昔ながらの千枚漬け

 
京の冬の漬物といえば、すぐきと千枚漬けだ。
今回は千枚漬け。
思うに、でも千枚漬けを買うのは難しい。なぜなら、最近の千枚漬けはなってないからだ。何っつーか、妙に甘酸っぱい。甘酢漬けみたいで許せないのだ。
だから、できるだけ昔ながらの千枚漬けを選んで買うようにしている。しかし、近所の高島屋から「大安」が撤退したので、一時期は千枚漬け難民になっていた。
千枚漬けは甘さではなくて、昆布の旨味があってこその漬物なのだ。
そこで、同じ高島屋で見つけたのがコレ。

 

 
老舗、村上重本店の千枚漬けだ。
本店は四条河原町の駅から程近い西木屋町にある。
ここの千枚漬けが昔ながらの千枚漬けで美味い。
人工的な甘酸っぱさではなくて、昆布の旨味と発酵過程にある自然な酸味との度合いが絶妙なのだ。

ただし、お値段も高い。袋詰めで8枚入って千円ちょっともする。聖護院かぶらは大きいとはいえ、薄切りなのだ。簡単に買える金額ではない。自分も季節に1、2度しか買えない。今回は出張販売で樽ごと持ってきたのを量り売りしていたので、3枚分だけ買った。それでも400円は越えた。

 

 
袋から取り出すと、尋常ではない昆布のネバネバとぬちょぬちょにビビる。でも、このネバぬちょの旨みが千枚漬けを何倍にも美味くさせるのだ。

 

 
旨味と発酵の度合いに、毎度唸らされる。
野卑にして、上品なのだ。
けど、添加物のない発酵食品ゆえに足が早い。だから、賞味期限が驚くほど短い。3、4日くらいで食べ切らなければいけないのが難点だ。そこがまた贅沢ではあるんだけどね。

 

 
昆布が残ると思うが、絶対に捨ててはならない。
残った昆布がコレまた旨いのだ。北海道の根昆布を使用しているようで、とにかく分厚い。もうゴリゴリ。
そこに醤油をちょろっと垂らして食うと、矢鱈と美味い。御飯の上に乗っけて、あんぐりと口に放り込み、ガシガシ食う。コレが、おまけの御褒美みたいで嬉しい。
あと、歯応えに嵌まってるから、あんまりやらないけど、細かく刻んで卵かけ御飯に入れて食うと、堪りません。ヤバいくらいに美味い。

こんだけ煽ってて申し訳ないけど、販売は2月いっぱいまで。しかも、今年は暖冬ゆえに販売期間が短くなっている可能性がある。
探しても買えなかった人は、来年まで臥薪嘗胆ね。
待つことも、また楽し。ですよ( ̄∇ ̄)

 
                 おしまい

 

美の神様は裏に宿る

 

 
連載中の台湾の蝶シリーズの次回に、アサクラコムラサキを予定している。その関係で先月買った蝶を展翅することにした。

 
【ホワイトヘッドベニボシイナズマ♂】

 
【同♀】

 
学名Euthalia whiteheadi。
亜種がいくつかあるようで、これはzonulaという東ジャワの亜種のようた。
鮮やかな赤が素敵だね。タテハチョウの仲間は裏も表もカッコイイものが多い。下手したら、裏の方が綺麗だったりもする。

ホワイトヘッドはたぶん採った事がないと思うので買った。あとEuthalia djata(ベニオビイナズマ)が揃えば一応ベニボシイナズマとかアカボシイナズマと呼ばれているユータリア(Euthalia)は揃うことになる。
こういうのを見てると、またアマンダ(Euthalia amanda)に会いにスラウェシに行きたくなる。
タテハチョウは飛ぶのが速いものが多いので、気合いが入る。それを空中でシバキ倒すのが面白い。

 
【オケラトゥスフタオ Charaxes ocellatus 】

 
インドネシア・フローレス島の原名亜種(名義タイプ亜種)のようだ。
メダマフタオチョウという和名の由来ともなった表側は綺麗じゃないと思うけど、裏は素晴らしい。
複雑怪奇にして、スタイリッシュなデザインだ。優美なる形も惚れ惚れとする。
思うに、タテハチョウは総体的に表よりも裏の方が複雑な紋様になる傾向がある。だから、表展翅するか裏展翅するか悩む。コレは裏展翅したいところだが、以前近縁のオルリスフタオ(Charaxes orlis)を表展翅しているので、表展翅かなあ…。

 
【セレベスシロタテハ Helcyra celebensis 】

 
Helcyra celebensisは、インドネシア・スラウェシ(セレベス)島とペレン島などその周辺の島に分布が知られる。このペレン島のものは亜種fabuloseとされ、シロタテハなのに黒いのが最大の特徴。コレが今回の目的。どんな奴なのか展翅が楽しみだ。

 
【ギャラクシアフタオ Polyura galaxia】

 
別名ギンガフタオチョウ。galaxiaだから銀河なのだ。
表も嫌いじゃないが、裏の方がカッコイイ。
このpyrrhus種群はフローレス諸島からチモール辺りの島嶼に分布していて、多くの種や亜種に分かれおり、正直よくワカンないんだよなあ。
これはlombokianaというロンボク島の亜種で、一番西に分布している。他にも亜種が売っていたが、中ではコレが一番白くて綺麗なので選んだ。他も集め始めないことを祈るよ。集めることを考えれば、コレも表展翅かなあ…。裏よりも表の方に違いがあらわれると思うんだよね。あっ、既に集めることを前提としているじゃないか(笑)。

 
【シュレイベルフタオ Polyura schreiber】

 
表には青が入り、お気に入りのフタオチョウだ。
野外で見ると、テンションがバキ上がりになる。
分布はインドシナ半島からマレー半島、スマトラ、ジャワ、ボルネオ、フィリピンと広い。
しかし現地に行っても中々会えない蝶で、一応珍品の部類に入る筈だ。にもかかわらず、クズみたいな値段だよなあ…。ジャワでは楽勝で採れるのかなあ❓

 
【パプアコムラサキ Apatura ermianea】

 
パプアニューギニアにいるコムラサキの仲間だね。
コレはパプアじゃなくてセラム島のもののようだ。でも特に亜種名はついてなくて、原名亜種と同じ学名になっている。
表は怪しい幻光色を放つ玉虫色。
コヤツはハッキリ言って表の方がカッコイイ。

 
なんか書いてるうちに満足しちゃって、展翅が面倒くさくなってきた。やっぱ採るのが圧倒的に楽しくて、展翅はあんまり好きじゃないんだよね。

 
                 おしまい

 
追伸
最初につけたタイトルは『美は裏にあり』でした。
何となく最後にタイトルを変えた。でも今もってどっちが良かったかワカラナイ。どっちもダメとか言われそうだけど…。