『西へ西へ、南へ南へ』12 修行僧成仏

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-17 23:51

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

   (第八番札所その3・修行僧成仏)

走っているうちに、どんどん雨と風が激しくなり始めた。
海岸まで降りれば少しはマシになるかなと思ったが、むしろ悪くなった。怒った白波が暴れている。
修行は終わらない。再び艱難辛苦が訪れた。

暴風雨の中、走る。
前が雨で白く染まっている。
雨をまともに受けて、視界がロクに効かない。さらに進むと、天候はいよいよガンガンに荒れ狂い始めた。
容赦なく降りしきる雨粒が刺すように痛い。強過ぎて本当に痛いのだ。
だからスピードは上げられない。時速30㎞が限界だ。
いつしか、道は川のようになっている。アップダウンの繰り返しが続き、苦痛はどんどん増してゆく。タイヤが水に乗り、時々ハイドロプレーニング現象で滑る。早く帰りたいが、事故るよりかはマシだ。慎重に運転する。
既に、パンツの中まで絶望的にグッショリと濡れている。そのうち、指先かかじかんで感覚も無くなってきた。

男は思った。
何故、こうなることをある程度予測していながら、こんなリスキーな選択をしてるんだろう?と。
蝶が採りたいと云う一心なのだが、馬鹿を通り越して気狂いだ。
ふと頭の中にSM嬢ツボの言葉が浮かぶ。
『貴方はSでもMでもなく、状況によって替わるスイッチャーだ。』と。
自分ではドSだと思っていたし、周りもそう評価しているが、蝶採りのせいで最近は大概のことにも耐えられるようになってきた。未だ、それを楽しむと云う領域にはなっていないが…。
とにかく、ツボの見たてはある意味慧眼だったと云う事なのか?

ようやく知名瀬の村が見えてきた。
村を過ぎればあと少しだ。20分もあれば宿につくだろう。既に寒さで体がガタガタと小刻みに震え始めている。体力と気力が残っているうちに辿り着かねば…。
スミナガシをギリギリで採れた事だけが、辛うじて男の強い支えになっていた。

3時ちょうどに生還した。
靴の中までズブズブ水浸しの全身濡れ鼠で、そのまま風呂に直行。

熱いシャワーを浴び続ける。冷えきって暫くは手の感覚がなかった。

だが、キチガイは天候がやや回復したので、5時前に短パンでらんかん山まで行った。
♀を期待したが、世の中そんなに甘くはない。ボロ♂が一つだけ採れただけ。勿論、リリース。

今日も脇田丸へ。
いつものように、あばす(ハリセンボン)の唐揚げからオーダーした。これで4日連続だ。

海ゴーヤ(390円)なる変な名前のものがあったので、頼んでみる。

見た目はゴーヤというよりも杉の葉。
味は海ブドウに近いが、食感がシャキシャキしている。
食べ方は、海ブドウと同じくドレッシングで食べるのが定番のようだ。しかし、一口食って、店の人にマヨネーズを少し貰うことにした。そこに醤油をかけて混ぜ混ぜしたものをつけて食う。
うん、これやd=(^o^)=b❗
これが海ブドウを食うときの一番好きな食い方なのだから、正解に決まっているのら。

お次はコブシメ(イカ)の刺身(390円)。
肉厚で甘みが強い。塩とスダチを所望して試してみたら、更に絶品❗❗
これで390円って、信じられんよなあ。
あっ、写メ撮るの忘れた。あまりにも美味そうだったので、完全にそっちに気持ちがいってた。

魚(キハダマグロ)ホルモンの煮物(390円)。

珍味。
七味唐辛子をかけて御賞味をとの事。

胃袋は完全に肉のモツ。この食感は、黙って出されたら何の疑いもなく肉だと思って食ってるだろう。
肝は少し苦味があって、これが中々に良いのだ。黒糖焼酎とバッチシ合うんだよね。

今日も痛飲。
本日のお代は、1960円でした。奇跡の居酒屋だな。

外に出たら、再び雨が強くなっていた。

                つづく

P・S
因みに誤解されない為に言っておきますが、ワタクシ、残念ながら一度もSMクラブには行ったことがありません。
ツボと云う人は、前の店(ショット🍸バー)のお客さんでした。デブだが、痩せたらさもありなんと云う美人だろうという顔立ちで、頭も勘もいい女性でした。デブ專のことはよくワカンナイけど、その筋には極上の女だったんじゃないのかなあ…。
考えてみれば、前の店のお客さんはバラエティーに富んでいて、面白い人が多かったんだなと改めて思いますね。
今の店もそうなればなあと思って居ります。

ええと、アーカイブスならではの補足です。
自分は当時男性の約8割がマゾヒストで2割がサディストだという持論を持っていたが、ツボによると男性の約7割はマゾで2割がサド。1割がスイッチャーだということだ。仕事でやってたんだから、この彼女なりのリサーチの結果は、ほぼ間違いないのだろう。だって来るお客は、偽る必要のない真性のMとかSなんだから。
彼女には訊かなかったけど、多分女性はこのスイッチャーの割合が男性よりも断然多いんじゃないのかなあ。

『西へ西へ、南へ南へ』11 ブルーの肖像

ー蝶に魅せられた旅人アーカイブスー
2012-08-15 19:33:53

      ー捕虫網の円光ー
   『西へ西へ、南へ南へ』第11話

  (第八番札所その2・ブルーの肖像)

ブルーの残像が脳裡に残っている。
自分の不甲斐なさにベソを掻きそうだ。
辛い…。大失恋をした時のような気分だ。
心をどう持ってゆけばいいのかさえわからない。
敗色濃厚。溜め息が何度も洩れる。

正午になった。
空を見ると、帰るべきだと思った。

だが、男は見た蝶を採れないと云うのが許せない。
見ても物理的に採れないノーチャンスの場合は別として、可能性がある場合は何があってもターゲットは落とす。それが男の矜持だ。
今まで、その日のうちにリベンジできなかったのは、キリシマミドリシジミくらいだろう。
現在、ベニモンカラスシジミも3連敗中だが、一度も見たこともないから採れるわけがない。だから、そう悔しくもない。
だが今は、既に何度もチャンスを逃している。
このままおめおめと帰るわけにはいかない。それは、敗北を認めると云うことだ。心が折れた儘で大阪に帰るのは御免だ。

