2020’青春18切符1daytrip 第四章(3)最終回

 

 第3話(最終話) 紀州の春の味

 
 2020年 4月10日(後編)

 
再び「スナック変てこネーミング愛好家」の活動が始まる。
今度は反対側から繁華街へ入ろう。

 

 
『銀ちろ専用二輪車置場』。
店の看板にチャリンコの置き場所を示すだなんて斬新だ。
でも、店本体が見当たらない。謎です。ステルス店舗なのかもしれない。地方に行くと、時空間が時々歪むからね(笑)。

『居酒屋 味心 むそう』。
「むそう」が無双の事なのか、それとも夢想を表しているのかがワカラナイ。いや、両方の意味が込められているからこその平仮名表記なのかも。だったとしたら、そんな掛け合わせをしようなんて考えた店は唯一無二だろうから、無双かもね。

『紅葉』。
「もみじ」もしくは「こうよう」という店名かと思いきや、下に「KREBA」の文字がある。「くれば」だったんだね。
けど、その読み方って無理がないかい❓普通に読めば「くれないば」、もしくは「べにば」だよね。紅に「くれ」という読み方はないのだ。
まあいい。にしても、何でわざわざ秋に限定されるようなネーミングにしたんだろね❓まさか秋限定のオープンなワケでもなかろう。う〜ん、ママさんの名前が「紅葉」でもなければ、解せませぬ。

『SEED』。
種子❓種(たね)は物事の始まりを表すものでもあるからして、理解できなくもない。
いや、まさかのママさんの名前が「タネ」だったりしてね。だとしたら、どんだけオールディーな名前やねん❓
そうじゃなければ、まさかまさかのシードの別の意味でもある「精液」や「精子」だったりしてね。(-_-;)…、だとしたら相当に奥が深い。ハプニングバーとか、とんでもない店だったらいいなあ。

『居酒屋 白百合』
「昭和」を通り越して、もう「大正」の世界だ。
一周回って大正ロマンの香りさえ漂っている。

振り返っても撮る。

 

 
どうやらこの通りは味光路(あじこうじ)というらしい。

 

 
『AGAIN』。
アゲイン。再び。
また来てねという意味か?
他に浮かばないし、段々無理からイチャモンつけるのも面倒くさくなってきたよ。

『LARME』。
ラルムというのはフランス語の「涙」「涙の雫(しずく)」の事でいいのかな。
にしても、そんなマイナス思考のネーミングでいいんすか❓

『スナック すみれ』
何ら奇抜さがない普通のネーミングだ。
でも奇を衒わないところが、かえって新鮮だ。明朗会計に違いなかろう。好感もてます。

『LUSH』。
普通に訳せば、「青々とした」「瑞々しい」だろう。
調べたら他にも意味があって、「大酒呑み」とゆうのが出てきた。たぶん由来はコレだな。
さておき、下の「a new sense bar」とゆうのが引っ掛かる。新しいセンスとは何❓
このネーミングのワケの分からなさにスナック文化の面白みがある。こうしてアレコレ想像するのは楽しい。ネーミングの裏に、その人の人となりが見え隠れするのだ。

『がらくた』。
(☆▽☆)来たー❗、自虐系ネーミング❗
けど、ストレートの平仮名表記である。普通ならば「我楽苦多」などという宛字をブチ込んでくるのがセオリーなんだけどね。その路線にいかないのは、言うほどポンコツではなさそうだ。ただの自虐的な人なのかもしれない。

後ろのビルの看板が横に写っている。気になるからコッチもコメントしておこう。

『Pino』
イタリア語かな❓ならば「松の木」とか「松ぼっくり」という意味になる。可愛さ演出かしら❓
単にお菓子のピノ好きの店主だったりして…。

『Bebe』
普通に考えれば「赤ちゃん」だよね。
ばぶばぶの赤ちゃんプレーの店だったりして…。いかん、いかん。どうしてもエロに走るクセがある。
だとしたら、フランス語の「パートナー」という意味なのかもしれない。豚が2頭向き合ってるしね。
でも、ちょっと待て❗
下には「Boys snack」という文字があるではないか❗❗
とゆうことは、モーホーの集まるスナック❓それもパートナーを探す的な❓しかも赤ちゃんプレーがメイン的な❓
頭がオカしくなってきたところで、目的の店の前に着く。

 

 
ここの向かい側が店となるのだが、惹かれる風情があって、つい写真を撮ってしまったなりよ。
あっ、でも惹かれた理由は風情だけじゃないと直ぐに気づいたよ。

 

 
🎵ホッピー(◠‿・)—☆
久し振りに看板と幟を見たので、テンションが上がる。奴は関東文化圏のもので、関西ではあまり見ないのだ。これは東京に住んでた頃に劇団の先輩に教えてもらったというか、仕込まれた。
えー、ホッピーとは下町のヤサグレ親父たちのフェバリット安酒の事である。
もとい、厳密に云うとホッピーそのものは酒ではない。

 

(出展『Wikipedia』)

 
ホッピー(Hoppy)とは、ホッピービバレッジ(旧・コクカ飲料)が1948年に発売した麦酒様清涼飲料水のこと。平たく言うと、ルートビアみたくビールテイストの炭酸飲料の事ね。でもホッピーといえば、焼酎をこれで割った飲み物を指す場合のことの方が多い。
ホッピーが発売された頃は、まだビールは高価だったそうな。なので、そのビールの代わりにホッピーで焼酎を割って飲む技が編み出された。そして、手軽にビールの満足感を得られる酒として関東圏で急速に広まっていったらしい。そう、ビールモドキなのだ。その辺からして男たちの苦い哀愁が漂うなあ。
ちなみに今でも東京の大衆酒場には必ずと言っていいほど置いてある筈だ。まあ、安く飲める酒の代表選手みたいなもんだすな。飲んでるオヤジたちもイタい人が多かったから、場末感満載なのだ。何だか懐かしい。

又しても脱線してもうた。
いざ、目的の店にゆかん。

 

 
『紀州魚介庵 かんてき』。目的地到着だす。
店はビルの奥まったところにある。

 

