2020’カトカラ三年生 其の四 第三章

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  vol.27 ヨシノキシタバ 解説編

   『全ての物事は連結する』

 
【ヨシノキシタバ Catocala connexa ♂】


(2020.8.25 奈良県吉野郡)

 


(2020.8.9 長野県木曽町)

 
前翅のメリハリがやや発達した♀に似たタイプもいる。

 

(2020.9.5 長野県松本市)

 
詳細に見れば、♂でも前翅の細かいバリエーションが結構あるのかもしれない。もっと沢山採らないとワカンナイけどさ。

 

(2020.8.9 長野県木曽町)


(2020.8.25 奈良県吉野郡)

 
水銀灯の光の下で見ると、♂はかなり前翅が茶色っぽく見える。また鮮度が良いものは黄色みがあるような気がする。そんなに数は見てないから、あくまでも印象レベルだけど…。とはいえ、こうゆう黄色みを帯びた前翅のカトカラは他にいないので、慣れれば一発でヨシノだと分かるようになる。

 
【同♀】

(2020.8.25 奈良県吉野郡)


(2020.8.25 奈良県吉野郡)

 

(2020.9.5 長野県松本市)


(2020.9.5 長野県松本市)

 

(2020.8.25 奈良県吉野郡)

 
♀は前翅の柄に美しいメリハリがあり、時に強く白化する。♀は見た目か♂とは全然違うのだ。こうゆう雌雄の斑紋様式が異なるカトカラは唯一ヨシノだけである。ミヤマキシタバなんかも前翅で見分けられるが(♀の斑紋のメリハリが強い)、ここまで雌雄が異質ではないので、唯一と言っても差し支えないだろう。
♂の前翅は細く、一様に淡暗褐色で斑紋が明瞭でないが、♀の前翅は幅が広く、中央部は白化して横線などの斑紋が明瞭になり、前剣紋も明瞭となる。
とはいえ、♀には変異の幅が結構あって、前翅の色彩やメリハリの強さに差がある。『日本のCatocala』によれば、♀にもメリハリが無いものもいるそうだから判別には注意が必要。
また、珠にゴマシオキシタバにも前翅のメリハリがそれなりにある奴がいるので、コチラも注意が必要である。自分も野外で一、ニ度見間違えた事がある。ゴマシオの記録の中にヨシノが混じっている可能性を示唆している文献もあるくらいだから、間違う人は結構いるのかもしれない。とはいえ捕獲して間近に見れば、間違う事はないというレベルだ。特に写真をやりはる人は、予断で決めつけると恥かきまっせ。くれぐれも、お気をつけあそばせ。

後翅は中央黒帯と外縁黒帯が2ヶ所で繋がり、翅頂の黃紋は明瞭。腹部は、やや黄色みを帯びた淡褐色である。

 
【裏面♀】

 
【裏面♂】

 
♂の画像の後翅の黒帯が細いが、たまたまだろう。沢山の個体を見たワケではないので断言は出来ないが、雌雄の判別には使えなさそうだ。

 


(出典『日本のCatocala』)

 
この一番下の『日本のCatocala』の裏面画像は、意外にもキシタバ(C.patala)の裏面と似ているようにも見える。
一応、確認しとくか。

 
(キシタバ裏面)

(出典『日本のCatocala』)

 
やっぱ柄は似てるわ。まさかである。両種は大きさも翅形も違うから、今まで似てるだなんて概念は全く頭に無かったのだ。違和感もあって、ちょっと驚いたよ(コレが後々、色んな問題に繋がるがキッカケになった)。

自分で展翅した奴は、もっと似てるかも。

 

(2019.6月)

 
両者とも後翅の真ん中の帯が下部でU字型にならなくて、内側の黒帯を欠く。また前翅中央の黒帯の形と太さも似ているし、翅頂の黄紋が下に流れて帯状になっているのも同じ傾向だ。

ちなみに表側は全然似てない。デカくてデブだから間違えようがない。

 

(2019.6月)

 
『日本のCatocala』の図版には、ヨシノとキシタバの標本画像が並んで載せられている。まさかの近縁関係にあるの❓

かと思いきや、他人の空似でやんした。DNA解析の結果を調べてみたら、系統は全く違う。又しても何か頭を悩ますような事が起きるんじゃないかと思ってたから、ε-(´∀`*)ホッとしたよ。でも何にも起こらんのもツマランような気がしないでもない。

 
【変異】

前翅が著しく黒化するものが知られている。

 


(出典『世界のカトカラ』)

 
ハッキリ言って、ヨシノ独特の美しさが消えてしまってる。
こんなの採れても、あんまり嬉しくないや。
とはいえ、標本がある程度揃ってきたら欲しくなるんだろなあ…。ヨシノはバリエーション多そうだしね。特に一番下のタイプなんかは、ちょっと蝶のダンフォルディーフタオっぽくてカッコイイから欲しいかも。いや、とっても欲しい(☆▽☆)

 
(Charaxes durnfordi ダンフォルディーフタオ ♂)

(裏面)

 

(2015.5月 マレー半島南部)

 
蛮王ダンフォルディーについては過去に書いた事かあるから、興味のある人は探してね。
あっ、でもこのワードプレスのブログじゃないや。書いたのはアメブロの方かも…。

確認したら、やっぱりそうだった。
「蝶に魅せられた旅人 ダンフォルディーフタオ」で検索すればヒットします。東南アジア蝶紀行『熱帯の憂鬱、ときどき微笑』と云う連載の中に何編か書いた憶えがある。『発作的台湾蝶紀行』の連載にも登場したかな。あとは『新たなる覇王の降臨』と題して、新亜種についても書いてる筈だ。他にもラノーンのゴッドフレイワモンチョウの話の中で書いたような気もするけど、どうだったっけ❓思い出せないや。

 
【雌雄の判別】

既に前翅で区別できることは書いたが、色彩にメリハリの無い分かり辛いモノもいるようなので、決定的な判別方法を書いておきます。

 
(♀裏面)

 
ズバリ裏面である。
とゆうか、腹部の尻先である。ここに♀は上の画像のように縦にスリットが入っている。プラスそこに黄色い産卵管が見えていたら、間違いなく♀である。また♀は♂よりも腹部が太くて短かいものが多い。

 

 
(♂裏面)

 
このように♂には、尻先にスリットが入らない。
また腹部が細くて長い。そして尻先に毛束がある。この為、♂は尻先が丸くなる。一方♀は毛が少ないので、尖って見える傾向がある。

腹の太さと長さは横から見た方が分かり易いかもしれない。

 

 
♂の方が腹部が長いことがよく解るかと思う。
まあ前翅の表側で、大体ワカルんだけどさ。そうゆう意味ではカトカラの中で雌雄の判別が一番簡単な種かもしれない。有り難いことだ。アズミキシタバなんてワケわからんもんな。

 
【学名】Catocala connexa Butler, 1881

属名の「Catocala(カトカラ)」はギリシャ語由来で、kato(下)とkalos(美しい)という2つの言葉を繋ぎ合わせた造語。つまり下翅が美しいことを表している。
小種名の”connexa”はラテン語で「結合された、連結された、関連づけられた」といった意味のようである。
多分ここから派生して、英語の”Connection”や”Connect”などに変化していったのだろう。
それで思い出したけど、カトカラの英名は「UNDERWING」。下翅が特徴的だから英語でも「シタバ(下羽)」なんだね。各種の英語名は、この”UNDERWING”の前に某(なにがし)かのその種の特徴を表す言葉が付けられる。例えばムラサキシタバなんかだと「BLUE UNDERWING」となる。
だがヨシノキシタバに英名はないようだ。付けるとしたら、さしづめ「CHAIN UNDERWING」とでもなるんだろうね。でもアミメキシタバの回でも同じようなこと書いた気がするぞ。

おそらく”connexa”と命名した由来は下翅の黒帯が繋がってるからなんだろうけど、そんなカトカラは他に幾つもいる。だから特別感はあまり無い。正直、残念な学名だ。

 
【和名】

和名の由来は最初に奈良県の吉野で発見されたからだろう。
あまりいい加減な事も書けないので、念の為に調べておくことにした。

結果は、やはりそうだった。本種に対して一時用いられていた学名「Catocala rutha Wileman, 1911」はシノニム(同物異名)になって消えてしまったのだが、その”rutha”の模式産地(タイプ標本)が奈良県の吉野で採集されたものなんだそうな。ゆえにヨシノキシタバになったものと思われる。
和名は好き。関西人ゆえに吉野には特別な思い入れがあるのだ。吉野といえば、桜だし、歴史上に度々登場する土地だからね。柿の葉寿司も旨いし(笑)。
そういやお姉ちゃんと桜の時期に泊まったことがあるなあ…。山が淡い薄紅色にぼわっと霞が掛かったような光景には風情がある。吉野の桜はソメイヨシノじゃなくてヤマザクラだから派手ではないけれど、趣きがあるんだよね。最近は歳くったせいか、山桜の方が美しいと感じるようになってきた。来年はコロナ騒動がおさまって、通常の春になればと願う。

 
【旧名,別名,害虫名,同定ミスなど】

ネットの『みんなで作る日本産蛾類図鑑』の「旧名,別名,害虫名,同定ミス」の欄に「ハイイロキシタバ」とあった。聞き慣れない名前だし、何じゃそりゃ❓である。
でも何の説明もないし、ナゼに灰色なのかも全然もってワカラン。そもそも灰色というよりも茶色じゃないか。あっ、それは♂か。♀なら灰色と言えなくもないか…。にしても片方だけが灰色で「ハイイロ」と名付けるのは問題ありでしょうよ。だいち前翅が灰色のカトカラは他に幾つもいるぞ。ベニシタバやムラサキシタバなんかの方が余っぽど灰色じゃないか。

