新玉ねぎに刮目す

 
もうシーズンは終わっちゃたけど、例年になく今年は新玉葱を食った。
きっかけは、おかんが新玉にハマってて、如何に旨いかを力説していたからである。で、1個くれた。
おまけに、後日レシピまで送ってきた。

「玉ねぎとベーコン炒めは、玉ねぎは輪切り、オリーブオイルを少し垂らしてシオコシヨウで味を整えます。」

ここまでしてくれると、素直に作ろうと思った。
それにシンプルだし、簡単そうだ。

 

 
かあ様、おっしゃる通りでした。
新玉、マジで美味いわd=(^o^)=b
とにかく、玉葱の自然な甘さに驚いた。甘いものは苦手だけど、自然な甘さは抵抗感なく美味いと思う。
シャキシャキした歯応えもいい。

そんなワケで、新たに新玉葱を買って食い続けた。
画像は豆苗入りだが、基本的には新玉とベーコンだけ。シンプル・イズ・ザ・ベストを貫こうと思ったのである。

しかし、最後だけウィンナーを入れるヴァージョンになった。ウィンナーの賞味期限が迫っていた為でやんす。

 

 
これはこれで旨かった。
ウィンナーじたいも旨かったからかもしんない。

 

 
日本ハム 『アレーグリ マッサ』。
世界を旅するというアンティエシリーズの一つで、他に2種類があるようだ。

「赤パプリカの深いコクと旨み」惹句がある。ポルトガルとか無塩せきの文字もあるから、気になって調べてみた。

アレーグリ マッサの「マッサ」とは、赤パプリカの塩漬けペーストのことで、ポルトガルの万能調味料らしい。「アレーグリ」は陽気って意味みたいだね。
「無塩せき」とは、発色剤を使わずに仕上げる製法だそうである。逆に普通のウィンナーは発色剤を使ってるのか❗❓発色剤って、何だ(・。・;❓

日本ハムと大山ハムのサイトに発色剤についての説明があった。日本ハムの方が消費者の質問に答える形になっていて解りやすいので、そちらを抜粋しよう。

『発色剤には、大きく分けて次の3つの働きがあります。

1.原料肉の色素を固定し、ハム・ソーセージ特有の色調を与えます。
《着色料のように色を付けるのではなく、お肉の中のミオグロビンやヘモグロビンといったお肉自身がもっている赤い色素を固定し、加熱・酸化による褐色化を防ぎます。》

2.原料肉のもつ獣臭さを消し、ハム・ソーセージ特有のフレーバー(風味)を与えます。
《発色剤の使用されていない焼豚などと比較すると、その風味の違いがよく分かります。》

3.細菌の増殖を抑える働きがあります。特に恐ろしい食中毒菌としてよく知られているボツリヌス菌の増殖抑制効果があります。

発色剤を用いない無塩せき(むえんせき)の商品群は、加熱した肉そのものの褐色であり、一般にあまり日持ちがせず、また原料肉そのものの匂いを感じます。』

なるほどね。一応、納得の説明だ。
でも、この発色剤は発ガン性があるとも言われている。それに対しての回答も載せておこう。今度は大山ハムのサイトのものを抜粋しよう。

『「亜硝酸ナトリウム」に発ガン性物質生成の可能性があるといわれていますので、これを気にする人も多いでしょう。
しかし、食品に使うことのできる添加物の量は、食品安全委員会や国際的な機関が無害と確かめた量1/100の量を、毎日食べつづけても安全な量としています。さらに、この量よりずっと少なくなるように法律で使用基準がきめられています。
当社では、さらに低い使用基準を設け、安全性確保に努めています。
また、ビタミンC(酸化防止剤)と一緒に取ることで、発色反応を促進させ、亜硝酸残存量を減らします。そのため、「発色剤」と「酸化防止剤」はセットで添加されます。
発ガン性物質が生成しやすい条件はpHが3.6の時で、食肉製品の多くは、pHが6以上のため、現状ではほとんど生成されないことがわかっています。』

なるほどね。
更にネットサーフィンしていると、『シルフレイのふたり言』というサイトに、こんな発言もあった。

『「当社のハムは、安心・安全のために発色剤は使っていません!」という謳い文句を目にすることがあります。こういうメーカーは、よほどのアホか腹黒いかどちらかなのですが、嬉々として手にとってしまう消費者の方が多いでしょうね。」
中略。
ところで「発色剤不使用」のハムやソーセージは岩塩を使用していることが多いです。「天然の岩塩を使用!」と偉そうに書いてあったりしますが、本当の理由は、岩塩に硝酸塩が含まれているからです(笑)。そもそも岩塩で塩漬けするとキレイに発色される、ということに気づいた先人の知恵から、岩塩に含まれる硝酸塩による発色の仕組みが明らかになったのです。

残念ながら岩塩には金属や石膏などの不純物も含まれます。先人の知恵を利用しつつも、岩塩を使うかわりに、精製塩と硝酸塩を使うというは安全かつ効果的な優れた製法と言えます。「伝統製法」というのは得てしてこういうもので、そのまま使おうとしても、安全性や品質とは両立しないことが多いのです。

「天然にこだわって岩塩で作った安心・安全の発色剤不使用のハム!」などという商品が、いかにデタラメなものかお分かりいただけると思います。無論、作る側は、分かっていてやっていることですね。』

因みに、このサイトには大山ハムの広告が貼り付けてあった。付け加えると、大山ハムのサイトの発色剤使用の説明には、発色剤の必要性が強調した論調に感じた。興味のある方は、そちらも覗いてみるがよかろう。

自分的には、この問題についてはどっちだってよくなってきた。こちとら、発ガン性がメチャメチャ高い煙草を毎日パカパカ吸っているのだ。発色剤の発ガン性なんぞ、屁の突っ張りにもならんわ(=`ェ´=)

あ~、また脱線だ。
今回は短くしようと思ったのになあ…。
気を取り直して、話を新玉に戻して終わろう。

新玉葱を今まであまり食ってこなかったのは、何となくインパクトに欠ける水っぽいイメージがあったからだ。辛みが少なくてマイルドだから、オニオンスライスくらいにしか使えないと思い込んでいたのだ。
でも、( ☆∀☆)刮目したよ。新玉葱は美味いっ❗❗
そっかあ…、新玉葱は熱を加えてこそ美味いんだね。

  
                  おしまい

 

明石で寿司を食う

  
明石で寿司を食った。

 

 
魚の棚に行くと、無性に寿司を食いたくなるのだ。
だから毎回、名物の明石焼きはスルーである。並ぶのも嫌だしさ。

魚の棚商店街のメインストリートから少し入った寿司屋『鮨 縁』へ行く。
「縁」と書いて「えにし」と読む。
扉を開けると、店内は静かな音楽が流れるお洒落な空間だった。白木の一枚板のカウンターが奥へと伸びている。席は、そのカウンターのみの8席。
一枚板の白木のカウンターは大好き。頬ずりしたくなるくらい手触りが良いからだ。こういう店は店主の拘りを感じるから期待値も跳ね上がる。
付け台も一枚板で、その向こうが板場になっており、職人の仕事がよく見えるようになっている。所謂(いわゆる)、割烹スタイルだね。こういう劇場型の店は見てて飽きないから楽しい。
聞けば、店のデザインは若い店主御本人とのこと。寿司職人の前は建築関係の仕事をされていたらしい。

日曜日限定の「おまかせ3000円コース」をチョイスした。
先ずはビールで喉を潤し、ガリに手を伸ばす。

 
【ガリ】

 
ガリは2種類ある。ちょっと珍しい。色も濃い。
奥がお馴染みの薄切りの甘酢漬け、手前が棒状のものである。どちらも見た目通りの濃い味で、味の系統は似ている。しかし、食感が違う。特に棒状のはポリポリで、酒のツマミにもなる。これは普通の土生姜(根生姜)ではなく、はじかみなどに使われる谷中生姜(葉生姜)なんだそうな。なるほどね。土生姜よか歯の当たりが柔らかい。

 
【剣先烏賊】

 
トップバッターは剣先いかの昆布〆。
表面に細かく切れ目が入れられており、それがイカの甘さを引き出している。だが、惜しむらくは表側は柔らかいが裏は硬いこと。裏側に隠し包丁が入っていなかったのではないかと思われる。

 
【明石鯛】

 
これも昆布〆だったかな。
噛めば噛むほど、奥から旨みが立ち上がってくる。
明石といえば、鯛。日本一の鯛の名産地だ。だから旨くて当然なのだ。養殖とはひと味もふた味も違う。
昔、東京のお寿司屋さんで聞いたことがある。鯛に関しては圧倒的に西の方が味が良くて、特に明石のものは最上、とても敵わないとおっしゃってた。潮が速いから、ムチャクチャ運動量が多くて身質が格段に良いのだと言う。
そういえば、明石の鯛はよく泳ぐから尻尾の骨が一部ボコッと瘤状に盛り上がってるらしい。

 
【縞鰺】

 
シマアジはカンパチ、ヒラマサ、ハマチ(ブリ)とは親戚関係だが、中でもシマアジが一番好きだ。
コリコリとした歯応えがあって、脂と旨みに上品さがある。しつこくないのだ。
ハマチの養殖モノなんて、脂臭くてダメ。だから最近は全く食わなくなったし、ブリも天然のモノしか食わない。どうにも生臭くて苦手なのだ。昔は好きだったんだけどなあ…。それだけ舌の経験値が上がってるのかなあ、それとも単に歳喰っただけなのかなあ…。

 
【鰯】

 
真鰯は大きいと脂が乗りすぎててしつこいが、これくらいの大きさだと丁度良い塩梅(あんばい)だ。
脂が舌に広がったあと、すうーっと余韻を残して消えてゆく。
これも昆布〆だったっけか?
言い忘れたが、この店はネタには全部仕事がなされている。だからカウンターには醤油は無くて、刷毛で塗られて供される。

 
【甘海老】

 
これも昆布〆。
昆布〆系が続くが、まあ好きだから文句はない。
甘海老の昆布〆といえば、富山を思い出す。金沢や富山は昆布〆文化だから、何でも昆布〆にすると云う印象がある。チーズの昆布〆だって見たことがある。
でも、昆布の旨みが身に移るから利には叶っている。美味いし簡単だから、自分でも珠に家で作る。
因みに、この店ではネタにより昆布の産地を使い分けているそうだ。羅臼や利尻など昆布によって全然味わいか異なってくるらしい。

ここでビールから日本酒へチェンジ。
この店は日本酒が売りでもあるようだ。
当然、辛口をお願いする。

 

 
新潟 青木酒造『鶴齢』。
酒器は切子である。
厚みが無いので薩摩切子ではなく、江戸切子だろう。
涼しげでいいね。切子を見ると、もう夏だなと思う。

 

 
新潟の酒と云えば淡麗辛口だが、フルーティーで辛口というよりかは、どちらかと云うと旨口である。そういえば最近はまた日本酒がブームになってきてるね。ホント、今はスパークリングとか色々ある。ボトルもおよそ日本酒とは思えないものも多い。

 
【鳥貝】

 
子供の頃は、この鳥貝がマイ寿司ネタランキングの最下層だった。見た目がジジむさいし、大して旨くねえし、あの上に塗られた変に甘ったるい煮ツメが嫌いだった。それに何より、噛んでてガムみたいにクチャクチャといつまでも口に残るのが最悪だった。だからか、いつも最後には鳥貝が寿司桶に残っていたという記憶がある。
そういえば、最近は寿司ネタで見ないようになったような気がする。経緯は分からないが、今は高級食材になっているようだ。回転寿司で見ないのも、コストに見あわないからだろう。

小振りの鳥貝だから、どうかと思ったが旨い。
貝の仄かな香りもして、歯切れもいい。久し振りに美味い鳥貝を食ったよ。

 
【鯖寿司】

 
薄い昆布が乗ってるから、関西で言うところの「バッテラ」だね。但し、シャリには色々入っている。
海苔で包み、手渡しされる。この海苔で包むと云う発想がいい。手渡しもアクセントになってて面白い。
けど、鯖は酢で〆過ぎかな。身が硬くなるし、酢もキツく感じるから、もっと生っぽい方が好みなのだ。

 
【漬け鮪】

 
調味液に漬け込んだ時間が絶妙。程好い柔らかさと味の入り方だ。ヅケ鮪は漬け込み時間によって味が大きく変わる。漬け込み過ぎると身が硬くなるし、浅いと調味液が沁みないのだ。

 
【穴子】

 
煮てから炙ったようだ。
でも、申し訳ないが自分好みではない。穴子はとろとろに柔らかくて、口に入れたら溶けるような奴が好きなのだ。

 
【赤だし】

 
出汁が効いてて美味い。
ホッとする。三つ葉以外は具が入ってないというのもいい。余計なものが入っていない方が、かえってシメとしては寿司の味が脳裡に蘇る。

これで三千円は安いと思う。
しかし、誠に残念なのがシャリ。
シャリが赤酢なのは、まあいい。しかし、ちょっと味が濃い。自分はギリ大丈夫だが、酢がキツイと感じる人は多いかもしれない。
一番の問題点はシャリのかたさ。兎に角、かたい。前半は米に芯が残ってるものも多かった。ネタには良い仕事をしてるだけに、物凄く勿体ない。シャリの大きさはシャリ駒で、ネタとのバランスも悪くないしさ。
まあ、大将はまだ若いし、そのうちそれも改善されてゆくだろう。
シャリが改善されたなら、三千円はメチャクチャ安いと思う。

