むしむし展示即売会 2017’春

昆虫の展示即売会に行った回の続きです。

え~と、前回は本来書くべき事から脱線してしまい、そのまま終わってしまいました。理由は脱線した地点から軌道修正するのが面倒になったからです。
オデ、オデ、バカだから、そんな文章力はないのである。

展示即売会に行った一番の目的はコレです。

『タイ国の蝶 Vol.3 タテハチョウ編』¥10000
これを竹さんに頼んでいたのだ。
何か知らんけど、定価の一万円よりマケてもろた。竹さん、ありがとう。
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虫マニアはデビルマンの歌を歌う

先週の春分の日はむしむし展示即売会があった。
ようするに昆虫の標本や生きてる虫の展示即売会ってことね。


朝、10時半というのに既に結構な人混みである。
世の中において虫好きは超少数派であり、気持ち悪がられる最たる趣味の一つだろう。マニアック以外の何者でもない。
でも、いるところにはそれなりにいるのである。
にしても、年齢層が圧倒的に高い。ほぼ爺さん達だ。
そして、当たり前の事だが女性が殆んどいない。今時、こんな業界とか他にあるのかね(-。-;)❓

一瞬、盆栽とか苔マニアとかが頭に浮かんだが、これとて最近は若者の間で密かなブームらしいぞ。
ならば石マニアか❓でも、虫よりマニアック過ぎてよくわかんないや。

とにかく、女子にとっては最悪の趣味の持ち主だろう。きっと萌え系アニメおたくよか市民権は無いな。
もしワシが女の子にモテたい若い頃だったら、おそらくやってない趣味だ。もしくはひた隠しにしていただろう。

そういえば、若い男子で蝶が趣味の子がいたけど、彼女には隠しているとか言ってたな。

🎵だあ~れも知らない 知られちゃいけないー
🎵虫マニアがだあ~れなのかあー
🎵何も言えないー
🎵話しちゃいけないー
🎵蝶マニアがだあ~れなのかあー

🎵人の世に蝶がい~る
🎵人の世にカブトい~る
🎵この美しいものを 守りたいだけー
🎵今日もどこかで蝶マニア
🎵今日もどこかで 虫マ~ニア~

(by 『今日もどこかでデビルマン』替え歌)

(^○^)ハハハ…、その時にこのデビルマンのエンディングテーマを即興で歌ってやったんだよなあ。
相変わらず酷い男だよ。

それで思い出したんだけど、彼にはこんな質問もしてみた。

『もし、彼女に蝶マニアだということがバレてだな。「蝶をやめてくれなければ、アタシ別れる」とか言われたらどうする?キミは彼女と蝶とどっちを取るの?』

彼は一瞬躊躇するような素振りを見せたが、答えるまでには二拍も無かった。
『蝶です。』
キッパリとした答えだった。

解るよ、その答え。
俺だって、もう少し悩みこそすれ、答えは同じだ。
でも彼女よか蝶の方が大事って、それってどうよ❓(笑)

まあ、虫の魅力に取り憑かれたら、それくらい当たり前なんだけどね。

『西へ西へ、南へ南へ』第6話

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-09 00:18

 
    ー捕虫網の円光ー
 『西へ西へ、南へ南へ』

第五番札所その2・流星レッドスター

 

市の職員二人が下から登ってきた。
リュウキュウマツ(琉球松)の調査だと言う。
確かに赤茶色の松が多い。こんな所にも松枯れの原因、マツノザイセンチュウがいるのか…。
詳しく訊いてみると、媒介を助けるマツノマダラカミキリと共に台湾から入って来たと説明してくれた。

カミキリムシの飛翔力ではこんなところまで翔んでこれるわけもない。多分、貨物の松材か何かに紛れて入って来たのだろう。
離島は外来生物が入って来ると、在来種が駆逐され、簡単に絶滅しやすい。そして、その原因のほとんどは人間様だ。