 
(ベニシタバ)

(2019.9.3 岐阜県高山市 新穂高)

 
(ムラサキシタバ)

(2019.9 長野県松本市)

 
コヤツらは雌雄ともに灰色だしね。とはいえ、コレらにハイイロキシタバなんて付けたら、アホである。オラじゃなくともボロカスだろう。
兎に角そんな和名じゃなくて、ヨシノキシタバで良かったよ。
そういや同じサイトのヒメシロシタバの別名欄に「ヨシノキシタバ」とあったなあ…。勿論、コチラも何の説明もない。カトカラ各種をググッたら、このサイトが必ず上位に出てくるのだが、このようなワケワカラン記述や間違いも多い。みんなで作るって言ってんだから、誰か周りが指摘せえよと思うのだが、アップグレードされてる形跡は全くない。間違った情報を信じ込む人もいるだろうから、マジで何とかした方がいいと思いまっせ。

と、ここまで書いて「ハイイロキシタバ」に関する文献を見つけてしまった。(;´д`)トホホ、要らぬもんを見つけてしまったなりよ。ラビリンスの予感バリバリだ。どうせパンドラの匣に決まってる。開けたらロクな事がないだろう。
チラッと見たけど難解そうだし、それについて書くとなると大変そうだ。長くなりそうなので、コレについては後で検証して末尾の註釈欄にでも書きます。

 
【亜種と近縁種】

国外では中国に分布するとされ、湖南省から記録されている。だが同一種なのかどうかは不明だという。なぜ不明なのかは不明だよ(笑)。でもそこは深堀りしない。ってゆっか、これ以上調べようがないのでスルーなのだ。ただ思うに、そんなの別種とちゃいまんのん❓湖南省は日本から遠いぞ。

Wikipediaによると、シノニム(同物異名)に以下のようなものがあるみたい。

・Ephesia connexa
・Catocala rutha Wileman, 1911

下は吉野で見つかったヤツだね。
ruthaの語源は人名かな❓ ルーサという女性名っぽい。
待てよ、もし中国のものが別種ならば、ヨシノの学名はコレに変わるのか❓それとも、このままなの❓
一応、ruthaの語源を調べとくか。

ググったら、「ヘブライ語の哀れみ深い友情、情、同情、憐れみ、慈悲、不憫、後悔」とゆうのが出てきた。ラテン語じゃなくてヘブライ語❓毎度のラビリンスの予感である。
もしかして元々は”ruth”で、女性名詞の末尾変化で「a」が付加されたのかな❓
一応、ruthでも調べてみよう。

すると出てきたのが「旧約聖書に登場する女性名 Ruth(ルツ)、ボアズの妻、ナオミの義理の娘、ダビデの先祖」と書かれていた。ダビデ以外はよくワカランが、それなりに高貴な感じではある。ちなみに、残念ながらナオミと云う名前の女と付き合ったことはない。しまった、またどうでもいい事を書いてしまった。アタマの中が痒くなるわ。
“connexa”よか”rutha”の方が語源的にはまだしもマシな学名かな。コレが由来なのかはワカランけどね。

参考までに言っとくと、幼虫の食餌植物が同じで、近縁種と思われがちなゴマシオキシタバ(C.nubila)との類縁関係は認められないようだ。

 
(ゴマシオキシタバ Catocala nubila ♀)

(2020.7 長野県白馬村)

 
(同♂)

(2020.8.8 長野県松本市)

 
下の♂は触角を真っ直ぐするのにも飽きてきたので、久し振りの前脚出しいのの、弓なり怒髪天の鬼👹仕様にしてやったわい。原点回帰。蛾は邪悪だからと、最初の頃はこうゆう感じにしていたのだ。コレからは二刀流でいこっかなあ…。

一応、DNA解析も見ておくか。

 

(出典『Bio One complete』)

 
ヨシノは単系統で、他種とはクラスターを形成しておらず、類縁関係のあるカトカラは日本にはいないようだ。
海外に近いものがいるかもと思って探してみたが、見た目で近縁種と言えるものはいなさそうだった。思ってた以上に特異な種なのかもしれない。

 
【開張(mm)】

『原色日本産蛾類図鑑』では、55〜65mm。ネットの『みんなで作る日本産蛾類図鑑』では、50〜57mm。『日本産蛾類標準図鑑』では、52〜58mm内外となっていた。
『原色日本産蛾類図鑑』は古い図鑑なので、65mmというのは無視してもいいだろう。それくらいの大きさのキシタバ類となると、クロシオキシタバ級の大きさになるからね。とはいえ、絶対デカいのがいないとは断言は出来ないけどさ。逆にむしろいて欲しいくらいだ。ナマリキシタバにしろ、このヨシノにしろ、大きさ的には物足りなさを感じてる。前翅がメチャメチャ格好良いだけに惜しいと思うのだ。

 
【分布】 北海道、本州、四国、九州


(出典『日本のCatocala』)

 

(出典『世界のカトカラ』)

 
上が分布域図で下が県別の分布図である。
稀種のイメージがあるが、こうして改めて見ると割りと満遍なく記録があるんだね。北海道は南西部にしかいなくて、茨城辺りから愛知県にかけての太平洋側に空白地帯があるんだね。北海道なんかは全道にいるとばかり思ってたから、正直なところ県別の分布図には問題ありだと思う。御世話になってる石塚さんには申し訳ないけど、改善の余地ありなんじゃなかろうか。

九州産は本州産と比べて一回り大型だと言われる。また♀の変異が多いことに加え、そのハデハデしさが強烈らしい。
たぶん、こうゆうタイプの事を言ってるんだろね。

 

(2020.8.25 奈良県吉野郡)

 

(出典『日本産蛾類標準図鑑)

 
上のものの展翅画像はない。なぜなら下翅が破れてたし、その日は最後に完品の♀が採れたので藤岡くんに進呈したのだ。今にして思えば惜しいが、別に懇願されて渋々譲ったワケではなくて、自主的にあげたものだから後悔はしてない。後悔はしてないけど、勿体なかったかもなあ…。だって初めて肉眼で見た♀だったんだもん。だからそれがノーマルタイプで、むしろ最後に採れたものがレアなタイプだと思ったのだ。ゆえに、こうゆう奴は後々いくらでも採れると思っちゃったのさ。我ながら、おバカである。

都道府県別の分布図だと、近畿地方では大阪府と京都府以外に記録がある。京都府は北部にはブナ林があるから発見される可能性は高そうだ。大阪府は北部の妙見山、南部の金剛山や和泉葛城山、大和葛城山にブナ林があるから、見つかる可能性はゼロではないだろう。
とはいえ、今のところ近畿では全般的に分布は局所的で狭い。兵庫県は氷ノ山周辺の山地帯のみにしか記録がないし、紀伊半島南部では一部に残されたブナ林でしか採集記録がない。また個体数も少なく、ゴマシオが灯火に多数飛来するような時でないと採集は難しいと言われている。
記録が少ないゆえか、近畿では樹液に集まるかどうかは不明。噂でも聞いた事がないし、糖蜜もまだ一度も試してない。奈良県吉野郡のポイントは周りが金網付きの崖で、糖蜜を噴きつけるのに適した場所が無かったのだ。

四国では全県に記録があり、中央山地の標高1000m以上のブナ林帯に分布している。
興味深い記述が『高知の自然 Nature Column In Kochi』というブログにあったので、以下に抜粋しよう。

「時には二桁灯火に飛来することもある普通種である。
しかし、標高の低い500mほどの地点でも少ないながら見つかるので、ブナ林から下って移動してきたものと思っていた。
今回発見した場所も標高500mほどの山の中腹である。しかし山頂は800mもなく、ブナはないと思われる。従ってヨシノキシタバはブナ以外の植物も食べている可能性が出てきた。周辺に1000m以上のブナのある山も見あたらないので中央山地から移動してきたとも考えにくい。クロシオキシタバのような移動力があるのだろうか。
この地では初めての発見で、しかも1頭のみなので何ともいえないが、今後注目していく必要を感じた。この山にブナはあるのか調べてみようと思う。(撮影:越知町 2009.7.30)」

四国ではヨシノが普通種だと云うのは驚きだね。しかも標高の低い所でも得られており、別な食樹を利用している可能性まで示唆されている。
俄かには信じ難いので、もしかしたらゴマシオと間違ってんじゃねーの❓と思った。ゴマシオとヨシノとを同定間違いするケースはあるからさ。それにゴマシオはヨシノと同じく食樹はブナだけど、飛翔力があってブナ林から遠く離れた場所でも見つかるからね。
添付されている画像を今一度見てみる。

 

(出典『高知の自然』)

 
茶色いからゴマシオではないね。
でも一瞬、ホントにヨシノ❓というような前翅にメリハリの無い個体画像だが、仔細に見るとヨシノの♂っぽいような気がする。でも黄色っぽくないなあ…。今ひとつピント合ってないしさ。まさかアミメじゃないよね❓でもこの方の文章の内容や言い回しからすれば、どう考えてもド素人にはみえない。同定間違いをするとは思えないのだ。信じよう。
ヨシノだとすれば、コレは生態を改めて考え直す必要性があるかもしれない。後述するが、ヨシノは移動性が低い種だと考えられているからね。