1時40分までリミットを延ばした。
これがアカボシがテリトリーを張る時間に間に合うギリギリの時間だ。修行僧を続けよう。

マジで両手を合わせて、神と仏に祈った。
声に出して、『神様、仏様、お願いですから、もう一度わたくしにチャンスをお与え下さい。』と手を組んで頼んだ。他人から見たら漫画のような光景だが、本人はいたって真剣だ。

1時13分。
緑の間から待望の黒い蔭が現れた。
周囲を弧を描くように滑空している。
だが、様子が今までの奴とは少し違う。飛行時間が長いし、低い。男のすぐ傍らをスーッと通過して行った。違う個体かもしれない。
それが二度繰り返されたから、よっぽど空中で勝負をつけてやろうかとも思った。だが、長竿では素早く振る自信が無かった。
らしくない。きっと慎重になり過ぎているのだ。心が縮こまっている証拠だ。

なかなか止まらない。
止まってくれ、お願いだから止まってくれ。祈りにも似た気持ちで黒い影を目で追う。

止まった❗
あ~(´Д`)
だが、あの幹の樹液ではなく、頭上5mくらいの枝の間に止まった。

(・。・;ほよ❓、何してるだすか❓
見たこともない行動に戸惑う。
そのうち枝を歩き回り始めた。そして、暫くして止まった。
どうやらそこからも樹液が出ているようだ。
でも、あの位置では枝が邪魔になって、かなり難易度が高い。
真下にしゃがみこみ、どうしたもんかなと思案する。
このまま状況が変わるのを待つか、駄目元で勝負をかけにゆくかのどちらかだ。

悩んだ…。
頭の中が破裂しそうだ。
だが、愚図愚図悩んでいる場合ではない。台風が近づいている。天候が急変するのは時間の問題だ。
意を決して勝負にいくことにした。
このまま何もしないうちにプイッと突然消えられたら、激しい後悔で夜も眠れないだろう。
見逃し三振って、ヘタレで最低だ。駄目元でチャレンジして失敗した方がまだ魂は救われる。

何かまるで恋愛を語ってる人みたいである。
中年男の恋の独白みたいで、普通なら笑うところだがそんな余裕はない。

そろりそろりと長竿B・Jを上に伸ばす。
ヤケクソで枝ごと行ったれと思った。

( ̄□||||うわちゃ❗
1mくらい網を近づけたところで、ふわりと逃げた。
(*ToT)止まれ、止まれ、止まってくれ━━。
悲痛に願う。焦燥と緊張で気が変になりそうだ。

(;A´▽`A ふうーい。
よし、何とか3mくらい向こうの枝先に止まってくれた。手前の枝が邪魔だが、さっきよりかはマシだ。これなら採れないこともない。

(;゜∇゜)あちゃー。
またネットを慎重に近づけるが、同じようにふわりと翔んだ。マジですか?

ほっ( ̄▽ ̄)=3
さらに2m程先へと移動して止まった。
今度は邪魔するものはない。存分に網が振れる。
高さは5~6m。テリトリーを張る時と同じように枝先に止まってくれた。葉先から2本の触角が突き出ているのがわかる。
これを逃したら、その場で切腹したくなるだろう。蝶採りなんて即刻やめてやる(=`ェ´=)❗

最初はテリを張っている時のように正面から被せようかと思ったが、状況が違うと思い直した。ここのスミナガシはそんなアホではない。敏感だ。横から払おう。

高さを慎重に合わせる。
息を止め、万感の想いを込めて渾身のスイングを繰り出す。
トゥリャ━━━(*`Д´)ノ❗❗❗
💥横殴りになぎ倒し、マトリックス的にそのまま背後に向かってネットを流す。
手を離し、そのまま体を捻り反転する。
スローモーションのように網が真っ直ぐに落ちてゆく。
手応えはあった。
下は平らなアスファルト。横から逃げられる心配はない。

男は、ゆっくりと近づいていった。

終わった…。
渋いブルーが中で暴れている。
男の体が一挙に弛緩した。と同時にその場にヘタり込みそうになる。

やっぱり、本州のものより明るくて蒼い。
右端の上あたりが擦れているが、この際関係ない。
粋(いき)で美しい。

敗北をすんでのところで免れた安堵と勝利の陶酔感がジワジワと背中を這い登ってきた。
タイミングを図ったかのように強めの雨が降り出した。
男は慌てて役に立たなかったトラップを回収して、バイクのエンジンをかけた。

見上げると、風雲急を告げるように黒い雲が物凄いスピードでこちらに近付いて来ていた。

                   つづく

【追伸】
ラッキーな事に、後日この個体は♀と判明した。
この蝶、♂はそれなりに採れるのだが、♀は滅多に採れないのだ。

【再録にあたっての追伸の追伸】
あれから♀は、石垣島で1頭、沖縄本島で1頭、台湾で数頭採っただけだ。
本州では、その後現在(2017年4月)に至るまでいまだに一度も採った事が無い。あれだけ♂がいる生駒山系でさえも、♀はほとんど見たことがないのだ。スミナガシの♀って、謎だよなあ…。
今年は枚岡でトラップでもかけてやろうかしら。

春の献立プレビュー

春の献立も随分と画像が貯まってきている。
早く記事を書いて画像を消していきたいのだが、でもなあ~んか書く気が起こらない。
結局、そのパターンで冬の献立の画像も使われずじまいで季節は推移してしまった。
と云うワケで、取り敢えずプレビューを書こうと思う。プレビューを書いとけば、無理矢理にでも本チャンの文章を書くだろうと考えたのだ。ようするに、オイラって人はどう仕様もないモノグサ野郎なのである。

【若竹煮】

【筍入り越前そば】

【生桜海老丼】

【くぎ煮】

【鯛の白子ぽん酢】

【蛍いかの芥子酢味噌】

【さくら千枚漬け】

【釜あげ新子】

【行者にんにく】

【初鰹のたたき】

【ふきのとう味噌】

【鯛めし】

【菜の花の芥子醤油】

【赤糖房のネーブルドレッシング】

【タラの芽の天麩羅】

まだまだ他にもあるけど、これくらいにしておこう。
しっかし、ホンマに書くのかね(笑)

