再展翅してる場合かよ?

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標本箱の整理をしていたら、随分と標本に狂いが生じていた。好きな蝶たちだし、再展翅することにした。

再展翅の仕方は、先ずはタッパーか何かの密閉できる容器を用意する。その真ん中にウレタンやコルクなど針が刺せるものを貼りつけ、蝶をセットしたら周りを水でドボドボにしたティッシュペーパーなどで埋めてやる。
で、カビ防止の為の正露丸をバラまいたら蓋をして冷蔵庫に2~3日安置する。
で、柔らかくなっていたら再展翅。

 
【フタオチョウ Polyura eudamippus ♂】
(2017・4月 タイ北部)

日本の沖縄本島にいるモノ(天然記念物)は、従来同種の別亜種とされてきたが、最近別種として分けられたらしい。
P.eudamippusと比べて遥かに小さいし、全体的に黒っぽくて尾突も短くてかなり特異な姿だからして果たして同種なのかなとは思ってた。食樹も全然違うし、幼虫形態にも差があるらしい。ゆえに別種とするのは納得だ。まあ、かなり近い間柄ではあるけどね。
う~ん、でもジッと見ていると、本当のところどうなのかなあとも思う。別種になる一歩手前という段階だと云う気がしないでもない。地理的隔離もあるから何万年か何千年、何百年先には明らかな別種になっている事は間違いないんだろうけどさ。とにかく別種とか亜種とかの線引きは難しいよね。人によって見る観点が違えば、自ずと見解も変わってくるのは当然だもんね。かといって最近流行りの遺伝子解析が万能で絶対だとも思えない。遺伝子が違うけど見た目で区別できない種なんて果たして種に分ける意味ってあんのかよ❓と思う。

【沖縄本島産フタオチョウ】
(出展『日本産蝶類標準図鑑』)

多分、新学名はPolyura weismanniだったと思うけど、間違ってたら御免なさい。

 
【ドロンフタオ Polyura dolon ♂】
(2014・4月 タイ北部)

一見すると上のP.eudamippusにソックリだが、よく見ると斑紋も違うし(特に裏側)、縦長の翅形だ。大きさも少し大きい。
P.eudamippusはラオスにも結構いたが、ドロンは見たことがないから分布域はより狭いと云う印象がある。
両種とも♀は更に巨大で迫力がある(特に4月の個体は大きいようだ)。しかし、中々お目にかかれないらしく、自分も生きている姿をまだ見たことがない。フタオチョウ類のメスは殆どが珍で、トラップをかけないとまず見られないという。

 
【キアニパルダスオオイナズマ Lexias cyanipardus ♀】
(2014.4月 ラオス北部)

メスが水玉模様になるcyanipardus種群の最高峰であり最大種。西日本のオオムラサキのメスくらいは優にある。
う~、完品が欲しい。それにまだ♂も採った事がない。コイツは再挑戦してもいい蝶。でも狙って採れる蝶ではないんだよねえ…。

 
【アルボプンクタータオオイナズマ Lexias albopunctata ♂】
(2011.4月 Laos中部)

これもメスが水玉模様になるcyanipardus種群の一員だが、オスはほぼほぼ真っ黒なので区別しやすい。
このあいだ古いTSUISO(蝶のミニコミ誌)を戴いたんだけど、それに拠ると昔はL.albopunctataもL.cyanipardusもL.bangkanaもまだ別種に分けられていなくて、纏めて全部Lexias cyanipardusとされていたようだ。
アルボはわりと採ってるけど、カッコイイからもっと欲しい。柄もさることながら(特に♀)、長い触角が全体のフォルムを引き締めていて( ☆∀☆)萌え~。
それに異常なまでに敏感だから採集難易度が高い。だから狩猟焦燥感と採った時の快感度はマックス。とにかく採りがいがあるのだ。

 
【アルボプンクタータオオイナズマ♀】
(2017・4月 ラオス)

それにしても、ほったらかしでまだ台湾の蝶もほとんど展翅していないのに、何やってんだろ❓こんな事してていいのかね❓
『続・発作的台湾蝶紀行』も二行だけ書いて頓挫したまんまだしさ。何だか憂鬱だなあ…。

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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