 
「かんてき」とは、関西では七輪(しちりん)の事だが、火がカチカチ熾る様から癇癪(かんしゃく)持ちを表す言葉でもある。つまり気が短くて怒り出したら止まらない人で、感情がコントロール出来ないってこと。
たぶん店の名の由来は、この両方で、どちらかとゆうと後者だと推察される。ならば、めんどくさい親父に決まっている。テメェで付けてるくらいなんだから、自他ともに認める性格なのだろう。

口あけだから、客はワシ以外には誰もいない。

 

 
カウンターの真ん中に座る。
店の雰囲気は昔からある居酒屋という感じだ。

 

 
目の前の大将は、よく喋る。
気は如何にも短そうだ。でも本当の癇癪持ちならば、店を長く続けてはこれなかっただろう。ようは気は短いが、気のいいオヤジさんってとこなのだろう。ヤンチャの匂いがしますな。

当然、先ずは何をおいても生ビールから入る。

 

 
付き出しは「イソモン(磯もん)」という地元で穫れる貝。
磯で穫れる貝を総称してそう呼ばれる事が多いが、見たところ1種類だけだから、どうやら地元ではそう呼ばれている貝なのだろう。一瞬、シッタカ(尻高)にも見えたが、似ているけど頂きはシッタカみたく鋭く尖ってないから別な種だね(註1)。

金串で根元を刺し、貝を手でぐるりと回しながら身を取り出す。こうすると、先っちょの肝までキレイにとれる。
味はシッタカとほぼ同じで旨い。肝のホロ苦さがよろしおまんな。所謂サザエの壺焼き系の味だ。それよか柔らかいけど。

 

 
お次は黒ビール。
黒ビールの生を置いてある店は少ないから、飲むことにした。

 

 
久し振りに飲む黒ビールは豊潤で旨い。

 

 
刺身盛合せ。
左は上からモチガツオ、モチガツオ心臓、グレの白子。右はヒトハメ、グレ、ウツボのたたきである。

モチガツオとは紀州の春の味覚の一つ。黒潮に乗って2~5月頃に紀伊半島沖に現れるカツオの中でも午後になると岸近くに寄って来るモノのことをいうそうだ。本来、カツオは遠洋にいるものとばかり思ってたけど、そうゆうカツオもいるんだね。
それを釣り上げて活け締めにして即座に陸揚げしたものは、死後硬直が始まる前のモチモチとした食感が味わえるそうだ。モチモチだからモチガツオと呼ばれてるってワケだね。付け加えておくと、モチガツオと言える状態は短く、水揚げされてから6時間以内なんだってさ。

モチガツオから食べてみる。
\(☆▽☆)/ワオッ❗、確かにモチモチの食感だ。
旨味もあって、(´ω`)うみゃーい。

お次は心臓だ。
艶々してて張りがあり、如何にも鮮度が良さそうだ。
(・o・)あっ、コリコリだ。珍味ですなあ。

続いてグレの白子。
コチラも見るからに鮮度が良い。たぶんグレの白子は初めて食べるんじゃないかな。
うん、臭みは全然ない。期待どおりの味だ。旨い。
とはいえ、鯛やフグの白子の旨さには及ばないけどね。

右側に移ろう。
わかりにくいが、一番上は「ひとはめ」という海藻である。
人をハメちゃうの❓何だか純真な田舎娘をシャブ中にしてソープに売り飛ばす悪いヤクザみたいな名前じゃないか。もしくは妖怪の名前みたい。『悪戯妖怪ひとはめ』。
「雨の日でもないのに道の角を曲がった所に水溜まりをこさえ、人がハマったのを見て、キャッキャッと喜ぶイタズラ系妖怪の事。」とかさ。
スゲー名前だなと言ったら、お女将さんが正式名称は「ヒロメ」だと言って小冊子みたいなのを見せてくれた。

 

 
「それによると、こう書いてあった」と書きかけて、邪魔クサイので画像を拡大する。

 

 
ようするにワカメの親戚みたいなものだ。
ただし細長くなくて、名前のとおり幅が広い。
ちなみに「ヒロメ」の「メ」は海藻(海布)という意味。これはワカメを漢字で書くと「若布」と書くことからも解る。
「ヒトハメ」の方は後で調べてみたら、人をハメるというヤバい由来は全然なくて、〝一つの葉〞で「一葉布」なんだそうな。

 

(出展『ぼうずコンニャクの市場魚貝図鑑』)

 
(出展『和歌山県ホームページ』)

 
葉部が大きな卵形で切れ込みがなく、メカブを作らないのがワカメとの違いみたい。

味は旨い。
シャキシャキとした食感なのに、部位によっては柔らかくてとろみがあって美味しい。粘質物に含まれる食物繊維「フコイダン」がワカメより多いそうだ。
とはいえ、生のワカメをサッと湯通ししたものと、ほぼ変わらない。黙って出されればワカランだろう。

最近は養殖も試みられており、「紀州ひろめ」というブランド名で販売促進されているという。
しかし近年は温暖化で冬場の海水温が下がらないためか、生育状況が良くなくて、収穫量は年々減少しているという。

ネクスト、その下はグレの刺身。
えー、グレとは関西での呼び名で、関東ではメジナと呼ばれている磯の代表的な魚ですな。
グレにはあまり良い印象を持ってない。磯臭いのだ。特に夏場はゲロ臭い。けど餌が違う冬場は美味であるという話も聞く。
それでも何度か食べた事はあるが、特別旨いという印象はない。
この時の味の感想の方だが、1年近く前の事なのでハッキリとした印象はない。ただ、グレにしては旨かったような記憶が残っている。

最後は「ウツボのタタキ」。
ウツボは見た目が凶暴且つグロテスクで小骨も多いので積極的に食べる地方は少なく、紀伊半島南部の一部と房総半島南部、高知県くらいだろう。
何度か食べた事があるが、タタキとはいうものの、生ではなくて火が結構入っている。レアチャーシューとか、ステーキでいえばミディアムレアみたいな感じに仕上げられたのものが多い。
色は白っぽくて鶏肉に似ていて、身は肉厚で柔らかい。味は淡白ではあるが独特の旨みがある。一方、皮は歯応えがあって弾力が強い。皮下と共にゼラチン質でコラーゲンも豊富そうだ。コチラの部位は、噛むと皮下のゼラチン質から濃厚豊潤な旨みが広がる。この身と皮の2つの異なる風味が合わさった味わいがウツボの最大の魅力かもしれない。
とはいうものの、めちゃくちゃ美味いってワケでもないけどさ。食べる機会があれば、トライしてみてはと云うレベルだ。