 
船着き場に寄って、たこフェリーの復活を確認し、明石城跡に行った。

 

 
あらら、高速艇になってるのね。
昔のたこフェリーが懐かしい。乗り場も新しく綺麗になってたから、ノスタルジィーの人としてはちょっぴり悲しい。でも、何はともあれ復活したんだから喜ばしい事だ。

明石城跡でベンチに寝転ぶ。
風が渡ってゆく。
正面には駅のフォームが見える。列車を待つ人々も見える。
城から駅がこんなに近くに見える所は無いと思う。そして、駅からお城がこんなに近く見えるところも他には無いと思う。
明石って、素敵なところだ。

 
                  おしまい

  

山菜の話②コシアブラの天麩羅

  
山菜の女王といえば、コシアブラである。

  

 
と言っても、一般ピーポーにはあまり知られていない。たぶんスーパーなんかにゃ売ってねーからだ。
流通するのは田舎の「道の駅」や高速道路のサービスエリアとかで、殆んどが近辺で採取された地(じ)のものであろう。ようするに天然物で、多くは地元で消費されるものだろね。つぅーか、従来は地元の人が必要な分だけを取って食べるもんでしょうな。だから都会には出回らない。
これはつまり、我々が市場やスーパーマーケット、デパートなどで見る山菜は天然物ではないと云う裏返しでもある。タラの芽やコゴミ、ウドにワラビ、ふきのとうに山ブキ、ウルイ、ゼンマイetc…、みんな、み~んな所詮は養殖物なのだー。あっ、野菜だから養殖とは言わないか。栽培物ですな。どちらにせよ、人が育てたもんってワケだね。
ぶっちゃけ、山菜は天然物と栽培もんは味も香りも全然ちゃうでー。

コシアブラはウコギ科ウコギ属の落葉木。タラの芽やウドもこのウコギ科に属する。タラの芽と同じく春先に出る木の芽の部分を食べます。
因みに漢字だと「濾し油」と書く。名前の由来は、昔はこの木の樹脂(あぶら)を絞り、濾したものを漆(ウルシ)のように塗料として使っていたからだね。
北海道から九州まで沖縄を除く全国に広く自生していて、比較的明るく開けた雑木林などで見られる。関西では、標高にもよるが4月~5月が採取の適期だろう。
とはいえ、ウルシなんかと間違えるケースもあるので、お気をつけあそあせ。
コシアブラは特有の香りがするから、慣れれば分かるんだけど、もしもウルシならば触ったらカブれるでぇー。下手に匂った時には手遅れかもよ~Ψ( ̄∇ ̄)Ψ

前置きはこれくらいにして、肝心の食べ方である。
といっても、コシアブラは天ぷらに尽きる❗
ナゼかっつーと、天ぷらが圧倒的に美味いからだ。それに天ぷらにすれば、アク抜きをしなくてもよい。むしろアクが油で揚げられることによって旨味に変わるのではないかと思われるフシがある。

今回は、こんな天ぷら粉を使いましたー。

 

 
オーマイの『ちょっとの油でカラッとおいしい 油少なめ天ぷら粉』。商品名を見て、即購入決定。
天ぷらは揚げ終わった後の残った天ぷら油の処理が問題だ。だから少ない油で揚げれるにこした事はない。
とは云うものの、少ない油だと上手く揚がらなかったりするから、そこが悩みの種だ。

他の山菜も一緒に天ぷらにすることにした。

 

 
取り敢えず、試し揚げしてみよう。

 

 
手前がコシアブラ。右上がコゴミで隣がどんこ生椎茸。油は良さげな感じだ。まあ、こんな感じで揚げてけば大丈夫そうだ。

 

 
先ずは塩をかけて食う。
やっぱ、( ☆∀☆)美味いねーっ❗❗
シンプル・イズ・ザ・ベスト。仄かな苦みと旨みが相俟って、鼻から香りが抜ける。堪んないよ。まさに山菜の女王だと思う。タラの芽よりもコッチの方が断然好きだ。
すかさず🍺ビールをゴクゴクやる。
(σ≧▽≦)σぷひょー、至福の極みじゃよ。
蝶採りの盟友であるプーさんが、時期になるとコシアブラ、コシアブラとうるさいのも解るわ。
流石、山菜の女王と言われるだけの事はある。

そういえば、近所に住むサッちゃんにもお裾分けしたんだよね。彼女は食通だが、コシアブラは食べたことが無いと言ってたのを思い出したのだ。
渡して、少しばかり飲みに行った。いや、少しばかりじゃないな。二人が集まれば、痛飲必至なのである。とはいえ、その日はまだ早めの11時くらいには帰った。
翌朝、サッちゃんからの電話履歴に気づいた。履歴は夜中の2時くらいとある。爆睡してたのて気づかなかったのだ。何かあったのかな?と少し心配になって電話してみた。

『あのなあー、昨日なー、帰って夜中にその山菜の女王とか言うのを天ぷらにしてん。ほんだらなー、ムチャクチャ美味しかってなー、感動して電話してん。』

コシアブラの力、恐るべしである。

だが、サッちゃんに渡したのにまだあって、翌日と翌々日にも食った。おかんに渡すつもりだったが、連絡が取れなかったのである。

 

 
つけ加えておくと、コシアブラは味も香りも割りと直ぐに落ちるそうだから、その日のうちとか翌日とかの出来るだけ早めに食べることをお薦めします。

最後は試しにパスタにもしてみた。

 

 
アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ仕様を選択。

 

 
所謂、ニンニクと鷹の爪のパスタですな。
ゴチャゴチャした味にするよりも、シンプルな方が出来の正否が解りやすいと思ったのだ。
だが、シンプルがゆえに難しい面もある。
ニンニクと鷹の爪を低温で火を入れて、油に香りを移す。ここは割りと大事だ。日本ではニンニクを高温でカリカリにしたがるが、イタリアでは誰もそんなペペロンチーノの作り方をしない。
そして、パスタの茹で汁とオリーブオイルを如何に乳化させるかが最大のポイントだ。ここで仕上がりの良し悪しが決まる。

 

 
ちゃんと乳化は出来たと思うが、ハッキリ言って天ぷらの足元にすら及ばない。
過去におひたしなんかも試した事があるけど、天ぷらが旨過ぎて落差が激しいわ。その分、落胆が大きい。
よし、来年は天ぷら一本でいこう。
でもさぁ…、いくら旨くともギンギンの若者じゃあるまいし、油っこ過ぎて天ぷらばっか食えないんだよなあ…。オジンになったよ。

                  つづく

 

2018′ カトカラ元年 その1

 
  『不思議のフシキくん』

  Vol.1 フシキキシタバ

 
前回のプロローグに続き、いよいよ第1回である。
とはいえ時間が経っているので、ヒマな人はプロローグを読み返してね。

 
突然、去年からカトカラ(Catocala)に嵌まっている。
キッカケは6月上旬に奈良県大和郡山市の矢田丘陵にシンジュサンを探しに行った折りだった(註1)。

午後11時。水銀灯のそばの柱に、見慣れない蛾が止まっていた。
(;゜∀゜)あっ❗、もしかしてカトカラ❓
直感的にカトカラの中でもキシタバの仲間だと感じた。しかも、見たことがない奴だと思った。インスピレーションが走った時は大概は☝ビンゴだ。
ぞんざいに近づいたら、驚いて僅(わず)かに下翅の鮮やかな黄色を覗かせた。
(;・ω・)びっくりしたなー、もぅー。威嚇かよ。

 
(出展『フォト蔵』)

 
にしても、小憎らしいチラリズムだ。
男と云う生き物は、とってもチラリズムに弱いのだ。
( ☆∀☆)黄色いパンティー🎵
(@_@)黄色い逆さパンティー❤
\(◎o◎)/キャッホーッ💕

去年(2017年)、下翅が黄色い系統のカトカラはジョナスキシタバとキシタバを採った経験があったが(註2)、それらよりも明らかに鮮やかな黄色だと感じた。

少し離れた所にいる小太郎くんを呼ぶ。
彼は蝶屋だけど(ワシも蝶屋だす)、オイラなんかよりも遥かに蛾に詳しいのだ。って云うか、小太郎くんは虫の事だったら何だって詳しい。若いけど尊敬しちゃうよ。蛾初心者のオイラとしては誠に頼もしい存在だ。
 
『これって、キシタバ系じゃなくなくね❓』
 
と尋ねたら、小太郎くんが事もなげに答える。

『あっ、カトカラですね。この時期だと多分フシキキシタバかな。結構珍品ですよ。だとしたら、奈良県での記録はたぶん無かった筈てす。初記録かも。』

あんた、何でも知ってはるなあ。やっぱ、マジ尊敬するよ。いつまで経っても、ワシ二流でぇ~す( ̄∇ ̄*)ゞ

にしても捕らえて確認せねば、どうしようもない。
上から毒瓶をかぶして、薬殺する。
酷い所業だ。これで、アッシも立派なマッド・サイエンティストの仲間入りじゃよ、Ψ( ̄∇ ̄)Ψケケケケケ…。きっとロクな死に方をせんじゃろうて。

暫く経って、昇天を確認したところで取り出す。

 

 
表の柄は渋いっちゃ渋いけど、所詮は蛾風情。地味だ。
ならばと、裏返してみる。

 

 
(;゜0゜)おっ❗、この特徴的な黄色と黒の縞模様は間違いなくキシタバの仲間だね。馬鹿なオイラだって、それくらいのことは解る。

小太郎くんが言う。
『間違いなく、フシキですね。』
真面目に名前を聞いてなかったので、改めて何だそりゃ?と思って訊き返す。
『フシキ❓、フシギ(不思議)じゃなくて(・。・;❓』

フシギノモリノオナガシジミとか、また誰かがメルヘンチックな名前でも付けたのかと思ったが、小太郎くん曰く、間違いなくフシギじゃなくてフシキだそうだ。
にしても、語源がワカンねえよ。兎に角、蛾トーシロ(素人)には聞いたこともない名前のキシタバだった。
名前なんて別にどっちゃでもええけど、カトカラはカッコ渋美しいから、蛾にしては好きな方かなと思った。
でも、ことさら集めようという気は起こらなかった。

そういえば、こん時はこんな事も考えてたっけ…。
去年も思ったんだけど、このカトカラグループの柄って、サイケデリックっぽくねっ❓
サイケデリック・アートにはカラフルな渦巻きみたいな柄があって、なんかジッと見てると引き込まれそうというか、(◎-◎;)目が回りそうになる。幻覚系ドラッグやってたら、コレってヤバいくらいにウルトラ立体的に見えるのかな❓(勿論、やんないけどー(^o^))
インドで出会った学生ジャンキーくんは、L・S・D をやったら、そんな風に見えたりすると言ってたなあ…。
アイツ、相当なジャンキーだったけど、まだ生きとんのかなあ…。

んな事を考えつつ、そっと上翅を少し上げてみた。
と、同時に色鮮やかな黄色がバァーンと目に飛び込んできた。
黄色はあまり好きな色じゃないけど、素直にとても綺麗だと思った。でも写真は撮らなかった。そんな事よりも意識はまだ見ぬシンジュサンの方に集中してたからだ。その美しさに心を動かされたとはいえ、所詮は前座だと思っていた。いつシンジュサンが飛んでくるかワカランのだ。かまけているヒマなどない。

その夜、💥ビシッとシンジュサンをシバいて、翌朝に帰った。この日が記念すべきオーバーナイト・モスだったワケだね。冷静に考えてみれば、蛾を求めて徹夜するだなんてビョーキだよなあ。我ながら脱力系で笑ってしまうよ。

一眠りしてから展翅してみて、(;゜0゜)驚いた。
日の光の下で見るそれは、もっと鮮烈な黄色だった。

 
【フシキキシタバ Catocala separans ♂】
(2018.6.7)

 
深くて濃い、どこか透明感のある山吹系の黄色だ。見ようによってはオレンジ色にも見える。
これを見て気持ちが一変した。
カトカラの中の所謂(いわゆる)キシタバと言われるグループは下翅が皆さん黄色くて、日本ではこのタイプのカトカラが圧倒的に多い。でも素人目には、どれも似ていて何が何だかワカンない。区別がつかねえもんは面倒クセー。だから敬遠してた。生来ミーハーだから、カトカラと云えば、こん時まではムラサキシタバしか眼中になかったのである。けんど、こんなに美しいのなら集めてみてもいいなと思った。それにスタートからいきなりの珍品で、しかも奈良県では未記録と云うのも何だか気分が良い。俄然、やる気になった。

後々知ることになるのだが、後翅の黄色部は他の黄色系カトカラと比べて、このフシキキシタバが群を抜いて美しい。その理由は他種と比べて下翅の黒帯が細いことにある。即ち、黄色い領域が広いということだ。少し毛色が違うが、この黄色の美しさに対抗しうるのはカバフキシタバくらいだろう。あと、蛾にしてはあんまりデブじゃないのも好感がもてた。
もしも最初に自分の力だけでゲットしたのが、少し前に発生する地味なアサマキシタバだったとしたら、おそらくカトカラには嵌まっていなかっただろう。いや、嵌まるにしても、もっと後だったかもしんない。
そういえばこの年は、ちょっと前の5月半ばにA木くんに『そろそろアサマキシタバの季節ですよ。今年は蝶の発生が全般的に早いから、もう出てるかもしれませんね。』と言われたのだった。けんど、言われても全然ピンとこなかった。そういうのもいたなあ…と云う程度で、あまり興味が無かったのだ。やっぱ、蒐める気がさらさら無かったのね。

