沈丁花とエロティシズム

 
そよ風の中に、ふっと良い香りがしたような気がした。
見回すと、すぐ傍らに沈丁花(じんちょうげ)の花が咲いていた。香りで花の存在を知るのは、この沈丁花と金木犀くらいだろう。

昔はよく近所で見かけたが、最近はとんと見なくなった。庭木としての人気が下がったのかもしれない。どうせ外国のワケわかんない花を植えたがるオバハンが増殖しているせいだろう。侘び寂の文化は、こういうところでも失われつつあるのだね。ガーデニングもいいけど、もっと昔からある花木にも目を向けてもらいたいものだね。

 

 
白い品種も咲いていた。

 

 
金木犀ほどではないにしても、花が小さいからその存在に気づきにくいと云うのもあるかもしれない。
小さいが、可憐な花だね。
こういう控えめで目立たないけど、よくよく見たらスッゲーいい女じゃんと云う女性は好きだよねぇ。仄かさには、エロティシズムがある。
最近はこう云うタイプの女性は激減してるんだろなあ…。今時のエロは開放的で隠微さに欠けるよね。古い日本旅館と着物なんて云う設定が廃れかけている。
唯一生き残っているのは、熟女モノの世界だけかもしれない。あっ、ちなみに特に自分は熟女好きではないです。

それで思い出したんだけど、昔そこそこヒットした歌謡曲に『沈丁花』と云うのがあったなあ…。確か石川優子が歌ってたんだよね。
子供心にも、エロい歌だなあと思った記憶がある。
歌詞を探してみよっと。

 
冷たい部屋に
小さな沈丁花が
似合うように
あなたは冷え切ったこの僕に
言い足りないほどの優しさで
暖めてくれました
許してほしい
心の貧しいこの僕を

開いちゃいけない日記帳
枯れちゃいけない沈丁花
あゝせめて
せめて春がくるまで
あゝせめて
せめて春がくるまで

冷たい部屋で
化石になろうとしてる
日記帳
あなたを思うたび 開いたよ
沈丁花 密かに
この冬も咲きました
淋しくなると
よけいにかおるよ 沈丁花

開いちゃいけない日記帳
枯れちゃいけない沈丁花
あゝせめて
せめて春がくるまで
あゝせめて
せめて春がくるまで

 
何かエロいよなあ。
でもサビのところの「開いちゃいけない…」の歌詞のところが、記憶と違う。
「開いちゃいけない沈丁花」だとばかり思っていたのだが、「開いちゃいけない日記帳」だったんだね。
人間の記憶なんてものは、かくもエエ加減なんである。
頭の中では「開いちゃいけない沈丁花=開いちゃいけない股間」だった。マセ餓鬼の妄想たるや驚くばかりだ。
二番の歌詞になると、妄想はさらに膨らむ。
石川優子の美しさが、それに拍車をかける。

 
(出展『femme-single.blog.sp』)

 
可愛い。いや、綺麗だ。(о´∀`о)好みだなあ…。
と、ここで、曲そのものを聴いてみたくなった。

「あなたをあなたを思うたび 開いたよ」
ってΣ( ̄□ ̄;)…、もしや、それは御自分で慰められたってことですか(◎-◎;)❓

「沈丁花 密かに」
密かにって、ネッ、ネッ、それって、いけないことをしてるって事ですよね(; ゜Д゜)❓

「淋しくなると よけいにかおるよ 沈丁花」
淋しくなると、何が余計に香るのだ❓それって、大人の世界の£♂◎@♀で、❌❌❌❌チョメチョメなんじゃないのか( ☆∀☆)❓もう妄想ビル大屹立である。
そして「開いちゃいけない…」が来て、\(^o^)/パッカ━━━ン。頭の中は、しとどに濡れたズブズブ湿原地帯になるΣ(×_×;)。
やめてけれ、どぅびどぅばあー🎵

すっかり忘れてたけど、曲を聴いて思い出したよ。
そして、そして、とどめの一発がたたみかけて来るのだ。
「あゝせめて せめて 春がくるまで あゝせめて せめて春がくるまで」の「せめて」が、本来の意味とは違う「攻めて、攻めて」、もしくは「責めて、責めて」に聞こえてくるのだ。
おらおら、でや❓でや❓、ええんか❓、ええんか❓に変換されるのだ。機関車やえもん、大暴走。ここで妄想は沸点に達し、💥暴発❗する。
『攻めダルマ、ぱぴょ━━━━━ん(≧∀≦)❗』

阿呆である。どうしようもないアホだ( ̄▽ ̄;)…。

 

 
でも、ガキんちょの頃って、みんなこんなもんだろ❓

 
                  おしまい

 
追伸
最初は格調ある文章を書こうと思ったのだが、大脱線である。アホにつける薬は無いのだ。

信頼は取り戻しようもないが、一応ジンジロゲ、もといジンチョウゲのことを真面目に解説しておきます。

沈丁花は、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木。別名に輪丁花がある。
名前の由来は、香木の沈香のような良い匂いがあり、丁子(ちょうじ、クローブ)のような花をつける木という意味でつけられた。
学名は、Daphne odora。
「Daphne」はギリシア神話の女神ダフネにちなむ。
「odora」は芳香があることを意味するそうだ。
花言葉は「栄光」「不死」「不滅」「歓楽」「永遠」。相変わらず、花言葉には異なる意味がいくつもあって、何なんだ?と思う。こんなの必要あんのかね?
原産地はヒマラヤ東部から中国南部。中国では瑞香と呼ばれる。日本には古くからあり、室町時代の頃には既に栽培されていたとされる。有毒の赤く丸い果実をつけるが、日本では滅多にお目にかけないようだ。これは雌雄異株だからで、日本にある木は雄株が多く、雌株は殆んど見られないから。ゆえに挿し木で増やすみたいだ。花の煎じ汁は、歯痛・口内炎などの民間薬として使われている。
 

巨樹と仏像 ー奈良公園 冬ー

 
先日アップした「なら瑠璃絵」と富山県の郷土料理屋の回の前の話(2019年 2月14日)。

 
冬の奈良公園を訪れた。

近鉄奈良駅で降り、先ずは高札場の隣にあるムクノキの大木に挨拶へ行く。

 

 

 
高札場に猫がいた。
眠ってる猫は可愛い。この日は寒かったから、猫は丸くなるのである。

 

