台湾の蝶24『日光菩薩』

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  第24話『大名黄胡麻斑』

 
前回のキゴマダラが月光菩薩ならば、ダイミョウキゴマダラはさしづめ日光菩薩(註1)ってところだろうか。
色が輝くような橙色だから太陽の光(日光)を連想させるし、台湾特産種だ。それくらいの称号を与えてもいいだろう。しかも、かなり珍しい。自分もたった一度しか出会ったことがない。

 
【Sephisa daimio ダイミョウキゴマダラ♂】

 
何で片羽だけの画像かって❓
理由は、こうなのさ。

 

 
♂の新鮮な個体なのに、片方の羽がザックリいかれとるのよ。たぶん鳥に啄(ついば)まれたんだろね。
これにはマジ、ガッカリした(´д`|||)
しかも、羽を閉じて止まっている時は破れていない方の面が見えていたから、完品だと思って心の中で小躍りした。それが採ってみたら、コレだもん。(ToT)泣いたよ。

 

 
(2016.7.14 南投県仁愛郷 alt.1900m)

 
この時の採集記『大名様のお通りだーい』(註2)はアメブロにあるので、よろしかったらソチラも読んで下され。リンク先を文末に貼っておきます。

 

 
裏がまたカッケーんだよなあ。
白とオレンジの組み合わせって、上品な感じがする。
♀は表にも白が入り、橙色が淡くなるから、さらに高貴なるお姿だ。

 
(出典『原色台湾蝶類大図鑑』)

 
キゴマダラほど顕著ではないが、一応雌雄異型。
♀は更に稀で、長年その存在が未知だったようだ。
上の原色台湾蝶類大図鑑に図示されたものが最初に世に出た画像なんだそうだ(1960年)。ネットでググっても、今でも写真が極めて少ないし、生態写真となると、もっと少ない。しかもロクなものがない。唯一、美しい写真を撮られているのは杉坂美典さんだけだ。
リンク先を貼っておきます。クリックでサイトに飛びます。

 
杉坂美典『台湾の蝶』

 
ちょっと画像をお借りさせて戴こう。

 

 
(出典 2点とも杉坂美典『台湾の蝶』)

 
高貴とまで思えてしまうのは、稀種ゆえの思い入れからかもしんないけど、やっぱカッコイイもんはカッコイイ。

こうして鮮明な画像を見ると、本種は同属他種と比べて前後翅外縁に並ぶ斑紋列が顕著な楔(くさび)型になるのがよくわかるね。この特徴は本種のみにある。

ふつうはタテハチョウ科の蝶は♂に比べて♀は大型になるのだが、インドキゴマダラ(Sephisa dichroa)と同様にそれほど大型にはならないという。なお、♂と見紛うような♀の黄色型は、今のところ例が無いみたいだ。

 
【学名】Sephisa daimio (Matsumura,1910)

タテハチョウ科 コムラサキ亜科のインドキゴマダラ属に分類される。
属名のSephisa(セフィーサ)の語源は不詳。
小種名のdaimioは「大名」を意味する。あの戦国大名の大名だ。これは日本人である松村松年が命名したから。蝶の立派さを大名で表したかったのだろう。つまり、日本人的感性でつけられた名前なのである。
松村松年は日本の近代昆虫学の礎を築いた人で、日本の昆虫の和名を統一し、自らも多くの昆虫に和名をつけた人でもある。
台湾の昆虫の学名には、日本人によって命名、記載されたものが数多くある。これには時代背景があって、当時の台湾が日本の統治下にあった事を物語っている。かつては台湾は日本の領地だったのである。また、当時の台湾で昆虫を本格的に研究している人などいない時代だったと云うのもあるだろう。
そういう背景があったとしても、蝶の名前に大名という立派な名がついているのは、日本人の自分としては何だか嬉しい。daimioだなんて、外国人からすれば何のこっちゃだと思うだろうけどさ。

因みに、学名にこの大名が使われている種は他にもいる。日本にいるダイミョウセセリ Daimio tethysとベニシジミの日本亜種 Lycaena phlaaeas daimio である。
ダイミョウセセリは日本以外にも、朝鮮半島、済州島、中国北部~東北部、ロシア南東部、中国中部~南部、中国西部・チベット、中国雲南省からインドシナ半島北部と台湾にもいて、亜種区分もされている。もしも豊臣秀吉の朝鮮侵攻が成功し、さらに領地を拡大していたならば、朝鮮大名とか支那大名、雲南大名、西蔵(チベット)大名、露西亜(ロシア)大名、暹羅(シャム。タイの旧名)大名とかだよなあと想像したら、笑ってしまった。みんなチョンマゲなのだ。
もし別種のDaimio属のセセリチョウが他にもいるとしたら、それぞれフィリピン大名とかジャワ大名、マレー大名、ビルマ大名になるね、なっちゃいますね(笑)。
アジア群雄割拠の大名祭りだよ~ん\(^o^)/
いかん、また話が横道大介になってもた。本筋に戻そう。