空を見上げる。
雲行きも怪しくなってきた。多分絶対、南国の雨の洗礼がやって来る。
もう一度だけ詔魂碑まで上がって駄目なら、とっと宿に帰ろうと決めた。体力もそろそろ限界に近い。

登ってすぐ、頭上に気配を感じた。
松の上空をアカボシが流れるように滑空している。
やっとテリトリーを張り始めた❗
鮮やかな赤がよく目立つ。

あたふたと網を組み立てる。
(~O~;)うわっ!、だが無情にもポツポツと大粒の雨が落ちてきた。(゜〇゜;)え━━━っ、 嘘やん!
畜生、スコールがやって来たようだ。慌てて樹下に逃げる。

OH~、神よ、毎度毎度のことながら、この期に及んでまたしても我に試練をお与えなさるおつもりか…。
一挙に状況は逼迫してきた。雨が止むのを心から祈るしかない。止まないのなら、惨敗決定だ。

思いが通じたのか、5分余りで再び晴れ間が顔を覗かせ始め、やがて光が射した。
と同時にアカボシも飛び始めた!!
南国の不安定な天気だ。再び雨が来る前に決着をつけねばならない。

採り方は、近縁の国蝶オオムラサキと変わらない筈である。ならば楽勝だ。網を正面からそっと被せればいい。落ち着いていこう。

しかし、オオムラサキと違って、そんなにバカ蝶じゃなかった。
枝先に止まるが、結構敏感で網を近付けようとすると直ぐに翔んでしまう。三、四度、同じ事が繰り返される。

(-“”-;)クッソ~、残された時間はそうないぞ。いつまた陽が陰り、雨がやって来るとも限らない。
えーい、もう今までみたいにゆっくりと慎重に網を近付ける方式は諦めた。
心頭滅却、ビシッといったるわい(`へ´*)ノ

目測およそ頭上約6m。止まって、一拍おくかおかないかのうちに反応して、間髪措かずに網先を走らせる。
(=`ェ´=)ウリャ!!、腕の筋肉がしなる。
バサリと正面斜めから網を振り被せ、そのまま強引に空間へと逃がす。そして、ホームランを打った時のフォロースルーが如く手から竿を離す。
決まった…。手応え充分の感触がある。
網先を敢えて捻らなかったので、風を孕んでふくらんだ網が真っ直ぐ地面に向かってスローモーションのように落ちてゆく。

地面に落ちたことを確認して、ゆっくりと歩いてゆく。
勇者の如く、まあまあ天才は急がない。

 

 
よっしゃーd=(^o^)=b、今度は完品だ。
手にとり、まじまじと見る。
ひょえ~、お美しい。

蝶採りは、こうでなくっちゃネ d(^-^)
ギリギリの勝負にしか、エクスタシーはないのだ。

 

 
その後、落ち着いて続けざまに3頭を加える事ができた。何れも完品のレッドスターだ。

午後5時半。本格的な強いスコールがやってきた。すんでのところで、公園の東屋に逃げこむ。

30分間待ち、小雨になった間隙を縫って宿まで急いで帰ってきた。
着いたと同時に、再び叩きつけるような豪雨がやって来た。

 

追伸
やはり、文章を二回に分けることにしました。
すんません。次回こそ、食いもんの話です。奄美大島の旨いもんテンコ盛りだすよ。

 

『西へ西へ、南へ南へ』第5話

ー蝶に魅せられた旅人アーカイブスー

いやはや驚いた事にアメブロには第5話が掲載されていない。
どうやら「第五番札所」の回が前後編に分かれている事に気づかずに後編のみをアップしたようだ。重要な回なのにね。よくぞスッ飛ばしたものだ。
だから、第5話は謂わば幻の第5話ってワケだね。

でも正直、心が折れそうになった。なぜなら、どっかに埋もれている原稿を探さねばならないからだ。もし見つからなければ、昔の彼女の誰かに連絡をとらねばならない。連絡もしにくいし(どうせ酷い事をしているのだ)、たとえ連絡したところで原稿が残っているかどうかも分からない。自然、億劫にもなってくる。だから、よっぽど連載を打ち切りにしてやろうかと思った。