 
白黒写真みたいになった。
樹高25m。幹周り6.5m。推定樹齢は千年とも言われている。千年とは気が遠くなりそうな時間だ。
ムクノキはアサ科ムクノキ属に含まれ、成長が早くて大木になりやすいと言われるが、それでも千年はスゴい。

 

 
ムクノキ(椋の木)の語源は、カミキリムシ好きの東さんの話だと幹の皮が簡単に剥けるからだそうだ。ホントかね❓

調べてみると、諸説あるようだ。

①良く茂る木の意である「茂くの木」から来ているという説。

②新葉に細かく粗い毛(ムク毛)が密生しているから。

③葉には珪酸を含み、ザラザラしており、この葉を乾燥したものが木や竹・骨・角などの表面を磨きはがすのに使われた。この物を剥(は)いだり、剥(む)いたりする事から「剥(む)くの木」になったと云う説。

④古来、日本人は心身の穢れを忌み嫌い、穢れを落として無垢な心を持つことを願った。その心を木に託し、無垢(むく)の木と名付けた説。

⑤老木になると樹皮が剥げてきて、簡単に剥けるので、剥くの木と呼んだ説。

⑥ムクドリ(椋鳥)が好んで実を食べることから「ムクノキ」となったという説。

よくぞ、こんなにも語源とされる説があるもんだなあ。⑥番目なんかは、ちょっと怪しいけどさ。

普段はそのまま南円堂に向かうのだが、本日は三重塔のある裏道へ入った。

 

 

 
入ってすぐの所にお地蔵さんがいた。
お地蔵を見ると、何だか心がほっこりするね。

 

 
三重の塔。
北円堂と並び、興福寺で最も古い建物の一つだ。

 

 
三重の塔から南円堂を望む。

 

 
この角度から南円堂を見るの初めてかもしれない。

 
北円堂へと向かおう。

 

 
なだらかな坂の先に北円堂が見える。
一本道の向こうに建物があるってのは、ちょっとした高揚感があって好きだ。何かに向かってゆく気分ってのは悪くない。

北円堂も古い建物である。他の多くの伽藍は火事で何度も焼失し、また再建もされているようだ。

この道は裏道だから行き交う人も少なく、落ち着いた気持ちになれる。

南円堂の正面を通って興福寺国宝館へ。
ここを訪れるのは何十年か振りだ。

画像は撮ってないが、綺麗に建てかえられていたので、ちょっと驚く。
どうやら、去年(2018年)の元旦に新設されたようだ。

チケットは700円だった。高いのか安いのかよくわからない値段だ。

 

 
国宝館といえば、阿修羅像である。
東京で「阿修羅展」が開催された時は、阿修羅像を見るために物凄い数の人が押し寄せたらしい。それも若い女子ばっかだったという。「阿修羅萌え」なんて言葉もあるとか聞いたことがある。
若い女子たちが騒ぎ立てるのも解るような気がする。無垢な少年の顔と清楚な少女の顔が重なったようなその顔は、確かに誰が見ても美しい。

入って直ぐに山田寺仏頭が優しい顔で出迎えてくれた。

 
(出典『researchmap.jp』)

 
千手観音のお顔も穏やかで、心を和ませてくれる。
仏像の顔ってのは、案外癒されるものだと最近になって気づいた。あっ、でも若い時は秋篠寺の伎芸天に恋した事もあったっけ…。

 
(出典『DEEPだぜ!!奈良は。』)

 
天燈鬼と龍燈鬼。
生きてるみたいで、ちょっと恐い。
恐いけど、カッコイイ。

コイツら、だいたいは四天王などに踏みつけられてるから、こういう主役になってるものは珍しい。

 
【阿修羅像】
(出典『徒然cello日記』)

 
(出典『観仏日々帖』)

 
ウン十年か振りに見る阿修羅像は、変わらぬ優美さを湛えていた。
ただし、前の古い建物の中で見たときの方が背景としっくりと馴染んでいたような気がする。何だか美術館で見ているみたいな感じがして、少し違和感がある。

お顔は右手側からよりも、左側から見た方が美しいと思う。
阿修羅像をまだ見たことがない人は、死ぬまでには一度は見るべきだろう。それくらいの価値はある。

 
国宝館を出て、春日大社方面へと足を向ける。

 

 
イチイガシの大木だ。
一位樫と書き、ブナ科コナラ属に含まれる。語源は一位の樫の木と云う意味なんだそうだ。どこが一位なのかはよくワカンナイけどさ。

大木の魅力はその大きさもさることながら、その枝振りにもある。縦横無尽に曲がりくねった形は見てて飽きない。

 
飛火野へと出た。

 

 
こちらもイチイガシだ。

 

 

 
奈良公園にはイチイガシの巨樹が多い。
『春日大社境内のイチイガシ巨樹群』と名付けられ、市指定の天然記念物にもなっている。

すぐ近くには、クスノキの大木もある。
クスノキはクスノキ科ニッケイ属に含まれ、神社の御神木なんかにもなっているから、大木を見る機会は多い。

 

 

 
とてつもなく大きく見えるが、樹齢は百年くらいしかない。
実をいうと、この木は一本ではなく、三本の木が寄せ集まっているのだ。だから、矢鱈とデカく見える。
樹高は23.5mもあるという。

この木にだけは囲いがあって、中には入れない。
なぜかというと、陸軍の大演習の折りに、明治天皇が座ったところに記念として植樹されたからだ。

飛火野には、大木という程ではないけれど、そこそこ大きなナンバンハゼ(南蛮櫨)がある。秋になると、カエデに負けないくらいに紅く色づく。

  

 

 
飛火野を林縁に添って南へ歩くと、存在感のあるコレぞ巨樹といった木が在る。

 

 

 

 

 

 
これもクスノキである。
樹高は23m。幹周りは7.1m。樹齢は700年だそうだ。

幹が空洞になっているが、木自体は結構元気で、青々とした葉を繁らせている。
この空洞の部分には焼け焦げたような痕があるので、たぶん雷でも落ちたのだろう。
大木は他の木よりも高いので、きっと雷が落ちやすいんだろね。

 
春日大社まで移動した。

 

 

 

 

 

 
もちろん鹿さんもいる。
燈籠の間からコンニチワ。

 

 
春日大社の中にも巨木がある。

 

 