 
後日、♀らしきものも採れた。

 
(2018.6.17)

 
♀の方が帯が細くて、より黄色いね。偶々かなと思ったが、図鑑等で確認すると、その傾向はあるようだ。
とはいえ、雌雄の決定的な違いはおそらく腹だろう。
♂は腹が細長く、その先端に尻毛(毛束)があるが、♀には無い。腹も短くて太い。加えて、翅形は♀の方がやや丸っこい。他にも判別点はありそうだが、蛾はトーシロだからワカンねえや。

とにかくコレを機に、フシキキシタバ、ひいてはカトカラ全般について調べてみようと思った。

フシキキシタバは、かつては大珍品だったようだ。
1889年に記録されてから、近年まで記録が無かったそうだ。それくらいレアだった。再発見されたのは1956年で、場所は兵庫県。何と67年ものインターバルがある。(・o・)何で❓
その後、岩手県、山梨県、北陸地方や近畿地方各地での発見が相次いだそうな。

ネットの『カトカラ全集』の県別カトカラ記録を見ると、小太郎くんの言うとおり奈良県では未記録になっていた。でも、これは単に正式な発表がされてないだけだと思う。とは云うものの、調べれば調べるほど珍品じゃなくなってきてるみたいだし、当然奈良県でも採れているという情報も入っている筈だろう。じゃなければカトカラ界の情報ネットワークが余程狭いのか、愛好者が少ないのか、もしくは管理者の怠慢を疑っちゃうよ。

 
【学名】Catocala separans(Leech,1889)

属名Catocalaの語源は、ギリシャ語の kato(下、下の)と kalos(美しい)を組み合わせた造語。つまり、後翅が美しい蛾ということだね。
小種名の「separans」は、おそらくラテン語由来。
意味は「分離」だろう。これは上翅と下翅の色が違うことからきてるのかと思ったが、それじゃテキトー過ぎる。他のカトカラもそうだからだ。
想像だが、たぶん下翅中央の黒帯が途中で分離、もしくは分離しがちだからではないかと考える。間違ってたら、ゴメンナサイ。

フシキキシタバは、英国人リーチによって1889年に富山県高岡市伏木と滋賀県長浜から得られたものから記載された。和名の由来はその辺からだと思われるが、なぜナガハマキシタバではなく、フシキキシタバになったのかと云う経緯はわからない。
どうあれ語源は、まさかの地名だったのね。納得だが、ちょっとガッカリだ。想像では、もっと複雑でドロドロしたややこしいミステリアスな命名ストーリーを描いていたからさ。
(-_-)フシキキシタバ殺人事件。ナガハマキシタバを主張した男は消されたな。アカン、また変な妄想がワいてきた。脳を強制停止じゃ。

分布は本州、四国、対馬。北限は青森県だが、その分布は局所的で記録の無い都道府県も結構ある。国外では朝鮮半島、中国北東部、ロシア沿海州にも分布するとされている。

成虫の開張は55㎜。図鑑等には6月初旬から現れ、8月下旬まで見られるとあるが、実際は7月に入ると殆んど見られなくなった。いても、驚く程みすぼらしいボロだった。新鮮な個体を得られる期間は短いのかもしれない。

フシキキシタバは下翅の黒帯が細く、黄色い領域が広いのが特徴だが、実をいうと日本には同じような特徴を持つものがもう1種いる。Catocala duplicata マメキシタバだ。
けど両者の判別は簡単。名前のとおりマメキシタバの方が遥かに小さいからだ(開張46~48㎜)。それに上翅の斑紋が全然違う。発生時期も1ヶ月近く後ろにズレるから、間違うことはまず無いでしょう。マメちゃんが登場する頃には、フシキさんはボロボロなのだ。少なくとも関西から西はそうだろう。

 
【マメキシタバ Catocala duplicata ♀】
(2018.8 大阪府四條畷市)

 
何か野暮ったいなあ…。
たぶん上翅のデザインにメリハリが無いからだ。それに、下翅の黄色にフシキのような透明感のある輝きが感じられない。どこか燻(くす)んで見える。

話をフシキくんに戻そう。
幼虫の食樹はブナ科コナラ属のクヌギ、アベマキ。
飼育する場合、同じコナラ属であるミズナラやコナラ、カシワが代用食になるというが、産地により受け付けない事もあるそうだ。

先にも触れたけど、フシキキシタバは近年までは指折りの大珍品だった。しかし、最近では関東地方の平野部など各地から多産地が見つかっているという。
これは食樹が判明し、灯火にあまり飛来しないこと、樹液によく集まること、発生期が比較的早くて期間も短いこと、昼間の見つけ採りでも得られることが分かったからのようだ。珍種と言われるものでも生態が分かってしまえば、普通種に成り下がることはままある。
とはいえ、かつては不思議キシタバとも言われるくらいに謎多き存在だったみたいだ。謎とかそういうのって掛け値なしに好き。謎があれば、そこには浪漫があるからだ。興味は尽きない。
これは想像だが、不思議だとされたのは、①記載されてから長い間再発見されなかった事。②再発見されてから突然各地で記録が急に増えた事。③蛾の主たる採集法であるライトトラップや外灯にはあまり飛来しない事。④前年には沢山見られたのに、翌年は全く見かけなくなったりする事。そして、⑤幼虫の食樹が何処にでもあるクヌギやアベマキだからだろう。
幼虫の食餌植物がレアなものなら、珍品たる理由も理解しやすい。それが、まさかの何処にでもあるクヌギの木となると、首を傾げざるおえない。

①と②は後回しにして、③からその理由を紐解いてゆこう。カトカラ1年生の空想、戯れ言だと思って聞いて戴きたい。

③だが、灯火にはあまり飛来しないとあるが、自分は灯火に飛来した個体を5頭以上は見た。但し、何れも深夜11時以降(註3)、遅いものは午前4時過ぎに飛来した。因みに飛来が多かったのは、午前1時前後である。
たぶんライトトラップや灯火まわりは、皆さんそれほど深夜遅くまでやらないから、それで会えなかったのではあるまいか。ゆえに灯火にはあまり飛来しないと考えたのではなかろうか。たった1年の経験だが、フシキは灯火への飛来が遅いタイプという可能性はあると思う。

④は、単に大発生した後の次の年には極めて個体数が減るからではないかと思う。大発生じゃなくとも、多かった年の翌年は個体数が減ると思われる。蝶なんかは、そういう例が結構多い。蛾でも有り得るだろう。

⑤が最大の不思議だった。どこにでもあるクヌギやアベマキが幼虫の食樹なのに、なぜ珍品だったのかが謎過ぎる。これを単にカトカラ愛好家の怠慢だと片付けるのには無理がある。クヌギをホストとするカトカラは他にもいるからだ(註4)。となれば、カトカラ愛好家さんたちがフシキキシタバがいるような環境に行く機会は少なくなかった筈だ。のみならず、その環境ならば甲虫屋だって訪れる機会は多い。甲虫屋の多くが蛾に興味を持っているとは思えないが、情報が入る確率はゼロではない。長い年月の間には、情報がもたらされる事もあって然りだろう。それでも稀にしか見つからなかったという事は、やはり昔は極めて稀な種だったと思われる。

発見されにくいのは、発生が比較的早いからだとも考えたが、コヤツの前にアサマキシタバが発生する。また、フシキの後にはすぐワモンキシタバや、ただキシタバ(Catocala patala)も発生する。前後どちらかを採集に行った折りに、会える可能性はそこそこあるだろう。だから、それも理由とはなりにくい。やっぱ不思議だわさ。

とはいえ原因のない結果は存在しない。きっとそこには某(なにがし)かの理由がある筈だ。
例えば、昔と今とでは里山の環境に何か変化はないだろうか❓地球温暖化とか、乾燥化とか、天敵の減少とかさ。
💡ピコリン❗そこで、はたと閃いた。
クヌギは昔から里山に住む人々に利用されてきた。成長が早く、植林から10年ほどで木材として利用できるからだ。材質は硬く、建築材や各種器具、車両、船舶に使われる他、薪や椎茸栽培の榾木(ほだぎ)、炭(薪炭用材)としても用いられてきた。伐採しても切り株から萌芽が更新し、再び数年後には樹勢を回復する事から、持続的利用が可能な樹木の一つとして農村では重宝されていた。それゆえ下草刈りや枝打ち、定期的な伐採など人の手が入ることによって林は維持されていた。これがいわゆる日本人のイメージする雑木林で、里山の風景の典型を成してきた。しかし、近代化と共に日本人の生活様式や農業そのものの有り様が変化した。そして、今では利用されることも少なくなり、放置されることが多くなった。
つまり、雑木林が放置されることにより伐採が減って、クヌギやアベマキの大木が増えたのではないだろうか。
クロミドリシジミの幼虫がアベマキの大木を好むらしい。そして、最近になって各地で増えているとも聞いている。フシキキシタバの幼虫も大木好きで、クヌギやアベマキの成長が進み、それに伴って増えたのではあるまいか❓ それだとキレイに説明がつく。どこにも、そんな事は書いてなかったけど…。

①は、⑤と関連性があるのではないかと思う。
記載されて長い間再発見されなかったのも、昔はクヌギの大木が少なかったからではないかな。

②も⑤とリンクしていて、再発見されてから急に各地で見つかり始めたのも全国的にクヌギやアベマキの大木が増えたからだろう。時代の流れで、里山の生活様式が想像以上に各地でワッと一斉に変わったんだろね。
個体数が増えると、観察される機会も増える。当然、詳しい生態もわかってくる。それが発表されれば、伝播は早い。加速度的に情報量が増えたから、発見が各地で相次いだのではないかと推察する。

再度言うけど、蛾初心者の戯れ言だと思って聞いて戴きたい。
色々と文献をあたってみたけど、調べた限りではこういった推察なり意見なりは見受けられなかったし、奈良県の記録は今年見ても空白のままだ。カトカラ愛好家って、もしかしてシャイなの❓

怒られそうだ。カトカラ愛好家の皆様方、けっして喧嘩を売っているのではござりませぬ。初心者ゆえにワケもワカラズ、素直に疑問をぶつけただけでござる。納得できる説明を御教示してくだされば、直ぐに謝罪、意見を引っ込める所存でありまする。
納得できねば引っ込めませんけどー。ツゥンマセーン。
あっ、このモノ言い、絶対怒られるなあ。
まあいい。どうせ周りでカトカラを集めているのはA木くんくらいしかいないし、滅多に遊んでもらえない。だったら、勝手な事をゴチャゴチャ言う一人ぼっちカトカラ愛好家になろう。
でも、本当は一人で夜出歩くのは嫌なんだよなあ…。
👻お化け、怖いし。

ここまでを酔っ払って一気に書いた。
翌日、読んでみて、ヤバいかなあと思った。偉そうなことを書いちゃったので、不安になってきたのだ。
そういえば、西尾規孝さんの『日本のCatocala』のフシキキシタバの項を読んでないんだよなあ…。去年の秋の終わりに大阪の自然史博物館で読ましてもらったんだけど、既に採った事のあるカトカラは無視して、まだ採ったことのないものを中心に読んだのだ。採ってしまえば、急速に興味を失う性格が仇になっちまっただよ。
とにかく、ここは是が非でも確認せねばなるまい。もう慌てて、ソッコーで自然史博物館に行ってきましたよ。

 
件の本には、アッシの考えたような事がちゃ~んと書いてあった。

「本種は比較的最近になってあちこちで産地が知られるようになった。老齢木にもつくようである。今から20年前にコシロシタバやマメキシタバ、オニベニシタバの多産した上田市のクヌギ林の樹齢は20年前後であった。40年になるとCatocala はつきにくくなるような印象を持っている。老齢木のタンニンは幼虫の成長阻害要因である。ミドリシジミの類の方がもっと顕著で、30年以上のクヌギにはクロミドリシジミ以外はまずつかない。近年の薪炭材の放置による林の老齢化がCatocala相に影響を与え、結果的に本種の多産につながっている可能性がある。」

別項の食樹についての欄にも関連した記述があった。

「幼虫はコシロシタバが特に発生する10年前後の幼齢の木にはほとんど発生しない。20年以上の大木によく発生する。」

Σ( ̄ロ ̄lll)やっベー、もう少しで大恥をかくとこじゃったよ。ちゃんと考えてはる人は、おるんやね。或いはカトカラ好きの間では、こんなの常識だったりして…。
カトカラ愛好家の皆さま、m(__)mゴメンナサイ。

それにしても、この西尾さんの本ってスゴいよなあ。
日本のカトカラについて、これ程までに突き詰めて書かれてある本は他に無い。幼生期も含めて、よくぞここまで調べ上げられたなと思う。生態写真もふんだんに盛り込まれているし、しかもキレイ。これはもうカトカラ界の金字塔的遺産でしょうよ。しかも自費出版なんだから驚きだ。生意気なカトカラ1年生も、その努力と執念、鋭い観察眼には感服させられましたよ。

 
そういえば、裏側の画像を添付してなかったな。

 
(裏面♂)