でも、一応探したら昔の携帯電話が出てきた。幸いな事に起動もした。そして、何と原稿も残っていた。
というワケで旧い原稿をシコシコ書き移してゆく事にしよう(コピペ出来ないから物凄く大変そうだけど…)。

それでは幻の第5話の始まり始まり~。

      ー捕虫網の円光ー
    『西へ西へ、南へ南へ』

  第五番札所 南国の紅い流れ星

 
2011年9月12日

いつしかフェリー乗り場のロビーには、誰もいなくなっていた。
それぞれがそれぞれの落ち着くべく場所、自分の家やホテルに向かったのだろう。

ホテルを予約していない男には行くあてがない。
午前5時に宿の誰かを叩き起こして嫌われるのもイヤだ。せめて7時くらい迄はここで時間を潰そう。ここなら少なくともクーラーだけは効いている。第四番札所の原稿でも書いていれば、時間も費えるだろう。

美しい朝焼けを眺めながら書き進める。

 

 
7時に名瀬市街に向かって歩き始めた。
遂に来たと云う高揚感とこんなとこまで来てしまったと云う軽い後悔とがない交ぜになった心持ちで海岸線を歩く。

市街地に入ってから宿に電話を入れる。
一発で決まった。
「あづま屋」素泊まり一泊 2500円。
簡単に言えば、飯なしの民宿だ。設備的にはこの値段なら、まあ良い方だろう。唯一の欠点はクーラーがコイン制だということである(150分 100円)。

ひょんなことから、宿のおやじが奄美で一番最初にダイビングショップを始めた事がわかり、驚く。
あえて尋ねなかったが、もしかして師匠とも知り合いかもしれない。
実をいうと、男は奄美大島に訪れるのが今回で三回目になる。過去二回は何れもダイビング・インストラクターをやっていた頃の事である。まだ蝶採りを始めていなかった。

それにしても此処のおやじ、侮れない。持っている玉の柄(竿)を見て、釣りだと言わずに『蝶?』と言ったのには驚いた。

8時半まで部屋で原稿を書き、出来立てほやほやの第4話を読者に送信する。
そして、ササッと5分で用意してスクランブル発進した。船旅で疲れてはいるが、蝶を求める心の方が遥かに強い。もうそれは恋愛感情に近いものだ。望みの蝶に会うことが全てにおいて優先されるのだ。

今回のターゲットはアカボシゴマダラ。
彼女の存在が、はるばるこの島まで男を誘(いざ)ってきた。

【アカボシゴマダラ(赤星胡麻斑)】
学名 Hestina assimilis shiraki。
近縁種ゴマダラチョウに似るが、後翅に赤い輪紋があることにより容易に判別される。
日本では本来、奄美諸島のみに産する固有亜種。
しかし、近年は中国の大陸亜種(a.assimilis)が関東地方に流入し、急速に分布を拡大しており、近似種のゴマダラチョウを圧迫しているという。これが人為的な放蝶なのは明らかだ。つまらん事をする輩もいるものだ。
しかも、この中国の亜種、奄美大島亜種の鮮やかな赤紋とは違い、赤紋がいやらしいピンク色なのだ。そして、輪紋がだらしなく潰れていて下品。場末のピンサロの姉ちゃんみたいで全然美しくないから、男はその存在を絶対にアカボシゴマダラと認めない。アカボシゴマダラに憧れていた者としては、あんなものがアカボシゴマダラだと思われるのは忸怩たるものがある。日本における美蝶の一つだったのに、コイツのせいで確実にアカボシゴマダラのブランド力は下がったと言えよう。
発生は4月、6月、8月、及び9月中旬から10月。
幼虫の食樹はリュウキュウエノキ(クワノハエノキ)。

第二のターゲットは、アマミカラスアゲハ(オキナワカラスアゲハ奄美亜種)。そして、第三のターゲットはイワカワシジミだ。
アマミカラスは後翅の帯状紋が発達しており、美麗。
イワカワシジミも奄美大島のものが特に美しいとされている。