 
奥に見える杉の木だ。
『社頭の大杉』という名前がついている。
樹高25m。幹周り8.7m。樹齢800年~1000年という。

春日大社境内には、『砂ずりの藤』と呼ばれる樹齢800年の藤の大木もある。

 
(出典『よしひろ館』)

 
美しい。
花期はゴールデンウィークくらいだったろうか?
自分も見たことがあるが、ゴージャスな藤だ。
ただし、人も多い。見るなら朝の早い時間帯に行かれることをお薦めする。
とはいえ、周辺の少し離れたところには藤の大木がちょこちょこあるんだけどね。

 
春日山の原生林には杉の巨樹も何本かあり、二の鳥居付近にも「若宮大楠」という大木がある。

 
若宮神社の方へ進むと、クスノキの大木があった。

 

 

 
注連縄(しめなわ)が張ってあるので、御神木である。
一見するとそんなに大きくは見えないが、何と驚いたことに樹齢1700年だという。
写真は撮らなかったが、実をいうと表からそうは見えないが、裏から見ればその凄さが解る。デコボコのゴツゴツなのだ。因みに樹高は24m。幹周りは11.5mもある。

 
さらに金龍神社まで進むと、大きなイチイガシもある。

 

 

 

 
このイチイガシも大きい。
樹高18m。幹周り4.85m。樹齢は300年だと言われている。なあんだ300年ぽっちかよと一瞬思ったが、よくよく考えてみれば三百年も生きてるってスゴい事だ。動かぬ植物が生物の最強で、生命力が一番あるのかもしれない。

春日山のイチイガシといえば、そういえばルーミスシジミだなあ。
ルーミスシジミとは、日本屈指の珍蝶で人気も高い。
そのルーミスシジミの産地として、かつてはこの春日山一帯が有名だった。国の天然記念物にも指定されている。

 
【ルーミスシジミ Panchala ganesa】

 
日の光の下では、この水色が明るく輝き、とても美しい。

そういえば学名の小種名は ganesa(ガネーシャ)だったな。ガネーシャといえば、インドの神様だ。ルーミスシジミは神様なのである。

以下、何れも紀伊半島のルーミスだ。

 

 
たぶん、下のが♀かなあ…。

 

 
雌雄同体で、区別がそこそこ難しいのだ。

 

 
コレはちょっと変わった斑紋だね。

 
(裏面)

 
しかし、春日山原始林では既に絶滅して久しい。
伊勢湾台風の折りに多くの木が倒れたので、害虫の発生(?)を抑える為に農薬を空中散布したのが原因だとされている。

だとしたら、愚かな事だ。行政って動植物の事を何にも解ってないから馬鹿な政策ばかりしている。天然記念物の指定でもトンチンカンなものが結構ある。この春日山のルーミスだって、伊勢湾台風といえば1959年なワケだから、もう絶滅してから50年以上も経っているのに天然記念物の解除がなされていない。

それにしても、愚の骨頂とはいえ、そんなに簡単に絶滅するもんかね❓
他の昆虫で、ここ春日山で絶滅したとされるものは聞いたことがない(註1)。だいち、幼虫の食樹は山ほどまだ残っているのである。採集は禁止されているから、採集圧で絶滅したということも考えられない。にも拘わらずいないのである。
それに紀伊半島のルーミスを春日山に放した輩が絶対いるに違いない。それでも復活しないというのは、やはり他に問題があるのだろう。森の乾燥化が進んでいるとも言われるが、環境はたぶん50年前とそれほど大きくは変わってない筈なんだけどね。
きっと、人間があずかり知らぬ目に見えない環境の変化があったのだろう。

他に有名なイチイガシとしては、萬葉植物園内に『臥竜のイチイガシ』と云う木がある。これは名前のとおり枝が横に伸び、竜が如き佇まいだからだ。長い間、見てないけど結構見応えがある。

 
再び春日大社へと戻り、二月堂に抜ける道へと入ってゆく。
暫く歩くと、迫力のある木にブチ当たる。

 

 

 

 

 
水谷(みずや)神社のイブキ(ビャクシン)の木だ。
漢字は伊吹と書き、ヒノキ科ビャクシン属に含まれる。

幹の面妖さが凄い。
こういう老樹を見ると、精霊が宿っているのではないかと思ってしまう。
でも葉がほとんど無くて、瀕死の状態だ。
頑張れ!、おじいちゃん。

樹高は途中で折れてるから12.5mだが、幹周りは6.55mもある。樹齢は750年だそうだ。
中の空洞からは杉の木が生えていて「水谷神社の宿生木(やどりぎ)」と云う名もある。植物の逞しさには、驚くばかりだ。

 

 
ケヤキ(欅)の大木。
ケヤキは大木になりやすい木で、これくらいのものなら結構ある。

若草山の麓を通り、二月堂までやって来た。
お水取り(修二会)が近いせいか、もうそれ用の竹が用意されていた。

 

 
今年のお水取りは3月1日から3月14日に行われる。
お水取りが始まれば、いよいよ春の到来だと言われ、お水取りが終われば本格的な春が始まると言われている。

 

 
鮮やかな紅い花が咲いている。
モチノキ(モチノキ科モチノキ属)だろうか?
クロガネモチならば、もっと葉が小さい筈だから多分そうだろう。

 
東大寺の裏へと繋がる道をゆく。

 

 

 

 
この道はとても風情があって好きだ。
タイムスリップしたような不思議な気分になる。

坂道が終わると、右手に紅梅が咲いていた。

 

 

 

 
右の柑橘系の木との取り合わせが良いね。

 

 

 
ひっそりと蝋梅(ろうばい)も咲いていた。
名前に梅とついているが、梅の仲間ではなく、ロウバイ科 ロウバイ属に属する。蝋細工の梅みたいに見えることから、ついた名前だろう。
目立たない花だが香りが素晴らしい。
甘い香りがするのだ。その香りは香木の伽羅(きゃら)の匂いだとか、ジャスミンや水仙の花の香り、石鹸の匂いなどにも例えられる。

 
東大寺の裏手を歩く。
いつ見ても巨大で、毎度ながら要塞みたいだなと思う。

 

 
戒壇院まで来た。
残念ながら風情のある入口の山門は改修工事中で見られなかった。
本来はこんな感じ。

 
(出典『kiis.or.jp』)

 
この階(きざはし)の低い階段がいい。
でも正面からの姿もいいが、右斜め横から見る角度の方が好きだ。

仕方がないので戒壇堂の写真を撮る。

 
【戒壇堂】

 
パンフの表紙は広目天さんだ。

 
(以下、多聞天まで出典は戒壇院のパンフレットから。)

