奄美迷走物語 其の十

 
第10話『メリーゴーランドは回り続ける』

 
2021年 3月27日

夜は天気が悪かったが、朝になると再び晴れだした。
誤算続きだが、それだけがまだしもの救いだ。

連日通った根瀬部に行くか、それとも朝からあかざき公園に行くか迷ったが、あかざき公園を選択した。
理由の第一は、根瀬部でフタオチョウを狙っても網が届かない事を痛いほどに知らしめられたからだ。今のところ、それに対する打開策もない。となれば、行っても結果はまた同じで、返り討ちになりかねないと判断したのだ。
と言っても、あかざき公園のフタオのポイントは知らない。知らないが、樹高は根瀬部よりも比較的低い。ゆえにポイントを探しあてれば、何とかなるんじゃないかと考えたのだ。

 
【フタオチョウ 夏型♀】

 
第二の理由は、昨日あかざき公園でアカボシゴマダラを見たからだ。根瀬部では見ていないから、まだ発生していない可能性がある。つまり、あかざき公園ではフタオとアカボシの両方を見ているだけに、2種類とも採れるチャンスがあるのではないかと考えたのだ。

 
【アカボシゴマダラ 夏型♀】

 
第三の理由は、あかざき公園にはイワカワシジミの食樹が沢山ある。なのでフタオを早々とゲットできれば、素早くそっちの探索に切り替えられると思ったのだ。この2種が落とせれば、あとは一番難易度が低いアカボシだ。夕方に占有活動をとるから、それに会えさえすれば何とかなる。あかざき公園のアカボシは何度も採っているので、ワシの網でも届く場所を知っているのだ。判断が置きにいってるきらいもあるが、決めたならば突き進むしかなかろう。3種類とも採れれば、走者一掃の逆転スリーベースだ。今までの誤算と失態を全てチャラにできる。俺なら、それが出来る❗キャシャーンがやらねば誰がやる❗

 
【イワカワシジミ】

 
今回の旅では、朝からあかざき公園に来るのは初めてだ。
意外にもアマミカラスアゲハが結構いる。

 
【アマミカラスアゲハ 春型♀】

 
道路沿いが蝶道になっており、飛ぶ高さも低い。取り敢えず♂でもいいから採りたいという人には、お薦めの場所かもしれない。
けれどもミカンの花は見た限りではないから、♀を採るのは難しいかもしれない。ちなみにアゲハ類が好きなツツジの花は一部で沢山咲いている。しかし吸蜜に訪れたものは雌雄ともに一つも見ていない。但し、ずっと花場で張っていたワケではないから偶然見かけなかっただけなのかもしれない。ゆえにコレに関しては情報を鵜呑みにはなさらぬように。

取り敢えず、道路の一番奥まで行ってみた。ここまで入ったのは初めてだ。実を言うと、秋に来た時には直ぐにアカボシのポイントが見つかったので、ポイントを探して公園全部を隈なく歩いてはいない。

 

 
やっぱ、奄美の海はキレイだ。
たぶん半島の左側の集落が知名瀬で、山の向こう側が根瀬部だろう。
海の手前の林縁の連なりを暫し見渡す。いかにもフタオやアカボシがいそうな環境に見えたからだ。ここなら見渡しが良いから、ワシの千里眼ならば居ればすぐにワカル。段々ヤル気が出てきたよ。本気になれば、新たなポイントも見つかるだろう。

しかし、30分くらい居たけど姿なし。仕方なく他を探すことにする。(・o・)何で❓ 結構、ポイントを読む能力には自信あったのになあ…。どうやら完全に迷路の住人だ。足元の砂が波に崩れてゆくような感じだ。徐々に自信と時間が削り取られてゆく。

 

 
そういやレンタルバイクの写真を1枚も撮ってないなあ。
そう思って、今更ながらに撮る。ようするにヒマなのである。フタオもアカボシもイワカワも1つもおらん。

 

 
思うに、この赤いメットが全ての元凶なのかもしれない。以前は名瀬でレンタルバイクを借りていたのだが、その時にいつもカブっていたメットが験担ぎ(げんかつぎ)のアイテムみたいになっていた。

 

 
(-_-メ)ワリャ、シバキ倒すぞ❗
である。

 

 
この💀ドクロマークが気にいってて、当時は何かパワーの源みたいになっていたのだ。謂わば気合い注入装置みたいなもので、これをカブると心にビシッとキックが入ったのだ。でもって、バンバンに蝶が採れたのである。
だが、そのレンタルバイク屋は廃業したから、今や借りたくとも借りられない。べつにモノに頼って採集しているワケではないけれど、ある程度はモノや物事には依拠はする。自分の心を強化するために使えるものは何でも使う主義なのだ。前向きになれる材料を積極的に取り込まなくては、弱い人間は簡単に心が折れかねないのだ。
世の中には、本当の意味で強い人間は存在しない。いるのは、弱い人間と強い振りができる弱い人間だけだ。

今まで気にも止めていなかったが、ふと見るとナンバープレートが可愛い。なので、つい写真を撮ってしまう。

 

 
デザインにアマミノクロウサギとヒカゲヘゴがあしらわれている。そして下側には「世界自然遺産へGo!!」の文字がある。
そういや、宿のオジーが「島では、十年ほど前から毎年のように世界遺産、世界遺産と騒いでいるが、もはや何も期待していない」云々みたいなことを言ってたな。
その後、大阪に帰ってから奄美大島と徳之島、沖縄本島北部が世界自然遺産に7月に選定されることが5月にほぼ確実になった。喜ばしい事ではあるが、観光客がドッと押し寄せて来て、かえって自然破壊が進まないことを祈ろう。
そして正式決定すれば、どうせ採集禁止種や禁止区域がまた増えるんだろね。そのくせリゾートホテルの建設とかは野放しで、平気でバンバンに木を伐って、ポコポコ建ちそうだけどさ。所詮、世界遺産も経済の発展を目論んでのもので、それ無くしては推進されない面があるのだ。嘆かわしいが、金儲けが全てにおいて優先されるのが現代社会なのである。
エコとかも、所詮は金儲けの手段にすぎないと思ってる。ヤシの実洗剤やヤシの実石鹸のせいで、どれだけの貴重な森が伐採されてパーム椰子(アブラヤシ)畑に変えられた事か。今や東南アジアは何処もパームとゴムの木だらけだ。何が「手肌と地球に優しい」だ。偽善じゃないか。正義の御旗を偉そうに振る奴にロクな者はいない。

結局、探しあてられずに慰霊塔へ行く。

 

 
でも、見せ場なしのノールック、ノーチャンス。
結局、フタオ、アカボシ、イワカワのどれ1つとさえ見ること叶わなかった。見もしないものを採れるワケがない。
だとしても、何が「キャシャーンがやらねば誰がやる❗」だ。ちゃんちゃらオカピーだ。偉そうに啖呵(タンカ)切っといて、結果がコレかよ。
(;_:)あー、もう何をどうしたらいいのかワカンナイや。
まるで同じところを延々と回り続けるメリーゴーランドの馬に乗ってるような気分だ。何処にも行けないし、何処にも辿り着けない。

                         つづく

 
追伸

話は尚も続く。
ネットの天気予報の全てが夜からは雨マークだったので、今宵も夜間採集には出ないことにした。たとえ雨じゃなくとも、どうせ多くは望めない。こんな体たらくだと、さらなる返り討ちにあって、益々惨めな気分にさせられるだけだ。

今朝にはラーメン大好き小池くんも東京に帰ってしまったし、ゲストハウス涼風には誰も今夜も遊びに来ない。連日のパーリーがウソだったんじゃないかと云うくらいの落差だ。
それでも昨日よりかはマシか…。入れ替わりに、新しく東京から来た医大生と二人組の若者が増えた。何れも虫屋である。医大生のSくんに、若者2人が興奮していた。虫屋でツイッターをしている者ならは、誰でも知ってる有名人らしい。そうゆうSくんも、ブログやFacebookでワシのことを知っていたので驚いた。まあまあワシも有名らしい。ホンマかいな❓
若者2人は最近になってツイッターで知り合い、それぞれ大阪と東京に住んでいるのにも拘らず、奄美大島に一緒に来たという。意気投合したのだろうが、ネット上で知り合って、しかもまだ日が浅いのによく二人で旅行なんて出来るよな。知らない人がネット上でワシのことを知っているという事も含めて、オジサンには考えられない世界だ。時代は虫屋の世界でも急速に変貌しつつあるのだ。
ちなみに医大生は蝶屋、若者2人は甲虫屋で、大阪の子がカブトムシとクワガタ好きの所謂(いわゆる)カブクワ屋。東京の子は驚きの「ドロムシ屋(註1)」だった。あっ、ドロムシ云々は間違ってたらゴメン。たぶんそれであってる筈だけど、あまりにも興味がなかったゆえ、テキトーにしか話を聞いていなかったから断言はできない。それでも水溜まりとかにいる極小の甲虫だと言ってた覚えがあるので、ドロムシ&ヒメドロムシハンターであってると思う。

それはさておき、若いのにいきなりマイナーな虫から入るってのも驚きだ。通常は蝶とかカブクワとかカミキリムシなどのメジャーな虫から入って、徐々にマイナーな虫へと興味の対象が移行してゆくものだからね。小太郎くんから、最近はそうゆう若い子が増えていて、知識量も相当あるとは聞いてはいたが、ホントだったんだね。そういや、医大生くんはドロムシの話に全然ついていけてたな。小太郎くんもそうだけど、若い子はオールラウンダーが多いのかもしれない。だとしたら、ポテンシャルは高い。

若者二人組が唐揚げ(何の唐揚げだったかは忘れた。或いは天ぷらだったかもしれない)を作り始めた。でも料理作りに慣れていないせいか、見てらんないくらいの出鱈目っぷりだった。本人たちからすれば上手くいったみたいだが、オラからすれば、どうみても失敗作だ。
かなり酔っ払っていたが、それを見て若者たちに美味いもんを食わせてやろうとカッコつけたのがいけなかった。ここで、この日最後にして最大の誤算が起こる。
タコに軽く火を入れて霜降りの半生状態にしようと思い、酒と水とでサッとボイルした。それをザルにあけて冷水で冷やすために鍋をシンクに素早く移動させようとイキってノールックで振り返った時だった。

💥( ゚∀゚)o彡ガッシャーン❗

あいだにあった洗い物の山にガーンと鍋がぶつかって、その勢いで熱湯が大きくハネて、ワシの胸に思いきしかかったのだ。
酔っ払ってるので、そんなに熱くは感じなかったが、一応洗面所に行って水で冷やした。
しかし時間が経つにつれてジンジンと痛みだした。それでも酔っ払ってるので、その時はたいした事ないだろうと思ってた。でも翌朝みたら、『北斗の拳』のケンシロウみたく左胸の上から右胸の下にかけて、斜めザックリに大きな火傷キズができてた。
誤算のドミノ倒し、ここに極まれり。まさか自分が奄美大島に来て火傷を負うとはミジンコほどにも思ってなかったよ。目的の蝶が採れないのも全くもって想定外ではあったが、大きな枠組からみれば想定内ではある。天気がずっと悪かったとか、網がブッ壊れただとかのアクシデントは、パーセンテージとしては低いものの、充分あり得るからね。でも火傷するなんてウルトラ想定外の大誤算だ。又しても誤算続きの一日で、最後の最後にはコレかよ❓
(ㆁωㆁ)白目、剥きそうやわ。
迷走と誤算のループは、リインカネーションのように負のエネルギーを再生し続けている。

                     つづくのつづく

 
一応、その時の料理の画像を貼っつけておく。

 
【蛸の霜降り ニラ醤油漬け】

 
勿論、若者たちには好評であった。
しかし、今となっては細かい記憶が曖昧だ。
ニラはスーパーで2束60円くらいで売ってたものだ。それは憶えているのだが、酔っ払ってたせいか肝心の料理のレシピが思い出せない。火傷したんだから、流石にタコを霜降りにしたのは憶えてる。問題は味付けだ。ワシが醤油だけで味付けするなんて事は有り得ないから、酒とか味醂を入れたのだろう。或いは冷蔵庫にあった袋入りの何かのタレ的なものを使って醤油と混ぜて調整したのかもしれない。
あと、画像を見ると上に香辛料らしきものが乗っている。コレの正体もワカラン。全く記憶にないのだ。色からして生姜や辛子ではない。となると柚子胡椒か山葵だろう。
まあ、若者二人は喜んでくれたし、自分の記憶でも旨かったという事だけは残ってるから、まっいっか。
 
今回もカタルシスがなくて、誠に申し訳ない。特に今回は何ら盛り上がるシーンもなかったから、尚のこと読み手側はツマランかっただろう。ホンマ、すいませんm(_ _)m
しかし事実であってフィクションではないんだから、仕方がないのである。

 
(註1)ドロムシ屋
ドロムシとは、ドロムシ科とヒメドロムシ科に属する甲虫の総称。世界各地に分布し、一部を除き水生で、夜間に活動する。日本にはドロムシ科が3種、ヒメドロムシ科が45種前後産することが知られている。

 
【ムナビロツヤヒメドロムシ】

(出展『mongoriz‐2のブログ』)

 
極小昆虫だ。下に方眼紙が敷いてあるので、如何に小さいかがよくわかりますな。敬意を込めて言うが、こんなの採るなんて変態だ。裏を返すとスゴい事だと思う。探すの大変そうだもんね。とてもじゃないが、自分には真似できない。
で、そのドロムシやらヒメドロムシの愛好家のことを「ドロムシ屋」と呼ぶ。虫好きの間では、この「〜屋」という言葉がしばしば用いられ、各ジャンルのマニアの称号として後ろに付けられる。例えばワシならば「蝶屋」だ。つまり蛾好きなら「蛾屋」、カミキリムシ好きなら「カミキリ屋」、カブトムシ&クワガタ好きならば「カブクワ屋」ってワケだすな。

冒頭の説明では簡素すぎるし、ちょっと興味が湧いたので、もう少し調べてみることにした。

ネットの『山陰のヒメドロムシ図鑑』によると、以下のように書いてあった。
「分類上はコウチュウ目のヒメドロムシ科・ドロムシ科に属しています.体長1-5mmほどの小さな甲虫です.川の底にすんでいて,石や流木などに,鋭いツメでつかまっています.呼吸は水中の酸素を直接取り込むとされています.外見からはあまり水生昆虫らしく見えませんが,高度な呼吸方法を持っている昆虫なのです.山陰の川にはたくさんのヒメドロムシがすんでいますが,あまりに小さいため,これまでほとんど注目されていませんでした.さらに調査を行えば,きっとたくさんの発見をすることができるでしょう.」

高度な呼吸法について補足すると、この類は一般に体の下面に微毛が密生し、そこに蓄えられた空気の薄い層が気門と連なることによって水中で呼吸が可能なんだそうだ。なので水底にある石に付着したり、砂中に潜っていることができるんだとさ。尚、幼虫も同じく水生である。