宿のおやじから近くに24時間営業のスーパーマーケットがあると聞き、まずは朝昼兼用の飯を買いに行く。
おにぎりを二つ買って、はやる心で歩き出す。

今日は街のすぐ背後にあるらんかん山(くれないの塔)か拝山に行く予定だ。
こんな市街地近くにもアカボシは棲息しているようだ。元々、里山の蝶だから不思議ではないのだが、感覚的にはちよっと驚きだ。この島はそれだけ自然が豊かなのだろう。

先ずは拝山に行った。
宿から歩いて15分程でポイントに着いた。
九州も暑かったが、当たり前だがもっと暑い。亜熱帯特有のねっとりとした湿気も相俟ってか、直ぐに滝のように汗が流れ出す。九州では秋の兆しもあったのに、完全に真夏に逆戻りだ。

 

 
期待に反して、蝶影は薄い。
クロマダラソテツシジミだけがアホみたいにいる。
数年前までは珍品迷蝶だったが、今やゴミだ。

  
【クロマダラソテツシジミ】
(2016.10月)

 
あとはモンキアゲハくらいしか飛んでいない。ヒマつぶしに網に入れる。みんな羽化したての新鮮な個体だ。
しかし、興味がないから全部リリースしてやる。

糞暑くて早々とグッタリとしていたら、突然、ハイスピードでアマミカラスアゲハが目の前に現れた。
瞬時に反応して鮮やかに決まったが、尾状突起(尾っぽ)の片方が千切れていた。おまけに擦れ個体でガッカリする。時期が合わなければ綺麗な蝶は採れない。不安が頭をもたげる。
南国を象徴する佳蝶、ツマベニチョウもボロ。
そして、憧れのアカボシゴマダラの姿は全く無い。
ダメな所で粘ったところでダメだ。判断の遅い愚図は果実を得られない。
10時過ぎ、ウスキシロチョウの銀紋型のキレイなのだけを三角ケースに収め、諦めて下山した。

下まで降りてきたら、網を持った青年がいた。虫屋だ。
暫し雑談する。千葉の人で、もう1週間も奄美にいるそうだ。
『何を採りに来たんですか❓』と尋ねたら、『何でも。』という答えが帰ってきた。
アカボシについて訊いてみたら、アカボシはまだ一度も見ていないと言う。やっぱり少し発生期には早かったか❓不安がよぎる。
晩飯に誘ったが、レンタカーで寝泊まりしていて、飯はカロリーメイトだと言われたのでやめた。そういう人と飯を食っても楽しくない。

すぐ隣の大島支庁舎前で、惰性でウスキシロチョウを採っていたら、ちよっと不思議な雰囲気のおじいが近づいてきて、いきなり目の前の木の葉っぱを指さし、『これ、食草。』とおっしやった。
更にコレコレと指さし、あっという間に幼虫を見つけて、『1令幼虫だ』と呟く。
するってえと、この木がナンバンサイカチ❓それとも園芸種のゴールデンシャワーかな❓多分、支庁舎に植えられているくらいなんだから、綺麗な花の咲くゴールデンシャワーだろう。尋ねようとしたら、既におじーは歩き始めている。まっ、いっかと思ったら、おじーは暫く歩いてからふわっと振り返って、おいでおいでする。何となく手招きされるままに歩み寄る。
ついてゆくと、ひょいひょいと支庁舎の敷地内に入ってゆく。おじー、どこ行くの❓
そして、迷うことなく何やら細い通路に入ってゆく。半信半疑で後ろをついてゆく。おじー、何者❓

路地を抜けたら、目の前に小屋が現れた。
入口の横に看板が掛かっている。
『大島支庁 ハブ対策室』。
なぬっ(゜ロ゜;⁉、おじーはそのまま建物へと入ってゆく。一瞬躊躇したが、続いて入る。
すると、おじーにスタッフ達が挨拶する。何とおじーは大島支庁のハブ対策室の室長だったのだ。

