冬の終わりの夕日

 

昨日の夕日は綺麗だった。

地下から地上に出ると、空が不穏な感じだったのでセンサーが反応した。

 

 
辺りは既に日没直後のような暗さだ。
しかし、奥の方がまだ明るい。
慌てて空が広く見える場所へと移動を始める。

 

 
綺麗な夕日を見るためには、勘が必要だ。
もちろん夕日そのもののクオリティーは必須条件だが、解る人間は早い時間帯から空の感じを見て、今日の夕日がどれくらい綺麗になるかは予測できるのだ。

空が開けた場所へと足早に急ぐ。

 

 
ビルの谷間をようやく抜けた。

 

空はまだ、意外と明るい。

 

 
本当は写真の明るい所はもっと空が綺麗な水色なんだけど、携帯のカメラではちゃんと写ってない。

 

 
さらに奥へと追いかける。

 

 
落陽は思いの外(ほか)、落ちるのが早い。
その刹那、刹那が美しい。

 

 
陽が落ちると、急激に雲の量が少なくなった。
そして、黄昏ブルーがやってくる。
この時間帯が、とても好きだ。
でも、思ったようには綺麗に写らない。
携帯のカメラでは限界がある。肉眼には勝てないのだ。スポーツでも何でもそうだけど、大概のものは肉眼に優るもの無しなのだ。
だから本当は写真なんか撮らずに、ゆったりとした気持ちで、静かに夕日は眺めるべきものだと思う。
特に冬の終わりの夕日は。

                  おしまい