奄美迷走物語 其の六

 
第6話
『だいたいにおいて夜のダムはヤバい』

 
 2021年 3月23日(夜編)

4時半。諦めてあかざき公園を辞して山を降りる。
意気消沈だが、今夜の予報は雨ではないから夜にも出動しないワケにはゆかない。身も心もヘトヘトなのにね。
(´ε` ) ったくよー、こんなの殆んど拷問じゃないか。思うに蝶も蛾も採るとなると、昼夜問わずのアクションとなるので体力的にも精神的にもかなりキツい。今までなら夕方には帰ってきて、シャワーを浴びてビールを飲みながら今日も一日御苦労さん。それなりに満ち足りた気分で、ゆったりとイブニングアワーを過ごせた。今にして思えば、至福の時間だったよ。
これが夜にも採集となると、そうはゆかない。ローカルな店に行って美味いもんを食いながら酒飲んで、地元の人たちと仲良くなるなんて事も諦めねはならぬ。改めて思うけど、それが旅の醍醐味の一つでもあり、カタルシスでもあったのだ。
(-_-;)クッソー、今のところロクに結果も出てないし、飲みには行けないし、まるっきり楽しくないぞー。蛾の採集の辛いところは飲みに行けないところに尽きる。だから、蛾に対して罵詈雑言を吐きがちになるのかもしれぬ。
正直なところ、アマミキシタバが採れればそれでいい。本音ではヤツが採れたら、その後は夜間採集を全放棄したっていいとさえ思ってる。つまり早めに結果を出せたら、あとはサボりまくったっていいのだ。毎夜、浴びるほど酒を飲んでも何ら問題ないのである。

 
【アマミキシタバ】


(出典『世界のカトカラ』石塚勝己)

 
但し、ハグルマヤママユにも会いたいのはヤマヤマではある。あっ、意図せず中途半端な駄洒落になっとるやないけー。カッコ悪ぅ〜┐(´д`)┌
えー、整理します。現在の立ち位置は、酒とアマミキシタバならば、アマミキシタバを取る。酒とハグルマヤママユならば、酒を取る。これでワタクシ的プライオリティは御理解戴けたかと思う。

シャワーを浴びて少し休んでたら、6時半から宴会だと報された。今日は参加しますよねと小池くんに言われたが、断腸の思いでそれを振り切って夜間採集に出る。
バイクを走らせながら思う。何やってんだか…。それって本当に正しい判断だったのか❓頭の中でエヴァのアスカ(註1)が、

『あんた、バカぁ❗❓』
『これから若い女の子たちと楽しく飲めるのに蛾を採りに行くだなんて、ホント、バッカじゃないのー❗』

と言ってる。

 

(出典『ニコニコ静画』)

 
アスカ殿、その通りでござんすよ。あたしゃ、ダメだダメだダメだダメだ…の馬鹿シンジよりも愚かな男ですよ。酒好きで女好きで通ってきたイガちゃんの名が泣くよ。クッソー、今すぐ引き返してぇー。

途中でコンビニに寄って晩飯を買う。
ちなみに奄美大島にはセブンイレブンも無ければ、ローソンも無い。おそらくヤマザキデイリーストアも無い。コンビニといえば、ファミマ(ファミリーマート)しかないのだ。

 

(出典『ペンション涼風』)

 
それに営業形体が独自だ。地元のパン屋コーナーが併設されてたり、並んでる弁当の半分は地元業者のものだったりする。まあ、そこまではいい。だけど🍙おにぎりには憤りを感じる。ナゼだか知らんが、おにぎりに限ってはファミマブランドではなくて、全部が地元業者のおにぎりなのだ。コレが許せないほどに絶望的に不味い。何も知らずに買って、パサパサであまりにも不味いので、何でや❓と思って表示を見たら地元の会社だったのだ。来島初日にそれを知って、奄美のコンビニでは死んでもおにぎりは買わないと固く心に誓ったのさ。

迷った末に結局は地元業者のBIGチキン竜田弁当(¥510)なるものを買った。おにぎりはダメでも弁当はイケてるかもしれないと思ったのだ。明らかにボリュームがあって、値段も少し安いからね。それにもしかしたら、おにぎりの業者と弁当の業者は違うかもしれないとも考えた。少々イタいめにあってもチャレンジしなくては驚きと云う果実を得られないもんね。調子が悪い時ほどアグレッシブにいこう。それが悪い波からの脱出のキッカケになるかもしれない。

名瀬の街中を突っ切って、西へと向かう。目指す先は、大川ダム。ここはアマミキシタバが日本で初めて採集された朝戸峠からも距離的に近いから選択した。
今、『じゃあ何で朝戸峠に直接行かないのだ❓』と思った人もいるでしょう。そう、そこの貴方ね。
でも、これには重大な理由がある。ネットで朝戸峠を検索したら古い旧トンネルがあり、コレがメッチャクチャに怖そうなんである。画像で見てもチビるくらいヤバい雰囲気なのだ。実際に心霊スポットとして有名なトンネルらしい。

ワキャ(ノ ̄皿 ̄)ノ、スーパーなチキンハートであるオイラが、そんな恐ろしいところに行けるワケがないのだ。

空はまだ明るい。昨日の知名瀬林道では日没後に着いてスゲー怖かったから、今回は日没前に着くように早めに出たのだ。それに明るいうちだと周囲の環境もわかる。なれば何処にライトトラップを設置するかも吟味できると云うワケやね。

朝戸トンネルに入る。

 

(出典『Amamiの書』)

 
たぶん前々回に来た時には西仲間まで行ってるから二度目だ。いや、帰りにも通っているから三度目か。
でも走っていても、いっこうに出口が見えてこない。何だか気が変になりそうだ。
このまま延々とトンネルから出られなくなったりして…。
(ToT)ダアーッ。偶然、時空の歪みにハマって帰って来れなくなるかもしれんポチー。

冷や汗の中、漸く思い出した。名瀬から西へ向かう南側のルートはトンネルだらけで、しかも長いトンネルが多いのだ。
そうと解っても気持ちは揺れ動いて安定しない。長いトンネルって、無条件に人を不安にさせるんだよなあ。

トンネルを出て直ぐに右折し、ダムへと向かう道をのぼる。
途中、民家があり、そこに住む人が訝しげにコチラを見た。こんな時間に山の中へ行くなんて…という顔だ。その驚いたような顔を見て、不安が過(よぎ)る。この先にいったい何があるというのだ❓あっちょんぷりけ。

ダムの奥まで行くと広場に出た。その先は細い山道になっており、入口にはチェーンがかかっていた。たぶんコレが滝へと向かう道なのだろう。夜の滝なんて怖いから、ゼッテー行かないけどさ。

広場の横に建物があった。
そこに何本か水銀灯らしきものが立っている。コレって当たりかもしれない。もし水銀灯が点けば、蛾たちがワンサカ寄って来る可能性がある。だとしたら、ワシの何ちゃってライトトラップの効力をバックアップして余りある強力な助太刀になるじゃないか。労せずしてアマキシGETじゃよ。

良い位置に煉瓦が積んであったので、それを利用することにした。

 

 
お陰でソッコーで屋台を組めたよ。
続いてバナナトラップを山道に仕掛けに行く。
しかし、何となく不気味な感じで、言葉に表せないような気持ち悪さが漂っている。霊感の無いワシでも本能的に身体が奥へ行くことを拒んでいるような気がする。アンタ、悪いことは言わへん。やめときなはれである。マジ怖いので、入口近くに集中して仕掛けることにした。たとえチキンと言われても構わんけん。ワシ、どうせ小心もんじゃけん。

準備が完了したところで弁当を食う。

 

 
不味くはないのだが、旨くもない。肉、かたいし。
ただし、量は多い。途中から食うのがしんどくなってきたくらいだ。

 

(出典『歩鉄の達人』)


(出典『TundaiBlog』)

 
しっかし、異様なまでに淋しい風景だ。さっきから鳥も鳴かんし、風の音さえしないから無音なのだ。オマケに空はどんよりで、辺りはどんどん暗くなってきてる。シチュエーション的に、何かか起こる時って映画でもドラマでもこうゆう異様に静かで不気味な感じなんだよねー。そして惨殺。悪魔が来たりて笛を吹くのだ。

日が完全に暮れた。
だが水銀灯は点かない。とゆう事は廃屋って事か。いや、廃墟と言った方が正しいだろう。廃墟って昼間でも充分怖いのに、夜なんてヤバすぎでしょうに。
いかん、いかん。思考を停止する。極力そうゆう事は考えないようにしよう。想像が恐怖を増幅させるのだ。一番の敵は己の想像力なのだ。暴走させてはならない。

闇が急速に侵食してくる。
(༎ຶ ෴ ༎ຶ)ダム、超怖ぇー。水は真っ黒で、僅かに水面が動いている気配がする。ダムといえば、ゼッテー何か沈んでるよね。あえて、何かって濁しちゃったけど、言ってしまうとコレはもう死体だよね。あー、ワシ言ったよ、言っちゃったよ。それってタブーだよな。それに口に出した瞬間から言葉に魂が宿って言霊になり、現実化すると聞いたことがあるぞ。或いはそれが何かを呼び寄せるとも。だったらワシ、ヤバくね❓
とにかく絶対、誰か殺された人がダムに放り込まれてるに決まってる。もしくは此の世に怨みを持って自殺した人が沈んでるかもしれない。或いは、その両方かも。だから何処でも夜のダムには、ただならぬ雰囲気が醸し出されておるのだ。
だいたいにおいて水が淀んでいるような場所は昔からヨロシクないと言われている。そうゆう所には出ると相場が決まっているのだ。だから、ダムは元より池や沼、湖、川の下流、井戸とかはヤバいと言われているのだ。トンネルなんかも中は水が染み出していることが多いから出るんだろう。空気も淀んでるしね。
そういや此処は、あのスーパー恐ろしげな朝戸峠の旧トンネルからも近い。ということは、怨霊どもが其処とダムとを縦横無尽に往復してたりして…。今、ワシは怨霊黄金ルートの真っ只中に立っているのやもしれぬ。知名瀬林道も怖かったけど、その怖さとは質感が違ってて、よりリアルさを帯びている。

とはいえ、虫たちがジャンジャンに飛んで来れば、そんな恐怖も忘れるだろう。虫を採りたいという欲望は、恐怖をも凌駕するのだ。虫バカになりさえすれば、大丈夫だ。意識をそっちに集中しよう。

しかしライトトラップを点灯するも、何も飛んで来ない。どんな場所でも大体は点灯直後には近くに居た蛾が幾つかは飛んで来るものだが、白布には何も止まっていないのだ。たぶん正面にある山が遠すぎて光が届かないのだろう。でも、そのうち光に吸い寄せられて徐々に数も増えてゆくだろう。そう思うことにしよう。

バナナトラップの様子を見に行く。

 

 
完全暗闇化すると、益々不気味な場所だ。懐中電灯で足元を照らしながら、おずおずと進む。大蛇ハブが這っているかもしれないからだ。自慢じゃないが、わしゃ大のヘビ嫌いなのだ。足もないのに前に進むのが全くもって解せないし、チロチロと舌なめずりはするし、あのヌメヌメした感じもダメだ。
そういや昔、鈴鹿の方にプーさんとミホとでキリシマミドリシジミを採りに行った時に足元から突然シマヘビが出て来たので、
キャァーε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
と女の子みたいな声を出して逃げたら死ぬほど笑われたわ。オイラ、それくらいヘビ嫌いなのさ。
シマヘビ如きでそうなんだから、大蛇化する本ハブなんかに遭遇したら心音プッツリかもしれない。

 

(2014.9月 奄美大島 蒲生崎)

 
戻って何気に廃墟に目をやった瞬間だった。

Σ(゚∀゚ノ)ノ❗何か光って動いた❗❗

すわっ🔥鬼火か❓と思って、その場で石化する。そうです、ワタシは石です。生き物ではごじゃりません。だから無視してください此の世の者ならざる存在さんたち。
けれど恐る恐る懐中電灯を周囲にも照らすと、それと連動して光も動いた。そこで漸く気づく。
何のことはない、ただ懐中電灯の光と自分の姿が建物のガラスに反射したにすぎない。
びっくりしたなー、もぅー(´ε` )

午後8時を過ぎてもライトの白布は開店休業状態で閑古鳥が鳴いている。だからアマミキシタバどころかクソ蛾でさえも1つも採れていない。こんなに何も来ないなんて初めてだ。こりゃ呪われとるね。
バナナトラップも15分おきに見回りに行くが、訪問客はキショいゲジゲジしかいない。ゲジゲジは大嫌いだ。脚が多すぎるのも、それはそれで背中がオゾけるのだ。けど、この日は憤りの方が勝って棒で虐待してやった。したら、慌てて逃げていった。
何だか虚しいわ。怖ぇーし、何もおらんから退屈だし、退屈だから色々あらぬことを考えて心が少しづつフォースの暗黒面へと落ちていってる。それが自分でもよくわかる。

