クビアカツヤカミキリ(クロジャコウカミキリ)

 
ハグロゼミに続く赤と黒シリーズである。
Facebookに「クロジャコウカミキリ(クビアカツヤカミキリ)」について書いたんだけど、短い文章では伝えきれないこともあったので、加筆して知見を纏めてみようかと思う。

(2017・7・10 大阪府狭山市)

Σ( ̄ロ ̄lll)ヤバイでヤバイでー。
外来種クロジャコウカミキリやでー。
桜の樹の重要害虫やでー。
梅も桃も柿もオリーヴもザクロもボロボロにするでー。
でも、カッコええでー。

交尾もしとるでー。
よう飛びよる飛翔力抜群のケッコーでかいカミキリやでー。
麝香(じゃこう)と謳ってるけど、刺激臭デラくっさいでー(@_@;)
40分で6頭採ったけど、あとはサッパリワヤやったでー。

邪悪なボスキャラに有りがちなお姿ですなあ。
でもボスキャラって、主人公よりカッコ良かったりして人気が高かったりするんだよね~。
だいたい、黒に赤ってのは警告色だからヤバイ奴が多いのだ。何年か前に移入してきて大騒ぎになったセアカゴケグモなんかも赤と黒だもんなあ。
昔、近所に住んでいたパンチパーマのヤンキー兄ちゃんが、常に黒い上下に赤いシャツを着ていたけど、あのヤンキー兄ちゃんもヤバかった。シンナーのやり過ぎで、いつも完全に目がイッてたもんなあ。
もちろん見かけたら、ぴゅ➰➰ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ、全速力でその場から離脱したのは言うまでもない。

ここまでがFacebookに書いた大体の文章だ。
我ながら、あまりの低脳振りに苦笑いじゃよ。
でも、主なことは結構ちゃんと書かれてはいるんだよねー(笑)

ではここからは改めて真面目に書いてみよう。

【クロジャコウカミキリ(クビアカツヤカミキリ)】
学名 Aromia bungii
体長22~40㎜に達する中・大型のカミキリムシ。
年一回、6月中旬から7月下旬にかけて現れる。オスは体からフェロモンを発してメスを誘(おび)きだすと言われ、それが名前の由来にもなっている。
本来はベトナム北部・中国・モンゴル・朝鮮半島・台湾に分布するが、2012年愛知県で最初に移入が確認され、以後、埼玉、群馬、東京、大阪、徳島でも見つかっている。また遠くイタリアやドイツなどヨーロッパでも発生が確認されているようだ。
これは卵や幼虫の入った木材(物資の梱包用)が中国や韓国から運ばれ、そこから広まった可能性が高いと言われている。
幼虫のホストとなる木はサクラ、モモ、スモモ、ウメなどのバラ科とオリーブ、カキ、ヤナギ、セイヨウハコヤナギ(ポプラ)、コナラなどで、成虫になるまでに2~3年を要する。
幼虫は桜や桃などの樹木内を食い荒らし枯死させてしまうことから、重要外来生物に指定されている。繁殖力が強く、メスが卵を100~300卵も産むといわれ、中国では(黒麝香天牛と呼ばれている由)、スモモに深刻な被害を与えており、日本でも桜や果樹園に甚大なる被害を与えるのではないかと懸念されている。

解説としてはこんなところだろうか…。
あっ、二つある名前についても少し言及しておこう。
多分、最初につけられた和名はクロジャコウカミキリかと思われる。大方、誰かがその和名が気に入らないから、新たにクビアカツヤカミキリと名付けたのだろう。
二つも名前が存在するのは面倒臭いよね。しかも、どっちの名前も今一つもの足りなさが残る。クロジャコウはジャコウカミキリの仲間だからそう名づけたのだろうが、この種の特徴である目立つ赤い首部を全く無視している。反対にクビアカツヤはその赤い部分とツヤツヤの質感を表現してはいるが、名前だけではジャコウカミキリの仲間だとはわからない。それにあの強烈な麝香臭も大きな特徴なのに、それが表現されていないのは片手落ちというものだろう。素直に『クビアカジャコウカミキリ』でいいのにね。
しかし現在、マスコミや公共機関ではクビアカツヤカミキリに統一されつつあるようだ。それはそれで構わないとは思う。名前は一つの方がいいからだ。
でもクビアカツヤカミキリよりクロジャコウカミキリの方が名前としては邪悪で高貴な感じがするので、ここでは以後、クロジャコウカミキリの方を採用させていただく。ややこしいかもしれないけど、ダサい名前は嫌いなので、ささやかなる抵抗なのだ(註1)。

