りが明瞭で、外縁が直線的である。対して♀は斑紋が全体的に不明瞭となる。

分布は『日本産蛾類標準図鑑』によると、本州、伊豆諸島、小笠原諸島、四国、九州、対馬、沖縄諸島、宮古島、石垣島、西表島、与那国島。
(・o・)あれれ❓奄美大島がスコッと抜けてるぞ。確認のために『みんなで作る日本産蛾類図鑑』も見たが、やはり奄美が抜けてた。沖縄と九州に居るんだから、奄美にも当然いてしかりだろうに。記録漏れ❓
日本本土域では3〜9月に見られ、年2化。昼間に見る機会も多いという。
幼虫の食餌植物は、クズ、フジ、ヌスビトハギ、ヤブマメ(マメ科)。海外では、エニシダ(マメ科)、オヒシバ(イネ科)が記録されている。

 
【ホシヒトリモドキ 星火盗蛾擬】

横から見ると、蜂みたいだ。
たぶん♀かなあ。

黄色と黒の縞々は警戒色だから、天敵に対する何らかの効果はあるのかもしれない。ちなみにコヤツはもう1つ採ったが、何れも擦れ擦れの個体だった。なので、参考までに新鮮な個体の画像を貼り付けておく。


(出展『日本産蛾類標準図鑑』)

結構スタイリッシュだ。でも如何にも蛾って感じで気持ち悪い。

学名 Asota plana lacteata (Butler, 1881)
ヤガ科 ヒトリモドキガ亜科 Asota属。
開張 56〜61mm
国内では屋久島、奄美大島、徳之島、沖縄本島、石垣島、西表島、国外では台湾、インドシナ半島、インド、ボルネオに分布する。日本と台湾のものは、亜種 lacteata(Butler,1881)とされる。
低温期を除き、ほぼ一年中見られるが、詳しい化性は不明。
幼虫の食餌植物は、クワ科のガジュマル、アコウ。

 
【キイロヒトリモドキ 黄色火盗蛾擬】

(出展『日本産蛾類標準図鑑』)

採ったけどボロだったので展翅してない。なので図鑑の図版をお借りする。そういやコイツ、奄美大島に到着したその日の晩にライトに飛んで来たんだよね。真っ黄っ黄ーで結構大きかったからからビックリした。でもどっか行っちゃって、何者か分からずじまいだった。鮮度は結構良かったように思う。で、最後の方でボロが採れて正体が分かった。

学名 Asota egens Walker, 1854
ヤガ科 ヒトリモドキガ亜科 Asota属
開張 57〜62mm。♀は♂よりも大きく、翅がやや太い。
分布は九州の福岡県と鹿児島県に記録があるが、確実に産するのは屋久島、トカラ列島、奄美大島、徳之島、沖永良部島、沖縄本島、久米島、伊江島、宮古島、石垣島、西表島、与那国島、南大東島。奄美大島以南は個体数が多い。
原記載亜種はインドネシア。多数の亜種が知られており、日本・台湾・フィリピンのものは、亜種 confinis Rothschild, 1897とされる。
低温期を除き、ほぼ周年見られるが、化数は不明。
幼虫の食餌植物は、クワ科のガジュマル、イヌビワ、オオイタビ、ホソバムクイヌビワ。

【リンゴツノエダシャク ♂ 林檎角枝尺】

枝尺の由来は、おそらく幼虫が枝に擬態する尺取虫だからだろう。

学名
Phthonosema tendinosarium (Bremer, 1864)
シャクガ科 エダシャク亜科 Phthonosema属に分類される。
開張 ♂40〜52mm ♀55〜62mm。♂はトビネオオエダシャク♂に似るが、本種は翅が細長くて外横線が太くくっきり出る。
北海道、本州、伊豆諸島、四国、九州、対馬、屋久島、奄美大島に分布する。寒冷地から暖地に向かって色が濃くなる傾向がある。ということは、この奄美産が一番濃いってことかな。
比較の為に本土産の画像も貼り付けておく。


(出展『日本産蛾類標準図鑑』)

成虫は北海道では年1化、7〜8月に出現するが、本州中部では5〜9月に見られるので、おそらく年2化、更に温暖な地域では年3化以上の可能性があるようだ。
幼虫の食餌植物はヤナギ科、ブナ科、ニレ科、バラ科、カエデ科、ツツジ科、キク科などの植物が記録されており、針葉樹から草本をも含む広食性。

 
【ミカンコエダシャク ♂ 蜜柑小枝尺】

学名 Hyposidra talaca (Walker, 1860)
シャクガ科 エダシャク亜科 Hyposidra属に分類される。
開張 ♂30〜38mm ♀49〜59mm。♂の触角は櫛歯状で、♀は♂よりもかなり大きいことから、雌雄の判別は容易。

分布は奄美大島、沖縄本島、久米島、小浜島、石垣島、西表島、南大東島。沖縄では1月から11月まで幼虫が観察されている事から多化性と考えられる。
幼虫は柑橘類(ミカン科)やレイシ(ムクロジ科)、ユーカリ(フトモモ科)を食べる害虫として知られる。広食性で、この他にもトウダイグサ科、ブナ科、バラ科、ミソハギ科、アカテツ科、クマツヅラ科、ヒルガオ科、マンサク科、カキノキ科などの多くの植物を食べる。

 
【ツマジロエダシャク ♂ 褄白枝尺】

学名 Krananda latimarginaria Leech, 1891
シャクガ科 エダシャク亜科 Krananda属。

開張 27〜43mm
分布 本州(関東地方、石川県以西)、伊豆諸島(伊豆大島・神津島・三宅島)、四国、九州、対馬、屋久島、トカラ列島(中之島・宝島)、種子島、奄美大島、徳之島、沖永良部島、沖縄本島。国外では、中国、朝鮮半島、済州島、台湾。
成虫は年2化。4〜5月と9〜11月上旬に見られ、クヌギやコナラ、ヤナギなどの樹液を吸汁する。
幼虫の食餌植物は、クスノキ科クスノキ、モクレン科オガタマノキ。