順番が逆になったが、中部地方と関東北部には記録が多い。北陸地方にもそれなりに記録がある。但し豊産すると言われるような産地はないようだ。昔は群馬県の土合で大量に採れたそうだが、今では昔日の面影はないという。
東北地方の記録はそう多くない。だがコレは愛好者が少なくて調査が進んでないせいなのかもしれない。
世界遺産の秋田県白神山地のブナ林には多産はしないのかな❓あまり話は聞かないけど、実際のところどうなのだろう❓豊かなブナ林があるからといって、絶対に生息するとは限らないからね。蝶でも生息条件が揃っているように見えるのに何故か居ない地域はある。理由が絶対ある筈なのに説明不能で、ミステリアスとしか言えない場所が厳然としてあるのだ。生物はとても繊細で、人間が思ってるほど単純ではないのである。

 
【レッドデータブック】

環境省:準絶滅危惧種(NT)
宮城県:準絶滅危惧種(NT)
奈良県:準絶滅危惧種(NT)
兵庫県:Cランク(少ない種・特殊環境の種など)
島根県:情報不足

少ない種だから、もうちょっと指定されても良さそうなものなのにね。人気種のカトカラといえども所詮は蛾なんで迫害されてるのやもしれぬ。

 
【成虫の出現期】

7月下旬から10月中旬まで見られる。
そういや当初は図鑑など多くの文献が「盛夏に現れる」とかアバウトなものばかりで、いつが出始めなのか判断に困った事を思い出したよ。
ネットの『ギャラリー・カトカラ全集』によると新鮮な個体が得られるのは8月までと書いてある。だが『日本のCatocala』には10月になっても新鮮な個体が燈火に飛来すると書いてあった。これはブナ林の芽吹きが積雪量に強く影響されるからだという。積雪の多い地域では芽吹きが場所によりかなりバラつきがあり、孵化期もそれに伴うからだそうだ。

 
【成虫の生態】

『日本のCatocala』によれば、奥只見で羽化直後のものがヤナギ類の樹液を吸汁しているのが観察されている。しかし個体数と比較して樹液への飛来数は少ないようだ。また吸汁時間帯も日没直後の短時間のみだという。そういえば東日本で糖蜜トラップで採集されたという話を聞いた事がない。樹液にロクに寄って来ないものが糖蜜に来るワケがないと考えられてて、試す人が少ないのかもしれない。或いは試したが全然寄って来なかったという情報が広く流布されているのかもしれない。
しかし、自分の糖蜜にはシッカリ誘引された。
日付は2020年の9月5日。場所は長野県松本市の標高1500m付近。天候は曇り時々晴れ。月齢は17(大潮)。飛来時間はハッキリとは憶えていないが、日没直後ではなかった事だけは確かだ。たぶん午後九時から十時半くらいまでの間だったと思う。そういや採り逃したけど、もう1♀も飛来したな。と云うことはマグレではないという事だ。ヨシノは糖蜜でも採れまっせ〜(・∀・)V
一方、近畿地方以西では岡山県などで糖蜜採集で捕獲できるという。ただ西尾さんも噂話として書いておられるだけだから真偽の程はわからない。少なくとも自分は具体的な話を誰からも聞いた事がないけどね。
どちらにせよ、個体数が少ないとされるカトカラだから、糖蜜採集には向いてない種なのかもしれない。但し個体数が少ないとされるカバフキシタバが糖蜜に一晩で17頭も来た事もあるゆえ、本当のところは分からない。或いはブナ林の中や林縁で撒けば、意外とタコ採りできるかもしれない。

灯火には全国どこでも飛来するようだ。しかし食樹が同じゴマシオキシタバ(C.nubilla)と比べて飛来する数は遥かに少ない。ゴマシオが数十頭に対して1頭くらいの割合でしか会えないと言われている。個人的な見解としてはゴマシオが減っているという噂もあるし、そこまでの比率差はないように思う。にしてもゴマシオより少ないのは確かだし、ゴマシオは飛んて来てもヨシノはやって来ないと云うケースはよくある。
飛来する時間帯は特に突出した傾向はないようだ。日没直後には見た事はないが、8時過ぎくらいから午前2時の間でポツポツ見ている。一応、参考までに大まかな時間を記録しておいたものだけを列記しておく。

8月9日  午後8:15
8月25日 午後9:50、午後11:00、午前1:50
9月5日  午後10:50
9月6日  午後11:30

図鑑等に拠れば、ゴマシオキシタバは発生期後半の9月〜10月になると、発生地のブナ林から遠く離れた場所でも採集されるが、ヨシノは殆んど捕獲されていないそうだ。おそらく移動性は強くない種なのだろう。そう自分も考えていた。しかし前述したように四国ではブナのない低標高地でも見つかっている。食樹も含め、再検討の余地はあるかもしれない。

成虫は昼間、頭を下にして樹幹に静止している。小太郎くんの話によると、ブナ林で見た時はゴマシオと比べて遥かに敏感だったそうな。すぐ飛んで逃げて見失い、採集は困難とのこと。またゴマシオと比べて個体数は遥かに少なかったそうだ。何が原因で、そんなに個体数に差がでるのだろう❓
考えてみたけど、全然もってワカラン。

交尾は午後11時から午前2時の間で観察されている。ただし飼育下での事のようだ。
野外での産卵の観察例は調べた限りでは見つけられなかった。

 
【幼虫の食餌植物】 ブナ科 ブナ属:ブナ

(ブナの葉)

(出典『あきた森づくり活動サポートセンター』)

 
(ブナの樹幹)

(出典『Wikipedia』)

 
(ブナの分布図)

(出典『植物社会学ルルベデータベースに基づく植物分布図』)

 
おぉー、予想はしてたがヨシノキシタバの分布域図とほぼピッタリではないか。よくヨシノは北方系のカトカラだと書かれてあるが、コレを見ると北方系のカトカラというよりも、冷温帯のカトカラとする方が的を得ているのではあるまいか。

おそらくブナを食樹とするフジミドリシジミとも分布は重なるのだろう。

 
(フジミドリシジミ)

(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

 
この際だからフジミドリの分布図も確認しておこう。

 

(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

 
コチラも見事なまでにブナの分布図と重なるではないか。
もちろんヨシノの分布とも重なるワケだから、フジミドリの産地で灯火採集すれば採れるんじゃね❓
関西だとヒサマツミドリシジミの産地として有名な兵庫県三川山や京都の杉峠、滋賀の比良山なんかはフジもいるから、採りに行ったついでにナイターすれば得られるかもしんないね。
カトカラ類はゼフィルス(ミドリシジミの仲間)と食樹がカブるものが多い。それらゼフィルスの産地でお目当てのカトカラを探せば、意外と簡単に新たな産地が見つかるんではないかなと思ったりもする。

因みにブナの近縁種であるイヌブナからの幼虫の発見例は無いようだ。フジミドリはイヌブナも利用しているから可能性は有りそうなのにね。まあ、そのうち見つかるかもしんないけど。

西尾氏が長野県上田市でクヌギを与えてみたが、代用食にはならなかったそうだ。但し「地域によっては代用になるかもしれない」とも書いておられる。
氏はイヌブナを試してみた事は無いのかな❓

 
【幼生期の生態】

(卵)


(出典『日本のCatocala』)

 

(出典『flickeriver by kobunny』)

 
卵は、まんじゅう型で小型。環状隆起は1重だが発達は弱く、認められない場合もある。形態的に似ているのはヤクシマヒメキシタバだが、横隆起状は細かくて皺状で、間隔が広くて明瞭だという。

孵化はブナの芽吹きに左右され、かなりバラツキかある。雪解けの早い場所と吹き溜まりなど雪が残る場所とではブナの芽吹く時期がズレるからのようだ。

 
(初齢幼虫)

(2齢幼虫)

(出典『日本のCatocala』)

 
幼虫は壮齢木から巨樹にまで見られ、大木によくいるそうだ。
昼間、中齢幼虫は葉裏や葉柄、枝先に静止しているという。

 
(終齢幼虫)

 
(終齢幼虫の頭部)

(出典『日本のCatocala』)

 
終齢は6齢で、7月上旬頃に見られる。5〜6齢幼虫は昼間は細枝に静止しており、樹幹にはあまり降りないようである。
幼虫には灰色型と黄緑色の2型がある。黄緑型の個体はゴマシオキシタバに似る。それぞれの型にも色彩の多少の濃淡があり、灰色型の幼虫では白い網目模様が発達する個体がみられる。

一応、ゴマシオキシタバの幼生期と見較べてみよう。

 
(ゴマシオキシタバの卵)

 
(終齢幼虫)

 
(終齢幼虫の頭部)

(出典 以上4点共『日本のCatocala』)

 
顔は違うが、他は確かに似てるね。
DNA解析がされていなかったら、近縁種と考える人もいて当然かもしれない。

蛹に関する生態的知見も見つけられなかった。おそらく地上に降りて落葉の下で蛹化するものと思われる。

                        おしまい

 
註釈を書くために謎のハイイロキシタバの事を追い掛けてたら、大どんでんの驚きの展開になった。でも正直クソ長い。
と云うワケだから、ここまで読んできて疲れた人は一旦休憩しましょうね。もしくは読むのは後日に回しましょうね。

ちょっとブツクサ言わしてもらう。
読む方も大変だろうけど、書いてる方はもっと大変なのだ。
もー(╥﹏╥)、ホント書いてる方はウンザリのゲンナリのグッタリの終わらない無間地獄なのだ。こんな連載なんて始めるんじゃなかったと、つくづく後悔している。勝手に始めといて文句言うなとツッコミが入りそうだけど、もうとてつもなくストレスが溜まっとるのよ。今回は笑いも無いしさ。小ボケの1つもロクにカマしておらんのだ。