 
斜めってて、酷いな(笑)
写真を撮るのがテキトーすぎた。撮り直そうかと一瞬思ったが、もう、いいや。面倒クセーもん。
それはそうと、あんまし考えてなかったけど上翅の裏は黄色いんだね。裏はボオーッと見てたわ。もしも翅の表もこのデザインで、色鮮やかだったとしたら相当カッコイイぞー。

 
(裏面♀)

 
下翅は表の柄とある程度は連動してるっぽいな。
となると、キシタバグループの中では一番明るいのかな?とはいえ、表みたいに黄色が鮮やかではないから、どってことないけど。
そういえば、図鑑には裏側の標本写真が殆んど載ってないんだよなあ~。何でかなあ❓そのうち全種揃ったら、一同に並べてやろう。

とにかく、このフシキキシタバをキッカケに、このあとカトカラにハマって邁進する事とあいなった。
結果、1年で17種類が採れた。日本のカトカラは全部で31種類だから、半分は越えている。近畿地方以外の遠征は秋の山梨と長野の2回だけだった事を考えれば、結構頑張った方だと思う。

ここで「おしまい」と書いて、あっさりクロージングする予定だったが、やめた。らしくない。最後に饒舌男の一言を付け足して終りませう。

フシキキシタバは珍品の座を滑り落ちたが、他の場所でその姿を見る事は一度も無かった。今や大珍品じゃないかもしんないけど、分布は今もそこそこ局所的で、けっして普通種なんかではないと思う。誰にもポイントを教わらずに自分の力だけで見つけ出すことはそう簡単ではない筈だ。レア度のランクは下がったやもしれぬが、美しいことに変わりはないし、個人的には特別さはそんなに失われていないと思ってる。
何よりも黄色いカトカラの魅力を最初に教えてくれた種だ。この先、初恋の相手を悪く言うことはないだろう。最初に惚れた女を蔑(ないがし)ろにするような男にだけはなりたくない。
 
                  おしまい

 
追伸
第1回なのに、のっけから攻撃的な回になってしまったなりよ(^o^;)
カトカラ1年生なのに、生意気だよね。途中で書き直そうかとも思ったが、そのままにしておくことにした。理由の一番は面倒くさいからだけど、一旦吐いた(書いた)言葉は呑み込みたくないし、本音を言うのを厭わない方だからコレで良しとした。批判があれば、素直に謝罪なり反論なりすればいいことだ。

展翅は今思うと上翅を上げすぎたなあ。
蝶の展翅の時みたく、触角の角度と上翅との間隔(空間)を重視して展翅したからだろう。
あと、蛾ビギナーなので、図鑑を持っていないと云うのもある。お手本が無いのでイメージが湧かないのである。自然、テキトー俺流となる。
そういえば、蛾だから邪悪な感じにしたかったと云うのもあったな。上翅を上げ気味にした方がそう見えっからね。蝶じゃないから気楽で自由なのさ。蝶ほどに大切ではないゆえ、失敗しても別にいいやと思ってっからチャレンジャーにもなれるってワケ。
段々、思い出してきたよ。踏み込んで言うと、当時は世間の蛾の展翅に対して、あんまキレイじゃないなと云う印象を持っていた。ならば、ルール無用の悪党のワシがトレンドを作っちゃるーくらいの気分だったのである。我ながら尊大なアホだよねぇ(笑)。
でも実際は違った。今では思う。蛾の展翅は蝶よりも遥かに難しい。蛾は形がバラバラで、その造形は多岐に渡る。個性的なのだ。だから、種によってバランスが全然違ったりもする。やってて、何が正解なのか分からなくなってくるのである。おまけに触角にも色々なバリエーションがあるから、ややこしい。でもって、カトカラなんぞは髪の毛よりも細いから直ぐにブチッと切れるし、真っ直ぐになんないし、左右対称にするのは至難の技。ほとんど不可能と言っていい。
そんなワケで、今回のコレはコレで一つのそういうデザインと考えれば、そこそこカッコイイかもしんないと密かに思ってたりもするんだよねぇ…。
けんど、今年は上翅をもっと下げよ~っと。
先ずは基礎を学んでからでないと、トレンドとか崩しもヘッタクレもあらしまへん。遊ぶなら、もっと上手くなってから遊ぼっと。それに、秋田さんに褒めてもらいたいしね。

と、昨日はここまで書いて、註釈も含めてほぼほぼ文章を完成させてから生駒山地にウラジロミドリシジミの様子を見に行った。テリトリー(占有活動)を張り終える日没近くまでいたから、折角だし樹液が出てる場所を探すことにした。誰もいない真っ暗な山道を懐中電灯を持ってウロウロする。
で、たまたま照らした斜め上にカトカラらしきものが飛んでた。瞬時に反応して片手で網を振り抜いた❗
飛んでる時に裏側が鮮やかな黄色に見えたから、マジ振りである。アサマキシタバではない筈だから、もしやと思ったのだ。勿論、そういう時は滅多とハズさない。
網の中を確かめて、闇に向かって、『俺って、まあまあ天才。』と呟いたよ。

すかさず、毒瓶に放り込む。

 

 
ひゃっほー((o(^∇^)o))❗❗
( ☆∀☆)チラリズムの逆さ黄色いパンチィー❤❤❤
やっぱフシキちゃんだった。

 

 
期せずして、この日は去年初めてフシキキシタバを採った日にちと同じ6月7日だ。

《「この黄色がいいね」とオラが言ったから六月七日はフシキ記念日》

今日から6月7日は『フシキ記念日』と呼ぼう。
\(◎o◎)/おーっ、何と元ネタの俵万智の短歌『サラダ記念日』の日付の七月六日と入れ替わりの反対じゃないか。運命感じるぅー(σ≧▽≦)σ

フザけるのはこれくらいにして、展翅するなりよ。

 

(2019.6.7 東大阪市枚岡公園)

 
出来立て、ほやほやだよ~ん。
上翅の大きさが右側が少し小さいので、ビミョーに変だが、まっ、こんなところでしょうかね。
触角をきっちり整えるのを試みてみたが、(^_^;)無理だわ。これに関しては自然に任す方向で整えるしかないね。

とはいえ、下げたものの全然邪悪感がないなあ。
皆さんは、どっちがカッコイイと思いますぅ―❓
なんだか何が正しいのか、よくワカンナクなってきたよ。

 
(註1)シンジュサンを採りに行った折りに…
そん時のことは、拙ブログに『三日月の女神・紫檀の魁偉』と題した三回シリーズに書いとります。

 
(註2)ジョナスキシタバとキシタバを採った経験…
2017年の秋にA木くんに、ムラサキシタバを見てみたいとせがんだら、兵庫県北部にライト・トラップ採集に連れてってくれた。その時に採れた。といっても、採らしてもらったと云う方が近い。今でも自分の力では採ったとは思ってない。ようするに、お客さんだったワケだね。もっと言うと、最初は持ち帰る気はさらさら無かった。飛んで来たから思わず網に入れたものの、基本的に蛾は苦手だからどうしたものかと思ったのだ。でもA木くんが『持って帰ればいいじゃないですか。』と言うので、記念として持ち帰った。謂わば、この2017年の採集は、1回切りのお遊びだったワケ。だからがゆえの『2018′ カトカラ元年』なのだ。

 
(註3)深夜11時以降…
シンジュサンの回でフシキの飛来を午後10時半と書いたが、知らぬうちに己の記憶を勝手に都合のいいように改竄していたみたいだ。写真の撮影時刻を確認したら、午後11時過ぎになっていた。感覚と印象だけで言っちゃって、すいません。
ついでに補足しておくと、小太郎くんがシンジュサンを1頭持ち帰ったというのも間違い。持ち帰ったのは別な日で、しかもシンジュサンではなくてオナガミズアオでした。小太郎くんからの指摘で判明した。
人間の記憶なんてものは、思った以上に曖昧らしい。
自尊心と思い込みが強い人間は、気をつけた方がエエですな。

 
(註4)クヌギをホストとするカトカラは他にもいる
クヌギは、マメキシタバ、コシロシタバ、オニベニシタバ、アサマキシタバ、アミメキシタバ、コガタキシタバの食樹でもある。

 
 
《参考文献》

1971 保育社『原色日本産蛾類図鑑 下』-江崎悌三ほか

 
1971年の改訂版を参考にした。このあと1981年に、もう1回改訂版が出ているようだ。因みに初版は1958年の発行です。

 
・2011 むし社『世界のカトカラ』石塚勝巳
 

 
初心者がカトカラの世界を知るには、この本が一番だろう。解りやすくて、よく纏まっている。平易な言葉が使われているし、図版の写真も綺麗。レイアウトもスッキリしている。また、日本のみならず世界のカトカラまで紹介しているから、属全体を俯瞰で見られるところも素晴らしい。

 
・2009『日本のCatocala』西尾規孝
 

 
自信の表れだろうか、シンプルで渋い表装だ。
素直にカッコイイと思う。

 

山菜の話①

 
少し古い話だが、4月の終わりに能勢方面に姐さんと山菜探しに行った。

えー、最初に言っておきます。蝶に関しては10年経ったので高校生くらいの実力。蛾に関しては去年から真面目に取り組み始めたので小2レベル。そして山菜においてはド素人のピカピカの一年生、小1風情なのだ。だから冒頭で山菜採りとは言わず、山菜探しと言ったのである。
と云うワケなので、この先の記述に間違いも多々あるかと思われます。何せ小1レベルなんすから。その辺はトーシロの意見として大目にみてくだされれば幸いざんす。

先ずは道の駅に立ち寄った。
これには3つの理由がある。
1番目は道の駅ならば、山菜が売ってるんじゃないかと考えたからだ。山菜ド素人ゆえ、山に入っても何も見つけられない可能性がある。そうなると、なあ~んも楽しくない。同行の姐さんにも申し訳ない。謂わば保険をかけたようなものだ。たとえ採れなくとも食えると思えば、気持ちは楽になる。

2番目はサンプルが必要だと感じたから。
セリに対してのドクゼリ、ミツバに対してのドクミツバ、コシアブラと間違えやすいウルシetc…、植物にはソックリさんが結構たくさんあって、一方には毒があるなんてことは多々あるのだ。素人がそれを見極めるのは困難だ。間違って変なもん採取して食ったら、おっ死にましたー(○_○)じゃ、洒落になんない。
ゆえにサンプルがあった方がいいと思ったワケだすな。図鑑やネット情報も役立つとは思うが、百聞は一見にしかず。実物に勝るもの無し。写真からは香りが立たないのだ。この香りと云うのが同定の大きな鍵となると思ったんだよね。
おで、バカだけど、時々カシコイ。

3番目の理由は昼飯の調達である。
何か食いもんが売っている筈だと踏んだのだ。事前にコンビニで買うことも考えたが、それじゃ味気ない。ギャンブルだが、予定調和なんぞクソ喰らえだ。面白くない。

オラの読みはバッチリ当たった。
道の駅には、たくさん山菜が売っていた。そこで、コシアブラ、コゴミ、ゼンマイ、セリ、クレソンを購入した。タラの芽やワラビ、木の芽(山椒の葉)も売っていたが、それくらいはワシだって分かるので買わなかった。
それにしても驚いたのは、9時のオープン前から結構な行列が出来ていた事だ。前に並ぶオジサン夫婦に訊いたら、去年は10時に来ても何も無かったそうだ。
(;゜0゜)マジっすか❓、マジスカポリス❗
えっと、マジスカポリスとはミニスカポリスのパクり。ミニスカートのお色気警官ではなくて、何かあったら『マジっすか❓マジっすか❓』を連発する身長140センチの小太り下膨れ顔の警官です。

9時ピッタリに入口が開いた。
おーっΣ( ̄ロ ̄lll)、お言葉通りにオープンと同時に雪崩れのように人が売場に押し寄せてゆく。
マジっすか、マジスカポリス❗❓ みんな走っとるやんけー。つられてオイちゃんも走る。走りながら笑ってしまう。あまりにみんな必死なので、何だか可笑しくなってきたのだ。
見る間に売場は人でゴッタがえし、まるでバーゲンセールの会場みたいになった。何だか楽しい(^▽^)
姐さんに『吟味するな。躊躇するな。数を多めに確保せよ。迷ったものは全部カゴに入れろ。あとで必要のないものは元に戻せばいい。』と檄を飛ばす。

この売場には、タケノコ御飯も売っていた。
入口でアマゴ(ヤマメ)の塩焼とアマゴめしも売っていたので、それもゲット。
読み以上の収穫があった。幸先が好い。

ここまで書いてて、画像が一つも無いことに気づく。
でも、考えてみれば写真をロクに撮ってない。姐さん相手にバカ話ばっかしてたのだ。ボケ倒せる相手はそうはいないから、ここぞとばかりのボケの垂れ流しに余念がなかったのじゃ。

写真はこんなのくらいしか無いや。

 
【買った山菜(一部)】

 
真ん中がコシアブラ、右上がゼンマイ、左下コゴミ。
左上のは、生のどんこ椎茸なんだけど、これは道の駅で買ったもんじゃなかとです。

 
【タケノコ御飯とアマゴめし】

 
タケノコ御飯は、可もなく不可もなくフツー。
アマゴめしは旨かった。塩焼も旨かったし、さすが渓流の女王と呼ばれるだけのことはある。
因みに、下のアマゴめしの箸はオジサンの手作り。箸袋にアマゴちゃんがいて、飛び出てる。オジサンに『これって、もしかして自分で作りはったん❓』と尋ねたら、照れくさそうに頷いた。何だか、ほのぼの(o^O^o)したよ。