増井さんと猪又さんの論文(註3)を読むと、ダイミョウキゴマダラの学名には紆余曲折があり、興味深いので要約してみよう。

「1908年に松村松年がSephisa princepsの亜種として記録したのが最初である。その2年後に同氏によって、Sephisa属の新種として記載された。松村の命名に遅れること1ヶ月、Wileman(1910)も新種として「Sephisa taiwana」の名で発表したが、これは、S.daimioのシノニム(同物異名)となった。しかし本種はその後、1913年にFruhstorferによって、S.dichroaの亜種とされた。それ以降、全ての研究者がこれに従った。本種を再び独立種として扱ったのは白水(1944)である。」

蝶一つとっても、歴史を紐解くと色々あるんだね。
ダイミョウキゴマダラが一時期は亜種とされていたのは理解出来なくもない。たしかにこのグループは互いに似ているのだ。今一度、Sephisa属を整理しておこう。

 
【Sephisa dichroa インドキゴマダラ】

本種は、Sephisa属の中で最も西寄りのヒマラヤ西北部から中部の南側の樹林帯(ネパール・インド・パキスタン)に分布する稀種。地理的変異は特に知られていないようだ。
小種名dichroaは、多分だがラテン語で「二つの色」と云う意味だろう。これは植物のジョウザンアジサイの属名としても使われている。

 
(インドキゴマダラ♂)
(出典『Butterflies of India』)

 
(出典『wikipedia』)

 
雌雄同型、♂も♀も斑紋が同じなので、♀の画像は割愛させて戴いた。

 
(裏面)
(出典『Butterflies of India』)

 
(出典『Wikipedia』)

 
【Sephisa princeps カバイロゴマダラ】

本種の分布はSephisa属の中で最も北寄りに偏る。
その分布域は広く、南限の雲南省から中国全土(西部の砂漠地帯は除く)・朝鮮半島・ウスリー・アムール地方にまで至る。
小種名の、princeps(プリンケプス)はラテン語の「支配者・君主」の意。

 
(カバイロゴマダラ♂)
(出典『LEPIDPOTELISTES DE FRANCE』)

 
(出典『jpmoth.org 』)

 
(裏面)
(出典『jpmoth.org』)

 
♂はS.dichroa(インドキゴマダラ)と物凄くよく似ている。実際、ネットでも両者がグチャグチャに混同されていて、同定は間違いだらけだ。dichroaとしている画像の、その殆んどがprincepsのものなのだ。
自分もデータを鵜呑みにしてて、やらかした。前回のキゴマダラ編で、dichroaの雌雄同柄の例としてあげた画像は、princepsの♂2頭並びだった。お陰で、あとで別な画像に差し換えなおしたよ。
両者の違いとして先ずあげられるのが、前翅中室の三角形のオレンジ紋。ここの紋がprincepsはdichroaと比べて内側(基部)に一つ多い。だからdichroaは、そこだけポッカリ空いたような感じに見える。また、前翅上端部の斑が白っぽくなる。一方、princepsは翅外縁部の明色斑列が明瞭で、紋が全てオレンジ色になる。

 
【カバイロゴマダラ♀】
(出典『sunyou.vo.kr』)

 
♀はこんなにカッコいいんだ…。知らなかったよ。
薄青い幻光色が出る個体もいるという。
たとしたら、( ☆∀☆)スッゲー。ポチ、欲しいよ。

Princepsはキゴマダラと同じで雌雄異型なんだね。S.dichroaは雌雄同型なのに、不思議だよねぇ~。
♀はきっと毒系の蛾に擬態してるな。この手の柄の蛾は居て当然な気がする。
しかし、調べていくと、♂と同柄の黄色型の♀もいるようだ。ウスリーや朝鮮半島は全て白色型で、中国中部辺りから西にいくにつれて黄色型が増え、雲南省や四川省までくると黄色型が優勢になるようだ。
おそらくカバイロゴマダラが種として誕生した場所は西ヒマラヤで、きっとその辺りでSephisa属の祖先種からdichroa、chandra、そしてprincepsが分化したのだろう。たぶんだがdichroaが祖先種に近く、そこからprincepsが分かれて東へと分布を拡大したのではないかな。前回のキゴマダラの回でも触れたけど、東へ進む段階で♀は徐々に擬態と云う武器を獲得していったとは言えまいか❓
ダイミョウキゴマダラは、princepsが台湾に到達し、長年隔離される中で独自進化したものだろね。
ところでこの属って、遺伝子解析はされてるのかな❓
されてたら、類縁関係が一発で解るのになあ。

