続・アミメキシタバ

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   『網目男爵物語』

 
網目男爵は孤独だった。
妻には早くに先立たれていて、子供もいなかった。
芦屋の邸宅はいつもひっそりとしており、邸内には男爵と執事の近本しかいなかった。

男爵が再婚しなかったのには理由がある。自分の容貌に自信が無かったのだ。本来の容貌は悪い方ではない、と自分でも思う。中には『端正な顔なのに、勿体ないねぇ。』と言ってくれる人もいる。
しかし、その端正な顔の上に、生まれながらの網目模様の痣(あざ)がある。それが今では男爵にとって大いなる劣等感になっている。
妻と出会った頃は、まだ良かった。人間は見た目ではなく、中身だと信じていたからだ。ゆえに臆することなく自然に振る舞えていた。妻はたぶん、そういうところを気に入ってくれたのだと思う。
しかし、妻が亡くなった後、お見合いの機会があり、その時に相手の女性から『何だか蛇の鱗みたい。』と言われて、心が瞬間的に瓦解した。そこで初めて、改めて自分の容貌の気味悪さに気づいてしまったのだった。
それ以来、男爵は努めて人と極力接触しないように生きてきた。自分の脆弱なガラスのようなコンプレックスに触れられたくはなかったからだ。

そんな男爵にも、唯一の慰み事があった。
それが蛾を蒐集する事だった。皆がチヤホヤする蝶には全く興味は無かった。華やかなものに対する厭世感の投影なのかもしれないと男爵は思う。しかし、同時に男爵は世間に忌み嫌われる蛾の中に、この上もない美を見い出していた。そこには、蝶にはない複雑で変化に富んだ隠微な魅力が在った。控えめでいて、ゆるぎのない美しさを感じたのだった。
ふと、男爵は思う。そういえば妻もそういう人だったのかもしれない。

そんな蛾の中でも、特に男爵のお気に入りのグループがあった。ヤガ科 シタバガ亜科のカトカラ(Catocala属)と呼ばれる蛾たちだった。
シタバガと言うように下羽に特徴があり、普段は上翅に隠された美しい下翅が、時にハッとするような鮮やかさでもって男爵を魅了するのである。黄色、オレンジ、朱色、ピンク、紫、白、紺といった豪華絢爛とも言える色が闇の絵巻のように明滅するのだ。
だから毎年夏になると、度々その美を求めて執事の近本を従えて夜の山へと訪れる。

或る夏の日の出来事だった…。
その日は体調が悪いと言う近本を伴わず、男爵は一人で山に入った。

荘厳な夕焼けが色を失った直後だった。何気に振り返ると、若い女性が立っていた。夕暮れの柔らかい風に、辛子色のワンピースの裾が静かに揺れている。
年齢は20代後半くらいだろうか、ほっそりとしており、どこか嫋(たお)やかな佇まいがある。残光に照らされた横顔は憂いを帯びて美しい。
男爵は一瞬、その姿に魅入られた。しかし、すぐに訝(いぶか)る心が芽生えた。こんな時刻のこんな場所に、なぜ若い女性がいるのだろう❓ 夕焼けを見に来た❓ まさかこんな場所に一人で❓ どうにも違和感が有り過ぎる。
男爵は不安を打ち消すかのように、彼女に声をかけようとした…。

と、ここまで書いて、何やってんだ俺❓と思う。
全ては酔っ払いの為せるわざだ。何となく試しに網目男爵の物語を書き始めたら、気がつけば勝手に筆が動いていた。妄想まで出だしとあらば、病院に行った方がいいかもしれない。オラも網目男爵と同様に、心に深い疵(きず)を負っているのやもしれぬ。

気を取り直して、本来書くべきことに戻ろう。
象は草原に帰り、オランウータンは深い森に帰る。誰しもが本来あるべき場所に戻らなければならない。

 
2019年 7月17日。
奈良でマホロバキシタバの分布調査をしている折りに、アミメキシタバも採れた。
マホロバにしては小さいし、何か変だなと思ってよく見たら、アミメだった。ここにはアミメなんていないと思っていたから、ちょっと驚いた。
7月10日にマホロバを発見して以来、毎日のように此処を訪れている。なのに見ないから、いないと思っていたのだ。それに奈良市にいるなんて聞いたことがない。知っている一番近い産地は生駒山系南部の八尾市。そのすぐ東側の矢田丘陵では、去年足繁く通ったのにも拘わらず一度も見ていない。生駒山地北部の四條畷周辺の山でも見ていない。八尾市に連なる山地に分布しないのならば、そこからそう離れていない奈良でもいないだろうと考えるのが自然な流れでもあった。