檻の中には沢山のハブがいた。
Σ( ̄ロ ̄lll)ゾワッ❗
そっか…(^_^;)アハハ。すっかり忘れていたが、奄美大島には毒蛇ハブがいるのだ。しかも、本ハブだ。そして、本ハブの中でも奄美大島のものが一番デカくて最強だと言われている。
あちゃー、今回も危険なミッションかよ…( ̄▽ ̄;)
虫捕りって、リスクあんなあ…。

そん事を考えていたら、袋を持ったおじさんが入ってきた。
袋の中身はどうやらハブらしい。奄美大島では捕獲したハブをお役所が買い取るという制度があると聞いた事がある。それだけハブの被害が多いって事でもあるんだろう。Σ( ̄ロ ̄lll)ヤバいぞ、奄美大島。

袋の中には7匹のハブが入っていた。でも小さい。
その場で2万8千円が支払われた。何と買い取り価格4千円である(現在はもっと下がっているそうだ)。
こんなチビハブで2万8千円ってボロ儲けじゃないか。訊くと、買い取り価格に大きさは関係ないそうである。
『こんなん仕事に出来るんちゃいますのん❓』とおじーに尋ねたら、実際職業にしている人も結構いるらしい。住民も小遣い稼ぎ感覚で捕獲しているようで、タクシーの運転手などは必ず蛇の捕獲用具をトランクに入れているという。

それにしても臭い。室内にケダモノの悪臭が立ち込めている。蛇って無臭なイメージだったが、臭いんだ…。

お茶を御馳走して戴き、雑談が続く。涼しいし、蛇が臭いこと以外は快適だ。
袖すりあうのも多少の縁と言うではないか。どうせ今日はアカボシは無理そうだし、まあいいや。

昼過ぎ。少し体力も回復したので、おじーにお礼を言い、らんかん山に向かう。

らんかん山も拝山と同じようなもんだった。蝶影が薄い。
仕方なしに猫と遊ぶ。
猫と遊ぶのは好きだ。腹をさすってやると、気持ち良さそうに目を細める。

 

 
遊んでいたら、アマミカラスがふわりと何処からともなく現れた。
咄嗟に網を拾い上げ、ダメ元で慌てて振ったら、キレイに入った。

 

 
今度は、ほぼ完品。♂だ。
やっぱり羽が傷んでいないものは、ドキッとするくらいに美しい。

しかし、相変わらずアカボシの姿は見えない。
午後1時20分。半ば諦めて山道を歩いていたら、横の灌木から驚いた蝶が飛び出した。
そして、2mくらい先の枝先にとまった。

うわっ(゜〇゜;)、アンタやん❗❗
まごうワケがない。白黒の格子模様に流れるような赤の輪っかの列。間髪入れずに網先が動いた。キレイに振り抜く。

 

 
想像していたよりも小さい。
だが、それでも一目惚れだよ(≧∀≦)

美人蝶だ。指先が震える。
白黒のコントラストがハッキリしていて、エッジが効いている。それを鮮やかな赤が更に引き締めている。

だが、何か呆気ない幕切れでもあった。
アカボシゴマダラは夕方にテリトリーを張ると聞いていたから、これからが本番だと思っていたのに、いきなりの出会い頭だ。しかも、ほとんど間を措かず網を振り抜いたから、緊張している暇もあまり無かった。
この見つけた時から網を振るまでの間が蝶採りのクライマックスであり、醍醐味なのだ。その先にはエクスタシーか絶望がが待っている。だから心が千々に乱れ、心拍数もハネ上がる。謂わば、この刹那が手に汗にぎる瞬間でもあるのだ。
正直、朝からのこの展開だと、もっと苦労する事を予想していた。それが予想だにしなかった展開で、わりかし簡単に手にする事が出来た。採れてホッとはしたが、でも何だか複雑な気持ちだ。簡単に採れるに越したことはないが、とこか拍子抜けなところがある。心は、どうやらもっと高いハードルを望んでいるようだ。