いずれも10ミリメートル以下の小さな甲虫で、殆んどの種が長めの楕円形から細長い形であるが、卵円形のものもいる。殆んどの種が暗色だが、淡色紋を有するものや全体が明るい褐色のものもいる。肢は細長いが、ツメは大きく発達し、岩などに掴まるのに適している。触角は多くは糸状であるが、一部の種、特にドロムシ科では太くて短く、棍棒状をなす。

ドロムシ・ヒメドロ類を採集するには大きく二つの方法があるそうだ。一つは灯火採集法(ライト・トラップ)。多くの種が灯りに集まる習性があるので、それを利用するというワケだね。
しかし灯りには来ない種もいるから、そういう種は川から直接採集する。謂わば正攻法ですな。これが2つ目の採集方法。
成虫は川底の石などにくっ付いているから、川底を撹拌してやると体が浮き上がって下流へと流されてゆく。しかし鋭いツメを持っているので、すぐさま石や流木などに掴まることができる。その直ぐモノに掴まる習性を利用して、流れ下るのを底に穴をあけた目の細かなネットや手ぬぐいなどの白布を使ってキャッチするんだとさ。
ふ〜んである。世の中には色んな虫がいて、それを工夫して採られている方もいるんだね。

余談だが、以前は奄美のムナビロツヤヒメドロムシは別亜種とされてきたが、近年になって別種として分けられ(Jung&Bae 2014)、「リュウキュウムナビロツヤヒメドロムシ」という新たな和名が付けられている。東京のドロムシ屋の子は、たぶんコレを採りに来たんだろね。
それにしても、クソ長い名前だよなあ。なんと数えたら16文字もあったわい。亜種から別種に昇格したゆえ、やむなしなところはあるが、もちっとネーミングに工夫があってもいいんじゃないかと言いたくなる。このクソ長い和名問題は他にも多数あるから、そうゆうのを見るたびに軽い苛立ちを感じるよ。虫屋って全体的にセンス悪い人が多いんじゃないかと勘ぐりたくもなる。まあ、子供の名前も同じようなものだから、虫屋だけじゃないんだろうけどさ。

 

奄美迷走物語 其の九

 

 第9話『誤算のドミノ倒し』

 
2021年 3月26日

翌日も快晴だった。
でも予報では明日からまた天気が崩れるらしい。と云うことは今日もしもフタオチョウやアカボシゴマダラが採れなければ、ワヤムチャ暗黒星雲の只中に呑み込まれるやもしれぬ。こっちへ来てからの天気は基本的にグズつきがちだから、この先ずっと雨が続くことだって有り得るのだ。
そうと解っているだけに気合を入れねばイケんところだが、気持ちは「なんくるないさ」だ。昨日、フタオの飛行ルートは読めたし、経験上アカボシは発生し始めさえすれば楽勝で採れると思ってるから全然追い込まれていないのだ。サクッと終わらせて、とっととイワカワシジミの探索に力を注ごうとさえ思ってた。でもって夜にはアマミキシタバも落として、今日一日で目標を全部達成してやろうとまで企んでいたのである。

 
【Polyura weismanni フタオチョウ 春型♂】

【同♀】

(出展『日本産蝶類標準図鑑』)

 
【夏型♂】

【同♀】

 
【アカボシゴマダラ Hestina assimilis 春型♂】

【同♀】

(出展『日本産蝶類標準図鑑』)

 
【夏型♂】

【夏型♀】

 
午前10時前に根瀬部に到着。

 

 
とりあえずバナナトラップをかけて回る。昨日、用意しなかったのは単に二日酔いで頭が回らず、持って来るのを忘れたからだ。べつになくても採れると思ってたから、さして気にも留めてなかったけどさ。それにそもそも春はフタオもアカボシもトラップにあまり誘引されないと言われている。それを知っていたのも大きな精神的瑕疵にはならなかったのだ。
でも今日は確実を期してトラップを用意した。奄美在住の標本商Fさんも春はトラップには来ないと言っていたが、全く誘引されないなんて事はないだろう。春型だけが餌を摂らないなんて事は有りえへん。エナジー補給なしでは活動でけんがな。何かは食っている筈だ。だいたい春と夏とで習性がそんなにも変わるだなんて俄(にわか)には信じ難い。そんなもん、蝶における都市伝説みたいなもんじゃないのぉー(´ε` )❓
それに『蝶屋(Tefu−ya)のブログ』には、春型のフタオチョウについて、こうも書かれてあった。

「しかし、習性は異なり、1化(春型のこと)は極端に敏感で、上空を旋回、飛翔する個体に合わせてネットを持った採集者など、地上で動く人がいたら100%近くトラップどころか下方には降りてこない傾向のため、トラップ設置場所から多少離れた周辺のミカン畑でカラスアゲハ、ミカドアゲハ、ジャコウアゲハ、ナガサキアゲハ、アオスジアゲハ、また、林道沿いの林縁などではスミナガシ、アオバセセリ、クロセセリ、イワカワシジミなどを採集し、1時間前後してからトラップを見回る。一方2化は周辺に採集者がいても仕掛けたトラップ前方空間を低空で旋回し、空中戦でも容易にネットイン可能である。」

ようするに春には来ないワケではなくて、単に用心深くて中々寄ってこないって事だ。ならばコチラも用心深くしていれば、何とでもなる。テリトリー待ち採集とバナナトラップの2本立てでいけば、どちらかで採れるだろう。

さておき腹が減っては戦はできぬ。
トラップをかけ終わっところで腹ごしらえ。

 

 
今日はカツカレーにした。
カツと勝つをかけたワケやね。我ながら古典的な願掛けだと思うけど、気持ちを少しでもアゲアゲにしようというささやかな努力なのだ。こういう細かな事が意外とメンタルを底支えしてたりもするからね。
しかし、テンションは1ミリも上がらない。見た目が旨そうだったから期待したのに、味は可もなく不可もなくってところで見事に裏切られた。これまた誤算だよ。旨かったら、よし今日はイケるぞ!とか士気も少しは上がるのにさ。こういう小さな躓きばっかで、今一つ波に乗れないのかもなあ。

午後11時になった。
そろそろ飛び始める時刻だが、でもフタオちゃんは姿を現さない。まあ、そのうち飛んでくんだろ。なんくるないさ。

午後12時を過ぎた。
それでも飛んで来ない。絶好の採集日和なのに、まさか1つも飛んで来ないだなんて想定外の誤算だ。( ;∀;)なしてー❓いったい何が起きているのだ❓理由がワカラナイ。まさかの鬼日❓蝶採りをやってると、たまに天気、気温、湿度、時期など全ての条件が揃っているのに、全くターゲットが姿を現さないことがある。そうゆう日を業界では鬼日と呼ぶのである。

村のおじーとおばーが歩いてきたので挨拶する。
『何、採っとるのー❓』
『蝶ちょですぅー。でも目的の奴が全然飛んできまへーん。』
『頑張りんさいねー。』
『ハーイ、頑張りますですぅー。』

ちょっと元気が出た。旅での現地の人とのふれあいは心が和むものだ。だから挨拶は大切だ。なのにロクに挨拶もできない虫屋が多すぎる。ゆえに現地の人に嫌われて採集禁止に繋がったりもするのだ。見ず知らずの人間が挨拶もなく自分の土地をウロウロしてたら、誰だっていい気はしないだろう。
過去にも度々言っているが、挨拶できない奴はクズである。

午後1時。
(◎o◎)ほぇ〜、ホント何が起こっておるのだ❓全く飛んで来ないし、トラップも閑古鳥だ。フタオどころかハエ1匹寄って来ない。
トラップに何か不具合でもあるのかと思って鼻を近づけて匂いを嗅いでみるが、良い感じに発酵していて申し分ない状態だ。なして❓ やはり春はバナナトラップに寄って来ないというのはホントだったんだね。解せないが、事実として受け容れざるおえない。
そうゆうワケで、あまりにもヒマなので少し周囲を歩き回ることにした。

道に出て暫く歩くと、木の梢から蝶が飛び立った。

( ゚д゚)いたっ❗❗

ひと目みてフタオだと解った。もう昨日みたいに他の蝶と間違うことはない。アホはアホなりにちゃんと学習しているのだ。
多分、昨日の個体に違いない。キミ、ここに居たのね。
しかし軽く旋回したかと思うと、直ぐにまた梢に戻って静止した。

 

(正面の木、右梢の一番高い所の右端に羽を閉じて止まっている。画像を拡大すると止まっているのが辛うじてわかります)

 
結構、高そうだ。とりあえず長竿を伸ばしてみる。
でも最初から薄々感づいていた事だが、6.3mでは全然もって届かない。という事は、止まっている位置は優に8m以上はありそうだ。
図鑑等には高い位置に静止すると書いてはあったが、予想以上に高い。まさかの誤算だ。誤算、誤算と、さっきからバカの1つ覚えみたいに並べ立ててる自分に情けなくなってくる。これでは、まるで自分のおバカぶりを自ら喧伝しているみたいじゃないか。いっそ情けないついでに、言い訳をカマしておこう。
実を言うと、海外を含めてもフタオの♂がテリトリーを張っているのを採った事は一度もない。吸水やバナナトラップ、獣糞に来た奴しか採ったことがないのだ。それでも充分採れるから、そんな効率の悪い採り方なんぞ試みたことさえないのだ。そもそもテリトリーを張っているところを見たことさえ殆んどない。
あっ、思い出した。そういやタイとミャンマーとの国境で見たな。あの時も10m以上の梢でドロンかエウダミップスかが何頭かで猛スピードで追い掛け合ってたわ。いやネペンテスだっけか❓まさかのホウセキフタオだったりして…。兎に角、ありゃ採れんわと思ったよ。全然、話にならないって感じ。

 
【エウダミップスフタオ Polyura eudamippus ♂】


(2016.4.14 ラオス バンビエン)

 
【ドロンフタオ Polyura dolon ♂】

(2014.4.13 タイ ファン)


(2016.4.22 ラオス ウドムサイ)

 
画像のドロンフタオのラベルを見て記憶が甦ってきた。エウダミップスの可能性もないではないが、たぶんドロンだ。なぜならタイ北部のFang(ファン)で初めてドロンに遭遇したから、よく憶えているのだ。但し、此処にはエウダミップスもいる。だから最初はエウダミップスだと思った。しかし止まっている姿に違和感があったので、再度仔細に見て『コイツ、違う奴っちゃ❗』と気づいた時には結構な衝撃だった。
海外に蝶採りに行く時は、何がいるかロクに調べて行かないので、こうゆう事はチラホラあった。ちゃんと調べてから行けよと、よくお叱りをうけるが、そっちの方が面白いから今もスタイルは変わっていない。予定調和がない分、楽しめるのだ。今回みたく目的がハッキリしている方が、採れないという事にかえって苦しめられたりもする。それはそれで楽しいのだが、その場合はあくまでも採れてこそのカタルシスであり、エクスタシーなのだ。今みたいな状態だと、殆んど拷問だ。

ネペンテスとホウセキフタオの画像も用意しちゃったんで、せっかくだから貼付しておこっと。

 
【Polyura nepenthes ♂】


(2016.3.11 タイ チェンマイ)

 
【Polyura delphis ♂】

(2015.5 マレーシア キャメロンハイランド)

 
余談だが、ホウセキフタオは裏面に宝石のような鮮やかな色が散りばめられていることから名付けられた和名です。

 

(2011.3.1 マレーシア ランカウイ島)


(2011.2 マレーシア キャメロンハイランド)

 
話を奄美のフタオに戻そう。

(-_-;)参ったなあ…。この状態だと、指を咥えて見ているしかない。再び飛んで、そのうち低いとこに止まるだろうという希望的観測で待つしかあるまい。
だとしても、今できうる事は全てしておこう。
先ずは網の色を赤から白に替える。ラオスやタイで2度ほどフタオが白網に止まったのを思い出したのだ。ちなみに赤網にはアゲハ類やツマベニチョウが寄って来るから使ってた。ターゲットのアマミカラスアゲハにはフル無視されてたけどさ。

 

 
次にトラップを全て回収してきて、フタオの止まっている木の周囲に掛け直す。目の前にいるんだからトラップの匂いに感づかない筈がなかろう。フタオといえば、食いもんに意地汚い事で知られている。吸水に来た時は夢中になってるから手掴みでも採れるし、トラップに来た時は吸汁し過ぎて腹がパンパンになって飛べなくなり、ボトッと下に落ちたりするのだ。そんな食い意地の張った奴に、目の前の御馳走を我慢できるワケがなかろう。

しかし相変わらず止まったまんまで、微動だにしない。他のオスが飛んで来ないせいもあるのだろうが、アオスジアゲハが近くを飛んでも無視だ。オスが縄張り争いをするチョウの大概はライバルである同種のみならず、縄張り内に入って来る別な種でも追い立てるのが普通だ。国蝶オオムラサキなんぞは、自分よりも大きい鳥まで追い掛け回す始末なのだ。

 
【オオムラサキ Sasakia charonda ♂】

(2020.6.26 東大阪市枚岡公園)

 
気まぐれに、たまに思い出したように飛ぶが、あまり遠くへは行かず、直ぐにまた梢に止まる。
これまた誤算である。テリトリーを張るチョウの殆んどはせわしない。興奮気味で頻繁に飛び立ち、あちこちに止まるケースが多いのだ。それによってチャンスも生まれてくる。たまに低い位置にも止まるからね。それがこんなにも不活発だなんて思いもよらなかったよ。そういや昨日も過ごした時間のわりには飛んでる姿を見た回数は少ない。ワケわからんぞ。そんなにも懶惰(ものぐさ)なチョウなのか❓ たまたまこの個体がそうなのかもしれないが、サボんなよなー、働けよ。そんなんじゃメスをゲットできひんぞ。

午後2時前。
トラップはフル無視され続けている。コレまた誤算だ。まるっきり相手にされてない。寄って来る素振りさえ見せないのだ。

午後2時15分。
そろそろテリトリーを張る時間も終わりに近づいている。悲痛な思いで、飛び立つことを願う。
したら、通じたのか飛んだ❗そしてスピードを上げて木からどんどん離れてゆく。すかさず後を追う。
見てると、昨日、Fさんと見た場所で旋回しだした。採るチャンスを求めて裏側に回る。しかし間に合わなかった。左側に旋回して奥へと飛んで行く。またあの木に戻るつもりか❓だがそっちは行き止まりになってて、追い掛けられない。慌てて来た道を引き返す。
走って元の場所まで戻ると、やはりいた。止まらすにまだ上空を飛び回っている。なるほど、ルートは読めたぞ。この木を拠点にして、時折足を伸ばしてパトロールに出るのだろう。しかし、こんな珠にしかパトロールに出ないとなると、蝶道で待つ方法は使えない。あまりにも効率が悪過ぎる。そしてトラップでも採集は望めないとなると、八方塞がりだ。ならば、ここで何とか仕留めておきたい。
やがて白き騎士は左の木に移り、少し高度を下げた。そしてチラチラと細かく羽ばたき始めた。止まりたがってるように見える。止まればチャンス到来だ。あそこならギリギリで届くかもしれない。