 
【セダカシャチホコ ♂? 背高鯱鉾蛾】

シャチホコガの命名由来は、幼虫の形態が鯱鉾に似ているから。背高は、成虫の背の部分が盛り上がってるからだろう。

写真は撮らなかったけど、このセダカシャチホコさん、とても可愛い。


(出展『もももぐらの巣』)


(出展『フォト蔵』)

モヒカン頭で、つぶらな黒い瞳。オマケにもふもふなのら。
可愛いので、SNS上では一部の女子の話題をさらっているらしい。

学名 Rabtala cristata (Butler, 1877)
シャチホコガ科 Rabtala属に分類される。

開張 ♂70-83mm内外 ♀78〜82mm内外
分布は北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島、奄美大島、沖縄本島、石垣島、西表島。色彩は北方の黄色から南西諸島の赤褐色まで変化に富む。
成虫は本土地域では5〜6月と8月に見られ、年2化だが、八重山諸島では2月から見られる。
幼虫の食餌植物はブナ科コナラ属のコナラ、ミズナラ、クヌギ、アラカシ、アカガシ、カシワ、ウバメガシ。南西諸島では、おそらくスダジイとかを食ってるんだろな。
ちなみに幼虫は糞を投げるらしい。キュートだ(笑)

 
【カワムラトガリバ ♂?】

漢字で書くと、川村尖羽❓河村尖羽❓どちらにせよ、カワムラ氏に献名されたものだろう。じゃあ、そのカワムラ氏とは誰ですかいのう❓おそらく蛾界に貢献した人であろうと思い、調べた。だが、ビンゴな情報が見つからない。
『原色図鑑 夜蛾百種;吸蛾類を中心として』の著者の一人に川村満という人を見つけたが、出版は1989年だ。でもこの種が記載されたのは1921年だ。つまり、その68年後の出版なのである。相当長生きだった人になるし、だいちそんなに若いうちに献名されたとは考えにくい。もしそのような人ならば、もっと名が残ってて然りだろう。たぶん別人に献名されたものだろう。奄美ではド普通種だし、これ以上この件に関しては掘り下げないけどね。

学名 Horithyatira decorata Moore, 1881
日本産は亜種 kawamurae (Matsumura, 1921)とされるが、以前は「Horithyatira kawamurae」という日本固有の独立種であった。しかしながら、2007年に”decorata”の亜種とされ、シノニムとなった。
カギバガ科 トガリバガ亜科 Horithyatira属。
開張 ♂31〜35mm ♀34〜36mm

分布は、本州(紀伊半島南部)、四国、九州、対馬、種子島、屋久島、奄美大島、沖縄本島。
年1化、春に現れ、3月下旬から5月に見られる。
幼虫の食餌植物は、ブナ科のアラカシ。

 
【ツマジロイラガ ♂ 褄白苛蛾】

採った時は気づかなかったけど、胴体には青が散りばめられている。画像を拡大されたし。

学名 Belippa horrida Walker, 1865
イラガ科 イラガ亜科 Belippa属。
コレがまさかイラガの仲間だとはツユほどにも思わなかった。だから図鑑で探すのに苦労したよ。
タイプ産地は中国。亜種区分はされておらず、本種がBelippa属のタイプ種になる。
この種とオガサワライラガは前翅が細長く、イラガ科としては特異な翅形をしている。
分布は、九州、奄美大島、徳之島、沖縄本島、石垣島、西表島、与那国島。国外では、台湾、中国(南部・西部)、ベトナム。
開張 ♂♀30〜33mm。♂の触角は葉片状、♀は糸状だから、この個体は♂だね。
年2化。成虫は、4〜5月と8月に発生する。
幼虫の食餌植物は『日本産蛾類標準図鑑』では、トウダイグサ科のアカギとなっていたが、『みんなで作る日本産蛾類図鑑』では、クマツヅラ科クサギ、トウダイグサ科アカメガシワ、アオイ科フヨウとなっていた。ちなみにアカギは以前はトウダイグサ科に分類されていたが、現在はコミカンソウ科に入れられている。

 
【ハグルマノメイガ ♂】

漢字で書くと、おそらく「歯車野螟蛾」。メイガは古(いにしえ)の時代から稲の害虫だったゆえ、このような漢字があるのだろう。にしても、虫偏に冥界の冥とはね。歯車は放射状の柄からの命名と思われる。すなわち歯車模様の野に棲む螟蛾って事かな❓考えもしなかったけど、ところでメイガの語源って何だろ❓
調べたら、古代中国の由来で、冥々(=暗愚)な役人が違法行為を行う時に発生する虫だから「螟蛾」なんだそうな。それがそのまま日本に伝来したのだろう。

灯火採集の常連ではあったが、中々にスタイリッシュだ。触角が長いのも優美でよろし。

学名 Nevrina procopia (Stoll, 1781)
ツトガ科 ノメイガ亜科 Nevrina属。
タイプ産地はインドで、本種がNevrina属のタイプ種となる。
開張 28〜35mm。
分布は『日本産蛾類標準図鑑』ではトカラ列島(宝島)、奄美大島、沖縄本島、石垣島、西表島となっていたが、『みんなで作る日本産蛾類図鑑』では、これに九州、屋久島、久米島が加えられていた。どちらが正しいかはワカラン。
国外では台湾、中国、東南アジアに分布する。みんなで作る図鑑には、これ+アフリカとあった。これはちょっと信じられない。嘘くさいぞ、『みんなで作る日本産蛾類図鑑』。
成虫の発生期は『日本産蛾類標準図鑑』には沖縄本島以北は5〜9月、八重山諸島は2月から発生していると書いてあった。たぶん真冬を除き、ほぼ周年発生に近いんじゃないのかな。一方『みんなで作る日本産蛾類図鑑』には7月とあった。益々ウソ臭いぞ『みんなで作る日本産蛾類図鑑』。

幼虫の食餌植物は、ミツバウツギ科のショウベンノキとゴンズイ。小便の木❓植物って、ヘクソカズラとか、結構酷い名前が付いてるよね。

ここから先は既に連載中の何処かで解説しているので、解説は割愛します。

【タッタカモクメシャチホコ ♂ 立高木目鯱鉾】

 
【アサヒナオオエダシャク 朝比奈大枝尺】
(♂)

(♀)