 
キリリと引き締まった顔が凛々しい。
シルエットもカッコイイねぇ~。
仏像の良さは顔だけやない。そのシルエットも大事だ。

パンフの表紙が仏像なのは、この寺には奈良(天平)時代の有名な四天王像があるからだ。
四天王とは、仏教における守護神である。
その配置は決まっていて、持国天➡増長天➡広目天➡多聞天の順に眺めるそうだ。

 

 
寺の人の話によれば、四天王は関西弁で『地蔵、買(こ)うた』と覚えればいいそうだ。「地・増・広・多」ってワケだね。

 
【持国天(じこくてん)】

 
東方の守護神であり、武神である。
左手に刀、右手に宝珠を持つものが多いが、戒壇院のものは右手に刀を持っている。国家安泰を表し、その刀で魔物を払うという。
足下に邪鬼を踏みつけている。これは他の四天王も同じだが、それぞれ踏んでいる邪鬼の種類が違うので、それを見比べるのも面白い。

 
【増長天(ぞうじょうてん)】

 
ぞうちょうてんとも読む。
南方の守護神。槍に似た戟(げき=古代中国の武器)を持ち、五穀豊穣を司る。

ドヤ顔である。
それでハタと思った。調子にのり過ぎることを増長(ぞうちょう)するというが、もしかしたらその語源はこの増長天から来ているのかもしれない。
それを確かめる為に寺の人に尋ねてみたが、「わっからへんなあ~。」と言われた。

 
【広目天(こうもくてん)】

 
西方の守護神。サンスクリット語(梵語)で「様々な眼を持つ者」を意味する。その千里眼のような眼でこの世の中のあらゆる事を見抜き、仏の教えと信者を護るといわれる。
右手に筆、左手に巻物を持っているのは、知の象徴でもあるのだろう。

この顔はいつ見ても荘厳だ。でも、ちょっと新撰組局長の近藤勇の顔に似ているなと思うのは自分だけだろうか?何れにせよ、相当頑固そうな顔だ。

この戒壇院の四天王だが、各自の身長が違う。持国天が160.5㎝。増長天が162.2㎝。多聞天が164.5㎝。そして広目天が169.9㎝と一番高い。広目天がスラッとしていて一番カッコ良く見えるのは、そのせいもあるのかもしれない。

 
【多聞天(たもんてん)】

 
宝塔を捧げ持つ北方の守護神。
物事をあまねく聞く者とされ、四天王最強と言われる。四天王としてはこの名だが、ソロ活動もしており、二つ名がある。その場合は「毘沙門天(びしゃもんてん)」と呼ばれ、財福の神や無病息災の神となる。また七福神の一尊としても数えられ、誠に忙しいお人である。

 
ちょっと疲れたので、お茶する。

 

 
抹茶ラテ。
普段は甘いものはあまり口にしないが、ちょっと疲れてきているので丁度いい。

 
日が暮れたので、東大寺南大門へ。
『なら瑠璃絵』を見る前に、あの仏像を拝んでおこうと思ったのだ。

門の左右には、天才仏師と謳われる運慶の手による金剛力士像(仁王像)が安置されている。

 
【阿形(あぎょう)像】

 
デカイ。下に人が写ってるから、そのバカでかさ加減がよく解るだろう。
身長は8.4m、体重は6.67トンもある。

木像だから相当デカイ大木が使われているに違いないよね。解体修理の時に分かったそうだが、木は檜(ひのき)が使われているようだ。

 

 
口を開けているのが阿形。
そして、口を閉じているコチラ↙が吽形(うんぎょう)像である。

 
【吽形像】

 
二つ合わせて阿吽。
「阿吽の呼吸」という言葉は、ここから来ている。

仁王像がこうして左右向かい合って立っているのは珍しいそうだ。
また門の右に吽形があり、左に阿形があるのも珍しい。普通は右に阿形、左に吽形が安置されていて、逆なのだ。

 

 
それにしても、隆々とした凄い筋肉だ。
筋骨隆々とは、この事だろう。
金剛力士も仏教における守護神だから、強くなくては話にならない。だから当然なんだけどね。

 

 
生きていて、今にも動き出しそうな迫力だ。こんなのが動き出したら、マジやばいよね。
それにしても人間が造ったものとは、とても思えない。そんなのを超越したものを感じる。
もしかして、運慶さんは宇宙人じゃねえの❓
名人が作ったものには魂が入るというが、ホントだと思えるくらいに凄いワ。
しかも、この仁王像の製作期間が仰天ものだ。
二体同時進行で、たったの69日間で造られたそうだ。やっぱ運慶さんは宇宙人だよ。

二体同時進行❓
ここで漸く思い出した。これは運慶さん一人で彫り上げたもんではないや。
運慶作と伝えられるもので大きなものは、だいたいが運慶さん率いる仏師集団が造ったものだと云うことを忘れてたよ。運慶が親方とか棟梁で、その指揮のもとに製作されたようだ。つまり運慶作とは、運慶個人の名前でもあるが、工房の名前でもあったワケだ。これは、ガラス工芸で有名なガレと同じようなものだと考えればいいだろう。

因みに伝だが、阿形が運慶と快慶の親子の作で、吽形が定覚と湛慶のコンビ作だと言われている。おそらくその下には多くの仏師がいたのだろう。
それでも約70日間と云うのは超人的バカっ早さだ。
これは寄せ木造りという工法が編み出されたからだが、それでもそれを齟齬なく組み立てるのは至難の技だったろう。

二体の仁王像は、宇宙人の始まりと終わりを表しているという。
阿形が始まりで、吽形が終わりだ。
仏像や曼陀羅には、仏教の壮大な思想が詰まっているのだ。

                 おしまい

 
追伸
そして、このデイトリップは前に書いた『なら瑠璃絵』へと繋がるのである。

 

よかったら、そっちも読んでね。

 
(註1)絶滅したとされるものは聞いたことがない
そういえば、若草山のオオウラギンヒョウモンも絶滅している事を忘れてた。
この蝶も今や日本有数の稀種であるが、局所的に分布するルーミスシジミとは少し事情が違い、昔は広く分布していたようだ。草原性の蝶で、生息に適した草原が人間の生活の変遷と共に激減したのが原因だと言われている。