 
(出典『www.guri.go.kr』)

 
【Sephisa chandra キゴマダラ】
分布はネパールからインドシナ半島北部、中国南部を経て台湾に至る。飛び離れてマレー半島にもいる。
小種名chandraは梵語由来で「月・月の神」を意味する。

 
(キゴマダラ♂)

 
(裏面)

 
一見して他とはかなり違う印象をうけるけど、上翅の白斑をオレンジにすれば、他とそう変わらない雰囲気になるかもしれない。

 
(キゴマダラ♀)

 
(裏面)

 
流石にキゴマダラの♀は特異だすな。
擬態化すると、個性が際立ってくるんだろね。

  
【Sephisa shizuyai ヒメキゴマダラ】
ミャンマー・サガイン州

 
(出典 2点とも『月刊むし』2016 11月号)

 
記載されたものの1♂?のみで、♀は未知。
異常個体ではないかという意見もあるようだ。たぶん、別種のような気がするけど、複数個体と♀が発見されないと何とも言えないね。

 
【台湾名】臺灣燦蛺蝶

蛺蝶はタテハチョウの事を指すから、燦(きら)びやかな台湾のタテハチョウってことだすな。
他に、臺灣黃斑蛺蝶、臺灣繚斑蛺蝶、臺灣黃胡麻斑蛺蝶、高砂黃斑挾蝶、臺灣帥蛺蝶、白裙黃斑蛺蝶という別称がある。
漢字でだいたいの雰囲気がつかめるが、いくつかわかりづらいものもある。
「繚」には、まとう・まつわる・めぐる・めぐらすと云う意味があり、百花繚乱にも使われている。よくわからないが、百花繚乱の華やかさを表しているのかもしれない。
「高砂」は山岳民族である高砂族のことだろう。
「帥」の字は将軍を表す。
「白裙」の裙は裳(もすそ)や裙子(くんす)のことで、僧侶がつける黒色で襞(ひだ)の多い下半身用の衣服。裙(くん)、内衣(ないえ)、腰衣(こしごろも)。これは、外縁の楔形の紋のことを言ってるのかなあ。
それはそうと、台湾名には大名の文字は使われていないんだね。残念だ。きっと中国語では大名は通じないんだろう。

 
【英名】
特に無いようだが、キゴマダラに倣いそれに準じるならば、「Formosa Courtier」ってところだろうか。
Courtierは宮廷や朝廷に仕える人、朝臣、廷臣、公家を指し、Formosaは欧州での旧い台湾の呼び名だから、さしづめ『台湾の宮人(みやびと)』といったところだろうか。
でも大名なんだから、もう少し威厳のある名前であってもいいと思うけどねぇ。
例えば「Orange Feudal Lord」なんかはどうだろう。Feudal Lordは、封建時代の君主って意味だから「オレンジの君主」。きっとオレンジ色の派手な甲冑を纏っているのだ。でも、甲冑って、大概がそんな感じの色やんけ( ̄∇ ̄*)ゞ
大名なんだから、そのまま「Orange Daimyo」とか、日光菩薩由来で「God-Sunshine Daimyo」とかさ(笑)。あっ、仏さんは神様じゃないか。
でも日光菩薩には、別にちゃんとした英名があるのではないかと思って調べてみたら、やはりありました。「Suryaprabha」というらしい。何かピンとこないわ。もっ、いっか。

それにしても何で学名はdaimyoじゃなくて、daimioなんだろう。ためしにdaimioで検索したら、すぐに大名と出てきた。ここで漸く解ったような気がした。学名の基本は英語ではなくてラテン語なのだ。daimioはラテン語表記なのかもしれない。相変わらず、どうでもいい事が気になる人だよなあ。だから、徒(いたずら)に文章が長くもなるのである。ビョーキだ。