ニホンセセリモドキは小太りくん

先日(4月4日)、福井県南部にギフチョウを採りに行った(註1)。
その時一緒にいた植村くんが、『あっ、ニホンセセリモドキやあ❗』と叫んだ。
ニホンセセリモドキ❓
どっかで聞いた事があるような名前だなと思った。
続きを読む ニホンセセリモドキは小太りくん

『西へ西へ南へ南へ』10 蒼の洗礼

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-14 20:18:17

     ー捕虫網の円光ー
    『西へ西へ、南へ南へ』

     第八番札所 蒼の洗礼
 

2011年9月15日

朝6時前に起き、支度を始める。
天気予報では晴れのち雨。
降水確率は午前と午後、それぞれ40%と90%だ。
台風が近づいている。時間との競争だ。

24時間スーパーに行って、濡れるのは必至とみてポイントマップをcopyした。原本をcopyさせて貰ったのをそのまま持ってきたから損傷を避けたかったのだ。

昨日、酔っぱらって買ってしまった(半額だった)奄美名物・鶏飯(けいはん)をレンジで温める。これが昼兼用の朝食だ。

この先どうなるか分からない。生死を分かつトラブルに会わないとも限らない。取り敢えず何か腹に入れておいた方が良いだろう。
それにしても、久し振りに食うがやっぱり鶏飯は旨い❗

一応、カッパも探してみたがスーパーには無かった。
まあいい。どうせ今日は最初から濡れる覚悟なのだ。たとえ有ったとして、台風ならば役に立つかどうかも疑問だ。

目指すは、昨日スミナガシ(註1)がいた樹だ。
実物を見てしまうと、プライオリティーが変わった。
アマミカラスの♀もアカボシの♀もかなり魅力的だが、元々男は大の墨流し好きなのだ。

【Dichorragia nesimachus スミナガシ】(2014.5.11 大阪府東大阪市額田尾根)

すっかり忘れていたが、蝶採りを始めてまだ二年目の春だった。
大和葛城山で会った居酒屋を経営する酔っ払い爺々の家に招待された事がある。
その時見せて貰った標本箱に収まっていた奄美大島産の蒼いスミナガシが、男の胸に燦然と甦ってきた。

ジジイは、自慢気に『奄美大島のスミナガシは特別に蒼くて、珍品だよ。簡単には採集できない!』と言ってたなあ。

多分、朝早くから樹液に来ている筈だと読んだ。
進んで地獄へ向かうのだ。期待を込めてそう思わないとやってらんない。
上手く片が付けば、早めに山を降りて、そのあとアカボシ、アマカラの♀を狙えば良い。

用意にとまどい、やっと出れたのは7時。
先ずはガソリンを入れに行く。
悪天候が予想される中、ほとんど誰も通らない林道でガス欠でスタックでもしたら危険過ぎる。

天気は意に反して既に雨雲の勢力が領空を制圧しようとしている。
飛ばして一時間で着けば御の字だ。
帰りの事を考えれば顔が引きつるが、自分で決めたことだ、怯むわけにはいかない。

1時間10分でポイントに着いた。
横目で樹を確認した。

いる❗
読み通りだ。
いきなりのクライマックスだ。
アドレナリンが全身に駆け巡る。
サッサと片付けてやる❗

バイクを停め、早る気持ちを抑えてネットを組み立てる。
息を詰め、忍び足で近づく。

樹の下まで来た。
さあ、とっとと終わらせるぞと思ったが、白網の中に小枝が入っているのがつい気になった。蝶が枝にぶつかって羽が損傷したら元も子もない。

えっ(;゜∀゜)❓
だが、枝を取り除いて見上げたら、スミナガシの姿はもうそこにはなかった。忽然と消えていたのだ。目を外して数秒と経ってない。

あうぅ…( ̄0 ̄;
殺気が出てたのか…。
昨日に引き続き網さえ振ってない。

小雨が降り始めた…。
気を取り直して、樹の周辺に果物トラップを仕掛ける。戻ってきてくれることを祈ろう。

その後、降ったり止んだり、時々晴れ間が覗いたりの繰り返しが続く。
だが、彼女は姿を見せない。焦燥と退屈で身が引き裂かれそうだ。

9時半、ようやく翔んできた。
かなり警戒している様子だ。
周囲を気にしながらも樹液に止まった。

一回、静かに深呼吸した。
暇だったから、頭の中で作戦はシュミレーション済みだ。網を下から近づけて、翔んだ瞬間に反射神経で空中でシバいてやろうと思った。

そっと網を寄せる。
白網はもしかしたら警戒されるのではと思い、わざわざ赤に付け替え済みだ。

だが、際まで持っていったのに逃げない。
( ̄▽ ̄;)焦る。
仕方なく触れてみた。

ビュン❗
その瞬間に⚡電光石火、軌道も予想と違う無茶苦茶で翔び去った。

(-o-;)……痛恨だ。
自分を慰める術(すべ)さえない。

雲の流れる速度がドンドン速くなってきている。
リミットは、12時と決めた。
それを過ぎると、たぶん嵐に巻き込まれる。

この場所は他の蝶を採りながら待つというわけにはいかないポイントである。
アマミカラスアゲハは沢山翔んでいるが、高いし速い。採集難度が高いし、こちゃこちゃ網を振り回して、スミナガシが寄り付かなくなるのもこわい。
仕方なく、時間潰しに樹を横目で見ながら同時進行的に文章を走り書きで思いつくままにザアーっと書いてゆく。あとで推敲すればよい。

11時40分。
永かった…。
一日千秋の想いで待った甲斐があった。
2時間待ちだ。普通の生活でなら、とっくにキレてる。

また深呼吸する。
まあまあ天才なんだから、もうミステイクは許されないだろう。

今度は横からバチコーンと強く幹を叩くように被せて、驚いた反動でネットの底に入れてやろうと決めていた。
ジリジリと近づいてゆく。網を振るまでのこの瞬間は、他では味わえない堪んない緊張感だ。
今度こそ大丈夫だと自分に言い聞かせる。