 

 
海老団子。
野菜も入っている。呻くほどではないが、旨い。

客は誰も来ない。
4月7日に東京や大阪など7府県に対してコロナウイルスに対する緊急事態宣言がなされていたが、和歌山県は対象外だった。
なのに、この閑古鳥の状態である。こんなとこまで影響力があったんだね。未知の病気だっただけに、当時は皆、相当にビビってたんだろう。あとは下手に調子ブッこいて外出して罹患でもすれば、周囲からの批判に晒され、病人なのに袋叩きに遭いそうな雰囲気があったせいもあるかもしれない。
尚、緊急事態宣言の対象を日本全国の都道府県にまで拡大したのは、もう少しあとの4月16日になる。

そういや、この時期には和歌山市の病院でもクラスターが発生したような気がするなあ。その影響もあったのかも。
結局、この日は他に一組の客しか来なかった。オヤジさん曰く、普段は満杯だそうで、土日などは予約しないと入れないそうだ。心なしか元気がなかったのは、そのせいかもしれない。いつもはもっと威勢がいいんだろね。

その後、和歌山県は知事の仁坂吉伸氏の適切な対応で、2021年の2月現在に至るまで感染は少数で抑えられ続けている。あまり報道されることはないが、その手腕は高く評価されているようだ。
余談だが、この仁坂さん、実を言うと蝶屋である。つまり、趣味は蝶の採集・蒐集・研究なのである。
去年の2020年10月には『ブルネイの蝶 Butterflies of Brunei』(NRC出版)という図鑑も出版されておられる。
定価10,000円+税(送料別)と結構な額の本だが、結構売れていて、在庫わずかだという。
これは蝶の雑誌『季刊 ゆずりは』に連載されていたものが下敷きになっていて、仁坂さんがブルネイ大使を務められていた2003~2006年に採集された標本を整理され、図鑑にしたものである。内容は、標本のカラー図版と各解説、巻末にブルネイの蝶663種のチェックリスト付いている。中には新種の可能性があるものも含まれているようだ。

 

(出展『Amazon』)

 
図鑑そのものは見ていないが、「季刊ゆずりは」の連載は一通り見ている。珍品もそこそこ採られておられるので、正直驚いた。どうせ片手間の何ちゃって蝶屋だと思っていたからである。
さておき、和歌山でも網を振られているのかな❓まあ、この御時世だと、それどころじゃないだろうし、見つかったらボロカス書かれるからなあ…。最近の世の中は、おおらかじゃないから揚げ足をとって、徹底的に叩いてくるからね。嫌な時代だよ。
えー、在庫わずからしいので、購入される予定の人は急ぎNRC出版か南陽堂にホームページにアクセスされたし。

話が逸れた。本道に戻そう。

 

 
お店の自家製カラスミ。
カラスミって魚卵好きには堪らんよね。何であんなに美味いんだろうと、つくづく思う。究極の酒のツマミの一つだろう。
となれば、ここは焼酎だろう。

 

 
勿論のこと、ロックである。

 

 
鹿児島県霧島市の国分酒造の芋焼酎『安田』。
店主曰く、芋麹で造られた全量芋製焼酎で、入手困難ゆえにプレミアが付きつつあるという。
通常の芋焼酎は米を使用して麹を造るのだが、これは麹造りから「芋」を使用しているから全量芋製なのだ。芋麹を用いることによって、より芋の風味が濃厚な仕上がりになるそうだ。
使用しているサツマイモも、通常使われる黄金千貫(こがねせんがん)とは異なり、蔓無源氏という品種で仕込まれている。
この芋は今から百年ほど前に食用として栽培されていたサツマイモで、わずか10本の苗から復活させたという。
尚、「安田」という銘柄の由来は、平成4年より国分酒造の杜氏となった安田宣久氏の名字を冠したものだそうだ。

飲んでみる。
あれっ❓ガツンとくるかと思いきや、優しい。香り豊かでフルーティーなのだ。芋焼酎にしては女性的だ。コレってワイングラスで飲んだ方がいいかもしんない。その方が、より香りを感じられそうだからね。
御託を抜きにして、味は素直に旨い。調子ブッこいてガンガンに飲みそうだ。でも、今日はちゃんと電車に乗って帰らねばならぬ。酒バカにならぬよう、ちっとはセーブしよう。
けどカラスミを少し囓って焼酎を口に含んだら、ブレーキホースが瞬時にブッた切れた。焼酎⇒カラスミ⇒焼酎のエンドレス運動が始まる。
この円環のためには下に敷いてある大根が邪魔だ。マイルドアイテムは要らぬ。酒呑みは口中の濃い塩味と旨味を酒で洗い流すのを旨(むね)としているのだ。大根は大根として別に食うべし。それはそれで旨いのだ。

 

 
こんなの頼んだっけ❓
たぶんカツオの心臓の煮付けだと思うが、食った記憶もない。
まあ味は大体想像つくけどさ。おそらく基本は魚の内臓の味で、ホロ苦かったんだろう。
こうゆう渋い酒のアテは、エンジンがかかりやすい。

 

 
『国分 純芋 醸酎』。
コチラも国分酒造の芋焼酎で、「現代の名工」として国から表彰された安田杜氏が手掛けたものだ。
コレも「安田」と同じく従来の製法を払拭し、麹造りの際に米を使用しないサツマイモ100%の芋焼酎だ。ただし、地元産のさつまいも黄金千貫で芋麹を造り、黄麹で仕込んだものである。蒸留後は無濾過・無調整で1年熟成。加水せずにそのまま蔵出しされたものだそうだ。ゆえなのか、アルコール度数は35度と高い。

飲んでみる。
ふくよかで華やかだ。黄金千貫を贅沢に使い、白麹ではなく黄麹を使用しているからか特徴的な甘みと、まろ味(旨味)も感じられる。こっちも旨いね。甲乙つけ難いが、どちらかというとこっちかなあ。

 