それでは自分が実際に見たクロジャコウカミキリの印象について書いてみよう。

7月10日、午後4時過ぎに南海高野線の狭山駅に到着。
ポイントへと向かう。去年の秋の終わりにこの辺に用事があったので、ついでに偵察しておいたゆえ大体のアタリはつけてある。場所を詳しく書いてもいいのだが、探す楽しむを奪うのもどうかと思うので、駅から2㎞圏内としておこう。

第1ポイント近くに差し掛かった時だった。
突然目の上、5m程上空を黒い影が過った。
Σ( ̄ロ ̄lll)何じゃ、おまえ❗と思ったら、長い触角の影が辛うじて見えた。アレだ、アヤツが間違いなくクロジャコウカミキリだと直感した。全身に緊張感が走る。
それにしても、想像を越えるデカさだ。下手なクワガタよりも立派なくらいである。こんなのが飛んでたら、かなり目立つだ筈だが、どうせ都会人には見えてるけど見えていないから気づかないだろう(人間、興味の無いものは視界に入っていても認識しないように出来ているのだ)。
どこかに止まるかと思ったが、大きく弧を描き、Uターンして工場内めがけてあっという間に飛んで行ってしまった。
思っていたよりもスピードは速い。飛翔力は相当ありそうだ。こりゃ、分布を拡大するのも時間の問題だなと思った。このカミキリ、ヤバイかもしんない。

近くに発生木が有るかもしれないと思い、住宅街の通りを覗いたら、道沿いに1本の桜の老木がポツンと立っているのが目に入った。もしやと思い近づいてみたら、おった❗、おった❗木の根元に見覚えのある姿がくっついておるではないか。目立つねー、アンタ。
飛んでいるのを見てから、まだ2分と経っていない。あまりに簡単に見つかったので、拍子抜けする。
でも、このクソ暑い中を探し回るのは地獄だなと思っていたから、ラッキー(^_^)v

取り敢えず、先ずは写真を撮ることにした。
直ぐに飛んで逃げる蝶とは違い、気持ち的に余裕がある。まあ、逃げられてもそれほど悔しくないというのもあるんだろうけど、ゆったりした気分で写メ撮り。
(〃⌒ー⌒〃)ゞいやあ、焦燥感や悲壮感の無い採集って楽だわ。

【クロジャコウカミキリ♂】

手で掴むと、!Σ(×_×;)!くっさー❗❗
強烈な匂いが漂ってきた。麝香というからにはムスクの香りかと思いきや、そげな良い香りではない。形容し難い濃い匂いで、薬品みたいな刺激臭がする。何だか目がシバシバするような気がするぞ。一番近いのはマイマイカブリとかオサムシを捕らえた時の匂いかなあ…。でもそんなこと言っても一般ピーポーには何のこっちゃかワカランだろなー。

木を見上げると、3~4mくらい上にもう1頭いた。でも網の口径が広くて横から逃亡、ぶいーんと飛び去られてしまった。
( ̄∇ ̄*)ゞまっ、いっか…。この感じだと他にもまだいそうだし、1つ採れたから最低限のノルマは既に達成している。ワシ、カミキリ屋じゃなくて蝶屋だもんね(業界ではカミキリ好きをカミキリ屋、蝶好きを蝶屋と呼ぶ)。だから、カミキリにはそんなに執着心は無いのであ~る。