 
【アマミハガタベニコケガ ♀? 奄美歯型紅苔蛾】

 
【ハグルマヤママユ ♂ 歯車山繭】

 
【ギンボシスズメ ♂ 銀星雀蛾】

 
【ムラサキアミメケンモン♂ 紫網目剣紋】

 
【クロフシロエダシャク♀ 黒斑白枝尺】

 
【ウスアオシャク♂ 薄青尺】

 
【キオビエダシャク ♂ 黄帯枝尺】

 
【キバラモンシロモドキ♀ 黄腹紋白蝶擬】

 
【オオトモエ 大巴蛾】

 
【アケビコノハ ♂ 木通木ノ葉】

こんなもんをヒメアケビコノハと間違ったかと思うと、恥ずかしい。ムカつくので、裏展翅の刑にしてやったわい。

 
ついでに、全部じゃないけど蝶も貼付しておこう。

【アカボシゴマダラ 赤星胡麻斑】
(♂)

(同♀)

 
【フタオチョウ♂ 双尾蝶】

 
【アマミカラスアゲハ 奄美鴉揚羽】
(♂)

(♀)

アマミカラスアゲハと書いたが、通称である。正式名称はオキナワカラスアゲハ奄美大島亜種となる。

 
【ナガサキアゲハ 長崎揚羽】
(♂)

(♀)

 
【モンキアケハ♂ 紋黄揚羽】

南方系の種で、分布はインド、ヒマラヤ山脈、東南アジアと周辺の島嶼、中国、台湾を経て日本にまで達する。但し、何故か八重山諸島には分布しておらず、迷蝶の扱いになっている。多くの亜種に分けられ、日本産には ssp. nicconicolens Butler, 1881 と云う亜種名が与えられている。尚、今年(2021年)になって御蔵島・神津島のモンキアゲハが新亜種として記載されている(月刊むし 2021年3月号)。記載したのは、大屋さんと強面の有田のオジキだ(笑)。確か小種名は奥さんに献じらたんじゃなかったかな?
日本では基本的に関東以西に分布し、冬は蛹で越冬する。その事から北日本では蛹が越冬出来ないとされる。なので観察された場合には、分布の北限である関東で羽化した夏型が台風などの強風に乗って飛来したと考えられてきた。しかし、2009年6月に宮城県仙台市で、春型と見られるモンキアゲハが初めて採集された事から、温暖化によって分布を北に拡げている可能性も出てきたそうな。

展翅するのが面倒なので、過去の画像を探したら、あった。

但し、コレはたぶん台湾で採ったものだ。日本とは別亜種とされ、ssp.fortunius Fruhstorfer,1908 と云う亜種名が与えられている。因みに、この台湾産も南西諸島のモノも本土産と比べて小さい。と云うか、数ある亜種の中でも日本本土のものが圧倒的にデカい。特に夏型(中でも本州北限付近)は、日本にいる蝶の中で、オオゴマダラ、ナガサキアゲハ、ミヤマカラスアゲハの第3化と並び、日本で最も大きな蝶とされているくらいに大きいのだ。

(・∀・)んっ❗❓、でも何か台湾のモンキアケハの画像に違和感がある。こんなに洗練されてたっけ❓
(☉。☉)あっ❗、ゴメン。たぶんコレ、別種のタイワンモンキアゲハだ。台湾産とはいえ、モンキアゲハなんて展翅したとしても写真なんか撮るワケがないのだ。

(日本産モンキアゲハ♂ ssp. nicconicolens)

(同♀)

(♀裏面)

(出展『日本産蝶類標準図鑑』)

♂の裏面画像も貼っつけておこうと思ったが、♀の裏面画像しかない。所詮はモンキアゲハ、それくらいの扱いでしかないのだろう。

(台湾産モンキアゲハ ssp.thaiwanus)

(出展『原色台湾産蝶類大図鑑』)

左が♂で、右が♀の裏面である。
一応、♂の画像も貼っつけておくか…。
でも、台湾産のモンキアゲハの標本画像が見つけられない。台湾でも、所詮はモンキアゲハなのだ。
ここは、台湾の蝶といえば杉坂美典さんの画像をお借りしよう。


(出展 杉坂美典『台湾の蝶』)

台湾産亜種の特徴は以下のとおりである。
①本土産亜種と比べて小型である。
②後翅表面の黃白紋は、その後端が第5室(第5脈)で終り、第4室、或いは更に第3、2室まで拡がる事がない。
③同黃白紋はより内側に偏し、第5室のそれは中室端脈に接し(日本産のものでは黃白紋の内側縁では中室端脈よりやや離れる)、しばしば中室端脈を越えて中室末端部に黃白鱗粉をあらわす。
④裏面より見た第5、6室の黃白紋列の外側線は内側に深く抉られる事が普通である(通常、日本産ものでは直線状に近いか或いは弱く外側に膨出する)。
⑤♀後翅表面の亜外縁にある橙赤色弦月紋はより顕著に発達すること。

要約すると、日本産と比して小型で、表側の黃白紋が縦に短くて内側に偏る。裏面は、白紋の上から2番目が深く抉られる。♀は表側の赤紋がより発達する。

(´д`)めんどくせー。
(-_-メ)クソッ、こんなことなら台湾のモンキアゲハも奄美のモンキアゲハも展翅しておけば良かった。したら、変に解説なんぞせずに済んだのに…。

一応、参考までに御蔵島・神津島のモンキアゲハの画像も貼り付けておこう。
亜種名は「P.helenus toshikoae ssp.nov」みたいだから、矢張り有田さんの奥さんの名前になってる。

(モンキアゲハ 御蔵島・神津島亜種)

(裏面)


(出展『月刊むし 2021年3月号』)

どうせ軽微な差異で、無理からに亜種記載したのだろうと思っていたが、裏が全然違うね。
説明を読むと、以下のような事が書いてあった。

「本亜種の前翅長は、♂62mm ♀66mm。本土亜種の平均前翅長は♂72mm、♀86mm。本土亜種の平均翅長より本亜種の♂は10mm、♀は20mmほど小型になる。
前翅は弧を描いて丸みかあり、先端は外方に突出せず、外縁のくびれは小さい。後翅の第6翅脈は突出せず、前後翅とも、全体的に丸みのある翅形で、尾状突起は前翅長に対して短く、細い。この翅形は本土亜種とは異なり、奄美亜種orosiusの翅形に近似している。」

