しあわせ白子雑炊

 
冬に作った食いもんの写真が腐るほどある。 もう季節はずれだが、勿体ないので気が向いた時にちょこちょこ書こうかと思う。

2月の最後の閏日、29日に満を持して『白子雑炊』を作った。 しかし、残念ながらフグの白子ではない。白子と云えば定番の鱈(タラ)白子だ。とはいえ、これとて昔は少なくとも関西では定番ではなかった。初めて存在を知ったのは大学生の頃で、金沢に行った時だった。その脳ミソみたいな見てくれに、かなり引いた記憶がある。 その後、直ぐに関西でも出回るようになった。

そういえば、初めて見る妹に、

『お兄ちゃん、コレ何❓』

と質問されて、こう答えておいた。

 
『🐵猿の脳ミソや。』

 
その時の、妹の驚愕の表情は今でも忘れられない。それは、人って恐怖を感じたら、そんな風に固まるのねと初めて認識した記念碑的な瞬間でもあった。
あっ、ちゃんとネタバラシはしましたよん。
いかん。早くも脱線気味だ。今回はサクサク進めるぞ。

先ずはタラ鍋をつくる。ここで最初に強調しておく。今回はあくまでも『白子雑炊』有りきの鍋だと云うことを。鍋の残り汁で白子雑炊を作りましたーと云うユルいスタンスではなく、旨い白子雑炊を食いたいが為にタラ鍋を作るのである。つまりタラちゃん鍋は主役ではなく脇役であって、前座でしかないということだ。

話は一旦逸れる。
白子雑炊といえば忘れられないのが、大阪ミナミの水掛け不動尊近くにある『南進』と云うフグの老舗名店の白子雑炊だ。ここの白子雑炊が悶絶級にメチャンコ美味いのだ。
今はどうか知らないが、昔は冬のフグの季節にしか開けないと云う驚嘆すべき店なのだ。今回はその『南進』の白子雑炊をイメージして作ってみた。ただしイメージだから、本当の作り方は知らん。

作り方は、こんな感じ。

①ハサミで切れ目を入れた昆布を鍋に入れ、水を注いで一晩放置する。こうすると上品な出汁が出る。

②土鍋を火にかけ、沸騰する前に昆布を取り出す。醤油などの調味料は一切入れない。入れてもいいのは酒くらいだろう。
先ずは白菜とえのき茸を入れる。いい感じに煮えたら、切ったタラと白子、ハモを入れる。ハモはたまたま安くなっていたので買った。ハモからは極上の出汁が出るから入れてみようと思ったのである。プラスになりこそすれ、邪魔にはならないと踏んだ次第。
具はコレのみである。他は白子雑炊の邪魔になると考えたのだ。今回は白子を最大限に活かすためにシンプルにいく所存なのである。

沸騰しないように火加減を調整する。火が強過ぎると、余計なアクが出て汁が濁るし、身が固くなってふっくらと仕上がらないのだ。タラは特にそうだが、それに限らず魚や肉はギリギリで火が通った状態を良しとする。当たり前だが、それが一番旨いからですな。

因みに白子は全部入れない。今回は2パックのうちの1/4だけを入れた。

 

 
さっき言ったばかりだが、火を入れ過ぎないように頃合いをみて、ジャンジャン食ってく。特にタラの身やハモなんぞは、火が入り過ぎると旨かないのだ。世の中、出汁にしてしまっている愚か者が何と多いことか。但し、今回においてはそれも有りなんだけどもね。出汁だけ取って本体を捨てると云う究極の選択も有りなのだ。そんな贅沢で勿体ない事、根性なしのワシには出来んけどね。

③残りの白子の半分を、オラオラオラー(ノ`Д´)ノ彡❗、包丁で原形が無くなるまで細かくブッ叩いておく。
鍋の具をキレイにさらったら、汁を小鍋に移して火にかける。そこに、もう半分の原形をとどめておる白子をブチ込む。で、火が通るちょっと手前で取り出しておく。

④次にブッ叩いた白子の半分量を投与。沸騰してきたら、炊いた米を入れる。サラサラがお好みなら、米を軽く洗ってぬめりを取るという方法もあるが、雑炊はとろみ欲しい派なので、そのままブチ込む。再び沸騰してきたら、原形白子の半分を戻し、蓋をして火を切る。してからに、1、2分ほど放置する。
世の定番であるネギは入れない。昔から思っていたのだが、ネギは個性が強過ぎて、時に主役の具材の風味を台無しにするところがあるのではないかと。何でもかんでもネギ入れときゃあいいと云う風潮が疑問でならない。時には定型を疑えよと思う。

 

 
飯茶碗に盛って、塩を振ってかき混ぜる。そこに白子と貝割れ大根を載せて完成。

💕旨っ❗
米粒が白子のコクを纏って、メチャメチャ美味いがな‼️‼️

だが、コレだけでは終わらない。2本目の矢、第二陣を繰り出す。

再び小鍋に出汁を入れ、④の行程を途中まで繰り返す。唯一違うのは溶き卵を入れるというひと手間が加わるだけである。
勿論、今度もネギは入れない。必要とあらば、小鉢にでも盛って、お好みでトッピングするがよろしかろう。

 

 
溶き卵はコレくらいの感じで火から下ろす。掻き混ぜれば、予熱で調度良いかたさになるからである。
茶碗に盛り、今度も塩のみで味付けする。

(☆▽☆)ぴゃあ〜、超うみゃーい‼️‼️

2杯目は、塩抜きでポン酢のみをかける。
これまた当然の事ながら、バカ旨❗

し❤️あ❤️わ❤️せ❤️

                       おしまい

 
追伸
久し振りの食いもんの話である。正直、食いもんの話を書くのは楽である。1時間もあれば草稿が書ける。他のカテゴリーの文章みたく特に調べる事があまりないからだ。あったとしても少ない。それに小難しいことは何も考えなくて良い。
まあ、最後はおざなりの変な終わり方になったけどさ…。