去年、見つけた住宅街の中の桜の木が多い公園へと向かう。ここは、木からフラス(幼虫の食べ滓と糞が混じったオガクズみたいなもの)が出ているのを去年確認済みだから、間違いなく発生している筈だ。
このフラスが生息しているか否かの目安になる。そういう意味では証拠残しまくりの三流の犯罪者だ。ヒアリなんかよりも、遥かに駆除は簡単じゃないかなあ❓

【フラス】

公園に着いたら1本目の木にもういた。
しかも交尾個体。

(正確には交尾はしていないようです)

多分前がメスで、後がオスだ。
手で掴もうとしたら、しまった(|| ゜Д゜)❗
メスをほっぽり出してオスが逃走。ブイーンと飛んで行かはった。おまえさー、そんな事じゃ責任感が無いとメスに詰(なじ)られるぞー。人間なら、ビンタされて即フラれるところだ。
取り敢えず目の前の♀を確保。
メス、やっぱオスよかデカイわ。

【クロジャコウカミキリ♀】

オスとメスの区別はメスの方が大きくて胴体が太いことから、慣れれば比較的容易に見きわめがつくのだが、最もわかりやすい見分け方は触角の長さ。オスは体に比して遥かに触角が長い。他のカミキリでも大体コレで雌雄の区別がつくから覚えておけばよろしかろう。
あっ、でも普通の一般ピーポーには、そんな知識はいらんか…(笑)。誰がカミキリの雌雄を区別する能力なんて欲しがるねん。

逃げたオスを飛んで行った方向の木に辺りをつけて探したら、直ぐに見つかり無事確保。更にその横の木でオスを1頭ゲット。コレで20分で4つゲットだ。効率がいい。というか大発生してたりして…。
邪悪カミキリが木にウジャウジャ張り付いているのを想像したら、背中がブルッときた。それって阿鼻叫喚の光景だよね。そいつはちょっと…あまり見たくないなあ。

この公園では他にも2頭見かけたが、何れも網を近づけようとしたら感づかれて飛んで逃げられた。
意外と敏感で、すぐ飛ぶカミキリだ。もっとも蝶の方が遥かに敏感だけど。

第3ポイントの小さな梅畑に行く。
ここでもメスを1頭ゲット。隣の小高い公園でも1♂を捕まえた。40分で6頭ゲット。楽勝だ。

しかし、どうもその後は上手くいかない。飛翔中の個体だったり、高い所に止まっていたりで手が出せない。そして、午後5時半を過ぎるとピタッと姿を見かけなくなった。
でも夕方から夜にかけて活発に活動すると何かに書いてあったので、暗くなるまで粘ってみることにした。
あとでゴッソリいったるわい。

でもどうにもやりにくい。
懐中電灯片手に夜の住宅街をウロウロし、木に光を当てて回るなんざ、完全に不審者に見えるだろう。ポリ公にでも職質されたら、どうやって説明するのだ❓闇に包まれた住宅街で、オッサンが『カミキリムシ、採ってますねん。』って言っても、街中だぜ。んなもん果たして通用するのかね❓普通の人から見れば狂気の沙汰だ。気がオカシクなった人だと思われかねない。ホント、虫採りする大人って、アタマがオカシイ人だよな。ワシも今やその立派な一員ってこってすな。

結局、夜には一つも見つけられなかったので、8時前には退散。
結局思ったほど採れず、結果は3♂3♀の6頭に終わった。東さんも去年一つしか採れなかったようだし、Aくんも一つだけだと言ってたから、まだ採れた方か❓

上横1列が♀で、下1列が♂だ。
こうして並べてみると、雌雄の特徴の差がよく解る。

翌日、何となく消化不良だったのでもう1回行くことにした。たった一日だけでは邪悪髪切帝国の全貌はつかめない。ならば暴いたるぅー(=`ェ´=)

