台湾の蝶2フォルモサフタオチョウ

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   第2話『小僧、羽ばたく』

Polyura eudamippus formosana
フタオチョウ 台湾亜種♂

(同個体裏面)
(2016.7.9 台湾南投県仁愛郷)

ヒメフタオの次となれば、同属のエウダミップスフタオチョウ(フタオチョウ)を紹介するのが自然な流れだろう。
しかし、そこまで考えて第1話を書いていなかったというのが偽らざる本音だ。明後日から先の事は考えられない困った性格の人なんである。これはもう宿痾の病だろう。

( ̄▽ ̄;)むぅ~、エライコッチャのそらそうだわなの展開が予想されるゆえ、早くも書く気が挫けがちだにゃあ~(ФωФ)…。
正直、エウダミップスフタオチョウは素人のワイにはお題としては、ちぃーとばかし荷が重すぎるのだ。
オジサン、分類が沖縄のフタオチョウの存在を含めて色々と面倒くさいと云う事をすっかり忘れてたよ。
困ったなあ…。その辺をどう上手く整理して説明すればよいのか皆目見当がつかないよ、おーまいがっと・とぅぎゃざー(ToT)

そもそも、エウダミップスフタオチョウと書いたけど、和名は単に「フタオチョウ」とされるのが一般的だ。
ほ~ら。もうこの時点でややこしい。
和名に関しても色々と問題があるのだ。タイトルをフタオチョウではなくフォルモサフタオチョウとしたのには、それなりに深い事情があるのですよ。

(ー_ー;)…何だかなあ~。
ここまで書いてて、本人的には早くも躓いてる感がある。参ったなあ…。その辺のややこしい説明はおいおいしてゆく予定ではあるが、上手く説明する自信が全然ない。それくらいに分類学的にややこしい種なのだ。
連載2回目にして、早くも継続の危機である。
途中で頓挫、放棄して逃亡しない事だけを祈ろう。
皆さんも祈ってくだせえ。

分類学的な事は措いといて、先ずは台湾のフタオチョウの事から書き進めていこう。

タテハチョウ科 フタオチョウ亜科 Polyura属に含まれる中型のタテハチョウで、前回紹介したヒメフタオと同じくらいの大きさだ。
しかし、胴体はやや太くて、より強靭なイメージがある。ゆえに飛翔力は強い。敏速だ。ビュンと一直線に飛ぶ。フタオチョウ軍団の中では比較的小さい方の部類に入るせいか、とてもすばっしっこく見える。時々、姿を見逃すくらいだ。
初めて会った時も地面に止まっているのに気づかず、足元からパッと羽ばたいて⚡ビュン。気づいたら枝先にピッと止まってた。しかもコチラを向いて。
小回りの効く、韋駄天小僧って感じなのだ。

台湾では全島に渡って分布し、平地から低山地に多い。自分の経験では標高700m以上では見たことがなく、500m前後でよく見かけた。
5月に現れ、7~9月に数を増す。秋には個体数を減じるが、11月まで見られるという。越冬態は蛹。
雌雄ともに樹液、腐果(落下発酵した果物)、ミミズや蛙などの小動物の死体、獣糞に好んで集まる。
オスは、樹の梢付近でテリトリー(占有活動)を張り、地面に吸水に訪れる(ヒメフタオと同じくメスは吸水には来ない)。
前述したように飛翔は敏速だが、わりとすぐ止まってくれるので観察はしやすい。また、腐果などの餌を吸汁をしている時はアホ。一心不乱にお食事されているので、手で摘まめる時さえある。それくらい餌には意地汚いのだ。
フタオチョウのグループは大体皆そうで、美しいクセに悪食。敏感且つマッハで飛ぶクセにどこか抜けている。まあ、そんな賢いのかアホなのかワカンナイところが、自分がこのグループを好きな一因なのかもしれない。

色彩斑紋は♂♀同様だが、メスはオスよりも一回り大きく、下翅の尾状突起が外側に広がる事から区別は比較的容易。

コヤツもヒメフタオ同様に実物のメスは見もしていないので、自前の画像は無い。
ゆえに図鑑から拝借した画像を添付しておきます。

(出典『アジア産蝶類生活史図鑑』)

台湾での幼虫の食餌植物は、マメ科のムラサキナツフジ。与えれば、藤やタマザキゴウカンでも順調に育つという(又おまえかっ!玉裂強姦❗)。

そうだ。野外写真も添付しておかなきゃね。

この写真で思い出した。
たしかコイツ、地面に止まってたんだよなあ…。
で、距離を詰めて上から網を被したはいいけど、横から逃げられそうになった。
!Σ( ̄□ ̄;)ゲッ、慌てて網の外枠を押さえようとして駆け寄った。だが如何せん足場が悪かった。
雨水で削られた溝に足をとられて\(ー_ー)/アッチャー。前にツンのめって、あろうことか網の柄をバキッ💥おーまいがっと・とぅぎゃざあ~Σ( ̄ロ ̄lll)
完全に踏んづけて、真っ二つに折っちまった。あれは、マジで泣いたね(T_T)