止まれ。
止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれー

心の中で、エヴァンの「ダメだダメだ逃げちゃダメだ」の碇シンジばりに連発で唱え続ける。

(☆▽☆)止まった❗
この千載一遇のチャンス、逃してなるものか❗大急ぎで長竿をスルスルと伸ばす。

Σ(゚口゚;)ギャヒーン❗でも微妙に届かん❗

30cmだか50cmだか、あと少しだけ届かんのだ。
クソッ、なり振り構ってらんない。かくなる上は恥も外聞も捨てちゃるわい。スクーターの置いてあるもとへと走る。

─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ ブゥィーン
乗って戻って来て、道路の端ギリッギリに停める。そしてキッと上を見据えて、まだ同じ場所に止まっているかを確かめる。
(◠‿・)—☆いるっ❗
驚かせないようにゆっくりとバイクをさらに前へと進め、位置を調整する。心の中のわさわさ感が急沸騰する中、焦るように長靴を脱ぎ、シートの上によじ登る。
だがスペースは思ってた以上に狭い。おまけに真っ平らではなくて微妙に傾いている。慎重にバランスをとりながら竿をそろりそろりと上へと伸ばしてゆく。しかし竿を伸ばせば伸ばすほどバランスを取るのが難しくなってくる。竿を一段伸ばすごとに重さが腕に乗しかかり、少しの風にもあおられて、生まれたての子鹿みたく足がワナワナするのだ。焦るなオレ、落ち着けオレ。ここで落っこちるワケにはゆかぬ。

あと一段を残したところで、止まっている位置を確かめる。
(*゜0゜)ゲッ❗真下すぎて枝先が被さって蝶の姿が見えない。

だからといってバイクの位置を後ろに下げれば、今度は届かない可能性が出てくる。それに、そうなると竿を一旦縮め直してから再度伸ばさねばならない。もしも、あたふたしている間に飛ばれでもしたら、泣くに泣けない。

肝を据える。ゆっくりと息を吐き、最後の一段を伸ばす。
えーい(ノ ̄皿 ̄)ノ ⌒== ┫、ままよ。
伸ばしきったところで、だいたいのアタリをつけてバサッと上から被せた。

コンマ何秒かが過ぎた。
入ったのか…❓
そう思ったのも束の間、真上をゆっくりとスローモーションのように飛び立ってゆく姿が見えた。


∑( ̄皿 ̄;;)ヒィーッ、やらかしイガ十郎(༎ຶ ෴ ༎ຶ)

採れたと思ったのに、大大誤算じゃないか。

彼はさして驚かされたという風でもなく、王者の如くゆっくりと旋回して、また最初の高い梢に戻って静止した。
なぜハズした❓コースは間違ってなかった筈だ。だとすれば高さだ。もしかしたらアレでもまだ届いていなかったのかもしれない…。となれば、あの位置でも7mはあった事になる。クソッ、持ってくる長竿の選択を完全にミスった。6.3mもあれば充分だろうとナメてかかったのが激しく悔やまれる。

茫然とその場で立ちすくんでいると、さっきのおばーが又戻って来た。
『採れたかねぇ❓』
『採れましぇーん。今さっき逃げられましたー༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ༽

その後、30分近く待ったが、彼は眠りについたかのように強い風が吹いても微動だにせず、二度と舞い上がることはなかった。

                         つづく

 
ここで、キリよく終わりたいところなのだが、話はまだ続く。
2回に分けるとレイアウトをやり直さなければならないし、他にも何だかんだと面倒ごとが増えるのだ。

ショックを引きずったまま、あかざき公園へと向かう。

  

 
慰霊塔でアカボシを待つ。でも心ここにあらずで、半ば呆けてベンチに座っていた。さっきのショックを引き摺ったままで、気力萎え萎えである。

午後4時。
そんな状況下、奥から格子模様の大型の蝶が飛んできた。
でも緩やかな飛び方だったし、リュウキュウアサギマダラだと思った。大きさ的にもそう見えた。アカボシのオスは、もう少し小さかった筈だ。それに此処でメスを見た事はないし、時期的にも未だメスは発生していないだろう。ということは、やっぱリュウアサだろう。だったら無視だ。リュウアサなんて何処にでもいる普通種だから、んなもんを採るためにわざわざ立つ気にもなりゃしない。

 
【リュウキュウアサギマダラ】

 
けど近づいて来たら、にしては地色が白いような気がしてきた。でも立ち上がるのが邪魔くさかった。心が折れているので「わざわざ行ってみたら、リュウキュウアサギマダラでしたー」じゃ、傷口に塩を塗るようなものなのだ。下手すりゃ、立ち直れなくなる。
蝶は6、7m横を通り過ぎて東屋に向かって飛んでゆく。アホ蝶だな、そのまんまだと壁にぶつかるぞと思ってたら、直前で慌てたように左に軌道を変えた。ざまあない。
だが次の瞬間、赤い紋がハッキリと見えた。
(,,゚Д゚)ハッ、じゃなくてアカボシだ❗
そう気づいた時には、時すでに遅し。
慌てて追い掛けるが、早くも壁の左側の空間を抜けようとしている。必死で距離を詰めたはものの、どうみても届きそうにない。網を振るチャンスを逸して見送るしかなかった。

誤算のドミノ倒し。誤算も極まれりの大誤算だ。
そして、フタオの♀が飛んで来た時と同じようなシチュエーションでもあった。つまり初動が遅れて、大チャンスをみすみす逃してしまったワケだ。学習能力ゼロじゃないか。アホは、やっぱり何処までいってもアホだ。
あれだけ大きかったという事は、たぶん♀だったのだろう。♂さえまだ見てないのに、やや遅れて発生する♀がまさかもう飛んでいるだなんて、これっぽっちも考え及ばなかった…。痛恨のボーンベッドである。♀は♂と比べて、そうは採れない。♂ならば、まだまだチャンスもあるだろうが、♀に又会える保証はないのである。それを考えると忸怩たる思いだ。ここぞという時に力を発揮できない者には、神様はけっして果実をお与えにはならないのだ。
アカボシの♀は毒のあるリュウキュウアサギマダラに擬態していて、飛び方までソックリ似せていると言われている。その擬態精度は高いと評価されており、標本商の森さんでさえも騙されたと言ってた。けれど、自分は一度も奄美で騙された事はなかった。んなもん、楽勝で見破れるわいと思っていたのだ。その後、台湾のアカボシゴマダラ(註1)の擬態精度の高さには一瞬は騙されたものの、ソレとて直ぐに違うと気づいた。だから騙されるワケがないという自負があったのだ。

 
【台湾産アカボシゴマダラ♂】

【同♀】

(2016.7 台湾南投県仁愛郷)

 
それがこの期に及んで騙されるとは何たる恥辱、まさかの失態だ。我が絶不調ぶりに、もう膝から崩れ落ちそうだよ。認めたくなかったけど、珍しいくらいに今のオラって何やってもダメダメだ。メンタルとか、もうそうゆうレベルの話ではない。たぶんメフィラス星人(註2)が、何らかの理由でワシのことを悪質な手で妨害しているのだろう。

その後、予想通り二度とアカボシは姿を見せなかった。
これを予想通りって言ってる時点で、メンタルが破壊されてる証拠だ。
もう、┐(´д`)┌お手上げでござんすよ。

                         つづく

 

女の子たちが使いきれなかったタコと伊勢エビを冷蔵庫に残していったので、折角だから調理することにした。
ここ「ゲストハウス涼風」には台所と冷蔵庫があって、自分で食材を持ち込んで料理をすることもできるのである。
とはいうものの、心はボロボロなのだ。わざわざ買物にまで行く気は起こらない。とりあえずは誰かが残していった調味料と食材とで何とかしよう。

①これまた女の子たちが残していったサラダ用の野菜があったので、それをサッと洗ってザルにあげ、水を切って皿に盛っておく。

②伊勢海老を一口大に切る。そこに辛うじて残っていた小麦粉を申し訳程度にまぶす。ちなみに、有れば片栗粉を使ってたと思う。

③フライパンを弱火にかける。温まったところで胡麻油を入れる。そしてそこに冷蔵庫の隅で1万光年は忘却されていたであろうチューブ生姜を少量入れる。

④香りが立ったところで、ガチ戦闘態勢に入る。さあ、こっからが本番だ。一気呵成に攻めねばならぬ。伊勢海老を半生に仕上げたいから、時間との勝負なのだ。
火を強め、煙が出たら伊勢海老を投与。続けて塩、黒胡椒、オイスターソースを怒涛の如く立て続けにブチ込み、奥義を繰り出す。アタタタタタタタ…、電光石火で炒める。おそらくこの間、30秒くらいだったろう。気分は超絶高速で両腕を動かし、残像で千手観音みたくなっとる感じだ。

 

(出展『満天握り月太郎』)

 
千手観音の如くフライパンを振ってる漫画を探したが、見つかんなくて『満天握り月太郎』から拝借させて戴いた。
月太郎は満月の夜にしか必殺技「満月握り」が出せないサイコパス寿司職人なのら〜。
ちなみに本日は満月で、しかもスーパームーンの皆既月蝕だという稀有な日である。何と24年振りの事らしい。
おそらく月太郎は超絶奥義の「月蝕スーパー満月握り」を繰り出すことであろう。

 

 
たぶん、これくらいのサイコ野郎にはなってくれるだろう。

⑤あとは野菜の上に盛って出来上がり。

  
【伊勢海老の怒涛千手観音炒め】

 
(◠‿・)—☆我ながら上出来だ。美味い。制約ある中でのベストなプレーだろう。中々にフレキシブルなパフォーマンスだったと思う。
食べながら、ぼんやりと思う。その優れた資質がナゼにフィールドでは反映されないのだ。今日もスクーターの上に乗っかるとか柔軟でフレキシブルな対応はしていた筈だ。なのに結果が伴わない。
考えてみれば、奄美に来てからずっと誤算続きだ。この迷走のループ、いつまで続くのだろう。

                         つづく

 
追伸
「つづく」が連続して続くという異例の展開だったが、今回は註釈が少ないので、書くのは楽だった。
でも古い展翅標本を多く載せたので、別な意味でのストレスがあった。気にくわない展翅画像がいくつかあるのだ。例えばリュウキュウアサギマダラなんて、今だったら前翅をあんなにも上げないからさ。
それで思い出したよ。後々わかるのだが、この日に見たアカボシは、よくよく考えてみれば、メスではなくてオスだった可能性もある。春型は夏以降に出てくるものよりもデカいのだ。夏以降の個体しか見たことがない者には、その大きさから初見はオスでもメスに見えてしまうのである。もしそれに直ぐ気づいていたならば、リュウアサと見間違うなんていう恥ずかしいミステイクは犯さなかった筈だ。

 
(註1)台湾産アカボシゴマダラ
学名「Hestina assimilis formosana (Moore,1895)」。台湾特産の亜種として記載されている。
台湾産のアカボシについては、拙ブログの『発作的台湾蝶紀行』の42話「気分は上々」等に書いとります。興味のある方は、読まれたし。

 
(註2)メフィラス星人

(出展『メタボの気まぐれ』)

 
『ウルトラマン』の第33話「禁じられた言葉」をはじめ、ウルトラシリーズに度々登場する宇宙人。別名「悪質宇宙人」。
ボスキャラ的存在で、知能が高くて紳士的だが、自分の思い通りに事が運ばないと激昂する。
名言も多く、ハヤタ隊員(ウルトラマン)に対して『お前は宇宙人なのか❓、人間なのか❓』と問いかけたり、『宇宙人同士が戦ってもしようがない。私が欲しいのは地球の心だったのだ。だが私は負けた。子供にさえ負けてしまった。しかし私はあきらめたわけではない。いつか私に地球を売り渡す人間が必ずいるはずだ。また来るぞ。』と言い残して去ったりもする。
だが、一方では『卑怯もラッキョウもあるものか❗』という知性のカケラもない迷言も残している。

 

寒鯖で〆鯖を作る

 
2月初めの事である。
スーパー玉出で丸々と肥った鯖が売っていた。寒サバという奴であろう。三重県産とあるし、どこかの湾内でたっぷりと脂肪を蓄えたものに違いない。
でも鮮度は微妙だ。抜群に良くはないが、鯖寿司が出来る範囲内には入っていそう。でも鯖はアタるとヤバいんだよなあ。一度、鯖寿司で酷い食中毒になった事があるからね。しかも百貨店の物産展で売ってた高級鯖ずしでだ。上からも下からもリバースしっぱなし。3分に1回はトイレに駆け込むという状態で、3日間で頬はゲッソリ、廃人のようになった。その時以来、京王百貨店には行っていない。ゼッテー、京王百貨店で買い物しないと心に固く決めたのだ。

念のために店員を呼び、鯖寿司が出来るか否かを尋ねる。
「大丈夫です」と答えるので、3枚におろしてもらった。

①先ずは身の両面に、たっぷりと砂糖をまぶす。してからに斜めに傾けて1時間程おく。
塩ではなく、なぜに砂糖❓と訝る向きもあろうが、あの「分とく山」の野崎さんも砂糖で〆るを推奨されておるのだ。味が格段に良くなるらしい。
言い忘れたが、傾けるのは臭みの元となる液を折角外に出したのに再び体に付着しないためだ。

②1時間経ったら砂糖を水で洗い流し、表面の水気を拭き、今度は塩で〆る。コレも傾けて1時間ね。

③塩を水で洗い流して表面の水気を拭いて、次は米酢に漬ける。時間は、お好みの〆具合と鯖の大きさによるが、15分から1時間の間ってところだが、浅締めにしたいので裏表15分ずつの計30分浸した。

④酢から上げて水気を拭いたら、薄皮を剥く。酢に漬けてからだと簡単に剥けるのだ。中骨もこの時点で抜く。生の状態で抜くよりも酢で締めた後の方が身がボロボロになりにくい気がするのだ。あくまでも、そんな気がするというレベルだけど。

食べ切れそうにないので、半身は昆布で巻いてからラップして冷凍庫にブチ込む。コレでアニサキスも死滅じゃよ。
アニサキスが怖ければ、もう半身も冷凍庫に72時間ブチ込むべしだが、アニサキスが怖くて生ずし(〆さば)が食えるかってんだ、٩(๑òωó๑)۶バーローめがっ❗

包丁で真ん中に切れ目を入れるべきだが、邪魔くさいので、そのまま削ぎ切りにしていく。
でもって皿に盛り、生姜と辛子を添えて完成。

 

 
先ずは、何もつけずにそのまま食う。
(≧▽≦)うんめっ❗脂がスゲーのってる。

お次は醤油をつけて。
これまた🤩うみゃーい❗
日本酒をキュッといくと、もう堪んない。身悶えする。

デカい鯖なので半身丸々は食べ切れない。残りは醤油と生姜を混ぜて一晩おくことにした。

 

 
ネギと白ごまを加えて混ぜて食べてみた。
酒のツマミにはバッチシやんけの、やんけーやんけーやんけーやんけー、そやんけ、ワレー。ワレーワレーワレー、そやんけワレー。河内のオッサンはシャウトする。
でも、はたと白飯と一緒だと、もっと美味いんじゃないかと思った。