午後9時には、その恐怖と退屈に耐えきれなくなって撤退を決意した。これから先、どう考えても良いことが起こりそうにはないもん。目に見えないけど、きっと此処には瘴気が渦巻いているに違いない。これ以上、悪い事が起こらぬ前に帰ろう。

徒労感に包まれて夜道を下り、また朝戸トンネルを抜けて三十分後には宿に帰り着いた。
玄関を入ると、宴もたけなわであった。可愛い女の子2人の力は絶大で、宿泊客だけでなく地元の人も加わって大盛況だ。
クソー、あんな思いをするなら、最初から宴会に参加すべきであった。こうなりゃ、ヤケ酒だ。浴びるほどに飲んでやるわ。

かなり酔っ払ってるゲストハウスの息子さんに、今日は何処行ってたの❓と訊かれて『大川ダム』と答えたら、驚いたような顔で言われた。

『夜に、よくあんなとこに一人きりで行くよねー』

『(・o・)えっ、それってどゆこと❓』

『地元では有名な心霊スポットだからさ』

『Σ( ̄ロ ̄lll)ガビーン。マジすか❓マジすか❓マジスカポリス❗』

どうりで、あんなにも気待ち悪かったのだ。
何なんだ、この負の連鎖は❓
オジサン、泥酔路線まっしぐら。

                         つづく

 
追伸
もうあんなとこには、二度と行かん。
ちなみにダムの写真をお借りしたのは、自分で撮るような精神的余裕が全くなかったんでしょなあ。真っ暗闇の画像も前日か前々日に撮った名瀬か知名瀬林道の画像を転用だしさ。

そういえば、過去にホラーとスリラーとミステリーの違いについて書いたことがあったな。たぶん初期のカトカラシリーズか春の三大蛾の回だ。3つの違いは長くなるので書かない。気になる人は、申し訳ないが自分で探しとくれ。

 
(註1)エヴァのアスカ
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の弐号機パイロットである惣流・アスカ・ラングレーのこと。性格は快活で主体性・自立心が強く、非妥協的。異常なまでにプライドが高く、自己中心的だが、一方では自己愛が欠如しており、周囲に対して過敏で傷つきやすい面を持つ。この性格は幼少期のトラウマに大きく影響されており、望んだ相手に自分を見てもらえなかったことによって欠けた自己愛を、他人に認めてもらうことで満たそうとする面が強い。謂わば、その強さは脆さと紙一重のものである。

尚、『あんた、バカぁ!?』のセリフは、壱号機のパイロットであり主人公の碇シンジに対して度々放たれる言葉で、他にも事あるごとに『バカシンジ』などと罵ることが多い。
裏腹にシンジに対して好意を持ち、愛を求めるが、彼が都合の良い逃避先として消去法で自分を求めてきた際には強く拒絶した。
アスカ役の声優宮村優子はアスカについて「今で言うところのツンデレ。異性として気になるのはシンジだけど、なかなかそれを表に出すことが出来ない」と評している。

 

2020’青春18切符1daytrip 第四章(3)最終回

 

 第3話(最終話) 紀州の春の味

 
 2020年 4月10日(後編)

 
再び「スナック変てこネーミング愛好家」の活動が始まる。
今度は反対側から繁華街へ入ろう。

 

 
『銀ちろ専用二輪車置場』。
店の看板にチャリンコの置き場所を示すだなんて斬新だ。
でも、店本体が見当たらない。謎です。ステルス店舗なのかもしれない。地方に行くと、時空間が時々歪むからね(笑)。

『居酒屋 味心 むそう』。
「むそう」が無双の事なのか、それとも夢想を表しているのかがワカラナイ。いや、両方の意味が込められているからこその平仮名表記なのかも。だったとしたら、そんな掛け合わせをしようなんて考えた店は唯一無二だろうから、無双かもね。

『紅葉』。
「もみじ」もしくは「こうよう」という店名かと思いきや、下に「KREBA」の文字がある。「くれば」だったんだね。
けど、その読み方って無理がないかい❓普通に読めば「くれないば」、もしくは「べにば」だよね。紅に「くれ」という読み方はないのだ。
まあいい。にしても、何でわざわざ秋に限定されるようなネーミングにしたんだろね❓まさか秋限定のオープンなワケでもなかろう。う〜ん、ママさんの名前が「紅葉」でもなければ、解せませぬ。

『SEED』。
種子❓種(たね)は物事の始まりを表すものでもあるからして、理解できなくもない。
いや、まさかのママさんの名前が「タネ」だったりしてね。だとしたら、どんだけオールディーな名前やねん❓
そうじゃなければ、まさかまさかのシードの別の意味でもある「精液」や「精子」だったりしてね。(-_-;)…、だとしたら相当に奥が深い。ハプニングバーとか、とんでもない店だったらいいなあ。

『居酒屋 白百合』
「昭和」を通り越して、もう「大正」の世界だ。
一周回って大正ロマンの香りさえ漂っている。

振り返っても撮る。

 

 
どうやらこの通りは味光路(あじこうじ)というらしい。

 

 
『AGAIN』。
アゲイン。再び。
また来てねという意味か?
他に浮かばないし、段々無理からイチャモンつけるのも面倒くさくなってきたよ。

『LARME』。
ラルムというのはフランス語の「涙」「涙の雫(しずく)」の事でいいのかな。
にしても、そんなマイナス思考のネーミングでいいんすか❓

『スナック すみれ』
何ら奇抜さがない普通のネーミングだ。
でも奇を衒わないところが、かえって新鮮だ。明朗会計に違いなかろう。好感もてます。

『LUSH』。
普通に訳せば、「青々とした」「瑞々しい」だろう。
調べたら他にも意味があって、「大酒呑み」とゆうのが出てきた。たぶん由来はコレだな。
さておき、下の「a new sense bar」とゆうのが引っ掛かる。新しいセンスとは何❓
このネーミングのワケの分からなさにスナック文化の面白みがある。こうしてアレコレ想像するのは楽しい。ネーミングの裏に、その人の人となりが見え隠れするのだ。

『がらくた』。
(☆▽☆)来たー❗、自虐系ネーミング❗
けど、ストレートの平仮名表記である。普通ならば「我楽苦多」などという宛字をブチ込んでくるのがセオリーなんだけどね。その路線にいかないのは、言うほどポンコツではなさそうだ。ただの自虐的な人なのかもしれない。

後ろのビルの看板が横に写っている。気になるからコッチもコメントしておこう。

『Pino』
イタリア語かな❓ならば「松の木」とか「松ぼっくり」という意味になる。可愛さ演出かしら❓
単にお菓子のピノ好きの店主だったりして…。

『Bebe』
普通に考えれば「赤ちゃん」だよね。
ばぶばぶの赤ちゃんプレーの店だったりして…。いかん、いかん。どうしてもエロに走るクセがある。
だとしたら、フランス語の「パートナー」という意味なのかもしれない。豚が2頭向き合ってるしね。
でも、ちょっと待て❗
下には「Boys snack」という文字があるではないか❗❗
とゆうことは、モーホーの集まるスナック❓それもパートナーを探す的な❓しかも赤ちゃんプレーがメイン的な❓
頭がオカしくなってきたところで、目的の店の前に着く。

 

 
ここの向かい側が店となるのだが、惹かれる風情があって、つい写真を撮ってしまったなりよ。
あっ、でも惹かれた理由は風情だけじゃないと直ぐに気づいたよ。

 

 
🎵ホッピー(◠‿・)—☆
久し振りに看板と幟を見たので、テンションが上がる。奴は関東文化圏のもので、関西ではあまり見ないのだ。これは東京に住んでた頃に劇団の先輩に教えてもらったというか、仕込まれた。
えー、ホッピーとは下町のヤサグレ親父たちのフェバリット安酒の事である。
もとい、厳密に云うとホッピーそのものは酒ではない。

 

(出展『Wikipedia』)

 
ホッピー(Hoppy)とは、ホッピービバレッジ(旧・コクカ飲料)が1948年に発売した麦酒様清涼飲料水のこと。平たく言うと、ルートビアみたくビールテイストの炭酸飲料の事ね。でもホッピーといえば、焼酎をこれで割った飲み物を指す場合のことの方が多い。
ホッピーが発売された頃は、まだビールは高価だったそうな。なので、そのビールの代わりにホッピーで焼酎を割って飲む技が編み出された。そして、手軽にビールの満足感を得られる酒として関東圏で急速に広まっていったらしい。そう、ビールモドキなのだ。その辺からして男たちの苦い哀愁が漂うなあ。
ちなみに今でも東京の大衆酒場には必ずと言っていいほど置いてある筈だ。まあ、安く飲める酒の代表選手みたいなもんだすな。飲んでるオヤジたちもイタい人が多かったから、場末感満載なのだ。何だか懐かしい。

又しても脱線してもうた。
いざ、目的の店にゆかん。

 

 
『紀州魚介庵 かんてき』。目的地到着だす。
店はビルの奥まったところにある。

 

 
「かんてき」とは、関西では七輪(しちりん)の事だが、火がカチカチ熾る様から癇癪(かんしゃく)持ちを表す言葉でもある。つまり気が短くて怒り出したら止まらない人で、感情がコントロール出来ないってこと。
たぶん店の名の由来は、この両方で、どちらかとゆうと後者だと推察される。ならば、めんどくさい親父に決まっている。テメェで付けてるくらいなんだから、自他ともに認める性格なのだろう。

口あけだから、客はワシ以外には誰もいない。

 

 
カウンターの真ん中に座る。
店の雰囲気は昔からある居酒屋という感じだ。

 

 
目の前の大将は、よく喋る。
気は如何にも短そうだ。でも本当の癇癪持ちならば、店を長く続けてはこれなかっただろう。ようは気は短いが、気のいいオヤジさんってとこなのだろう。ヤンチャの匂いがしますな。

当然、先ずは何をおいても生ビールから入る。

 

 
付き出しは「イソモン(磯もん)」という地元で穫れる貝。
磯で穫れる貝を総称してそう呼ばれる事が多いが、見たところ1種類だけだから、どうやら地元ではそう呼ばれている貝なのだろう。一瞬、シッタカ(尻高)にも見えたが、似ているけど頂きはシッタカみたく鋭く尖ってないから別な種だね(註1)。

金串で根元を刺し、貝を手でぐるりと回しながら身を取り出す。こうすると、先っちょの肝までキレイにとれる。
味はシッタカとほぼ同じで旨い。肝のホロ苦さがよろしおまんな。所謂サザエの壺焼き系の味だ。それよか柔らかいけど。

 

 
お次は黒ビール。
黒ビールの生を置いてある店は少ないから、飲むことにした。

 

 
久し振りに飲む黒ビールは豊潤で旨い。

 

 
刺身盛合せ。
左は上からモチガツオ、モチガツオ心臓、グレの白子。右はヒトハメ、グレ、ウツボのたたきである。

モチガツオとは紀州の春の味覚の一つ。黒潮に乗って2~5月頃に紀伊半島沖に現れるカツオの中でも午後になると岸近くに寄って来るモノのことをいうそうだ。本来、カツオは遠洋にいるものとばかり思ってたけど、そうゆうカツオもいるんだね。
それを釣り上げて活け締めにして即座に陸揚げしたものは、死後硬直が始まる前のモチモチとした食感が味わえるそうだ。モチモチだからモチガツオと呼ばれてるってワケだね。付け加えておくと、モチガツオと言える状態は短く、水揚げされてから6時間以内なんだってさ。

モチガツオから食べてみる。
\(☆▽☆)/ワオッ❗、確かにモチモチの食感だ。
旨味もあって、(´ω`)うみゃーい。

お次は心臓だ。
艶々してて張りがあり、如何にも鮮度が良さそうだ。
(・o・)あっ、コリコリだ。珍味ですなあ。

続いてグレの白子。
コチラも見るからに鮮度が良い。たぶんグレの白子は初めて食べるんじゃないかな。
うん、臭みは全然ない。期待どおりの味だ。旨い。
とはいえ、鯛やフグの白子の旨さには及ばないけどね。

右側に移ろう。
わかりにくいが、一番上は「ひとはめ」という海藻である。
人をハメちゃうの❓何だか純真な田舎娘をシャブ中にしてソープに売り飛ばす悪いヤクザみたいな名前じゃないか。もしくは妖怪の名前みたい。『悪戯妖怪ひとはめ』。
「雨の日でもないのに道の角を曲がった所に水溜まりをこさえ、人がハマったのを見て、キャッキャッと喜ぶイタズラ系妖怪の事。」とかさ。
スゲー名前だなと言ったら、お女将さんが正式名称は「ヒロメ」だと言って小冊子みたいなのを見せてくれた。

 

 
「それによると、こう書いてあった」と書きかけて、邪魔クサイので画像を拡大する。

 

 
ようするにワカメの親戚みたいなものだ。
ただし細長くなくて、名前のとおり幅が広い。
ちなみに「ヒロメ」の「メ」は海藻(海布)という意味。これはワカメを漢字で書くと「若布」と書くことからも解る。
「ヒトハメ」の方は後で調べてみたら、人をハメるというヤバい由来は全然なくて、〝一つの葉〞で「一葉布」なんだそうな。