 
(註1)ハイイロキシタバ

日本鱗翅学会の会誌『蝶と蛾』の1953年7月号に白井忠治氏が『關西蛾類圖説(1)』と題してヨシノキシタバ、ゴマシオキシタバ、そしてハイイロキシタバの3種について纏めて書いておられる。
相当古い記事なので言い回しが現在とは少し違うし、漢字なんかは旧字だらけだから、読んでると時空を越えた感があって不思議な気分になったよ。古文書好きの人たちの気持ちが何となく解ったような気がするわ。
だいたいは読めるけど、中には首を傾げるような部分もあるから、この先の抜粋した部分は頑張って読んでね。一応、最終的にはチョイと驚きの展開になるゆえ、それまでは我慢して読んでおくんなまし。

 
1,よしのきしたば(新稱(新称?))
Ephesia rutha WILEMAN 1911

■Catocala rutha WILEMAN,Trans.Ent.Soc.Lond,p.239,PL 30.Fig.3.n.sp,(1911)
■Ephesia rutha (WILEMAN),HAMPSON,Cat.Lep, Phal.Vol.XⅡ.pp.146,180(1913)
■Ephesia rutha WILEM.,WARREN cn Seitz,Vol.Ⅲ,p.316(1913).
(■で区切ったが、たぶんコレらは参考文献だと思われる)

威蟲の出現季:8月,10月
國内分布:奈艮縣吉野山,大峯山
分布:日本

種の斑紋解説は難解過ぎて、もうお経の域なので割愛した。
冒頭に下のような各種のデータと図版があったが、図版画像は添付しない。と云うか出来ない。PDFからは物理的に画像を取り込めないのである。それに図版は白黒だ。オマケに画像は小さくて、画質も極めて粗い。どうせ見てもワカラン人だらけだろう。ゴメン。書き疲れて、もう投げやりなのだ。

 
Fig.1. Ephesia rutha WILEMAN, よしのきしたば♀ 奈艮縣吉野山 17.10.1944.
Fig.2,do(同?). ♂ 奈艮縣吉野山 1.10.1943
Fig.3. Ephesia connexa BUTLER はいいろきしたば ♀ 大阪府箕面山 27.8.1939.
Fig.4.do(同?)♂ 大阪府箕面山 27.8.1939
Fig.5. Ephesia nubila BUTLER ごましおきしたば ♀ 奈艮縣吉野山 30.8.1943.

 
解説編で既に触れているが、ヨシノキシタバの最初の学名の小種名は現在の”C.connexa”ではなく、”C.rutha”だったようだ。そして”C.connexa”には「ハイイロキシタバ」なる現在ではほぼ死語になっている和名が宛がわれている。

それはさておき、この時代は和名を平仮名表記してたんだね。そういや江崎さんの『原色日本産蛾類図鑑』も平仮名だったわさ。レトロ感があって、ちょっと新鮮だ。今の時代だと逆にオシャレかもしんない。

種の解説後に附記があった。

(附記1)
本種は吉野山産の1♀ Typeにより學界に發表せられたものであるが其後の報告は恐らく本文が最初であり、然らばFig.1♀は Paratype,Fig.2 ♂はAllotypeとなるわけである。

ここで良い子のために解説をすると、先ず新種を記載する為の基準となる模式標本のことを”holotype”(ホロタイプ)という。そして文中の”paratype”(パラタイプ)とは、従基準標本とか準記載模式標本、副模式標本とか言われるもので、ホロタイプに準ずる標本のことを指す。もしもホロタイプが失われた場合には、このパラタイプがその替わりになるんだったかな。
あと、allotype(アロタイプ)はパラタイプのうちでホロタイプとは異なる性別の標本のことを指す。

(附記2)
既に原著に於て記されたるが如く本種には鑑別を要する近似種として E.connexa BUTLER なる種があり、後者にも又近縁の第3者 E.nubila BUTLER があって、これ等に關しては先識の LEECH,WARREN in Seitz,HAMPSON等の説が必ずしも一致せず初心者をして懊惱せしむる事が多大であった。よって筆者はこの圖説の2と3に於て少しくこれに觸れ先輩の御教示を仰ぎ度いと思う。

補足すると、Fig.2と3はそれぞれヨシノキシタバとハイイロキシタバのことである。
それはそうと、ワイルマンにバトラー、リーチと、古(いにしえ)の錚々たる名前がズラリと並んでいる。蝶屋で、この3人の昆虫学者の名前を知らないとボロカス言われても仕方あるまい。それくらいの存在なのだ。
蝶屋の目線で言うと、バトラーはツマキチョウやウラキンシジミ、ダイセンシジミなどの日本に産する蝶の記載者として知られ、その記載数は21種類にものぼる。またヨシノやカバフキシタバなど日本のカトカラ9種の記載者でもある。なおバトラーについては拙ブログのゴマシオキシタバの回『風のように、雲の如く』と題して書いた文章の中で取り上げた。人物についてはソチラを読んで下され。
リーチは、何といってもギフチョウを最初に記載した人として有名だ。いっぱしの蝶屋ならば、知らない者はいないだろう。たしかミカドアゲハを最初に記載(学名mikadoだっけ…)したのもリーチだったんじゃないかな。たぶんシノニムになってるとは思うけど。あとは珍蝶ゴイシツバメシジミの記載者でもある。カトカラはナマリキシタバ、フシキキシタバ、ウスイロキシタバを記載している。
ワイルマンは日本の蝶だと、先に挙げたミカドアゲハの本土亜種の黃斑型(G.d.albidum(Wileman,1903))にその名があるくらいだが、海外の多くの蝶や蛾を記載している。和名だと台湾のワイルマンシロチョウに、その名が残っている。日本の蛾を幾つか記載しているようだが割愛する。もう完全に脱線しているのだ。これ以上の深堀りは避けねばならぬ。あっ、そうだ。彼はカトカラではヒメシロシタバの記載をしてるんだったね。

前述しているが、ヨシノキシタバの学名の小種名は、この時点では”rutha”だったんだね。そして現在の小種名の”connexa”は次のハイイロキシタバに与えられている。どうゆう経緯で学名が入れ替わったのか探(さぐ)ってゆこう。

 
2,はいいろきしたば
Catocala connexa BUTLER 1881

■Catocala connexa BUTLER,Trans.Ent.Soc.Lond.,p,196(1881)
■Catocala connexa BUTL.,LEECH,Trans.Ent.Soc.Lond.,p.534(1900)
■Catocala Connexa BUTL.はいいろきしたば,松村松年,日本昆蟲總目録Vol.1,p,100(1905)
■Ephesia connexa (BUTL) HAMPSON,Cat.Lep,Phal., Vol.XII,pp.146,187,Pl.201,Fig.13(1913)
■Ephesia connexa BUTL.,WARREN in Seitz,Vol.III,p.317.PL.57,Fig.C,as connexa,nec Butler(1913)

筆者の思考するところでは、このFig.C.as connexaとloc,cit.d、as fasciataの両種はこの書のtextの記述と合致しない點がある。又種々の事情に搬り推察して、恐らくは真正の connexa ではなく却て次に記す ごましおきしたば E.nubila Butlerの一型であろう。

これを見ると、どうやら和名を付けたのは松村松年のようだ。松村さんといえば、日本の近代昆虫学の礎を築いた人であり、日本の昆虫の名前を整理・統一し、和名の命名法を創案した人だ。多くの昆虫に和名を付け、学名に「Matsumura」と付く昆虫も数多い。つまり黎明期に昆虫学の発展に多大なる功績を残された立派な方だ。しかし数多くの昆虫の名前を付けただけに、いい加減なところもあって雑いネーミングも多く、センスもあまり良いとは思えないと云う印象を持っている。だから、このハイイロという名前の色のイメージに、あまり引っ張られない方がいいかもしれない。灰色といっても濃いのから薄いのまであるし、灰色とも茶色とも見える微妙な色もあるからね。

それにしても、昔の論文は文章が難解だなあ…。
さておき、問題はこの幻となったハイイロキシタバだ。これは流石に斑紋についての解説をそのまま載せよう。でも、お経だぜ、ベイベェー。

本種は前述の よしのきしたば に酷似して居るので主として鑑別に資し得る特微のみを記することとする。
體長約24mm。開張50−55mm。前種より華奢である。前翅表面は前種より遙に暗色であって全面に鉛樣金屬性の色澤を漂わす。前横線は亜中襞までは一直線に外斜走するがここで細くなり第1脉上にて内方に突起を出す。途中、中脉迄は内方の暗影と合して一大斑を現わす。中横線は不明、腎状紋は新月形の中心と黒環よりなるが其の周囲は特に濃色であるため不明瞭であって其の下方の第2室に環状紋がある。前横線の外方には程度の差はあるが頗る淡色の廣斜帶を現わす事が多い。後横線は第6脉と第5脉上に2鋭齒を外突せしめ、第1脉上に於て長V字形の突出を内方に送り前横線に接近する。時としてはこの突出は癒合して槍状に突出す。後翅表面の外帶が第1、2脉上にて中帶と連絡するのは幅廣き突出部であって、前種の如き3角形の頂端にて接觸するのとは其の趣きを異にして居る。中帶が亞中襞帶を通遏して後縁帶と連絡する場合には外縁と並行して比較的太いが前種では常に細く遙に翅基に近づいて弧を畫くのが通例である。後角附近にて各帶の離合の状態が種々であるのは前種と同樣である。裹面には變化があるが矢張り横豚紋を有する個體もあって前種に似て居る。

