食材チャレンジャー、イガがゆく②

 

 その2.アカイサキ(赤伊佐木)

『どっちつかずの、かわい子ちゃん』

 
前回のデカいガジラの数日後、またスーパー玉出で目を引く何じゃこりゃ\(◎o◎)/❓の魚が売っていた。

 

 
ねっ、\(◎o◎)/何じゃこりゃ❓でしょ。
あたい、ド派手すぎて二度見しましたよ。
若い女子が大好きそうなピンクと黄色の組み合わせに、更にオレンジまで加わるだなんて、めっちゃボップだ。こういう配色は好みじゃないけど、素直に綺麗だと思う。💖かわい子ちゃんだね。

だけど、食べるとなると話はまた別である。色鮮やかな魚は旨そうには見えないんである。むしろ毒々しくさえある。沖縄は別としても、こういう色の魚を食べるという概念が無いから、そう見えてしまうのだ。ようは殆んどの日本人の食用魚の概念には、カラフルな色は無いのだ。結構、美味しいんだけどね。

名前を見ると、赤イサキと書いてある。
赤イサキ❓ 聞いたことがない名前である。元ダイビングインストラクターだったから、自慢じゃないけど魚種については詳しい。そのオイラが全く知らないんだから、相当にレアな魚なんじゃないかと思った。
見たところ、この鮮やかさは南方系に見える。しかし、日本だけでなく、サイパンでもインストラクターをしてたのに知らんぞ、コヤツ。

 

(コレ、ワシねっ。)

 
それに、名にイサキとついているが、あのイサキとは色も形もまるで違ってる。

 
【イサキ】

(出展『WEB魚図鑑』)

 
ほらね。似ても似つかないじゃないか。どちらかというと、ハタっぽい。
アンタ、誰〜❓

その場でググろうかとも思ったが、やめた。
邪魔くさいとゆうのもあるが、無粋だ。食材チャレンジャーが予め調べてから買うだなんて、全然チャレンジャーじゃない。それじゃ、羊頭狗肉。タイトルに偽り有りである。

とにかく先ずは買おう。半額になっているから、たったの140円だもんね。

買って帰って、家でパッケージの表示を見て驚く。
ありゃま、何と産地は千葉県と書いてあるではないか。
(゜o゜;えっ❗❓である。まさか海の中では地球温暖化が知らぬうちに大幅に進行しておるのか❓死滅回遊魚も、あったか過ぎて死なんようになってまっただか❓

ここで、よほど赤イサキについてググろうかとも思ったが、我慢する。
もし不味いと書いてあったらショックだし、作る気が失せる。だいち、これもまた無粋だ。鬼が出るか蛇が出るか分からないから面白いのだ。どんな調理法でいくかも腕の見せ所だしね。

でも、結局またガシラと同じく清蒸(チンジョン)にしてもうた。
芸が無いと言われそうだが、頭の部分なんで調理法も限られてくるのだ。まだまだ御託なら並べられるが、書くのが面倒くさいので先へ進む。

調理法は基本的に前回と同じ。
そっちに詳しくあるので、簡単に書いとく。

【作り方】
①魚をサッと洗い、鱗が残っていないか確かめる。軽く水気を拭き、塩を振って、2、30分おく。

②塩を水で洗い流し、キッチンペーパーなどで水気をしっかり拭く。

③皿に乗せ、酒をかけて塩を軽く振ったら、ラップしてレンチン。

④その間に白ネギを切って、白髪ネギを作っておく(今回は万能ネギの根元部分を使った)。

⑤蒸し上がったら、白髪ネギを盛り、上からフライパンで煙が出るくらいにチンチンに熱した胡麻油をかけて出来上がり。
お好みで醤油をチャラッと掛けてもよい。今回は掛けました。

 

 
色が今イチ解りにくいので、反対側からも写真を撮る。

 

 
さあ、食べよう。

あっ、デカいガジラよりも身に弾力がある。ブリブリだ。
味は旨い。上品な旨みでガシラと近いが、より繊細で旨いんじゃないかと思う。そして、皮のとこが美味。旨みに加えて甘みもある。
これが140円って、とてつもない高コスパだな(≧▽≦)
食材チャレンジャー、2勝0敗だねっ。