 

ダリアとシンジュキノカワガ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで、イチモンジセセリさんと一緒に休憩。
普段は無視だけど、この日は和ませてもらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
何と、これぜ~んぶダリアです。
色んなダリアがあるんだね。でも黒いダリアから後はダリアとは思えないようなダリアだな。

ダリアはキク科(Asteroidear) ダリア属(Dahalia)に分類され、原産地はメキシコだそうである。メキシコの国花でもある。
1789年にメキシコからスペインに移入され、そこで多種多様の品種改良がなされたそうだ。

花言葉は「華麗」「優雅」「威厳」「移り気」「不安定」「感謝」「栄華」。
花言葉って、いつも思うんだけど、そんなにぎょーさんあってどないよ(# ̄З ̄)❓ワッケわかんねーよ。意味あんのかね。

因みに、日本では当初テンジクボタン(天竺牡丹)という名で呼ばれたていたらしい。確かに大輪の花は、まるで牡丹みたいだなと思った。
ついでに言っとくと、食用のダリアもあるらしい。塊根を食べるようだけど、レンコンに近い食感なんだとさ。他に花や葉がサラダなんかにも利用されてるみたいだね。

写真は2018年 10月8日に奈良県河合町の馬見丘陵公園で撮ったものだ。
何で、こんなに沢山ダリアの花の写真を撮ったのかというと、ヒマつぶしなんである。
この日の目的は他にあった。ものスゴく珍しい蛾、シンジュキノカワガを探しに来たのである。

【シンジュキノカワガ Eligma narcissus】
(出典『青森の蝶たち』以下2点とも)

 
ゾクゾクくるエキゾチックさだ。

 

 
羽を閉じると渋い魅力になる。
外側の太い縁どり線は妖しい緑色なのもいい。

 

 
裏側もスタイリッシュだ。鮮やかな黄色とデニムの青のとのコントラストが素晴らしい。

この蛾は南方系の蛾で、基本的には日本には棲んでない。たま~に外国のどっかから飛んで来るようだ。
蛾のパイセンが、コイツを2年前に此所で採ったと言う。しかも、2頭も。トイレの灯りに飛んできたらしい。それで、のこのこと出てきたワケだ。昼間から来ていたのは幼虫の食樹であるシンジュ(ニワウルシ)もあると聞いたからだ。この蛾は食樹のそばで見つかる事も多いみたいだから、何とかなんでねーのと思ったのさ。
でも、エエかげんな性格のパイセン、公園中を探しても食樹なんて1本もありゃしない。公園事務所の植物担当の爺さんに訊ねても、「知らんなあ。そんな木、たぶんないで。」と言われたよ。

結局、夜の公園を夢遊病者の如く徘徊したけど、会えなくて惨敗。
どころか、新月なのに他の蛾さえも殆んど何も飛んで来なかった。
暗い夜道をとぼとぼと駅に向かって歩いている間、ずっとダリアの花々が脳裏で浮かんでは消えていった。

                 おしまい

 
追伸
残念だが、この日はまだ皇帝ダリア(キダチダリア)は咲いていなかった。

 

Exif_JPEG_PICTURE

(出典『樹木好き!I❤Trees』)

皇帝ダリアが咲くのは11月。カイザーは満を持して最後に現れるのだ。

 

『西へ西へ、南へ南へ』19 さらば、奄美

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-31 00:22:19

 

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』

     (第十五番札所・さらば、奄美)

 
2011年 9月21日

語るにたりない。
語りたくもない。
だが、語らねばならない。

樹間に涌く、無量の感に涙しぼり
地に満つる落葉や雑草にも
無情の声を呑み
天かける白雲に
よしや、骨肉ここに枯れ果つるとも
9月の太陽は燦として
今、天上にある
されば、膝を曲げ、頭を垂れて
奮然、五体の祈りをこめよう
五臓六腑の矢を放とう

(奄美出身・泉芳朗の詩より抜粋、一部改変。)

寒くて、目が覚めた。
昨日の夕方から急激に気温が下がった。暑くて眠れなかったのが嘘のようだ。
いよいよ奄美にも本格的な秋が訪れたみたいだ。

午前7時。最期の仕度をする。
アカボシゴマダラの♀の完品を何としてでも採りたい。いや、採らねばならぬ。

迷ったが、今日も根瀬部に行こう。
上手くいって昼過ぎ迄にカタがつけば、他の場所に転戦するつもりだ。

数えてみれば、奄美にもう12日間もいる。大阪を出て、いつの間にか2週間を越えてしまった。

8時半に小宿の柑橘畑に着いた。
例によって、畑の持ち主のオバアに挨拶して中に入る。

(-“”-;)おらん…。樹液にも来てない。

知名瀬をチラッと経由して、根瀬部へ。
ここでも畑仕事中のおじー、おばーに挨拶する。
奄美の人達は、みな親切だ。

此処が一番早い時間帯から翔んでいると読んだが、矢張り朝昼は翔ばんのか…。

仕方なしに、採るのを半ば無視しがちだったツマベニチョウ(註1)やナガサキアゲハ(註2)、ウスキシロチョウ等をクールにシバき捲る。
昨日は二日酔いのせいでスランプがちだった。ゆえに慎重になりすぎたきらいがある。だから今日は何も考えずに見たら即ネットを振ることにした。
大体、迷うと外す確率が高い。だが、迷わずに済む相手はつまらない。あれほど憧れたツマベニチョウも今や百発百中だ。それはそれで半分悲しいのだが…。

午後1時。待望のアカボシゴマダラの♀が現れた。
木立を抜けて、川の対岸の枝先に止まった。
デカい。明らかに♂よりデカい。しかも、多分完品。
慎重に網を延ばしたが、半分も距離を詰められずに感づかれて翔んでいってしまった。
30分後、近くのエノキの上を滑空しているのを発見。しかし、微妙に届かない。
何だか腹が立ってきたので、♂は全部空中でバスバス、シバいてやった。

夕方4時。最大のチャンスが訪れた。
広場にスウーッと♀が降りてきた。
だが、目の前に停まっていた軽トラが邪魔で躊躇してしまい、結局一度もネットを振らずに終わってしまった。
振らないと入らない。採れるわけがない。
外す事を恐れてただ慎重になっても意味がない。木偶(でく)の坊だ。軽トラをブッ叩いてでもダメ元で振るべきだったのだ。そんな簡単な事も解ってない己の愚かさに反吐が出る。