 
【生態】
開張57~67㎜。台湾特産種で、中北部より中南部の標高500m~2500mで記録されている。だが、おそらく垂直分布の中心は1200~2300mくらいかと思われる。低地での記録は偶産だろう。
発生地は局所的で、個体数も少ないとされる。
成虫は4月下旬~9月に年1回発生すると言われるが、圧倒的に7月の記録が多いという。自分が採ったのも7月だった。見たのもその一度きりなので、やはり個体数は少ないのだろう。
杉坂さんのブログによると、飛び方は速いが、すぐに地上に止まるので撮影はしやすかったと書いておられる。けど正直、自分にはわからない。なんせ、果物トラップに止まっているのしか見たことがないのだ。因みに飛来時間は不明だが、採集した時刻は10時20分である。再度言うが、この時の顛末はアメブロに書いたので、文末を御参考あれ。

他に詳しい生態を書いた資料が見つからないが、その生態は概(おおむ)ねキゴマダラと似たようなものだろう。花には飛来せず、樹液や獣糞、熟して発酵した果物に集まるものと思われる。ちょっと驚いたのは、吸水には雌雄ともに集まるようなのだ。この点は♀が殆んど吸水に来ないキゴマダラとは違う。近縁種なのに不思議なもんだね。
♂はキゴマダラのようにテリトリー(占有行動)を張るのだろうか❓でもなあ…聞いたことがないし、もしそうだとしたら、もっと採集例があってもよさそうなもんだよね。

『アジア産蝶類生活史図鑑』を見たら、近縁のカバイロゴマダラと生態は変わらない云々と書いてあった。
カバイロゴマダラの生態部分を抜粋してみよう。

「♂は日当たりのよい樹梢を数mの高さで活発に飛ぶ。また乾いた路上に静止する。動物の死体や腐った果実などに止まるものも見られる。♀の飛翔は緩慢で、Quercus(シイ・カシ類)の梢を高く飛ぶ。好んで腐った果実に飛来する。産卵はおそらく食餌植物のかなり高い位置で行われるのではないかと想像される。台湾に産する近縁のダイミョウキゴマダラもほとんど上記と同じ習性を示す。」

♀の飛翔は緩慢と云うことは、何か毒のあるものに擬態している可能性がある。体内に毒をもつマダラチョウには似たような種類はいないから、擬態しているとしたら蛾だろう。

  
【幼虫の食餌植物】
未知のようだが、おそらく他のSephisa属と同じくブナ科 コナラ属であることはほぼ間違いないだろう。
因みに他のSephisa属からは以下の食樹が記録されている。

-キゴマダラ-
Quercus glauca(アラカシ)
Quercus morii(モリガシ)
Quercus acata(アカガシ)
Quercus monholica(モンゴリナラ)
Quercus incana

-インドキゴマダラ-
Quercus incana

-カバイロゴマダラ-
Quercus mongolica(モンゴリナラ)
Quercus variabilis(ワタクヌギ)
Quercus crispula?(ミズナラ)

飼育では、Quercus serrata(コナラ)、Q.dentata(カシワ)、Q.gluca(アラカシ)などを広く受け容れたという。
カバイロは常緑カシ類ではなく、主に落葉性のナラ類をホストにしてるんだね。とはいえ、変な産卵習性を持ってて、他の昆虫の丸めた巣の空き家に卵を産むから、ナラ・カシ類だったら何だっていいのかもしれない。

調べた限りでは、唯一ダイミョウキゴマダラの飼育記録があるのは、台湾の蝶の幼生期の解明に多大な功績を残された内田春男さんの1例のみ。
1990年7月29日に南投県で採集した♀により、三角紙内に産卵された卵が孵化、現地でQuercus glauca(アラカシ)により飼育されたようだ。この一部が3齢まで生育したが、結局越冬には至らず死亡したという。
その後、解明が進まなかったのは、本種の♀が珍しいために人工採卵も儘ならないからだろう。

とはいえ、その幼生期はおそらくカバイロゴマダラとかなり近いものと考えられる。参考までにカバイロの幼生期を紹介しておこう。

 
【幼生期】
『アジア産蝶類生活史図鑑』の記述を要約しよう。

♀の産卵行動は、前回のキゴマダラと似ている。
人工採卵させた場合、Quercusの葉をラッパ形に丸めたり、2つに折ったりしたものに産みつけるという。キゴマダラと違うのは、筒の中よりも周辺の葉の重なった狭い隙間や折れ曲がったわずかな空間を選ぶことだ。そこに40~50個の卵を押し込むように産み付ける。
卵は他の蝶のように底辺が平らではないので葉に固定することはなく、互いに表面を覆う粘膜で付着しあっている。
孵化した幼虫はコムラサキ亜科の典型的スタイルで、いわゆるナメクジ型。強い群居性を示し、食餌植物の表面に静止する。
これはキゴマダラの幼虫の習性と同じだね。おそらくSephisa属は皆さんそうで、ダイミョウキゴマダラも同じだと推察される。
越冬は3齢で行われる。これもキゴマダラと同じだ。
越冬幼虫は枝に糸を結びつけられた枯れ葉の皺や重なった部分に体を寄せあって静止する。気温が上がったり、刺激を受けると冬季でも容易に動き始める。