 

 
やっぱ、旨いねぇ〜(´ω`)
正解だったよ。

数日後、冷凍してあった昆布〆ヴァージョンも食べることにした。

 

 
水分が少し抜けた感じだ。

 

 
白くなっているから、前回よりも酢が回ってる感じである。
食べてみよう。

(・∀・)なるほどね。
やはり酢が回ってるが、昆布の旨味がしっかり身に馴染んでいる。コレはコレで旨いね。どっちが美味いかと訊かれれば、浅締めだと答えるけどさ。

しかし、これは味見にすぎない。本チャンは鯖寿司なのだ。
その為に、最初に酢締めにした時の酢に軽く火を入れて冷まし、砂糖と昆布を入れた寿司酢を作り、前日からスタンバらしてある。
米を炊き、その寿司酢を混ぜて酢飯を作る。

 

 
酢飯には、ふんだんに白ごまを混ぜ合わせてある。
味は勿論のこと旨い✌️

腹一杯食ったけど半分残ったので、翌日は焼き鯖寿司にすることにした。
金串を刺して、ガス火で直火で皮目を焼く。で、今度も酢飯の上に盛り、辛子を横に添える。

 

 
焼き鯖にすると、趣きがグッと変わる。
より脂がグッと前面に押し出しきて、コレもまた旨いね。やはり寒サバだけあって脂のノリがスゴいわ。

来年もまた作ろっと。

                        おしまい

 

鰊そば

 
無性に鰊(にしん)そばが食べたくなった。
きっかけはスーパーで「ソフトにしん」が半額になっていたからである。
一応言っとくと「ソフトにしん」とは、従来からある「身欠きにしん(註1)」と比べて干し時間が短く、柔らかいものの事をそう呼ぶようになったようだ。

しかし、そこのメーカーのソフトにしんって苦くて美味しくなかったという記憶が残っている。なので取り敢えず他の買物を先にしようと、一旦その場を離れた。

買物をしながら、ぼんやりと久し振りに京都は南座の隣にある『松葉(註2)』の鰊そばを食べたいなあと思った。
京都では鰊そばはポピュラーで、中でも『松葉』のものが一番有名なのだ。そういや、あまり好きじゃなかった鰊そばの本当の旨さに初めて気付かされたのは此処だったよね。

 

(出展『ことりっぷ』)

 
でも、値段が高いんだよなあ。¥1300(税込¥1430)もする。
金ねぇし、コロナの緊急事態宣言中だし、京都まで行くのは考えものだ。この際、自分で完璧な鰊そばを作ってみるっぺか。

で、一回りして戻ってきたら、(ㆁωㆁ)ゲッ、オバハンが目の前でワシのソフトにしんをカゴに入れはった。
一瞬、『それ、僕のぉー❗』と言いかけたが、そんなこと言ったら、狂人のオッサンと思われること必至だ。黙って見送る。
……(-_-;)マジかよ。一周回って漸く意を決して買おうとしただけに何だかとてもショックだ。こうなると、どうしても鰊そばが食いたくなる。それが人情ってもんだ。
けど、そんなの世の女子から見れば、子供じみてるって言われんだろなあ…。ちゃんとした大人は、そんな事で意地になったりはしないのだ。けど、どうせ未成熟とオンナどもに言われてきたオトコだもんねー。今さら治りゃしないのだ。
その代わりっちゃなんだけど、性格は変わらなくとも知恵は以前よりかはついている。棚を見ると、30%引きのがあった。賞味期限を確認すると明日になっている。
(ΦωΦ)フフフ…、勝機を見い出したぜ、マドモアゼル。
経験上、となればコヤツも明日には半額になっている筈だ。だいたいソフトにしんなんてもん、世の主婦で扱える人なんて少ないのだ。たとえ翌日に半額になっていたとしても、直ぐに売れるものではないだろう。余裕で明日来ても売れ残っいる可能性が高い。

翌日、夕方にスーパーへ行ったら、へへへ(◠‿・)—☆、あったぜ。

 

 
<( ̄︶ ̄)>オラって、かしこい〜👏
早速、調理にかかる。

①ソフトニシンは骨や血合いがあれば取り除いておく。
で、鍋に入れて緑茶をドボドボ注いでヒタヒタにする。有れば緑茶のティーバッグでもいい。っていうか、その方が経済的だろう。でも、どうせローソンの百均で買った2L百円のお茶なのだ。贅沢に使っても心は傷まないのさ。
尚、緑茶を使うのは茶葉と煮ることで身欠きにしんの臭みが消え、柔らかく煮上がるからだす。

②中火にかけ、沸騰してきたら弱火にして20分程でザルに上げる。冷めたところで、本当は『松葉』みたく半身そのままにしたかったのだが、半分に切る。「泣いて馬謖を斬る」の苦渋の決断だが、どう考えても今ある家の丼には入りきらないと判断したのだ。

③鍋にニシンとめんつゆを入れて中火にかける。煮立ったら落とし蓋をして弱火で20分程煮る。ニシンが柔らかくなり、照りが出たら火から下ろしませう。

④そばを表示時間よりも1分短めに茹でる。
 
 

 
今回はディーンのボーカルが『マツコの知らない世界』で、イラッとくるくらいに褒めていた『小諸七兵衛』。それなりに満を持したつもりだ。
茹で上がったら、冷水で締める。

⑤別の鍋に『ヒガシマルうどんスープの素』を入れて、熱湯をかけ(300ml)、ニシンの茹で汁を適当に加えて味を調整する。

 

 
⑥そこに蕎麦を投入。ひと煮立ちしたら、器に移してニシンと水菜を乗せて完成。

 

 
マジで、(☆▽☆)美味い❗
ニシンも完璧に仕上がってる。全然、苦くなくて、程好い固さだ。味付けも松葉のものと遜色ない。

旨かったので、翌日も食べた。

 

 
ニシンに蕎麦を掛ける松葉流の盛り方にしてみた。
けど、見た目は一本ニシンと比べて、何だかみっともない。
それにあまりに素っ気ないので、『松葉』では別添えである葱を乗っける。

 

 
こっちの方が見た目は、まだしも良いよね。
味は水菜が葱にチェンジしている分、微妙に違うが、やはり美味い。

まあ、それほど手間もかからないし、是非お試しあれ。

 
                        おしまい

 
(註1)身欠きにしん
干物にしたニシンのこと。冷蔵庫がない時代の魚の保存方法の一つで、ニシンの内臓や頭を取り除いて天日干しにしたもの。
干物にすることで身が引き締まり、骨にそって取れやすいとゆうことから「身欠き」と言われるようになったという。
最近では乾燥度が強くて扱いずらい身欠きニシンよりも、短時間で戻すことができて手間もかからない一夜干し程度のソフトニシンの方が主流となっているみたいだ。

 
(註2)『松葉』

(出展『360@旅行ナビ』)

 
正式名称は『総本家にしんそば 松葉』。
鰊そば発祥の店とされ、創業から百五十年を越えている老舗である。
ちなみに隣に写っているのが、顔見世興行で有名な南座。歌舞伎役者も、よく出前を頼んでいるそうな。

 

スマの刺身に悶絶するの巻

 
少し前の話である。
スーパーKOHYOに行ったら、見慣れない魚の刺身が数点並んでいた。KOHYOはイオングループなだけに、あまり変わった魚は並んでいないので、最初はスルーしかけた。中トロ鮪だと思ったのである。しかしマグロとは僅かに質感が違うような気がした。
何じゃらほい❓と表示を見たら、「スマ」と書いてある。
(・o・)スマ❓何だったっけ❓
聞いたことがあると脳は反応しているのだが、直ぐにシナプスが繋がらなかった。たぶんコーヨーなんぞにそんなモンがあるワケないという固定観念が思考を邪魔していたのだろう。
程なく記憶が知識のゴミ山の中の1点にフォーカスした。
スマって、あの「幻の魚」とも言われているスマの事か❓
スマの刺身はメチャメチャ美味いという噂は随分前から耳には届いてはいた。しかし「幻の魚」と称されるだけに、中々お目にかかる機会がなかった。それが、まさかこんなところで出会えるとは予想だにしていなかったのだ。

 

 
養殖とあるが、この際もう関係ないだろう。とにかく、どんな味かを知りたい。
それに養殖に成功していたと云うのも、だとしても抜群に旨いと何処ぞに書かれてあったのも脳内にインプット済みだ。そこに一切の迷いはない。

安くなんねぇかなあと思ってたら、直ぐに目の前で半額シールが貼られた。ダブル(◠‿・)—☆ラッキーである。

パッケージの蓋を開けて、ニタつく。
このビジュアル、見るからに旨そうだ。艶(つや)っぽくて、エロティシズムが、しとどに溢れ出している。おたく、ビチャビチャですやん。官能的で、もう見てるだけでも昇天しそうだ。久し振りにエレクトする魚に巡り会ったよ。

織部に盛るか信楽焼に盛るかで悩んだが、土物(つちもの)では失礼だ。ここは高貴さを湛えた有田焼のベッドに横たえるとしよう。ケケケケケψ(`∇´)ψ、じゅる。オジサン、唾を呑み込む。

 

 
見た感じ、マグロとカツオの合の子みたいだ。
質感はトロカツオに近いが、色は赤黒くなくて中トロに近いものがある。🎵フォンティーヌ、なんと艶(なま)めかしいピンクざましょ。
オジサン、もう我慢できない。バルトリン氏腺液、ダダ漏れ気分じゃよ。やおら、箸で乱暴に引っ掴み、たまり醤油にドブンとつける。冒涜だ。綺麗なピンクが黒い醤油まみれになる。穢してやった感にリビドーが屹立する。劣情と背徳感とが錯綜する忘我の喜びに溢れつつ、口に放り込む。

(☆▽☆)♥️あふ〜ん。
体をクネクネさせて、身悶えする。
そして、中空に向けて渾身のパンチ👊💥を繰り出す。
うっめぇ━━━━(≧▽≦)━━━━❗❗

想像を超えて身質は柔らかく、キメが細かくて繊細だ。そして噛むと直ぐに口の中で蕩(とろ)け、旨みがドバドバと口じゅうに溢れ出して蹂躙してくる。甘い❗ そして最後に微かな酸味が鼻腔を心地良く抜けてゆく。
(´ω`)メチャメチャ美味いやんけー❗❗

見た目どうりに食感はトロカツオに近いが、より柔らかい。そしてカツオみたくクセのあるワイルドさはない。どちらかと云うと、やや中トロ寄り。しかも極上クラスのモノの味だが、にしては筋張ったところはなく、身質の繊維が細かくて、しっとりとしている。味は微妙にどちらとも違うのだ。謂わば、両者のエエとこ取りなのである。
オジサン、一発で👼昇天。天に召されましたよ。
以後、愛欲に塗(まみ)れたかのように貪り食う。

世の食いもん好きの皆様、スーパーでも居酒屋でもいい、もしも見掛けたら、少々高くとも何が何でもトライですぞ。

一応、種の解説もしておく。
例によって、ぼうずコンニャクさんの力を主にお借りして編集しやす。

 

(出典『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

 
パッと見は、ほぼカツオちゃんである。
スマにしろキツネガツオ、ソウダガツオにしろ、カツオ系の魚は全員が美味なんだね。中でも断トツだろう。

スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科スマ属に分類される大型魚。大きなものは体長1m前後、体重10kgに達するが、日本で見かけるものは50cm〜60cm程度のものが多い。体型はカツオなどと同様の紡錘形で鱗は眼の後部・胸鰭周辺・側線周辺にしかない。
名前の由来は、カツオの縦縞に対して「横縞鰹」の意味で「しまがつお」と名付けられたものが「スマガツオ」に変化したものとされる。
なお、漢字は「須満」「須万」「縞鰹」が宛がわれている。

ぼうずコンニャクさんの味の評価も5つ星だ。

魚貝の物知り度 ★★★★ 知っていたら達人級
味の評価度 ★★★★★ 究極の美味

脂の乗りが良く、漁獲場所や季節によってはマグロを凌ぐのではと囁かれているほどなんだそうな。
身はカツオに似た赤身で、秋に入って水温が低下すると脂肪を蓄えて白みを増し、鮮やかなピンク色の身になる。

 
【地方名】
ワタナベ(千葉県)、スマガツオ(東京都)、キュウテン(八丈島)、ホシガツオ(高知県)、ヤイト・ヤイトガツオ(西日本各地)、ヤイトマス(和歌山県)、ヤイトバラ(近畿地方)、オボソ(愛媛県愛南町)などがある。
「ヤイト」の異称は、胸鰭下方の腹部に複数ある黒斑を灸の痕に見立てたのが由来。

 
【分布】
インド洋・太平洋の温帯〜熱帯にかけた海域に広く分布する。
日本では千葉県外房、相模湾〜屋久島の太平洋沿岸、北海道日本海側せたな町、兵庫県浜坂など日本海側〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、及び琉球列島沿岸、小笠原諸島に分布する。
国外では朝鮮半島南岸、済州島、インド・太平洋の温帯・熱帯域に生息する。

 
【生態】
肉食性で、魚・甲殻類・頭足類などを捕食する。
カツオほどの大群は作らずに単独か小さな群れで回遊し、南西諸島・小笠原諸島沿岸では通年釣れるが本州太平洋岸では8〜10月に釣期が限られる。相模湾・駿河湾ではソウダガツオ類の群れの中から稀に釣れる程度で、まとまって漁獲されないことから、沿岸の表層をカツオ・ソウダガツオ類・ハガツオなど他のカツオ類に混じって回遊していると考えられている。
産卵期は日本沿岸では夏だが、南方ほど長くなり、北赤道海流沿いでは冬期を除く8か月にわたって産卵が行われる。特定の産卵場は持たず、水面に浮く性質の卵を産む。餌が乏しい外洋域では、約1日で孵化した稚魚は一緒に生まれた兄弟を共食いするという。
寿命は約6年。成長が早く、満1歳で1kgに育ち、満2歳で成熟する。カツオの仲間としては好沿岸性で、島嶼部では磯際まで回遊する。

 
【漁獲法】
カツオ・マグロ・シイラなどを狙った釣り、延縄で漁獲されるほか、巻網、定置網などの沿岸漁業でも混獲される。
フィリピン、マレーシア、パキスタン、インドなどでは重要な漁獲対象となっており、1990年代には年間10万トン前後が水揚げされている。
個体数が少なくて本種単独では大群を作らないため、専門に狙う漁はないが、カツオ・ソウダガツオ類に混じって釣れることが多く、それらと同様に活イワシの泳がせ釣り、一本釣り、ルアー釣りで釣れるほか、島嶼部では磯・防波堤からのカゴ釣り、泳がせ釣りでヒラマサの外道として釣れる場合もある。

 
【旬】
旬は一般的に初秋から春にかけてが旬と言われている。しかし『ぼうずコンニャク市場魚介類図鑑』では冬から夏としている。また夏の産卵後以外あまり味が落ちないとしている。なお、大きい方が美味とされる。