 

 
この日は2頭採れたから偶産ではなさそうだ。鮮度が良いことからも此処で発生したものだろう。遠方からの飛来ではないと言い切ってもいい。鮮度もあるし、遠くに移動するならば、もっと遅い時期だろう。

にしても、何か変だ。発生時期としては遅くないか❓ 八尾市では7月上旬辺りから発生しているという。八尾のポイントは詳しくは知らないが、大体の予測はついている。因みに麓にある恩智神社で標高約100m、奈良で採れた所が約110mだ。さして標高は変わらないのにナゼに発生期がそんなにズレるの❓
いや、待てよ。今年は蝶の発生が1週間以上遅れているとも聞く、ならば蛾の発生も遅れているのかもしれない。
まあ1週間程度なら物凄く発生が遅いと云うワケではないから、取り立てて言う程のことではないかもしれない。とにかくマホロバと比べて1週間遅い発生のお陰で助かったと云う思いはある。
もしもマホロバを発見した日にアミメも同時に採れていたなら、気づくのはもっと遅れたかもしれない。例えば、もし最初に採ったものがアミメならば、他も全部アミメだと思い込んでいたに違いない。
否、そんなワケないな。展翅したら同じだ。同じように変だと気づいてた筈。むしろ両者が並んでたら、もっと気づき易いやね。そこに「If」は殆んど無いと言っていい。アミメが居ようが居まいが見つけてたわ。

 
2019年 7月20日。
この日も奈良市で、いくつか採れた。
これで偶産ではないことは決定的と言えよう。アミメはここで間違いなく発生している。そう断言してもいい。

 

 
ポイントは前とは違う場所だ。つまり、この山系には広範囲に居る可能性が高いと推測される。

では、ここではアミメの幼虫は何を食樹としているのだろう❓
アミメキシタバの幼虫の食樹の項を見ると、大概のものには「アラカシ、クヌギなど」、もしくは「アラカシ、クヌギ、アベマキなど」と書いてある。「など」が無いのは岸田先生の『日本産蛾類標準図鑑』の「これまで幼虫はアラカシ及びクヌギで得られている」という記述くらいだ。
この「など」って、何なのだ❓ その「など」については何ら言及されてはいない。何を指して「など」なんぞと書かれてあるのだ❓ ワカラン。それってみんな、孫引きなんじゃありゃしませんか(# ̄З ̄)

この地域の植物相は、中央に古い照葉樹林があり、それを囲むようにしてクヌギ、コナラなどの落葉広葉樹を主体とした雑木林が広がっている。あっ、ワシも早々と「など」を使ってしまったなりよ。コレは説明しなくとも解るとは思うけど、特定の樹種のことを言いたいワケではなくて、単に落葉広葉樹が多い植物相だって事を示したいだけだす。

調べたら、この地域には一応、以下のようなブナ科植物があった。

アラカシ、イチイガシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ、シリブカガシ、アカガシ、ツブラジイ、スダジイ、シラカシ、クヌギ、コナラ、アベマキ。
他にツイッターにマテバシイというのもあったが、見たことも聞いたこともないし、疑わしいところがある。どちらにせよ、有ったとしても少ないだろうから、メインの食樹としては除外してもよいだろう。

有望じゃないかと思ったウバメガシは、小太郎くんを始め、色んな人に尋ねたみたが、此処には自生する木は殆んど無いそうだ。あるとしたら、民家の生け垣なんかに使われているものくらいとの事。と云うことは、ウバメガシの可能性は除外せざるおえない。

スダジイは多く見られるが、こちらは元々海岸沿いに自生するもので、おそらく植栽されたものだろう。利用している可能性は無いことはないが、元々の食樹ではなかろう。

シラカシは近年街路樹等を中心に植栽される事が多く、家の近所でもよく見かける。だが、これも本来は関東周辺から東に自生するもので、元々西の地域には少ないものだ。除外しよう。

シリブカガシは北部に纏まって自生しており、ムラサキツバメの食樹にもなっている。しかし、他ではそんなにあるようには思えない。可能性はあるが、印象的には無いと思う。シリブカガシもあまりポピュラーな木じゃない。