 
(幼虫)
(出典『アジア産蝶類生活史図鑑』)

 
キゴマダラと比べて、背中の白いぺラッとした突起物が1対少ない。ダイミョウキゴマダラは、はたしてどうな姿なんだろね。突起物は同じ数なのか、もしくは多いのか、或いは色がピンクだったりしてね。

 
(幼虫正面図)
(出典 『アジア産蝶類生活史図鑑』)

 
キゴマダラとよく似ている。キゴマダラは、ほっぺがピンクだったけど、カバイロは目の回りがピンクなんだね。正直、キゴマダラの方が可愛い。ダイミョウキゴマダラがどんなんなのか楽しみだなあ。顔全面ピンクで、体全体も( ☆∀☆)どピンクだったりして。

群居性は5齢になると失われ、単独で葉の表面に静止する。その際、きわめて大量の糸を葉の表面に張るので、幼虫を剥がすことは容易ではないという。

 
(蛹)
(出典『アジア産蝶類生活史図鑑』)

 
蛹も基本的にコムラサキ亜科のそれだね。
キゴマダラと比べると、背中の盛り上りが弱く、スリムな感じがする。色も白っぽい。また頭の耳みたいなのが長めだ。
ダイミョウキゴマダラは蛹全体がピンクで…。
ええ加減フザけるのはやめましょう。

面倒だから飼育したいとは思わないけど、♀は是が非とも自分の手で採ってみたい。でも7月中・下旬って他の蝶があんまり期待できないんだよなあ…。適期といえば、シロゴマダラシジミくらいしか思い浮かばない。
あっ、幻のマレッパイチモンジがいるじゃないか。
ダイミョウキゴマダラの♀とマレッパならば、浪漫がある。コケるリスクが高いけど、ならばこそのロマンだ。行きたいなあ。行けるかなあ…。
虫採りにロマンを持てなくなったら、網を置くときだと思う。
 
                 おしまい

 
追伸
ここまで書いて、ふと気づいた。♀は擬態している可能性があると書いたけど、ならばモデルは何だろう❓

調べてみたら、シャクガ科(Geometridae)のエダシャク亜科(Ennominae)に、こんなのがいた。

 
撒旦豹紋尺蛾
Epobeidia lucifera extranigricans (Wehrli, 1933)
(出典『圖録檢索』)

(出典『gaga.biodiv.tw』)

 
結構、大型のエダシャクなんじゃないかな。
エダシャクならば、毒を体内に持っている可能性が高い。擬態のモデルとしては申し分ないだろう。

 
狹翅豹紋尺蛾 Parobeidia gigantearia marginifascia Prout, 1914
(出典『圖録檢索』)

(出典『gaga.biodiv.tw』)

 
もしコイツらだったとしたら、擬態精度はそんなに高くないよね。まあ、それでも飛んでる時はかなりの効果があるだろう。
実をいうと、もっと高い精度でこの手のエダシャクにソックリな蝶が他にいる。次回は、その蝶を紹介する予定です。

 
(註1)日光菩薩
日光菩薩(にっこうぼさつ)は、仏教における薬師如来の左脇に控える一尊であり、月光菩薩と共に薬師三尊を構成している菩薩のことである。
『薬師経』に依れば、日光菩薩は一千もの光明を発することによって広く天下を照らし、そのことで諸苦の根源たる無明の闇を滅尽するとされる。
月光菩薩と対になるように対称的に造形される。つまり、日光菩薩が右腕を上げて左腕を垂らす場合は、月光菩薩は左腕を上げて右腕を垂らすといった具合である。また、その上げた方の手の親指と人差指で輪を作る例が多く、宝冠と持物に太陽を表す標幟を表現されることも多い。

 
(註2)この時の採集記

発作的台湾蝶紀行46 大名様のお通りだーい

 
(註3)増井さんと猪又さんの論文
増井暁夫・猪又敏男『世界のコムラサキ(6)』やどりが 157号(1994)

1994年かあ…、25年も前なんだね。
それにしても25年も経っているのに、まだ幼生期が解明されていないの❓信じられないや。
でもネットで検索しても幼生期の画像が一切出てこない。それって、やっぱそうゆう事なんだろね。

 

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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