 
蛍烏賊の沖漬けだよね。
これも、あまり頼んだ記憶がない。どうせ焼酎に合うだろうと思ってオーダーしたんだろな。どうみても酒呑みが好きそうなものだもん。

あっという間に時間が過ぎた。
旨い食いもんと旨い酒は時間を忘れさせる。
何で幸せの時間は短く感じるんだろ。解るようで解らない。

すっかり外は夜になっていた。駅の光がまばゆい。
午後8時39分発の和歌山ゆきに飛び乗る。

 

  
23時40分、天王寺に到着。

 

 
23時48分発の大和路線の難波ゆきに乗る。

 

 
ようやくJR難波駅に到着。

 

 
23時56分。期限ギリギリで改札を出た。

 

 
外に出ると、まあるい満月が夜空に掛かっていた。
ここに旅の円は閉じた。
小さく息を吐き、「これにて青春18きっぷの旅、終了。」と呟く。
春のやわらかな夜気は、どこまでも穏やかだった。

                        おしまい

 
追伸
第二章の途中で頓挫していたシリーズだが、何とか再開して10ヶ月後に完結できた。基本的には中途半端なのは嫌いなので、ホッと一安心。ようやく肩の荷が下りたよ。
思えば第一章の福井編が5話、第二章の武田尾・三田編が4話、第三章の山陽道編が2話、第四章の紀州編が3話の計14話も書いている。しかも各話が長い。自分でもよく書いたなと思う。
途中で頓挫したのは、多分この長さゆえだったのではないかと思う。書いてて、進まない終わらないで自分でも途中でウンザリしてきたのだ。そこへきてカトカラシリーズの連載が再開したものだから、そっちに力を注ぐことになったのだろう。
今年度の目標は文章を短くする事かな。でも脱線癖を治さねば無理だね(笑)。
文章を書き慣れない人は長い文章を書くのが苦手だろうが、実を言うと短い文章の方が難しい。慣れれば長い文章は誰でも書けるようになるが、それを削ってコンパクトにする方が遥かに難しいのだ。付け足すよりもソリッドに削る方が、より時間もかかるし、難産なのだ。

例によって、この日の正規運賃を示しておこう。

JR難波⇒道成寺 ¥2310
道成寺⇒紀伊田辺 ¥680
紀伊田辺⇒JR難波 ¥3080

              計 ¥6070

今回のチケットは金券ショップで購入した4回分¥6000(もしかしたら¥5000かも)のものだから、1回分を¥1500とすれば、以下の計算式となる。
¥6070ー¥1500=¥4570
つまり、¥4570もお得だったワケだすな。やっぱ青春18きっぷは、とってもお得なんだね。

そろそろ春も近い。
「かんてき」には、今年も行きたいなあ…。モチガツオと自家製カラスミは、もう1回食べたい。

(註1)シッタカみたく鋭く尖ってないから別な種だね

帰って調べてみたら、正式名称はクボガイのようだ。

 


(出展『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

 
北海道南部以南の日本各地、朝鮮半島、中国南部にかけて分布する。潮間帯の岩礫地に棲み、藻類を食べる。
「磯もの」や「磯玉」と呼ばれ、シッタカと共に海辺の居酒屋や宿などで茹でたものが出ることがある。身は小さいが、はらわたは磯の風味があり、足は甘みがあって美味。
(『Wikipedia』より抜粋)

参考までにシッタカの画像も貼り付けておきます。

 

(出展『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

 
正式名称は「バテイラ」というらしい。けどあまり使われてなくて、シッタカの方がポピュラーな名前だす。
それにしても、流石のぼうずコンニャクさんだ。食べられる魚介類は調べりゃ何でも出てくる。ホンマ、重宝しとります。

 

2020’青春18切符1daytrip春 第三章(1)

 
第一話
無駄無駄パンチ、大人気ないのねんのねん

 
 2020年 4月8日

青春18切符の旅、3日目である。

この日は西を目指した。
大阪駅から東海道線に乗り換え、加古川駅まで行く。
東海道線は新快速とか走ってるから速くて助かるけど、加古川辺りまで来ると流石に遠方感がある。

 

 

 
ここで加古川線に乗り換える。
時刻は朝7:52。
今日も空は気持ち良く晴れわたっている。

 

 
ここで8時発の西脇市ゆきに乗る予定だ。
それにしても、電光掲示板下の「厄神」ってのはスゴい駅名だな。不幸の吹き溜まりじゃないか。

 

 
へぇー、車体が濃い緑なんだね。あまり関西では見ない電車の色だから新鮮だ。たぶん加古川線に乗るのは初めてだ。未知なことは楽しい。((o(´∀`)o))ワクワクする。

車両に乗り込む。
ここで妙なところにヒットする。さておき西脇市ゆきは8時ちょうど発じゃないか。それに脳ミソが勝手に反応してしまう。

🎵8時ちょうどの あずさ2号で
🎵ワタシはワタシは貴方から 旅立ちーますぅ〜

気づいたら、狩人の『あずさ2号』を口ずさんでいた。
アホは続いて「ワタシ」の後ろを言い換えて再び口ずさむ。

🎵は〜ち時ちょうどの〜 あ〜ずさ2号で〜
🎵ワタシはタワシは貴方から〜 た〜び立ちーますぅ〜

あまりにもチープな駄洒落だ。しかも「〜貴方から」のところで一旦止めて溜めを作ってからの「旅立ちーますぅ〜」の全開放なのだ。そのアホさ加減に自分でも吹き出しそうになり、下を向いて肩をヒクつかせながら必死で笑いを噛み殺す。しまった…、こんなところで恥を晒すワケにはゆかぬぞよ。
で、ひとしきり笑いの渦が去ったところで、顔を上げて恐る恐る周囲に目をやる。もしも誰かが見ていたら、気味悪がられてるんじゃないかと思ったのだ。朝の電車で中年のオッサンが一人を肩を震わせて笑いを懸命に堪えている姿は、相当に不気味だろうからね。
幸い車両の端っこに一人座っている女子高生は、スマホを何やら一心不乱にタッチしているからセーフそうだ。
女子高生に嫌われるのは絶対ヤダ。傷つくもんね。中年のオッサンはナイーブなのだ。