山菜探しについては、今回は結果だけ記しておこう。
色々あって面白かったんだけど、書くとまた長くなるんで割愛。おいおい書く予定の各山菜の回にちょこちょこブチ込んでゆくつもりです。

コシアブラ、コゴミ、ゼンマイは結局見つけられなかった。タラの芽はあったけど、時期が遅すぎた。成長が進んでてダメ。フキノトウも同じ理由でダメ。
見つけられたのは、セリ、クレソン、ミツバ、山椒、ノビル、ワラビ。まあ、初心者としては頑張った方だと思う。

スンマセン。コレも画像がこんなのしかない。

 

 
ノビルである。
これに関しては色々面白かったし、書きたい気持ちもあるので、おいおい書くことになるかと思う。
ゲットした他の山菜の料理も併せて紹介していくつもりです。

                  つづく

 
追伸
スマホのストレージが溜まってて、料理の写真を消したいから書き始めたんだけど、これじゃ全然消せないじゃないの(笑)。

 

三日月の女神・紫檀の魁偉ー完結編

 
 
第3話である。ようやく完結編だけんね。今度こそ、ちゃんとクロージングさせまっせ。

 
思えば、シンジュサンにはまさかの惨敗に次ぐ惨敗だった…。

 
2018年 6月7日。
この日は午後3時くらいに東大阪市の枚岡公園に出掛けた。ウラジロミドリシジミの様子を見るためである。
まだウラジロミドリを採ったことが無いという中学生に会ったので、ポイントに案内してあげる。
今どき虫採りをしている若者なんざ絶滅危惧種だから、大事にしないといけんのだ。

しかし、個体数は例年よりも多いものの発生が早かったようで、既に傷んだ個体ばかりだった。
それでも中学生は採って感激してくれていた。自分も最初の1頭には震えた事を思い出した。
フィリップ・マーロウの言葉を借りれば、『初めてのキスには魔力がある。2度めには、ずっとしていたくなる。だが、3度めには感激がない。』である(註1)。最初の1頭にこそ価値があるのだ。少々羽が破れていても関係ない。もちろん完品が望ましいが、ファーストインプレッションは必ずしもそうであることが絶対条件にはならない。
どうあれ、よかった。百聞は一見にしかず。狙った虫は、採らなきゃ何も始まらないのだ。虫捕りは恋愛とよく似ているかもね。

 
夕陽を眺める男女を囃し立てて写真を撮らしてもらい、山をおりる。

 

 
枚岡公園から転戦。今宵も矢田丘陵へ。
そう、又しても懲りずにシンジュサンを求めての灯火巡りなのだ。何としてでも6連敗は阻まねばならぬ。これ以上の連敗は自信喪失、心がポッキリと折れかねない(現在のヤクルトスワローズみたいに15連敗もしたら、虫採りなんかやめるね)。

名前がワカランがスタイリッシュで、シャレ乙な蛾がいた(註2)。

 

 
採るかどうか迷ったが、そのままにしておく。
邪魔くさいので、チビッ子蛾はフル無視なのだ。

小太郎くんがコチラに来る道中でバカでかいスッポンを拾ってきた。

 

 
写真はビニール袋を破って逃亡を企てている様子。
持ってみたら驚くほど重かった。このデカさは主(ぬし)クラスだわさ。売ったら、相当な値がつくだろう。

スッポンはスープが絶品なんだよなあと呟いたら、
小太郎くんが『さばきます?』と言ってきた。
(゜ロ゜;ノ)ノそれは絶対無理❗❗

夜10時半。
ヒマ潰しに樹液ポイントを回って戻ってきたら、柱に見慣れぬ蛾が止まっていた。
(;゜∀゜)あっ!、もしかしてカトカラ❗❓
何となく勘でそう思った。

 

 
採って裏返したら、特徴的な黄色と黒の縞々模様がある。やはりカトカラくん(キシタバの仲間)だった。

 

 
キシタバはカッコ渋美しいから嫌いじゃないけど、正直どうだっていい。今はシンジュサン以外は眼中にない。あとは皆、所詮は雑魚だ。
袖にされまくって、いつしか心はシンジュサンに奪われている。そう、恋い焦がれていると言ってもいい。
世の中の、うら若き女子に告ぐ。口説いてくる男子は1回は振っておきましょう。さすれば、バカな男子は貴方により熱を上げまするぞ。2回目のアプローチが無くとも責任持たないけどさ(^o^)

 
気温が高くなってきたせいか、格段に飛来する蛾の種類数と個体数が増えてきている。

 

 
これはトモエガの仲間(註3)だね。
昔は感覚的に気持ち悪かったけど、今や蛾に対する免疫も少しづつ出来てきたので初ゲットしてみる。

 

 
わっΣ(゜Д゜)、裏が鮮やかな紅(くれない)なのね。
紅蓮の🔥炎じゃよ。地獄の業火の色だ。この感じ、まるで地獄の使者みたいじゃないか。
でも同時に素直に美しいと思う。今まで飛び退いてて、ゴメ~ン。

そういえば、台湾に蒼くて糞カッコイイ綺麗なトモエガがいるみたいなんだよね(註4)。生来の青好きとしては、あれはマジで採りたい。でも、名前も何処へ行けば採れるのかもワカラン。アレに会えたら、蛾世界にも素直に入っていけるかもしれんのにのぅ(# ̄З ̄)。
きっと人生には、時に何かを飛び越えるキーワードとか、切っ掛けが必要なんだよね。

  
時刻は既に午後11時を過ぎている。
車が無いので、本来ならば帰らないといけない時刻だ。しかし、今日は背水の陣で臨んでいる。朝まで粘ると決めた。ここまでくれば、もう意地である。執念が無ければ欲しいものは手に入らない。

午前0時前。
小太郎くんとしゃがみこんで、網に入れたクソ蛾についてグダクダ言っている時だった。
視界の端で何かが飛んだ。と同時に『来た❗❗』と叫んでクソ蛾を網に入れたまま走り出していた。💨猛ダッシュだ。久々に体内でアドレナリンが💥爆発しているのが自分でも解る。

夜空に、恋い焦がれていたシンジュサンが舞っていた。
だが、思ってた以上に飛翔速度が速い。しかも、飛ぶ軌道がメチャクチャだ。
背後に小太郎くんがいる気配を背中で感じる。ここで振り逃がしたら笑い者だ。何があってもハズせない。それに、もしハズせばグダクダとあーだこーだと言いワケしかねない。いや、絶対するに決まっている。そうなれば、そこにどう正当な理由があろうともカッコ悪いことには変わらない。結果を出さなければ、クソだ。
緊張と慎重の狭間で構える。脳が躊躇はするなと命令する。両肩にグッと力が入る。距離を詰めた。迷いは禁物だと肝に命ずる。スウィングの始まった瞬間に目の前で左下に急降下した。内角を抉ってくるシンカーの軌道だ。(|| ゜Д゜)えっ、マジ❗❓
その落ち際を💥一閃、左から右へと振り抜く。スローモーションでターゲットがネットに吸い込まれてゆく。すかさず網を捻り、逃亡を防ぐ。
乾坤一擲。鬼神の如き網さばきで、一振りで鮮やかに決めた。超気持ちイイー。
 
しかし、クソ蛾とシンジュサンの両方が網の中で暴れており、(;゜0゜)わっ💦、(;゜0゜)わっ💦、(@_@;)わっ💦、あたふたする。
『どっち❓、どっち❓どっちを先に〆たらいいのー❓』
軽くパニくっちゃってて、小太郎くんにワケのワカランことをのたまってしまう。
『何言ってるんすかー❗❓ クソ蛾よか当然シンジュサンでしょうよ。』
( ・∇・)☝そりゃ、そーだー。
クソ蛾なんぞ、どうなってもいい。2匹が絡んでシンジュサンの羽が傷んだらエライコッチャである。何ならクソ蛾の方は踏みつけて、それを阻止したっていいのだ。
でも、そこまで悪人にはなれないので、手で網を押さえて両者を分かち、その間に小太郎くんにアンモニア注射を打ってもらう。

💉ブチュー❗
一発で👼昇天じゃよ。
虫屋って、やってることがマッドで変態やなあ。

網から取り出す。この僅かな時間がもどかしい。でも同時にその刹那は歓喜へ通ずるプレリュードでもある。

そっと手のひらに乗せる。

 

 
💕やっと会えたよ、シンジュサン。
全身に多幸感がゆっくりと広がってゆく。
4枚の羽一つ一つに三日月紋が配されているね。
シンジュサンの学名の小種名は「cynthia(シンシア)」。ギリシア神話の月の女神に由来している。だったら、神が遣(つか)わし三日月の女神だね。

狙った獲物をシバいた時の❤エクスタシーは堪んないよね。これこそが虫捕りの醍醐味じゃけぇ。
(о´∀`о)ぽわ~ん。我、今年最初の多幸感に包まれり。

『いやあー、普段はチンタラしてるのに、マジ反応早かったですねー。しかもダッシュが半端なく🚀ロケットスタートでしたわ。』
小太郎くんが笑いながら言う。
誉め言葉と取ろう。小太郎くん、蛾好きでもないのに付き合ってくれてアリガトねー。

とにかくコレで何とか一つの種の連敗記録の更新を免れた。5連敗したのはキリシマミドリシジミとコヤツだけ。2連敗したのが、ベニモンカラスシジミとタカネキマダラセセリで、あとは運と引きの強さで全部その日のうちに仕留めてきたのだ。打たれ慣れてないから泣きそうだったけど、これでまたヘラヘラ笑えるよ。

初の出会いの興奮が醒めやらぬうちに、シンジュサンは立て続けに飛んできた。
 
2頭目はデカかった。
さすが日本で2番目に大きいと言われる蛾だ。
羽の厳(いか)ついデザインも相俟って、魁偉と言ってもいい姿かたちだろう。
とはいえ、冷静に見れば、想像してた程の大きさではない。他のヤママユガ科の蛾たちと比べて胴体が細く、羽も薄いので、やや迫力に欠けるきらいがある。ヤママユの方が羽が分厚いし、腹もぽってりで迫力がある気がする。厳ついとかゴツいというよりも、寧ろ優美かもしんない。
いや待てよ。それはあくまでも見る側の視点の置き所にすぎないだけかも…。蛾を怖れる女子やお子ちゃまにとっては、充分恐ろしい姿に見える筈だ。ならば、やはり魁偉と言えよう。

そして、更に続けて飛んで来たのは、何じゃこりゃのチビッ子シンジュサン。大きさにかなりの個体差があるのに驚く。

 

 
他のヤママユガ科の蛾は、だいたい大きさが揃っている印象があるのだが、コヤツらは大きさに落差があり過ぎる(註5)。

午前0時前から約30分間で怒濤の計5頭が飛来。
その後、パッタリと来なくなって、やがて朝を迎えた。
明けてくる菫色の空が美しかった。
爽やかな微風が頬を撫で、背後の森の木々たちを静かに揺らした。
それを合図かのように立ち上がり、駅へとゆっくりと歩き始めた。

 
                 おしまい

 
追伸
ゲットして、懐中電灯を照して撮った写真があまりにも酷くて、全然その美しさが伝わってないような気がする。
と云うわけで、自然光で撮りなおした。

 

 
灯火の下ではオリーブグリーンに見えたが、こうして日の光のもとで見ると、だいぶと印象が変わる。
エレガントだ。何ともいえない淡い赤紫に惚れ惚れとする。でも単純な赤紫色ではない。もっと相応しい色の表現がある筈だ。
そして思い浮かんだのが、紫檀色。これは高級タンスなんかにもよく使われる紫檀(したん)の木の色から来ている。紫檀色って、ちょっと高貴な感じがしてピッタリじゃないか。

 
(出展『伝統色のいろは』)

 
(-_-;)むぅー、でもシンジュサンの写真の色と見比べてみると、違うなあ…。頭の中の記憶ではこういう色に見えた筈なんだけどなぁ…。写真の映りが悪いのか、それとも脳内で勝手に色を増幅させたのかにゃあ…。
ι(`ロ´)ノえーい、この際そんな事どっちだっていい。わたしゃ、イメージ重視の人なのだ。記憶の中の色こそが、リアルな色だ。

因みに、紫檀の木は英名をローズウッドという。
今はコチラの呼び名の方が、紫檀よりもポピュラーかもしんない。

 
(出展『伝統色のいろは』)

 
木の方は更に赤く見える。
けど、これは木にもよるだろう。
例えば、こんなのもあった。

 
(出展『エコロキア』)

 
噺は変わって、羽の先は鉤状に湾曲している。

 

 

 
コレを蛇、もしくは蛇の頭の形に擬態しているとする説が誠にしやかに流布されているが、ホントかよ❓と思う。
んなもんで、鳥が騙されてくれるかね❓それって、無理からでねーの❓所詮は言い出した人の願望であって、こじつけじゃねえの❓
日本の学者とか研究者は、何でもかんでも擬態にしたかる傾向があるような気がするんだけど、おいらの思い過ごしかなあ…。

それにしても、この個体だけ腹ボテで群を抜いてデカいから、てっきりメスだとばかり思ってたけど、触角の形はオスなんだよなあ…。オカマかえ?
たぶん、♂だとは思うけどさ。去年は♀が採れてないから、今年は採らんといかんな。