イワカワシジミも網に入ったのに枝にぶつけてネットがひっくり返り、
(;_;)/~~~バイバーイ。

惨敗。見た蝶で採れなかったのは久し振りだ。心がポッキリ折れて修復できない。
五臓六腑の矢を放つことさえ出来なかった…。

ここは谷状地なので、4時半には日が陰ってしまい、ジ・エンド。

風が冷たい。
秋風が沁みる。

又、奄美に来いとゆうことなのか…。
確かに奄美は、良いところなんだけどね…(ノ_・,)

そして、今日も脇田丸へ。
少し漁があったみたいで、鰹とシビ(キハダマグロ)の良いのが入ったらしく、それを刺身で貰う。

(鰹の刺身(390円))

普段食っている鰹の概念が打ち砕かれた。脂は乗っていないのだが、もちもちの食感で酸味と旨味が渾然一体となっていつまでも口に残るのだ。まるで別物、違う魚みたいだ。

(シビの刺身(390円))

こちらは鰹に比べあっさりしているが、奥にまた違った旨味があって中々のもの。マヨネーズ醤油も合う。

そして、外せないハリセン(アバス)。
実物を見せてもらったが、こっちのは巨大である(あとでよくよく考えたのだが、多分ハリセンボンではなく、ケショウフグかモヨウフグではないだろうか?)。

飲んでいるうちに、段々帰りたくなくなってきた。このまま帰るのも悔しい。
思いつめ始める。
真剣に残る事を考えた。3分の2くらい残る方に傾きかけた。
だが、天気予報を確認して諦めた。
明日の天気は決して良くない。

今日の支払いは、1370円。

大阪行きの船が着港するのは、午前3時半。
もう、11時半だ。そろそろ帰ろう。

この時間だと帰って用意して、眠らずに港に行った方がいいかもしれない。
みんなに別れを告げた。

さらば、奄美。
良い島だったよ。

                           つづく

(subject)
蝶の画像は原文では写メだったんだけど、今回は割愛しました。なぜなら、この時に撮った画像が無くて、他の産地の写真を使ったからです。でも、ツマベニチョウなんかは亜種だし、ナガサキアゲハも多分どこか(海外?)の比較的白い個体の画像を使ってしまったと思う。理由は、その頃に配信していた人たちは蝶屋ではなく、一般の人たちだったから、まあだいたいどんな蝶だか解ってもらえればいいやと思っていたのです。とはいえ、標本は何処かにあるのだが探し出すのが億劫なので、図鑑から失敬させてもらいまする。

【ツマベニチョウ】
(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

所謂(いわゆる)、スター蝶の一つ。
南国の女王と言えば、この褄紅蝶である(因みに沖縄本島編で出てくるのは、南海の女王です)。
九州南部から沖縄にかけて分布し、日本のシロチョウ科の中では一番大きくて華やか。
翔ぶスピードも直線的で速く、力強い。ゆえに一般的にハイビスカスなどの花に来た時くらいにしか採るチャンスはない(今回は、結構空中戦でシバいたけど)。
そして、そのハイビスカスに最も似あう蝶でもある。
ツマベニチョウは、初期の八重山編に出てきます。彼女のエピソードはそちらに詳しく書いております、多分。(因みに、この八重山編は店のお客さんに配信されていたもので、このブログには掲載されておりませぬ)。

奄美大島・沖縄本島のものは、前翅の湾曲が強く、♂の橙赤部分が第8室にまで及ぶことにより、それぞれg.liukiuensis、g.conspergataとされてる。
けど、差は軽微だし、個人的には別に亜種にする程の事でもないような気がするんだけどなあ…。

【ナガサキアゲハ(長崎揚羽)♀】
(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

こっちの♀は沖縄本島と並んで特別に白く、飛んでいる姿はまるで優雅な貴婦人のようだ。
小さい頃は関西では迷蝶で滅多に見る事は出来なかったが、地球温暖化?で分布を拡げており、最近は関東地方くらい迄到達してるんじゃなかろうか?

一応、本土のものも図示しておこう。

(出典『日本産蝶類標準』)

見た目はかなり違うが、亜種区分は特にされておらず、日本産亜種(Papilio memnon thunbergii)として一本化されている。
因みに西表島産のモノが最も白いのだが、絶滅して久しい。

(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

そういえば、標本の展示即売会で120万円で売りに出されているのを見た事があったなあ…。

【ウスキシロチョウ】
(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

日本では南西諸島に広く分布し、本土でも迷蝶として採集される事、しばしばである(特に九州)。
しかし、食樹(ナンバンサイカチ、ハネセンナなど)が無い事から定着はしないようだ(気候的に育たない)。しかし、園芸種ゴールデン・シャワー(オシッコの事ではないからねー。ナンバンサイカチの英名です)が改良されて寒さに強いものが生まれれば、わからない。綺麗な花だから人気が出るに違いない。

(2015年 タイ・チェンマイ)

そうなると、あっという間に日本全国に拡がり、ウスキシロチョウも土着するかもしれない。でも、ウスキシロチョウなんか増えても蝶屋でさえ喜ばないかもしれない。沖縄方面に行けば普通種だし、さしてキレイではないからだ。

【鰹の刺身】
鰹は近海ではあまり獲れないから、輸送の段階でどうしても味が落ちてしまうんだろうと思う。
高知や和歌山の周参見なんかの現地で食べる鰹が旨いのは、比較的近海で獲れるからなのかもしれない。

【シビの刺身】
板前の竹さんにはキハダマグロの別名だと言われたが、シビマグロのこと。味も見た目もキハダマグロとは明らかに違っていたから間違いないだろう。
シビは紫尾の意だと思う。多分、尻尾が特徴的なんだろね。あと、確かマグロそのものをシビと呼ぶ地方があったような気がする。間違えてたら御免なさい。