電車は長閑な春の里山をゴトリゴトリとのろのろ走ってゆく。
やがて見たことがあるような風景になった。もしやと思って車内の路線図を見たら、次は粟生駅だった。そういや粟生駅から加西市のギフチョウポイントまで元カノと歩いた事があるな。
いや、待てよ。粟生駅で思い出した。前言撤回。加古川線には乗ったことあるわ。新開地から神戸電鉄に乗り、粟生で加古川線に乗り換え、青野ヶ原駅までという短い区間だったが乗ってる。青野ヶ原には、まだ蝶採りを始めて間もない頃にヒメヒカゲとウラギンスジヒョウモン(註1)を採りに来たことがあるもんな。正確に言うと、ヒメヒカゲもいるとは知らなくて、上から降りてきた人に教えてもらったのだった。
両方とも数が減ってると風の噂で聞いたけど、まだ生き残ってるのかな❓ 元気でいる事を祈ろう。記憶にある蝶たちが消えてゆくのは偲びない。

 

 
8時50分過ぎ、西脇市駅に到着。

 

 
春爛漫。まだ桜は満開だ。

駅でバスの時刻表を見ると、出たばかりだった。
たぶん本数が少ないので、歩いてもバスに乗っても目的地への到着時間は変わらんだろう。だったら少し痩せないといけないし、交通費も浮くから歩くよ。その浮いた金を、例えば「老祥記」の豚まん代とかに回せるしね。それにそもそも、待つのが大嫌いな男なのだ。待つのなら、死んだ方がマシだとか言ってるくらいのせっかちな人だからね。

今回も目的はギフチョウである。
しかし、隣接する加西市や小野市には行ったことはあるけど、西脇市は初めてだ。しかも情報はあまり持ってない。知っているのはポイントの地名だけで、詳しい場所までは知らない。でも何とかなるっしょ。まあまあ天才なんだから(笑)。
巨漢プーさんが、昔よく行ってた場所だから、登りはそうキツくはないだろう。となれば、比較的なだらかな地形を探せばよかろう。
いや、待てよ。その頃のプーさんはまだ膝を傷めていなかった筈だよな。或いは、現実はそう甘くはないのかもしれん。

九時半前。
やがてポイントの山が近づいて来た。しかし思いの外に高く、山容は険しい。傾斜はキツそうだ。山頂待ち、尾根待ちするとすれば、それなりに汗をかかねばなるまい。めんどくせー。
一方、左手の山は比較的なだらかだ。そっちにもいるだろうと判断した。たぶん雑木林の中にも飛んでいるだろうから、山頂や尾根まで登らなくても済むだろう。必死になってまでギフチョウを採りたいワケではないから、ゆるい男は楽な方を選ぶのじゃ。

9時40分。山裾まで来た。
ここまで約1時間足らず。とゆう事は、5km以上は歩いた計算になる。まあまあ遠かったもんなあ。

 

 
ギフチョウ日和だ。
雲雀が空高く舞い上がり、陽気な声で歌っている。
桜も咲いてるし、あちこちで若緑が萌え始めている。つくづく春だなあと思う。何だか心がほっこりするよ。

しかし、山へ入る道が見つからない。一本だけ有ったが、入口がネットで塞がれている。入るなって事だろう。トラブルはヤだし、先へと進む。けど、道が無いぞなもしー。
途中、婆さんに道を訊ねたが、御高齢過ぎて要領を得ない。仕方なく更に進むが、見つからん。おいおいの展開である。

ネットで塞がれてた山道まで戻ろうかと考え始めたところで、やっと山へ向かう道を見つけた。

 

 
神社を過ぎると、奥で網を持った爺さんが立っていた。
V(^o^)vラッキー。とゆう事は、ここには確実にギフチョウがいると云う事だ。

挨拶して、色々と情報をお訊きする。
どうやら此処は数は多くはないらしい。昔と比べてかなり減っているという。しかも放蝶もしてるのに、その程度だと言う。
放蝶と云う言葉に一挙にヤル気が失せる。養殖モンを追いかけ回すって、どこか滑稽な気がして萎えるのだ。それに何だか泥棒っぽい。上で放流した魚を下流で獲ったら、どう考えてもズルくて悪い人だもんね。
まあいい。それでも此処のは採った事が無いんだから記念に採っておけばいいじゃないかと思うことにした。それに別に標本が沢山欲しいワケじゃない。そもそもが自分にとっては虫採りは狩猟ゲームであり、スポーツなのだ。そこのところに血湧き肉躍るのだ。正直、チマチマしてるから展翅も嫌いだし、飼育も苦手な性質(たち)なのだ。

暫くして爺さんは他の場所の様子を見に行くと言って、去っていかれた。
精神をリセットして、五感を研ぎ澄ませる。
待つのは嫌いだが、絶対飛んで来ると云う確信をもって待っている時間は好きだ。そこには((o(´∀`)o))ワクワクしかないからだ。スイッチが入り、コンセントレーションが高まってゆく感じはエクスタシーへの序曲(プレリュード)だ。そして、その先には大いなるカタルシスが待っている。これがあるから虫捕りはやめられない。
しかし、いっこうに女神は姿を現さない。天気も気温も上々だし、ゴールデンタイムの時間帯なのに何で❓やはり爺さんの言うとおり数が少ないのかな…。

午前10時45分。
視界の右端っこで何かが動いた気がした。
素早く向きを変え、凝視する。一拍おいて、ふわっと地面から飛び上がる姿を目が捉えた。瞬時に駆け出す。距離を一挙に詰めて、乾坤一擲、💥秘技ルーム&アンピュテート❗
トラファルガー・ローの必殺技をイメージして、網で空間を蝶ごと切り取る。

 

 
今日の1頭目は、珍しく♀だ。美しい。
武田尾のギフチョウとはまた違って、黄色い部分が広くて明るい感じがする。そういや、加西市や小野市のギフも黄色かったような気がする。
でも1頭だけでは傾向を断定できない。もっと採らないと比較対象の材料にはならんのだ。

 

 
一見派手で目立つデザインのように見えるが、ギフチョウは枯れ草の上に止まると消える。ミラージュ効果で枯れ草と同化して見失うのだ。
こうして背後の環境が写っている画像だと、その一端を御理解戴けるかと思う。隠遁術のレベルは思いの外に高いのである。

裏面は、こんな感じ。

 