何かの呪文みたいで、こんなの普通の人は元より虫屋でも何言ってのかワカラン人もいるだろう(笑)。耳慣れない専門用語のオンパレードで脳みそ💥クラッシュじゃ。

気になるのは「前種より華奢である。前翅表面は前種より遙に暗色であって全面に鉛樣金屬性の色澤を漂わす。」という箇所。この手のカトカラでヨシノより華奢といえば、ゴマシオくらいしか頭に浮かばない。でも前翅はヨシノよりも遥かに暗色という部分が合致しない。ゴマシオは基本的にヨシノよりも色が薄いからだ。
鉛のような金属光沢があると云うのにも首を傾げてしまう。カトカラに金属光沢とかある奴っていたっけ❓
知る限りでは、カトカラについて述べるのに金属光沢という表現を用いた例は1つもない。
(-_-;)むぅー、でもそう言われてみれば、見方次第ではゴマシオなんかは鉛色と言えるような奴はいるし、金属光沢が僅かながら有ると言えなくもないけど…。
いや待てよ。鉛は鈍色(にびいろ)だから、それはそれでいいのか。でも金属光沢と云えば、普通はタマムシやミドリシジミとかの構造色を持つピッカピッカの奴らを想像しがちだよな。
まあいい。人により、色の表現は微妙に異なるものだ。
となれば、ゴマシオは変異が多いから、そのフォーム(型)の一つをハイイロキシタバとしたのかな❓ 例えば、より前翅が暗色というならば、黒化型とかさ。

 


(出典『世界のカトカラ』)

 
確かに色は暗色になるけど、鉛色には程遠い。

 
成蟲の出現季:7、8、9月
國内分布:大阪府箕面山,奈良縣大峰山,東京都(MARIES,1♂ type)
分布:日本

(附記1)
戸澤氏編箕面山昆蟲目録 no.1136(1932)にはCatocala hymenaea ab.connexa BUTLER,ハイイロキシタバとして出て居るがこの學名の充當には少しく疑問がある。

(附記2)
LEECH(1900)は connexaとnubilaとを同一種と考え後者を前種の異名として取扱って「The type was from Tokio and the specimens in Pryer’s collection from Oiwake」と記し、「LEECH自身此の種が8月に凾館にて普通に産するを經驗し、仙臺にては9月に探集した」と述べて居る。恐らく此の時の之等の標本は全部今日の nubila のみであって眞正のconnexaのただ1頭の1♂typeは看過せられて居た事と筆者は臆測する。

(附記3)
WARREN(in Seitz,1913)は一応は兩者を獨立種として別箇に掲げたがそれでもなを爾者同一種説に左袒し「connexa と nubila とは或る一種の濃淡の二型であってこれを同一種と認めたLEECHの説は正しい」と述べ、nubilaの2圖を connexa として示しているが、HAMPSONは勿論兩者を別種として扱って居る。筆者の知る限りでは connexa の最も混同し易き種は rutha であって nubila と紛れる恐れはない。

(附記4)
筆者はHAMPSONに從って同定をなしたが寡聞にして1 ♂type以外の記事を知らぬのでここに♀♂の2圖を添えた。恐らくFig.3.♀は Allotypeで、Fig.4.♂はParatypeと見做すベきものであろう。

ゴマシオ(C.nubila)だけじゃなく、C.hymenaeaとか又新たな種が参戦してきて、やれ同種だとか別種だとかとなってるから、やはりゴマシオの1型なのかな❓

でもハイイロの産地は吉野山と東京都、大阪府箕面山と書いてある。
もしかしてヨシノの大阪府の記録ってのはコレの事なのか❓【分布】の項に載せた『日本のCatocala』の分布図では大阪府も塗り潰されているが、触れなかったのは疑問に思えたからである。おそらく誤認であろうと考えたのは、大阪府にはフジミドリシジミは居ないからだ。フジがいないのなら、ヨシノだっていないだろう。何故なら、どちらも自然度の高い人里離れた森にいるからさ。

それはさておき、箕面だとしたら、おいおいである。箕面と云えば往年の昆虫採集のメッカではあるが、標高があまりにも低い。箕面山の標高は355mしかないのだ。そんな低い標高に食樹のブナが生えてるとは思えないし、聞いたこともない(イヌブナは有るらしい)。普通に考えれば、ヨシノが棲息しているとは思えん。誤同定しやすいゴマシオキシタバだって棲息している可能性は極めて低いだろう。
じゃあ、この「ハイイロキシタバ」って何者なのだ❓いよいよもってラビリンスである。

 
3,ごましおきしたば
Ephesia nubila BUTLER 1881

■Catocala nubila BUTLER,Trans.Ent.Soc.Lond.,p.196(1881).
■Catocala nubila BuTL.,part.LEECH,Trans.Ent.Soc.Lond.,p.534(1900)
■Catocalan nubila BUTL.,part.松村菘年,日本昆蟲総目録Vo1.1,p.100(1905)
■Ephesia nubila(BUTL.),HAMPSOM,Cat,Lep.PhaL.Vol.XⅡ.pp,146,183,Pl.201.Fig.9(1913)
■Ephesia nubila BUTL.,WARREN in Seitz,Vol.Ⅲ,p.318,Pl.57,Fig.c,Figs.c,d.(as connexa and fasciata)(1913).
■Ephesia nubila BUTL,.ab.mediongra(=ab.1 and 2 HMPS.)WARREN in Seitz,l.c.
■Ephesia nubila BUTLER,ごましおきしたば,河田黨,日本昆蟲圖鑑改訂版,p.774,Fig.2184(1950).

前翅表面は はいいろきしたば に類似して居り、後翅表面は中帶と外帶とは連絡する事はないので前2種の如く黒褐環に囲まれた黄紋を形成する事はない。其の他の點は河田氏の論文を參照せられたい。

成蟲の出現季:奈良縣大峰山, 8、9、10月
國内分布:北海道凾館(LEECH,3♂ 1♀);本州、東京(MARIES,2♂ Type),追分(PRYER,1♂1♀),奈良縣大峰山
分布:日本

(附記1)
此の種の前翅中央部は各樣の色彩ある淡色部を現出する個體があって、この點では一見したところ、よしのきしたばに類似した靦がある。亦前種との闕係に就いてはその項を參照せられたい。

要約するとハイイロとゴマシオは似ており、また前翅が白化しがちなゴマシオはヨシノに似ているって事か…。
但し、ゴマシオの下翅の帯は繋がらないと明記している。コレは何を意味するかと云うと、ハイイロ及びヨシノとゴマシオとでは、この一点で区別できる事を示している。ようはどれだけ前翅が似ていようとも帯が繋がらなければ、ゴマシオだということだ。また「筆者の知る限りでは connexa の最も混同し易き種は rutha であって nubila と紛れる恐れはない。」とも書いてるしね。つまり、白井さんはハイイロはゴマシオとは全くの別物だと考えておられるってワケだね。
ゴマシオじゃないとなれば、ハイイロの正体は何だろう❓

ゴマシオのメリハリのある前翅を持つものはヨシノにやや似ているが、単純に前翅が灰色と考えるならば、アサマキシタバも候補ではないかと一瞬思った。

 
【Catocala streckeri アサマキシタバ ♂】

(2020.5月 大阪府東大阪市枚岡)

 
でもコレは除外していいだろう。後翅の黒帯がゴマシオ同様に繋がっていないので、図版のハイイロとされているものとは明らかに違うからだ。それにそもそもアサマの発生期は5月中旬からで、6月中旬には姿を消す。その時点で有り得んだろう。ハイイロの発生期は7〜9月とされているのだ。
あとは同じ灰色でも質感が違うし、後翅の黄色もくすんだ感じだ。標本を見れば、誰でも一見してアサマとハイイロは別物だと見抜けるだろう。

論文に書いてある事は大体は解るのだが、やはり難解である。旧漢字が読めない人は尚の事だね。論文の文章だけでハイイロキシタバをイメージできる人は相当レベルが高いだろね。ワテの補足でもイメージするのは困難じゃろう。でも寧ろ、かえってワシが混乱させてたりしてね(笑)
(ノ`Д´)ノえーい、やっぱ画像が必要だ。

 

(出典『蝶と蛾』1953年7月号)

 
何で貼付できたのかというと、苦肉の策でPDFの図版をスマホに映して、別なスマホで撮ったのである。
上段左からがヨシノキシタバ♀、♂、下段は3と4がハイイロキシタバの♀と♂。そして右端の5がゴマシオキシタバの♀である。

この画像を見て直ぐにピンときた人は勘がいい。
画像をロクに見ずに、論文をコピペして読みながら書き進めていたが、改めて図版の標本を見て、オラも直ぐにピンときた。

カラーじゃないけど、
コレって、アミメじゃなくなくね❓

もしくは、クロシオじゃなくなくね❓

そもそもヨシノで丸ポッチ的な腎状紋が発達した個体なんて図鑑や文献でも見たことがない。存在しないと言っても過言ではないだろう。3と4は、ヨシノではない事は明白だ。
じゃあ、何でヨシノの学名がハイイロの学名になっちゃったのよー❓

 

(出典『山陰の昆虫』)

 
⑮が腎状紋である。

けど考えてみれば、すっかり忘れてたけどアミメキシタバの前翅の地色もヨシノと同じく基本的に焦げ茶だ。後翅の黒帯が繋がるところも似ている。そしてやや小さめの中型種である。画像のハイイロキシタバも同じような大きさの範囲に見える。
補足しておくと、アミメもヨシノもどちらかと云うと小振りで、大きさは同じか、ややヨシノの方が大きい。いや待てよ、反対のケースもあるな。たまにデカいアミメもいるわ。
とはいえ、全体的にはヨシノの方が大きい。となれば、アミメはヨシノよりも華奢だとも言える。それなら論文の記述とも合致してる。また、ヨシノよりも前翅が遥かに暗色だと云う記述にも合致する。アミメの方が濃い茶色だからね。