気になるし、調べてみた。
(@_@;)あちゃー、調べれば調べるほどワケワカンナクなってきた。
取り敢えずシビマグロという種類の魚はいなくて、マグロの地方名、もしくはマグロの若魚なんかをそう呼ぶらしい。しかし、クロマグロの若魚とする記述もあるし、キハダマグロ、ビンナガマグロの若魚とするという説もある。
(# ̄З ̄)何なんだよ、それ。納得いかねえよ。気になって、今晩眠れないじゃないか。
意地になって更に調べると、鹿児島ではキハダマグロやビンナガマグロの若魚をそう呼ぶようだ。
まあ、この見た目と味の記憶からすると、多分ビンナガ(備長)だったと思うんだけどね。因みに、備長を音読みしてビンチョウマグロと呼ぶ所も多いようだ。
魚の地方名ってあり過ぎてワケわかんねえよなー。時々、統一したらどうだと思うのだが、チヌがクロダイになったら、それはそれでまたさみしい。まあ、地方名を無くしたら、何だか味気なくてツマンナイかもしれない。このままでいいやと思う。何でもかんでも統一するのが良いというワケでもあるまい。効率だけが全てではないのだ。

『西へ西へ、南へ南へ』17 梔子の妖精

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-27 19:09:05

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

  (第十三番札所・梔子(くちなし)の妖精)

 
2011年 9月19日

暴風が吹き荒れている。
だが、大したことない。石垣島の時の屋根が取れんじゃねぇの?Σ(T▽T;)というよりかは全然マシ。
あん時は、恐くて死ぬほど酒飲んで寝たんだよね。

仕方なく暇潰しに沖縄本島真夏編『ニライカナイの女王』の最終回を書く。
あーだこーだと文章をこねくりまわしてたら、5時間も掛かってしまった。低能な文章を書くのにも、結構それなりに時間がかかるのだ。

午後3時前、一段落ついたし、雨も上がったので出る。
風はまだ強い。

取り敢えず、一番近いらんかん山へ。
木々が風に煽られ、殴られぱなしのボコボコにされている。
風速は15m、時に20mくらいはあるだろう。
流石にアカボシも翔んどらんだろうと思ったが、1頭だけ翔んでいた。
アンタ、馬鹿ね。だけども偉いね(〃^ー^〃)
今や、そんなアカボシゴマダラに愛を感じるよ。

風がどんどん強くなり、身の危険を感じて4時前には山を降りた。

いつものように帰る道すがら、イワカワシジミを求めて民家の梔子(くちなし)をチエックする。
ここの梔子は立派である。既に肉眼で穴が穿いている実を3つ確認している。しかし、まるで手が届かない。いつも指を咥えて見るのみ。
クチナシって、生け垣とか丈の低いイメージがあるけど、本来はちゃんとした立派な木なんだね。もしかしたら、都会でよく目にするのは園芸種で大きくならないように品種改良されているのかもしれない。

どうせ今日は暇だ。
この際、周辺をじっくり探してみよう。他にもクチナシの木があるかもしれない。

イワカワシジミは奄美以南に棲息し、蝶好きには人気が高い憧れの美蝶だ。
裏面は日本には他に類を見ない綺麗な翡翠色で、優雅な長い尾っぽを持ち、南国の妖精という言葉がピッタリの可愛らしい蝶だ。

周辺を捜し始めて直ぐ、驚いて頭上に飛び上がった個体に出会った。イワカワさんだ。八重山や沖縄本島で採集済みだし、特徴的な姿なので他と見紛うことはない。
しかし、(^。^;)あらら…。折からの強風に煽られ、飛ばされていってもうた。

もしやと思い、目を転ずれば梔子の樹が目の前にあった。丈も高くなくて手頃な大きさだ。

調べてみると、卵が着いている実(註1)があった。

穿孔がある実(註2)もかなり見つかった。 だが、どれも中身は空なような気がする。内部に生きているモノの気配が感じられない。

立派なクチナシのある民家に戻ると、タイミング良く家のおばーが帰ってきた。事情を説明する。
おばーは、おじーを呼びに行った。
再びおじーに事情を説明したら、わざわざ高枝切りバサミを持ってきてくれた。
親切に感謝なりm(__)m
無事に4つ程良さげな実を落として貰った。

結局、その後イワカワの姿は見れずじまい。
まあ、天気は悪かったが、悪いが故に楽しめたかな。
ケッ( ̄ヘ ̄メ)、明日、こやつとアカボシの♀を絶対シバいてみせるぜよ。

今日も判で押したように居酒屋脇田丸へ。

いつものようにアバスの唐揚げを頼みスタート。
相変わらず、下手な河豚より数段旨い。

二品めは、昨日頼んだ漁師めしをご飯抜きでオーダー。海が時化っぱなしで、魚が入ってこず、黒マグロをふんだんに使ったスペシャルなものになった(490円❗)。完全にトロ鉄火状態。量も多い。

【漁師めし】

次に板さんに薦められたのは、アマミウシノシタ(舌ビラメ)のカルパッチョとグルクン(タカサゴ)の一夜干し。
迷う事なく、タカサゴ❗
カルパッチョって、何か中途半端で信用ならない野郎なような気がしてならない。ホントに美味い魚なら、普通の刺身で勝負せえやι(`ロ´)ノ❗と思うのである。

今日も呑んだくれて、夜は更けてゆく。
生ぬるい南国の夜風が心地よい。

                    つづく

 
(subject)

【イワカワシジミ Artipe eryx okinawana】

(裏面)
(出典『日本産蝶類標準図鑑』。標本はあるけど、探すのが面倒なので図鑑から画像を拝借。)

日本では奄美大島から南、与那国島にまで分布する南方系の蝶だ(現在は屋久島にも生息するが放蝶由来)。
奄美大島のイワカワシジミは亜種にこそなっていないが、かなり特徴的な姿をしている。表の前翅と後翅の亜外縁に白斑列にあらわれるのだ。特に第1化の春型の♀の下翅は顕著で、気品があって美しい。

国外ではインドからインドネシア、中国、台湾などの東洋熱帯区に広く分布する。しかし、日本でも個体数は多くはないが、さらに少なくて珍品とされているようだ。
とはいえ、ラオスとかタイでちょこちょこ採っているから、ホントなのかなと思う。因みに日本のイワカワシジミより遥かにデカイから、とても同種とは思えまへん。

(2014.4.7 Laos oudmxay)

これじゃ、大きさワカランか?
でも、しっぽ(尾突)が長いのは解るかと思う。しかも太くて白いし、白帯の領域も明らかに広い。

他にも画像があった筈だから、探してみる。

(2016.4.28 Laos oudmxay )

