邂逅の生しらす丼

 
イオン系のスーパーKOHYOHで、大阪湾で今朝水揚げされた生シラスが売っていた。
見たところ新鮮で、かなりモノは良さそうだ。

だが、生シラスにはあまり良い印象を持っていない。
何度かチャレンジしたが、生臭かったり、苦味が強かったりして、いつもガッカリな結果だったからだ。
値段は税別298円。高いのか安いのかよく分からないが、買うことにした。

洗うかどうか迷ったが、旨味まで流してしまいそうで溜まった汁を切るのみにとどめた。
ご飯を炊き、そこに市販の紅生姜の残り汁を加え、何ちゃって酢飯的なものをつくる。この残り汁があってこその生シラスの購入だった。何となく、コレ何かに使えんじゃね❓という意識が底辺にあったのである。

人肌に冷ましたところで丼に盛り、生シラスを乗せる。
メディアなど過去に見てきた生シラス丼の記憶を思い起こし、取り敢えず青ネギを乗せてみた。

 

 
でも何か足りないと思った。見た目があまりに素っ気ない。
そういえば卵黄とか温泉玉子が乗っていたなと思い出すが、生のシラスを楽しむためには邪道だなと思った。味見して必要とあらば、投与すればよい。
なワケで、白胡麻を散らしてみた。

 

 
少し見栄えが良くなったが、それでも素っ気ない。臭み抜きのおろし生姜も考えたが、それもダメなら後から投与でもいいだろう。この際、旨く食うとかは二の次である。先ずは素材のポテンシャルを知りたい。

 

 
ややさみしい気もするが、素材が良ければシンプル・ザ・ベストだろう。
次なる問題点は、最後に醤油をかけるか、ポン酢をかけるかであった。人生は、日常であっても常に選択の連続である。

暫し沈思黙考後、やおらポン酢に手を伸ばす。
銘柄は関西人に昔から愛されておる『旭ポン酢』である。

 
【旭ポンズ】

  
一周まわって、これに回帰した。思えば長い旅路だったよ。10年ちょっとかかって戻ってきた。ある瞬間から、急に酸味がキツいと感じるようになったのである。それ以来、敬遠していたのだ。人生は長い旅路だ。そうゆうこともある。昔付き合ってた女とヨリを戻したりとかさ。
そんな事は、どうでもよろし。話はシラス丼なのだ。
エイとばかり、かっ込む。口いっぱいに頬張り、噛んでいると、奥から生シラスの旨味が立ち上がってきた。

これって、(☆▽☆)美味いかも。
やや苦味はあるものの、その苦味がかえって良いアクセントになっている。紅生姜ご飯との相性もいい。

途中で、おろし生姜を投入。
うん、生姜のエッジが効いてて、これまた旨い(☆▽☆)
でも、生シラスの個性は少し弱まる。ここは評価の分かれるところだろう。素材をダイレクトに楽しむ人からみれば、生姜は邪魔だと言うかもしれない。
まあ、どっちも美味いだから、ええんでねえのとは思うけど。

これで、生シラスに対する悪いイメージが払拭された。邂逅だ。生シラスくん、今まで誤解してて悪かったね。握手をしよう。また朝獲りの生シラスが売ってたら、必ずや買うよ。

翌日、またスーパーKOHYOHに行ったら、生シラスではないが「シラス丼」が半額になっていた。
199円(税別)だったから、つい買ってしまった。奇しくも二日続けてのシラス丼である。

 

 
ご飯の上に錦糸玉子、釜揚げシラス、ネギ、温泉玉子が乗っかっている。そして大好きなイクラちゃんが散らされている。
昨日、生シラス丼でググったら、大方には温泉玉子が乗っかっとった。どうやら生シラス丼も釜揚げシラス丼も温泉玉子トッピングが定番のようだ。
この何でもかんでも温泉玉子を乗せときゃいいやと云う風潮、正直疑問だよなあ。
そこには「温泉玉子が乗っかってるのに対して文句言う奴はいないだろう、温泉玉子、好きだろ?萌えるだろ?どうせオマエらなんぞ味音痴なんだから、温泉玉子さえあったら満足でしょうが。」という売る側の欺瞞と驕りを感じるのさ。だいたい温泉玉子を乗せときゃ、大概のもんは旨くなるのである。温泉玉子は大好きだけど、何かバカにされてる気もするんだよね。

添付の「ゆずポン酢」をかける。やはりシラスにポン酢は正解だったのね。
取り敢えずは温泉玉子を潰さずに食べてみる。

(•‿•)安心、安定に美味いねっ。生シラスと比べて、全くクセがない。誰が食っても旨いと言いそうな味だ。どうせ彩りのために入れとるんやろと思っていたイクラが意外と効いている。発想に無かったけど、有りだな。

半分ほど食べたところで、温泉玉子を潰してザックリ混ぜ合わせて食べてみる。
う〜ん、何とも言えないなあ…。勿論マズくはなくて、それなりに旨いんだけど、シラスの存在が消えかかっとる。温泉玉子の個性が強過ぎるのだ。
個人的な見解としては、生でも何でもシラス丼には温泉玉子は要らないと思う。
ワタシャ、もはや生シラスと邂逅したのだ。釜揚げであろうと何であろうと、シラスの個性を消す温泉玉子は排斥する。
それが、シラスとの友情ってもんだろ。

                       おしまい