 

(出展『ぼうずコンニャクの市場魚貝図鑑』)

 
(出展『和歌山県ホームページ』)

 
葉部が大きな卵形で切れ込みがなく、メカブを作らないのがワカメとの違いみたい。

味は旨い。
シャキシャキとした食感なのに、部位によっては柔らかくてとろみがあって美味しい。粘質物に含まれる食物繊維「フコイダン」がワカメより多いそうだ。
とはいえ、生のワカメをサッと湯通ししたものと、ほぼ変わらない。黙って出されればワカランだろう。

最近は養殖も試みられており、「紀州ひろめ」というブランド名で販売促進されているという。
しかし近年は温暖化で冬場の海水温が下がらないためか、生育状況が良くなくて、収穫量は年々減少しているという。

ネクスト、その下はグレの刺身。
えー、グレとは関西での呼び名で、関東ではメジナと呼ばれている磯の代表的な魚ですな。
グレにはあまり良い印象を持ってない。磯臭いのだ。特に夏場はゲロ臭い。けど餌が違う冬場は美味であるという話も聞く。
それでも何度か食べた事はあるが、特別旨いという印象はない。
この時の味の感想の方だが、1年近く前の事なのでハッキリとした印象はない。ただ、グレにしては旨かったような記憶が残っている。

最後は「ウツボのタタキ」。
ウツボは見た目が凶暴且つグロテスクで小骨も多いので積極的に食べる地方は少なく、紀伊半島南部の一部と房総半島南部、高知県くらいだろう。
何度か食べた事があるが、タタキとはいうものの、生ではなくて火が結構入っている。レアチャーシューとか、ステーキでいえばミディアムレアみたいな感じに仕上げられたのものが多い。
色は白っぽくて鶏肉に似ていて、身は肉厚で柔らかい。味は淡白ではあるが独特の旨みがある。一方、皮は歯応えがあって弾力が強い。皮下と共にゼラチン質でコラーゲンも豊富そうだ。コチラの部位は、噛むと皮下のゼラチン質から濃厚豊潤な旨みが広がる。この身と皮の2つの異なる風味が合わさった味わいがウツボの最大の魅力かもしれない。
とはいうものの、めちゃくちゃ美味いってワケでもないけどさ。食べる機会があれば、トライしてみてはと云うレベルだ。

 

 
海老団子。
野菜も入っている。呻くほどではないが、旨い。

客は誰も来ない。
4月7日に東京や大阪など7府県に対してコロナウイルスに対する緊急事態宣言がなされていたが、和歌山県は対象外だった。
なのに、この閑古鳥の状態である。こんなとこまで影響力があったんだね。未知の病気だっただけに、当時は皆、相当にビビってたんだろう。あとは下手に調子ブッこいて外出して罹患でもすれば、周囲からの批判に晒され、病人なのに袋叩きに遭いそうな雰囲気があったせいもあるかもしれない。
尚、緊急事態宣言の対象を日本全国の都道府県にまで拡大したのは、もう少しあとの4月16日になる。

そういや、この時期には和歌山市の病院でもクラスターが発生したような気がするなあ。その影響もあったのかも。
結局、この日は他に一組の客しか来なかった。オヤジさん曰く、普段は満杯だそうで、土日などは予約しないと入れないそうだ。心なしか元気がなかったのは、そのせいかもしれない。いつもはもっと威勢がいいんだろね。

その後、和歌山県は知事の仁坂吉伸氏の適切な対応で、2021年の2月現在に至るまで感染は少数で抑えられ続けている。あまり報道されることはないが、その手腕は高く評価されているようだ。
余談だが、この仁坂さん、実を言うと蝶屋である。つまり、趣味は蝶の採集・蒐集・研究なのである。
去年の2020年10月には『ブルネイの蝶 Butterflies of Brunei』(NRC出版)という図鑑も出版されておられる。
定価10,000円+税(送料別)と結構な額の本だが、結構売れていて、在庫わずかだという。
これは蝶の雑誌『季刊 ゆずりは』に連載されていたものが下敷きになっていて、仁坂さんがブルネイ大使を務められていた2003~2006年に採集された標本を整理され、図鑑にしたものである。内容は、標本のカラー図版と各解説、巻末にブルネイの蝶663種のチェックリスト付いている。中には新種の可能性があるものも含まれているようだ。

 

(出展『Amazon』)

 
図鑑そのものは見ていないが、「季刊ゆずりは」の連載は一通り見ている。珍品もそこそこ採られておられるので、正直驚いた。どうせ片手間の何ちゃって蝶屋だと思っていたからである。
さておき、和歌山でも網を振られているのかな❓まあ、この御時世だと、それどころじゃないだろうし、見つかったらボロカス書かれるからなあ…。最近の世の中は、おおらかじゃないから揚げ足をとって、徹底的に叩いてくるからね。嫌な時代だよ。
えー、在庫わずからしいので、購入される予定の人は急ぎNRC出版か南陽堂にホームページにアクセスされたし。

話が逸れた。本道に戻そう。

 

 
お店の自家製カラスミ。
カラスミって魚卵好きには堪らんよね。何であんなに美味いんだろうと、つくづく思う。究極の酒のツマミの一つだろう。
となれば、ここは焼酎だろう。

 

 
勿論のこと、ロックである。

 

 
鹿児島県霧島市の国分酒造の芋焼酎『安田』。
店主曰く、芋麹で造られた全量芋製焼酎で、入手困難ゆえにプレミアが付きつつあるという。
通常の芋焼酎は米を使用して麹を造るのだが、これは麹造りから「芋」を使用しているから全量芋製なのだ。芋麹を用いることによって、より芋の風味が濃厚な仕上がりになるそうだ。
使用しているサツマイモも、通常使われる黄金千貫(こがねせんがん)とは異なり、蔓無源氏という品種で仕込まれている。
この芋は今から百年ほど前に食用として栽培されていたサツマイモで、わずか10本の苗から復活させたという。
尚、「安田」という銘柄の由来は、平成4年より国分酒造の杜氏となった安田宣久氏の名字を冠したものだそうだ。

飲んでみる。
あれっ❓ガツンとくるかと思いきや、優しい。香り豊かでフルーティーなのだ。芋焼酎にしては女性的だ。コレってワイングラスで飲んだ方がいいかもしんない。その方が、より香りを感じられそうだからね。
御託を抜きにして、味は素直に旨い。調子ブッこいてガンガンに飲みそうだ。でも、今日はちゃんと電車に乗って帰らねばならぬ。酒バカにならぬよう、ちっとはセーブしよう。
けどカラスミを少し囓って焼酎を口に含んだら、ブレーキホースが瞬時にブッた切れた。焼酎⇒カラスミ⇒焼酎のエンドレス運動が始まる。
この円環のためには下に敷いてある大根が邪魔だ。マイルドアイテムは要らぬ。酒呑みは口中の濃い塩味と旨味を酒で洗い流すのを旨(むね)としているのだ。大根は大根として別に食うべし。それはそれで旨いのだ。

 

 
こんなの頼んだっけ❓
たぶんカツオの心臓の煮付けだと思うが、食った記憶もない。
まあ味は大体想像つくけどさ。おそらく基本は魚の内臓の味で、ホロ苦かったんだろう。
こうゆう渋い酒のアテは、エンジンがかかりやすい。

 

 
『国分 純芋 醸酎』。
コチラも国分酒造の芋焼酎で、「現代の名工」として国から表彰された安田杜氏が手掛けたものだ。
コレも「安田」と同じく従来の製法を払拭し、麹造りの際に米を使用しないサツマイモ100%の芋焼酎だ。ただし、地元産のさつまいも黄金千貫で芋麹を造り、黄麹で仕込んだものである。蒸留後は無濾過・無調整で1年熟成。加水せずにそのまま蔵出しされたものだそうだ。ゆえなのか、アルコール度数は35度と高い。

飲んでみる。
ふくよかで華やかだ。黄金千貫を贅沢に使い、白麹ではなく黄麹を使用しているからか特徴的な甘みと、まろ味(旨味)も感じられる。こっちも旨いね。甲乙つけ難いが、どちらかというとこっちかなあ。

 

 
蛍烏賊の沖漬けだよね。
これも、あまり頼んだ記憶がない。どうせ焼酎に合うだろうと思ってオーダーしたんだろな。どうみても酒呑みが好きそうなものだもん。

あっという間に時間が過ぎた。
旨い食いもんと旨い酒は時間を忘れさせる。
何で幸せの時間は短く感じるんだろ。解るようで解らない。

すっかり外は夜になっていた。駅の光がまばゆい。
午後8時39分発の和歌山ゆきに飛び乗る。

 

  
23時40分、天王寺に到着。

 

 
23時48分発の大和路線の難波ゆきに乗る。

 

 
ようやくJR難波駅に到着。

 

 
23時56分。期限ギリギリで改札を出た。

 

 
外に出ると、まあるい満月が夜空に掛かっていた。
ここに旅の円は閉じた。
小さく息を吐き、「これにて青春18きっぷの旅、終了。」と呟く。
春のやわらかな夜気は、どこまでも穏やかだった。

                        おしまい

 
追伸
第二章の途中で頓挫していたシリーズだが、何とか再開して10ヶ月後に完結できた。基本的には中途半端なのは嫌いなので、ホッと一安心。ようやく肩の荷が下りたよ。
思えば第一章の福井編が5話、第二章の武田尾・三田編が4話、第三章の山陽道編が2話、第四章の紀州編が3話の計14話も書いている。しかも各話が長い。自分でもよく書いたなと思う。
途中で頓挫したのは、多分この長さゆえだったのではないかと思う。書いてて、進まない終わらないで自分でも途中でウンザリしてきたのだ。そこへきてカトカラシリーズの連載が再開したものだから、そっちに力を注ぐことになったのだろう。
今年度の目標は文章を短くする事かな。でも脱線癖を治さねば無理だね(笑)。
文章を書き慣れない人は長い文章を書くのが苦手だろうが、実を言うと短い文章の方が難しい。慣れれば長い文章は誰でも書けるようになるが、それを削ってコンパクトにする方が遥かに難しいのだ。付け足すよりもソリッドに削る方が、より時間もかかるし、難産なのだ。

例によって、この日の正規運賃を示しておこう。

JR難波⇒道成寺 ¥2310
道成寺⇒紀伊田辺 ¥680
紀伊田辺⇒JR難波 ¥3080

              計 ¥6070

今回のチケットは金券ショップで購入した4回分¥6000(もしかしたら¥5000かも)のものだから、1回分を¥1500とすれば、以下の計算式となる。
¥6070ー¥1500=¥4570
つまり、¥4570もお得だったワケだすな。やっぱ青春18きっぷは、とってもお得なんだね。

そろそろ春も近い。
「かんてき」には、今年も行きたいなあ…。モチガツオと自家製カラスミは、もう1回食べたい。

(註1)シッタカみたく鋭く尖ってないから別な種だね

帰って調べてみたら、正式名称はクボガイのようだ。

 


(出展『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

 
北海道南部以南の日本各地、朝鮮半島、中国南部にかけて分布する。潮間帯の岩礫地に棲み、藻類を食べる。
「磯もの」や「磯玉」と呼ばれ、シッタカと共に海辺の居酒屋や宿などで茹でたものが出ることがある。身は小さいが、はらわたは磯の風味があり、足は甘みがあって美味。
(『Wikipedia』より抜粋)

参考までにシッタカの画像も貼り付けておきます。

 

(出展『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

 
正式名称は「バテイラ」というらしい。けどあまり使われてなくて、シッタカの方がポピュラーな名前だす。
それにしても、流石のぼうずコンニャクさんだ。食べられる魚介類は調べりゃ何でも出てくる。ホンマ、重宝しとります。

 

2020’青春18切符1daytrip 第四章(2)

 
 第2話 紀州逍遥

 
 2020年 4月10日(中編)

 
道成寺駅で次の電車を待つ。

 

 
特急くろしおがやって来た。
遠くから特急が近づいて来るのって、何だかワクワクする。

 

 
でも引きつけ過ぎて顔が切れてしまった。
さておき、特急くろしおは既に289系が導入されている筈だが、これって287系だよなあ。一挙に全部入れ替わるというワケではないんだね。冷静に考えれば当たり前なんだけどね。

暫くして、反対方向からも特急が来た。

 

 
w(°o°)wあわわっ、今度も287系だけどパンダ仕様じゃないか。
白浜アドベンチャーワールドにはパンダが沢山いるからね。でもコレって全然かわゆくないよね。

 

 
(☉。☉)ゲッ、又しても顔が写ってへーん。
一つ前の画像を拡大したら、正面の顔は確認できるけど、一応借り物の画像を貼り付けておこう。

 

(出典『Wikipedia』)