 
【アミメキシタバ Catocala hyperconnexa Sugi,1965】

(2018.7 神戸市)


(2019.7 神戸市)

 
こうして前翅は焦げ茶色だから、ヨシノの♂と間違ったのかもしれない。派手な♀とは間違えないだろうが、♂なら有り得るだろう。なので、ここから先はヨシノの前翅(表側)と云えば、特に言及しない限りは♂の事だと思って下され。
しかし自分的には♂でも両者は全然同じようには見えない。前翅の質感が明らかに違うからだ。

 
(♀)

(2019.7 奈良市)


(出典『世界のカトカラ』)

 
(♂)

(2018.7 神戸市)

 
それにしても最後のは酷い展翅だな。まだカトカラ1年生の頃だから蛾の展翅バランスが分からなかったとはいえ、酷い。カトカラなど多くの蛾の前翅は横長なので、蝶の展翅とは勝手が違うのだ。蝶の展翅をする時は触角の角度から翅のバランスを決めていたので、こうゆうバンザイ系になってしまったのである。

アミメには腎状紋が発達しない個体も結構いる。

 

(2019.7 奈良市)

 
或いはコレをヨシノだと思ってしまう人もいるかもしれない。
思い返してみれば、オラだって最初の頃は下翅が黄色いカトカラは、全部とまでは言わないまても、殆んど同じに見えたもんなあ。あんまり偉そうな事は言えないや。

箕面ならば標高的にヨシノやゴマシオが棲息しているとは考えにくいが、アミメなら問題はない。食樹もアラカシ、クヌギ、アベマキだから、低山地なら何処にだって生えてるからね。
だけど、ザッと探したところでは箕面でのアミメの記録は見つけられなかった。(-_-メ)チッ、迷宮からの脱出の糸口がプッツリやんけ。
それにアミメキシタバが発見(記載)されたのは1965年の事だから、白井さんが論文を発表した1953年よりも後のことだ。加えて、記載した杉繁郎御大は小種名を”hyperconnexa”と名付けている。コレはヨシノの小種名である”connexa”を意識しての命名と推察できる。つまり”hyper”はヨシノよりもメチャンコ帯が繋がっているという事を指し示しているのではなかろうか❓そう考えれば、全ての物事が繋がってくる。確かにアミメの方が黒帯が太くてガッツリ繋がってる。

でも疑問が全部解消されたワケではない。
「全面に鉛樣金屬性の色澤を漂わす」と云う記述はどうなるのだ❓アミメは茶色であって、断じて鉛色ではないし、金属光沢もない。
(;)アタマ、オカシクなりそうだよ。

ちょっと待てよ。
ただし左(Fig.3)の黒化型っぽいのは、クロシオに見えなくもない。それに少し大きそうだからね。

 
【クロシオキシタバ Catocala kuangtungensis,1931 ♂】

(2019.7 兵庫県神戸市)

 
一応、ノーマルタイプも載せておく。

 

(2018.7 兵庫県神戸市)

(♀)

(2019.7 兵庫県神戸市)

 
記載は1931年だが、日本で発見されたのは1960年代だ。たしか高知県か静岡県で見つかってる筈だ。これも白井氏が論文を書いた1953年よりも後の発見になるわけだから、存在を知らなくて見誤った可能性ありだ。
とはいえ図版の個体はクロシオにしては後翅の体に近い内側の黒帯が太い。また、帯が繋がる部分も太い。クロシオはそれらがアミメと比べて細いのだ。ゆえに図版はどちらかと云うとアミメに近い。となると、Fig.3も4も両方アミメかな。
アミメとクロシオ、どちらにせよ当時は未記録だったわけだから、白井氏が懊悩したのも理解できる。それに当時はヨシノは元よりゴマシオの食樹も解明されてなかった筈だから、ハイイロ(アミメ)の食樹が判明してるワケないもんね。
白井氏が、もしもこのハイイロを全く別物の新種だと見抜いていれば、大発見だったのにね。惜しいやね。

それはさておき、調べた限りでは箕面にはクロシオの記録もなかった。食樹のウバメガシは有るみたいだけどね。まあ北側の尾根の向こうは池田市で、備長炭と肩を並べる高級木炭の池田炭(菊炭)で有名だ。ゆえにウバメガシ林もあるだろうから、いるとは思うけど…。
ゴメン、いや違うわ。菊炭の原料はウバメガシじゃなくてクヌギだったわ。忘れてたけど、そもそもウバメガシは海岸近くに生える木だったね。だから内陸部では自生しているものをあまり見掛けない。なのでクロシオの分布も主に沿岸部寄りだ。
つまりクロシオが箕面で採集された可能性は低い。箕面でも植樹されたウバメガシや生け垣に使用されているモノはあるだろうが、少なかろう。ウバメガシ林と言えるほど纏まって生えている場所はないものと思われる。となると、やはりハイイロはアミメだった確率の方が高い。
とは言いつつ、内陸部でのクロシオの記録が全くないワケではない。兵庫県猪名川町に記録があるし、去年(2019年)には生駒山地と奈良市の若草山でも採集されている。それに紀伊半島南部では内陸部にも棲息すると聞いている。ちなみに奈良市で採集されたのは7月で、極めて新鮮な個体だった。きっと食樹さえあれば、内陸部でも発生するのだろう。中国のクロシオは内陸部にいるというからね。
また別な可能性もある。クロシオは移動性が強く、秋になると食樹の自生地から遠く離れた場所でも見つかる事がしばしばある。箕面のハイイロキシタバとされたモノも、そういった偶産的なクロシオだった可能性は充分にある。もしくは移動してきたモノが一時的に発生していたのかもしれない。だとすれば、全然ロマンのない話だけどね。
昔は箕面にもウバメガシが自生していて、恒常的に発生していたとかないのかなあ…❓
しかしハイイロキシタバの記録から既に80年くらいが経っている。そして今や箕面は高級住宅地だ。30年程前から開発という名の自然破壊が著しい。稀蝶クロヒカゲモドキやキマダラモドキも絶滅しかかっていて、風前の灯になっている。なれば現在そのハイイロキシタバとおぼしきものが今も棲息しているかどうかを検証・証明する事は、もはや難しい。
やれやれ。結局のところ、出口の見えない迷宮じゃないか。

多分ハイイロキシタバの正体はアミメキシタバだとは思うけれど、一応ゴマシオキシタバの画像も貼り付けておきましょう。
あっ、前半に貼っつけたか。じゃ、別な個体で。

ゴマシオは図版だと下段一番右端の奴ね(Fig.5)。

 
【ゴマシオキシタバ Catocala nubila ♂】

 
ゴマシオは前翅が灰色だからゆえ、それが原因でハイイロキシタバ(C.connexa)と混同されて、話がややこしくなったんじゃないかなと思う。
それはそうと、アミメだったとして、なして前翅が茶色なのに「灰色黃下翅」なの❓ もー、松村さぁ〜ん。

 
【同裏面】

 
【♀】

(2020.7 長野県北安曇郡)

 
コレはわりと前翅にメリハリがある。どうやら♀にその傾向がありそうだが、どうなんだろね。
一応、♂も並べておく。

 
(♂)

(黒化型)

(2019.8 岐阜県白川村)

 
考えてみれば、ゴマシオって変異が多いんだよなあ…。これ以外にも幾つかフォームがある。それがハイイロの同定に更なる混乱を引き起こした原因なんだろね。
とはいえ、前翅は無視してもよい。灰色だからってハイイロキシタバなんて思ってはならんのだ。そこに拘泥するから問題がややこしくなるのである。ヨシノキシタバとの違いは細かくみれば幾つかあるが、一番の差異は後翅だ。ヨシノみたく黒帯が繋がらないので容易に区別できる。そこさえ抑えておけば、間違うことはない。リーチがゴマシオとヨシノを同一種だと考えてたみたいだけど、こんなの簡単に見分けられると思うんだけどなあ…。そう最初から思ってたから、論文の内容を読んで余計に混乱したのだ。
だいち裏面を見れば、んなもん、一発でワカルんでねぇの❓とも思ってた。あまり言及される事はないが、カトカラは裏面でも同定は出来る。むしろ種によっては裏の方が簡単に見分けられる場合もあるからね。と云うワケで、再度ヨシノくんの裏面に登場してもらおう。

 
【ヨシノキシタバ 裏面♀】

【同♂】


(出典『日本のCatocala』)

 
(・o・)あれっ❗❓
改めて見ると、最後の『日本のCatocala』の裏だけ、ちょっと違うぞ。いや、だいぶ違う。下翅の内側(腹部側)に細い黒帯がない。それに上翅翅頂の黄紋が下に伸びている。
確認の為に他の画像を探そう。

 

(出典『wikimedia commons』)

 
やはりヨシノは下翅の内側に細い黒帯があり、翅頂が下部に広がる事はない。とゆうことは『日本のCatocala』のヨシノの裏面はいったい何者なのだ❓
と言いつつも心辺りは無きにしもあらずだけどさ。けど、その前にゴマシオの裏面を確認しておこう。

 
【ゴマシオキシタバ 裏面】


(出典『日本のCatocala』)

 
当初は『日本のCatocala』のゴマシオの裏面画像を見て、予断で「ヨシノとは全然似てない。こんなの裏面をちゃんと見てれば別種だと簡単に分かるじゃないか。リーチでさえもそれに気づかなかったって事なのか…❓おいおい、アンタら、そんなんで大丈夫かよ❓それって節穴ですぜ。」と一度は書いた。だがヨシノの『日本のCatocala』の裏面画像を除外すれば、他は酷似してるわ。これなら両者を同種と考えたのも理解できなくもない。