 
さあ、ここからが祭りの始まりだと意気込んだが、何故か後が続かない。仕方なく、その辺に足を投げ出して座り、ファミマで買った🍙おにぎりを食う。

 

 
「日高昆布」と「魚卵づくし」。
魚卵づくしかあ…。魚卵好きだから迷わず買ったんだよなあ…。
そこそこ旨かったから、また発売してくんないかなあ?
昆布は3年ほど前から好んで選ぶようになった。昆布は好きだけど、何かジジむさいから買う気が起こらなかったのだ。けど或る日コンビニに行ったら、おにぎりが昆布しか残ってなかった。仕方なく買って食ったら、それが衝撃の旨さだった。昆布の底力に、まざまざと感じいったのである。以来、昆布がおにぎりチョイスの1番手となったのである。

食い終わっても飛んで来なかったので、仕方なく蕨(わらび)を摘みだしたら、ギフチョウそっちのけになってしまい、気がついたら12時前になってた。
1頭だけでは誰かに「また、ヤル気なし之助ですかあ。」と揶揄されかねない。♂もまだ採ってないしね。なので、慌ててポイントを移動した。しかし道は行き止まりになってて、仕方なく薮に突っ込み、トラバースを敢行する。
したら、道に出た。

 

 
如何にもギフチョウが居そうな環境である。
少し歩くと、網を持った四人組がいた。どうやらこっちがメインポイントだったみたいね。
近づくと、同好会の先輩Tさん一行だった。

正直、メンドくせーなと思った。
同好会の合宿でヒサマツミドリシジミで有名な三川山に行った時に、この人にワシだけ山頂で番をさせられたのだった。
皆は秘密のポイントに行くからとかで別な場所に行ったんだけど、何でワシだけがそんな仕打ちを受けねばならぬのだと思った。それで後から別な人にワケを訊いたら、理由は「全部、彼が採ってしまうから。」だった。
それを聞いて、開いた口が塞がらなかったよ。

そんなの物理的に無理だし、自分ばっか採って人には譲らないなんて事、するワケないっつーの( `ε ´ )ノ❗人として、逆にそっちの方が勇気いるわい。

それに、全く知らぬ相手ならまだしも、同じ同好会の人にそんな事するワケないじゃないか。
思い出したら、段々腹が立ってきた。なので、そのあと鬼神の如くいっぱい採ってやったワイ(--メ)❗おまんらなんぞにギフチョウを採らせてなるものか、ボケがっ(--メ)❗
どーせオラ、大人気(おとなげ)ないのである。
でも計27頭も採ったのに殆どがボロ。どうやら時期が遅かったみたいだ。♂なんか全滅だ。武田尾より先にコッチに来るべきだったよ。実際、どっちを先にするか迷ったんだよなあ…。まあ、たった2日だけの違いだから、結果はそんなに変わんなかったかもしんないけどね。
♀の方も羽化不全だらけだった。たぶん放蝶だからだろう。きっと蛹をバラ撒いたんじゃないかな❓
自分では飼育をしないから、半分コジ付けで言ってるけど、養殖もんは生命力が弱いんじゃなかろうか。弱い遺伝子をバラ撒くと、全体的に集団の生きる能力が下がるんじゃないかと密かに思ってる。多様性は必要だが、弱い遺伝子が増えると、種全体の生き抜く力が落ちるような気がする。種を維持するためには、強い遺伝子を遺す淘汰も必要なんではなかろうか。弱肉強食の中で生き残ったものだけが遺伝子を遺すというシンプルなルールが本来のものだろう。こんなことを言うと、現代社会では袋叩きになりかねないけどね。
正直、人間のオスのポテンシャルは確実に昔よか下がってるような気がする。養殖モノのオスばかりだ。
ならば、いっそ女性がもっと強くなった方がいい。そっちの方が余程、世の中は上手くいくんでねーの❓

結局、帰りしなに殆んどをリリースした。労多くして益少なし。あのシャカリキは何だったのだ❓ 心の中で、ジョジョの悪玉キャラのディオ様ばりに無駄無駄パンチを打ちまくる。

 

(出典『ピクシブ百科事典』)

 
大人気ない事なんてするから、こうなっちゃうんだよねー。
 

                         つづく

 
追伸
その時のモノを展翅したのがコレ。

 

 
西脇市の♂は全部リリースしたので♀でやんす。
全体的に黒帯が細い。
でもギフチョウって個体変異の幅が広いから何とも言えないんだよなあ。ギフチョウは好きだけどマニアではないから、変異にはそんなに興味がない。小太郎くんみたく各地の細かい特徴までは頭にインプットされてないのだ。

そういや、あの時にTさんに質問したな。
『ここのギフチョウって、何か特徴あるんすか❓武田尾辺りと、どう違うんですかね❓』
しかし、返ってきた言葉はこうだった。
『一緒、一緒。変わらへん。おんなじや。』

でも本当にそうだろうか❓
武田尾より黄色かった気がするんだけどなあ…。

武田尾のギフチョウの画像(♀)と見比べてみよう。
同じ兵庫県でも東部の武田尾と中西部の西脇市とでは離れている。それに六甲山地には生息しないから間に大きな空白地帯があった筈だ。同じなワケがなかろう。

 

 
(-_-;)ビミョー…。
後翅中央の黒帯が太く、全体的に西脇市の方が黒帯が細いような気もするが、各帯を一つ一つ見ると逆なのもある。でも、そもそも1個体ずつだけを見比べて論じるには限界がある。もっと沢山の個体を見て検証しないといけんね。
西脇市に隣接した加西市や小野市の標本がある筈だが、探すのが面倒なので手っ取り早く図鑑(日本産蝶類標準図鑑)で済ませてしまおう。

 

(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

 
同じ兵庫県中西部、三木市の♀個体だ。
やはり帯が細くて、全体的に黄色っぽく見える。

 

(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

 
隣接する小野市産の♂である。コチラも黄色くて西脇市や三木市のものと同系統なのが伺える。

図鑑の解説欄も見てみよう。
近畿地方の中部〜西部の産地については、こう書いてあった。
「京都府中南部〜大阪府・兵庫県東部には、やや黒い個体群がみられる。兵庫県中南部の個体群は黄色部が広い。この個体群は分布的にほかの個体群との接点はほとんどない。」