 
やっぱ全然、可愛くねーや。
ついでだから、最初の顔が切れた別タイプの車両の画像も貼っつけておきまふ。

 

(出典『Wikipedia』)

 
「特急くろしお」については前回に書いたので、気になる人は前回を読みませう。

 

 
駅の歩道橋って何となく好きだ。

 

 
線路が遠くまで見えるし、周りの風景もよく見える。
列車を真正面や真上からも見れるし、到着と出発、人の乗り降りも見える。それが好きなんだろね。

午後1:27の紀伊田辺ゆきの列車に乗る。
さて、次は何処で降りようか❓青春18きっぷなんだから、今日中ならば何処で降りようが自由なのだ。

 

 
視界が広がる。
山々の芽吹きが眩しい。南なだけに照葉樹が多いのだろう。
ここで漸く気づく、この列車って窓が広いぞ。だから視界がバーンと広がったのだ。

 

 
切目駅を過ぎた辺りだったろうか、海が見えた。
ここまで来ると青いね。綺麗だ。
以下、ずっと海〜\(•‿•)/

 

 
水平線が見えた。

 

 
しかも、ずっと目の前が海だ。
贅沢だなあと思う。特急ならアッという間だが、鈍行列車だと各駅に停まるので、落ち着いた気持ちでゆっくりと海を眺められる。何か得した気分だ。世の中、何でもかんでも速くて便利だからいいってワケではないのだ。

 

 
川を越える。
おそらく南部川だろう。

 

 
南部(みなべ)駅は素敵だ。
改札を出る前から海を感じられる。改札の先は海へと続く真っ直ぐな道だ。少し歩けば、すぐ海なのだ。そうゆう駅って無条件に好きだ。心が自然と沸き上がる。
懐かしい…。南部の海はダイビングインストラクター時代に何度も訪れているから思い入れがあるのかな。

 

 
午後2時過ぎに紀伊田辺駅に到着。
駅名を改めて見て違和感を覚える。此処を紀伊田辺と呼ぶ人は関西人でも殆んどいないだろう。皆、単に「田辺」と呼ぶ。
なのに何でわざわざアタマに「紀伊」とつけたのだろう❓
あっ、そっか大阪の東住吉区に「田辺」という地名があったな。そのせいなのかもしれない。
場所は天王寺の南南東にあり、「田辺」の他に「北田辺」「南田辺」「西田辺」「東田辺」という地名があって、東田辺を除いて同じ名称の駅がある。それぞれ路線は違ってて、田辺駅は地下鉄谷町線、北田辺駅は近鉄南大阪線、南田辺駅はJR阪和線、西田辺駅は地下鉄御堂筋線だ。

ここは、その昔「田辺郷」と呼ばれ、庚申街道や下高野街道、難波大道など数多くの歴史街道が交差することから、古来、難波宮の時代から栄えていたそうな。
「田辺」は古くは田部とも書き、飛鳥時代に朝鮮半島から渡来した豪族田辺氏が開発した土地で、隣の平野区も含め付近一帯は渡来系に因む地名が現在も残っている。
杭全神社のある杭全(くまた)地区は杭全荘を開発した坂上(さかのうえ)氏が開発した土地だと言われている。坂上氏は百済(くだら)系の渡来人で、JR東部市場前駅の百済貨物駅や百済大橋などにその名が残っている。補足すると、平安時代には今の生野区から平野区・東住吉区の一帯は百済郡と呼ばれていたようだ。生野区の鶴橋一帯が今もコリアンタウンなのは、それと何らかの関わりが有りそうだにゃ。
また駒川商店街のある駒川は高麗(こま=こうらい)の宛字だとされるし、地下鉄喜連瓜破(きれうりわり)駅の喜連は、高句麗(こうくり)の「高」を略して喜連の字を宛てたとされているみたいだ。
言わずもがなだが、百済、高麗、高句麗は何れも朝鮮の王朝名である。つまりは、古い時代からこの一帯は朝鮮系の渡来人が多く住む土地だったのだろう。

尚、なにわ伝統野菜の一つ「田辺大根」の名称は、此の地に由来する。
余談ついでにもう一つ。ちなみに北田辺は作家の開高健が育った町だ。あの巨匠のもっちゃりとした大阪弁は、田辺の地で培われたのだね。
何で、こんなに詳しいのかというと、何れの場所も自分の育った町から近かったからである。特に東田辺はすぐそこだった。
(・o・)あっ、しまった。いつの間にか脱線してたよ。メンゴメンゴ🙏

改札を出ると、駅構内に↙こんなのがあった。

 

 
田辺といえば南方熊楠だが、あの怪力無双の荒法師 武蔵坊弁慶もそうなの❓
でも弁慶って、田辺と何か関係あったっけ❓
下にある解説を読むと、弁慶の出生地は田辺だという説が最も有力らしい。(・o・;) へぇー、そうなんだ。
あとの人は知らんなあ…。あっ、片山哲は辛うじて知ってる。総理大臣だった人ね。世間一般的にはマイナー総理だけどさ。

インフォメーションで地図を貰い、駅を出る。

 

 
駅舎は残念ながら新しい。
古い駅舎の方が風情があって好きなんだけどなあ。容易に旅情感に浸れるからね。謂うなれば、お浸りロマンチスト増幅装置みたいなものなのだ。

 

 
ふ〜ん、ちゃんと駅前に弁慶さんの銅像まであるのね。
全然、紀州のイメージはないけどなあ。どっちかというと京都や「弁慶の立ち往生」で有名な平泉(岩手県)とかだよね。
いやさっ、でも紀州といえば山岳信仰の地だから、弁慶の出で立ちである山伏とは通ずるところがあるな。

田辺駅で降りて街に出たのには、3つの理由がある。
順番が逆のような気もするが、1つめは物理的な理由からだ。
何も調べてこなかったから目をパチクリしてしまったが、次の普通列車は午後4時50分発。何と3時間近くも間隔があくのである。
「バーカ、そんなの事前に調べとけよ。」と云うツッコミが入りそうだが、断固として受けつけない。それは自分の中での概念だと「旅行」だ。「旅」ではない。そうゆうことを言う人は、一生「旅行」だけしてなさい。旅と旅行とは違うのだ。
旅行は計画ありきのものだが、旅は「予定は未定であって、しばしば変更」流浪のものなのだ。
ことわっておくが、別に「旅行」というスタイルを否定しているワケではない。時と場合によっては、自分もそうゆう形式は使うからね。単にスタンスの違いだ。女の子との旅行は流石に宿は予約するからね。けんど、一人旅だと外国でさえも宿泊の予約は入れない。
とはいえオイラ、デートも綿密に計画を立てることは少なくて、待ち合わせ場所で何処へ行くのかを決めちゃうな人だからなあ…。その後も、その場その場で行き当たりばったりで決めてくからなあ。だから、時に動線が無茶苦茶になる時だってあるもんな。
たぶん、予定調和が嫌いなのだ。計画をこなす事よりも、きっと何が起こるか自分でもわからない、ようはサプライズを期待してる人なのね。
一応、言っとくけど、計画を立てるのが苦手なのではない。立てろと言われれば、完璧に立てられる人でもある。
あれっ(・o・)❓、オラ、何言ってんだろ。そんな偉そうな自慢話なんて、どーでもいいクソみたいな話だわさ。脱線太郎、スマンスマンのプチ反省(◡ ω ◡)なり。

兎に角そんな長い間、駅で待ってるワケにはいかない。気が短いから退屈すぎて死んでしまうわ。
ようは、たとえこの先へ進むにしても、時間つぶしをしなければならないとゆうワケだね。直近にして突発的理由だから、これが最たる理由なのだが、やはり順番が間違ってたような気がするね。
他の理由は、田辺に行きたい居酒屋があったことを思い出したからだ。去年(2019年)、青春18きっぷの旅について書かれた雑誌を見てたら、モデルケースの一つに紀州方面があり、田辺の居酒屋が取り上げられていたのだ。地元の珍しい食材に拘った店で、しかもリーズナブルだと紹介されていた。まあ、これとて降車する10分か15分前に思い出した事なんだけどもね。
あとは田辺市内を観光したことがないし、熊楠が生まれ育った街を見てみたいとゆうのもあった。
なんか、グダグダになってきたな。グダグダついでに、グダグダで続けよう。

ただ、それでも当初は田辺には少し立ち寄るだけのつもりだった。予定では1時間くらい居てから、もう少し先に進んで、また夕刻に田辺まで戻って来て居酒屋に行くつもりだった。でも、このまま此処が今回の旅の往路終着駅になりそうだ。こんなにも先に進む普通列車が無いとは全くの予想外だったからね。時間的にみて、次の5時前の電車には乗れない。物理的に乗れないワケではないが、乗れば夕飯どきに戻って来れない公算か極めて高い。下手したら居酒屋は諦めなくてはいけない。そう考えると、この先へは進めないのだ。
もしも道成寺で下車していなければ、13:10発の新宮ゆきってのに乗れたんだろな…。新宮までは無理としても、周参見、白浜、串本、勝浦、那智の何処かまで行って、そこで過ごしてから夕方に田辺に戻って来るというのが正解だったのかもしれない。
まあ道成寺は道成寺で、それなりに面白かったから後悔はしてないけどね。
結論。今さら考えても仕方ない。ここは腰を据えて田辺をじっくりと回り、堪能しようではないか。

 

 
先ずは居酒屋の位置確認からだ。
情報は去年のものだから移転しているかもしんないし、何か、やんごとなき事由で店を閉めている事だって有り得ないとは言えないのだ。それに、このコロナ禍の御時世だ。休業している事だってあるかもしんない。

繁華街へと向かう。

 

 
『すなっく かっぱ』に『たつまき』。
いきなりパンチの効いたネーミングの店が登場だ。
第一章の福井県敦賀編でも熱を入れて書いたが、実をいうとオジサンはスナックの変てこネーミング愛好家なのである(笑)。

「かっぱ」って、当然あの妖怪の河童のことなのだろうが、何で河童なん❓店主がカッパに似ているのだろうか❓或いは、全身緑色だったりして(-_-;)…。
それとも無類のカッパ好きなのだろうか❓だとしたら、余白があるんだからカッパの絵ぐらい入れてもよさそうなものなのになあ…。
また或いは、I君みたいにむっつりスケベのエロガッパなのだろうか❓
もしくは、店主が事あるごとに、

『尻子玉、抜いたろかぁー❗』

と叫んでるエキセントリックな店だったりしてね。
だとしたら、ちょっと行ってみたいぞ。かなり勇気いるけどさ。

『たつまき』ってのもなあ…。
何で付けたのかよくワカランぞなもし。竜巻の勢いにあやかっているのならば、そこは漢字でしょうに。平仮名に何かしたら弱まって「つむじ風」になっちまうじょ。絵も竜巻って感じじゃなくて、巻きが軽いもんなあ。竜巻を起こすくらいのインパクトのある店を目指しているなら、根本から間違ってやしませんか❓、ねぇ❓
もしも名字が「竜巻さん」だったら、即あやまりますけどー。

 

 
『蝶 Butterfly』。
店主はワタクシと同じく蝶を愛し、趣味としている蝶屋さんなのかなあ…。だったら、いいなあ(. ❛ ∇ ❛.)
で、すげー艶っぽい妙齢の美人さんなら最高なんだけどなあ。
二人して周りの客をほっぽらかして、丁々発止の熱い蝶談義を交わすのだ。
そんなの、リー即で惚れてまうでぇー💖
まあ世の中、そんな奇跡なんて有り得ないと思うけど…。
親しみ安いからか、世に、蝶だのバタフライだのパピヨンなどと云う店名の店はゴマンとあるのだ。ゆめゆめ、あらぬ期待を持ってはならない。
それはそうと、尾突がないね。そうゆう店に有りがちなアゲハチョウのシルエットではない。モルフォチョウ❓にしては微妙にフォルムが違う。詮索はよそう。間違いなく大脱線が待っている。

『磊風八 らいふうや』。
磊落の磊に風と八。店の店風というかコンセプトが豪放磊落って事なのかな❓八(や)は「屋」とかけているのかもしれない。だとしたら、中々に洒落っ気があって凝っている。好きかどうかは別だけど。

 

 
左の『乱舞』に、右の真ん中は『YAMA CHAN』やね。
スナックに有りがちな定番的とも言えるネーミングセンスだ。

『乱舞』と書いて、英語で小さく「RAN-BU」と入れるのも定番手法だ。真ん中を棒線で区切ってるところに悦があるね。
さておき、何故にスナックの名前に大胆にも乱舞なんて大仰ネーミングをしてしまうのだ❓コレもまたスナックならではの、あるある風呂敷デカめパターンだ。
けど、店のドアを開けたら、実をいうとサンバの店で、半ケツのネェーちゃんたちが群がって踊りまくりの、ホントに乱舞しているやもしれぬ。(。◕‿◕。)だったらいいなあ。
それって、間違いなく楽しそうだもんなあ(✿^‿^)