ツブラジイ、ウラジロガシ、アカガシ、ツクバネガシは結構自生しているそうだ。これも利用している可能性はあるかもしれない。しかし、何れもカトカラの食樹として記録された例が無い。予断は禁物だが、主たる食樹ではないだろう。

残るはイチイガシ、アラカシ、クヌギ、コナラである。
イチイガシは利用している可能性はある。しかし、この木は、そうどこにでもある木ではない。アミメキシタバの他の分布域で見られることは少ないだろう。ゆえにこれも主食樹からは除外してもよさそうだ。

コナラは何処にでもあるが、今までアミメの食樹としては記録されていない。何処にでもあると云うことは、コナラで幼虫を探した人はそれなりにいた筈だ。にも拘わらず発見されていないと云うことは、外してもいいだろう。

逆にアベマキはあまり見ない。利用しているのだろうが、コレまた主要な食樹ではないとみる。

残ったのは二つ。アラカシとクヌギだ。
どちらも地域内には有り、食樹としても記録されてもいる。だが、クヌギは意外と少ない。コナラの方が多いように思う。
たぶん、クヌギは二次的利用で、多くはアラカシを利用しているものと思われる。
何か印象でばっか言ってて、あまり科学的な検証とは言えまいが、おそらく合っているのではないかと思う。

でもなあ…、クヌギは北海道には自生していないから、アミメは分布していないとは知っているけれども、アラカシの分布はどうなんだろ❓
しゃあない、調べてみっか。

Wikipediaによると、クヌギは日本では岩手県・山形県以南の各地に広く分布し、アラカシの北限は宮城-石川とあった。
アミメの分布図を見ると、大体それと合致する。

 
(出典『世界のカトカラ』)

 
(出典『日本のCatocala』)

 
より踏み込んで言えば、アラカシとアミメの分布の方が、より重なっているように思える。
勝手に解釈すると、やはり幼虫はアラカシを主食樹としており、二次的にクヌギを利用しているのではないかと思う。

あっ、思い出した。
そういえば、今年はナマリキシタバを探しに兵庫県の武田尾渓谷に行った時もアミメを採ったなあ…。あそこも全体的にアラカシが多いもんなあ。よし、アラカシで決まりだーいd=(^o^)=b

でもアラカシって、何処にでもあるんだよなあ…。
その割りにはアミメの分布は局所的とされる。
( ´△`)うわ~、何かメンドクセー。また、変なところに首突っ込んじゃったよ。
よし、こうしよう。アミメはアラカシが沢山ある所には大概いる。でも単に探してる人が少ないだけで見つかっていないだけだ。そういう事にしちまおう。
ガ好きはチョウ好きと比べて圧倒的に少ない。人気者のカトカラと言えども、愛好者の数はたかが知れている。分布調査が進んどらんのだろう。

シャンシャンで、これでクローズできたかと思った。
けんど、この後で西尾規孝氏の『日本のCatocala』の中に、こんな記述を見つけてしまった。

「(食樹は)アラカシ、クヌギ、アベマキ、ウバメガシ、コナラなどでコナラ属全般を食餌植物としているとみられる」

(ФωФ)ニャーゴー、また1からやり直しだ。
ウバメガシも食樹としているというならば、やはりオイラの予想は的中だね。それは嬉しい。しかし、コナラというのが気にかかる。また、ややこしいのが出て来ましたなあ…。
クソッ、コナラの分布も確認しまんがな。

コナラは北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国に分布するとある。北海道にも有るんだね。と云うことは、もしアミメの主要食樹なら、もっと北に分布を拡大しててもおかしくない筈だ。いや、アミメは南方系の種だから無理か…。けど、分布を拡大してるとかって何かに書いてなかったっけ?
しかし、コナラは無いな。コナラが主要食樹ならば、もっと普通種であってもいい筈だ。そうゆう事にしておこう。

それはさておき、何でこの『日本のCatocala』にだけウバメガシとコナラが食樹に入れられてんだ❓
他の図鑑等の文献には出てこんぞ。この図鑑は自費出版で刷数が少なく、値段も8万円くらいと高価だから読んだ人があまりいなくて孫引きされてないだけ❓
にしても、ウバメガシ、コナラというのは、どこからの情報なのだろう?著者御自身で確認されたのだろうか?またそれは自然状態での事なのか、飼育実験での事なのか、どっちなのだ?気になるところではある。

