『西へ西へ、南へ南へ』23 五臓六腑が哭いている

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蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-09-04 17:40:38

(当時のライブ原文のまま)
君らも、つまらん文章に付き合わされてもうウンザリだろうが、こちらはもっとウンザリなのよ( ´△`)
文章も段々ぞんざいになってきてるのよ。
タイトルも、いっそのこと『何処へ、何処へ』に変えたい気分だよ(つд;*)

 

 
       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』

  (第十八番札所・五臓六腑が哭(な)いている)

 
2011年 9月24日

昨日は脇田丸に行かなかった。
いい加減、魚にも飽きてきた。

鶏飯(けいはん)で有名な『てっちゃん』に行く。
最初は鶏飯にするつもりが、座ったら気が変わった。
鶏飯ラーメン(600円)をオーダー。どうしても麺が食べたくなったのだ。

スープは、鶏ガラベースに醤油。 
少し甘い。ニンニクがこころもち入っている。
麺は細麺のストレート。コシは結構ある。好きなタイプの麺だ。
具は鶏の細切り、干し椎茸、キャベツ、アサツキ(葱)、薄焼き玉子の千切り、胡麻。

点数をつければ、68点と云うところか…。
余談だが、意外にも奄美にはソーキソバ屋は一軒しかないそうだ。奄美では、麺と言えばラーメン。家庭では素麺(チャンプルー)みたいだ。
我々本土人は沖縄の文化と混同しがちだが、奄美は奄美なのだ。断じて沖縄ではない。だいたい、そもそ奄美大島って、沖縄県じゃなくて鹿児島県なんだもんな。

竹さん達と行ったスナックに行った。
どうにも淋しかったのだ。
退屈なので、女の子を口説いてみた。
だいぶと錆び付いてはいるが、まあその辺はね…。

一応、携帯の番号を教えて貰った。でも、何だか虚しいよなあ…。アカボシの♀の方がよっぽど難易度が高いような気がしてならない今日この頃。

そして、明けて今日。

昨日、最初に計画したプランでいく事にした。
予報は曇り後雨。
もう、なるようになれと云う感じ。完全にやさぐれてきた。

先ずは小宿に行き、柑橘畑を探すが居ない。
今のところアカボシゴマダラが樹液に来てるのを見たのは、谷村樹液ポイントと小宿のみ。しかも、小宿では一回しか見ていない。
そういえば図鑑に6月以外は樹液にはあまり来ないみたいな事が書いてあったような気がするなあ…。そんな筈あるわけないと思うんだけどなあ…(註1)。

小学校や中学校では、何処も運動会たけなわ。時々、歓声があがる。みんな楽しそうだ。
今日は日曜日なんだね。今や曜日感覚も熔けてしまっている。

10時に根瀬部に着いた。
空は次第に晴れてきた。
他に誇るべきものはそうないが、この晴れ男振りだけは自慢してもいいんじゃないかと思う。

今日の便で鹿児島に戻るつもりだから、もう迷いはない。躊躇せず、ネットを振る。
ツマベニチョウ、ナガサキアゲハ白♀、スミナガシ、イワカワシジミ、アマカラ(アマミカラスアゲハ)、アカボシゴマダラ♂etc…、バンバン完品が採れる。
だが、唯一つだけピースが足りない。そう、アカボシゴマダラの♀だ。

【アマミカラスアゲハ♀】
(アマカラの新たな画像が出てきたので添付です)

ここ数日で、いつの間にか雑草だらけのポイントに自然と道が出来てしまっている。
ザ・アカボシロードだ。

近隣のおじー、おばーとも、すっかり顔馴染みになった。

『今日は、どうね?』
『あきまへーん。』

12時半。待つ事にも厭き、周辺を探索することにした。
グァバの樹(3日前にスミナガシが来ていた)の近くで♀が翔んだ。いきなりで対応出来ず、茫然と見送ってしまう。見逃し三振。(○_○)死んだ…。

メインポイントに戻る。
1時前、いつも現れる暗い空間に判で押したように♀が登場。
鬼神の如くダッシュして、クワノハエノキに止まったのを迷わず横振り❗

鮮やかに決まったが、ボロ♀。
(T_T)なして~。

移動のリミット2時半前に、再びチャンスが訪れた。
毎度毎度のお馴染みの展開かよ( ̄。 ̄)
どうしてこうも毎回はかったかのように帰る間際ギリギリで、フィクションみたいな現れ方をするのだ。