でも、よく見ると反対側の羽が破れている。
残念だが、これで逆にモチベーションが取り戻せる。完品を採ってこそ、ストーリーは完結するのだ。

とはいっても、この破れた個体をどう解釈すべきかと思い悩む。破れてはいるものの、比較的鮮度が良いから判断が難しい。
もう発生しているんだなと最初は安心したが、この状態では何とも言えぬ。最盛期の8月に羽化する筈の個体が、たまたま遅れてこの時期に出てきたものを偶然に捕まえたという可能性も否定できない。
それに、もし9月の第4化目が発生しているのなら、有名産地なんだからもっと数を見かけてもよい筈だ。
いや、もしかしたら6月以外は個体数が少ないと云うから、こんなもんなのか?だとしたら、相当少ないって事になる。そんなに採集難易度が高いのか❓
虫屋の青年もまだ一度も見てないと言ってたし、そういえば宿のおやじも『アカボシ、昔に比べて最近はとんと見かけなくなったねぇ。』とも言ってた。確かに減ったと云う話は文献など巷でもよく聞く。

頭の中が整理できないままに山道を歩く。
だが、指標となる次のアカボシには出会えない。
次第に不安が募ってゆく。

腕時計に目をやる。
針は、いつの間にか午後3時半を指していた。

                   つづく

  
ー追伸ー
ハブの件(くだり)なんかは、かなり説明不足だったし、他もちょこちょこ訂正加筆した。だから、結局書くのにかなりの時間を擁した。
次回は美味い食いもんが一杯出てきます。
でも、もしかしたら2回に分けるかもしれない。

 
追伸の追伸
1年ぶりに読んだが、結構面白い。
でも当時は完璧な出来だと思っていたか、やっぱり手を入れる所はちょこちょこと見つかる。
てにをはの間違いや誤字脱字もあったし、気に入らないので一部つけ足したり、削ったところも有りです。
文章を書くのは、思った以上に難しいよね。

『西へ西へ、南へ南へ』第4話

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-04 17:57:42

 
       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』

  (第四番札所・クィーンズコーラルプラス)

 

バスから降りると、潮の香りがした。
おんぼろフェリー乗場の待合所には人がごった返していた。何処か懐かしいような昭和の匂いがする。古い建物のせいなのか、風景がセピア色なのだ。
同時にまた、そこにはアジアの猥雑と混沌がいまだ交差している雰囲気がある。日本もまたアジアなのだ。

6時発の奄美大島・名瀬経由、沖縄・那覇ゆきの船に乗った。馬鹿だ。

5F建てクィーンズコーラルプラス号は予想を遥かに越える巨大さだった。ちよっと面喰らう。
4Fまで上がる。貧乏な旅人は、当然の如く2等の雑魚寝大部屋に荷を解く。

船内は食堂、売店、風呂、ゲームセンターなどと、小さいながらも何でもある。正直、風呂は頭に無かったのでちよっと嬉しい。

甲板に出た。
間近に見える桜島がダイナミックだ。
しかし、風が強く火山灰が舞っている。既に甲板のそこかしこに黒く積もり始めている。
ろくに目も開けていられないので、早々と退散。

 

 
6時05分。いっこうに出発する気配が無いので、イラッとして外を見たら、既に船は動いていた。
湾内だし、デカイから波の影響をあまり受けないのだろうが、気づかなかった。

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Euthalia patala パタライナズマ(生態編)

パタライナズマに関して二回に分けて書くつもりだったのだが、後編の最後で力尽きてしまった。 と云うワケで、今更ながらの生態編。

とは言っても、そこそこ珍蝶とされる蝶だから百や二百も採った経験はない。であるからして、あくまでもアチキ個人の私見として読んでもらいたい。

Euthalia patala パタライナズマに初めて出会ったのはラオス北部のウドムサイだった。

でも実を言うと、当時はその存在さえも知らなかった。珍品ビヤッコイナズマを探しに行って、たまたまパタラが採れたのだった。
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捕虫網の円光『西へ西へ、南へ南へ』第2話

