図書館を出たら、夜が始まろうとしていた。
たぶん、日没してから間もない。
この昼と夜との境目の時間がとても好きだ。
空の色が、青から青緑、そして群青色へと刻一刻と移り変わってゆく様はいつ見ても美しい。
新なにわ筋を南へ向かって歩き始める。
たまたま考え事をしていたせいなのか、それは唐突に視界の中へ乱暴に入ってきた。
光るイチョウの木だった。
思わず立ち止まり、息を呑む。
街灯の光がそこだけぽっかりと銀杏の木を照らしており、燃えるような黄金色に輝いている。
その背景は、黄色を引き立たせて尚負けない目の醒めるような群青色だ。
名残りの黄葉(もみじ)だね。
もうすっかり散ったばかりだと思っていたから驚いたけど、サプライズの贈り物を貰ったような気分だ。
心がゆるゆると和む。
なごりの銀杏
いと美しき
この季節、夜が訪れるのは駆け足だ。
やがて、空は青の色をゆっくりと失っていった。
(2017.12.15)
追伸
何か面倒くさくなって4ヶ月もブログを書いていなかった。その間は主にFacebookに文章を書いていたんだけど、せっかく書いたので勿体ない気もしてきた(Facebookの記事は検索エンジンに乗っからないのだ)。
と云うワケで、そのFacebookの記事を訂正加筆してアップしていこうかなと思ってます。