ちょっと待てよ。奄美のものは亜種なの❓『日本産蝶類標準図鑑』には、特に南西諸島のものは亜種区分はされてなかった筈だぞ。
そういや、この報文の冒頭には13亜種もいるとか書いてたような気がするな。嫌な予感がする。亜種区分に関しては、研究者の間でしばしば見解の相違があって、ややこしい事になってることが多いのだ。
冒頭の部分に戻って見直すと、こう書いてあった。

「モンキアゲハの模式産地は中国の広東で、スリランカ、インド、北西ヒマラヤ、ネパール、ミャンマー、インドシナ半島、中国(海南島を含む)、大スンダ列島(スラウェシは除く)、小スンダ列島、フィリピン、台湾、朝鮮半島など東洋熱帯にも広く分布し、各島嶼を含めて13亜種に区分されている。日本産は日本本土亜種・朝鮮半島亜種 niconicolens(以下本土亜種)と、奄美・沖縄亜種(以下奄美亜種)」の2亜種が知られている。13亜種はいずれの亜種もおしなべて変異幅が小さいが、確実に変異を区別できる的確な命名がなされている。」

でも、英語版のWikipediaで調べてみたら、以下の亜種しか載っていなかった。

・P. h.daksha(南インド)
・P. h.linnaeus(インド北西部からミャンマー)
・P. h.fortunius(台湾)

これだと、日本本土産すら亜種区分されていない事になる。
けど、こんなの泥濘(ぬかるみ)ラビリンスだ。これ以上は突っ込まないようにしよう。ロクな事がない。モンキアゲハの軽微な差異など、どうだっていい。文献の転載を続けよう。

「後翅表面の亜外縁に出現する橙色の弦月紋は、♂では出現せず、♀において弱く現れる。
後翅裏面の斑紋構成は特異で、外縁の弦月紋は明るい橙色で、本土亜種の弦月紋とは異なり、典型的な馬蹄形にならず、むしろ湾曲は弱い。亜外縁の橙色斑は第1a、1b室のものは大きく、さらに第4室まで発達した個体が少なくない。本土亜種・奄美亜種の1b室の斑紋は円形ではなく、馬蹄形になる。肛角紋の赤色眼状紋と第2室の眼状紋は完全な円形となり、青灰色鱗を欠く。本土亜種・奄美亜種の肛角紋の眼状紋は楕円形で、環状にならず、さらに肛角部には青灰色の鱗粉が強く散布され、本亜種とは区別できる。裏面の白斑の1/2の大きさである。このため第7室の白紋は内側にずれ、結果的に白斑と弦月紋とは離れた位置になり、本土亜種および奄美亜種とは斑紋位置が異なり、区別点となる。
♀の前翅裏面に散布される幅広い帯状の白色鱗の出現は弱く、消失気味で全体的に黒化している。」

別に有田さんに文句を言いたいワケではないのだが、学術文って、まるで呪文だな。一般ピーポーには何言ってんのかワカンナイ。ワシらでも、一回読んだだけではワカリまへーん。
要約すると、こんな感じかな。
「本土産と比べて小型で、翅形は全体的に丸みがある。前翅の先端は外側にあまり出っ張らず、くびれも弱い。後翅の尾っぽは短くて細い。後翅表側の赤い紋は♂では現れず、♀も僅かしか現れない。後翅裏面の赤紋は明るいオレンジ色で典型的な馬蹄形にはならず、湾曲は弱い。外縁内側の赤紋は大きく、中心部近くまで達するモノも少なくない。目玉模様は本土産や南西諸島産のように馬蹄形とはならず、円形。また本土産&奄美産では、その周囲に青色の鱗粉があるが、御蔵島&神津島産には青い鱗粉がない。裏面の白斑は小さく、より赤紋と離れる。前翅裏面の白い帯は消えがちで、全体的に黒っぽく見える。」という事になる。
もっと解りやすくするために、翅部分の名称図も貼っつけておく。


(出展『日本産蝶類標準図鑑』)

こうなると、奄美&沖縄本島産のモンキアゲハの画像を図示しなくてはならぬ。

(春型♂)

(夏型♂)

(夏型♀)

(出展『日本産蝶類標準図鑑』)

本土産と何処がどう違うのかサッパリわからん。ホントに亜種なのかよ❓ネットで確認しよっと。

でも、何処にも亜種なんて書いてないぞ。『BINRAN(日本産蝶類和名学名便覧)』でも何も触れられていなかった。きっと、違いが軽微なので、誰もが亜種として認めていないのだろう。
さておき、問題は裏だ。御蔵島・神津島の裏面と本土産や沖縄&奄美産の裏がどう違うかだ。

(裏面)

(出展『月刊むし 2021年3月号』)

左が本土産亜種で右側が沖縄・奄美のものだ。
沖縄・奄美産は本土産よりもやや小型で、前翅裏面亜外縁の白条が本土産よりも幅広い。この辺りが亜種区分された理由だろう。
確かに3つとも裏面が違う事は認めよう。でも今後、御蔵・神津島亜種が亜種として定着するかどうかは分からない。蝶屋の皆さんたちが亜種と認めなければ、フェイドアウトしちゃうからね。で、新たな図鑑や改訂版に載らなければ消えるね。個人的には、沖縄・奄美産は亜種とは認めないが、御蔵・神津島産は亜種でもいいんじゃないかと思う。但し、もっと沢山の個体を見ないと何とも言えない面はあるけどさ。

 
【クロセセリ 黒挵蝶】

めんどくせーから展翅してない。
標本はある筈だから、それを撮影しようかと思ったが、それもまた探して撮影するのが面倒なので、図鑑から拝借させて戴く。


(出展『日本産蝶類標準図鑑』)