ほら、やっぱりそうじゃないか。すると、武田尾(兵庫県東部)のものと西脇市(兵庫県中南部)のものとは違う個体群とゆうことになる。
では武田尾産はどうだろうと思って図鑑内を探してみたが、図示されていなかった。しゃあないので、代わりに同じ個体群とされる大阪府豊能町と京都市産のものを図示しよう。

 
(豊能町産♂)

 
(京都市産♂)

(出典『日本産蝶類標準図鑑』)

 
どちらも♂だが、慥かにやや黒っぽいような印象をうける。
とはいえ、これとてファジーで明確な線引きは出来ないような気がする。
段々、話が大袈裟になってきたな。軽い気持ちで調べ始めたのに、とんだ藪蛇だ。泥田に足を突っ込んだような気分だよ。

そういえば『ギフチョウ88か所めぐり』のコピーを持ってた筈だな。探そう。

ありました。
武田尾のギフチョウの欄の解説にはこうあった。
「京都〜大阪北部の集団と、兵庫県の山陽側の集団とはかなり印象が異なるが、ここらあたりが接点となる。斑紋は基本的には兵庫県山陽型であるが、京都〜大阪北部型も混じる。」

一見、記述の内容は図鑑と同じようだが、なれど、この記述の仕方だと基本的には武田尾・三田産のギフチョウは西脇市産と似ているという事になってしまう。(-_-;)おいおいである。
毎度お約束の迷宮世界の風が吹き始めた。嫌な予感がするよ。

コピーゆえ白黒だが、標本画像も貼り付けておく。

 
(武田尾産♀)

(同♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
♀は黄色そうだね。たしかに西脇のと変わらん。でも♂は、かなり黒っぽく見える。

分布が隣接する三田市のギフチョウの項も見てみよう。

 
(三田市産♀)

(同♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
コチラの♂も黒っぽい。でも♀は後翅中央黒帯が太くて微妙だなあ。かといって北部のものとも違う気がする。

解説は以下の通りである。
「兵庫県の瀬戸内側、三田市から西脇市あたりにかけてのヒメカンアオイ食いのギフチョウはやや変わった一集団である。この産地では尾状突起が短く、丸い翅形の個体が多い。」

ここでは完全に三田市と西脇市の個体群が同じ扱いになっている。一瞬、三田の個体群と武田尾の個体群とは別な扱いになってるのかと思ったが、そんなわきゃない。三田と武田尾は隣接しており、ギフチョウの分布も連続している。地理的障壁もないから、両者は互いの生息地を自由に行き来できる筈だ。同じ個体群であることは間違いない。

ここで、改めて88か所めぐりの地図の、近畿地方の部分を見てみよう。

 

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
番号は59が大阪府鴻応山、60が京都市岩倉。何れも黒っぽいギフチョウとされる地域である。

 
(鴻応山産♂)

(出典『しっぽスターの娯楽』)

 
やはり黒っぽい。
そういや、鴻応山で採った事もあるなあ…。すげー辺鄙な場所で、登山口も至極わかりにくかったんだよね。記憶だと、黄色かったという印象はない。

鴻応山といえば、鴻応山型と言われる前翅が特徴的な異常型が出ることでも知られていたね。

 
(鴻応山型♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
どこか杣山型に相通じるものがある型だ。
しかし今は絶滅の危機に瀕しており、採集禁止になっていたと思う。いや、保護活動してるから採集自粛の要請が出たのかな? 尚、岩倉のギフチョウは既に絶滅している。昔は京都を囲む山々には何処にでも居て、五山送り火で有名な大文字の「大」のとこにも居たそうだ。でも現在は花の寺(勝持寺)の上くらいにしかいない。保護してるみたいだけど、風前の灯だと聞いている。

そして64が武田尾、65は三田市、66神戸市西区、67西脇市、68加古川市となる。そして加古川辺りから西の山陽側は分布の空白地帯となっている。
そっか…。少し解ってきたぞ。電車で移動しているから武田尾と西脇市はかなり距離が離れていると思い込んでいたが、地図上で見ると、それ程でもないんだよね。

ところで「神戸市西区 雌岡山」なんて産地もあるな。六甲にもいるのか❓ えっ、いたっけ❓
でも今は取り敢えずは西脇市だ。そっちは後回しにしよう。

 
(西脇市産♀)

(同♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
♀は黄色くて、典型的な山陽型だ。♂も黄色い。図鑑の小野市の♂も黄色かったから、或いは変異は♂に色濃く表れるのかもしれない。

では兵庫県西脇市の解説はどうなっているだろう。
「三田市とよく似ているが、丸い感じの個体は少ない。京都あたりと比べると橙色斑の発達は悪くなく、黒さも薄れ、赤色紋はやや発達がよい。イエローテール型が数頭採れている。」

そういや、オラの武田尾産の画像も翅形が丸いね。尾突も短いような気がする。三田も武田尾も、大阪・京都のギフチョウの血が入っているのかもしれない。
さておき、此処にはハッキリと西脇市産は三田市産とよく似ていると書いてある。
とゆうことはTさんのコメントは正しかったとゆう事か…。

ついでだから加古川市のモノも貼付しておこう。

 
(加古川市産♀)

(同♂)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
♀が変わってる。後翅中央の黒帯の形が違うね。でも、こうゆう黒帯の型は福井県南部に結構いたな。

 

(2020.4.3 福井県南越前市)

 
北陸地方のギフチョウは小さくて黒いのが特徴だ。
でも黒くないのも珠に居たりする。

 

 
前翅の黒帯が細くて、かなり黄色く見える。こんなの黙って見せられたら、どこのギフチョウなのかワシではワカランよ。

ついでだから♀の画像も貼り付けておこう。

 

 
赤紋が上に伸びる所謂「赤上がり型」ってヤツだね。
因みにコレらは全て同じ日、同じ山で採集したものである。展翅画像は他にもまだあるけど、これくらいにしておこう。
ようは此処には色んな型がいて、バリエーション豊富なのね。この山は過去に杣山型の記録だって有るようだしね。