この画像なら、大きさも解って戴けるのではないかと思う。とはいっても、蝶好きな人しかワカランか…。

これは同日に採った別個体。天女のように美しいね。
どうやらこの辺(インドシナ半島)のクチナシの実は大きいから、その分だけデカくなるらしい。噂では超バカみたいなデカイ亜種?近縁種?がいるらしい。
意外だったのは、何れも川っぺりに吸水に来た個体だった事だ。そういえば、タイでもそうだった。イワカワが吸水に来るなんて日本ではほとんど聞いたことが無かったから、おおいに驚かされた記憶がある。確か、画像の個体は全て3時以降夕方近くにやって来たような覚えがある。
話は全然逸れるけど、この時はビヤッコイナズマEuthalia byakkoとパタライナズマ Euthalia patalaをひたすら待ってたんだよね(パタラに関しては採集記があるので、興味のある人は探してみてね)。

【イワカワシジミの卵】
イワカワシジミはクチナシの実にしか卵を産まない。
幼虫は葉っぱではなく、実の内部を食べて成長するからだ(実のない時期は蕾や花を食べる)。
普段、我々は生け垣や植え込みとして植えられる事が多い園芸種のクチナシしか目にする機会はない。6月に良い香りのする白い花を咲かせるコレね。

(出典『花図鑑』)

オオヤエクチナシ(英名ガーデニア)という品種らしい。何と実はつけないそうだ。って事は、コヤツではイワカワシジミは飼育できないってことだね。

多分、野性種はこんな感じの花だったかと思う。

(出典『デハ712のデジカメ日記2017』)

野性種の本来のクチナシは意外な程に大きい樹だ。大木になることはないとは思われるが、低木とはいえ、クチナシの概念を改めざるおえないような立派な樹である。少なくとも腰丈くらいの灌木と云うイメージは捨て去るべきだろう。だから、最初に八重山に行った時はクチナシの木を見つけるのにかなり苦労した。まさかそんなにデカい樹とは思わなかったからだ。
何でも人間が自分達の都合のいいように作り変える。そういう事だ。

【そして、その穿穴】
ここに幼虫が食い込み、内部を餌とするのだ。蛹化もこの中で行われる。これは穴が大きいので、既に脱出して蝶になっている可能性が高い。

不思議な事にクチナシならば、どの木でも実がなっていると云うワケではない。実のなる季節も特には決まっていないようだ。
又、実が有ったとしても卵や幼虫が必ずしもいるわけではない。様々な細かい条件が揃わなければならないのだろう。いつも驚かされるのだが、自然界の法則は複雑怪奇である。
もっとも、そんなのは所詮ダーウィニズムを筆頭に人間側からのエゴイストな解釈にしか過ぎないのかもしれない。蝶本人たちにとってはごく当たり前の事で、きっと不思議でも何でもないのだろう。

【漁師めし=スペシャルなめろう】
漁師めしとは、ようするに生の魚を大葉や葱、生姜、胡麻、味噌を加えて細かく叩く『なめろう』の親戚みたいなもの。
海苔が入るところが奄美風だったり、脇田丸風だったりするのかな?

 
追伸
結局、今回はけっこう文章に手を入れた(後に海外でのイワカワシジミの知見も増えたしさ…)。
出来るだけ当時のままを尊重して手を入れないようにしているのだが、元々自分の周りにしか送っていないような文章だっただけに、原文ではかなり説明が割愛されている。そもそも説明が嫌いだし、顔見知りに配信していたからコチラのキャラ知ってるんだから行間読めよ、解んだろ?というスタンスだったのだ。でも、今は不特定多数を相手に配信しているので、そういうワケにもいかないんだよね。
まあ、それが良いのかどうかはワカンナイけど…。
説明の多い文章は、だいたいは駄文だかんね。

 京都・原谷苑の枝垂れ桜

4月10日に京都の原谷苑に行ってきた。
ここは知る人ぞ知る枝垂(しだ)れ桜の名所である。
京都にそこそこ詳しい自分も最近まで知らなかったくらいだから、まだまだ穴場の部類に入るだろう。

阪急京都線・西院駅で降りる。
何だか懐かしい。高校生の頃にバイクの中型免許を取る為にわざわざ此処にある教習所に通っていたのだ。
下手したら、降りるのはそれ以来かもしれない…。

確かデルタ教習所って名前だったんだよね。何で大阪からわざわざ京都くんだりまで通っていたのかというと、合格率が高かったのである。だから、デルタの卒業生は運転が荒いと言われたものだ。実際、周りの教習生は暴走族の予備軍みたいな奴ばっかだったなあ…。結構、メンチの切り合いとかあったわ。

駅前にあるバス乗場に行く。
ひっきりなしにやって来るバスはどれも人で一杯である。外国人も多い。京都は外国人の観光客が確実に増えているんだなあと改めて実感する。
金閣寺方面ゆきのバスに乗り、わら天神前で下車。
そこから少し歩いてわら天神まで行き、さらに無料の送迎シャトルバスに乗り換える。

バスは急勾配の坂を上がってゆく。
結構、山ん中にあるんだね。

10分程で、ようやく原谷苑に辿り着く。
因みに辿り着く方法は、徒歩を除けばこのシャトルバスとタクシーだけだ。タクシーもチャーター車(貸切車)は不可で、賃走タクシーのみ。マイカーは完全禁止である。観光バスやマイクロバスも不可。
何でなのかというと、駐車場も無いし、一帯は狭い道ばかりなので渋滞になるとにっちもさっちもいかなくなるからだそうだ。それに過去に路駐の横行があって、近隣住民から苦情が出たらしい。

入口で料金を払う。
値段は今日は1200円。正直、お寺の拝観料の500円と比べれば随分と高い。でも、もっと高いときには1500円もするのである。驚きの値段変動制なのである。解りやすくいうと、満開の時は高くて、その前と散りそめの時は安くなるようだ。
まあ、送迎も付いていてこの値段なら納得ではある。タクシーだと片道三千円はかかるだろうからね。

園内は枝垂れ桜だらけだ。ソメイヨシノは1本も無い。
だが、残念ながらまだ開花していないものが多い。
だから、1200円なんだね。
考えてみたら、今はソメイヨシノが満開の時期である。此処に来る前にも、いたるところで艶やかな花を咲かせていた。という事は、それより少し遅れて咲くシダレザクラにはまだ早い。そんな当たり前の事も、女の子とデートをしなくなると忘れてゆくんだね。

それでも何本かの枝垂れ桜は満開になっていた。

しかし、ここの良いところは、桜がダメでも他の花がたくさん咲いている事だ。
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