照準を合わせて、思い切りよく💥バチコーンいったった❗

黒い影が一瞬網に入ったようだが、確認できない。
素早く道路に網を叩き下ろした。

慌てて近寄り中身を確認する。
あれ!? あれ!? あれ!?
居ない( ̄0 ̄;❗
嘘やん!?( ̄▽ ̄;)……。

網の口径より樹の幹の方が細いので、すんでのところで脇から逃げたのだ。

小次郎、破れたり。
原生林の中に男の哄笑が谺した。
精神の限界を超えると、笑い出すってホントだ。

                  つづく

追伸
(註1)スミナガシ
タテハチョウ科に属し、その分布は東南アジアから東アジアまでと広く、多くの亜種に分かれる。
日本では、北は東北地方から南は八重山諸島(石垣島・西表島)にまで産し、屋久島以北の本土産亜種(n.nesiotes)、沖縄本島・奄美大島亜種(n.okinawensis)、八重山亜種(n.ishigakianus)の3亜種に分けられいるが、何れの地方でも一般的に個体数は少ないとされる。
飛翔は敏速。樹液等に集まる。♂は午後2時から夕暮れにかけて山頂などで占有活動(縄張り争い)を行う。
幼虫の食樹はアワブキ、イヌビワなどのアワブキ科。
和名スミナガシの由来は、むかし、宮中で行われていた遊びの一つ”墨流し”(流水に墨を流して、その変化を見て楽しむ)からだろう。

墨流しってネーミングした人はセンスがあると思う。
だいたい学者がつける名前ってもんは、まんまで何の捻りも無くつまんないモノが多いんだよね。
アタマ、硬いんだよね。何でも遊び心が必要です。

 京都・原谷苑の枝垂れ桜

4月10日に京都の原谷苑に行ってきた。
ここは知る人ぞ知る枝垂(しだ)れ桜の名所である。
京都にそこそこ詳しい自分も最近まで知らなかったくらいだから、まだまだ穴場の部類に入るだろう。

阪急京都線・西院駅で降りる。
何だか懐かしい。高校生の頃にバイクの中型免許を取る為にわざわざ此処にある教習所に通っていたのだ。
下手したら、降りるのはそれ以来かもしれない…。

確かデルタ教習所って名前だったんだよね。何で大阪からわざわざ京都くんだりまで通っていたのかというと、合格率が高かったのである。だから、デルタの卒業生は運転が荒いと言われたものだ。実際、周りの教習生は暴走族の予備軍みたいな奴ばっかだったなあ…。結構、メンチの切り合いとかあったわ。

駅前にあるバス乗場に行く。
ひっきりなしにやって来るバスはどれも人で一杯である。外国人も多い。京都は外国人の観光客が確実に増えているんだなあと改めて実感する。
金閣寺方面ゆきのバスに乗り、わら天神前で下車。
そこから少し歩いてわら天神まで行き、さらに無料の送迎シャトルバスに乗り換える。

バスは急勾配の坂を上がってゆく。
結構、山ん中にあるんだね。

10分程で、ようやく原谷苑に辿り着く。
因みに辿り着く方法は、徒歩を除けばこのシャトルバスとタクシーだけだ。タクシーもチャーター車(貸切車)は不可で、賃走タクシーのみ。マイカーは完全禁止である。観光バスやマイクロバスも不可。
何でなのかというと、駐車場も無いし、一帯は狭い道ばかりなので渋滞になるとにっちもさっちもいかなくなるからだそうだ。それに過去に路駐の横行があって、近隣住民から苦情が出たらしい。

入口で料金を払う。
値段は今日は1200円。正直、お寺の拝観料の500円と比べれば随分と高い。でも、もっと高いときには1500円もするのである。驚きの値段変動制なのである。解りやすくいうと、満開の時は高くて、その前と散りそめの時は安くなるようだ。
まあ、送迎も付いていてこの値段なら納得ではある。タクシーだと片道三千円はかかるだろうからね。

園内は枝垂れ桜だらけだ。ソメイヨシノは1本も無い。
だが、残念ながらまだ開花していないものが多い。
だから、1200円なんだね。
考えてみたら、今はソメイヨシノが満開の時期である。此処に来る前にも、いたるところで艶やかな花を咲かせていた。という事は、それより少し遅れて咲くシダレザクラにはまだ早い。そんな当たり前の事も、女の子とデートをしなくなると忘れてゆくんだね。

それでも何本かの枝垂れ桜は満開になっていた。

しかし、ここの良いところは、桜がダメでも他の花がたくさん咲いている事だ。
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2017 春の女神に会いにゆく

火曜日(4月4日)に春の女神ギフチョウに会いに行ってきた。

蝶好きにとってはギフチョウは特別な存在である。
年に一度早春に現れ、待ちに待ったシーズンの到来を告げる美しい蝶だからだ。
だから、蝶好きたちは今年はいつ姿を見せるのかとヤキモキするし、どこで開幕戦を迎えようかと思いを巡らせたりもするのだ。
そうなのだ、ギフチョウに会いにゆくということは、謂わばプロ野球の開幕戦みたいなもので、ワクワクが止まらない特別な一戦なのである。

実を言うと、ギフチョウに会うのは新潟県の弥彦以来(註1)だから、二年振りになる。
去年のこの時期はタイとラオスにいたのだ。それだけに久し振りの再会を前に心は沸き立っている。

とここまで書いて、本文に入ろうと思ったのだが、何だかまた長くなりそうだし、面倒臭くなってきた。
それに色々と釈然としない事もあったから、いつもみたいな書き方だと激しく毒づきそうだ。
なのでサラッと書くことにします。

今日は単独ではなくて、珍しく三人組である。
メンバーは最近蝶採りを始めた植村くんとギフマニアの小太郎くんの若者二人だ。

関西から福井方面に向かって、ひた走る。
だが色々あって、9時に着く予定が10時半に南越前町のとある山の麓に着いた。
え~い(ノ-_-)ノ~┻━┻、面倒くせぇ。インターネットでは暗黙のルールらしいから場所を隠そうかとも思ったが、福井県と言えば誰だって知っているポイントだ。今さら勿体ぶってどないすんねん。杣山型で有名な杣山じゃよ、そまやま。