学名 Notocrypta curvifascia
分布は南は沖縄から九州、中国地方西南部、四国南部にまで至る。但し、分布を拡大しているようだから、現在はもっと東でも定着しているかもしれない。因みに飛び離れて京都でも定着してたけど、アレって今でも居るのかね❓網持って哲学の道をウロウロしてたのを思い出すよ。ミョウガで発生してたんだよね。まだ蝶採りを始めた初期の頃だったので、アレはとても恥ずかしかったなあ…。
猶、以前は八重山諸島産は小型で斑紋に違いがあることから亜種 yaeyamanaとされる事があるが、認めない研究者も多く、全て原記載亜種とされる見解が大勢を占める。東洋熱帯に分布が広く、国外ではインド、スリランカからインドシナ半島、中国、台湾、マレー半島、インドネシア各島嶼まで見られ、日本がその北限にあたる。

 
【アオバセセリ♂ 青葉挵蝶】

沖縄本島や八重山諸島のものは裏面が明るい黄緑色で、よりメタリックなイメージがあるが、奄美のものはそうでもない。なので、本土産の♂を貼り付けておく。


(2020.5 大阪府四條畷市)

なお、八重山産と台湾のものは、以前までは亜種 formosanaとされていたが、本土産亜種 japonicaとそれぞれが春型と夏型に対応するとして、今では”japonica”に統一されている。

                    おしまい 

 
追伸
やっとコレで連載完結である。
このシリーズのお陰で他の文章が書けなかったし、カタルシスもあまりなかったが、とにかく漸く解放されたよ。
労多くして、益少なしだったが、まあ久し振りにブログタイトルの『蝶に魅せられた旅人』どおりの内容ではあったから、良しとしよう。

 
参考文献
◆『日本産蛾類標準図鑑』
◆『日本産蝶類標準図鑑』
◆『原色台湾産蝶類大図鑑』
◆大屋厚夫・有田 斉『東京都御蔵島・神津島のモンキアゲハ新亜種の記載』月刊むし 2021年3月号
◆高田兼太『「虫屋」とは?ーリフレームによる言葉の分析』きべりはむし 37号(1),2014

インターネット
◆『みんなで作る日本産蛾類図鑑』
◆『Wikipedia』

奄美迷走物語 其の19

第19話『そして、虚しき終焉』

 
2021年 4月1日

いよいよ帰阪の時が来た。

朝7時。
起きて外を見る。曇りだが、空は雨の予感を孕んでいる。
アマミキシタバもフタオチョウの♀も採れてないから、いっそ帰りのチケットを捨てて残ることも考えた。だが、これも流れだと思って素直に帰ることを決めていただけに何だかホッとする。
もし晴れでもしていたら、憾みを残したまま帰る事になる。そうじゃない事がせめてもの救いだ。

ベランダに出る。
晴れていたら、ゲストハウス涼風のベランダはこんな感じで割とお気に入りの場所だった。

ここで煙草を吸うことが多かったけど、こうゆう所で昼間っから飲むビールって最高なんだよなあ。
けど晴れてたら蝶採りに行ってっから、そうゆうワケにはいかないんだけどもね。虫採りの旅は不自由なのだ。蝶だけでなく蛾なんて採り始めた今は、夜も飲みに行けないので益々不自由だ。で、この結果なんだからアホらしい。

そんな事を思いつつ、ふと端っこを見ると、こんな奴が蹲(うずくま)っていた。

コカブト(註1)だ。コカブトムシとも言われるカブトムシの親戚だ。昨晩、おそらく宿の灯りに寄ってきたのだろう。

そういや、若者二人組のうちの一人がカブクワ屋(註2)で、このコカブトの事を激しく罵っていたな。
彼曰く、コヤツは驚いた事に肉食性らしい。コカブトなんぞには興味が無かっただけに知らなかったけど、カブトムシなのに肉食とはちょっとした青天の霹靂だ。そしてコヤツ、彼によると肉食性なだけにメチャンコ臭いらしい。
一般ピーポーなら見る機会は少ないが、真剣に虫採りをしていればそれなりに会える普通種だが、そんなにも異端児だったのね。一瞬、匂たろかとも思ったが、絶対に後悔しそうなので、やめておくことにする。

8時台に宿を出て、朝仁見取橋のバス停へ向かう。この前を通って、何度もあかざき公園に行ったよな…。苦い日々だったけどさ。

午前8時37分だったっけ❓もしかしたら、17分か27分だったかもしれないけど、とにかく空港行きのバスに乗る。

車窓を鉛色の景色が推移してゆく。
そして、ゆっくりと奄美での日々がスローモーションで頭の中を流れてゆく。でも、その殆どが苦い記憶だ。溢れ出る後悔で溺れそうになる。
でも頑張った方だと思う。少なくともサボることはなかった。ただ運がなく、メンタル面が弱かっただけだ。だから十全の結果は得られなかった。
奄美大島はダイビングインストラクター時代を含めてコレで4回目だけど、今回が一番カタルシスがなかったかもしれない。
まあ4回も来れば、そうゆう事もあるだろう。そう思わないとやってらんない日々だった。それなりに面白くはあったけどさ。

午前9時半過ぎにバスは奄美空港に着いた。
虚しき終焉が近づいている。

午前10:50発の飛行機に乗る。今回も行きと同じくピーチでの予約なのに、機体は何故かバニラエアのものだった。

窓の外を見ながら、ぼんやりと思う。
果たして又、リベンジに来るのだろうか…❓
フタオとアカボシ狙いなら次は6月末だろうが、夏型にはあまり興味がない。まだしも興味があるのはアカボシの黒化型ぐらいだ。それにアマミキシタバは、この時期にはあまり記録がなく、3〜4月の次に記録が多いのは8月なのだ。

(アマミキシタバ)

(出展『世界のカトカラ』)

つい最近、アマミキシタバは多化性である事が判明し、孵化から約1ヶ月半で成虫になる事が分かっている。なので可能性がないワケではないが、一番虫屋が集まる時期に記録が少ないという事は、返り討ちに遭う確率の方が高い。もしかしたら、その頃が丁度端境期にあたるのかもしれない。
まあそれとて先の話だ。今、考えたところで答えは出ない。

飛行機は突然重力を失ったかのように、ふわりと離陸した。
あっという間に建物がミニチュアみたいに小さくなってゆく。
さらば、奄美。迷走の日々もこれでお終いだ。
やがて機は厚い雲の中に突っ込み、島の姿は見えなくなった。

