シルビアの迷宮 最終章

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 最終章『さらば、シルビア』

 
大阪空港周辺のシルビアシジミがボルバキア感染しているなんて知らなかったから、とても驚いた(第三章『ボルバキアの陰謀』)。
でも採っても採ってもメスばっかという記憶が全然ないんだよなあ…。もしかして、もうとっくの昔に正常な性比に戻ってんのかあ❓
気になったし、前回訪れた時は♂が一つしか採れなかったしなあ…。しかも思った程には鮮度も良くなかった。あと青い鱗粉が発達した♀もまだ欲しい。
と云うワケで、11月13日に再び伊丹市を訪れることにした。

今回も前回と同じくママチャリで難波から伊丹を目指す。正直、相当遠い。ママチャリで移動する距離ではない。だから行く前からメゲそうになる。でも運動不足だし、途中クロマダラソテツの発生地も見つかるやもしれぬと考えた。たらたら二時間も漕げば、そのうち着くだろう。

今回はいつものポイントは、あえて外すことにした。
なぜなら毎年のように通ってるので、性比異常なんて特にないと知っているからだ。それに前回は3頭しか見かけなかった。おそらく今回も少ないだろう。そもそもが、そんなんじゃ性比異常の調査もヘッタクレもなかろう。そこで、前から居る事は知ってたけど、人が多いだろうから今まで避けていたポイントへ行くことにした。

いつものように先ずは飛行機の着陸を楽しむ。

 

 
これだけ近くで飛行機の着陸を見られる場所は他にあんまり無いと思う。CMでも使われてたしね。
キューン、ゴオーッ❗何せ飛行機が物凄く近くの真上をスゲー迫力で通るのだ。通過したと同時に大きな砂塵が舞うくらいなのだ。

 

 
ひとしきり見て、満足したところでポイントへと移動する。キューン、ゴオーッ。

何やかんやで結局着いたのは、正午前だった。
寄り道をアチコチしたとはいえ、二時間半もかかってしまったなりよ。

 
早速、シルビィーちゃんをゲット。

 

 
相変わらず、何て小さいんざましょ。

 

 
腹のぷっくり感からすると、♀だね。
えー、環境はこんな感じです↙。

 

 
いわゆるシバ型草原というやつだ。
草刈りした人為的な環境だけどね。でも草刈りがされないと、シルビアは生きてはいけない。ほったらかしにすると、あっという間に雑草ボーボーなのじゃ。草丈が高くなると、幼虫の食草であるシロツメクサ(🍀クローバー)やヤハズソウが雑草軍団に負けてしまい、シルビアもそれと共に姿を消してしまう。ここでは、人間様々なのだ。放置するだけが自然保護ではないのだよ。ある種の植物や昆虫にとっては、人為的な環境が保たれないと生存できないのである。

シルビアはここを地を這うように飛ぶ。
しかもチビッコでそこそこ速いから、時々見失う。

試しにスマホで生態写真を撮ってみることにした。
地這いシジミをゆっくりと追いかけ、止まるのを待つ。

止まって直ぐに開翅した。また♀だね。
日光浴をしているのだ。ちょっと愛らしい。

 

 
アハハ( ̄∇ ̄*)ゞ、全然ピント合っとらーん。
スマホで虫を撮るのは至難のワザだ。相当至近距離まで近づかないとピントが合わんのだよ。
這いつくばって撮ったのに、何か腹立つなあー。
しかも中年のブサいくカップルの訝しげな視線に晒されてだ。ブサいくカップルのクセに蔑んだ目で見やがって。プンプンι(`ロ´)ノ。

今度は何とかピントがあった。
でも、このワードプレスのブログに画像を貼ったら、ナゼだか死ぬほど画質が落ちる。ピントが合ってても、ピンボケみたくになる。Facebookだと全然そんな事にはなんないぞ。この糞プロバイダーめがっ(# ̄З ̄)❗

 

 
ホラね。まあ、ワシの生態写真なんかに期待してる人なんて誰もいないから、別にいいんだけどね。
あっ、別によくないぞ。食べ物の回で「文章は良いのに、写真がどうしようもないくらい酷い」とかクソミソに言われたりするのだ。食べ物で写真がダメって致命的じゃないか。

 

 
腹が隠れて見えない。でもこの円い翅形からすると、コヤツもまた♀だな。

どうせスマホではロクな写真なんて撮れやしない。
キレイな♂と青い♀だけ選んで、少しだけ採って帰ろっと。

 