それでは、恒例の(´・ω・`)もふぅ~。

 

 
🐰うさぴょんみたいだ。
シンジュサンもヤママユの仲間なので、もふ度は高しで可愛いい。前足とか、もこもこやんか💕

 
(註1)フィリップ・マーロウ「初めてのキスには魔力がある…」

レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の主人公の名前。セリフはハードボイルド小説の金字塔『長いお別れ』の中でのもの。

 
(註2)シャレ乙な蛾がいた
アカスジシロコケガというコケガの1種かと思われる。
美しいが、特に珍しいモノではないようだ。

 
(註3)トモエガの仲間

【ハグルマトモエ Spirama helicina ♀】

 
分類はヤガ科(Noctuidae) シタバガ亜科(Catocalinae) Spirama属とある。
漢字にすると、おそらく「歯車巴」と書くのだろう。
歯車みたいな巴紋をもつ蛾ってことだろね。

トモエガの仲間としたのは、この時点ではハグルマトモエとオスグロトモエの♀との区別がつかなかったからだ。両者は、ホントよく似ているんである。

 
【オスグロトモエ ♀】
(出展『北茨城周辺の生き物』)

 
違いはハグルマトモエと比べて巴紋がやや小さくて、全体的にメリハリがないところ。

 
(註4)台湾の糞カッコイイ青いトモエガ

調べたら、Erebus albicincta obscurata という蛾らしい。台湾名は「玉邊目夜蛾」「玉邊目裳蛾」「白邊魔目夜蛾」など複数があるようだ。

 
(出展『Wikimedia commons』)

(出展『Xuite日誌 随意窩』)

 
バリ、カッケー( ☆∀☆)
結構珍しい蛾のようで、そこそこ高い標高に生息しているみたいだ。誰か採れる場所と採り方を教えてけれ。

(註5)大きさに落差が有りすぎる

 
大人と中学生と小学生くらいに大きさが違う。
自然状態でコレくらい個体差がある鱗翅目って、他にあったっけ❓
たぶん、いる筈だが、ちょっと浮かばない。

ついでに各々の展翅写真も添付しておこう。

 

 
上から大中小である。
それにしても展翅が酷いね。特に1頭目は最初にした展翅だから、上翅を上げすぎてる。慣れない蛾の展翅でバランスがワカランかったのさ。以下、少しづつマシになってゆくのは、上の順の時系列で展翅したから。それがそのまま出ている。パープリンといえど、ちょっとは学習能力があるんである。
今年採れたら、もう少しマシな展翅しよっと。

ついでに展翅板から外した画像も添付しとくか。

 

 
バランスはそんなに悪くはないんだけど、やっぱダメだな。

この日は全部で5頭飛来したのだが、1頭は小太郎くんが持ち帰った。残りの1頭は羽が結構破れていたので展翅していない。修復用にとってあるのだ。けど、こんだけ大きさが違うと、使えんのかね?
この蛾、飛び方の軌道が無茶苦茶で雑い。すぐ地面に落ちて暴れまわるし、木々の中を縫うようにして飛ぶ。おまけに羽が薄いときてる。ゆえに羽が損傷しやすいのだろう。小太郎くん曰く、中々完品に出会えないというのは、そういう事からだろう。

生態面を付け加えておくと、灯火への飛来はこの日が一番多く、他の日は全部1頭のみの飛来だった。何れも飛来時間は遅く、午後11時から午前4時の間であった。
で、後日採れたのは、全て羽が破れていた。採集適期は短いと思われる。

さあ、これでやっとカトカラシリーズに取りかかれる。乞う、御期待あるよ(^o^)

  

三日月の女神・紫檀の魁偉~泥濘編

思えば、去年シンジュサンには振り回された。
普通種だとナメてかかってたけど、連敗に次ぐ連敗で、ボコられたんだよなあ…。

 
5月22日、最初は生駒山地南端の信貴山に行った。

 

 
オオシモフリスズメの記録が多いし、有名なお寺に灯火があると睨んだからだ。
しかし、その殆んどは L.E.D.に替わっていた。

 

 
山頂部に僅かに残る蛍光灯で待つが全然ダメだった。
それで思い出したんだけど、この日は日没後しばらくしてフランス人のオバチャンが登ってきて、網を持ってるオラに英語で『何してるの❓』と尋ねてきた。

 

 
アンタこそ、こんな時間に何してんの❓と思いつつも、素直に『蛾を探してます。』と答えたら、『トレビア~ーン💮』と言われたのだった。
暫し会話して、最後に一緒に記念撮影を求められてパシャ&バイバイ👋。何だかよくワカンなかったけど楽しかったよ。それにしても、フランス人は、オバチャンでもスタイルいいよなあ。所詮、東洋人はネオテニーなのさ。

そういえば若い頃にユーラシア大陸をバイクで横断した時にも、フランス人に同じセリフを言われたっけ…。
たぶんフランスのロワール地方の古城だったと思う。

『OHー、サムラーイ( ☆∀☆)❗トリビア~ン❗』

古城内にベルナール・ビュッフェの小規模なギャラリーがあって、そこで太ったオッサンに目を丸くして言われたのだった。
当時はモトクロス用のプロテクターを着ていたので、それが戦国武将の甲冑にでも見えたのだろう。
一応、笑いながら『この無礼者がっ!』と言ってやった。日本語だから意味なんぞ解るワケがないのだ。
旅では、その後も何度かフランス人にトレビアーンと言われた。エアでバッサリ斬ってやったこともあった。もちろんフランス人は関西人ではないので、『ぎゃあ~。』とか言ってその場で倒れてはくれない。ゆえに、すかさず『It was only joking.』とフォローせねばならないのは言うまでもない。
まあ、フランス人にトレビアンと言われた日本人はそうはいないと思うよ

10時過ぎまで粘ったが、時間の無駄だった。当然、帰りのバスは既に無く、三郷駅まで歩かざるおえなかった。長い坂道を終電に間に合うよう足早に歩く。
駅まであと少しといったところで、コンビニの駐車場の強烈なライトに大きな影が舞った。
ぬおっ( ̄□||||❗❗、一瞬、目に入ったその形は、メモリーされているシンジュサン特有の鉤状に出っ張った羽先に見えた。
Ψ( ̄∇ ̄)Ψおほほのほ、さすが引きの強いオレ様だい。毎度の事ながら、最後の最後にチャンスが舞い降りてきたぜ(^o^)v
強く願う心と諦めないハートを持ち続ける者だけに、神様は幸運をプレゼントしてくれるのだ。
でもコンビニに行くには目の前の道路を横断しなければならない。しかし、タイミングの悪いことに右手から車が近づいてきていて、渡りたくとも渡れない。ざわつく心で車の通過を待って、軽くダッシュ💨する。全速力ではなかったのは、余裕のヨッちゃん、どこかでもう採ったも同然の気分になっていたからだ。ドラマチックなフィナーレを想像して、おっちゃん、ヘラヘラ笑いになっていたのである。

(・。・;あれっ❓……。
しかし、いる筈のシンジュサンの姿がない。そこには、ただ強烈な光だけが在った。そう、跡形もなく忽然と消えていたのだ。慌てて周囲を見渡す。だが、やはり飛んでいる姿はどこにも無い。目を切ったのは5秒くらいだ。狐に摘ままれた気分で呆然とその場に立ち尽くす。
願望が強過ぎて幻覚でも見たのだろうか❓バカな…。にしてはリアルすぎる。

暫く此処で待とうか…。
咄嗟に腕時計に目をやると、終電の時刻が迫っていた。5分くらいは余裕があるかもしれないが、初めて来る土地だ、何があるかワカラナイ。少しでも道を間違えたら、乗り遅れかねない。ギリは避けたい。
漆黒の夜空を恨めしげに見上げる。大きな溜め息を一つ吐(つ)き、駅へと歩き出した。

惨敗だったが、でもこの時はまだ心に余裕があって、そのうち楽勝で採れると思ってた。

 
翌23日、再び三郷のコンビニを訪れた。リベンジである。しかし、天気予報に裏切られて、着いて間もなく雨が落ちてきた。小雨の中、周囲を探索するも、クソ蛾すらいなくて、リベンジどころか返り討ちの憂き目にあう。

 
5月27日は知り合いの姉さんと京都に蛍を見に行った。ついでにちょっとだけ探したが、見つからず。

 

 
おまけに蛍も見れず、晩飯を食って帰った。
ぽろぽろ( ;∀;)、何でおらんのん❓

 
5月29日は矢田丘陵方面に行ったが、見ず。
食樹のクロガネモチがギョーサン有るのに、気持ち悪いエダシャクしかおらん。(=`ェ´=)死ねや、ワレ。

 

 
何でやねん❗❓(/´△`\)
次第に焦燥に駆られる。

  
6月1日には八尾市楽音寺の大阪経済法科大学に行った。
ついでにウラジロミドリシジミの様子も見てやろうと云う算段である。
🚲キコキコキコキコー。しかも、ママちゃりで。バリ、遠かったよ。

 
【ウラジロミドリシジミ ♂】
(2013.6.10 東大阪市枚岡公園)

(2014.6.2 兵庫県猪名川町上阿古谷)

  
しかし、なぜか夕暮れになってもウラジロミドリは姿を見せなかった。
フライング❓でも今年は発生が早いと聞いていたのになあ…。

 

 
ミズイロオナガシジミしかおらず、手乗りさせて遊んでいるうちに日が暮れた。

 
【ミズイロオナガシジミ】

 
青のグラディエーションが美しい黄昏だった。
この時間帯の空が一番好きだ。心がスゥーッと落ち着く。

 

 
しかし、照明は全部 L.E.D.で、お話にもならなかった。成果、ゼロやんけ(ー。ー#)

 
6月3日は京都・南禅寺界隈に行った。そこにシンジュサンの食樹の一つであるカラスザンショウが沢山生えていると云う情報を得たからだ。
また、ここは佳蝶キマダラルリツバメの有名産地でもある。久し振りにキマルリにも会いたいし、上手くいけば一石二鳥だ。キマルリも採れて大団円で凱旋ってな展開を密かに思い描いていた。

 
【キマダラルリツバメ】

(裏面)
(2016.6.18 兵庫県神鍋高原)

 
けんど、又しても惨敗(ToT)
なぜかキマルリも1頭も飛んで来なかった。

 

 
この日も美しい黄昏だけが慰めだった。

これで5連敗だ。真剣には探してない蛍の時も入れれば6連敗である。虫採りで5連敗もしたのは、いまだかつてキリシマミドリシジミだけしかいない。まさかシンジュサンで再び喰らうとは夢にも思わなかった。
シンジュサンって、本当に普通種かよ❓もしかして、昔、普通種。今は激減してて絶滅危惧種とかじゃねえだろうなー。
悔しいやら情けないやらで、なんか半泣きになってきたよ。

今回で、蛾の採集は蝶よりも難しいと痛感した。
蝶と比べて蛾の情報量は圧倒的に少ないし、昼間飛ぶ蛾以外は飛んでいるのを見つけるのは至難だ。当たり前だが、夜は暗いのだ。だから、見つけるには灯火に飛来したものを探すか、花や樹液で待ち伏せするしかない。されど今は照明の殆んどが、L.E.D.に替わってしまっている。昆虫は紫外線の多い水銀灯や蛍光灯にしか寄ってこないのだ。L.E.D.はああ見えて紫外線量が少ないのだ。蛾を忌み嫌っている頃は有り難かったけど、まさか蛾を採る事になろうとはなあ…。青天の霹靂だよ。
また、花や樹液での採集はシンジュサンには無効だ。彼らは口が退化しており、食物を摂らないのだ。

シンジュサンどころか、ウラジロミドリやキマルリにもフラれ、挙げ句に蛍まで見れないなんて酷すぎる。
憂鬱だ。暗憺たる気分になってくる。
けれど、逃げるワケにはいかない。そんなもんはオラのプライドが許さないのだ。心を硬質化させ、いよいよ背水の陣で臨まねばならぬ。
帰り道、ヒロユキは死ね死ね団の歌を口ずさみながらママちゃりを漕ぎ漕ぎ、強くリベンジを誓ったのであった。
ゼッテー、シバく(*`Д´)ノ❗❗
 
 
                   つづく

 
追伸
2回で終わる筈だったが、終わらん。
原因は最初にメインの後半を書いてから、前半部に取り掛かったからだ。ようするに、前半が思いの外に長くなったので力尽きたのだ。
長い間ソリッドな文章を書いていないので、書けなくなっている。実を言うと、文章は短い方が書くのが難しい。長々とウダウダしか書けないのは、才能の無い証拠なんである。

えー、そう云うワケで、次回は必ずや完結させまする。

 

名古屋コーチンの手羽先

 
名古屋コーチンの手羽先が半額になっていたので買った。
揚げるか、焼くか、それとも煮るかで迷った。手羽先餃子なんてものいいなあ…。
けど、結局面倒くさくなって、めんつゆで煮ることにした。

で、使用しためんつゆがコレ。

 

 
ヤマサの『昆布つゆ』ですな。
まあまあだ。悪くない。だが、特に気に入っている銘柄ってワケではない。たまたま安かったから買っただけの事だ。って云うか、そもそもオイラはめんつゆがあまり好きじゃない。甘ったるいからだ。だから、普段は使わない。でも、この日の夜は何となく甘辛なのが食べたかったのだ。