ではヨシノとゴマシオ両者の裏面の違いは、どこにあるのだろう❓
最初に、ゴマシオは上翅内側の黒い紋が隣の縦の黒帯と繋がるが、ヨシノは繋がらないのが識別点だと思った。しかし『日本のCatocala』のゴマシオの画像は、そこが繋がってない。それで混乱が起きた。で、「結構、個体変異もあるとゆう事なのか…。表は楽勝で判別できるが、裏は意外とムズいぞ。」となってワケワカメになっちったのだ。初見でビンゴだったのにさ。

そこで後翅に目をつけた。
敢えていうなら、ヨシノは下翅の内側に細い縦の黒帯があり、下側外縁の黒帯と後角付近で繋がるところではなかろうか❓一方、ゴマシオは中央の帯と外縁の帯とが繋がらない。
一見すると、ヨシノの♂個体の自前画像も繋がっていないようには見える。しかし鮮度の悪い個体ゆえに細い黒帯が消えかかってるだけで、よく見ると繋がっている(ここで重大な見落としをしていたのだが、それについては後ほど書く)。
他にも識別点は有りそうだが、もっと多数の個体を見ないと何とも言えないから、これくらいにしておきます。

あー、でも念の為に横面画像でも確かめてみよう。

 
【ゴマシオシタバの横面】

 
やはりゴマシオの下翅の黒帯は上と下とで繋がってないね。
一瞬、ゴマシオの方が全体的に帯が細いのかなと思ったが、何の事はない。太いのもおるわ。

 

 
これも繋がっていないのだが、後角の部分が影になってて分かりづらい。
もう1枚、画像を貼っつけておこう。

 

 
やっぱりだ。コレも帯が繋がってないね。
比較のために、もう一度ヨシノの横面画像を貼っつけておきましょう。

 
【ヨシノキシタバの横面】

 
思った通り下翅の右下の部分、後角付近で帯が繋がっている。分かりづらい場合はピンチアウトして拡大して下され。

あっ、もっとハッキリわかる画像もあったわ。

 

 
コレなら繋がってるのがワカルっしょ。
より多数の個体を検証しないといけないのだろうが、たぶんそれで間違いないかと思われる。

続いて、ハイイロの候補の有力としたアミメキシタバ。

 
【アミメキシタバ 裏面】


(出典『日本のCatocala』)

 
ヨシノと似てるわ。違うのは前翅内側の黒紋が隣の黒帯とガッツリ繋がっていることくらいだ。これがヨシノと混同される原因だったのね。表前翅が焦げ茶色で、下翅の黒帯も繋がってるのも合わせれば同種と考えられても致し方ない面はあるかもしれない。やはりハイイロキシタバの正体はアミメキシタバなのではないかな。
ここでヨシノとアミメ(ハイイロ)の裏面の違いを整理しよう。

①アミメは裏面前翅内側の横に広がる黒紋が隣の縦の黒帯と繋がるが、ヨシノは繋がらない。
②アミメは前翅の翅頂の黄紋が小さいか消失しかけるが、ヨシノは明瞭である。
③後翅の翅頂の黄紋が比較的ヨシノの方が大きい傾向にある。
④アミメの後翅中央黒帯先端の曲がりのRが弱いのに対し、ヨシノのRはやや強い。

多数の個体を検証したワケではないので、②③④はあくまでも傾向であって、決定的なものではないかもしれない。しかし、少なくとも①は確実な識別点になるのではないかと思われる。

(´ε` ) もぉー、白井さんはどうして図版に裏面画像を載せてくれてないのだ。それさえ載っけてくれてさえいれば、これ程までに頭を悩まさなくて済むのにさー。
両者の裏面が酷似しているのは認める。でもプロなら裏面を詳細に見れば別物だと直ぐに分かった筈だ。表面の特徴と合わせれば尚の事だ。
(-_-メ)ブッちゃけ言って、画竜点睛を欠くだよ。蛾屋さんはナゼに裏面に対して此れ程までに無頓着なのだ❓意味がワカランよ。

話はまだ終わらない。
そして、第二候補のクロシオちゃん。

 
【クロシオキシタバ 裏面】


(出典『日本のCatocala』)

 
これを見て、最初はこう思った。
(☉。☉)ワオッ❗、ヨシノとソックリじゃないか。
と云うことは図版のハイイロキシタバはクロシオと混同されてたってこと❓でも図版の3と4の黒帯はガッチリ繋がってるからアミメっぽいんだよなあ…。
とは言うものの、白井氏の解説に「全面に鉛樣金屬性の色澤を漂わす」と書いてあったから、(?_?)にはなってたんだよね。
アミメは茶色いから鉛色ではない。一方、クロシオは鉛色とまでは言えないが、青っぽくて、やや金属光沢があるようにも見える。或いは、これが鉛色な見える人もいるかもしれない。少なくとも茶色いアミメよりかはそう見える。
誰か、この標本を探してきて裏面を図示してくんないかな。それで一発で解決しそうだと思うんだけど。

こう最初は書いたのだが、実をいえば自前のヨシノの裏面の標本画像も加えようと表展翅をひっくり返したところでオカシイなと気づいてた。で、その時には既に半分もしやとは思ってた。第六感が走ったのだ。相前後するが、つまり冒頭の自前のヨシノ♀の裏面標本画像は、この為に後から写真を撮って付け足したのである。

この際ハッキリ言おう。

 

 
おそらくこの『日本のCatocala』のヨシノキシタバの裏面画像はクロシオキシタバだ❗

つまり間違った画像が使われている可能性が高い。
西尾さん、毎回『日本のCatocala』の力をお借りしているのにも拘らず、暴露しちゃいました。m(_ _)mごめんなさい。

証明の為に他のサイトからクロシオの裏面画像を引っ張ってこよう。

 

(出典『昆虫漂流記』)

 
ほらね。コチラも下翅の内側には細い黒帯が無い。そして上翅の翅頂の黄紋が下に伸びており、中央の黒帯は太くて下部の先が特徴的な形をしている。たぶん自分の指摘に間違いはないかと思われる。
だから実を言えば、それでも♀だけでは不充分だと思ったので、更に慌ててスレたヨシノの♂を探してきて、急遽、裏面展翅した。それを冒頭と註釈に後で貼り付けたのだ。なので文章の各所に齟齬があるのである。
思い返せば、冒頭でキシタバ(C.patala)の裏面とヨシノの裏面が似ているのに違和感を感じたのも、そのせいなのかもしれない。
キシタバの裏面とヨシノの裏面は似てませーん❗キシタバに似てるのはクロシオでーす❗
そういや野外ではクロシオとキシタバは間違えやすいことを思い出したよ。お恥ずかしい話だが、クロシオの初採集行では夜になるとクロシオが小型のキシタバに見えてきてしまい、挙句には大半を無視してしまった。キシタバなんぞ採らんのじゃ❗で、後日わざわざ採り直しに行ったんだよね。それくらい似ているから、何となく両者は近縁種ではないかと思っていたのだ。今になって、まさかこんな形で裏まで似ていると知らしめられるとはね。ちょっとした青天の霹靂だよ。但しDNA解析では、そんなに近縁って程でもないみたいだけどね。

と、ここまで書いて、更なる重大な事に気づく。
何気に『日本のCatocala』のゴマシオの裏面画像をもう1回見たところで、バキ仰け反る。

 

 
ガビ ━━(゚д゚lll)━━ ン❗❗
何と『日本のCatocala』のゴマシオの画像は帯が繋がっとるやないけー❗❗
たぶんコヤツはゴマシオではない❗❗

じゃあ、コヤツは何のカトカラの裏なのだ❓

(-_-;)コレって、ヨシノキシタバの裏面じゃなくなくね❗❓

西尾さん、(༎ຶ ෴ ༎ຶ)ゴメンなさーい。又しても暴露しちゃったとですよー。

自前のゴマシオの裏面画像は、前翅内側の黒い紋が隣の黒帯と繋がってるけど、ゴマシオとされる『日本のCatocala』の画像は繋がってない。だからゴマシオではない。むしろ、この前翅内側の黒斑が隣の縦帯とは繋がらない特徴はヨシノのものである。しかも、この『日本のCatocala』のゴマシオ画像は後翅内側に黒帯があり、その帯が下の外縁の黒帯と繋がっている。これは完全にヨシノの特徴である。どっか少し変だなとは思ったのだが、全体に帯の感じが細いから、雰囲気的にゴマシオに見えたのだ。
兎に角、おいおいである。また間違いかよ(´ε` )
だとしたら、秀でた図鑑だから勿体ないよなあ…。しかも2つもだ。裏面画像をちゃんと載せているのは、この図鑑だけだから実に惜しい。西尾さん、この際だから修正のために廉価版の改訂版を出してくんないかなー。

となれば、コレを強固に証明するためには、もっと沢山のゴマシオの裏面を見て確認しなければならない。
しかーし、何故だかネットで探しても裏展翅したゴマシオの画像が全然見つからへーん。普通種なのに何でやねん❓
そんなに蛾の裏面は軽視されてるのかよ(´ε` )
しゃあない。邪魔くさいけど自分で何とかするよ。

 