 
蝶に魅せられた旅人アーカイブス2012-07-31 18:20:06

 

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』

    第二番札所・ロリータ、ロリータ

 

2011年 9月10日

午前5時20分。空が白み始めた。
永い夜がようやく明けようとしている。
しかし、ほとんど落ちかけ寸前だ。意識が朦朧としている。このままだと気を許した瞬間、いつ何時ふいに昏睡するかどうかもわからない。

6時に店を出る予定だったが、5時40分に会計を済ませた。マックスバリュに行って昼飯でも買おう。立っている分には寝ることもなかろう。

天気予報では、今日の宮崎は雨のち曇り。最悪だ。
ここまで来て、彼女に会えないかもしれない。
自身の晴れ男の星を信じるしかあるまい。

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捕虫網の円光~西へ西へ、南へ南へ

 

『蝶に魅せられた旅人アーカイブス』

2012-07-26 16:41:16

沖縄真夏編の最終回もまだ書いていないのに始めてしまいます(当時一部の人にメール送信していた原文のまま)。

 

2011年 9月9日
 

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』
 
        (第一番札所)

 
2011年 9月9日。午前7時27分。
JR難波駅を出発する。
青春18切符の長い長い旅が始まった。特急、急行を使わず、在来線でひたすら走り続ける苛酷な旅である。

目指すは宮崎、齢(よわい)40代の体で、どこまで耐えられるのだろうか…。

西へ、西へ。
姫路、網干、岡山、倉敷、福山、尾道。それぞれ当時付き合っていた女の子たちと旅した土地を通過してゆく。何だか懐かしい。

だが、細かい事は忘れつつある。中には誰と一緒に行ったかさえも定かではなくなってしまった場所もある。

初めて女の子と旅行に行った場所は、福山(鞆の浦)と尾道だ。あれから四半世紀以上、人生もまた長い旅だ。

その尾道で、やっと海が見えた。
もう30年近くも訪れていないが、ほとんど変わっていないような気がする。
大林宣彦の映画じゃないが、懐かしい匂いがする。ノスタルジーそのままの風景だ。

順調に乗り換えを繰り返し、西へ西へと運ばれてゆく。

ここまではたいした事は起こらなかった。
強いて変わった事と言えば、一心不乱に鼻くそをほじり、それを食うオヤジがいた事と、前の座席に24才の若い双子の女の子たちが座ったことくらいだろうか。

双子の女の子たちは、みんな何だか素敵だ。
ふと思う。今まで双子の女の子と寝た経験は一度もないが、いったいどんな気持ちになるのだろうか?
想像してみたが、あまり上手く想像できなかった。

日差しはまだまだ強いが、秋の気配が漂い始めている。色ずき始めた稲穂がやわらかに風に揺れている。

岩国を過ぎて、やっとまた海が見えた。

柳井まで来た。ここまで8時間半。やっと半分だ。

新山口でSLを見た。

 

 
午後6時05分。下関。

関門海峡を越えるのは、これで今年何度目だろうか?

数えてみた。都合5度めになる。今まで生きてきて高校の修学旅行の一度だけなのに今年だけで5回だ。スゴいね。

あっ、電車は地下に入ってゆく。そっか、電車だと関門海峡は越えるものではなく、潜るもんなんだよね。

午後6時。九州上陸。
小倉で日豊本線に乗り換える。

広島を過ぎた辺りからだんだん都落ちするような気分になってきていたが、いよいよここまで来ると、それを越えた完全に落ちのびてゆくような心持ちになってきた。
檀ノ浦とかも通過したし、まるで平家の落武者みたいだ。南へ、南へ。

7時半。大分・中津で降りる。

 