中腹の駐車場に向かって登ってゆくと、青い網が並んでいるのが見えた。既に各々が陣取る場所でギフチョウを待ち構えているのだ。
結構いる。それでも今日は少ない方だろう。初めて来た時は50~60は人が入っていた。
ここ杣山は、杣山型と言われる特異な柄をしたギフチョウが極く稀に出現する事から、全国のギフマニアが集結する場所なのである。
自分は変異に拘る人ではないから、それほど興味は無いが、ギフマニアはこの変異に対する拘りが驚くほど強い。変異だけにとどまらず、全国のギフチョウを都道府県ごと、また産地ごとに集めている人だっているのである。ギフマニア、恐るべし。

車の窓を開けて、挨拶がてらに状況を訊いてゆく。
(◎-◎;)ありゃま。
天気は快晴。気温も上がってきているのに、まだ誰も採れていないらしい。例年に比べて発生が相当遅れているようだ。

嫌な予感がした。この時間になっても1頭も見掛けないということは、ここに居てもそう成果は上がらないだろう。そう読んだ。
二人に別な場所に転戦する事を提案する。判断が遅いと果実は手に入らない。だから、トロい奴が嫌いだ。
そもそもが植村くんに沢山ギフチョウを採ってもらうのが今回の目的の第一義なのだ。特に杣山型に強く拘っているワケではない。それに、杣山でしか杣山型が採れないワケでもなかろう。少ないながらも周辺でも杣山型は採集されていると聞いた事がある。採れる奴は、何処へ行っても採れる。採れない奴は何度杣山に足を運ぼうが採れない。そういうものだ。

休憩がてらに駐車場に車を停める。
降りると、すぐに小太郎くんが飛んでいるギフチョウを見つけた。流石、ギフ好き。気合いが違う。
しかし、女神は木立の中へと消えていった。
気合いが入り過ぎた❓
気合いが入り過ぎると、蝶は殺気を感じて逃げるのだ。蝶も生きる為に必死なのだ。

小太郎くんが言う。
『下のお堂まで様子を見てきてもいいですか?それで居なかったら移動しても構いません。』

どうぞ、どうぞである。姿を見たら、そうもなる。
スイッチの入った小太郎くんの後ろについて皆で尾根を降りてゆく。
だが、傾斜がものスゴくキツい。ここに来るのは6、7年振りだからすっかり忘れていたが、そういえばそうだったわ。

『やめとくわー。』
根性なしはソッコーで降りるのを諦めて、駐車場に戻ることにした。でも、戻ろうと思ったのは根性なしだからだけではない。本能的に下よか上の方がいると感じたのだ。

駐車場横のギフチョウが飛んできそうな場所に入った途端に木立の中を飛んでいるのを発見。
瞬時にアドレナリンが全身を駆け巡る。この感じ、堪んねえ。眠っていた狩猟本能が呼び覚まされる。最近の男の子は小さい時から虫捕りもさせて貰えないから、植物系男子などと呼ばれるのだろう。かわいそう、かわいそう教育なんぞ糞喰らえだ。

んな事は今はどうでもよろし。ι(`ロ´)ノやったるでぇ~。闘争心ギンギンで小走りに追いかける。
だが、前の灌木がブラインドになった。ヤバい。足を速める。
こりゃ見失うパターンだなと思った瞬間、いきなり横から飛び出てきてコチラに向かって飛んできた。
不意を突かれて一瞬あたふたする。

だが体が勝手に動き、反射的に左から右へ払う。
2mくらい先で捌いたから、捕らえたかハズしたかは自分でも半信半疑だ。

網の中を覗く。
(^o^)おっ、いたわ。
俺、やっぱまあまあ天才やわー(笑)

(_)ありゃりゃ、メチャンコちっけー。
福井のギフチョウは小さいとは知ってはいたが、こんなに小さかったっけ❓
そのせいか、いつもなら年度最初の1頭は指が震えたりするのだが、全然そんなことは無かった。

それでも、(* ̄◇)=3ホッとする。
これで少なくともヌル(ドイツ語=採集ゼロ)は無くなった。福井くんだりまでやって来て、全く成果なしで帰るのは悲惨である。
蝶採りに来て、目的の蝶が得られないとマジ落ち込む。それはちよっとした💔失恋くらいの落ち込みようなのだ。
そう、大袈裟ではなく蝶を追い求めるのは恋と同じだ。少なくとも自分にとってはそういうところがある。だから、やめられない。

二人が戻ってきた。
成果なし。
一応、歳上の面目が保たれて胸を撫で下ろす。
蝶採りは勝ち負けじゃないとは思いつつ、やっぱりバカにされるのはイヤだ。裏で下手クソ呼ばわりされるのには耐えられない。無駄にプライドが高いのも困りものだ。

発生が此処より早そうで、しかも数も多そうな越前市の池ポイントへと移動する。
ここは初めて行くポイントだが、数が多いという事は前から聞いていた。だから、一度行ってみたかった場所ではある。

着いて、歩き始めたら上から車が降りてきた。
大木さんだった。7つ採れたと言う。
OK。ここの方がいそうだ。

一時間後に集合と決めて、三人それぞれに散り散りとなる。
初めて来る場所だから何処が良いポイントだか知らない。だから、腕の見せどころでもあるし、宝探しみたい気分で燃える。
けれど、同時に読みを間違えれば能力の無さを露呈してしまうという恐さもあるんだよねえ。
こういう時は、負けず嫌いとか恥を掻きたくないとかという自分の性格を呪うね。周りなんか気にせずマイペースでやればいいのに…。我ながらバカだと思うよ。

杉林を詰めかけて、すぐに踵を返す。
何となく違うと感じたからだ。この勘みたいなのを、いつも大事にしている。勘が悪いと蝶は採れない。

しかし、違う道を奥に向かって歩くも、環境は全然良くない。どうもギフチョウが好む場所とは思えない。
目的の蝶が好む場所を読み取れなければ、出会うことさえ出来ないのが蝶採りである。知識、経験、勘、体力、視力、根性、運動神経、道具やトラップなどの工夫etc…、蝶採りにはあらゆるものが必要とされるのだ。アホでは蝶は採れないんである。

既に時計の針は15分を経過している。
💦焦るで、焦るでぇー。

ようやく良い環境らしき所に出た。
と思ったら、背後から飛んできてスミレの花に止まった。吸蜜にやって来たのである。
難なくゲット。

道はここから上にのぼってゆく。
そのまま進むのは集合時間を考えると、賭けだ。
登りは時間を取られるし、奥に行けば行くほど帰る時間も要する。タイムオーバーになりかねない。自分で1時間後と言っといて、遅刻は許されないだろう。