満足したところで、赤イサキの正体を探ろう。
いつものようにネットで、ぼうずコンニャクさんの『市場魚貝類図鑑』を見て、他のサイトもザッと見た。それらを纏めておく。

全身の姿は、こんなん。

 

(出典『つりまる』)

 
やっぱり、およそイサキの仲間には見えないな。

〈分類〉
スズキ目 ハタ科 ハナダイ亜科 アカイサキ属。

ハタに似てるって言ったのは、いいとこ突いてたってワケだ。
因みに、調べたらイサキはイサキ科でした。全然、両者には類縁関係は無しじゃんか。人生にはよくある事だけど、名前に騙されてはいけないよね。常にフラットで物事を見極めなければいけないやね。

ちょっと驚いたのは、ある程度の大きさまでは雌として生き、大型になると雄に性転換するそうだ。ハナダイも性転換するから、ハナダイ亜科と云うのは理解できるな。但し、学者に拠ってはハナダイ亜科に含めないという。
「雌は赤く、背中に暗い斑紋があり、雄は腹の部分が赤紫を帯びて頭部に黄色い筋模様が走り派手派手しい。」とあるから、今回の奴は紛うこと無き雄ですな。

魚貝の物知り度は、★★★★となっていて、知っていたら達人級なんだそうだ。ワシが知らんかったのも納得だすよ。
味の評価度は、★★★で美味となっていた。ちなみに★4つ以上だと非常に美味という評価になる。

〈漢字〉
赤斑魚、赤伊佐木、赤伊佐磯

〈棲息域と分布〉
海水魚。水深40〜302mの大陸棚縁辺の岩礁域。
兵庫県香住から九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、伊豆半島・伊豆諸島、相模湾〜九州南岸の太平洋沿岸、宮古、八重山諸島。海外では、済州島、台湾、オーストラリア東岸・西岸、ハワイ諸島、チリに分布するとされる。
やはり南方系の魚でした。ここに表記されてない千葉県で獲れてるって事は、やはり地球温暖化のせい?

〈漁法〉
延縄や底引き網、釣りなどで漁獲されているが、本種を狙った漁は行われてはおらず、混獲されているに過ぎないそうだ。従って加工品も無いし、名産とする土地もないみたい。
むしろ釣りで獲られる事が多く、釣り人にはマダイ釣りの外道として、よく知られているそうだ。

〈市場での評価〉
相模湾以南の太平洋側に多い魚だが、専門に狙う漁はなく入荷量は少ない。派手な色合いが嫌われてあまり値段のつかない魚のようだ。しかし、関東では色合いの美しさから値段はやや高値で安定しているという。

〈旬の時期〉
通年漁獲されているようで『市場魚貝類図鑑』には、寒い時期とあった。多くの魚と同じように、旬はやはり脂がのった冬と云うワケだね。
しかし、別な意見もある。この魚、あまり脂がのらず、年間を通してそれほど味は変わらないとも言われ、むしろ市場には夏の方が沢山並ぶそうだ。ゆえに夏が旬だという。また、旬のわかりづらい魚であるとの意見もあった。

旬よりも「この魚、あまり脂がのらない」と云う件(くだり)の方が気に掛かった。そっか…、奇しくも胡麻油を使ったから脂分が補われて美味しかったのね。

〈食べ方・料理法〉
ソテー(ポワレ、バター焼き)、蒸す(剁辣椒蒸、酒蒸)、煮る(煮つけ)、汁もの(潮汁、味噌汁)、焼く(塩焼き)。

調べると、味の評価はバラバラな印象だ。

バター焼き。
「それほど旨味のある魚ではない。バターでソテーして香ばしさを出し、マーガリン(バター)などで油分、風味を加えると味が豊かになる。」
どうやらこの魚は、油を上手く使って調理するのがコツみたいだ。

