丸蟹だしの塩ラーメン

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前回はマルガニ(ヒラツメガニ)を塩ゆでにした。

【マルガニ(ヒラツメガニ)】


その時の茹で汁を捨てかけて、手がとまった。ものスゴ〜く蟹の香りがするのである。素直に勿体ないなあと思った。
でも、その汁は塩水なんだから相当しょっぱい事は知っている。さて、どうしたものか……(-_-;)
突っ立ったまま悩んでても仕方がないので、取り敢えず再度味見してみることにする。
わっ(+_+)❗、しょっぺっ❗❗
でもやっぱり、ものすごーく良い出汁が出てんだよなあ。
コレって、薄めて何とかでけんのかのう❓
みみっちくてセコい男なのである。結局、金と時間と労力の無駄になりかねないが、そんなワケでトライしてみることにした。

先ずは鍋にテキトーに酒を入れて火にかける。
温まってきたところで、顆粒の昆布だしの素をテキトーに入れる。
溶けたら、しょっぱ蟹だしをテキトーに加えて混ぜる。
味をみて、水をテキトーに足す。
まだしょっぱいので、もう1回テキトーに水を足す。
\(°o°)/わっ、テキトー過ぎた。今度は薄くなる。
このままテキトー、テキトーで、テキトー男をやり続けてると、テキトーあほあほ仮面になりかねない。テキトー星人のテキトーお告げによって、真面目にテキトーにやることにした。

テキトーを連発し過ぎて、自分でも何言ってんのかワカンなくなってきた。おフザけは封印。ここからが仕切り直しである。耳元で囁いてくる👾テキトー星人をブン殴って、少しずつ慎重に微調整をしていこう。

少しだけ蟹だしを足したら、いい感じに傾いた。
でも味に深みがない。と云うワケで若竹煮の残り汁をちょい足す。つまり、鰹ダシや微量の味醂が加わったと云うワケである。

ふむふむ、塩っ気が少し丸くなったぞ。でも、まだまだ深みが足りない。と云うワケで焼き茄子を浸したダシ汁も参戦させることにする。因みに、この汁はさっきの若竹煮の煮汁を焼き茄子に浸して一晩おいたものである。だから焼き茄子の旨味エキスが入っておる。

(☉。☉)おっ!、段々いい感じになってきたぞ。
ここで秘密兵器投下❗ 冷蔵庫の海老を殻ごと汁にブチ込んでやった。щ(゚д゚щ)ウシャシャシャシャーッ、謂わば追い鰹ならぬ、追い甲殻である。すかさず火を消し、海老が固くならないように予熱で火を通す。
( ̄ー ̄)ニヤリ。オジサン、やる時はやるんである。

だが、ここで安心して手を弛めてはならない。さらに第2の秘密兵器を投入して一気呵成にカタをつけちゃるわい❗





第二の刺客は霜降り平茸さん(註1)だ。期待の新人である。
これは従来からあった日本の平茸とヨーロッパ産の平茸の仲間を掛け合わせて品種改良したものだ。最近は、どこのスーパーでも見かけるようになったから、知っている人も多いだろう。
海老を取り出し、スープに霜降り平茸を投入、再び火にかける。ひと煮立ちしたところで火を消して放置。録画していた『逃げ恥(逃げるが恥だが役に立つ)』のムズキュン特別編なんぞを観る。観終えて、ガッキーにキュンキュンしたところで、冷めたスープの味見にかかる。

(^O^)よし、だいぶと良くなってきたぞ。ゴールは近い。
ここでリーサルウェポン、最終兵器の登場だ。
白醤油をちょっとだけ投下。少量でも劇的変化の隠し味じゃ❗それにこれなら普通の醤油と違い、ダシ汁がドドメ茶色化せんじゃろうて。オラって、まあまあ天才だね、(*ノω・*)テヘ。

考えてみれば、旨味オールスターだ。カニとエビの旨味成分である遊離アミノ酸類からして錚々(そうそう)たるメンバーである。エビカニ甲殻軍団の甘さを司るアデニル酸を筆頭家老に、グルタミン酸、グリシン、アラニン、クレアチンと云う旨味の権化の面々が並んでいらっしゃる。そこに、昆布のグルタミン酸の旨味、鰹節のイノシン酸、霜降り平茸のグアニル酸、醤油のアスパラギン酸の旨みスーパースター達が加わるのである。更にそこにはタケノコや焼き茄子の旨味エキスも混じっている筈だ。旨味のオンパレードじゃよ。それらが複雑に絡まっておる二度と作れぬだろうスープじゃよ。テキトー星人👾をブン殴って、真面目に取り組んどいて良かったよ。
これで、ほぼ完成じゃが、まだまだ味がバラバラで馴染んどらんところがある。とゆうワケで、冷蔵庫で1日半ほど寝かせてやることにした。

翌日、味見をしてみた。ふむふむ。全体的に角がとれて馴染んでおる。旨みオールスターたちの見事な融合じゃよ。それを確認したところで、いざ勝負へと参る。

①先ずはスープを温める。
ある程度、温まったところで火を弱め、沸騰しないように火加減を調節する。並行して、その間に麺を茹でる。
麺は、もう生麺はコレしか買わないと云うくらいに偏愛しているマルちゃんの『極太中華麺』3食入りだ。