息を吐き、一旦冷静になって周りを見回してみる。
背後の暗い杉林の奥に簡単に取りつけそうな低い尾根を見つけた。ギフチョウは尾根に集まる習性がある。抜群の環境とまでは言えないが、試してみる価値はありそうだ。

道無き斜面を登って尾根に到達すると、1つ飛んでいた。
これも難なくゲット。さらに尾根を進んでゆく。
だが、すぐに小枝だらけのブッシュになり、前を阻まれた。
左手の谷を見下ろすと、暗い杉林が切れて雑木林になっている。良さげな環境だ。

斜面をズリ降りると、舞う女神の姿が見えた。
盛んに地面を飛び回っている。遠目に見て、どうやらカタクリの花に訪れているようだ。

ここまで書いて、全然サラッとやないやんかと思う。
でも、今さら書いた文章を削除も出来ない。続けよう。

ここで2頭立て続けにゲット。
さらに良い場所を求めて谷を詰める。

1頭追加するも、再び暗い杉林が立ちはだかった。
引き返してカタクリの花が咲くポイントに陣取ることに決めた。ここが一番採れると判断したのだ。

思った通りに次々と飛んで来る。
青い網にも寄ってくる。
6つ追加して計10頭になった。実質30分間で10ならば、まあまあじゃろ。

集合場所に戻る。
各々それなりに採れたようだ。ホッとする。何人かで行く場合は全員が採れないと雰囲気が悪くなるもんね。

車に戻りしなに1頭追加。
やけに赤っぽい黄色だと思ったら、♀だった。
この辺の♀って、こんなに赤っぽかったっけ❓

同じ越前市の神社裏にある有名ポイントへと移動。

ここも有名産地である。
取り敢えず一番近い楽勝ポイントに案内する。
着いたと同時に2頭が飛び、立て続けにバラバラと前後左右から飛んで来る。ギフチョウ交差点だね。
10分程でそれぞれ3頭、計9頭が採れた。

ここで植村くんが、『ニホンセセリモドキがおる❗』と叫んだ。さっきの場所にもいたそうだ。植村くんは蛾屋から蝶屋に転身したという珍しいタイプなのだ。
そういえば蝶屋であり、蛾屋でもある尊敬するMさんが、昔、このニホンセセリモドキを探し回っていると言ってた事があったなあ…。
全くもって蛾には興味が無いが、珍品らしいし、ニホンと名の付くものなんだから、きっと日本だけの固有種だろう。だから一応、どんなもんなのかを見ておきたいと思った。百聞は一見に如かず。

どれ❓どれ❓どれよー❗❓
植村くんの指差す所を見ると、日向ぼっこしているのか地面に止まっている。
えっ⁉、こんなにこんまい奴なの❓
それにミヤマセセリに擬態していると聞いていたが、全然ぽくない。ただの小さい地味な蛾じゃん。

(出典『一寸の虫にも五分の魂』)

因みに飛んでる姿は小さくて速いから、まるで蝿みたいだ。
最初は間違えてコツバメを採っちまう。

上がニホンセセリモドキで、下がコツバメ。
一応、画像を拡大しときますね。

(_)ぶっさあ~。
どうしようもなく、地味で変なカタチー。

充分納得したので、右側奥のポイントへと移動する事にした。
だが、以前とは環境が随分と変わっている事に驚く。
下草がほとんど無いのだ。4年程前に来た時は笹がいたるところに生えていて、カタクリの花も沢山あったのに…。
多分、鹿の食害のせいだろう。全国的に鹿が爆発的に増えているが、政府や自治体はちゃんと対策しているのかね❓
植物が無くなると、それを食う虫は当然減る。ということは、その虫を食う鳥や動物も減るのは自明の理だ。で、結局何もいなくなるのだ。日本の豊かな生態系もそのうち滅ぶで。
でも、それを知ってる人って案外少ないんだよね。
寧ろ虫なんてこの世からいなくなってしまえばいいのにと思ってる人が大半なんだろなあ…。

ギフチョウを採る気も起こらなくなって、セセリモドキの居た場所に戻る。

ワシらのあとに別なオッサンが陣取っていた。
聞けば、一つもギフチョウが飛んで来ないそうである。
同じ場所なのに採れない人は採れない。虫捕りには運も必要なのだ。

オッサンは仕方なくセセリモドキを採り始めた。
ドン臭いオジサマで、せっかく網を被せたのにことごとく網の横から逃げられていた。
見かねて毒瓶をお貸しする。というかワシが取り込んであげました。

でも、見ると自分の採ったのとは何か違う。
あっ、コレってもしかして♀じゃね❓
自分の奴(♂)よりも大きくて、下の黄色い紋が鮮やかだ。こっちの方が遥かにミヤマセセリっぽいし、ちよっと可愛いかも。

完全にギフチョウそっちのけで♀を探し始める。
だが、♂ばっかだ。(`Δ´)フガー。
しかも、戻ってきた小太郎くんが♀を採りよった。
まあ所詮は蛾だから、そんなに悔しくはないんだけど、クソ♂だけなら展翅する気も起こらんやんけ。

でも、見つからん。
そのうち♂さえ全然見なくなった。
所在なくなってきたし、時間はもう午後3時だ。
植村くんに電話して、帰ろうぜと言う。
集合場所で待っていると、下から三人組のオジサマチームが上がってきた。
挨拶すると、何と山口さんだった。
久し振りだ。二年半前の名古屋でのムシャクロツシジミ以来である。気合いの入った蝶採りは、東京からこんな所にまで遠征してくるのである。
このオジサマ、結構ヒドいところがあってイタズラ好きだ。それがどこか茶目っ気がある。だから、面白くて好きだ。こんな生意気な目下にツッこましてくれるしね。

みんなで立ち話をしていると、お連れのオジサマが飛んでいるニホンセセリモドキを見つけてくれた。

難なくゲット。人が見ていると滅多に振り逃さない。人前で外したらカッコ悪いと思うので、集中力が高まるんだろう。
どんだけ自意識が強くて、自己顕示欲が高いねん(笑)