 
【市場での評価】
市場での評価は高く、高級魚として名高い。
季節にもよるが、2キロを超えるものは1キロあたり1500円、時に2000円を超す高値になることもあるようだ。高級魚として名高いノドグロ(アカムツ)の市場価格が1キロあたり1000円後半から2000円台みたいだから、その価格に迫る高級魚だということになる。
関東にはあまり入荷がなく、知名度がまだ低いせいか、やや安いという。

 
【料理法】
熱を通してもあまり縮まない。アラからは良い出汁が出る。
選び方は触って張りのあるもの。硬いもの。
料理法は、刺身、たたき(土佐造り)、なめろう、竜田揚げ、角煮、焼き魚、潮汁、みそ汁、煮つけ、なまり節、炊き込み御飯、粕漬けなど多岐にわたる。
台湾では刺身、スープ、鉄板焼などに利用されている。食用以外にマグロやカジキなどの釣り餌として使われることもある。

尚、ぼうずコンニャクさんは刺身と焼き霜造りを特に絶賛しておられる。

(スマの刺身)
身はしっとりと柔らかく、口に含むと脂が溶け出して、甘い。酸味は少なく、魚らしいうま味がとても豊か。絶品としかいいようがない。

(スマの焼霜造りスマの焼霜造り)
口に入れるととろっとして舌の上に微かな酸味とうま味が強く感じられる。ほどよい食感も楽しめて美味。ここではしょうがとにんにくを添えたが、わさびでもいい。

 
【流通】
高知・室戸岬、鳥取・益田、鹿児島県、長崎県、三重県、和歌山県などで時折水揚げされるが、数が非常に少なく、足の早い魚のために都市部にまで出回ることは殆んどない。

釣りでは、黒潮の通り道の伊豆諸島及び小笠原諸島近海、和歌山県、高知県、鹿児島沖、日本海側の玄界灘や響灘周辺の海域、奄美諸島、琉球諸島などで狙えるそうだ。但し、スマ釣り専門の船はないみたい。カツオやソウダガツオ、ヒラマサ釣りの外道で釣られることが多い。

そんな幻クラスの魚スマだが、近年では愛媛県や和歌山県などで養殖も行われ始めており、味が良くて身質がマグロに近いことから、その代替品として期待されている。
とはいえ、まだ全国に出荷できるほどの水揚げ量ではないようだ。しかし養殖技術も上がってゆくだろうから、そのうち安定して流通し始めるだろう。って云うか、そう願いたいね。

                        おしまい

 

やらかし節分太巻き

  
2月2日だけど、節分である。
節分といえば2月3日というイメージがあるが、実を云うと固定されているワケではない。決まっているのは立春の前日であるということだけである。つまり、今年は立春の日がズレるのだ。
何でズレるかと云うと、えーと何だったっけ❓頭では解っているのだが、人にスッと説明できるほど脳内では整理が出来てない。

えー、地球が太陽を1周すると、ちょうど1年になりまんな。で、1年はは365日だよね。しかし厳密的には、365.2422日なのよね。つまり、それでは毎年0.2422日ずつ多くなってしまう。その誤差を修正するためにあるのが、4年に一度の閏年(うるうどし)ってワケだすな。2月29日の1日を増やすことで誤差をリセットするのだ。
しかし、それでも問題が生じる。閏年は1日(24時間)増えるワケだが、今度は4年で約45分、400年で3日ほど増やしすぎてしまう。そのため、閏年を400年で3回減らさねばならない。100で割れる年は閏年にせず、400で割れる年は閏年のままとするんだとさ。この結果、2000年のような400で割り切れる年の前後の世紀は、節分などの日付がズレやすいんだとさ。
自分でも理解が怪しくなってきたが、そうゆうことだ。何となく大体のことは解って戴けたかと思う。
ちなみに、節分の日が2月2日になるのは何と明治30(1897)年以来の124年振りのことらしい。殆んどの人が鬼籍にはいっとるがな。
じゃあ、次に2月2日になるのはいつなのだ❓確実に死んでるなあと思いつつ、調べたら何と2025年であった。たった4年後ではないか。法則がワケわかんねえよ。

どこのスーパーも恵方巻き売場は、人でごった返していた。ソレって完全に三密やん。ゲンナリだし、夜遅くになれば値引きもしてるだろう。そう思って用事を済まして戻ってきたら、えーっ\(◎o◎)/❗❓、全部売り切れとるやないのー。なんと、どのスーパーも恵方巻売場は空っぽと化していたのだ。
(-_-;)クソー、どいつもこいつも、まんまとスーパーとコンビニと海苔業界の陰謀に踊らされやがって。

(-_-メ)ケッ、ならば自分で作ればよいではないか。だいち、そっちの方が安上がりだ。

 

 
先ずは玉子焼を作った。
それを2センチ幅くらいに縦に細長く切る。
キュウリも縦に切り、8等分にする。

御飯が炊けたら、タマノイの「すしのこ」をかけて混ぜる。

 

 
手抜きだが、それでいいのである。たかだか恵方巻にそこまで気合いを入れるつもりはないのだよ、せにょーる。
だからこそ、わざわざ刺身を買わなかった。なぜなら、冷蔵庫にコレがあったからである。

 

 
アトランティックサーモンの切れ端、¥158である。
見たところ鮮度が良さそうなので刺身の切れ端っぽいし、加熱用とも書いてないから買ったのさ。
それを捌いて、煮切った酒と味醂、醤油、ネギを混ぜた。まあ、言ってみればヅケだね。補足しとくと、皮の部分はカリカリに焼いて加えてある。骨以外は全部使うぜ、貧乏性。

焼き海苔をガス火で両面炙る。
巻き簀に海苔の裏面(ザラザラの方)を上にして縦に置く。その上に上下2センチ程の隙間をあけて、酢飯を万遍なく乗せる。
真ん中より下に、玉子焼、サーモンの漬け、キュウリ、貝割れ大根の順に並べる。
あとは、躊躇せずに手前から奥へと一挙に巻き、ギュッギュッと力を込めて形を整えてやれば完成。

 

 
久し振りに巻き寿司なんか巻いたけど、まあまあ上手くいった気がする。
そのまま、やおらガブリとかぶりつこうとして、手が止まった。恵方巻はその年々の方角が決められており、その方角に向かって黙って食うのが習わしだ。でも今年の方角がワカラン。
そこで急速にバカバカしくなってきた。誰が方角を決めとんねん❓こんな風習なんて最近のことだろ。始まってから50年も経ってないぞ。それに食ってる間は喋ってはならないなんて誰が言い出したのだ❓そこに明確な謂れとか理由が本当にあるのかね❓どうせ海苔業界とコンビニ・スーパー業界の結託による売らんがための風習強化戦略じゃろうて。
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻しゃらくせー、やめじゃ❗❗

普通に切って食うことにした。そもそもカブりつきで食う太巻き寿司を美味いと思った事など無い。食いにくいだけだ。

包丁を1回1回、その都度濡らして切ってゆく。
こうすると酢飯が引っ付きにくいのだ。無理して切ると、グチャグチャになっちゃうからね。

 

 
しかし、やらかした。巻きが甘かったから崩れそうだし、サーモンの量も少なかったからバランスも悪い。
恵方巻なんぞ何するものぞというエンディングで〆ようと思ったのに…。何だかねー。締まりの悪い事よ。

翌日の昼、残りの材料を鉢盛りにした。

 

 
但し、酢飯には白ゴマを加え、少しポン酢を振り入れてリニューアルした。
コレを炙って切った焼き海苔を別皿に用意し、その都度上に乗せて巻いて食った。
正直、恵方巻なんかよりも海苔がパリッパリッで旨い。
だからといって、勝利宣言する気にはなれないけどね。ざまーみさらせ感があんましないのだ。
(+_+)何か調子悪りぃなあ。2月は鬼門なのだ。

                        おしまい

 
追伸
今日の晩も食った。

 

 
旨いけど、流石に飽きた。

 

2020’青春18切符1daytrip春 第三章(1)

 
第一話
無駄無駄パンチ、大人気ないのねんのねん

 
 2020年 4月8日

青春18切符の旅、3日目である。

この日は西を目指した。
大阪駅から東海道線に乗り換え、加古川駅まで行く。
東海道線は新快速とか走ってるから速くて助かるけど、加古川辺りまで来ると流石に遠方感がある。

 

 

 
ここで加古川線に乗り換える。
時刻は朝7:52。
今日も空は気持ち良く晴れわたっている。

 

 
ここで8時発の西脇市ゆきに乗る予定だ。
それにしても、電光掲示板下の「厄神」ってのはスゴい駅名だな。不幸の吹き溜まりじゃないか。

 

 
へぇー、車体が濃い緑なんだね。あまり関西では見ない電車の色だから新鮮だ。たぶん加古川線に乗るのは初めてだ。未知なことは楽しい。((o(´∀`)o))ワクワクする。

車両に乗り込む。
ここで妙なところにヒットする。さておき西脇市ゆきは8時ちょうど発じゃないか。それに脳ミソが勝手に反応してしまう。

🎵8時ちょうどの あずさ2号で
🎵ワタシはワタシは貴方から 旅立ちーますぅ〜

気づいたら、狩人の『あずさ2号』を口ずさんでいた。
アホは続いて「ワタシ」の後ろを言い換えて再び口ずさむ。

🎵は〜ち時ちょうどの〜 あ〜ずさ2号で〜
🎵ワタシはタワシは貴方から〜 た〜び立ちーますぅ〜

あまりにもチープな駄洒落だ。しかも「〜貴方から」のところで一旦止めて溜めを作ってからの「旅立ちーますぅ〜」の全開放なのだ。そのアホさ加減に自分でも吹き出しそうになり、下を向いて肩をヒクつかせながら必死で笑いを噛み殺す。しまった…、こんなところで恥を晒すワケにはゆかぬぞよ。
で、ひとしきり笑いの渦が去ったところで、顔を上げて恐る恐る周囲に目をやる。もしも誰かが見ていたら、気味悪がられてるんじゃないかと思ったのだ。朝の電車で中年のオッサンが一人を肩を震わせて笑いを懸命に堪えている姿は、相当に不気味だろうからね。
幸い車両の端っこに一人座っている女子高生は、スマホを何やら一心不乱にタッチしているからセーフそうだ。
女子高生に嫌われるのは絶対ヤダ。傷つくもんね。中年のオッサンはナイーブなのだ。

電車は長閑な春の里山をゴトリゴトリとのろのろ走ってゆく。
やがて見たことがあるような風景になった。もしやと思って車内の路線図を見たら、次は粟生駅だった。そういや粟生駅から加西市のギフチョウポイントまで元カノと歩いた事があるな。
いや、待てよ。粟生駅で思い出した。前言撤回。加古川線には乗ったことあるわ。新開地から神戸電鉄に乗り、粟生で加古川線に乗り換え、青野ヶ原駅までという短い区間だったが乗ってる。青野ヶ原には、まだ蝶採りを始めて間もない頃にヒメヒカゲとウラギンスジヒョウモン(註1)を採りに来たことがあるもんな。正確に言うと、ヒメヒカゲもいるとは知らなくて、上から降りてきた人に教えてもらったのだった。
両方とも数が減ってると風の噂で聞いたけど、まだ生き残ってるのかな❓ 元気でいる事を祈ろう。記憶にある蝶たちが消えてゆくのは偲びない。

 

 
8時50分過ぎ、西脇市駅に到着。

 

 
春爛漫。まだ桜は満開だ。

駅でバスの時刻表を見ると、出たばかりだった。
たぶん本数が少ないので、歩いてもバスに乗っても目的地への到着時間は変わらんだろう。だったら少し痩せないといけないし、交通費も浮くから歩くよ。その浮いた金を、例えば「老祥記」の豚まん代とかに回せるしね。それにそもそも、待つのが大嫌いな男なのだ。待つのなら、死んだ方がマシだとか言ってるくらいのせっかちな人だからね。

今回も目的はギフチョウである。
しかし、隣接する加西市や小野市には行ったことはあるけど、西脇市は初めてだ。しかも情報はあまり持ってない。知っているのはポイントの地名だけで、詳しい場所までは知らない。でも何とかなるっしょ。まあまあ天才なんだから(笑)。
巨漢プーさんが、昔よく行ってた場所だから、登りはそうキツくはないだろう。となれば、比較的なだらかな地形を探せばよかろう。
いや、待てよ。その頃のプーさんはまだ膝を傷めていなかった筈だよな。或いは、現実はそう甘くはないのかもしれん。

九時半前。
やがてポイントの山が近づいて来た。しかし思いの外に高く、山容は険しい。傾斜はキツそうだ。山頂待ち、尾根待ちするとすれば、それなりに汗をかかねばなるまい。めんどくせー。
一方、左手の山は比較的なだらかだ。そっちにもいるだろうと判断した。たぶん雑木林の中にも飛んでいるだろうから、山頂や尾根まで登らなくても済むだろう。必死になってまでギフチョウを採りたいワケではないから、ゆるい男は楽な方を選ぶのじゃ。

9時40分。山裾まで来た。
ここまで約1時間足らず。とゆう事は、5km以上は歩いた計算になる。まあまあ遠かったもんなあ。

 

 
ギフチョウ日和だ。
雲雀が空高く舞い上がり、陽気な声で歌っている。
桜も咲いてるし、あちこちで若緑が萌え始めている。つくづく春だなあと思う。何だか心がほっこりするよ。

しかし、山へ入る道が見つからない。一本だけ有ったが、入口がネットで塞がれている。入るなって事だろう。トラブルはヤだし、先へと進む。けど、道が無いぞなもしー。
途中、婆さんに道を訊ねたが、御高齢過ぎて要領を得ない。仕方なく更に進むが、見つからん。おいおいの展開である。

ネットで塞がれてた山道まで戻ろうかと考え始めたところで、やっと山へ向かう道を見つけた。

 

 
神社を過ぎると、奥で網を持った爺さんが立っていた。
V(^o^)vラッキー。とゆう事は、ここには確実にギフチョウがいると云う事だ。

挨拶して、色々と情報をお訊きする。
どうやら此処は数は多くはないらしい。昔と比べてかなり減っているという。しかも放蝶もしてるのに、その程度だと言う。
放蝶と云う言葉に一挙にヤル気が失せる。養殖モンを追いかけ回すって、どこか滑稽な気がして萎えるのだ。それに何だか泥棒っぽい。上で放流した魚を下流で獲ったら、どう考えてもズルくて悪い人だもんね。
まあいい。それでも此処のは採った事が無いんだから記念に採っておけばいいじゃないかと思うことにした。それに別に標本が沢山欲しいワケじゃない。そもそもが自分にとっては虫採りは狩猟ゲームであり、スポーツなのだ。そこのところに血湧き肉躍るのだ。正直、チマチマしてるから展翅も嫌いだし、飼育も苦手な性質(たち)なのだ。