『YAMA CHAN』。
このアダ名を横文字化する手法も多い。普通に「山ちゃん」でいいと思うんだけど、変にカッコつけてネーミングしてしまうのがスナックカルチャーなのだ。

たぶん店主は山田さんか山本さんだろう。
山野さんとか山下さん、山村さん、山川さん、山上さん、山口さんに、山崎さん、山中さん、山森さんかもしんないけどさ。あらま、これだけでもかなりポピュラーなのが揃っているじゃないか。それこそ、他にも山と有りそうだ。失礼、思わずクソ駄洒落を言っちまったよ。
改めて山がつく名字っていっぱいあるんだなあ。山で始まるものだけでも凄い数になりそうなんだから、これに山で終わる名字の中山とか大山や、小山内や小宮山など3文字の山入り名字まで含めるとなると、とんでもない数になりそうだ。

調べてみたら、何と山とつく名字は全部で260種類くらいあるんだとさ。
恐るべし❗、マウンテン名字勢力。

 

 
『スナック 可憐』。
怒られそうだけど、中に入って可憐な女性がいる確率は1000%ないだろう。むしろ、それと正反対のオババがいて、ズケズケと何やかやと説教される確率の方が遥かに高い。
スナック愛好家って、もしかしたらこのギャップを愉しんでいるのかもしれない。自分は、あくまでも「スナック変てこ名前愛好家」であって、スナック愛好家ではないから(スナック好きではある)、その辺りのマニア特有の心情まではワカンナイけどさ。

『スナック ウィ』
何じゃそりゃ❗❓である。
途中、後半部が何らかのアクシデントで欠落しているのではないかと思ったけど、その痕跡は全くない。
一瞬、アフリカの得体の知れない言葉、たとえば呪術師の呪いの言葉じゃないかとさえ思った。それくらい尻切れトンボの違和感がある。
ウィは「ウィ マダーム」とかのフランス語だろうか❓それとも英語の「私たち」を意味する「We」なのだろうか❓どっちにしても意味不明だ。
店主の飼っている九官鳥のQちゃんの口グセとか返事が「ウィ」だったら、納得します。名前なんて本来は付けた本人が満足してさえいればいいのだ。(╯_╰)トホホ…、段々そう思えてきたよ。
とはいえ、しかけたオ○コはやめられないのと同じで最後まで続ける。

 

 
『すなっく 於恋路』。
漢字の部分はオレンジと読む。来夢来人(らいむらいと)とかに代表されるスナック文化定番の宛字ジャンルだ。
「於」の意味から検証しよう。
①おいて。おける。時間や場所を表す。 ②ああ。嘆息・感嘆の声。「於乎(ああ)」
恋をする場所ってことを言いたいのかな❓それとも単に嗚呼という感嘆を表しているのだろうか❓もう恋なんてしないとか。
だとしても、そもそも何でオレンジなん❓そこからして大いなる謎だ。恋とオレンジが繫がらない。
きっと全身オレンジのオバハンが、恋路の難しさに嘆息を連発している店なのだろう。
何かもうヤケクソな感じの無理からコメントになってきたな。己の想像力の貧困さに、嗚呼と嘆かざるおえない。

えー、店々の皆様、勝手な想像を並べ立てて、m(_ _)mすいません。
あたしゃ、アタマがオカシイのです。許してつかあさい。

アホな妄想をしているうちに目的の居酒屋の店前に到着。

 

 
『紀州魚介庵 かんてき』。
にしても予想外のポップな看板だ。オシャレですらある。頑固なクソ親父がやってると勝手に想像していたが、若くて可愛いピチピチGALの店だったりしてね。(◍•ᴗ•◍)❤だったらいいなあー。
いんや、そんなワケあるめぇー。どうせアルバイトに若い娘なんかがいて、その娘に描いてもらったというパターンに違いなかろう。

ちなみに看板の上側の店も気になるね。
『やすらぎの館 彩』かあ…。ワタシもやすらぎたい。彩の膝枕してもらってやすらぎたい。

とにかく、とりあえず目的の店はあった。
大阪がコロナで非常事態宣言になってるから、まだ予断は許さないけど、一応は一安心だ。もしダメなら『蝶 Butterfly』か『やすらぎの館 彩』に行くよ。どっちも閉まってたら、カッパをブン殴って帰る。

さて、あとはどう時間つぶしするかだね。
とりあえず南方熊楠関係だろなあ。

 

 
南方熊楠顕彰館。
熊楠が遺した蔵書・資料等を保存・公開し、熊楠に関する研究を推進、情報発信もしてるとこなんだそうだ。
入場料は350円。安いのか高いのかワカランな。いや、妥当かなあ。とにかく折角ここまで歩いて来たんだから入ろう。

 

 
熊楠を知らない人もいると思うので、解説しておきます。

南方熊楠(みなかた くまぐす 1867~1941)
日本の博物学者、生物学者、民俗学者。
生物学者としては粘菌の研究で知られているが、キノコ、藻類、コケ、シダなどの研究もしており、さらには高等植物や昆虫、小動物の採集も行っていた。そうした生態調査に基づくエコロジー(ecology)的な見地を早くから日本に導入したことでも知られ、博物学、民俗学の分野における近代日本の先駆者的存在である。
和歌山城下に生まれ、大学予備門(現東京大学)退学後に渡米、さらにイギリスに渡って大英博物館で研究を進めた。『ネイチャー』誌に寄稿した多くの論文が掲載されており、その数51本は、現在に至るまで単著としては歴代最高記録であるという。
帰国後は田辺に定住。多くの論文を著し、生涯を在野で過ごした。
フランス語、イタリア語、ドイツ語、ラテン語、英語、スペイン語に長けていた他、漢文の読解力も高く、古今東西の文献を渉猟した。熊楠の学問大系は博物学、民俗学、人類学、植物学、生態学など様々な分野に及んでおり、一つの分野に関連性があるもの全てを知ろうとするものであった。その厖大な知識の網を下敷きとした研究は、曼荼羅にもなぞらえられている。謂わば「知の巨人」である。親交のあった民俗学の父とも呼ばれる柳田國男は、彼を評して「日本人の可能性の極限」とまで称していたという。
また熊楠の言動や性格が奇抜で人並み外れたものであっために奇行も多く、後世に数々の逸話も残している。

隣は南方熊楠邸だ。

 

 
って云うか、南方熊楠顕彰館が邸の隣に建設されたというのが正しい。つまり最初に邸ありきなのだ。

 

 
質素な建物には桜よりもミツバツツジの方がよく似合う。
ふと熊楠に似合う花は何だろうと考える。でも何にも浮かばないし、女性ならまだしも男性を花に見立てるのには無理がある事に気づいて、苦笑いする。

さて、次は何処へ行こうか❓
そういや居酒屋が載っていた雑誌には老舗の蒲鉾屋もあったことを思い出し、スマホでググる。便利な時代になったもんだ。行き当たりばったり度が下がるけどさ…。否、これもまた一つの行き当たりばったりか。

たぶんコレであろうと思われる店に向かって歩く。

 

 
連翹(レンギョウ)だろうか、道すがら黄色い花が咲いていた。
いやゴメン、エニシダ(金雀枝)だわさ。とにかく春だなあって感じだね。
ふと思う。そういや頓挫していた町田町蔵(町田康)が熊楠を演じた映画(註1)って、どうなったのだろう。完成したのかな❓
町田康は芥川賞だけでなく川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞、萩原朔太郎賞も受賞しており、今や小説家・詩人として有名だが、その昔は町田町蔵と名乗る伝説のパンクロッカーだったんだよね。INUというパンクバンドのボーカリストで『メシ喰うな!』という曲が多くのミュージシャンに影響を与えた。筋肉少女帯の大槻ケンヂもカヴァーしてた筈だ。
また役者としても評価されていて、石井聰亙監督のカルト映画『爆裂都市 BURST CITY』にも出演していた。たぶんサイドカーの横に乗ってた狂暴でイカれた奴だったと思うけど、間違ってたらゴメンよ。
何で町田町蔵の事にそんなに詳しいのかというと、大学時代の演劇部の後輩が町蔵の妹だったからである。
妹曰く、小さい頃から変人で、家の中でテントを張って生活してたらしい。そういや遠足に行く時は体操服じゃなくて、全身本格的な登山の恰好だったとも言ってたなあ。

蒲鉾屋に着いた。

 

 
「たな梅」。
如何にも老舗と云う店構えだ。
古い木造建築って、ホントいいよね。自然と心が和む。

しかし、中に入ってビックリ。
結構なお値段なのだ。どれも贈答用って感じの高級蒲鉾店でござんした。1、2枚をオヤツがわりに食おうと思ったのだが、そんな気安い値段のものはない。町の蒲鉾屋ってのは、だいたいが店先で揚げてたりするものだが、そうゆう庶民的な気安さは微塵もない。
一瞬、見栄を張って買ったろかと思ったけど、止めておくことにした。遠く離れた土地だ。この期に及んでチンケなプライドは要らんだろう。それにそもそも熱烈な練り物好きでもない。嫌いじゃないけど、小躍りするほど好きなものでもないのだ。だいたい、こうゆう練り物製品ってさあ、高級な魚を使ったからといって仰天する程に旨くなるかといえば、そうでもないんだよね。もちろん上品で旨いんだけど、じゃこ天とか安物の魚を使ったものでも旨いっちゃ旨いもんな。つまり値段の差ほどには、味に無茶苦茶に差があるワケではないんだよなあ。
「明らかに全然違う❗」と、ネスカフェ・ゴールドブレンドの人みたく「違いのワカる男」には叱られても仕方ないけどさ。でも、そこまで練り物愛があるワケではないのです。

時間がまだあるから、天神崎まで行こうかなと思った。
駅からでも歩いて30分くらいで行けると書いてあったからね。今からだと、ちょうど夕日が沈む時間になるかもしれないしね。
天神崎も懐かしい場所だ。ダイビングインストラクター時代に何度か潜ったことがある。風光明媚なロケーションで、日本初のナショナルトラスト運動(註2)が行われた場所としても知られている。熊楠の精神が市民に息づいていたとも言えるね。
そういや南部側からダイビングショップに1回だけ連れて行ってもらったけど、何回も細い道を曲がったんだよね。結構、辿り着くのは大変なのだ。でも一年後、一切の迷いなく辿り着いたから、アシスタントのI君が驚嘆してたんだよな。おっ、そうだ。もう一つI君を驚かせた事があったな。水中に潜ったら、その日はヒオウギガイ(緋扇貝)がわりといたんだけど、何かピピッときたのがあったので、拾ってお客さんの前で開けたら、共生だったのかな❓中に小さなカニがいたんだよね。手品みたいだったので、お客さんもI君も目を丸くしてたっけ。ガイドとしては、プロフェッショナルだよね。
あっ、また自慢話をしてしまったなりよ。でも当時は、そうゆう能力が結構あったんだよね。だから周りを驚かすことが結構あった。あの能力、どこいっちゃたのかなあ❓
懐かしいし、行ってみたい気持ちはあったけど、でも中途半端な時間ではある。行って帰ってきたら、居酒屋の開店時間に間に合わないかもしれない。大阪に帰る時間を考えるならば、8時半くらいの電車に乗らなければ今日中には帰ってこれないのだ。無粋だが、夕日よりも居酒屋に出来るだけ長くいたいというのが本音だ。あるこほる中毒者は一刻も早く酒を呑みたいもんねー。

となると、別な方法で時間つぶしせねばならない。

 

 
鬪雞神社(とうけいじんじゃ)。
「鬪鶏神社」「闘鶏神社」とも表記される由緒正しき神社だ。
旧称は田辺宮、新熊野、新熊野雞合大権現。通称は権現さん。

境内に入る。

 

 
創建は允恭天皇8年(419年)。允恭天皇が熊野権現(現在の熊野本宮大社)を勧請(分霊)し、田辺宮と称したのに始まる。
なるほど、屋根の形に見覚えがあるなと思ったのは、そうゆう事なのね。

白河法皇の時代には新たに熊野三所権現を勧請し、平安時代末期の熊野別当・湛快のときに更に天照皇大神以下十一神を勧請して新熊野権現と称して湛快の子の湛増が田辺別当となった。弁慶は湛増の子と伝えられ、その子孫を名乗る大福院から寄進された弁慶の産湯の釜が今も残っている。
なるほど、弁慶の出生地とされているのは、そうゆう事だったのね。

 

 
ゆえに此処にも弁慶の銅像がある。
尚、熊楠はこの神社の娘と結婚している。郷土の有名人二人が闘鶏神社で繋がってるんだね。

本殿に詣でる。

 

 
国生みの女神である伊邪那美命が祀られてるんだね。

 

 
狛犬も神社の歴史の古さを思わせる年季の入りようだ。

田辺は熊野街道の大辺路・中辺路(熊野古道)の分岐点であることから皇族や貴族の熊野詣の際は当社に参籠し、心願成就を祈願した。熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)の全ての祭神を祀る熊野の別宮的な存在であり、鬪雞神社に参詣して三山を遥拝して山中の熊野まで行かずに引き返す人々もいたという。
そういや学生時代に彼女と旅行した時に熊野三山の三社とも行ったんだよな。勝浦、那智、瀞峡、湯の峰温泉と巡ったんだった。
とても綺麗で、賢くて性格の良い女性だった。あの頃が一番幸せだったかもしんない。