                  おしまい

 
追伸
カタルシスのあまりない連載で申し訳なかったが、結果に嘘はつけない。こうゆう時もあるさ。
もしカタルシスを求めるのならば、姉妹作『西へ西へ、南へ南へ』というシリーズを読んでくだされ。そちらの方が旅行記としても面白いです。
ゴチャゴチャ言ってますが、とにかく今回の連載を読んで下さった方には感謝です。ありがとうございました。

なお、奄美空港の写真は連載冒頭にも使いました。だからヤラセ写真です。写真を撮るつもりだったけど、出口の目の前に名瀬ゆきのバスが停まってた。で、運転手に出発する時刻を訊いたら、すぐ出ると言うので慌てて飛び乗ったのだ。バスの便がそんなに頻繁にあるワケではないので、たかが空港の写真を撮る為だけに時間を犠牲にしたくはなかったのである。

 
(註1)コカブト
調べたら、驚愕の野郎だった。少し長いが、各サイトの記事を要約して纏めておきます。

学名
Eophileurus chinensis (Faldermann, 1835)
日本のほぼ全域に分布し、日本以外にも朝鮮半島、中国、台湾に分布する(亜種を含む)。
奄美大島産は亜種 irregularis Prell, 1913 とされ、アマミコカブトと呼ばれる。分布は奄美大島の他に徳之島、与路島、請島。本土産と比べて♂の胸(前胸背板)の抉れが小さく、上翅の点刻が不規則に並ぶという相違点がある。
他に沖縄本島産も okinawanus Nomura, 1964 と云う亜種に分類されており、オキナワコカブトと呼ばれている。

英名
・Single-horn rhinoceros beetle
・Single horned beetle

意味は、一角サイみたいな甲虫って事だね。
一応言っとくけど、サイはあの動物のサイ(犀)の事ね。で、一角のサイといえばインドサイだ。他のサイは角が2つあるんじゃなかったけかな。あっ、絶滅しかけのジャワサイも一角だったね。

(インドサイ)

(出展『上野を散歩』)

この鎧のような体がインドサイの最たる特徴だ。
体は分厚く、背中が盛り上がってて重戦車みたい。


(出展『Pixabay』トリミングしてます。)

そういえばネパールのナショナルパーク(註3)でエレファントライドした時に、野生のインドサイを見た事があったな。
バーン❗と偶然に25メートルくらいの距離で突発的に対峙したんだけど、その時のオーラと迫力たるや凄まじいものがあった。サイにはおとなしいイメージがあるけど、全然違くて猛獣そのもの。闘争心の塊って感じで、闘気が朝靄にゆらゆらと立ち昇るのが見えたくらいだ。でもって、象からも静かなる闘気が立ち昇るのを感じた。もうスゲー緊迫感で、空気にピシッピシッピシッとヒビが入りそうなくらいだった。象の上にいるとはいえ、素直にメチャンコ怖かった。巻き込まれるの❓ワシら関係ないのにぃー( ;∀;)と思った記憶も甦ってきたよ。
両者が立ち止まって睨み合ってた時間は7、8秒かそこらだったと思う。なのに物凄く長く感じられたのを鮮明に憶えている。
そういやこの後、村で怒り狂った象が暴走しだしたんだよなあ…。あの時はマジ、死を覚悟した。あまりにも怖過ぎて爆笑したら、象がおとなしくなって助かったけど。人間、怖過ぎると爆笑すると知ったよ。

話をコカブトくんに戻す。
「コカブト、またはコカブトムシとも言われるコウチュウ目( 鞘翅目) コガネムシ科 カブトムシ亜科 コカブト属に分類される甲虫。
漢字で書くと、小甲虫、または小兜虫となる。
低地から低山帯に棲み、亜種オキナワコカブトやアマミコカブトなどは普通種だが、本土のコカブトは個体密度は低く、個体数もそれほど多くない。」

なぁ〜んだ、本土産は普通種じゃないのね。確かに小さい頃は一度も見た事がなくて、大人になって灯火採集をするようになってから見るようになったもんな。もう少しリスペクトすべきだったね。

「体長は18mm〜26mm程度。
小型ながらカブトムシの仲間であり、雌雄ともに小さな角状突起を持つ。このように外部形態上の性差には乏しいが、胸部前胸背板にある窪みの形の違いで判別する事ができる。オスは円形、メスはスリット状になる。体つきと角状の突起からサイカブト類にも似るが、より扁平。脚部の棘は体の割には大きめである。成虫は基本的に夜行性だが、日中に路上などを歩いている姿を見かけることもある。樹液に集まることは少なく、他の昆虫の幼虫や死骸を食物とする。」

おっ、やはり肉食性だね。しかも悪食と言ってもいい。加えて節操も無さそうだ。どこかハイエナを彷彿とさせるものがあるね。
そういや、矢田丘陵で樹液に来ているのを見た事があるな。でも肉食ならば、目的が樹液だったのかどうかは微妙だ。樹液に集まる昆虫を次々と襲って、ムシャムシャ食ってたりしてね。😱怖っ。

「主に体の柔らかいものを狙うが、コガネムシ類の腹部に穴をあけて体内に侵入し、内臓などを食い荒らすこともある。」

内蔵を食い荒らすとか、もうムチャクチャだな。何だかオゾマシイよね。とてつもなくホラーな野郎だよ。カブトムシの養殖場で発生して、その幼虫を食い荒らしたという報告もあるそうだ。悪辣だよな。その映像を何となく想像して気持ち悪くなったわ。地獄絵図じゃよ。

「幼虫は広葉樹の白色腐朽した朽木を食べるが、時に他種の幼虫を襲う事もある。成長は非常に早く、孵化した幼虫は2ヵ月足らずで羽化にまで至る。ゆえに年2〜3回発生していると考えられ、秋に羽化した成虫はそのまま朽木の中で越冬する。又、一旦野外で活動を開始した成虫も再越冬能力を持ち、半年から最大2年と長い寿命をもつ。幼虫の姿では滅多に越冬せず、メスは我が子が秋までに羽化できるタイムリミットの7月末以降は殆ど産卵しない。」