この辺の詳しい顛末は、アメブロの『発作的台湾蝶紀行』に書いておりまする。興味のある方は、第24話の「小次郎、死す」の回を読まれたし。

採って実物を見た時の第一印象は、沖縄のフタオチョウと一緒やん!だった。
しかし、帰ってきて沖縄のと見比べるてみると、細かい所がだいぶ違ったので、思いの外(ほか)驚いた。
沖縄産のフタオは黒いのである。それに下翅の双つの尾状突起が明らかに短い。我が日本国の男児としては、慚愧に耐えない短小さだ。
他にも裏面の黄色い帯が太くなるなど、細かな点を見ていけば結構な相違点があって、あらあら(◎-◎;)の、ほう~(・。・)の、(;゜∀゜)え~だった。

そういえば両者の幼虫の食樹も全く違う。噂では幼虫形態も違うと聞いた事がある。だから、一部では別種説も囁かれてたのは知ってはいた。けんど、天然記念物がゆえに許可が降りないと大っぴらには研究も出来ないし、飼育も出来ない。だから研究結果の発表も出来ないという現状なのだ。そういう理由から日本のフタオチョウの幼生時代の情報は極めて少ない。
日本の自然保護行政は、クソ問題有りで、色々と難しいところがあるのだ。

(ー_ー;)ほらね。ややこしい話しになってきたよ。
でも、ここからが更にややこしい話になってくるんだよなあ…。

取り敢えず、沖縄のフタオチョウの画像を添付しておこう(沖縄のフタオチョウは天然記念物に指定されているので、画像は図鑑のものを図示しておきます)。

上2つがオスの裏表。
以下の2つがメスの裏表である。

(以上4点共 出典『日本産蝶類標準図鑑』)。

似てるけど、違うっちゃ違うでしょ?

しかし従来、日本のフタオチョウも台湾のフタオチョウも大陸に分布するフタオチョウと同種とされてきた。台湾のも日本のも1亜種にすぎないと云う扱いである。
だからこの時、2016年の時点では自分はまだ日本のフタオチョウもPolyura eudamippus エウダミップスフタオチョウの一員だとばかり思っていた。
でも、それってオカシイんじゃないの❓と云う感想をブログに書いたら、その道のプロである勝山(礼一郎)さんから、目から鱗の御指摘があった(リンク先のFacebookだったと思う)。
何と、沖縄のフタオチョウは最近別種になったらしいのだ。
学名は、亜種名の weismanni がそのまま昇格しての Polyura weismanni となったようだ。
日本の蝶愛好家の中でも、この事実を知っている人はまだ少ないかと思われる。なぜなら、ネットに掲載されている情報では、ほぼほぼ学名が以前の古い学名のままだからである。

問題はこれにとどまらない。
この大陸にいる奴等、中でも原名亜種を含むインドシナから西に分布するのが、台湾や沖縄にいるのとは同種とは思えんくらいに見た目も大きさも違うんだよなあ…。

(2011.4.1 Laos Tadxay)

ここで限界を感じて筆が止まる。
先を模索してみたが、もうワケワカラン(○_○)…。
それにどうも上手く書けなくて、ここまで何度も何度も書き直しているんである。レイアウトも何度も組み替えたから、もう゜゜(´O`)°゜ヘトヘトだよ。

で、それなりに無い頭で考えたのだが、ここで更に論を展開してゆくのには無理があると思うんだよね。
そもそものテーマは「台湾の蝶」なのだ。なのにこの先、そこからドンドン外れてゆく一方になるのは明白。そりゃ、本末転倒というものでしょう。
そんなワケなので、この続きは稿を改めて番外編として別な機会に書こうかと思ってます。

尻切れトンボでスンマセーンm(__)m

                 おしまい

追伸
我ながら、見事な尻切れトンボ振りだ。
ここまでブチッと唐突に終わるのは、あまり記憶がない。それだけ追い込まれていたんだろネ。草稿の時点では、ボケも一切なしだったしさ。

タイトルをフォルモサフタオチョウとしたのには理由がある。沖縄のフタオチョウが独立種になった事により、和名がグッチャグッチャになったからだ。
亜種名を和名に冠した方が、まだしも解り易かろうと考えた上でのはからいです。

えー、タイトルついでに。
別稿のタイトルは『エウダミップスの迷宮』か『エウダミップスの憂鬱』になる予定。
何だか、まるで推理小説と純文学のタイトルみたいだよな。『エウダミップスの孤独』とか『エウダミップスの逆襲』、『エウダミップスの咆哮』etc…なんていう続編、シリーズものも一杯書けそうだわさ(笑)

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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