 
次の電車まで余裕があったので、名物の唐揚げを食いにいく。
今まであまりにも接続が良すぎて、朝からお茶以外何も口にしていない。

しかし、商店街は既にゴーストタウンと化していた。
歩き回ったが、居酒屋しか発見できず、慌ててコンビニで缶ビール一本とささみの燻製、高菜のおにぎり一個だけを買い、再び電車に乗り込む。

午後8時半、ようやく初めて食べ物を口にすることができた。

途中から外はずっと真っ暗闇だった。

午後10時、大分駅着。
ここでまた乗り換えに一時間の空きがあった。時間潰しに駅の外に出る。

が、何も心を魅きつけるものがない。大分には良い思い出がない。20年近く前、ドサ回りの大衆演劇の一座に呼ばれて別府に一ヶ月いたが、最低の記憶しかない。

午後11時04分。大分発佐伯行きの最終電車がやって来た。

ホームには酔っ払いが溢れかえっている。

大阪から出発して、どんどん車両が短くなっていったが、中津で2両になり、そして大分でついに1両になった。

必然、超満員電車になった。ここにきて最後の最後にあまりにもヘヴィー過ぎる展開。

後ろのオヤジが、確実に吐きそうな雰囲気なので戦々恐々となる。これ以上惨めな気分になるわけにはいかない。

明日は朝6時20分の電車に乗らなければならないので、このままいけば睡眠時間は3~4時間しか取れないだろう。

そんなショートで、高い金を払ってホテルに泊まるのも何だか馬鹿馬鹿しい。朝までやっている居酒屋で時間を潰そうかとも思った。

だが、もうそんな気力も体力もない。素直にホテルに泊まろうと思った。

降車する人の数が次第に増え、約20分でどうにか座る事ができた。

窓外の真っ暗な闇を見つめていると、今自分が何処にいるのか、何処に向かっているのか、そして自分がいったい誰なのかさえもわからなくなってくる。

日を跨いで、24時30分にやっと佐伯駅に着いた。宮崎県は、すぐそこである。

絶望的に真っ暗だ。そして、雨が降っている。やっぱり大分は鬼門ってことか…。

雨のなか、歩き出す。

どうみてもホテルは見つけられそうもない。この雨の中を歩き回っても、ただ体力と気力を磨り減らすだけだ。

結局、ある意味当初の予定通りってことか…。睡眠は諦めよう。

しばらく歩くとマックスバリューが見えてきた。24時間営業のスーパーマーケットだ。少し安心する。これで最低何とか雨宿りと食料の確保だけはできた。

更に歩くと小さな幹線道路に出た。
雨に黄色く滲んだ明るい看板が見えた。ジョイフルという24時間営業のファミレスだった。

ここいらが限界だ。辛いが、ここで時間を潰すしかないだろう。上手くいけば、携帯の充電もして貰えるかもしれない。

とりあえず、ビールと唐揚げ定食をたのむ。

朝までいるし、充電もして貰えたことだし、ついつい気を使ってドリンクバーもチョイスした。

唐揚げ定食(499円)は、さして期待していなかったが、案外美味かった。

現在、午前4時半。
睡魔と闘いながらこれを書いている。

眠るべきかどうか迷っていたが、もう手遅れだ。何せ、6時20分の電車に乗り遅れれば、次の電車は夕方の17時14分なのだ。

何故、こういつもいつも何かと闘わなければいけないのだろうか…。

                 つづく

 

追伸
今とは違って、この頃はまだソリッドな文章を書いていた。ようするに、ロマンチストでカッコつけだったのだ。でも、今書いている説明の多い文章よりもこういう文体の方が本来は好き。
とは言いつつ、カッコつけ純文学風からこのあと、段々ボケなすエンターテイメント風にはなってゆきますからあしからず。

 

パタライナズマ Euthalia patala(後編)

 

展翅しなおしていたパタライナズマが仕上がった。

(2014.4.3 Laos uodmxay)

完璧な♀だ。しかもデカイ。オオムラサキの♂よりも大きい。
うーむ、アンテナ(触角)もビシッと決まっちょりますなあ(^_^)v

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