 
去年に表展翅したものを裏返して撮ったものだが、こんだけ並べりゃ、特徴はもう明白だろう。すなわち前翅内側は基本的に隣の黒帯と繋がる。パッと見は繋がってないように見えるものでも、画像を拡大すれば繋がっているのがお分かりになられるかと思う。ヨシノは内側の黒紋と中央黒帯とが大きく離れており、余程の異常型でもない限りは繋がる事は無いだろう。また中央の黒帯の形もヨシノとは異なる。ヨシノのように黒帯が下部で内側へ向かって強く「くの字(左側の場合)」に湾曲することはない。
後翅は一番内側の細い黒帯を欠き、下側外縁に沿う黒帯とは繋がらない。よって『日本のCatocala』に図示されている裏面画像はゴマシオではないと断言できる。そして、ヨシノだとも断言できる。

解決したのは嬉しいが、お陰でゴマシオキシタバの回を書き直さねばならなくなった。ようはゴマシオの回に間違った裏面画像を貼っつけちゃってる事だからね。
まあ、今年はツートンカラーの型も採れたので、どうせ改訂版を書く予定ではあったんだけどもね。

 

 
で、結局なんだったっけ❓どうやって纏めればいいのだ❓
衝撃の発覚2連発で、着地点というかクロージングを完全に見失ったよ。

頭の中で纏まるまで時間稼ぎをしよう。
ついでに去年発見されて、アミメやクロシオに似ているマホロバキシタバ(C.naganoi mahoroba)の画像も貼り付けておこう。

 
【マホロバキシタバ ♂】


(2020.7月 奈良市)

 
後角付近で黒帯が繋がらないのが特徴。

一応、裏面画像も貼付しておきまーす。
ヒマな人は、見た目が似ていて同所的に生息する可能性のあるアミメやクロシオと見比べてみてね。全然違うからさ。

 
(♀)

(2020.7 奈良市)


(2019.7 奈良市)

 
(♂)

(2019.7 奈良市)

  
コヤツはワタクシと小太郎くんが発見したんだけど、同定は裏が決め手となった。明らかにアミメやクロシオと違うからね。
それで海外のサイトから裏面画像を探してきて、C.naganoi に近いものだと分かったんだよね。誰も気づかなかったのは、裏面をちゃんと見た人がいなかったのだろう。
付け加えると、似ているがヨシノとも違う。前翅内側の黒紋の形が異なるから区別は可能。まあ、表側で充分同定できるけどね。
マホロバに関しては、拙ブログの『真秀ろばの夏』の前・後編を読んで下され。そこに詳しく書いた。

そろそろ結論を言おう。
白井さんのハイイロキシタバとした個体は、たぶんアミメキシタバだろうが、クロシオキシタバの可能性もあるとしか言えない。裏を見ないとワカランのだ。
このブログでは再三再四言ってるけど、ホンマ、蛾を研究する人は裏面をもっと大事にして欲しいよ。
また蛾屋さんの怒りを買うような事を書いちゃったけど、まっいっか。
ところで、何故にヨシノの学名”rutha”が消えて、ハイイロの学名”connexa”が現在のヨシノの学名になったのだ❓
まっ、いっか…。どうせ中国辺りのものが”C.connexa”として既に記載されていた事が後で発覚したんじゃろうて。

赤ん坊はもう疲れたよ。いつまでも壊れた玩具で遊び過ぎたからね。もう、さよならをするよ。

                   おしまいのおしまい

 
とは言うものの、記事のアップ直前で思いとどまった。
調べると「http://ftp.funet.fi/」と云うカトカラ全体の記載について書かれているサイトで以下のような記述を見つけた。

・Catocala connexa Butler, 1881; 196; TL: Japan, Tokyo
・Catocala rutha Wileman, 1911; 239, pl. 30, f. 3; TL: Japan, Yamato, Yoshino

これを見ると、バトラーは日本で採集されたものから記載したことが解る。Tokyoとあるのは、おそらく採集された場所ではなく、ブツが東京から送られてきたからだろう。きっと、この時代はアバウトだったんだろね。バトラーからすれば、遠く離れた極東から送られてきたと云う事実だけで充分だったのだろう。それ以上の詳しい産地には興味が無かったものと思われる。

ワイルマンは既にバトラーによって記載されている事を知らずに吉野産を新種として記載したんだろね。
いや、知ってはいたが、connexaとは別種だと思って記載したのかもしれない。だったら、何故に白井さんは図示したアミメっぽい標本を”connexa ハイイロキシタバ”としたのだろう❓白井さんは何を基準にコレを”connexaとしたのだ❓もしくは誰がそれをハイイロと断定したのだ❓アレッ❗❓、自分でも何言ってんのか段々ワカンなくなってきたぞ。ワシの文章が難解化しとる。

でも白川氏はハイイロキシタバの項で「Fig.3.♀は Allotypeで、Fig.4.♂はParatypeと見做すベきものであろう。」と書いているんだよな。だったら、connexaは現在のヨシノとは見た目が違う事になってしまう。
そもそもコレが何故にタイプ標本だと言えるのだ❓標本の出自について書いてないからワカランぞなもし。しかも、もしタイプ標本ならば、そんな「〜であろう。」なんてファジーな物言いはしない筈だ。タイプ標本ならば、タイプ標本とハッキリ言える筈じゃないか。そもそもタイプ標本だったら、パラタイプであろうとアロタイプであろうが、ホロタイプと同じく、その旨を記したラベルが付いていた筈だ。それ見りゃ、一発でワカルのだ。白川さんは何をもってタイプ標本だとしたのかえ❓
だが、今となってはもう調べようは無さそうだ。とにかく、誰かが間違ってコヤツが”connexa”だと言い出した事から混乱が始まったのだろう。
そうゆう事にしておこう。

けど別な疑問が出てくるんだよね。クソー、全然終わんねぇ。
もしハイイロキシタバがアミメだったとしたら、なぜにアミメキシタバの学名は「Catocala connexa」とはならなかったのだろう❓そして、どうして「Catocala hyperconnexa」になったのだろう❓また、ヨシノキシタバは何故に”rutha”とはならずに、”connexa”になったのだ❓

きっと宇宙人のしわざだ。
もう、そうゆう事にしておこう。

              おしまいのおしまいのおしまい

 
追伸
実をいうと第二章を書いた時点で、ほぼほぼこの最終章も出来上がっていた。先に解説編から書き始めてたからね。しかしハイイロキシタバの事か何となく気になって再度調べたら、ドツボに嵌ってもうた。今回は割りとすんなり書けたのでラッキーだと思ってたけど、最後の最後で落とし穴の迷宮ラビリンスとはね、大どんでん返しだよ。まあ、謎を探究するのはミステリアスで面白いんだけどもね。あっ、タイトルは『吉野ミステリー』とか『吉野孃はミステリアス』とでもすれば良かったかな?面倒くさいから変えないけど。

あんまり沢山採れてないとゆうのもあるが、ヨシノキシタバに対してのモチベーションはまだまだ有る。♀のスゲーのを採りたいよね。コレはたぶん藤岡くんにあげちゃった個体のせいがあるんだと思う。進呈した事に対しては今更どうのこうの言うつもりは全くないが、あのタイプの完品が純粋に欲しいと思うようになったのだ。正直、♀の斑紋の美しさには魅入られる。心は、未だ見ぬ美しき♀を求めているのだ。

これでやっとこさ追いついた。
このカトカラシリーズの連載は、カトカラ採集をしだしてから1年後に始まった。だからずっと1年遅れとか、下手したら2年遅れの話を書いていたのだ。とにかくコレで漸く同じ年の年内に書き終えることができた。
とゆうワケで、これにて今年のカトカラシリーズの連載はおしまい。もし来年新たなカトカラが採れたら、連載再開となる。とはいえ、それなりに難関が残ってるから、どうなるかはワカランけどね。それに今年は念願のナマリとアズミ、そしてヨシノが採れたから、あれ程のモチベーションは、もうありましぇーん。

えー、今回も端々で結果的に蛾屋さんの事をディスる形になっちゃってるけど、許して下され。別に敵視しているワケではないので。

 
追伸の追伸
いやはや、ハイイロキシタバのせいで予想外にどえりゃあ長くなってまっただ。途中で流石に2回に分けようかとも思ったが、そうなると後編は新たに冒頭部分を書き直さなければならないし、文章のレイアウトを変える細かい調整も必要になってくる。タイトルも再考しなくてはならないし、それが邪魔くさくて、そのまま突っ切った。
それはそれで別なストレスが生じてホント、クソみたいに憂鬱になったわ。事実は、好きで長い文章を書いているワケではないのだ。単に下手クソだから、その分長い文章を書かざるおえないだけの話だ。

おしまいのおしまいの前の末文「赤ん坊はもう疲れたよ。いつまでも壊れた玩具(おもちゃ)で遊び過ぎからね。もう、さよならをするよ」は、レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の金字塔『長いお別れ』(清水俊二 訳)からの引用です。
昔から心がメチャンコ疲弊した時によく呟いていたセリフです。今回、久々に出ちまったよ。

何はともあれ。
皆様、メリークリスマス🎄🎅

 
ー参考文献ー

◆西尾規孝『日本のCatocala』
◆石塚勝己『世界のカトカラ』
◆岸田泰則『日本産蛾類標準図鑑Ⅱ』
◆江崎俤三『原色日本産蛾類図鑑』
◆白水隆『日本産蝶類標準図鑑』
◆白井忠治『關西蛾類圖説(1)』日本鱗翅学会『蝶と蛾』1953年7月号

(ネット)
◆『ギャラリー・カトカラ全集』カトカラ同好会
◆『みんなで作る日本産蛾類図鑑』
◆『Wikipedia』
◆『wikimedia commons』
◆『兵庫県カトカラ図鑑』きべりはむし
◆『植物社会学ルルベデータベースに基づく植物分布図』
◆『高知の自然 Nature Column In Kochi』
◆『あきた森づくり活動サポートセンター』
◆『昆虫漂流記』

 

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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