『西へ西へ、南へ南へ』20 奄美の檻

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蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-09-01 23:08:02

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』

    (第十六番札所・奄美の檻(おり))

 
2011年 9月22日

午前4時03分。
(゜ロ゜;ハッとして目が覚め、時刻を見て我が目を疑った。
船の出航時刻は、3時50分。完全に行ったあとだ。

やっちまった……(T^T)
信じられないが、現実だ。

午前2時過ぎくらい迄の記憶はある。
その後、急激な睡魔に襲われたのだ。
一応、目覚ましをかけていたのだが…。

半分望んではいたが、断じて確信犯ではない。
ひきつった半笑いで煙草を一本吸い、考えるのが嫌で睡眠薬を飲んで再び寝た。

朝8時に宿のおばーに会ったら、(゜ロ゜)❗❓ビックリされた。悪いが、こちらもΣ( ̄ロ ̄lll)ビックリなのだよ。(TДT)ぶふゅ~。

9時、バイクを借りに行く。
天気予報は曇りのち雨。部屋で色々思い悩むのもしんどいし、出る事にした。天気がもてば幸いだ。晴れ男の運を信じよう。

3連チャンでまた根瀬部に行った。
アカボシゴマダラの完品の♀を何とかせねばならない。天気よ、恃むから2時くらいまで保ってくれ、心の中は悲痛な叫びで一杯だ。

曇り時々晴れ。
例によって、一時に♀がやって来た。
しかし、明らかに傷んでいる。頭(こうべ)を垂れて、スルーする。どうせ展翅もしないのなら、無駄に生命を奪うべきでない。卵を産む♀なら尚更だ。

しかし、その後待っても待っても♀は姿を現さなかった。
イワカワシジミも見たが、高過ぎて話になんない。
天気はどんどん良くなっていくが、気持ちはどんどん曇っていった。他の蝶を最早採る気にもなれず、ただただ時間は無為に過ぎて行く。
今日は♂さえ、あまりいなかった。
空中で3頭のみシバく。

どうやら此処は、♂の♀探索ポイントではないだろうか?三日間♀と呼応するように現れ、3時前には殆どいなくなる。多分、その後はテリトリーを張る場所に移動するのではなかろうか?
ここでは翔び方が矢鱈と速いし、ほとんど止まらないし、暫くすれば去ってゆくと云うのも他の場所とは違う。テリトリー(占有活動)を張っているという感じではないのだ。
あれれ❓じゃあ、♂がテリトリーを張るって何の意味があるのだ。♀を待つなら、ここでテリトリーを張ればいいんじゃないの❓何でワザワザ尾根とか山頂に向かうのだ。
この占有活動という名の♂同士の縄張り争いは、学説では♀を待つ最良の場所をめぐっての戦いらしい。でも、ずっと疑問に思ってる。同じような場所でテリトリーを張るオオムラサキやスミナガシにしても、そこに♀が飛んで来た事など一度も見た事がないのだ。唯一の目撃例は、ここ奄美大島の蒲生崎で見たアカボシゴマダラの♀だけだ。まだしも同じようにテリトリーを張るゼフィルス(ミドリシジミの仲間)の方が♀を見る機会がある。とはいえ、それとて見た数はしれている。交尾が目的ならば、あまりに効率が悪すぎるではないか。この♂の占有行動には別な意味があるんじゃないかと勘ぐりたくもなる。
いや待てよ、♀は飛んでくるワケではなくて、最初からそこにいて隠れているだけなのかもしれない。そこに後から♂が飛んできて縄張り争いが始まり、そして交尾は占有活動がおさまった後、夕方遅くや日没後、もしくは早朝に行われるのかもしれない。しかし、そんなこと聞いたためしが無いなあ…。
蝶って、謎だらけだ。だからこそ面白いんだけどね。

イラついて朽木を蹴ったら、
ぬわっ( ̄□ ̄;)❗❗
蠍(サソリ)が出てきた。

サソリモドキ❗❓
毒あんのかな❓
いっちょまえに尻を挙げて威嚇なんぞしくさってからに…(^_^;)
畜生、どいつもこいつも馬鹿にしやがって( ノД`)

午後4時。諦めて半ベソで知名瀬に行ったが、全く姿なし。本当に有名ポイントなのかよ(# ̄З ̄)ぶきゅー。
4時半には見切りをつけて、朝仁に移動。こうなりゃ、もうヤケクソだ。