暫くして爺さんは他の場所の様子を見に行くと言って、去っていかれた。
精神をリセットして、五感を研ぎ澄ませる。
待つのは嫌いだが、絶対飛んで来ると云う確信をもって待っている時間は好きだ。そこには((o(´∀`)o))ワクワクしかないからだ。スイッチが入り、コンセントレーションが高まってゆく感じはエクスタシーへの序曲(プレリュード)だ。そして、その先には大いなるカタルシスが待っている。これがあるから虫捕りはやめられない。
しかし、いっこうに女神は姿を現さない。天気も気温も上々だし、ゴールデンタイムの時間帯なのに何で❓やはり爺さんの言うとおり数が少ないのかな…。

午前10時45分。
視界の右端っこで何かが動いた気がした。
素早く向きを変え、凝視する。一拍おいて、ふわっと地面から飛び上がる姿を目が捉えた。瞬時に駆け出す。距離を一挙に詰めて、乾坤一擲、💥秘技ルーム&アンピュテート❗
トラファルガー・ローの必殺技をイメージして、網で空間を蝶ごと切り取る。

 

 
今日の1頭目は、珍しく♀だ。美しい。
武田尾のギフチョウとはまた違って、黄色い部分が広くて明るい感じがする。そういや、加西市や小野市のギフも黄色かったような気がする。
でも1頭だけでは傾向を断定できない。もっと採らないと比較対象の材料にはならんのだ。

 

 
一見派手で目立つデザインのように見えるが、ギフチョウは枯れ草の上に止まると消える。ミラージュ効果で枯れ草と同化して見失うのだ。
こうして背後の環境が写っている画像だと、その一端を御理解戴けるかと思う。隠遁術のレベルは思いの外に高いのである。

裏面は、こんな感じ。

 

 
さあ、ここからが祭りの始まりだと意気込んだが、何故か後が続かない。仕方なく、その辺に足を投げ出して座り、ファミマで買った🍙おにぎりを食う。

 

 
「日高昆布」と「魚卵づくし」。
魚卵づくしかあ…。魚卵好きだから迷わず買ったんだよなあ…。
そこそこ旨かったから、また発売してくんないかなあ?
昆布は3年ほど前から好んで選ぶようになった。昆布は好きだけど、何かジジむさいから買う気が起こらなかったのだ。けど或る日コンビニに行ったら、おにぎりが昆布しか残ってなかった。仕方なく買って食ったら、それが衝撃の旨さだった。昆布の底力に、まざまざと感じいったのである。以来、昆布がおにぎりチョイスの1番手となったのである。

食い終わっても飛んで来なかったので、仕方なく蕨(わらび)を摘みだしたら、ギフチョウそっちのけになってしまい、気がついたら12時前になってた。
1頭だけでは誰かに「また、ヤル気なし之助ですかあ。」と揶揄されかねない。♂もまだ採ってないしね。なので、慌ててポイントを移動した。しかし道は行き止まりになってて、仕方なく薮に突っ込み、トラバースを敢行する。
したら、道に出た。

 

 
如何にもギフチョウが居そうな環境である。
少し歩くと、網を持った四人組がいた。どうやらこっちがメインポイントだったみたいね。
近づくと、同好会の先輩Tさん一行だった。

正直、メンドくせーなと思った。
同好会の合宿でヒサマツミドリシジミで有名な三川山に行った時に、この人にワシだけ山頂で番をさせられたのだった。
皆は秘密のポイントに行くからとかで別な場所に行ったんだけど、何でワシだけがそんな仕打ちを受けねばならぬのだと思った。それで後から別な人にワケを訊いたら、理由は「全部、彼が採ってしまうから。」だった。
それを聞いて、開いた口が塞がらなかったよ。

そんなの物理的に無理だし、自分ばっか採って人には譲らないなんて事、するワケないっつーの( `ε ´ )ノ❗人として、逆にそっちの方が勇気いるわい。

それに、全く知らぬ相手ならまだしも、同じ同好会の人にそんな事するワケないじゃないか。
思い出したら、段々腹が立ってきた。なので、そのあと鬼神の如くいっぱい採ってやったワイ(--メ)❗おまんらなんぞにギフチョウを採らせてなるものか、ボケがっ(--メ)❗
どーせオラ、大人気(おとなげ)ないのである。
でも計27頭も採ったのに殆どがボロ。どうやら時期が遅かったみたいだ。♂なんか全滅だ。武田尾より先にコッチに来るべきだったよ。実際、どっちを先にするか迷ったんだよなあ…。まあ、たった2日だけの違いだから、結果はそんなに変わんなかったかもしんないけどね。
♀の方も羽化不全だらけだった。たぶん放蝶だからだろう。きっと蛹をバラ撒いたんじゃないかな❓
自分では飼育をしないから、半分コジ付けで言ってるけど、養殖もんは生命力が弱いんじゃなかろうか。弱い遺伝子をバラ撒くと、全体的に集団の生きる能力が下がるんじゃないかと密かに思ってる。多様性は必要だが、弱い遺伝子が増えると、種全体の生き抜く力が落ちるような気がする。種を維持するためには、強い遺伝子を遺す淘汰も必要なんではなかろうか。弱肉強食の中で生き残ったものだけが遺伝子を遺すというシンプルなルールが本来のものだろう。こんなことを言うと、現代社会では袋叩きになりかねないけどね。
正直、人間のオスのポテンシャルは確実に昔よか下がってるような気がする。養殖モノのオスばかりだ。
ならば、いっそ女性がもっと強くなった方がいい。そっちの方が余程、世の中は上手くいくんでねーの❓

結局、帰りしなに殆んどをリリースした。労多くして益少なし。あのシャカリキは何だったのだ❓ 心の中で、ジョジョの悪玉キャラのディオ様ばりに無駄無駄パンチを打ちまくる。

 

(出典『ピクシブ百科事典』)

 
大人気ない事なんてするから、こうなっちゃうんだよねー。
 

                         つづく

 
追伸
その時のモノを展翅したのがコレ。

 

 
西脇市の♂は全部リリースしたので♀でやんす。
全体的に黒帯が細い。
でもギフチョウって個体変異の幅が広いから何とも言えないんだよなあ。ギフチョウは好きだけどマニアではないから、変異にはそんなに興味がない。小太郎くんみたく各地の細かい特徴までは頭にインプットされてないのだ。

そういや、あの時にTさんに質問したな。
『ここのギフチョウって、何か特徴あるんすか❓武田尾辺りと、どう違うんですかね❓』
しかし、返ってきた言葉はこうだった。
『一緒、一緒。変わらへん。おんなじや。』

でも本当にそうだろうか❓
武田尾より黄色かった気がするんだけどなあ…。

武田尾のギフチョウの画像(♀)と見比べてみよう。
同じ兵庫県でも東部の武田尾と中西部の西脇市とでは離れている。それに六甲山地には生息しないから間に大きな空白地帯があった筈だ。同じなワケがなかろう。

 

 
(-_-;)ビミョー…。
後翅中央の黒帯が太く、全体的に西脇市の方が黒帯が細いような気もするが、各帯を一つ一つ見ると逆なのもある。でも、そもそも1個体ずつだけを見比べて論じるには限界がある。もっと沢山の個体を見て検証しないといけんね。
西脇市に隣接した加西市や小野市の標本がある筈だが、探すのが面倒なので手っ取り早く図鑑(日本産蝶類標準図鑑)で済ませてしまおう。

 

(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

 
同じ兵庫県中西部、三木市の♀個体だ。
やはり帯が細くて、全体的に黄色っぽく見える。

 

(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

 
隣接する小野市産の♂である。コチラも黄色くて西脇市や三木市のものと同系統なのが伺える。

図鑑の解説欄も見てみよう。
近畿地方の中部〜西部の産地については、こう書いてあった。
「京都府中南部〜大阪府・兵庫県東部には、やや黒い個体群がみられる。兵庫県中南部の個体群は黄色部が広い。この個体群は分布的にほかの個体群との接点はほとんどない。」

ほら、やっぱりそうじゃないか。すると、武田尾(兵庫県東部)のものと西脇市(兵庫県中南部)のものとは違う個体群とゆうことになる。
では武田尾産はどうだろうと思って図鑑内を探してみたが、図示されていなかった。しゃあないので、代わりに同じ個体群とされる大阪府豊能町と京都市産のものを図示しよう。

 
(豊能町産♂)

 
(京都市産♂)

(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

 
どちらも♂だが、慥かにやや黒っぽいような印象をうける。
とはいえ、これとてファジーで明確な線引きは出来ないような気がする。
段々、話が大袈裟になってきたな。軽い気持ちで調べ始めたのに、とんだ藪蛇だ。泥田に足を突っ込んだような気分だよ。

そういえば『ギフチョウ88か所めぐり』のコピーを持ってた筈だな。探そう。

ありました。
武田尾のギフチョウの欄の解説にはこうあった。
「京都〜大阪北部の集団と、兵庫県の山陽側の集団とはかなり印象が異なるが、ここらあたりが接点となる。斑紋は基本的には兵庫県山陽型であるが、京都〜大阪北部型も混じる。」

一見、記述の内容は図鑑と同じようだが、なれど、この記述の仕方だと基本的には武田尾・三田産のギフチョウは西脇市産と似ているという事になってしまう。(-_-;)おいおいである。
毎度お約束の迷宮世界の風が吹き始めた。嫌な予感がするよ。

コピーゆえ白黒だが、標本画像も貼り付けておく。

 
(武田尾産♀)

(同♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
♀は黄色そうだね。たしかに西脇のと変わらん。でも♂は、かなり黒っぽく見える。

分布が隣接する三田市のギフチョウの項も見てみよう。

 
(三田市産♀)

(同♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
コチラの♂も黒っぽい。でも♀は後翅中央黒帯が太くて微妙だなあ。かといって北部のものとも違う気がする。

解説は以下の通りである。
「兵庫県の瀬戸内側、三田市から西脇市あたりにかけてのヒメカンアオイ食いのギフチョウはやや変わった一集団である。この産地では尾状突起が短く、丸い翅形の個体が多い。」

ここでは完全に三田市と西脇市の個体群が同じ扱いになっている。一瞬、三田の個体群と武田尾の個体群とは別な扱いになってるのかと思ったが、そんなわきゃない。三田と武田尾は隣接しており、ギフチョウの分布も連続している。地理的障壁もないから、両者は互いの生息地を自由に行き来できる筈だ。同じ個体群であることは間違いない。

ここで、改めて88か所めぐりの地図の、近畿地方の部分を見てみよう。

 

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
番号は59が大阪府鴻応山、60が京都市岩倉。何れも黒っぽいギフチョウとされる地域である。

 
(鴻応山産♂)

(出典『しっぽスターの娯楽』)

 
やはり黒っぽい。
そういや、鴻応山で採った事もあるなあ…。すげー辺鄙な場所で、登山口も至極わかりにくかったんだよね。記憶だと、黄色かったという印象はない。

鴻応山といえば、鴻応山型と言われる前翅が特徴的な異常型が出ることでも知られていたね。

 
(鴻応山型♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
どこか杣山型に相通じるものがある型だ。
しかし今は絶滅の危機に瀕しており、採集禁止になっていたと思う。いや、保護活動してるから採集自粛の要請が出たのかな? 尚、岩倉のギフチョウは既に絶滅している。昔は京都を囲む山々には何処にでも居て、五山送り火で有名な大文字の「大」のとこにも居たそうだ。でも現在は花の寺(勝持寺)の上くらいにしかいない。保護してるみたいだけど、風前の灯だと聞いている。

そして64が武田尾、65は三田市、66神戸市西区、67西脇市、68加古川市となる。そして加古川辺りから西の山陽側は分布の空白地帯となっている。
そっか…。少し解ってきたぞ。電車で移動しているから武田尾と西脇市はかなり距離が離れていると思い込んでいたが、地図上で見ると、それ程でもないんだよね。

ところで「神戸市西区 雌岡山」なんて産地もあるな。六甲にもいるのか❓ えっ、いたっけ❓
でも今は取り敢えずは西脇市だ。そっちは後回しにしよう。

 
(西脇市産♀)

(同♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
♀は黄色くて、典型的な山陽型だ。♂も黄色い。図鑑の小野市の♂も黄色かったから、或いは変異は♂に色濃く表れるのかもしれない。

では兵庫県西脇市の解説はどうなっているだろう。
「三田市とよく似ているが、丸い感じの個体は少ない。京都あたりと比べると橙色斑の発達は悪くなく、黒さも薄れ、赤色紋はやや発達がよい。イエローテール型が数頭採れている。」

そういや、オラの武田尾産の画像も翅形が丸いね。尾突も短いような気がする。三田も武田尾も、大阪・京都のギフチョウの血が入っているのかもしれない。
さておき、此処にはハッキリと西脇市産は三田市産とよく似ていると書いてある。
とゆうことはTさんのコメントは正しかったとゆう事か…。

ついでだから加古川市のモノも貼付しておこう。

 
(加古川市産♀)

(同♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
♀が変わってる。後翅中央の黒帯の形が違うね。でも、こうゆう黒帯の型は福井県南部に結構いたな。

 

(2020.4.3 福井県南越前市)

 
北陸地方のギフチョウは小さくて黒いのが特徴だ。
でも黒くないのも珠に居たりする。

 

 
前翅の黒帯が細くて、かなり黄色く見える。こんなの黙って見せられたら、どこのギフチョウなのかワシではワカランよ。

ついでだから♀の画像も貼り付けておこう。

 

 
赤紋が上に伸びる所謂「赤上がり型」ってヤツだね。
因みにコレらは全て同じ日、同じ山で採集したものである。展翅画像は他にもまだあるけど、これくらいにしておこう。
ようは此処には色んな型がいて、バリエーション豊富なのね。この山は過去に杣山型の記録だって有るようだしね。

(´-﹏-`;)うーむ。各地の標本を見れば見るほどワケが分かんなくなってきたぞ。
結局のところ、ギフチョウって同じ産地内でも変異が多々あって、その幅も広いって事だ。あくまでも各個体群は、そうゆう傾向の特徴がある集団だとしか言えないのだ。しかも各産地の間で連続的に変異は移行している。ゆえに明確に分けれなくて、亜種が1つも存在しないのである。

一応、加古川の解説文も載せておこう。
「基本的に西脇市あたりのものと変わらない。兵庫県山陽型の西端に近い地域で、安定した兵庫山陽型を産し、紀伊半島型の後翅中央黒帯をもつ個体はまったくみられない。」

参考までに言っとくと、紀伊半島型の後翅中央黒帯をもつ個体とは、こんな奴だ。

 

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
京都府南部・三重県伊賀地方以南の紀伊半島には後翅中央黒帯、橙色班列に共通の特徴をもつ個体群が知られ、このように後翅中央黒帯に強いくびれが入る。
この個体は大阪府南河内郡岩橋山産のモノのようだ。岩橋山かぁ…、懐かしい地名だ。思えば小学生の時に自分一人で初めてギフチョウを採りに行ったのが、この地だった。当時は植林されたばかりで辺りは拓けており、絶好の環境だった。今は木が大きく育って見る影もないけどね。ちなみに此処はギフチョウを採った2番目の場所で、初めて採ったのは和歌山県の龍門山だった。龍門山のギフチョウといえば、幻のギフチョウとも言われ、標本が高値で取引されることで有名である。龍門型とも呼ばれ、わかる人にはひと目でそれとわかるギフチョウだ。

 


(出典『蝶の戸籍簿』)

 
龍門型の特徴は、後翅は紀伊半島型で前翅前縁がリング状の黄紋になる事である。これが現出する個体が多かったそうだ。
上の画像は、長年その龍門型を累代飼育されている方のもの。美しいね。何十年にもわたって命脈を繋がれてきたワケだから頭が下がる。素直に凄いと思う。

 

(出典『しっぽスターの娯楽』)


(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
次に貼付する画像は異常型だろう。後翅の中央黒帯の形が変わってる。たぶん切れ目が入ってるから、マニアの間ではCカットと呼ばれている型だろう。

 

(出典『ヤフオク』)

 
小6か小5だったと思う。オカンとハイキングの会に参加してて、頂上で弁当を食ってたら下から真っ直ぐに飛んできた。脳内にその時の映像が鮮明に残ってる。そんなとこにギフチョウがいるなんて知らなかったから、すごく驚いたのをよく憶えてる。でもボロッボロッの♀だったんだよなあ。
初めて採ったギフチョウが龍門型とは、我ながらどんだけ引きが強いねんである。実力はさしてないのにね(笑)
勿論、標本は残ってない。小学生の標本箱だからボール紙仕様で、大方ヒメマルカツオブシムシの餌にでもなって、この世から永遠に消滅したのだろう。

尚、龍門山のギフチョウは1980年代(1986)に絶滅している。
その後、誰かが別なところのものを放蝶して(註2)、現在も健在だという。しかも、それを保護までしているそうだ。謂わば北海道のキタキツネを持ってきて放ち、それを保護してるみたいなもので、ちゃんちゃらオカピーだ。

そうだ、忘れてた。
「神戸市西区 雌岡山」のギフチョウだが、そこのページのコピーがない。おそらく借りた時点で欠落していたのだろう。
一応、巻頭に標本写真があったので、それを貼付しておこう。

 
(♀)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』) 

 
見た目は丸いが、斑紋は西脇市〜加古川市の個体群と変わらない。いったいコレは何を意味してるのだ❓昔は六甲山地が移行地帯になっていたのか…。あっ、それは変か?