めんつゆに手羽先を放り込む。火をつけたら、弱火でじっくりと温度が上がるまで待つ。沸騰しかけたら火を止め、あとは余熱で火をとおす。

手で食べられるくらいに冷めたら、盛りつけて完成。

 

 
一口囓じって、Σ(-∀-;)驚く。
思ってた以上に硬かったのだ。もちろん煮すぎたワケではない。火入れは完璧だ。
でも、続けて二口、三口と食べて理解した。これは硬いわけではなくて、身の弾力がスゴいのだ。ぶりんぶりんですねん。
いったん脳がそう認識すると、急にメチャクチャ美味くなってきた。もう深夜だし、太ったから1本だけにしとこうと思っていたのに、3本全部食ってしまったなりよ。

名古屋コーチンの手羽先、マジ美い(☆∀☆)❗

 

三日月の女神・紫檀の魁偉

 

先日、新たな連載『2018′ カトカラ元年』の第1回 プロローグ編を上梓した。
勢いで、そのまま本題である第2話をあらかた書き終えたところで、はたと筆が止まった。文章の流れ上、お題のカトカラの前にシンジュサンの事を書かねばならぬと強く思ったのだ。

シンジュサンを追いかけ始めた切っ掛けは単純だった。
幼少の頃から蛾は苦手だったけど、なぜかヤママユの仲間はそれほど恐くはなかった。これはたぶん、怪獣モスラの影響だろう。モスラは怪獣界のアイドル。いい奴なんである。モスラって、どこか健気だしねぇ。それが知らぬうちに良いイメージへと繋がっていたのだろう。
それゆえ小さい頃に、恐る恐るではあったが、巨大なヤママユやクスサン、オオミズアオ(註1)を採ったことがある。そこに2017年、春の三大蛾の一つであるエゾヨツメが加わった。その美しきブルーアイズ、青い眼状紋にヤママユ系への興味がグッと湧いたのだった。
それに、ヤママユの仲間は日本にはそんなに種類がいない(註2)。コンプリートするとしたら、比較的容易だ。沼にハマるにしても、底無しではない。但し、海外産に手を出さなければの話だけど…。

兎に角、日本にいるヤママユの仲間で、まだ見たことのない奴らを見てやろうと思った。何でも同じだ。実物を見ないと本当のことは解らないのだ。
このグループには大珍品はいなくて、大概は肩肘張らずに何とかなるレベルだ。ヒマつぶしくらいにはなるだろう。ゆる~い気持ちで、先ずはシンジュサンから始めることにした。

しかし、そうおいそれとはいかなかった。
思えば、シンジュサンにはまさかの惨敗に次ぐ惨敗だった…。

本章に入る前に、シンジュサンについて、ザッと解説しておこう。

子供の頃、最初はシンジュサンのサンは山田さんとか田中さんのさんだと思ってた。ようするにガキの頃から、どうしようもないおバカさんだったのである。
でも、後にこのサンは養蚕のサンのことだと知った。これはヤママユ系の仲間が、繭から生糸をとる蚕(カイコ)さんとか、その原種(註3)と親戚筋にあたるからだろう。
とはいえ、カイコは謂わば人間が作った絹糸製造マシーンで、人が長い歴史の中で改良に改良を重ねて完成させた半人工物だ。だから飛べねぇし、自然界には存在しない。
日本では、カイコ以外の野外で生糸のとれる蛾、繭、また生糸そのものを野蚕といい、ヤママユやウスタビガの繭で作った織物は、超がつく高級品だそうである。

一方、シンジュサンのシンジュは、ずっと真珠のことだと思っていた。真珠みたいに綺麗だからと解釈していたのだ。実際、羽の一部に白やピンクっぽいところがあるしさ。でも、それもハズレ。去年に、それが真珠ではなく、神樹だと知った。だから、シンジュサンのことを漢字では「神樹蚕」と書く。他に「樗蚕」の字をあてがう事もあるようだ。
シンジュサンの語源は、幼虫がこのシンジュ(神樹)を食餌植物としていることから来ている。
神の樹って、スゲーな。神の樹の葉を食うから、神の蛾じゃん❗真珠よか、神の方が上っしょ❓寧ろグレイドアップになってまんがな。

しかし、突っ込んで調べてみたら、あらあらである。
『京都園芸倶楽部のブログ』には、こう書いてあった(申し訳ないが、文章の一部に手を入れたけど)。

「神樹といっても「神様」とか「神聖」に関連しているわけではありません。元々は近縁種であるモルッカ諸島のアンボイナ島に生育するモルッカシンジュが天にも届くような高木であることから英語で「Tree of heaven」と呼ばれ、これがドイツに伝わって、ドイツ語では「Götterbaum」となり、「神の樹」と訳された。その後ドイツ語名が日本に伝わると、ニワウルシを神樹とも呼ぶようになったそうです。」

(# ̄З ̄)ちえっ、調べなけりゃよかったよ。
どこかで特別なものと思いたい心理が働いているから、ガッカリだ。
何でも知ればいいとゆうものではない。知れば知るほど不幸になることだってあるのだ。世の中には知らない方がいい事もある。「知らぬが仏」と云う言葉もあるしね。
こう云う、知ることによって不幸になることを作家 開高健は「知の悲しみ」と呼んだ。当然、知らないがゆえに不幸な事は多々あるから、知っても、知らなくとも人は不幸になりうる。二律背反、これは人類の永遠のジレンマだよね。

神樹は中国原産で、明治時代の初めに日本に入ってきたものだ。ニガキ科に属し、別名にニワウルシがある。日本では、こっちの名称の方がポピュラーかもしんない。
と云うことは、和名は比較的近年になって名付けられたものと思われる。
エリサンだったっけ❓養蚕のためにシンジュサンに改造手術、もとい品種改良を加えた奴もいた気がするから、もしかして移入されたもんが逃亡して、野生化。先祖帰りしたのかも…と一瞬思ったが、それは無いだろう。帰化昆虫ではない筈だ。だったら、おバカのオラの耳にだって情報は入ってきてる筈だもんね。

  
【シンジュ】
(大阪市 堺筋北浜近辺)

(出展『一期一会』)

 
幼虫はシンジュの他にも、ニガキ(ニガキ科)、キハダ、カラスザンショウ(ミカン科)、ヌルデ(ウルシ科)、クヌギ(ブナ科)、クスノキ(クスノキ科)、リンゴ、ナシ(バラ科)、エゴノキ(エゴノキ科)、ネズミモチ,クロガネモチ、モクセイ(モクセイ科)、ゴンズイ(ミツバウツギ科)、クルミ(クルミ科)など多くの植物の葉を食べる。つまり、やはりシンジュが日本に入って来る前から、シンジュサンは日本にいたんだろね。古くから幼虫は「ミツキムシ」と呼ばれていたみたいだし、間違いないだろう。

学名:Samia cynthia pryeri。
すっかり忘れてたけど、学名の小種名は cynthia(シンシア)だったね。素敵な学名だ。
シンシアはギリシア語で「月」。ギリシャ神話に登場する月の女神アルテミスの別名キュンティアの英語読みである。英語圏における女性名としてもよく使われており、「誠実な」「心からの」という意味がある。略称は、シンディ(Cindy)。

去年当時の、Facebookの記事を見ると、こんな風に書いてあった。

「へーっ、学名はシンシアなのね。月の女神じゃ、あーりませんかー。シンシアは月の女神ディアナ(Diana)やアルテミスの別名でもある。オオミズアオとは美人セーラームーンタッグだにゃあ。月の女神は美人と相場が決まっておるのじゃ。もし、月の女神が美人じゃなかったら、ヤッさんやなくとも『怒るで、しかしー』である。
尚,吉田拓郎,かまやつひろしが南沙織に捧げた曲「シンシア」もヒットしました。」

相変わらず、フザけた文章だ(笑)。
補足すると、南沙織ちゃんは1970年代に活躍した沖縄出身の元アイドル歌手。あっという間に引退して、その後、有名カメラマンの篠山紀信氏と結婚した。
秋元康の先駈けが、モジャモジャ頭の巨匠なのだ。

シンシアは南沙織の愛称で、ミドルネーム。それが曲のタイトルとなったようだ。『🎵おー、おー、おー、シンシア~、君の声が~』というサビがいいのだ。

因みに属名の Samia(サミア)は、調べてみたら、最初に「古代ギリシアの作家メナンドロスによるギリシア喜劇の1つ」と出てきた。だが、どうもシックリこない。寧ろアラビア語で「崇高な」「最高の」という意味を持つ Sami という男性名の女性形が名前の由来ではないかと推察したい。

亜種名 pryeri は、昆虫学者 H.pryer(プライヤー・プライヤ、プライア)に献名されたもののようだ。
この pryeri は、多くの生き物の学名に見られる。
昆虫に絞れば、ウラゴマダラシジミ、ホシミスジ、ムカシヤンマ、サラサヤンマ、キイロサナエ、リュウキュウツヤハナムグリなどだ。蛾には特に多く、ミノウスバ、ブライヤオビキリガ、プライヤキリバ、プライヤアオシャチホコ、プライヤエグリシャチホコ、キオビエダシャク、ソトキナミシャク、ウコンエダシャク、ナカアカクルマメイガ、マツアカマダラメイガ、スカシノメイガ、ウスベニトガリバ、シロテンムラサキアツバなど沢山の種類がある。
それにしても、そんな名前、あんま聞いたことないぞ。(;゜∇゜)誰なんだ、プライヤー❓

これが調べるのに骨が折れた。
pryeri だと、いろんな生き物がジャンジャン出てきて埒があかない。
学名に人物の名前をつける場合、語尾に「i」とかが付いたりするから(属格語尾)、そのままではネットでヒットしないのだ。

蛾のサイトにあった H.Pryer にヒントを得て、フルネームを何とか探して漸くヒットした。

「フルネームは、Henry James Stovin Pryer。
生没年(1850年~1888年)。ロンドン生まれの英国人で、1871年来日。16年間横浜のアダムソン・ベル・海上保険会社社員として勤め、1888年2月17日に横浜で病死。」

 
日本で亡くなってはるんやね。
保険会社のサラリーマンだけど、この人で本当にあってんのかよ❓

 
「『太政大臣に届けて正式に雇用された例』としてイギリス人プライア―とアメリカ人モースがよく知られている。
もっとも、彼らを雇用したのは、内務省系ではなく、文科省系の『東京博物館』とその後継の『教育博物館』であるが、蝶類の専門家であるプライア―は1876年から翌年にかけて標本採集を目的として雇用され、国内採集旅行を行っている。ユネスコ東アジア文化センター(1975)によれば彼は、1876年7月から3ヶ月(月給75円)、そして翌1877年当初から1年間(月給60円、ただし5月で依願解約)の契約を結んでいる。」

 
なるほど、多くの献名があるのは、学者というよりも採り子(雇われ採集人)だったからなんだね。命名規約上、新種を見つけた本人が、それを新種として発表(記載)する場合、学名に本人の名前をつけられないからだ。

 
「イギリス人のプライヤー(H. Pryer)は1871年(明治4年)、またはその翌年に来日し、横浜に落ち着きました。幼少の頃より博物学に興味をもっていた彼は、昆虫類を中心に各地の資料を集め、特に日本のチョウ類のすぐれたコレクションを作りました。彼はよほど日本が気に入ったのか、何と16年間も横浜に居住し、39才の若さで死去するまで日本各地を精力的に調査したのです。
このようにして集めた資料を基に、日本では例を見ない学術的な図説の刊行が企画されました。おそらくはプライヤーの日本生活が落ち着いた1875年以降のことだったと思われます。当時の諸外国で出版されたいくつかの図鑑に匹敵するものを日本で作るには、多くの障害がありました。画家の発掘、印刷所や用紙の選定。そして費用の調達などです。しかし、プライヤーの熱意はこれらの難題を乗り越えて、1887年に第一分冊の発行にこぎつけました。そして、1888年には第二分冊、1889年には第三分冊が相次いで発行され、ついに大作が完了しました。
タイトル名は Rhopalocera Nihonica といいます(日本語版「日本蝶類図譜(ヘンリ-・ジェ-ムズ・ストヴィン・プライヤ-著 科学書院(1982))。」(出展 以上3つとも『レファレンス協同データベース』より)

 
あれっ?、図鑑も書いてる❓ということは、採り子じゃなくて学者風情だよね。
これは、おそらく最初は採り子で、最終的には図鑑も出したって云うことでいいんじゃないかな?