この日は少し早めに出て、午後4時前にポイントに着くようにした。一つ手前の北野田駅で降りる。どれくらい分布を拡大しているのか調査しようと思ったのだ。
しかし、桜の木はあっても食害された木は1本も見当たらなかった。案外、拡がる速度は速くないのかもしれない。ここ狭山市で最初に成虫が見つかったのが2015年らしいから、幼虫期間を考えれば少なくともその前の前の年には発生していた筈だ。となると、今年は発生してから最低でも5年目以上になる。それでコレくらいしか拡がっていないのなら、駆逐はそう難しくはないのではと思う。油断大敵。虫の繁殖力をナメてはいけない。まあ、そう簡単にはいかないのが常だから、予断は禁物だけどね。

昨日、最初に見つけたポイントよりも少し手前で1♀を見つけた。そこは昨日の時点でフラスを見つけていたので、ここにもいるだろうとは思っていた。どうやら基本的には食害された木にしかいないようで、健康な木にいるのを見たことがない。多分フラスが出てる木にメスが集まるので、そこにオスも集まるのだろう。

今回は秘密兵器を持ってきたので、難なくゲット。

お散歩ネットである。コヤツを長竿の先につければ、横から逃げられる心配はない。おら、アッタマいいー。カミキリ採りなんぞ楽勝じゃあ~。今日はガッポガッポと捕まえ捲って外来害虫殲滅、正義の駆除男と化すのじゃあ~\(^o^)/
この正義の味方が悪の黒麝香帝国を滅ぼしてくれるわ、Ψ( ̄∇ ̄)Ψケケケケケ…。

昨日、最初に見つけた桜の木では確認出来なかった。
次の桜の木が沢山ある公園でも1頭も見つけられず。
( ; ゜Д゜)あれれー、昨日あれだけいたのにー。
思っていた程には悪の黒麝香帝国は隆盛ではないのかもしれない。それとも正義の味方に恐れをなして隠れよったか。

梅畑で、ようやく木の根元で交尾しているのを発見。
けど、手で捕まえようとしたら、またもや慌てたオスがメスをほっぽり出して逃走。飛んだところをすんでで空中でシバキ倒す。
この小さな網で空中で捕らえるとは、やっぱ俺ってまあまあ天才じゃん❗d=(^o^)=b

次の木でも交尾個体を発見。
だが、またしてもオス逃走。おまんら、女子に対しての責任感ちゅうもんが無いんかい(*`Д´)ノ!!!
しかし、今度は照準はバッチシ合っていたものの、ほんの少し届かず網は空を切った。まあまあ天才でも届かないものは採れない。致し方なかろう。

今日は更に捜索範囲を拡げてみることにする。
しかし、フラスの出ている木は今回捕らえた5ヶ所のポイントと一番最初に発生したとされる大きな公園でしか見つけられなかった。去年の秋の終わりに偵察に来た時よりも拡がった新たなポイントは今日最初に採ったポイント1ヵ所だけだ。
飛翔力があるから急速な分布の拡大を心配したが、案外それほど分布を広げる能力は無いのかもしれない。食害した木に執着するようだから、飛翔力はあってもあまり遠くには行かない習性なのかもしれない。
大発生では❓なんて心配したけど、この狭山のポイントでは今のところ爆発的に分布を拡大しているというワケではなさそうだ。

結局この日は2♂2♀、4頭のみのゲット。

♂は触角が長くて脚も長いのでスタイリッシュだ。
ちゃんと展足すれば、相当カッコイイに違いない。でも展足する道具が無いので、いくつか進呈する替わりに東さんに展足してもらお~っと。

一応、生態をまとめておこう。
①色んな人の話を総合すると、成虫は朝や昼間にはあまり活動しないみたいで、多く見られるのは夕方のようだ。その日の天候や気温にもよるのだろうが、午後3時くらいから活動し始め、4時~5時くらいに活発になると思われる。今回は夜には見つけられなかったし、夜に探しに行ったという人も一つも見つけられなかったとおっしやっていたから、夜間はあまり活動しないのかもしれない。

②今回、食害されていたのは桜と梅の木だけだった。柿の木もあったが、食害の痕跡は無し。
梅は本数が少ないのでワカランが、桜は明らかに老木を好むようで、大きな桜の木ほど被害率が高かった。