帰りに蕎麦を食いに行く。
福井といえば蕎麦である。せっかく来たんだから、食べない手はない。

今庄の蕎麦屋に入る。
この辺の蕎麦は今庄そばと呼ばれ、ソバの名産地なのだ。

『ふる里』。
田舎そのものの店名だなと思いつつ、中に入る。

何だかよくワカランが、ミニ提灯だらけだ。
で、なぜか遺影みたいな写真が掲げられている。
最初は在りし日の店のオヤジさんかと思った。でも、よく見ると随分と前に亡くなった「宇野重吉」だ。昔、お店に来たのだろう。
えーと、どんな人かと言えば、名優と謳われた役者さんで、「ルビーの指輪」の寺尾聡のお父さんだね。
と言われても、若い子はワカランか…。重吉さんどころか、大ヒット曲のルビーの指輪も俳優・寺尾聡も知らんかもね。

福井で蕎麦といえば「おろしそば」である。
店のオバチャンに訊いても、お奨めはおろしそばだと言うし、迷いなくオーダーすっぺよ。

【おろしそば 650円】
(○○)!!
画像を入れようと思ったら、チャンチャン。
(@
@;)ゲッ、せっかく写メ撮ったのに画像を消しとるやんけー。

このままチャンチャン落ちで終わらしてやろうかしらと思ったが、そうもいくまい。何とか説明します。

え~と、蕎麦に大根おろしがかかってます。
え~と、素っ気ないほどシンプルです。
え~と、蕎麦はかなり細めの田舎蕎麦系です。とは言いつつ、色はそんなに濃くないソバ茶色だす。
え~と、え~と、旨いです❗
歯を心地よく押し返すコシがあって、舌触りがツルツルだ。
入って正解だ。文句なく旨いっす。
因みに大根おろしはそんなに辛くないとです。自分としては、もう少し辛ければ満点と言ってもいいでしょう。

え~と、おしまいです。
チャンチャン。

《追伸》
一応、この日採ったギフチョウをいくつかの展翅画像を添付しておきます。

【杣山産】

形が、やや寸詰まりになったか…。
それにしても、ちよっと黒くねえか❓
この辺の個体って、こんなだっけ❓
昔の標本を調べたら分かりそうだけど、面倒臭いからまあいいや。

【2ヶ所目の越前市の個体 ♂】

こっちが福井の典型的な個体だったっけ…。

【2ヶ所目の個体 ♀】

やはり赤っぽい黄色だわさ。

【3ヶ所目の個体】

次はちよっと下翅を下げ気味にしてみた。

下げ過ぎたか…。
まっ、いっか。

まだまだあるけど、ここで力尽きる。
そもそもが展翅嫌いなのに、ギフチョウの展翅はもっと嫌い。触角がびよ~んと伸びるので整形が上手くいかないのである。

セセリモドキの画像も添付しておきます。
取り敢えず、♂から。

南米のツバメガを展翅した事があるけど、実質的に蛾の展翅をするのは初めてだ。
蛾は前足を前に出して整形するらしい。(_)メンドクセー。

同じく♂。

蛾なだけに胴体がブッとい。
それにしても、蝶とは違うから翅のバランスがワカラン。
触角も矢鱈と細いし、湾曲気味で超メンドクセーよ。
こんなんでエエのんか❓

最後に♀。

こっちの方が紋の色が濃くて、まだしもミヤマセセリに似ている。
と言っても、こんなもん羽を広げたアブラゼミやんか。ブサいくやのぉー。

【註1】新潟県の弥彦以来
前のアメブロの捕虫網の円光シリーズの新潟編に採集紀行があります。題名は何だっけ❓
そうだ、『越後の虎』だ。
暇な人は読んで下され。

捕虫網の円光『越後の虎』
http://ameblo.jp/iga72/entry-12012035619.html

『西へ西へ、南へ南へ』第9話

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-11 20:12:01
  

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

(第七番札所・地獄の沙汰も崖次第、およよ)

2011年 9月14日

天気予報では曇り時々雨だったが、昨日と同じような天気だ。
台風は、どうなったんだろう?
大方、熱帯低気圧にでもなったんだろう。人生前向きなのだ。

本日の狙いもアカボシ、アマミカラスの♀狙い。
あと、書き忘れていたが、日本一美しいスミナガシ(墨流し)も狙いにいくつもり。奄美のが一番蒼っぽい群青色をしていると言われているのだ。

南西に針路をとる。
先ずは知名瀬だ。昨日、尊敬する蝶の先逹である森さんに電話をしたら、前は村内に♀がそこそこ翔んでたよとアドバイスされた。
谷を詰めれば、スミナガシもいるようだし、イワカワシジミもクチナシを丹念に探せばいるという。

午前10時、知名瀬着。
着いてすぐ、らしきものが翔んでいたから楽勝だと思ったら、クソ普通種リュウアサ(註1)だった。紛らわしい…(-“”-;)
アカボシの♀は、毒のあるリュウアサに擬態しており、ふわふわした翔び方までそっくりに似せているらしい。

日陰の無い村内をぐるぐる回っていたら、すぐにバテバテになった。
一切、姿なし。12時まで三角ケースの中身は空っぽ。
それまで無視していたが、思い直してカバマダラを5つほど摘まんで奥へと向かう。

【カバマダラ】

だが、大したものはいない。
仕方なく尾根近くまで詰めた。

アマミカラスが乱舞している。
あふれる太陽光を反射して、青い翅がハッとするくらいに美しい。
しかし、採っても採っても♂だらけで、そのうちウンザリしてきた。

予定では尾根まで行き、中央林道を南下して三太郎峠でスミナガシを奪取して、上手くいけば東側の西仲間で再びアカボシにチャレンジと云う算段だった。

だが、奄美中央林道は想像とは違い、完全なるノン・アスファルト。所謂(いわゆる)、ただの山道だった。
しかも道は石だらけの悪路である。
そのうち良くなるだろうと思っていたら、どんどん悪くなり、終いにはブッシュだらけの細い登山道になった。
ハブのお好きそうな環境で超ビビる(|| ゜Д゜)
こんな所で咬まれたら、麓に下りる迄に毒が回り、哀れ絶命ご臨終ちゃんになるかもしれない。
大体コブラでもガラガラヘビでも、まず威嚇があるらしいのだが、コヤツはいきなり飛び掛かってくるらしい。だから、被害も多いと云うことだ。