煮付け。
文句なしに旨いという意見もあれば、そうでもないような意見もあった。

塩焼き。
これこそ、評価が真っ二つ。
「比較的脂の乗りの悪い魚なので焼くと少しパサつく。それを考えても余りあるのが皮の風味。マダイやアマダイに似た味わいがある。」
「姿がタイに負けず劣らず美しい。その上、身がしっとりしていて、身離れがよく、ビックリするくらいにうまい。」
「水分が多くて、焼くと身がカチカチになる。」

塩を振って暫くおいていたから、適度に水分が外に抜けて旨くなったのかもしれないね。

アカイサキの刺身。
「身は滑らかな舌触りで甘味が感じられる。脂も微かにあっておいしい。」
反対に、刺身に関しては淡白で上品ではあるが、旨味に欠けるという意見もあった。
(ب_ب)どっちやねん❓旨いか不味いかワカランわい。

アカイサキの焼霜造り。
「アカイサキのうま味は皮にあり、また皮下の身が一番うまい。」
やはり、皮目が旨いのね。他に皮を炙って握り寿司にすると、絶品との声もあった。

皮霜造り。
似ているが、こちらは皮目に布巾を被せて熱湯をかけ、氷水で締める。
「皮目の赤い色合いが綺麗だし、皮のゼラチン質の食感と甘みが平凡なネタを一級に格上げして、主役級になる。」と云う絶賛してるコメントがあった。
やっぱ、皮が美味しさの重要なファクターのようだね。

アカイサキの味噌汁
「身は痩せるが、良い出汁が出る。」

何か全体的にどっちつかずで、美味いのか不味いのかワカランとこがあるよね。オイラは旨いと思ったけどさ。

そういえば若い頃に、どっちつかずの、かわい子ちゃんっていたな。性格が悪い性悪女ってワケじゃなかったけど、奴を選ぶか、オラを選ぶかハッキリせえやって感じだった。何か河合奈保子の『けんかをやめて』という曲を思い出したわ。
歌詞を口ずさんだら、段々、腹立ってきたよ。(-_-メ)何様やねん!
結果❓ 結果ねぇー、結局オイラが振られましたよ(ToT)
それでまた思い出した。性悪女に天秤にかけられた事もあったわ。1ヶ月後に答えを出すとか言われたんだよね。コチラを徹底的に苦しめて、あげくコントロール下におこうってワケだ。でも、コチラの嫉妬心を煽るためだと読んでいたから、戻って来た時に、その場でバッサリ切ってやったよ。あの時の、彼女の驚愕の表情は今でも忘れられない。恋愛は策に溺れ過ぎてもイカンのだよ、ワトソンくん。
あっ、そんな事、どうでもいいよね。

とにかく、赤イサキを見つけたら、チャレンジしてみては❓
マズくても責任もたないけどさ。

最後に地方名を並べて終わろう。

〈地方名・市場名〉
アカタルミ(和歌山県田辺)、チギノメンドリ、ミハラハナダイ(八丈島)、イサキ(小笠原諸島)、アカマジャー(沖縄県南城市)、ハマイッサキ(福岡県津屋崎)、シマシマ(福岡県福岡市)、カライッサキ(長崎県壱岐)、クマゾメ(静岡県網代)、アカアブラメ(鹿児島県)、サクラダイ(高知県宿毛市・愛媛県宇和郡)、キンギョ(山口県下関市)、ヒコシロ(高知県室戸市)、アカイサギ アカイッサキ アカイセギ(神奈川県三崎・江ノ島・小田原、高知県御畳瀬、長崎県壱岐)、アカゴウシタメ(静岡県静浦)。

ホント、魚介類の名前には地方名が有り過ぎるよね。
イカとかも同じ名前なのに、違う種類のイカのことを指していたりするから、頭の中がウニュウニュになることがある。
時に、ややこしいから統一すればあ❓とも思う。だが、地方名にはそれぞれに名の由来があり、また味わいもある。何でもかんでも効率的にしたがるのは現代人や都会人の悪いクセで。エゴだ。統一なんかしたら、つまらない。地方の文化もあってこその多様性だ。色々あった方が愉しい。

                        おしまい

  
追伸
こういう後から本質に迫ってゆくと云うパターンは、今まで有りそうで無かったかもしんない。
また、使おっと。