③高い所にもいるが、木の根元付近にいる事の方が多い。そういう意味では採集はしやすい。
細い枝にもいるが(電線を歩き回っているのもいた)、太い幹に止まっている個体の方が多い傾向にある。
大きいし、派手な出で立ちなので止まっていればよく目立つ。しかし、活動時間以外はどこに潜んでいるものか、なぜか全然見つけられない(まあ、ワシの目が節穴だと云う可能性もあるけど…)。

④危険を感じると、すぐ飛ぶ。その慌てぶりはシッチャカメッチャカでケッコー笑える。飛翔力は強く、そのスピードはカミキリにしては速いと思われる。飛ぶ高さもケースによってはかなり高く、10m近くの高さを飛んでいるのも見た。

⑤樹液に来ると何かに書いてあったけど、今回は樹液の出ている木を発生地のすぐそばで2、3本見つけたが、姿は見かけなかった。やって来るとしたら、夜❓

⑥時期にもよるのだろうが、♂♀揃っている事がわりと多かった。すぐ♂は♀をほっぽらかして逃走するので、必ずしも交尾をしているというワケではなさそうだ。

⑦捕まえると強烈な匂いを発する。超クセーです。
その匂いは暫く辺りに漂っており、中々消えない。
だから、もし捕獲するならば素手ではなく、手袋か何かを着用をする事をお薦めする。鋭い牙からも手を守れるしね。
因みに捕まえるとカミキリらしく一丁前にキィーキィー鳴くが、その声は大きさの割りにかなりかぼそい。

⑧寿命は2週間くらいと書いてあったが、Aくん曰く、毒瓶に入れた時間が短かったらしくて帰ったら復活していたので、そのまま飼育ケースに放り込んだらしい(クワガタと同居)。で、3週間経ってもまだ元気に生きているという。となると、生命力は相当強い可能性はある。もう1ヶ月以上は経つ筈だけど、まだ生きてんのかなあ❓

とここまで書いたところで、夕方のニュース(関西TV『みんなのニュース』)でクビアカツヤカミキリの特集をやってた。
何でも徳島県では果樹園で発生しており、相当問題になっているらしい。で、徳島県立農林水産技術支援センターというところが本格的に駆除に乗り出したようだ。
大学生のアルバイトを使って一匹500円で買い取るなんて事もやっているらしい。笑ったのは、女子大生が一つの木で連続ゲットし、思わず『金のなる木❗』と叫んだところ。女子はいつの時代も逞しい。
このセンターではクビアカツヤカミキリのフェロモンを利用したトラップを作製するという試みもされている。けっこう工夫されており、謂わば『クビアカツヤホイホイ』みたいなもんで、これなら大量に捕獲できるのではと云う代物だった。案外、チョロイぞクビアカツヤカミキリ。

TVで放映されたせいか、ネットで検索すると記事が以前よりも大幅に増えていた。
でも、何か煽り過ぎのような気もする。毒も無いようだし、ヒアリよりかは遥かに駆逐は容易(たやす)いと思うんだけどね。
中でも一つ気になった記事があった。
産経ニュースの群馬県館林市の発生地についての記事なんだけど、虫屋に対してシツコク悪者かの如くに書いている。

①『しかも一部昆虫マニアが動き出すなど、拡散の恐れもある(橋爪一彦)』

②『ネット情報に一部昆虫マニアが反応、全国各地から集まり、採集して持ち帰るという厄介な事態も起きている』

③『市は拡散防止に躍起なだけに、マニアの行為に「拡散を助長するだけなので控えて」と呼びかけている』

と、御丁寧にも一つの記事に三回も出てくる。
しかもその表現の仕方には明らかに悪意があるとしか思えない。マスコミというヤツは昔からだけど、どうして昆虫好きに対してイコール悪者にしたがるんだろうね❓
多分、大の大人が虫を追っかける事に嫌悪感があるのだろう。幼稚で健全なる大人に見えない変態サイコ野郎だとでも思っているに違いない。冬彦さんとかが、最たるもののプロトタイプだ。虫屋が全員そんなワケあるかい。冷静になって考えればわかることだ。
だいたいマニアという言葉を使う事からして、そこに悪意が詰まっている。

