山菜の話②コシアブラの天麩羅

  
山菜の女王といえば、コシアブラである。

  

 
と言っても、一般ピーポーにはあまり知られていない。たぶんスーパーなんかにゃ売ってねーからだ。
流通するのは田舎の「道の駅」や高速道路のサービスエリアとかで、殆んどが近辺で採取された地(じ)のものであろう。ようするに天然物で、多くは地元で消費されるものだろね。つぅーか、従来は地元の人が必要な分だけを取って食べるもんでしょうな。だから都会には出回らない。
これはつまり、我々が市場やスーパーマーケット、デパートなどで見る山菜は天然物ではないと云う裏返しでもある。タラの芽やコゴミ、ウドにワラビ、ふきのとうに山ブキ、ウルイ、ゼンマイetc…、みんな、み~んな所詮は養殖物なのだー。あっ、野菜だから養殖とは言わないか。栽培物ですな。どちらにせよ、人が育てたもんってワケだね。
ぶっちゃけ、山菜は天然物と栽培もんは味も香りも全然ちゃうでー。

コシアブラはウコギ科ウコギ属の落葉木。タラの芽やウドもこのウコギ科に属する。タラの芽と同じく春先に出る木の芽の部分を食べます。
因みに漢字だと「濾し油」と書く。名前の由来は、昔はこの木の樹脂(あぶら)を絞り、濾したものを漆(ウルシ)のように塗料として使っていたからだね。
北海道から九州まで沖縄を除く全国に広く自生していて、比較的明るく開けた雑木林などで見られる。関西では、標高にもよるが4月~5月が採取の適期だろう。
とはいえ、ウルシなんかと間違えるケースもあるので、お気をつけあそあせ。
コシアブラは特有の香りがするから、慣れれば分かるんだけど、もしもウルシならば触ったらカブれるでぇー。下手に匂った時には手遅れかもよ~Ψ( ̄∇ ̄)Ψ

前置きはこれくらいにして、肝心の食べ方である。
といっても、コシアブラは天ぷらに尽きる❗
ナゼかっつーと、天ぷらが圧倒的に美味いからだ。それに天ぷらにすれば、アク抜きをしなくてもよい。むしろアクが油で揚げられることによって旨味に変わるのではないかと思われるフシがある。

今回は、こんな天ぷら粉を使いましたー。

 

 
オーマイの『ちょっとの油でカラッとおいしい 油少なめ天ぷら粉』。商品名を見て、即購入決定。
天ぷらは揚げ終わった後の残った天ぷら油の処理が問題だ。だから少ない油で揚げれるにこした事はない。
とは云うものの、少ない油だと上手く揚がらなかったりするから、そこが悩みの種だ。

他の山菜も一緒に天ぷらにすることにした。

 

 
取り敢えず、試し揚げしてみよう。

 

 
手前がコシアブラ。右上がコゴミで隣がどんこ生椎茸。油は良さげな感じだ。まあ、こんな感じで揚げてけば大丈夫そうだ。

 

 
先ずは塩をかけて食う。
やっぱ、( ☆∀☆)美味いねーっ❗❗
シンプル・イズ・ザ・ベスト。仄かな苦みと旨みが相俟って、鼻から香りが抜ける。堪んないよ。まさに山菜の女王だと思う。タラの芽よりもコッチの方が断然好きだ。
すかさず🍺ビールをゴクゴクやる。
(σ≧▽≦)σぷひょー、至福の極みじゃよ。
蝶採りの盟友であるプーさんが、時期になるとコシアブラ、コシアブラとうるさいのも解るわ。
流石、山菜の女王と言われるだけの事はある。

そういえば、近所に住むサッちゃんにもお裾分けしたんだよね。彼女は食通だが、コシアブラは食べたことが無いと言ってたのを思い出したのだ。
渡して、少しばかり飲みに行った。いや、少しばかりじゃないな。二人が集まれば、痛飲必至なのである。とはいえ、その日はまだ早めの11時くらいには帰った。
翌朝、サッちゃんからの電話履歴に気づいた。履歴は夜中の2時くらいとある。爆睡してたのて気づかなかったのだ。何かあったのかな?と少し心配になって電話してみた。

『あのなあー、昨日なー、帰って夜中にその山菜の女王とか言うのを天ぷらにしてん。ほんだらなー、ムチャクチャ美味しかってなー、感動して電話してん。』

コシアブラの力、恐るべしである。

だが、サッちゃんに渡したのにまだあって、翌日と翌々日にも食った。おかんに渡すつもりだったが、連絡が取れなかったのである。

 

 
つけ加えておくと、コシアブラは味も香りも割りと直ぐに落ちるそうだから、その日のうちとか翌日とかの出来るだけ早めに食べることをお薦めします。

最後は試しにパスタにもしてみた。

 

 
アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ仕様を選択。

 

 
所謂、ニンニクと鷹の爪のパスタですな。
ゴチャゴチャした味にするよりも、シンプルな方が出来の正否が解りやすいと思ったのだ。
だが、シンプルがゆえに難しい面もある。
ニンニクと鷹の爪を低温で火を入れて、油に香りを移す。ここは割りと大事だ。日本ではニンニクを高温でカリカリにしたがるが、イタリアでは誰もそんなペペロンチーノの作り方をしない。
そして、パスタの茹で汁とオリーブオイルを如何に乳化させるかが最大のポイントだ。ここで仕上がりの良し悪しが決まる。

 

 
ちゃんと乳化は出来たと思うが、ハッキリ言って天ぷらの足元にすら及ばない。
過去におひたしなんかも試した事があるけど、天ぷらが旨過ぎて落差が激しいわ。その分、落胆が大きい。
よし、来年は天ぷら一本でいこう。
でもさぁ…、いくら旨くともギンギンの若者じゃあるまいし、油っこ過ぎて天ぷらばっか食えないんだよなあ…。オジンになったよ。

                  つづく