それはそうと、やっぱりここでも「……、ウバメガシ、コナラなど」と「など」が出てくる。「など」の中身は何やねん❓他にもあるのか❓アカガシか❓、それともウラジロガシかあ❓

えーい(ノ-_-)ノ~┻━┻、アカガシもウラジロガシも分布を調べたろやないけー❗
とはいえ、だいたいの想像はつく。アカガシはゼフィルス(蝶=シジミチョウの1グループ)のキリシマミドリシジミ、ウラジロガシはヒサマツミドリシジミの主要な食樹だ。
ヒサマツの分布が神奈川県丹沢山系と新潟県の糸魚川辺りが東限とか北限ではなかったかと思う。キリシマは太平洋側が伊豆半島以西(丹沢かも)、北限はどこだっけ?新潟とか石川なんかにはいなかった筈だ。となると滋賀県か?いや、島根県の隠岐の島❓何かどうでもよくなってきたぞ。とにかくキリシマもヒサマツも本州の西側が分布の中心だ。
Wikipediaによれば、アカガシの北限は本州の宮城県・新潟県以西、ウラジロガシは本州の宮城県・新潟県以南とあった。同じってことだ。蝶よか、もっと北まで自生しているんだね。ヒサマツ、キリシマの分布とは微妙に異なり、ピッタリ一致はしないってワケだな。むしろアミメの分布と重なっているような気がする。
(◎-◎;)何か頭がこんがらがってきたぞ。ちょっと頭の中を整理しよう。
ヒサマツもキリシマミドリも奈良市、六甲山地には分布していない。でも、どちらの地域にもアカガシ、ウラジロガシ共に自生しているようだ。つまり、ヒサマツもキリシマも分布は局所的であり、食樹以外の条件も整わないと棲息できない特殊な蝶と言えよう。だから、この際ヒサマツもキリシマも頭から除外しよう。こんなもんと絡めてしまうから、ややこしくなるのだ。
と言いつつ、ここでまた蝶を持ってくる。しかも特殊な蝶であるルーミスシジミだ。奈良のこの森は、絶滅してしまって久しいが、かつてはルーミスの多産地であった。ルーミスの食樹といえば、イチイガシとウラジロガシである。しかし、どちらも自生する場所が少ない。ゆえにルーミスは分布が極限されると言われている。けれど、此処には両者とも沢山自生する(因みに、ルーミスがアカガシに産卵した例やアラカシより幼虫が得られたという報告もある)。
ここから強引に結論に持ってゆく。つまり、アミメキシタバは此処ではイチイガシもウラジロガシも食樹として利用している。アカガシ、アラカシ、クヌギ、コナラも食っている。六甲のものは、アラカシ、クヌギ、コナラ、ウバメガシ、アカガシを食樹として利用している。それで、もういいじゃないか。

そういう観点で冷静に見ると、この『日本のCatocala』の中の「など」は、少し他の「など」とは使い方のニュアンスが違うような気がする。後に続く言葉「コナラ属全般を食餌植物としているとみられる」と関連づけた「など」であれば理解できる。ようするに、コナラ属なら何でも食うという前提のもとでの「など」ならば、文章として辻褄が合ってると解釈できるって事だね。

それを確認するために、もう一度文章を読み直すと、その後ろに更なる文言が付け加えられている事に気づいた。
そこには「本来の食樹は成虫の分布から、カシ類、アベマキとみられる。」と続けられていたのだ。
Σ(T▽T;)ワキャー、マジ最悪の展開になってきた。
実をいうと、この食樹のくだり、あとがきも含めた全体の文章の最後に書いている。ここを書き終えさえすれば、フイニッシュだったのだ。サクッと終わらせるつもりが、何なんだ❓、この泥濘(ぬかるみ)ノタ打ち具合は❓

カシ類ってのは、あまりにザックリだし、ここへきてアベマキとは驚きだよ。
カシ類の何なんすか❓特定して下さいよ。
アベマキ❓何でクヌギではなくてアベマキなのだ❓
(# ̄З ̄)もー、アベマキについても調べなくてはならぬよ。