『平家物語』などによれば、治承・寿永の乱(源平合戦)の時、湛増は社地の鶏を紅白2色に分けて闘わせ、白の鶏が勝ったことから源氏に味方することを決め、熊野水軍を率いて壇ノ浦へ出陣したという。
このことから「闘鶏権現」や「新熊野雞合大権現」と呼ばれるようになったが、明治の神仏分離の際に「鬪雞神社」を正式な社名とした。
2016年には世界遺産委員会継続会議において、世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に追加登録された。
そっか、世界遺産なのか。
余談だが、プロ野球の独立リーグ(BASEBALL FIRST LEAGUE=関西独立リーグ)に2017年より加盟した和歌山ファイティングバーズは、この神社がその名の由来となっている。

神社で、だいぶと時間つぶしができた。
時間が止まったような町並みを眺めながら、ぼおーっとする。学生時代の彼女に想いを馳せる。懐かしさと後悔とで心の中が溢れ出しそうになる。でも今さらアレコレ考えたところでどうにもならない。苦しいだけだ。
立ち上がり、トパーズ色の街を駅に向かって歩き出した。

                        つづく

 
追伸
次回、いよいよシリーズ完結編です。
いよいよって云うか、漸くだけど。

  
(註1)熊楠の映画
山本政志監督『熊楠・KUMAGUSU』。
主演 渡辺哲、町田町蔵。出演 泉谷しげる・室井滋ほか。1991年6月に撮影開始、10月完成予定であったが資金難で中断。2007年10月、弁慶映画祭においてパイロット版が上映された。とゆうことは未完成で終わったみたいだね。
ちなみに、町田の演技は破天荒な熊楠を彷彿とさせるものがあり、高い評価を得ているようだ。

 
(註2)ナショナルトラスト運動
自然環境を経済を優先した開発による破壊から守るため、市民活動によって保護すべき地域を設定して買い上げたり、または自治体に買い上げを求め、次世代に伝えていくために管理・保全してゆく活動。
イギリスのボランティア団体「ナショナル・トラスト」によって行われた活動を原型として世界各地に広がった。

 

青春18切符oneday-trip春 第一章(4)

 
 第4話  昭和タイムスリップ

 
気比神宮を離れ、飲食店が集まった敦賀の歓楽街とも言えるゾーンに潜入する。

此処に、敦賀へやって来た本当の理由がある。と云うか、それがこの旅一番のメイン・イヴェントだ。ギフチョウ(註1)採りなんぞは、そのついでに過ぎない。

エリアに入ると、いきなり目を引く看板があった。

 

 
『働き』❓
店みたいだけど、(+_+)何じゃそりゃ❓である。
いったい何屋やねん❓ 見当もつかんわい。
と思ったら、影になっているものの、ちゃんと居酒屋と書いてある。店の名とメルヘンチックな絵に目がいっちゃって気づかなかったよ。

 

 
でもよく見ると横の看板のサイド面に小さく「韓国家庭料理専門」と書いてある。どうやら韓国居酒屋のようだ。にしても、こんなおバカな店名、フツーつけるかね❓
百歩譲って『働き者』ならまだしも、ナゼに『働き』と、途中でプツッと途切れたみたくなってるのよ❓
「韓国家庭料理専門」と云うのもオカシイ。本来ならば「韓国家庭料理専門店」とするのが妥当で、コチラも尻切れトンボ感がある。この宙ぶらりん的残尿感、どうしてくれよう。何処にも心の行き場がないじゃないか。

壁から何か玉がブラ下がっているのも変。正直、理解不能で気持ち悪い。何本かのビニール傘が乱雑に立て掛けられてるのも違和感を助長している。きっとアタマが👼天使な人がやってるのだろう。でも、こう云う店が案外🎯当たりだったりするんだよな。段々この店、実は知る人ぞ知る店で、メチャクチャ旨いんじゃないかと思えてきた。今日は目的があるから無理だが、次回敦賀に来る機会があれば、是非ともチャレンジしたいところだね。

本来の店探しとは、情報など無く、自分の勘と経験だけでフラリと店に入るべきものだろう。己の嗅覚に頼り、信じる。それが店探しの醍醐味だ。謂わば『孤独のグルメ』の世界だ。それこそが正しい有り様(よう)じゃないか。食べログは便利だけど、カーナビとおんなじで人をアホにする。

それにしても、変な名前だよなあ。何がどうなって、こうなったんだろ?まるっきり経緯が想像できない。
しかし、こんなものはただの序章に過ぎなかった。

 

 
上段の『スナック 5年3組』も変だが、これはよくあるオチャラケ系だから理解できなくもない。昭和の時代は、〜組というのがそれなりに流行ったのだ。ラッツ&スターの「め組の人」とか、おニャン子クラブの「後ろ指さされ組」とかさ。
問題はむしろその下の『甘雨』だ。『甘雨』って何なんだ❓およそ、店の名前らしくない。
それによく見ると、その下に『タンヒ』と云う意味不明のルビが振ってある。
「甘雨」は少しは何となくイメージできそうだが、「タンヒ」という言葉は全くもって聞いたことがないし、何も類推できない。その場でググる。

丹翡(タンヒ)という中国っぽいものしかヒットしてこない。
漫画かゲームか知らんけど『Thunderbolt fantasy 東離劍遊記』というモノの登場人物らしき丹翡(タンヒ)というのしか出てこないのだ。仕方なしに内容を確認してみる。

この『東離劍遊紀』、どうやら台湾では知らない人はいないと云う大ヒット人形劇で、丹翡とはそのヒロインの名前らしい。日本でもメディア展開され、宝塚歌劇団の星組もリメイクしたようだ。何と偶然にも現在、BS日テレで放映してるのも見つけたよ。恥ずかしながら、(^~^;)ゞ全然知らんかったー。

 
【丹翡】

(出典『Thunderbolt fantasy Project』)

 
ついでに甘雨もググると、以下のような解説が出てきた。

【甘雨(かんう)】
程好い時期に降って草木を潤し、育てる雨。慈雨、滋雨(じう)。膏雨(こうう)

あの『日本霊異記』に「水を施し、田を塞ぐ。甘雨時に降り、美(よ)き誉長(とこしへ)に伝ふ」と云う一節があるようだ。もしかして、それ由来❓だとしたら、奥が深い。
あっ、『日本霊異記』とは平安時代の初期に景戒によって書かれた日本最古の説話集『日本国現報善悪霊異記(にほんこくげんほうぜんあくりょういき)』の事ね。あまりに長いタイトルなので、『日本霊異記』や『霊異記』と略して呼ばれることが多い。上・中・下の三巻に分かれ、変則的な漢文で表記されている。
もちろん原文は読んどりまへん。処々、断片的に読んだだけっす。

もしもこの『甘雨 タンヒ』が『霊異記』と『東離劍遊紀』のヒロインを繋げてのネーミングとあらば、相当に博識の方が名付けたのではあるまいか?と震撼しそうになったが、有り得ないよねー。そんな博覧強記な人が同時に『5年3組』とは名付けるワケないもん(++)
とはいえ、確率はゼロではない。知ってて同時併記しているならば、とんでもない人物ということになる。
(ー
ー゛)アレ❓、何言ってんだろ俺。2つの店が同じ経営者とは限らないではないか。玄関が鍵付きの扉だし、店名がセットのように併記されているから、てっきりそうだと思い込んでたよ。何だか頭の中がゴチャゴチャになっとる。
ホールドアップ。お手上げだ。もしも、この謎の店名がどうしても気になるという人は、敦賀まで行って直接店主に訊いとくれ。

と、ここまで書いて、画像を拡大したら\(◎o◎)/どひゃあ〜。

 

 
なんと「タンヒ」ではなく、「タンビ」と語尾が濁っとるやんけー。イチから調べなおしじゃよ。
調べながらも、ふと頭を過る。タンビとは耽美主義の耽美かも❓耽美ならば、その店に耽りハマるという願いが込められていてもオカシクない。でもそれってカタカナにする意味があるのかね❓

結果、どうやら韓国語であることが判明した。
ハングルで『단비』と書いて、タンビと読むようだ。
漢字にすると「甘雨」「慈雨」となり、意味は「恵みの雨」。これで漸く繋がりましたな。

この字は女性の名前にも使われるようだ。と云うことは、店主の名前がタンビさんで、それがそのまま店名になった可能性が高い。
これで完全に謎が解けましたな。解ってしまえば、どうという事はない。でもこの時点では、頭の中に韓国と云う発想が全く無かったのだ。だって韓国人の多い大阪生野区辺りだったら類推できても、ここは福井県の敦賀なのだ。まさか韓国系のネーミングだとは夢にも思わんでしょうよ。

 

 
『居酒屋どんたく』って、博多かよ❗❓
でも一切、博多料理とか九州料理とは書いていない。
もしかして「博多どんたく」とは関係なくて、語源であるオランダ語の「zondag」が訛った「どんたく」を意識したものかもしれない。それだと意味は日曜日とか休日になる。
でもそんな捻った名前を果たして居酒屋がつけるかね❓
┐(´(エ)`)┌たぶん付けないね、せにょ〜る。

『居酒屋だるまや』ってのもなあ…。
あえて何にも言わないけどさ。

まあ、それらはまだしも『スナック オンリー遊💕』ってどうよ❓
この英語に漢字を宛がうネーミングって『来夢来人(ライム・ライト)』とかに代表される完全にダサダサ系昭和センスだ。
そう云えば、実家に同じ店名の喫茶店があったな。小柳ルミ子の歌にも、そんな曲名があったような気がする。
(・o・)ん❗❓、そっちが原典か❓全国のルミ子ファンが、こぞって我が店に名付けたとか❓(笑)

目的の場所が開店するまでには少し時間があるので、時間潰しに辺りを徘徊することにした。

 

 
右から『スナック 童夢』『アクアマリン』『Story(ストーリー)』。

「童夢」といえば思い出されるのは、レーシングカー会社「童夢」。そして、もう一つは漫画家 大友克洋の代表作の一つであり、第4回日本SF大賞を受賞した「童夢」だ。小説以外の作品での同賞初受賞と云うスゴい作品である。ワテも初めて読んだ時は衝撃を受けた。当時は映画化不可能と思ったが、今のCG技術なら可能なんじゃないか?誰ぞ、映画化してくれんかのう(•ө•)

どちらかの熱烈なファンなのだろうか…。にしても、パクリ感満載だ。
因みに、漫画は昭和の終わり頃の作品だ。レーシング会社の活動は今に至るが、ステッカーなどが流行ったのは昭和の時代である。昔は車にこのステッカーを貼った走り屋の兄ちゃんが沢山いたね。懐かしいわ。

「アクアマリン」って、何だかダイビングショップの店名みたい。アクアマリンは、ラテン語で海水って意味だからね。でも、きっと宝石のアクアマリンを意識してのネーミングだろね。どうあれ、宝石を店名にするのは昭和的だよな。

『Story』。
ストーリー=物語である。あまりに陳腐過ぎるネーミングゆえ、コメントのしようがない。
「この店で、アナタのストーリーを作って下さいね。」とでもいうのだろうか❓

「ニュー東京ビル」というネーミングも、如何にも昭和くさいや。

 

 
『ラウンジ アクセス』。
何処へアクセスすると云うのだ❓
ラウンジなのに、看板のテキトー過ぎるクオリティに笑ってしまう。雑だよなあ。

 

 
『スナック 薔蘭』。
イージーに薔薇と蘭を引っ付けたんだろなあ…。
薔薇と蘭をこよなく愛する店主なのかな❓にしても、好きなもん同士を合体したとするなら安易だよな😚

ところでコレ、何と読むんだ❓普通に読めば「バラン」だよね。それって怪獣の名前っほくね❓もしくは寿司折りとか弁当の仕切りの、あの緑色でギザギザのヤツ。

(. ❛ ᴗ ❛.)何か段々面白くなってきたぞ。
この調子だと、まだまだ変なネーミングの店がありそうだ。

 

 
わーい\(・∀・)/、大量確保じゃよ。
🎵右上からいってみよっ。

あーた、『お嬢』って…(^~^;)
これまた大胆に自身のことを表現しましたなあ。

その下の『16区 in Pairs』もツッコミどころ満載である。
敦賀なのにパリ16区を名乗るとは、時空を超越されてるのね。解った。たぶん店内とパリ16区は特殊なトンネルで繋がっているのだろう。

お次は真ん中の列。
\(☆▽☆)/おー、『Cat’s Eye(キャッツ・アイ)』とな。スナックネーミングの王道じゃよ、王道❗
(ΦωΦ)ニャーゴーの猫目のことじゃないよ。キャッツ・アイといえば、レオタード姿のセクシー美人三姉妹の怪盗でしょうよ。泥棒猫なのだ。アンタの心を盗みますってかー。
ちょっと怖いけど、🤩入ってみてーなー。
きっとセクシーな美人三姉妹が迎えてくれるに違いない。若いかどうかの保証はないけどもね。