日本の昆虫学の礎を築いた江崎悌三さんも、その著書の中でプライヤーに触れていて、「日本人の内妻があったが、子供はなかった」と記述しているみたいだ。
結構、有名人じゃんか。ワタスの勉強不足でした。

(|| ゜Д゜)しまった。プライヤーの沼にハマって、おもいっきり寄り道しただすよ。先へ進もう。

 
チョウ目・ヤママユガ科(Saturniidae)に属し、大きさは開張110~140mmに達する。
翅の地色はオリーブ色を帯びた褐色で、白やピンクなどの綺麗な斑紋が配されている。上下の翅の中央付近に黄色い三日月模様、上翅の翅頂付近には小さな目玉模様がある。

 
【シンジュサン】
(出展『夜間飛行』)

北海道・本州・四国・九州・沖縄・朝鮮半島・中国に分布し、成虫は5~9月の間に年2回(一部年1回)現れる。
亜種は日本亜種 ssp.pryeri の他に、北海道・対馬亜種 ssp.walkeri(Felder & Felder,1862)があり、コチラが基亜種とされている。
対馬亜種は黒化型の割合が多いようだ。これが、かなりカッコいい。

 
【シンジュサン 対馬亜種】
(出展『モスはモス屋 対馬遠征記』)

 
一瞬、対馬に行ったろかい(`へ´*)ノ❗と思ったが、ツマアカスズメバチにボッコボコに刺されたのを思い出して、上げた拳を即座に下ろす。ムッチャクチャ痛かったし、今度刺されたらアナフラシキーショックで、おっ死ぬかもしれん。恐くて行けんよ。

そういえば、国産亜種を独立種 Samia pryeri とする見解もあったようだが、交尾器の差異も微弱で更にDNAによる区別もできなかったとされており、現在は同一種とする意見に落ち着いているみたいだ。

さて、ここからが本文なのだが、プライヤーの沼にハマって、ドッと疲れた。それに予想外に長くもなったので、次回に回します。スマン、スマン。

 
               後編につづく

 
 
追伸
今回も書いてるうちに、あらぬ方向にいって長くなってしもた。もう、このウダウダ癖は病気だよ。
次回は、いよいよ本編です。乞う御期待❗

記事をアップした後で、平嶋義宏さんの『蝶の学名-その語源と解説』の存在を思い出した。
それによると、プライヤーの図鑑は日本最初の原色蝶類図鑑で、日本の蝶蛾類に多大な功績があったようだ。プライヤーさん、過小評価してゴメンナサイ。
因みにホシミスジの学名はプライヤー御本人に献名されたものではなくて、兄の williams に献名されたもののようだ。お兄さんも蝶が好きだったらしい。
なんだよー、最初からこっち見ときゃよかったよ。だったら、あんな苦労しなくてよかったのにさ。
でも、最初からこっちを見ていれば、プライヤーさんに興味は湧かなかっただろう。まあ、それも間違いではなかったという事か…。良しとしませう。

 
(註1)ヤママユとクスサン、オオミズアオ

【ヤママユ】
(2018.9.8 山梨県甲州市)

 
ヤママユは、もふもふだし、(・。・;ほよ顔で可愛い。デカくて標本箱を喰うから邪魔だけど、可愛いから、つい一つ二つくらいは捕ってしまう。

探したが、クスサンとオオミズアオの手持ちの野外写真が見つからない。普通種だから、面倒で撮らなかったのだろう。と云うワケなので、画像を他からお借りしよう。

 
【クスサン】
(出展『里山の生活とmy hobby』)

普通種だが、色に豊富なバリエーションがあって、一つとして同じものはないと云う。
普通種であっても、視点を変えれば楽しめる証左の例だね。

 
【オオミズアオ】
(出展『KEI’S採集記』)

 
幽玄で美しいから、蛾嫌いでもコレは許容する人が多いようだ。近縁種に、ソックリさんのオナガミズアオがいるが、こちらの方はそこそこ珍しい。個人的にはオナガミズアオの方が、より優美で好きかな。
文中に学名的にシンジュサンと姉妹関係だと書いたが、厳密的には間違い。残念ながら、オオミズアオの学名は変わってしまい、現在は artemis、月の女神アルテミスではなく、Actias artemis から Actias aliena になっている。それを惜しむ声は多い。

ついでに、エゾヨツメの画像も添付しておこう。

 
(2019.4 大阪府箕面市)

 
いまだに♀が採れてない。でも、♀はあまり綺麗じゃないから、本音はどっちだっていいと思ってる。

 
(註2)日本には、そんなに多くの種類がいない

日本に棲むヤママユガ科は、ヤママユ、ヒメヤママユ、ハグルママヤママユ、クスサン、エゾヨツメ、シンジュサン、ヨナグニサン、ウスタビガ、クロウスタビガ、オオミズアオ、オナガミズアオの計11種とされる。この中では、わざわざ沖縄や奄美大島まで行かないと会えないハグルマヤママユが難関かな?ヨナグニサンも与那国島に行かないと会えないけど、天然記念物なので採集でけまへん。因みにヨナグニサンが日本最大の蛾で、世界最大級でもある。ドデカイ♀が強風に煽られて道路にボトッと落ちたので、拾って安全なところに移したことがあるけど、笑っちゃうくらいデケーです。次回、画像掲載予定です。

 
(註3)カイコの原種

カイコの原種は東アジアに分布するカイコガ科のクワコ(Bombyx mandarina)だと言われている。

  
【クワコ(桑子)】
(出展『玉川学園』)

 
これを品種改良しまくって作られたのが、カイコってワケだね。絹糸を得るために、スゴいことするやね。
養蚕は五千年前にクワコが中国大陸で家畜化、品種改良されたのが起源というのが有力な説である。
一応、カイコとクワコは近縁だが別種とされている。しかし、両者の交雑種は生殖能力をもち、飼育環境下で生存・繁殖できることが知られている。だが、野生状態での交雑種が見つかった例はないようだ。
実を云うと、5000年以上前の人間が、どのようにしてクワコを飼いならして、今のカイコを誕生させたかは、現在に至るも完全には解明されていないそうだ。
そうだよなあ。虫を家畜化して品種改良するだなんて、現代科学でも難しそうだもん。そんな昔に、飛べなくするために品種改良とか狂気でしょ。さすが、纏足なんぞという変態的なことを考える国だわさ。
カイコの誕生がミステリアスなせいか、カイコの祖先はクワコとは近縁だが別種の、現代人にとって未知の昆虫ではないかという説もある。ようするに、その未知なるヤツは既に絶滅してるって事を言いたいワケだね。
しかし、ミトコンドリアDNAの配列に基づき系統樹を作成すると、カイコはクワコのクレードの一部に収まることから、この仮説は支持されていないという。
やっぱ、改造しとるんだ。昔の人の知恵は凄いわ。

 
 

終いのタケノコ

 

今年もそこそこタケノコを食った。

 

 
堀りたてをそのまま焼くのが一番美味いんだけど、そうもいかない。となると、真っ先の選択肢は若竹煮やね。タケノコ独特の甘みと香り、適度なエグみが堪能できるのは、やっぱ若竹煮っしょ。

圧力鍋に糠(ぬか)と鷹の爪を入れて、筍の大きさにもよるけど1時間くらい弱火でコトコト茹でる。
で、一晩放置プレー。ほったらかしにする。
ほんでもって翌日、ザッと洗って糠を落とす。したら、ホレホレーΨ( ̄∇ ̄)Ψ、悪いオッチャンは皮をヘラヘラと剥ぎ取り、中身を取り出しにかかる。
おー(;゜∇゜)、艶やかな裸身が露(あわら)になる。と同時に、辺りに栗に煮た甘ほっこりとした香りが広がり、鼻腔をくすぐる。もしかして、自らわざわざ筍を茹でるのは、この瞬間を体験(たいげん)したいが為かもしれない。

姫皮は包丁で軽く切れるところのみを使う。硬いとこはゴミ箱にドォ━━ (ノ-_-)ノ~┻━┻ ━━ ンッじゃ❗
姫皮は酢の物にするによし、筍ごはんに入れるのもよし、御自由に使われたし。

そして、いよいよ筍本体を一刀両断、真っ二つにする。時々、中に白い洗剤みたいなのがコビり付いてるけど、タケノコ本体から出たものなので味には問題なし。神経質に取り除く必要性はないだす。
ここまでが下拵え。あとは用途により切り分ける。

若竹煮を作る場合は筍を厚めに切り、鰹昆布だし(昆布だしでもよい)に酒と薄口醤油、みりんをほんの少し入れて煮る。途中で生ワカメをサッと入れたら、火を落とす。ワカメの色が鮮やかなうちに器に盛り、有れば木の芽を飾ればよろし。否、あった方がいい。タケノコと山椒の葉の相性は絶妙とも言える切っても切れない仲だ。アッシは、そう思うね。
とはいえ、お子ちゃま舌の人は、やめなはれ。無理することないどすえ。そもそも木の芽がアカンおしたら、春先の旬のタケノコのエグみもアカンやおへんか。一生、個性の無い水煮のタケノコを食うてなはれ(-_-)

m(__)mごめんなさい、つい京風に毒づいてしまったなりよ。毒づきついでに、もう一つ。
筍の煮物でカツオ節がドバドバ掛かっていることがあるが、あれはよしてほしい。カツオ節はあってもいいけど、少量。無くても良いくらいだ。なぜなら、カツオ節って香りも味も濃くて個性が強過ぎるからだ。タケノコの良さが消える。カツオ節をドバドバかけるのは、ハッキリ言って田舎もんだ。
あっ、ゴメンなさい。人の好みは千差万別ですよね。あくまでも個人の一戯れ言として流されたし。

 

 
そんな事より、若竹煮はホント美味いよねぇ~。
食ってると、春そのものを味わってる気がして、心がほっこりする。

だが、後半は少し飽きていて、鶏肉と一緒に煮たりした。

 

 
タケノコの個性は少し失われるけど、旨味は格段にアップするから、これはこれで美味しいんだよね。春先の筍が苦手な人でも、これだったら食えるかもしんない。

 
筍ごはんもよく作った。

 

 
筍ごはんのタケノコは、あんまり細かく切らないのがモットーだ。大きめ、厚めにした方が歯応えを楽しめる。
好みによるが、自分は油揚げも入れる。コクが出るからだ。出来れば油揚げは京揚げがよろし。その方が味に深みが出るような気がする。
油抜きは、したりしなかったり。そん時の気分だ。味の強いのが食べたい時は油抜きしないかなあ…。あと面倒くさい時も。
油揚げは細かく切る。これは、あくまでもタケノコが主役だからだ。お揚げさんは脇役なんだから、目立ってはいけない。

出汁は自分で1から作る時と市販の白だしを使う時と半々。これまた気分だ。
出来上がりの味は、どちらも旨い。どちらが美味しいかは、人それぞれの好みだろう。
但し、白だしは使うメーカーにより味が変わる。
今回はコレを使った。

 
【創味 創味の白だし】

 
結構、美味しくできた。
他にキッコーマンの香り白だしも仕上がりは良かったと思う。

 
【キッコーマン 割烹 香り白だし】

【キッコーマン 本つゆ 香り白だし】

 
でも、どっちだったか覚えてない。
パッケージの削り節の写真に何となく記憶があるので、たぶん割烹白だしの方かなあ。
 
一方、自分で出汁を作る時は仕上がりにムラがある。断トツに美味くなる時もあれば、市販の白だしに劣る場合もあるのだ。まあ美味しく出来りゃ、何だっていいんだけどね。

勿論、筍ごはんにも木の芽は不可欠だ。軽く手のひらでポンと叩いて添えると、香りが引き立つ。

 

 
採ってきた花山椒を乗せた日もあった。

 

 
そういえば後半、鶏のミンチを隠し味に使った時もあったな。コクと旨味が増すと思ったからだ。
勿論、それはそれで旨かった。けど、やっぱり筍の良さが損なわれるんだよな。

 

  
それにしても、結構たくさんの筍ごはんを食べたなあ…。
我ながら、よほど筍ごはんがお好きとみえる。
とはいえ、流石に後半は飽きてきて、イレギュラーなものも作ってた。

 

 
パスタだね。
これは竹の子とハモの子とのコラボだから、植物系と魚介系のダブルお子ちゃまタッグだ。
筍の良さは歯応えくらいしか残っていないが、味はメッチャ美味い。
作り方はオリーブオイルに少量のニンニクを入れて弱火で油に香りを移す。ニンニクを取り出したら、ハモの子とタケノコを入れて軽く炒める。そこにパスタを入れ、茹で汁も少し加える。味付けは塩のみと言いたいところだが、隠し味に少しだけ薄口醤油を入れて整える。最後にオリーブオイルを少し加えて混ぜ、乳化させたら出来上がり。

  

 
竹の子オムライスも作った。
これはねー、母胎は筍ごはん。そこに木の芽をメチャンコ混ぜる。といっても限度はあるけどさ…。それを炒めてチャーハンにする。味付けはそのままでもいいが、味見して薄ければ、塩なり醤油なりを足して濃くしてもよい。あとは玉子でくるみ、さらにタケノコの煮物をユルい餡掛け状にして掛けたら出来上がり。
これも果たして春先の筍を使ってまで作るもんかいな❓という疑問符がつくが、味はかなりイケる。玉子にタケノコが隠れがちだから、一口めはその歯応えに驚いた。歯応えがあるオムライスって楽しい。
でも裏を返せば、季節に関係なくタケノコの水煮さえあれば、いつでも作れるって事だ。味の差は、そう無いだろう。
これが終いの筍料理で、10日ほど前だった。

 
そういえば、今年は一度もお外でタケノコを食ってないよなあ…。天ぷらとかも食いたかったよ。
まっ、いっか。そんな年もある。

 
                 おしまい

 
追伸
もっと早くに書くべき文章だったのだが、キアケハの記事にかかりっきりになってて書けなかった。虫の記事は下手なことが書けないので、どうしても時間がかかる。食べ物の記事なら毎日だって書けるのに、そうはいかないのだ。誠に鬱陶しい。

外でタケノコを食ってないと言ったけど、考えてみれば1回だけある。
4月の後半、三草山に行った折り、道の駅で筍ごはんを買ったわ。

  

 
お店じゃなく、ホントの外やんか(笑)
あまご飯が予想以上に旨かったなあ…(о´∀`о)