日本、中国、台湾、朝鮮半島に多く自生している。日本では、関東地方から四国・九州の山地に自生し、西日本では雑木林に普通にみられる。

普通に見られる❓
そうだっけ?関西ではクヌギの方が多いイメージがあるんだけど…。気になるので更に調べてゆくと、驚くべき事実が解ってきた。
関西ではアベマキと云う言葉はあまり聞かないし、名前さえ知らない人が多いと思うけど、アベマキは関西ではクヌギよりも多く自生している木らしい。ネットの素人っぽい方の情報だから鵜呑みは禁物だけどさ。

クヌギとアベマキはとても似ていて、混同されやすい。たぶん小さい時から、周りの大人にカブトムシが集まる木はクヌギだと教えられてきたので、それらしきものは全部クヌギだと脳が判断するように出来てしまっているのだろう。確かに自分の頭の中では、クヌギもアベマキもコナラもゴッチャになっている。区別せよと言われれば、一応蝶屋だから区別できるが、樹液が出てる木なら何だっていいと云う見方しかいていないのだ。これは自分が蝶の飼育をしないからだろう。木を何かの食樹としては、あまり見ていないのだ。だから特別な場合を除き、普段は似たような木を厳密的に区別する必要性を感じていないのである。

一応、クヌギとアベマキの違いを書いておこう。
ネットに『Quercusのブログ』という優れたブログがあったので、その解説をお借りしよう。

①クヌギの葉裏は無毛で緑色。アベマキは星状毛が密生し、白っぽい。また、アベマキの葉はクヌギよりもやや幅広である。

②クヌギの樹皮は灰褐色で、指で押しても硬い。アベマキの樹皮はクヌギよりも明るい灰色で、コルク層が発達し、指で押すと弾力がある。

③どんぐりはクヌギは球形、アベマキは楕円形であることが多い。アベマキのどんぐりはクヌギよりも色が濃く、殻斗の鱗片は長い。どんぐりはクヌギの方が大きい。

解り易い説明だね。

自分的には、アベマキはクヌギよりも樹皮がゴツゴツしている事。葉がクヌギは細長く、アベマキはそれに比べて幅広な事。アベマキはクヌギよりも樹高が高く、大木が多いって感じで区別している。

このサイトには、他にも重要なことが書いてあった。

「クヌギ、アベマキの国内での分布は以下の通り。
クヌギ:岩手県・山形県以南~屋久島・種子島。沖縄県まで植栽。(クヌギは薪炭材を得る目的で植栽されたものも多く、自然分布ははっきりしない)
アベマキ:山形県・長野県・静岡県以西(紀伊半島を除く)~九州。
両者はすみわけをしており、東日本にクヌギ、静岡県(大井川流域以西)・石川県より西がアベマキの林になる。
大阪府周辺の山ではアベマキはある場所とない場所があるという。
また、紀伊半島にアベマキは自生しないらしい。
このように、アベマキは特異的な分布をしている。」

大阪府周辺の山ではアベマキはある場所とない場所というのは、よく解る。だから、あまりアベマキのイメージが強くないのかもしれない。知らなかったが、紀伊半島にアベマキは自生しないと云うのもアベマキの印象を薄くしているのだろう。
アミメキシタバって、紀伊半島にはバリバリいるよなあ…。って事は、紀伊半島のアミメの食樹は別に有るって事だね。やはり一番利用されているのはアラカシ、もしくはウバメガシなんでねーの。

続きを読もう。
「また、クヌギは朝鮮半島からの移入種であり、日本にあるものは全て植栽されたものという説もある。
中国では標高600~1500mにアベマキ、標高900~2200mにクヌギが生育しているという。
私の推測の域だが、元々日本にはクヌギはなく、暖地性のアベマキが分布しない地域(静岡県・石川県以東)に薪炭材を得る目的でクヌギを植林し、現在のようなすみわけになったのかもしれない。」

クヌギは昔の里山では薪や炭として利用価値が大きく、植栽が進んだとは知っていたが、完全な移入種とする説があるとは知らなかった。
もしそうならば、クヌギはアミメの本来の食樹ではないと云う事になる。となると、西尾氏のアベマキを本来の食樹の1つとする言は慧眼かもしれない。
しかし、やはり生息環境からみれば、基本的な食樹は常緑カシ類だろう。アラカシを中心に常緑カシ類、特にコナラ属ならば何でも食うのだろう。で、二次的に落葉性のコナラ属も利用している。そうゆう事にしておこう。もう、ウンザリなのだ(ノ-_-)ノ~┻━┻
でも、そうなると、カシワ、ナラガシワ、ミズナラも利用しているの❓
(-“”-;)もう、やめとこ。