その下の『凛』と『一花』もツッコミたくはあるが、もうアタマが別な観点でしか見れなくなっているから、よそう。冷静にみると、この程度ならマトモの範疇だ。

それでは最後の左列に移ろう。
上から『すず』『1one million』『祐綾亜(ユリア)』『心愛』。
どれも微妙だなあ…。

『すず』はナゼに漢字にしないのだ❓鈴なのか、錫なのかがワカラン。名前だから広瀬すずのすずでいいのか❓まさか広瀬すずの熱烈なファンのマスターがやってるとか❓
あっ、ゴメン。よく見ると右上に鈴の絵の上に「鈴」と書いてあるわ。早くも注意力が散漫になっとりまんな。

『1 one million』。
一見すると、フツーにダサいだけの名前だ。でも、よくよく考えてみると、何か変だ。one millionは100万のことだが、店名に100万は変っしょ❓ 普通はone millionとあらば、100万$ナイトとか、100万$の男だとか、ドルと後ろに何かをつけるもんっしょ❓だいち100万$は1億700万円〜800万円だが、100万は、あくまで百万だぞ。金額のスケールが圧倒的に小さくねえか❓
だいち、最初に「1」のみがバーンときて、下にone millionってなってるのは何ゆえ❓
「1」を強調しているって事は、本当はナンバーワンを意識したと云うことなの❓
もう、\(◎o◎)/ワッケわかりませーん。

『祐綾亜(ユリア)』…ね。
ユリアといえば、真っ先に思い浮かぶのが漫画「北斗の拳」のヒロインの名前だ。それに憧れて名付けたのかな? にしても、宛字がよく見りゃ変くないかい❓「綾」を普通は「リ」とは読まんしょ❓ 音読みするにしても、「りん」もしくは「りょう」でしょうよ。重箱の隅をつつく小姑みたいでヤだけどさ。

最後の『心愛』はルビが振ってないけど、たぶん「ココア」って読ませるんだろなあ…。
あっ、又しても注意力散漫。後ろの色柄に紛れて気づかなかったけど、これもちゃんと「ここあ」とルビが振ってあるわ。

ユリアもそうだけど、英語だけでなく、カタカナや平仮名までも無理から漢字にするのも昭和の時代が発祥ではないだろうか?ツッパリが好んで使ってた「夜露死苦(ヨロシク)」とかさ。今から思うと相当ダサいけど、それがカッコイイと思われていた時代もあったのだ。
いや、違うな。オラは当時からダサいと思ってたもん。訂正しよう。それをカッコイイと思う人が一部いた時代が嘗(かつ)てあったのだ。若者よ、驚愕したまえ。昭和はダサいのだ。しかし、昭和の時代はおおらかであったかい。

 

 
『はな・び』❓
壁の看板のデザインから花火のことだと理解できるが、にしてもナゼに間に「・」が入るのだ❓あえて「・」で区切る意味がワカラン。
それより何より、1Fがスナックで2Fが「メン’S」というメンズオンリーのゲイバーで、3Fがうどん屋という凄い組み合わせのビルかと思いきや、どうやら3つ並べて1店舗のようなのだ。脳内が物事を処理できずに、❓❓❓の嵐になる。「うどん屋 はな・び」なら、まだギリで理解できなくもないが、ナゼにうどん屋がメンズという男性専科的なものと合体するのだ❓まさかまさかの女人禁制のうどん屋だったりしたら、スゲーんだけどな。

ここで、ようやく理解する。メン’Sのメンは、おそらく麺のことなのだ。だったら麺’Sでよいではないか。何ゆえカタカナにする必要性があるのだ❓(ノ`Д´)ノ彡┻━┻えーい、ややこしいわい‼️
だいたい、この看板にはうどん屋的雰囲気が全然ないじゃないか。どうしてこうなっちゃうのかなあ…。

 

 
『jyutan snack 女騎士館』。
スゲー斬新。アマゾネスかよ❗❓
甲冑を着た屈強なお姉ちゃんたちに、jyutan(絨毯)に跪(ひざまづ)かされ、甚振(いたぶ)られるとかスペシャルプレイがあるのかな❓
Mっ気はないけど、中を覗いてみたい好奇心に駆られるよ。

 

 
『バニーガール』。
(^3^♪いいねー、🐰バニーちゃん。オジサン、とっても好きです😍💞❗
にしても、店名に『バニーガール』って付けてしまえるメンタリティーってスゴイな。簡単そうで中々付けれるものではない。バニーガールが店内にいなけりゃ、詐欺だもんね。けど、こんな地方都市のスナックに、バニーガールがホントにいるのかなあ…❓今や都市部でもバニーガールは絶滅危惧種で、探すのは大変だぞ。だいたい、あんな格好してくれる女子とかって、今どきいるのかね❓

バニーガールで思い出した。そういえば大学時代にクラブ対抗の体育祭があって、ウチの部はワシの権限で一回生に仮装をさせた。で、一人の女の子にバニーガールの衣装を強制的に着させたんだよなあ…。今なら完全にパワハラ&セクハラのWハラスメントだと糾弾されても致し方なかろう。
で、その娘のスタイルがこれまた抜群であった。おっぱいデカいし、足がとっても綺麗でウエストもキュッと締まっていて尻(ケツ)プリ。いわゆるボーン、キュッ、ボーンのスラーッなのだ。顔はウーパールーパーだったけどさ(笑)
彼女を見た他のクラブのアホどもが言ってたなあ…。

『五十嵐さん、アレは反則ですわ。あんなん見させられたら、走れませんやん。ワシら、ジャージですし。』

言った奴の股間を見たら、ホンマにテント張っとった。
アレは笑ったなあ…。
ところで、今どきの若い男子って、果たしてバニーガールの存在を知ってるのかね❓知らないとしたら、嘆かわしいことだ。即、ググリなさい。で、おっ勃てなはれ。
あっ、涼宮ハルヒちゃん(註2)がバニーガールの姿をしてたから、若者も意外と知ってるかもな。

ちょっと待てよ。よくよく考えてみれば、バニーガールといえばクラブとかラウンジ的なもので、高級感がそれなりにある。スナックでバニーガールって、少し違和感がある。ちょっと安っぽくねえか?嫌な予感がするよ。
もし店に入って、オバちゃんのバニーガールだらけだったりしたら、引くなあ。絶対に全員が小太り以上の体格だろうから、肉が網タイツに食い込んでボンレスハムみたくなっとるに違いない。そう考えると、入るの怖いなあー。

 

 
『ロングパット』。
ゴルフ好きの人なんでしょうな。
好きなモノの名前をつけたがるのは解る。でも、いいのかそれで❓ゴルフに興味のない者は絶対入らんぞ。
まあ、「ワシの店じゃ。ワシの好きにして何が悪い❓」と言われてしまえば、返す言葉もないんだけどね。
それはさておき、店名の上の黒白のバーコードと云うか簾(すだれ)状のものはいったい何なのだ❓
もしかして、テントをビニールテープでとめてる❓

スナックやラウンジの他にも、名前が変なの目白押しだよ〜ん。

 

 
🥶ア➖➖➖➖ギ❗
控えめに叫んでみる。
そんな事をしても、大いなる疑問が解決するワケもない。脳味噌レベルがフツーな人間には全く意味不明の単語だ。
沖縄言葉かとも思ったが、調べても沖縄言葉にそんな言葉は見当らなかった。ゆえに今もって謎のままである。

 

 
『敦賀 コンパ』。
一見したところ居酒屋っぽいが、何屋か書いていない。コチラも謎過ぎる店名だ。
ここで敦賀の若者たちが夜な夜なハレンチなコンパをしているのやもしれぬ。だったら、ワシも行くぅー(☆▽☆)❗
気になるのでググる。ホントにそんな店ならば、絶対行くぞ。

すると、色んな事が分かってきた。ワタスの見立ては完全にハズレで、居酒屋ではなくてダイニング・バーのようだ。元祖敦賀焼きソバとステーキが有名なんだってさ。特に焼きソバは、全国のコアな焼きそばファンにも知られているらしい。

ちなみに「コンパ」というのは昭和30~40年代に流行した飲食店の業態で、「パブ」「スナック」「バー」「スタンド」などと同列のジャンルらしい。そっかあ…。この言葉って一度廃れてから別な意味あいとして復活したってワケやね。
オジサンも、マジ(ToT)コンパしたいよー。

 

 
『ちょっと変わった焼肉居酒屋!! うしなべ 梅ちゃん』。
端で興奮してるマッチョな牛がポージングしておる。結構変わった名前だと思うけど、『居酒屋アーギ』と『敦賀コンパ』の前では、インパクトに欠けると言わざるおえない。

名前は特別変わってるワケではないけれど、怪しい中華料理屋も見つけた。

 

 
全面山吹色と云うアヴァンギャルドな見てくれだ。
しかし名前の『唐子(からこ)』は、どこか旨そうな雰囲気を醸し出している。でも入るとしたら、ゼロ百の賭けだろなあ…。
因みに唐子は女の人の名前ではない。中国風の髪形や服装をした子供や頭の左右にわずかに髪を残して他を剃るその髪型、または「唐子人形」の略である。つまり、それなりに考えられたと覚しき店名なのだ。そう云う人がやっている店ならば、それなりに期待が持てようと云うワケやね。

 

 
こっちは紅色だ。

 

 
右側の漢字だらけの本格的なメニューを見ると、かなりヤル中華屋なのではと思った(ピッチアウトすると、画像拡大できます)。
しかし、店名が『中國料理 敦賀』。コレがやや引っ掛かる。○○飯店とあれば、中国人がやってそうだから更に期待値が上がるが、この店名だと日本人の経営っぽい。相対的に世界どこでも中国人が作る中華の方が旨いのだ。
それに右横に電光掲示板があるのも気になる。安っぽくて、センス台無しなのだ。
ここも、入るにしても賭け率は決して低くはないだろう。しかし、次回敦賀に来訪した折にはトライしてみる価値はあるだろう。

この2軒、しかも斜め前同士にあって、目と鼻の先にある。極めて近いのだ。普通は中華街でもなけりゃ、こんな近くに中華料理屋が近接する事など稀だろう。そこに両中華料理屋の長きにわたる確執と血みどろの歴史があったりしてね(笑)。

 

 
解るような解らんような、ツッコミを入れたくなるような入れたくないような微妙な店名が並んでいる。とりあえずスルーしとこっと。

 

 
右から、『スナック やよい』『No.2』『ナイトスポット 沖縄』『スナック ゆず』『Happy voice(ハッピーボイス)』。

『やよい』と『ゆず』は、まあいいとしよう。
まず気になるのは『NO.2』。
なぜにNO.1ではなく、ナンバー・ツーなのだ…。もしかして2号店❓
だとしても、ナンバー・ワンの次の店にナンバー2って普通つけるかね❓それじゃ、あまりにも何も考えとらんって事になるじゃないか。

しかし、探しても『NO.1』と云う店は見つからなかった。ならば、最初から『NO.2』と名付けたと云うワケか。
俺はナンバー2が好きなのさ、そこに男の美学があるとか何とか面倒くさいタイプの店主なのかもしれない。個人的には、そう云うのって嫌いじゃないけどね。

『ナイトスポット 沖縄』って…(笑)
一瞬、風俗かと思ったよ。それと同時に、ここが何処だかを忘れそうになったわ。何で、敦賀で沖縄やねん…。それ程までに敦賀市民は沖縄を求めておるのか❓

『Happy Voice』。
店内に明るい声が響くのを願ってのネーミングだろうか?
ゴメン。陳腐過ぎて、それ以上はコメントのしようがないな。

 

 
(゜o゜;キタ➖➖➖➖➖➖ッ‼️
『隠れ家 来人 Light』。
英語に漢字を宛がうと云えばお約束の「来夢来人」そのものではないが、王道路線だ。

 

 
右奥の酒瓶の並べ方からして、どうやらスナックではなくてBarのようだ。
ところで、自ら隠れ家って言ったら、隠れ家にならんのでねえの❓ 揚げ足とってるようで、申し訳ないけど。

 

 
(☆▽☆)おー、ここにも『オンリー遊💕』があるじゃないか❗流行ってるのかな…。

『すなっく まどんな』。
これは英語を漢字ではなく、平仮名にしたパターンだ。こうすると、のほほん感が出やすい。そこが狙い目だろう。この手法も昭和に流行った気がする。でも、こう云う風に両方とも平仮名にすると、間抜け感が出ちゃうぞ。

他にもツッコミどころ満載の店が並んでいるが、ここは『すなっく まどんな』に止どめておく。

それにしても、スナックの名前って陳腐なものか、ブッ飛んだもんしかないのかよ❓ センスの砂漠だな。

 