取り敢えずこのまま三太郎峠に行こうとしたら、15㎞進んだ地点で「崖崩れにより通行止め」と云う看板が出てきた。
悪路で時間を大幅にロスしているのに最悪だ。仕方なく西側の海岸に降りるルートを選択する。
道はアスファルトになった。ラッキーと思いきや、濡れた落葉が降り積もっており、滑りやすくてまた一苦労。多分、通る車もほとんど無いのだろう。

5㎞ほど行ったところで、(◎-◎;)およよー。
また崖崩れ通行止めの看板に突き当たった。これで津名久にも降りられなくなった。
困ったことには、地図を見ると更に南のフォレストパークまで行かなければ海岸の主要道路には降りられないようなのだ。
去年の台風の大雨被害の爪痕が、今もって色濃く残っているんだね。特に南部が酷いようだ。そういえば、幹線道路さえも至るところ片側通行だった。当然、山のなかは修復も後回しなのだろう。これで計画は完全に崩壊した。

走っている途中、目の端に蒼黒いものが入った。
うわっとととっとっとーΣ( ̄ロ ̄lll)、急制動する。

木の幹に、逆さに止まっている蝶がいた。
スミナガシだ❗
どうやら樹液に来ているようだ。慌ててネットを組み立てる。
羽をしきりと開閉している。綺麗だ。
確かに本州や八重山のものよりかなり蒼い。

下からいくか、横からバチコーンとカマすかギリギリまで躊躇した。それがいけなかった。慎重になり過ぎて、ネットを動かす手前で逃げられた。もう数秒早く判断していたら充分採れた筈なのに…。
悪路プラス連続通行止めで心が折れ掛かっていたのが、これで完全に折れた。

もう一度やって来ることを願って待つことも考えた。
しかし、一番のターゲットはアカボシの♀だ。今、山を降りなければ、麓のポイントには時間的に間に合わない。断腸の思いだが、明日またじっくり来ればいいと思った。

だが、一度狂った歯車は戻らない。
どころか、せっかく見つけた新鮮なアマミカラスの♀を焦って力一杯振ってしまい翅を大破させてしまう。
バイクを乗り捨てて、あんなにダッシュしたのに…。
もう1頭採ったが、それも上半分がバッサリ無かった。結局、両方とも逃がしてやった。♀は腹ん中に卵を持っているからだ。殺してしまえば、1頭だけではなく、何百もの生命を奪うことになる。無用な殺生は慎むべきだろう。

メスアカムラサキのイージーチャンスも振り逃がし、ようやくたどり着いたアカボシポイントは、♂しかいないような環境でガックリ。
10分足らずで2頭採り、諦めて根瀬部・知名瀬方面に戻る。だが、着いた頃には日没ゲームセット。
お守りの蝶ライターを忘れたのが、まずかったのかな?…。

夜7時に宿に帰った。
そこで台風の詳しい情報を初めて聞いた。
こちらにノロノロで向かっているという。
うねりが強く、取り敢えず明日の鹿児島行きの船の欠航が決まったらしい。
『明後日の便も多分ダメなんじゃないかな。』と宿の親父に言われた。
マジかよ…( ̄▽ ̄;)

男はスーパー晴れ男だが、実を言うと台風男でもある。
ダイビング・インストラクターだったサイパン時代もしょっちゅう飛行機が欠航になった。
ダイビング・ツアーの前のりで三宅島に行った時も、船が欠航してお客さんが来れずにツアー中止。自身も東京に2、3日帰れなかった。
そういえば、初めて行った石垣島でも帰れなかった。
何れの場合もずっと晴れていたのに、帰る段になっての天候急変だった。
まだある。一昨年は、八重山ゆきの飛行機が飛ばず。
去年は石垣・与那国で直撃を喰らった。
まあ帰れなかったがゆえに、楽しい事も一杯あったし、天気が悪いわりには蝶は採れて、目的はほぼ達成してはいるんだけどね(^^ゞ

今日も脇田丸。

ボトルを入れてしまったせいもあるが、気に入ったし、まだまだ食べていない謎のメニューもある。

今日もアバス(ハリセンボンの唐揚げ)から入った。

(画像、使い回しっす。)

これで三連チャン。
それでも、やっぱり絶品ですな。

ハーシビ(トガリエビス)煮付け(690円)。

潜ってる時も、密かにコイツ旨いんじゃないかと思っていた。
白身で脂が乗っているが、上品だ。味は金目鯛やキンキに近い。

画像は無いが、あとのツマミは以下のものだった。

浅蜊と野菜のかき揚げ(390円)。
カラッと揚がっており、申し分なし。

ティラダ(地物の貝)の煮付け(390円)。
普通に旨い。先っちょに鉤爪があり、見た目は完全にヤドカリです。

油ソーメン(390円)。
所謂、ソーメンチャンプルーの1種。外れのない安心オーダー。

因みにまだ頼んでないが、刺身定食はたったの390円です。嘘やろ!?(^o^;)の値段である。

今日もまた痛飲。
明日は、早いんだけどな…。

                   つづく

追伸

【註1】リュウアサ
リュウキュウアサギマダラの略名。漢字で書くと「琉球浅葱斑」となるのかな。つまり南方系の蝶で、日本では主に南西諸島に分布している。

これは石垣島で、初めて採ったものの1つだ。
標本だけで見比べると、アカボシゴマダラゴマダラに間違うワケはないと思うのだが、飛んでいる時は大きさや飛び方がソックリなのだ。
ワシらでも慣れないと見紛うのだから、一般人には区別がつかないだろうし、天敵の鳥に対しても、それなりに効果はあって然りなのかと思われる。

一応、アカボシゴマダラの画像も添付しておきます。

ベロ酔い(@_@;)甲子園2017 選抜決勝

ういーっす(* ̄∇ ̄)ノ
まだ酔っ払ってまあーす。

え~と、何だっけ❓
そうだ、選抜高校野球の決勝戦のレポートを書くつもりだったんだ。

試合開始予定時間は、12時半。
取り敢えず11時半に甲子園駅に着く。
勿論、ソッコーでダイエー。もといイオンに買い物に行く。
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