 
2019年 7月21日。
去年に引き続き、クロシオキシタバ狙いで六甲方面へ行った。

夕方前、木に静止しているアミメを見つけてゲット。

 

 
静止位置は目線のやや上、上下逆さまてはなく、頭を上向きにして止まっていた。
カトカラたちは、昼には頭を下にして逆さまに止まっているが、夜は普通に頭を上にして止まっている。
では、いつ逆さま止まりから上向き止まりになるのだろう❓ そもそも、何故に昼間は逆さまに止まるのだ❓しかも昼間に驚いて飛んだ場合、上向きに着地して一旦静止。暫くしてから、また逆さまになるという。ワザワザもう1回逆さまになると云うことは、そこには何らかの意味があるということだ。
でも、考えても意味も必要性も全くワカラーン。
この逆さまになる理由については、誰も何処にも言及していないと思う。誰か、解りやすく説明してくれんかのぅー( ̄З ̄)

夜になって、シッチャカメッチャカになったけど、それなりの数のアミメを確保できた。その辺の顛末は、前回の『網目男爵』、前々回の『絶叫、発狂、六甲山中闇物語』に詳しく書いたので、ソチラを読んで下され。

何度も使っている写真だが、この日採ったものの一部を貼付しておく。

 
【Catocala hyperconnexa アミメキシタバ♂】 

 
【同♀】

 
【同裏面】

 
それなりに採った筈なのに、画像があまり無い。
おそらく面倒臭いので、展翅はしていても写真には撮っていないのだろう。やっぱりアミメキシタバに対しての愛が少ないのかなあ❓

 
                    おしまい

 
追伸
いやはや、冒頭部がまさかの小説風の入りになろうとは自分でも予想外の展開だった。
網目男爵とカトカラを引っ付けた話だなんて、メチャメチャ過ぎて最初から無理だと思っていた。しかし、アルコールの力、恐るべしである。突然、何かが降りてきて、一気に書いた。
翌日に、誤字脱字「てにをは」句読点は一部修正したものの、あとは全文ほぼその時のままである。
また何かが降りてきてくれたら、続きを書けるかもしれない。まあ、どうせ泥酔酒バカ男と化すだけで、そんな都合よくいく事なんて有り得ないと思うけど(笑)。

今回は、かなり短くなると思ってた。それゆえの網目男爵の冒頭文の発想も出てきた。相当短いツマンナイ回になると思ったから、潜在意識の中に何かしらアクセントをつけようという考えがあったのかもしれない。駄文製造家にも、少しでも面白くしようと云うそれなりの気づかいがあるのだ。結局、最後に食樹のところで躓いて、又しても長文になっちゃったけどね。

次回は、やっと書きたかったカトカラについて書ける。謂わば、ソレとアレの2種類についての採集記が書きたくて、この『2018’カトカラ元年』のシリーズを始めたのである。
でも、思った以上に書くのは大変で、始めた事を後悔している。ソレとアレの事だけを書いときゃよかったのに、下手に完璧主義的なところがあって、前後時系列の中での、その文章であって欲しい。そういう無意識下の願望があったのかもしれない。謂わば、ソレとアレを書くために今まで駄文を重ねて来たのだ。
(-“”-;)しまった…。自分でハードルを上げてどうする。
けど、次回取り上げるカトカラも一年半近く前の話だもんなあ…。結構色んなことを忘れてるかもしんない。気合いだけ空回りして、ドツボの回になったりしてさ。
クソッ、いっそ全文小説風、しかも純文学風で押し通してやろうかしら( ̄∇ ̄*)

 
《参考文献》
・『世界のカトカラ』石塚勝己 月刊むし
・『日本のCatocala』西尾規孝 自費出版
・『日本産蛾類標準図鑑Ⅱ』岸田泰則 学研
・『みんなで作る日本産蛾類図鑑』インターネット
・『ギャラリーカトカラ全集』インターネット 
・『兵庫県カトカラ図鑑』阪上洸多・徳平拓朗・松尾隆人 きべりはむし
・『Quercusのブログ』インターネット

 

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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