 
『上・昇・気・流』に『花馬車』ですか…。
もうツッコむのも面倒くさい。

 

 
少々ツッコむのにも辟易してきたが、これは粒揃いなので避けて通れんだろう。

『ナイトキャビン シーマン』。
ようは夜の船室の海の男だがね。店主はヨットとかクルーザーの船乗りかしら❓
漁船だったら、むしろカッケーんだけどなあ。

『韓国居酒屋 ゆめ』。
凄いカラーリングだな。韓国料理屋なのに何故か歌舞伎調なところが笑える。それにしても、韓国系の店が多いね。敦賀は崇神天皇の時代に朝鮮半島から「都怒我阿羅斯等(ツヌガアラシト)」がやって来て、それが名前の由来になったと云う歴史がある。だから、古来より朝鮮半島から渡来する人が多いのかもしれない。

ふと思ったんたけど、何で人は色んなものに矢鱈と「夢」「ゆめ」なんて云うコッ恥(パズ)かしいネーミングをしたがるのだろう❓
これは別に昭和の時代だけでなく、今の時代にも連綿と続いている。日本人って「夢」って言葉が相当好きなんだろなあ。

『ジュンハ』。
それって、韓国人の名前かな❓たしかパク ジュンハっていう韓国人男性アーティストがいたよね。
う〜ん、又しても韓国だすな。敦賀のイメージが変わったよ。

この中で一番目を惹く看板は『歌謡酒場 七色』ですな。
おそらく「七色の声」とかがモチーフになってんだろなあ…。
ところで歌謡酒場って、どんな形体の店なのだ❓
想像したけど、ソレって結局のところスナックの事だよね。

七色の字がレインボーカラーになってるネ。虹色ではなく、ここはレインボーと呼ぶのが昭和の流儀だ。それが昭和の掟でもある。

ここまで色んな店の名前を見てきて、改めて思う。
例えば蝶ちょの名前にも救いようのないダサい名前のものが多々ある。世の中、ようはネーミングセンスの無い人の方が圧倒的に多いんだろね。考えてみれば、皆んなが皆んなセンスが良いワケじゃないもんね。
ところで、世の中にネーミングを請け負う会社ってあるのかな❓
そこに頼めば良いのにと思った次第なんだけど、ダメだな。たとえあったとしても、スナックや居酒屋の店主たちが利用するとは思えないもん。名前を付けれると云うのは、店主の特権なんだもんね。その特権をむざむざ人に与えることなど有り得ない。

 

 
(☆▽☆)出た➖➖➖➖➖➖➖っ❗
遂に出ましたお約束の『来夢来人(ライムライト)』‼️

この名前のスナックと喫茶店が、いったい日本全国にどれだけあるのだろう❓減ってはいるだろうが、確実に全都道府県に1個はあるに違いない。

因みに下の寿司屋は奥まったところにあり、隠れ家的な感じで旨そうだなと思ったら、偶然あとで知る人ぞ知る名店だとわかった。敦賀って、行きたい店が目白押しじゃないか。

 

 
そして、ここにも『来夢来人』❗
増殖しているのか❓、ライムライト‼️

このビル、他の店も強力ラインナップだすな。
『なんちゃってBAR(バ)ナナ』、『みんなの🍊みかん』とズッコケ系シュールなのが目を惹く。

『なんちゃって…』は、やはりナナさんという人がやってるのだろうか❓男性か女性かは微妙なところだな。ななオジサンだったらヤだな。

『みんなの🍊ミカン』って、どういう発想からのネーミングなんだろう❓
アタシのノーマルな脳ミソでは、まるで見当がつかない。必死で考えたら、物凄いゲスでエロ的想像しか浮かばなかった。

イエロー
大胆にも店名のみである。潔いとも言えるが、スナックとかラウンジとか何も書かれていないから飛び込み客には相当勇気がいるだろう。扉を開けたら、全身真っ黄色で、グラサンかけたバナナ男が立っているやもしれぬ。
(-_-;)うーむ。『なんちゃってBARナナ』の姉妹店かもしれぬな。

『韓流居酒屋 味彩』。
この味彩という店名の食堂やレストラン等の飲食店は、おそらく日本全国に5万とあるに違いない。

 

 
『サテンドール』に目がいって、すわっ!これこそ風俗店かと思いきや、スナックであった。
Dollには、人形と云う意味の他にも少し頭の弱い女性という意味もあるようだ。そこにサテンが加わると、売春婦の隠語となる。だから風俗店にはこの名前が多いのだ。
喫茶店名にもこの名が多いのは、サテンと茶店を掛けているからだとも言われている。正直、脱力エピソードだ。

でも冷静に考えれば、JAZZの巨匠 デューク・エリントンの有名なスタンダード・ナンバーの曲名からだと思われる。
因みに、その歌詞に登場する女性は娼婦ではなく、沢山の男たちに言い寄り捲くられている小悪魔的な女性で、なかなか口説き落とせない「高嶺の花」的存在として表現されている。

その下は渋い字体で『武蔵野』とある。
何かエロい字体だ。たぶん大岡昇平の小説『武蔵野夫人』と同じ題名の熟女モノのポルノ映画かエロビデオ(DVD)があって、こんな字体だったような気がする。それらと『エマニュエル夫人』とか『チャタレイ夫人の恋人』とか夫人系官能小説的なものが、頭の中でゴッチャになっているのだろう。
それはさておき、何で北陸なのに関東平野の武蔵野なのだ❓

一番上の『スナック Enchante』の「Enchante(アンシャンテ)」は、多分フランス語の挨拶だろう。「はじめまして」と云う意味だ。
だが、最初に店名を見た時は英語の「Enchant」に見えた。こちらは「魅了する、酔わせる、ウットリさせる、化かす」とかそんな感じの意味あいだからだ。それって怖いけど、エスプリが効いてて洒落てるなと感心した。けれど、スナック界にはそんな洒脱なネーミングなど滅多に有りはしないのである。
スナックの名前といえば、だいたいはダサ系で、だいたいこんなとこなのである👇

 

 
レジャーセンターかあ…。今の時代には、逆にインパクトあるわ。
どうあれ、この寂れた感、スゴイな。昭和の残骸だ。
向かって右上から『韓国居酒屋 麦畑』『スナック ゆめ』『snack Ka-Rin』左上は『スナック ゆみ』『すなっく 春』。

真ん中で『スナック ゆめ』『すなっく 春』『snack Ka-Rin』が合体しているのが意味不明だ。昭和とは、ワケワカンナイことしてる人だらけの時代なのである。

それにしても、あまりにも昭和的安易なネーミングの数々だ。この地帯は時間軸が歪んでて、昭和の時代と通底しているのかもしれない。
そういえば、この街に入ってから殆んど人の姿を見ていない。閑散としているのだ。まるで、間違って昭和の時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥る。

 

 
『一本松』かあ…。
何がどうなれば、この名前を付けようと云う発想になるのだろう?これも全然、ワカラン。これら首を傾げるような名前をつけた人たちって、きっと愛すべき人たちなんだろな。話してみたら、オモロイおばちゃんとかオッチャンなんだと思う。
それはそうと、このビル、廃墟寸前って感じだな。昭和的なものは消えつつある運命なのだろう。

 

 
『Blue Lotus ブルーロータス』。
直訳すれば、ロータスは「蓮」もしくは「睡蓮」と云う意味になる。ようは青い蓮、もしくは青い睡蓮だね。好きなネーミングだ。
但し、語源はギリシア神話の「ロトス」と言われ、その果実を食べると楽しくて忘我の境地に陥り、故郷に帰ることも忘れるとされている。もしコレを知っていて名付けたのなら、その名付け親は学のある人だと云うことになる。だったら、お見事でやんす。

或いは、印象派の巨匠クロード・モネの絵『青い睡蓮』から名付けたとも考えられるな。どちらにせよ、相当に学のあるお方と察する。
でも世の中には青い蓮なんて存在しないんだよね。
だから、逆にいいのか…。その方がミステリアスだもんね。幻の青い睡蓮というのは、人を忘我の境地にさせるに充分な魔力があるに違いないからね。
補足すると、モネの時代に青い睡蓮は無く、どうしてモネがそんな色の睡蓮を描いたかと云うと、色覚異常だったという説が有力視されているようだ。白内障だったっけかなあ。

キレイに纏まったので御機嫌気分だったが、一応ホントに青い睡蓮が無いのか調べてみた。したら、(@_@)ゲロゲロー、有るやんか‼️

 

(出典『PAKUTASO』)

 

(出典『メモリアルフラワーショップ』)

 
青い蓮の花もあった。

 


(出典『みんなの趣味の園芸』)

 
どちらも美しいが、蓮の花の方が、よりゴージャスである。
これはいつか自分の眼で生で見てみたいな。

『スナック ミロ』。
まさか健康ドリンクの「ミロ」のワケないだろう。たぶんミロのヴィーナスとかのミロだろう。ミロじたいは女神を意味する言葉ではなく、古代ギリシア時代のミロス島を指す。健康飲料のミロもたぶん語源は同じかと思われる。とはいえ、おそらくは美神とか女神って意味あいを込めてのネーミングだろうね。

待てよ。ミロという有名なスペイン画家もいたな。
って云うか、シュールレアリスムの巨匠だよね。そうなると、このミロは画家のミロ由来で、この2店舗は姉妹店の可能性が出てくるな。ブルーロータスがモネ由来ならば、絵画繋がりと云うのは充分有り得る。

はたと思ったんだけど、店の名前って、皆さんどういう意識でネーミングしているのだろう❓
店の名前は大事だ。下手すれば、店が流行るか流行らないかの重要なファクターを担っているからだ。
でもカッコイイとかお洒落だとか良い名前をつけたからといって流行るかというと、決してそんなワケではないから難しい。店の雰囲気や場所、その他もろもろの要因も関係するからだ。名前と店そのものにギャップが有り過ぎるとダメだし、変に凝り過ぎてるのもダメなのだ。名前には、それぞれの身の丈と云うものがあるのである。
ようは、その店に合っているか合ってないかなんだけど、たぶんそれは客が決める事なのかもしれない。

一番下は看板が破壊されている。その後ろには、ひしゃげたビニール傘が転がっている。建物にも、そこはかとない荒廃感が漂っており、どんどん寂れた感が色濃くなっていってるような気がする。

その隣は外壁に看板があり、ラーメン屋のようだ。

 

 
しかし覗いて見ると、ラーメン屋は黒い看板を残して廃墟と化していた。
昭和の死だ。
今や平成を通り越して、令和の時代。日本の各地で、ありとあらゆる昭和的なものが、今のこの瞬間にも音も無く静かに朽ちていっているのだろう。目に見えるものも見えないものも、刻(とき)の流れが全てを風化させるのだ。

 
変テコな名前を探してたら、いつの間にか結構な時間が経ってしまっていた。
さあ、そろそろ目的の場所へ行こう。唖黙ったような夕暮れの街を早足で引き返した。
 

                        つづく

 
追伸
随分と敦賀の各店舗の名前をスナックを中心にディスりまくったけど、ごめんなさい。怒らんといてください。
決して悪意をもって書いたものではなくて、昭和の時代へのオマージュとして御理解戴きたい。

自分がスナックに行っていた時代は主に高校生の頃だった。バイト先の先輩によく連れて行って貰ったのだ。大人の世界に初めて足を踏み入れたって感じで、その時のワクワク感は今でもよく憶えている。あの時、確実に大人の階段を一段昇ったのだ。
大学生になるとディスコに行く機会が圧倒的に増えたが、それでも周りにスナック好きもいたので、たまには行っていた。元来、好きな環境なのだろう。今思うと、ディスコよりもスナックの方が本当は好きだったような気がする。若者が古いものを否定したがるのは一種の病気で、麻疹(はしか)みたいな一過性のものなのだろう。単純な好き嫌いではないのだ。
正直なところ、最近またスナックに行きたいと云う気持ちになってきている。一周回って再ブームの兆し有りなのだ。それが深層心理にあるから、無意識だが今回スナック街をうろうろしたのではないだろうか。
来年、敦賀に行ったら、何処かのスナックに入ろうと思う。
皆さん、それまでコロナウイルスに耐えて生き残ってもらいたいと切に願います。どうか踏ん張って下さい。

このシリーズ、ソリッドに全体で4、5回で終えるつもりが、第一章だけで4話も費やしてしまった。
でも、次回もまだ第一章なのである。我ながら、何の構想もなく気分で書き出してるなあ…。この先を書くのが辛いよ。

 
(註1)ギフチョウ


(2020.4.3 福井県南条郡南越前町今庄)

 
「春の女神」とも呼ばれ、年一回春先にのみ現れる蝶の一種。
因みに、上がオスで下がメスです。

 
(註2)涼宮ハルヒ
原作 谷川流のノベライズ&アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のヒロイン。


(出典『Tsundra.com』)


(出典『テラフォーマー』)

 
アニメは放火されて多数の死傷者が出た京都のアニメ会社で作られたものだ。合掌。