調べたら、この山は神出町にある。で、この神出町、神戸市といっても北西端にあり、何と隣接するのは加古川市と三木市で、小野市とも目と鼻の先の距離にある。つまりは六甲山地でも何でもない。拍子抜けしたよ。
でも考えてみれば、武田尾駅(宝塚市)と三田駅(三田市)に挟まれた道場駅は神戸市北区である。神戸市といえば海沿いの街のイメージしか浮かばないが、その範囲は驚くほどに広いのである。関西人でも、この事実を知ってる人は少ないだろう。
一応、道場にも極めて少ないながらもギフチョウはいる。つまり此処で採れば、ラベルは神戸市産のギフチョウと相成るワケだ。そういやプーさんが必死に探してたなあ…。そっか、プーさんって神戸市民だもんね。だとしたら理解できる。オラだって大阪市ラベルのオオムラサキがいたら、採りに行くもんね。

何かこのままだとオチのない話でグダグダで終わりそうだから、小太郎くんに教えを請いました。
彼曰く。
「微妙な違いは感じますが、兵庫県中南部のヒメカン(ヒメカンアオイ)食いは基本似たようなもんかと。武田尾は少し北摂っぽい顔が混じるという人も居ますが、基本は兵庫県瀬戸内海側地域の顔ですね。」
との事。さすが小太郎くん、的確な説明である。そっか、そういや武田尾もヒメカン食いのギフチョウだったわさ。食いもんが同じならば、見た目が似るのも納得だ。
勉強なりました。あざーすm(_ )m
でもってTさん、ゴメンナサイm(
_)m

とは言いつつも、西脇市や加西市のギフチョウが武田尾や三田のものよりも明るいと感じたのは確かだ。だから自分的には間違ってないと思う。多分に感覚的なものだけど、微妙な差異を感じるのは大切な事だろう。違和感を感じたからこそマホロバキシタバの発見に繋がったワケだし、クラシップス(クラシペース)ジャコウアゲハやパラドクスマネシアゲハ等々も採れたワケだからね。これからも、そうゆう感覚は失わずに大切にしていこうと思う。

 
(註1)ヒメヒカゲとウラギンスジヒョウモン

【ヒメヒカゲ】

(2009.6.14 兵庫県小野市)

 
ジャノメチョウの仲間で、日本では中部地方と中国地方〜兵庫県西部の一部にのみ分布する。主に湿地草原に棲息するが、各地で急速に数を減らしており、絶滅した地域も多い。

 
【ウラギンスジヒョウモン】

(2009.6.14 兵庫県小野市)

 
タテハチョウ科のヒョウモンチョウの1種。 
北海道、本州、四国、九州に分布する。
このチョウも数を急速に減らしている。今や近畿地方では確実に見られるのは兵庫県西部の一部のみだろう。

(註2)その後、誰かが別なところのものを放蝶して
噂では、導入されたのは奈良県御所市の大和葛城山のものが有力だとされている。尚、現在は大阪府側も含めてこの山の個体群は採集禁止になっている。

 
追伸の追伸

この日に採った蕨(ワラビ)はおひたしにした。

 

 
椎茸を出汁でサッと煮たものと混ぜて、一晩おいたものも作った。

 

 
今まで椎茸とのコラボの発想はなかったけど、やってみると合うね。旨いわ。

翌日は更に竹輪を加えてみた。

 

 
中々に旨いぞ。これも意外と合う。但し、チープな感じになっちゃうけど(笑)。竹輪を入れると、どうしてああも庶民的な食いもんになっちまうんだろう❓竹輪にトリュフとかキャビアを乗せた図を想像してみたけど、そんなの高級レストランや料亭で出てくるワケないよね。居酒屋でも無いとは思うけどさ。

で、最終的には京揚げを加えてクタクタに煮てやった。

 

 
クタクタにしたのはシャキシャキの食感に飽きてきたので、ヌルズルにしたかったのである。味も少し味醂を加えて、やや甘くしてみた。
これはこれで旨かったと記憶してる。

 

鱸の子と魚卵ばなし

 
前回のカニ出汁の話で書き忘れてた鱸(スズキ)の卵の話である。

スーパー玉出でスズキの卵が売っていた。
値段は280円だったが、半額になっていたので実質140円だ。
しかしデカくてグロいので買うのを躊躇した。でも反芻してみればスズキの子を食べだ記憶がない。となると魚卵好きとしては見逃せない。買うことにした。
ちなみに本体の画像は無い。デカくてグロいから撮る気が起きなかったのだ。それに普段なら切り分けて熱湯に放ち、花型に仕上げるのだが、水っぽい感じがしたので丸のままカニ出汁で茹でたら、よりいっそうグロくなってまっただよ(@_@)。白くてブヨブヨで、まるで何かの幼虫(芋虫)みたいに醜悪なのだ。おまけに血管的なものが黒い筋となって浮き立ち、誠に気持ちが悪い。押すとボワンボワンと体を揺らしよる。
\(ㆁωㆁ)/わちゃ、テメェ生きてやがんな❗思わず後ずさりしちゃいましたよ。醜悪にして邪悪。怖気(おぞけ)ましたがな。
ゆえにそっちの画像もない。

更にイラッ💢ときたのは、10分も茹でたのに切ったら中は大半が生だった。(-_-;)何なんだ、おまえ❓お陰で計25分も茹でたよ。

それを輪切りにし、カニ出汁に酒と味醂、薄口醤油を加えて煮付けにした。

 

 
それを2回に分けて食った。
感想を言うと、不味いもんではないが取り立てて旨いもんでもない。粒が小さくて稠密で、粒々感があまりないし、旨みもやや少ないような気がする。
正直、期待ハズレだ。スズキ自体は旨い魚なのに何で❓
偶々ハズレだったのかもしれないし、一応ネットでの評価も確認しておこう。

ネット上での情報は少なかった。それも釣ったら卵が入ってました的なものが多く、調理法の大半は甘辛く煮付けものだった。
味の評価は微妙。好きな人は好き、嫌いな人は嫌い的な記述もあった。どうやら特別に旨いもんではなさそうだ。まあ納得ってとこかな。

振り返ってみれば、我が半生、今まで随分と魚の卵を食ってきたな。思えば魚卵まみれの人生だよ。だからコレステロール値が異様に高いのだ。

魚卵の筆頭といえば、タラコとイクラだろう。

 
【明太子のスパゲッティ】

 
これは説明不要だろう。
もう、旨いとしか言いようがない。何度も言ってるけど、最初に鱈子スパゲッティを考えた人は偉いですな。表彰されて然るべきだろう。

 
【シラスの鱈子あえ】

 
サッと茹でたニラと和えてもいいツマミになる。
タラコと明太子は万能だ。白ご飯は勿論の事、何にだって合う。チーズとも合うんだから、おそれいります。

 
【自家製イクラの醤油漬】

 
これまた魚卵の王道である。
筋子も旨いよね。ここ数年は高騰してるから、前ほど食べれなくなったけどさ。悲しいやね。
似たようなものに鱒の子や岩魚やヤマメの子があるが、全て同じ方向性に旨い。

 
【雲丹イクラ丼】

 
考えてみれば、雲丹も卵巣(+精巣)なんだから卵だよね。魚じゃないけど、魚介類と考えれば範疇に入るだろう。

 
【数の子】

 
黄色いダイヤとも言われる鰊(ニシン)の卵である。
これも言わずもがなの旨さだ。歯応えが堪りまへん。
『銀平』の道頓堀店で何度か食ったけど、子持ちニシンの塩焼きってのがあって、これが身と卵を同時に味わえて最高なんだよね。
あと子持ち昆布も好きだなあ(´ω`)

よくよく考えてみれば、魚卵ってメジャーなものからマイナーなものまで沢山種類があるんだよなあ…。

 
【平政の子】

 
卵を2センチくらいの輪切りにして熱湯に放つと、こうやって丸まって花のような形になるのである。
紹介順がいきなりの変化球だが、けっこう旨いから頭の方に持ってきた。
ちなみに平政(ヒラマサ)は、旬が夏のブリの仲間です。

 
【平目と鯛の子】

 
左が鯛の子で右が平目の子である。
何故かこの時は、気分で鯛の子の方は花型しなかった。
鯛は魚の王者だけあって身も旨いが卵も旨い。白子も美味いし、アラも皮も旨いから最強の魚だろう。

色が黄色いヒラメの子も旨い。鯛の子に勝るとも劣らない味である。でも市場に出回る事は少ないから、あまりお目にはかからないけどね。単品で売ってることは殆んどなく、アラと一緒にされてることが多い。不当な扱いだと思うが、そのぶん安くなってるからいいんだけどね。

 
【鯛の子の玉子とじ】

 
普通に甘辛く煮付けた鯛の子も旨いが、甘さ控えめにしたコチラの方が好きだ。酒の肴にもなるが、ご飯のオカズにもなる。

 
【鱧(はも)の子と松の葉昆布のパスタ】

 
鱧の子で一番作るのはパスタかな。
作り方の基本はオリーブオイルにニンニク、鷹の爪のアーリオ・オーリオ風に薄口醤油を加えて和風寄りにする。
ちなみに上の画像は松の葉昆布を使ったので、ニンニクと鷹の爪は入れず、油は太白胡麻油を使ったんじゃなかったかな❓
仕上げに松の葉昆布を乗せ、木の芽(山椒の葉)を散らした。

コレはバリ旨だったと思う。スッポンの出汁で炊いた高級昆布の松の葉昆布さえ入れれば、何だって激旨になるからね。

 

 
コレは同じようなレシピの冷製パスタかなあ…。或いは上の残りかもしれない。旨いもんは冷えても旨いのだ。鱧の子は下手したら鯛の子よりも美味かもしんない。旨みがより強いのだ。

そういや生の鱧の子でもパスタを作ったな。

 
【生ハモの子の冷製パスタ】

 
鮮度が良かったので、タラコみたく塩漬けに挑戦してみた。
(☆▽☆)これが絶品❗画像は無いけど、生カラスミに比肩しうる旨さであった。湯がいた鱧の落としの上にも乗っけたし、帆立の刺し身と和えたり、タラコみたく白御飯と食べたりもしたが、全て絶品だった。塩辛の1種みたいなもんだから少々手間と時間がかかったが、その甲斐は十二分にあったよ。

 
【子持ち鮎】

 
我、子持ち鮎偏愛主義者である。
でも出回る時期が限られるので、時期になれば目を光らせるようにしている。ぼおーっとしてたら、すぐ市場から消えてしまうのだ。

そういえば「子うるか」という絶品の高級珍味があるが、マジで美味。うるかといえば内臓の塩辛の「苦うるか」が基本なのだが、稀に鮎の卵の塩辛の「子うるか」と、これまた絶品である白子の塩辛「白うるか」を見かける。見かけるといっても、どちらも何十年とお目にかかってないんだけどね。それくらい珍しいものだ。マジで、酒呑みには堪りまへん代物ですわ。

 
【子持ち鰰(ハタハタ)】

 
ハタハタの卵は「ブリコ」とも言われ、体の割合に比べて卵が大きいのが特徴だ。
しかし、味はガッカリもんだ。旨みがあまりなくて、歯応えもキシキシしてて、お世辞にも旨いとは言えない(一部では評価が高く、好きな人は好きらしい)。
身は美味しい魚なのに何でざましょ❓身が旨い魚は卵も大概は旨いんだけど、時には例外もあるのだ。あっ、シー・バス(スズキ)もそうなるのか。

卵が大きいというので思い出した。次のコレも粒が大きい。

 
【鰍(かじか)の子 明太子風】

 
カジカといっても川にいる奴ではなくて、海にいる奴だ。
コレも鮮度が良かったので塩辛にした。いや、醤油漬けだったかもしれない。
粒が大きくてプチプチで、旨みもあって、かなり美味かったと記憶してる。だが、量が多過ぎて途中で飽きてきた記憶もあるけどね。

 
【鰍と針烏賊の和え物】

 
飽きてきたので、イカの刺身と一緒にしてみたんだと思う。
酒の肴としては身をよじる旨さだ。白御飯の上に乗っけても美味い。炊きたて白飯と一緒にハフハフとカッ込むと、身体くねくねで仰け反りまっせ。

 
【真子の釜玉風チーズ乗っけパスタ】

 
真子とは真鱈(タラ)の卵の事である。ちなみにタラコは、タラはタラでもスケソウダラの卵だ。マダラの卵はタラコとは見た目が全然違ってて、デカくてグロい。

 

 
デカイだけじゃなくて、表面が汚くて全然旨そうに見えないのである。買ったはいいが、途方に暮れた記憶がある。

画像は茹で上がったパスタに真鱈の子、鶏の卵とバターを乗せ、醤油と黒胡椒をかけてグシャグシャに掻き混ぜたものかな…❓
詳しくは拙ブログの『グロい真鱈にゃ気をつけろ』と題して書いてる筈だから、そっちを読んでね。
一応言っとくと、画像に「出典」と入っていないものは、全部それについて書いてる文章が存在します。このワードプレスのブログか同タイトルのアメブロのどっちかに文章があります。暇な人は探して読んで下され。例えば「蝶に魅せられた旅人+イクラ」で検索すれば、それ関係にヒットします。