今度は、完品かも…。
迷わず『五臓六腑の矢を放とう❗』と叫んで空中で捉えた。
Σ( ̄皿 ̄;;オラオラオラオラー、まあまあ天才をナメんじゃないよ❗❗

ガアーΣ(-∀-;)ーン❗
やや擦れてるし、翅も少し欠けている。

(ノ_・。)もう、いいや。この辺りが限界。もう赦してくれ。何度やっても同じだ。縁なしって事よ。
あかざき公園に寄って、さっさと帰ろう。
8時20分の船に乗って、この島を脱出しよう。

3時過ぎ、天気は曇ってきた。
♂が松の木でテリトリーを張っているが、見送るのみ。もう、オスはいらん。それにこちとら、朝から何も食ってない。あんたを採る体力はもう残ってないよ。

どうせ、此処にメスが来る確率は低い。近隣を捜索することにした。まだしも可能性はあるだろう。

いた❗、♀だ。
ふわりふわりと優雅に頭上を飛んでゆく。
目線を切らずに追い掛ける。多分、最後のチャンスだろう。見逃すワケにはいかない。必死で追走する。

やがて、木陰にすうーっと降りてゆくのが見えた。
そして、樹の幹に止まった。
何の木かは分からないが、きっと樹液が出ているに違いない❗

だが、止まったのは枝のYの字の部分。そんな殺生なあ…(T^T)
しかも、下は萱のブッシュで自由に網が振れない。

ゴチャゴチャ言っても始まらない。
やるっきゃない。トライあるのみ。

スコーン➰
ヽ( T▽T*)ノ 無理ー。
採れん。あんなとこ、採れるワケあるかーい。

その後、何度も舞い戻って来たが、イージーチャンス無しで、悉(ことごと)く変な所に止まる。おまけに敏感。
ヤケクソ駄目元で挑むも、外しまくる。
気がフレそうだ。

午後5時半。
気がつくと日も落ち、辺りはいつしか薄紫色に染まっていた。
人っ子一人いない寂しい風景に茫然と佇む。

五臓六腑が、哭いていた。

                 つづく

(subject 写真解説)

【鶏飯ラーメン】
よくよく考えてみれば、飯も入って無いのに「鶏飯ラーメン」って変だよね? 知らない人なら、とんでもないものを想像するかもしれん。飯とラーメンがゴチャ混ぜのネコめし的なヤツとかさ。
因みにラーメンには入って無かった(と思う)が、鶏飯には定番としてパパイヤも入っているんじゃないかな。何となくそれも変ちゃ、変。あっ、そういえぱ粉末のミカンの皮も入ってるぞ。意外や意外。鶏飯って、結構アグレッシブな食い物なのだ。
鶏飯。店にもよるがあっさり雑炊みたいで大好きです。奄美大島に来て、鶏飯を食わないヤツはアホだ。

【ザ・アカボシロード】
毎日通ううちに、ただの草叢にいつしか何本もの道が出来てしまった。
アカボシ巡礼の道だ。
随分と詣でましたなあ…。

【アカボシ♀】
もう、こんなもんで勘弁してくれ。

一見、綺麗な個体に見えるが、上下重なりあった部分の下翅が少し欠けている。
展翅すると、どうしても翅の破れは少しでも気になる。蝶は左右完全なシンメトリーでないと美しくないのだ。

こないだ修復したのは、多分この個体が母体だな。

という事は、その前に採った新鮮だけど上翅がイッちまってた個体も修復できるってことだな。
探そう~っと。

(註1)アカボシゴマダラと樹液
樹液好きの蝶なら、いつの季節でも樹液には来る。当たり前だ。主たる餌だもんね。
記憶が朧ろで、どうやら当時はトラップと樹液の情報を混同してしまっていたようだ。トラップが効くのは、個体数の多い6月だけらしい。
実際、アカボシには全くトラップに寄ってこなかった。もっとも、ワシのトラップの効力レベルが低かったという可能性はあるけどさ…。

追伸
冒頭の一文を見ると、興味深い。
書いた本人はすっかり忘れているが、当時は相当に苛立っていたのが解る。
感情ってのは、時間が過ぎれば忘却の彼方なんだね。その意味では、普段から日記はつけといた方がいいのかもしれない。まあ、自分には無理だけど。

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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