テリトリーを張るギリギリの時間である5時の10分前に着いた。
一応、♂がいた。確認の為だけだから無視して煙草を吸っていたら、ふと目の前を見ると大きな梔子(クチナシ)の木があるではないか。
目視で見ていくと、実に穴も穿いている。イワカワシジミがいるかもしれない。期待を込めて周囲を叩いてみる。

だが、いなかった。
他にもクチナシが有るかもと思い、10m程移動したら、イワカワシジミが目にも止まらないスピードでテリトリーを張っていた。笑けるスピードだ。

惨めさも相俟って、とてつもなく腹が立ってきた。
(#`皿´)アホンだらがぁー❗❗❗❗❗
怒りの一撃で、一発で空中撃破。

だが、完品には程遠い。
溜飲が治まったわけではないが、チヨットだけホッとした。

辺りが夕闇に包まれようとしていた。
気分は難民。船に乗れないボートピープル。

                  つづく

 
(subject)

【サソリモドキ】
多分、サソリの親戚。サソリと全く同じ形だが、所詮ライダーマンみたいなもんで、ホンマもんではないモドキ風情だ。外部は本家みたいに固くない(と思う。触ってないから分からない。誰が、んなもん触るちゅーうんじゃい(‘ε’*)!)。
とにかく中途半端でやわい存在。
毒も子供騙しの筈だったような気がする。
まあ、でも実物を見たときはかなり驚いた。猿飛佐助ばりに飛び退いたね。モドキとはいえ、見た目はかなり邪悪なのだ。

(補足)
サソリモドキに関して何となく出鱈目くさい事を書いていそうである。
文章は翌日とかのほぼライブ配信で奄美大島から送っていたんだけど、サソリモドキの事なんぞ調べようがなかった。この時はスマホではなかったので、その場で検索とかできなかったのだ。
というワケで、調べなおす事にした。

Wikipediaによると、サソリモドキはクモ綱サソリモドキ目に属し、サソリとクモの中間的な特徴を有しているようだ。もちろん肉食性でコオロギやバッタ、時にはミミズなども捕食するらしい。
意外な事に外皮は丈夫で堅いという。サソリみたいに毒腺は無いようだが、尻の付け根の肛門腺から酢酸、カプリル酸の混合物の酸っぱい液を噴射する。英名のビネガロン(怪獣みたいな名前やなあ…)はそこからきているらしい。つまり、ビネガー(酢)って事ね。
これには強い刺激があり、皮膚に触れたり目に入ると火傷様の皮膚炎や角膜炎を起こすことがある。
(@_@;)おいおい、子供騙しではないシッカリとした毒あるやんかあー。触らんかって良かったあー。
とはゆうもののそんなに攻撃的な奴ではないらしい。刺激しないかぎり、自分から積極的に攻撃してはこない模様。また、普段は石の下などに隠れていて、人間の目に触れる機会は滅多になく、被害例も少ないみたい。

因みにサソリモドキは世界三大奇虫に数えられている。
あとの二つは何だっけ❓一つは確かウデムシだよなあ…。あと一つは思い出せない。まあ、何れにせよ全員エイリアンみたいなオドロオドロしい奴らで、あまりお会いしたくないよね。遭遇したら、間違いなく髪の毛逆立つね。

さらに調べていくと、結構記事がある。
日本には九州南部から沖縄本島に棲むアマミサソリモドキと石垣島や西表島など八重山諸島に棲むタイワンサソリモドキの二種類がいるらしい。
しかし、見た目は殆んど変わらんとの事。

(タイワンサソリモドキ)
(出典『Monsters Pro Shop 奇蟲・サソリモドキの味』)


奇蟲・サソリモドキの味

この人、豪の者で何と思いつきで食べはった。
毒を噴射させきって天ぷらにすると、海老のヒゲとか尾っぽの味がして結構美味いらしい。
何にしても凄い人だよね。この人、あの猛毒ハブクラゲを食うのに挑戦したりと、他の記事も面白い。

飼育している人も案外いるのには驚いた。
見ようによってはクワガタに見えなくもない。視点を変えれば、カッコイイと思う人がいてもオカシクはないだろう。自分は何があっても絶対飼いませんけどね。

【イワカワシジミ♂】
何とも言えない淡いグリーンがいい。
長く優美な尾状突起も相俟って、美しい意匠です。
イワカワシジミ、( ☆∀☆)好きです。

イワカワシジミは、八重山採集行二回目の春編・与那国島で主役の一つとして登場します(このブログに記事は無いです)。

奄美の春型が、白い部分が多くて一番美しいとされているけど、秋のものでも充分美しい。写メは裏だが、表も美しい。♂は黒に青、♀は黒に白の紋が入ります。

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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