おいおい、幼虫まで肉食性があるのかよ。それに孵化した幼虫が、たった2ヵ月足らずで羽化にまで至るとは大型甲虫の生態概念を超越してる。これもホラーだ。

「夏期の成虫はよく飛翔するため灯火にもしばしば見られるが、凝集対象を持たない本種は樹液場や海岸をうろついていたりすることもあるなど、まだまだ謎の多い種類である。」

たしかに灯火には来るが、いつも単独で、複数が飛来したという記憶は多分ない。

「市販のカブトマットや他のクワガタに使った産卵木を入れておけば産卵させることはできるが、難易度はやや高く、産卵は7月迄にさせる必要がある。なお肉食傾向の強い種のため幼虫や卵が確認できたらすぐに成虫を取り出す必要がある。幼虫は非常に成長が早くて2ヶ月程で成虫になるが、早く羽化した成虫がまだ羽化していない幼虫や蛹を捕食することがあるので単独飼育の方が安全である。」

まさかの子殺し&兄弟殺し昆虫だ。
何だか生々しい生態だよね。ブサいくで、異様に生命力があって臭い。そして残虐でオマケに子殺し&兄弟殺しまでするという全然愛せない面ばっかの輩じゃないか。もうケダモノだね。こんなの、人間に喩えるなら人格崩壊のサイコ野郎だ。若者が罵る気持ちも解るような気がするよ。

一応、上から見た姿も必要かと思い、図書館で探した。
ちゃんとした図鑑よりも子供向けの図鑑の方が鮮明でキレイな画像ではないかと考えてソチラのコーナで探してみた。メジャーな昆虫ならば、往々にして海外産も含めて子供向け図鑑の方が画像が美しかったりするのだ。

目論見どおり、ソッコー発見。

(アマミコカブト)

(出展『学研の図鑑LIVE カブトムシ・クワガタムシ』)

しかし、その形に違和感を覚えた。
(・o・)あれっ❓…、奄美で見たのとは違うような気がする。
そして、隣の横向き画像を見て、\(@_@)/驚愕する。

角が明らかに短い❗
アレって、もしかしてサイカブトじゃなくなくねっ❓

慌ててサイカブトの項も見る。


(出展『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』)

勿論、横からの画像も確認する。

完全にサイカブトやないけー❗
考えてみれば、奄美にサイカブトがいるなんて足の爪先ほどにも思っていなかった。だから疑いもなくコカブトだと断定してしまったのだ。サイカブトの分布は沖縄以北だとばかり思い込んでたからね。道理で何かコカブトムシにしては矢鱈とデカイなと感じたのだ。最初に見た時はカブトムシの♀かと思ったくらいだからね。

しゃあないので、改めてサイカブトの解説をしまーす。

コウチュウ目(鞘翅目) コガネムシ科 カブトムシ亜科 サイカブト属に分類される甲虫の一種で、外来昆虫とされる。
漢字で書くと、犀兜虫。和名はサイのような短い角を持つことに因む。この和名は1990年代後半から2000年代前半頃に急速に使用され始めたもので、それ以前はタイワンカブトと呼ばれていた。これは日本の個体群の原産地が台湾とされる事からである。
また1970〜80年代には、一部でカンシャカブトと云う名前も使用されていた。カンシャとは甘蔗、つまりサトウキビのことである。これは本種がサトウキビの害虫として農業関係者の間では有名だった事に起因するものかと思われる。
他にヤシの木やパイナップルも食害し、その穿坑能力は極めて強く、成虫は茎頂部にトンネルを掘って潜り込んで摂食を行う。そのためヤシなどは成長点を貫通した時点で枯死する。
又、沖縄がアメリカ合衆国から日本に返還されて間もない1970年代には「サイクロンカブトムシ」という商品名で夜店やデパートで売られていたという。

学名 Oryctes rhinoceros (Linnaeus, 1758)
おっ、分類学の父とも称されるリンネの記載だね。
属名の”Oryctes”は、多分ギリシャ語の”orycho”が語源で「掘る・掘り出す」という意味だろう。これは成虫がヤシなどにトンネルを掘ることからの命名だろう。
小種名の”rhinoceros”はサイの事だね。

英名 Coconut Rhinoceros Beetle
ようするに、ココナッツ(椰子)にいるサイみたいな甲虫って事だすな。

日本に侵入したのは20世紀初頭とされ、台湾からの物資に紛れ込んで石垣島に上陸し、以降分布を北に拡大し続けており、現在では南西諸島のほぼ全域で定着。九州南部でも見つかっているという。凄まじいまでの繁殖力だね。なお奄美大島と徳之島では、1991年に初めて分布が確認されたそうだ。だから小学生の頃の知識だと、奄美には居ない事になっているのである。
本種の原産地はインドシナ半島周辺とされるが、人為的な植物の移動(主に農作植物)に伴い、東南アジアから西はインド・スリランカ、東は中国南部、台湾、果てはハワイにまで分布を拡げており、在来か外来かが判然としない地域も少なくない。
なお、日本にはもう1種この属がいて、南大東島にヒサマツサイカブト(O. hisamatui)が産する。

(ヒサマツサイカブト 久松犀兜)

(出展『画像あり。(´・ω・`)』)

2002年に新種記載されたもので、サイカブトよりもふた周りくらいデカくて分厚く、胸部背面後方が高くせり上がり、角も長い。

サイカブトの話に戻ろう。
成虫の体長は雌雄共に30〜45mm。
卵はカブトムシと同じく堆肥や落葉土に産み付けられる。孵化した幼虫は2度の脱皮を経て4ヵ月程で老熟し、それぞれ3〜4週間の前蛹期と蛹期を経て羽化する。成虫の寿命は2〜5ヵ月程だが、成虫、幼虫共に冬季の約2ヵ月を除きほぼ一年中活動している。
カブトムシと比べて全体に外皮が厚く強固であり、脚が太くて短かめである。特に前脚の脛節は幅が広く、トゲが発達している。その為、樹皮上を登る能力は十分に擁するものの、短足なことから細い枝を歩くのは苦手である。とはいえ、野生下では樹木の表面を歩行することは滅多になく、本土のカブトムシのように樹液に来ることも殆どない。基本は地面を這って生活しているようだ。
♂の大型個体は弓なりの細長い角を頭部に1本持つが、♀も短い角を備えるため、小型個体では雌雄の見分けがつきにくい。但し♀は尾端が毛で覆われていることから、慣れれば判別は比較的容易である。
夜行性で、しばしば街灯に飛来し、路上でひっくり返ってもがいている姿をよく見かけるという。