茹で時間は3分〜5分とあるが、かための3分にセッティングする。シュワッチO=(%)o、ウルトラマン❤ハートでいくぜ。3分間で、ねじ伏せてくれようぞ。

②熱湯に麺をブチ込んだら、丼に湯を入れて温めておく。季節に関係なく、熱い食いもんは熱く、冷たい食いもんは冷たくが料理の鉄則だ。
次に具材をいつでも盛り付けできるようにスタンバらせる。麺料理を作るのは時間との勝負だから、万全の体制で臨むべし❗、臨むべし❗ 明日のためのその1、やや内角をねらい、えぐるようにして、打つべし❗打つべし❗ 矢吹丈ばりに、宙に向かって🥊ジャブを繰り出す。戦闘態勢、万全だぜ。

③麺が茹で上がると同時に、スープが沸騰するように火加減を調整する。

🚨ピコン、🚨ピコン、🚨ピコン…心の中でカラータイマーが鳴り始める。
3分たった❗すかさず麺をザルにあけて、湯を切ろうとして頭の中にラーメン屋の兄ちゃんの画像がよぎる。ここで、その兄ちゃんの真似をして、何とか落とし的なワザ系湯切りをしたいという衝動と誘惑に激しく駆られる。
やっちゃだめだ。やっちゃダメだ。やっちゃダメだ…エヴァの主人公の碇シンジくんばりにブツブツ繰り返して、グッとこらえて何とか踏みとどまる。そんな事をしたら、麺は空中で四散プータ、ボテッと床に落ち、惨めな気持ちになる事は明白だからである。素人が調子に乗ってもロクなことはないのだ。

いつも通りに湯をチャッチャッと切り、湯を捨てた丼に⚡電光石火で麺をダイブさせる。な、いなや、どすこーい❗そこに熱々のスープを流し入れる。そして麺を一度、箸で持ち上げて形を流れるように美しく整える。と言いたいところだが、それは忘れた。気づいた時には既に盛り付けに入っておった。
まあいい。そんなことでリズムを崩してはならない。平静を保って順に具材をソッコーで盛りつけていく。

ヽ(=´▽`=)ノ出来たぁー❗❗







具は霜降り平茸、海老、パクチーである。
何故にネギではなく、パクチー❓
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻うっせー、こっちはネギは邪魔だと判断したのである、バーロー❗
スマン、スマン。冷静になろう。前から思っていたのだが、塩ラーメンには青ネギは合わないと思うのだ。青ネギは個性が強過ぎる。あの青臭さは繊細な塩ラーメンのスープの味を台無しにするのではないかと常々思っていたのである。もし入れるのなら白髪ネギだろう。それなら邪魔するどころか、スープを引き立ててくれるところがある。でも今回、冷蔵庫に白髪ネギさんはいらっしゃらなかったのだ。と云うワケで、パクチーさんに代打をお願いした。狙いは時々エスニックなのさ。

先ずはスープを飲む。
(☆▽☆)ぴゅあ〜、奇跡的に旨い❗
何か、よりまろやかになっとる。
次の麺をすする。知ってはいたけど、旨い。極太麺の弾力が堪んねぇよ。スープとの相性も勿論のこと抜群だ。

続いて海老を食う。蟹だしラーメンなのに海老って何か変な気分だけど、旨い。霜降り平茸は旨みと歯応えがあって文句なしだ。
暫し食い進めて、パクチーと一緒に麺を食べてみる。
(≧▽≦)う〜ん、エスニーック❗一挙に口の中は東南アジアの世界になる。海老なんかと一緒に食えば、益々東南アジア化しよる。嗚呼、タイの屋台に行きてぇー。一瞬、唐辛子粉(一味唐辛子で代用)とかプリックナムソム(唐辛子の酢漬け)、ナムプラーを入れてやろうかとも思ったが、やめた。やはり最後は、あくまでも蟹だし塩ラーメンで終えたい。

(^。^)ふぅーっ、御馳走さまでした。美味しかったでござんす。
皆さんもカニを茹でた汁は捨てずに、それでラーメンを作りませう。
但し、失敗しても責任は持たないけどね。

                        おしまい

追伸
実を云うと、このマルガニの茹で汁にはまだ後日談がある。
そのうち書くと思う。いや、書くかなあ❓…。


(註1)霜降り平茸
ひらたけは味の良いきのことして昔から親しまれてきました。しかし、ブナシメジやエリンギに席巻され生産量が減少傾向にありました。傘が薄くて柔らかいため、流通過程において物理的な損傷を受けやすく、日持ちが良くないことも原因の一つと考えられています。 当研究所では、日本産ひらたけとエリンギなどのヨーロッパ産ヒラタケ属との種間交配に成功しました。さらに交配育種による品種改良を重ね、従来のひらたけよりも傘が肉厚で日持ちがよく、収量性の良い「HOX 1号」を開発しました。 傘に独特の霜降り模様が見られることから、商品名を「霜降りひらたけ※」として2012年秋から販売を開始しました。 霜降りひらたけは特に旨味が強く、歯ごたえの良い美味しいきのこです。
(出典『ホクト株式会社』)

しかし、ワシは普通の平茸の方が好き。まあ、食感は負けるけどね。
かやく御飯(炊き込みご飯)やキノコ御飯を作る時は平茸を使う。平茸の方が良い出汁が出ると思うからだ。

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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