 
\(◎o◎)/ゲゲッ、また♀だ。
鮮度からすると、♂もいなくてはオカシイ。なのにボロの♂さえ飛んでない。もしかして、そうなのか?…。

その後も♀のオンパレードが続く。30頭以上は網に入れたけど、全部♀だった。
ここまでメスばっかだなんて、完全に性比がオカシイ。コレって、どうみてもボルバキア感染じゃなくなくねえか❓
まだ、悪虐ボルバキアは健在だったのね。ここの個体群は完全に奴のコントロール下にあるってワケだ。恐るべし、ボルバキア細菌❗

帰り際に、ようやく♂をゲット。

 

 
ボルバキアに殺されまくるオスも大変じゃのぉー。同じ性の身として、心から同情するよ。
でも、よくよく考えてみれば、コレってオスにとってみればウハウハのハーレムかもしんない。なんだよ、それって選びまくりの、やりまくり三助じゃねえか。(*´∀`)羨ましいにゃあ。

芝生に足を投げ出し、飛行機が轟音と共に着陸してくるのをぼんやりと眺める。
走り回る小さな子供たちに、傾きかけた秋の日射しがやわらかに降り注いでいた。

                    おしまい

 
 
一応、この日採ったシルビアの展翅画像を貼っつけておきます。

 
【シルビアシジミ♂】

 
前回の展翅よか、だいぶとマシになった。
リベンジだし、たった1頭だけだったから真面目にやりましたよ。

 
【シルビアシジミ♀】

 
低温期型の♀だね。
何か気にくわなくって、触角をいじる。

 

 
あれっ?、片方の触角が折れてる❓
大丈夫、大丈夫。折れてなーい。単に右の触角が針穴の跡とくっ付いて見えるだけだった。
でも、触角の角度は前の方が正解だったな。いらん事してもうた。

コレにて終了。もう今シーズンはシルビアに会いに行くこともないだろう。
さらば、シルビア。また来年会おう。

 
追伸

思いの外、長編になってしまった。
最初のタイトルは、ただの『シルビアジジミ』だった。当初は2、3分で読める軽いものを予定していたのだ。取り敢えずシルビアの様子を見に行って来ました~的な簡潔な報告文のつもりだったのさ。
しかし、シルビアの和名の由来が微妙に違うことから脱線が始まった。で、破滅的にどんどん長くなっていったのさ。その中でタイトルも次々と変遷してゆく。
先ずは『ラビリンス・オブ・シルビア』に変えた。何となく『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』というスコセッシの映画っぽいからつけた。(;・∀・)あで❓けどよくよく見れば、あんま似てねえな。もう、そんなの\(^o^)/雰囲気、雰囲気~。
でも何かシックリこなくて『迷宮シルビア』に改題する。それでもどこか納得いかなくって、ひっくり返して『シルビアの迷宮』にした。
しかし、過去にフタオチョウか何かの回で迷宮は使ったもんなあ…。タイトルに矢鱈と迷宮とつけたがる男だとは思われなくないし、ここでまたしても変転。『シルビアのミステリー』となる。しかし、ダサい。
あっ、「しかし」とか「でも」が多くてスマン。
で、またまた変えて、結局のところ今のタイトル『シルビアの迷宮』に戻った。そのかわり各章に分断して、それぞれの章に小タイトルをつけることにした。
けんど、執筆途中に何度また題名を変えてやろうかと思ったことか。けれども、それに代わるものがついぞ頭に浮かんでこなかった。そのうち、どんどん話は迷宮に入っていって、まあそれなりにタイトル的には相応しくなってきたし、まっ、いっか…となったワケ。
まあ、どうであれ、このクソ長い文章を読んで下さった方には感謝です。

余談だけど、最終回の小タイトルは最初『ザ・ファイナル』だった。でもそんなに劇的な展開になるワケでなし、大袈裟過ぎるからやめといた。けんど、いつか使ってやるからね。

虫の次回作は、またカトカラのシリーズに戻ります。
チキショー、年内にはカトカラの連載を終わらせてやるつもりだったのにぃ。それがまさかのシルビア城の迷宮で彷徨ってしまうとはね。何だか足元をすくわれたような気分だよ。
年内だなんて、もう絶対に無理やんけ(=`ェ´=)

 

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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