サイカブトなら、肉食性じゃないから触っても良かったなあ。ちょっと惜しい事をした。
因みに、生き虫を本土に持ち帰ることは厳に謹しむべきである。ましてや野に放つことは厳禁だ。紛れもなく害を及ぼし、下手したら後々には甚大なる被害を引き起こしかねないからね。
『可愛いそうだから、放してあげようよ。』とか、己のオナニー的優しさと正義感を押し付けてくる人が多いけど、この場合はクズだ。そのオナニー的正義感が時に犯罪行為になるのである。何でもかんでも可愛いそう視点の、昨今のヌルい優しさが蔓延する風潮は愚かとしか言いようがない。そのせいでアライグマは爆発的に増え、カミツキガメも急速に増えて各地で大問題になっているのだ。
一般ピーポーは、外来生物であるアメリカザリガニやブラックバスがどれだけ此の国の従来からある生態系を破壊し続けてきているのかをコレっぽちも知らんのである。

余談だがコカブトの話に戻ると『学研の図鑑 カブトムシ・クワガタムシ』のアマミコカブトの欄には、分布地として奄美諸島の他に伊豆諸島の八丈島やトカラ列島も挙げられていた。


(出展『学研の図鑑 カブトムシ・クワガタムシ』)

なぬ❓トカラ列島なら位置的にまだしも理解できるが、遥か離れた八丈島まで分布に含まれるのは解せない。
調べたら『ZUKAN 生きもの愛が図鑑になる』というサイトに、トカラ列島産(口之島・中之島・平島)も伊豆諸島産も名義タイプ亜種に含まれていた。しかし、よく見ると伊豆諸島は御蔵島以北とある。八丈島って御蔵島より南だったよな…。まさか…だよね。
でも読み進めると、そのまさかの答えがあった。
「八丈島では、2006年に2頭の雌が記録されているが、これらは奄美亜種の特徴を有しているという。同島では奄美大島などから植物とともに移入されたと考えられるカミキリムシなどが多く記録されており、コカブトムシも移入種の可能性がある。」
なるほどね。そういう事だったのか。ならば納得である。
危ねえ危ねえ。「子供の図鑑とはいえ、情報に正確性を欠くのはよくないと思うよー。」とか書きそうになってたから、危うく恥をかくとこだったよ。まあ、トカラ列島は間違いみたいだけどさ。あー、でもコレとて奄美諸島からの移入種という見解もあったりしてね。

 
(註2)カブクワ屋
カブトムシ&クワガタムシのディープな愛好家のことをこう呼ぶ。参考までに言っとくと、例えばクワガタ好きは「クワガタ屋」、カミキリムシ好きは「カミキリ屋」、蝶好きは「蝶屋」、蛾好きは「蛾屋」、蝶も蛾もやる人のことを「レピ屋」と呼ぶ。レピはレピドプテラ(Lepidoptera)の略で、蝶と蛾を含む上位分類である鱗翅目の昆虫の事を指す。ようするに愛好する虫の後ろに「屋」をつけるのが習わしなのだ。そしてそれらを総称して、虫好きの人は全て「虫屋」と呼ばれる。
但しコレは業界用語で、己の事や同じレベルの虫好きの事を指して言う。虫屋は己の事を何があっても「昆虫マニア」とか「昆虫愛好家」「昆虫オタク」とは言わないのだ。これらは一見して同じ意味に聞こえるが、それは世間の人が使う言葉であり、そこには蔑視が入っているからだ。

(註3)ナショナルパーク
ネパール南部に位置するチトワン国立公園でした。
東西80km、南北23km、総面積932㎡に及ぶ広大な国立公園のエリアは鬱蒼としたジャングルや草原からなるが、標高は低く、50m~200m程度で亜熱帯気候である。平原の彼方には、マナスルをはじめとするヒマラヤ山脈が遠望できる。
かつて王族たちの狩猟地だった為に開発を免れ、大自然が手付かずのまま残っており、1984年には世界遺産に登録された。
絶滅寸前のインドサイの他にベンガルトラ、ヒョウなど哺乳類は約40種おり、コウノトリ、サギ、インコなど野鳥の種類は500を数え、世界一の種類数だとも言われている。公園内の川では、絶滅の恐れの高いヌマワニや淡水イルカ、インドガビアルの生息が確認されている。朝には必ずといってよいほど朝靄が立ち込める。また、緩衝地帯にあるビスハザーリー湖などはラムサール条約の湿地に登録されている。
ゾウの背中に乗って回るジャングルサファリや、更に広大な範囲を探索できるジープサファリがあり、他にもラフティング、カヌー、バードウォッチングなどのアクティビティを楽しむことができる。

 
最後に、この旅で採った蛾と蝶を紹介して終わります。だだし全て展翅しているワケではないので一部の紹介になります。
と、ここまで書いて各種を並べて短い解説を添えていたのだが、またぞろ問題とか疑問にぶつかりバカ長くなってしまった。加えてアップ直前、最後にコカブトの画像を入れたところで、何とサイカブトだったと云うのが発覚して、更に徒らに長くなってしまった。拠って、ソチラはオマケ編として次回に回します。

 
参考文献
◆『学研の図鑑 カブトムシ・クワガタムシ』
◆『小学館の図鑑NEO カブトムシ クワガタムシ』
◆高田兼太『「虫屋」とは?ーリフレームによる言葉の分析』きべりはむし 37号(1),2014
◆石塚克己『世界のカトカラ』

インターネット
◆『Wikipedia』
◆『尾張の蛾、長話』
◆『ZUKAN 生きもの愛が図鑑になる』
◆『画像あり。(´・ω・`)』
◆東 和明『南大東島まるごとミュージアムを確立する』
◆『http;//www.pref.okinawa.jp』