画像はないが、他にもマイナーな魚卵はそこそこ食ってきた。記憶しているところでは、ブリ、サバ、サワラ、カンパチ、シマアジ、マグロなんかがある。

メジャーどころではボラの卵を干した高級珍味「唐墨(からすみ)」がある。イタリアにも「ボッタルガ」という近いものがあって、パスタと混ぜ合わせて食べたりする。カラスミのスパゲッティは美味いよね。
参考までに言っとくと、ボラの卵で作るのが基本ではあるが、他の魚でもカラスミは作れます。
尚、生カラスミと呼ばれる塩辛があり、これが死ぬほど美味い。

 
【生カラスミ】

(出典『築地魚群』)

 
市販のモノも結構ある。だが旨いけど高いので、自分で作ったことがある。画像は無いけど、悶絶級に美味かった。

他には魚卵といえば、飛魚の卵の飛びっ子、ワカサギ、本シシャモ、カラフトシシャモ(カペリン)あたりは大概の人が知ってるだろう。
ちなみに居酒屋で出てくる子持ちシシャモは、シシャモではなくてカラフトシシャモ。ホンマもんのシシャモとは別種である。どころか分類学的には「科」さえ違う縁遠い間柄だ。付け加えておくと、本シシャモの方が味は遥かに上品で繊細である。カラフトシシャモの方は脂臭い。参考までに言っとくと、シシャモもカラフトシシャモもオスの方が身自体は旨い。

他にポピュラーといえば、カレイかな。煮付けとか干したものに、よく子が入ってる。美味しいよね。

あとはマイナーだけど子持ちニゴロブナというのもあったな。
知ってる人は直ぐにピンときたとは思うけど、このフナが琵琶湖名物「鮒ずし」の原材料だ。

 
【鮒ずし】

(出典『旅ぐるたび』)

 
発酵食品で、クセがメチャメチャ強い。アンモニア系の独特の臭みがあるのだ。例えるとするならば、ウォッシュ系のチーズと相通ずるものがある。

これまたマイナーたが、『フグの糠漬け』とゆうのもある。

 
【河豚の子の糠漬け】

(出典『Foodie』)

 
たしか金沢とか石川県の名物珍味だ。たぶん福井辺りでも作ってた筈だ。
ご承知のとおりフグの卵巣には、肝などと同様に致死性の高い毒素であるテトロドトキシンが多く含まれている。だから、そのままでは食用にできない。
しかし、その卵巣を2年か3年間塩漬け&糠漬けにすると毒素が消えるんだよね。不思議ですな。
猛毒のものをそこまでして食べようという姿勢には頭が下がるよ。試し食いするのにも相当な勇気がいるしね。
そのままだとそう旨いもんではないが、白飯は沢山食える。兎に角、信じられないくらいにしょっぱいのだ。とはいえ、味付けなしで御茶漬けにしたり、パスタに入れると旨い。

こんなもんかなあ…。
魚じゃないなら、前回に取り上げたカニの卵、内子と外子とゆうのがあるし、海老の卵もある。甘海老なんかには、よく緑色の卵が付いてるよね。
烏賊も子持ちイカなんてのが珠に売ってる。そういやタコの卵はあまり知られてないが「海藤花(かいとうげ)」というんだよね。コレは卵が蛸壺などの天井に産まれ、その形が藤の花に似ているからと名付けられた。

 
【海藤花】

(出典『京都錦市場 珍味通販の喜久屋』)

 

(出典『一般社団法人 明石観光協会』)

 
高級珍味ではあるが、騒ぐほど旨いもんではない。産卵前の真ん丸のも食べた事があるが、期待外れだったと記憶している。

おっと、メジャーだけど高級過ぎて食べた事がある人は少なそうなキャビア様の事を忘れてたよ。
キャビアはチョウザメの卵である。サメといっても淡水にいるもので、あの凶悪な鮫とは全く別物の生物である。そもそも歯が殆んど無いんだから、危険度ゼロのおっとりさんなのだ。
たしかカスピ海にはセヴルーガ、オシェトラ、ベルーガという3種類のチョウザメがいて、その順で高級となりベルーガが一番上物だった筈だ。
余談だが、カスピ海沿岸をバイクで走ったことがあるんだけど、綺麗な水色だったんで驚いたなあ。

あとパチモンのキャビアもあったな。ランプフイッシュという深海魚の卵を昔はキャビアと称して売ってたんだよなあ。高級ホテルでも、このパチモンが料理の上にチョコンと乗っかってたもんな。キャビアは黒っぽい灰緑色だが、ランプフイッシュは真っ黒なので見極めるのは簡単なんだけどね。
あっ、でも今はランプフイッシュ・キャビアとイミテーションだと堂々と名乗っているから、より偽装度は上がっているかもしれない。食べれば分かるけどね。あー、でもキャビアを食べた事のない人にはワカランよな。旨かったらキャビアだと言いたいが、それも人によりけりだからなあ…。ホンマもんを一度は食べるしかないです。

そういや思い出した。昔つきあってた彼女からの誕生日プレゼントがキャビアだった事がある。アタシャ、たしかにキャビアは好きだよ。でも何だそりゃ❓である。
悪だくみは天才的、頭の切れるクレバーな女性だったけど、エキセントリックな女(ひと)でもあったもんなあ…。こんなの思い返せば序の口だったよ。
でも考えてみれば寄ってくんのは、そんなエキセントリックなのばっかだったかもしれない。昔から美人で小悪魔的、捉えどころが無くて、取っ掛かりが難しいような不思議系の女性とは縁があるんだよなあ…。多分その不思議さがさして気にならなくて、何となく理解できたからなのかもしれない。
それに小悪魔系は得意分野だった。ワシにはあんまし攻撃が効かなかったし、そのせいかあまり攻撃もされなかったしね。それに悪魔度は、こっちの方が高かったかも。だからボロボロにされた事は殆んどない。一人を除いてはね。
そういや、あの時のキャビアってどうしたんだっけ❓
たぶん…、彼女が「冷製キャビアのカペリーニ」を作ってくれたんだと思う。

 

(出典『* Fleur de Coeur *ココロノハナ』)

 

(出典『エピレシピ リストランテ・アルポルト』)

 
それ以来、今でも「冷製キャビアのカペリーニ」は好きだ。

 
                        おしまい

 
 

蟹の茹で汁の活用法

 
カニを茹でた汁を飲んでみたら、捨てるには忍びないくらいに良い出汁が出ていた。なので食い終わったカニの殻を茹で汁に再びブチ込み、昆布の顆粒だしの素を加えて圧力鍋で20分間茹でて火を切る。で、一日寝かしておくことにした。

翌日、菜の花が激安価格の69円で売ってた。それを見てピンときて買うことにした。たしか菜の花と蟹の組合せの相性は良かった筈だ、雑誌か何かで見た記憶がある。

茹で汁を再び沸騰させ、菜の花を50秒茹でて素早く団扇で煽いで冷ます。水で冷まさないのは折角の出汁を洗い流したら元も子もないからだ。
冷めたところで、そのまま何もつけずに味見してみる。
(☉。☉)あっ、甘い❗仄かな蟹の香りと淡い塩味のあとに、茎の部分から自然な甘さがジワリと口中に広がってゆく。いつもは鰹節に醤油とか辛子醤油かけたりしているから気づかなかったが、菜の花って本当はこんなにも甘いんだ。ちょっと目から鱗だよ。普段なら水分を軽く搾るけど、こりゃ必要ないな。

 

 
ほんの少しだけ塩を振って混ぜ、そのまま食う。
やっぱ茎は甘い。おひたしといえば醤油と鰹節、又は出汁醤油が定番だけど、薄めの塩味が一番旨いかもしれん。素材の本来持つ味が一番ダイレクトに感じられるのだ。そして、その味は複雑で奥深い。
オクラとかアスパラは湯がいて塩だけで食う事も多いから薄々は気づいてたけど、今後大きく考え方を変えないといけないかもしれん。考えてみれば、魚介類の刺身も塩で食った方が素材本来の味がよく解るもんな。もちろん醤油を否定するワケではないが、何でもかんでも醤油とゆうのは考えものかもしれん。

たぶん菜の花のエキスも溶け込んでいるであろう茹で汁に薄口醤油を少し加え、今度は市販の鶏つくねを投入してみた。

 

 
蟹味は薄れたが、鶏の出汁が加わって旨い。
軟骨入りなので食感に変化もあって楽しい。あっ、つくねとか鶏団子は火入れし過ぎないよう注意が必要ですぞ。パッサパサになっちゃうからね。

食い終わった汁に酒、鰹の顆粒だしの素を加え、半分の厚さに切った厚揚げを入れて15分ほど炊き、そのまま放置して味を馴染ませる。で、一晩寝かせた。

翌日、その出汁でうどんを作ってみる事にした。
うどんはテーブルマークの冷凍うどん。冷凍うどんといえば、このテーブルマークでしょう。コシがあってツルツルで間違いなく旨いからだ。何度か浮気したが、味と値段等々を総合するとテーブルマークの冷凍うどんを超えるものは未だ無いのだ。

出来上がったうどんに半分の薄さに切った厚揚げを2枚、鶏団子、青ネギを乗っけて一味を振って完成。

 

 
先ずは出汁を飲む。
もはやカニ出汁の面影は殆んどないが、だし汁は旨い。色んなエキスが入ってるからね。たぶん厚揚げの油分も溶け込んでいるだろう。

うどんをズズッとすすり、具を食う。
(☆▽☆)ぴゃあ。自分で言うのも何だがメチャンコ旨い。でも二度と再現出来ない味だろう。いや、やろうと思えば出来なくもないか。いや、待てよ。やっぱり無理だ。書き忘れたが、菜の花を茹でた汁でスズキの卵も煮たのだ。だから、そのエキスも入っている。しかし、スズキの卵になんて滅多と会えるものではない。しかも卵は驚くほど大きかったから、相当デカいスズキのものだったと推察される。たとえ釣りをやってても手に入れるのは厳しいだろう。
とゆう事で、これにて蟹の茹で汁の活用、終了🎊

                       おしまい

 
追伸
スズキの卵の事は別項で、また書きます。

 

香箱蟹

 
目の前で脚がグワッと大きく動いた。
不意だったので、(ΦωΦ)ビクッとして一瞬固まったよ。
生のセイコガニだと頭の隅では認識してたけど、どうせスーパー玉出のカニだから死んでるとばかり思っていたのだ。あとはセイコガニの漁は12月一杯で終わっている筈だから、生きてる奴がいるワケがないという考えも底にあった。ようは冷凍品を解凍したものだとばかり思っていたのだ。
見ると、パッケージのラップに穴があちこち開いている。きっと尖った脚先が突き破ったのだろう。
ちなみにセイコガニとは、別名セコガニとかコウバコガニ、コッペガニと呼ばれるズワイガニのメスの事ね。ズワイガニはそのままの名前で呼ばれることはあまりなく、松葉ガニ、越前ガニを筆頭に加能ガニ、間人ガニ、津居山ガニ等々多くの異名があり、それぞれにブランド化しておるのだ。まあオスがそんなだから、メスだってコレくらい異名があって然りなんだろね。

産地は宮城産とある。それで謎が解けた。ズワイガニは日本海のモノだというイメージが強いが、茨城県以北の北太平洋でも水揚げされてるのだ。そして日本海側の産地では珍重され、資源保護のためにメスの漁期が2ヶ月と厳しく制限されているが、他の産地ではそれ程でもないみたいなのだ。だから、この時期でも生きてるメスが出回るのだろう。

値段は2杯で498円。
脚はそれぞれ2本ずつ取れているが安い。買いである。メスなんて足が小さいから1〜2本取れてたところで、どって事ないのだ。そもそもメスの価値は卵にあるもんね。

外部の袴部分の内側にある赤黒い卵を外子、甲羅内にある鮮やかなオレンジ色の卵巣(未成熟の卵)を内子と呼ぶ。
外子はプチプチのシャキシャキ。内子はみっちり、ねっとり、こってりの濃厚な味わいがある。

 

(出典『山陰のおみやげ本舗なかうら』)

 
個人的には蟹味噌と同居する内子の方が断然美味いと思う。
そういや、今頃からが旬のワタリガニ(ガザミ)のメスの内子も美味いんだよなあ。

さて、御託はこれくらいにして調理にかかるか。

①圧力鍋に水1.5L、塩大さじ2を加えて沸騰させる。
生きてるからちょっと気が引けるが、蟹を腹を上にしてブチ込む。してからに落し蓋をして圧力鍋の蓋もしめる。落し蓋をするのはカニが浮いてこないようにするためだ。で、15〜20分茹でる。

②茹で上がったら、冷水で締める。これは見離れをよくするためだ。
あとは甲羅に外子とほじった身を詰めてゆく。これを金沢辺りでは香箱と呼ぶのである。

しっかし、この蟹の身をほじるのって苦痛である。正直、死ぬほど面倒くさい。プラモデル作りや蝶の展翅とかが嫌いなのも辛気臭いからだ。性格上向いてないのである。あ〜、もしかしたら料理もそうかも…。
それでもちゃんと出来るのは、けっして苦手ではないからだ。自分で言うのも何だが、そこそこセンスはあるのじゃよ。あとはプライドかな。スポーツでも何でも自分が出来ないのが許せない人なのだ。あまり努力しなくとも出来ちゃう人なんだけどね。人は、そうゆうアタクシを器用貧乏と呼ぶんだけどもね。

ブツブツ言いながらも完成。

 

 
上からカニ酢と醤油をチビッとかける。

(´ω`)うま〜。
蟹の甘みとカニ味噌のホロ苦さ、内子の旨味との絶妙なるハーモニーだ。そして外子のプチプチした食感がアクセントになっており、至福の時間が訪れる。香箱、最高だな(人´∀`)。゚+
苦労して身をほじった甲斐があったよ。

食べながら、ふと思い出す。そういえば香箱蟹については過去にも書いてる筈だ。
調べたら、やはりあった。『名残りと走りの献立』、『2016年 初冬の献立』と題して書いている。但し、このサイトではなくてアメブロの方の『蝶に魅せられた旅人』だけどね。

 

 
来年は艶っぽいお姉さんと日本海の鄙びた温泉に行って、熱燗で挿しつ挿されつ、しっぽりしながら蟹を食いたいよなあ…。

                        おしまい

 
追伸
そういや昔、当時の彼女が株か何かで儲かったとかで、日本海に蟹食いに連れてってくれたんだよね。
たしか鳥取県の岩井温泉。そこのいい感じの旅館だったな。
💡そうだ、思い出したわ。『岩井屋』だ。1200年もの歴史がある老舗旅館なんだよね。源泉100%かけ流しで、立って入る風呂があったな。もちろん蟹もデカくて美味かった。
あそこだったら、また行きたいよなあ…。