①の橋爪某なんかの『しかも、一部昆虫マニアが動き出すなど…』なんて表現は端(はな)から文脈が悪者風情仕立てだし、②の『昆虫マニアが反応し、全国各地から集まり、(中略)厄介な事態も起きている』というのも厄介という言葉を使っている時点で悪者決定だ。しかし、何が厄介な事態なのは具体的には書いていない。
③は拡散を助長するだけとは書いてあるが、どうして採集して持ち帰ったら拡散するかの理由は書いていない。まるで持ち帰ったら、放すのが当然みたいな書き方だ。
だいたい虫屋が持ち帰るならば標本にするのだ。殺すに決まっている。謂わば駆除に貢献しているのである。クワガタと違って真剣に飼うヤツもあまりいないだろう。ブリードしたところで、売れはしないから商売にもならんだろう。ましてやミドリガメやアリゲーター・ガー、カミツキガメみたいに、邪魔だから野外に放つという虫屋はまずいない。知識があるから生態系を壊すと誰よりも知っているからだ(まあ、過去に一部のドアホはいたけど…)。
むしろマニアックな虫好きではなく、一般の人たちの方が厄介なのではないか❓ミドリガメだって何だって、問題になっているのは一般人が逃がした事から増えたという例の方が多いだろう。
例えば普通のオトーサンがこのカミキリを見つけたとする。珍しそうだしカッコイイ。息子が喜びそうだ。持って帰ろう。で、持って帰って息子に見せる。『でも、かわいそうだから逃がしてあげようね』とか言って野に放つ。こっちの方が余程ありそうな図式である。
とにかくマスコミは虫屋をマニアと称して悪者にしておけば問題意識を煽れると思っている節がある。いわゆる紋切り型の記事というヤツだ。マスコミはもっと勉強なさい。そして、もっと木材の輸入についての問題を取り上げるべきでしょう。キミタチ、一番大事なのはこれ以上日本国内に入って来ないように水際で阻止する事ではないのん❓

だから、カミキリなんぞジャンジャン虫屋に採らせればいいのだ。虫とりが上手いから確実に数を減らしてくれるぞ。そうだ、下手な一般の大人よりも余程子供の方が虫とりが上手いんだから、地域の活動としてガキンチョどもに採らせればいいのだ。子供たちも喜ぶし、教育にもいい。
但し、絶対に他の場所には放たない事を徹底する。虫屋もルールは守る。地域の人にもちゃんと挨拶する。
ホント、ろくに挨拶もでけん虫屋が多いからマスコミにも地域住民にも叩かれるんではねえの❓ちゃんと挨拶くらいはしましょう。挨拶しておいて損はないのだ。

話が逸れた。
で、食害された木をジャンジャン切り倒して燃やす。
コレでだいぶと沈静化するぜ。

まあ、先ずはとにかくワシら虫屋で節度を守ってクビアカツヤカミキリを採りまくって駆逐してやろうではないか❗
マスコミに『クビアカツヤカミキリの撲滅に昆虫好きたちが立ち上がった❗』とか書いてもらうように虫屋の側(特に学会)も積極的に働きかけるとかでけへんのかなあ❓

                 おしまい

 
(註1)和名について
勝山礼一朗氏から御指摘があり、クロジャコウカミキリよりクビアカツヤカミキリの方がずっと前、戦前には既に命名されていたようです。クロジャコウカミキリは月刊むしで誰かが使い始め、それが広まったのではないかとの事で正式な論文にも使用されたことがない由。だから、マスコミにはクビアカツヤカミキリが使用されているのだそうな。
因みに首が赤くない個体群もいるらしい。となると、ソイツはクロジャコウがふさわしい名前だよね。名前ってややこしいや。