(´-﹏-`;)うーむ。各地の標本を見れば見るほどワケが分かんなくなってきたぞ。
結局のところ、ギフチョウって同じ産地内でも変異が多々あって、その幅も広いって事だ。あくまでも各個体群は、そうゆう傾向の特徴がある集団だとしか言えないのだ。しかも各産地の間で連続的に変異は移行している。ゆえに明確に分けれなくて、亜種が1つも存在しないのである。

一応、加古川の解説文も載せておこう。
「基本的に西脇市あたりのものと変わらない。兵庫県山陽型の西端に近い地域で、安定した兵庫山陽型を産し、紀伊半島型の後翅中央黒帯をもつ個体はまったくみられない。」

参考までに言っとくと、紀伊半島型の後翅中央黒帯をもつ個体とは、こんな奴だ。

 

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
京都府南部・三重県伊賀地方以南の紀伊半島には後翅中央黒帯、橙色班列に共通の特徴をもつ個体群が知られ、このように後翅中央黒帯に強いくびれが入る。
この個体は大阪府南河内郡岩橋山産のモノのようだ。岩橋山かぁ…、懐かしい地名だ。思えば小学生の時に自分一人で初めてギフチョウを採りに行ったのが、この地だった。当時は植林されたばかりで辺りは拓けており、絶好の環境だった。今は木が大きく育って見る影もないけどね。ちなみに此処はギフチョウを採った2番目の場所で、初めて採ったのは和歌山県の龍門山だった。龍門山のギフチョウといえば、幻のギフチョウとも言われ、標本が高値で取引されることで有名である。龍門型とも呼ばれ、わかる人にはひと目でそれとわかるギフチョウだ。

 


(出典『蝶の戸籍簿』)

 
龍門型の特徴は、後翅は紀伊半島型で前翅前縁がリング状の黄紋になる事である。これが現出する個体が多かったそうだ。
上の画像は、長年その龍門型を累代飼育されている方のもの。美しいね。何十年にもわたって命脈を繋がれてきたワケだから頭が下がる。素直に凄いと思う。

 

(出典『しっぽスターの娯楽』)


(出典『ギフチョウ88か所めぐり』)

 
次に貼付する画像は異常型だろう。後翅の中央黒帯の形が変わってる。たぶん切れ目が入ってるから、マニアの間ではCカットと呼ばれている型だろう。

 

(出典『ヤフオク』)

 
小6か小5だったと思う。オカンとハイキングの会に参加してて、頂上で弁当を食ってたら下から真っ直ぐに飛んできた。脳内にその時の映像が鮮明に残ってる。そんなとこにギフチョウがいるなんて知らなかったから、すごく驚いたのをよく憶えてる。でもボロッボロッの♀だったんだよなあ。
初めて採ったギフチョウが龍門型とは、我ながらどんだけ引きが強いねんである。実力はさしてないのにね(笑)
勿論、標本は残ってない。小学生の標本箱だからボール紙仕様で、大方ヒメマルカツオブシムシの餌にでもなって、この世から永遠に消滅したのだろう。

尚、龍門山のギフチョウは1980年代(1986)に絶滅している。
その後、誰かが別なところのものを放蝶して(註2)、現在も健在だという。しかも、それを保護までしているそうだ。謂わば北海道のキタキツネを持ってきて放ち、それを保護してるみたいなもので、ちゃんちゃらオカピーだ。

そうだ、忘れてた。
「神戸市西区 雌岡山」のギフチョウだが、そこのページのコピーがない。おそらく借りた時点で欠落していたのだろう。
一応、巻頭に標本写真があったので、それを貼付しておこう。

 
(♀)

(出典『ギフチョウ88か所めぐり』) 

 
見た目は丸いが、斑紋は西脇市〜加古川市の個体群と変わらない。いったいコレは何を意味してるのだ❓昔は六甲山地が移行地帯になっていたのか…。あっ、それは変か?

調べたら、この山は神出町にある。で、この神出町、神戸市といっても北西端にあり、何と隣接するのは加古川市と三木市で、小野市とも目と鼻の先の距離にある。つまりは六甲山地でも何でもない。拍子抜けしたよ。
でも考えてみれば、武田尾駅(宝塚市)と三田駅(三田市)に挟まれた道場駅は神戸市北区である。神戸市といえば海沿いの街のイメージしか浮かばないが、その範囲は驚くほどに広いのである。関西人でも、この事実を知ってる人は少ないだろう。
一応、道場にも極めて少ないながらもギフチョウはいる。つまり此処で採れば、ラベルは神戸市産のギフチョウと相成るワケだ。そういやプーさんが必死に探してたなあ…。そっか、プーさんって神戸市民だもんね。だとしたら理解できる。オラだって大阪市ラベルのオオムラサキがいたら、採りに行くもんね。

何かこのままだとオチのない話でグダグダで終わりそうだから、小太郎くんに教えを請いました。
彼曰く。
「微妙な違いは感じますが、兵庫県中南部のヒメカン(ヒメカンアオイ)食いは基本似たようなもんかと。武田尾は少し北摂っぽい顔が混じるという人も居ますが、基本は兵庫県瀬戸内海側地域の顔ですね。」
との事。さすが小太郎くん、的確な説明である。そっか、そういや武田尾もヒメカン食いのギフチョウだったわさ。食いもんが同じならば、見た目が似るのも納得だ。
勉強なりました。あざーすm(_ )m
でもってTさん、ゴメンナサイm(
_)m

とは言いつつも、西脇市や加西市のギフチョウが武田尾や三田のものよりも明るいと感じたのは確かだ。だから自分的には間違ってないと思う。多分に感覚的なものだけど、微妙な差異を感じるのは大切な事だろう。違和感を感じたからこそマホロバキシタバの発見に繋がったワケだし、クラシップス(クラシペース)ジャコウアゲハやパラドクスマネシアゲハ等々も採れたワケだからね。これからも、そうゆう感覚は失わずに大切にしていこうと思う。

 
(註1)ヒメヒカゲとウラギンスジヒョウモン

【ヒメヒカゲ】

(2009.6.14 兵庫県小野市)

 
ジャノメチョウの仲間で、日本では中部地方と中国地方〜兵庫県西部の一部にのみ分布する。主に湿地草原に棲息するが、各地で急速に数を減らしており、絶滅した地域も多い。

 
【ウラギンスジヒョウモン】

(2009.6.14 兵庫県小野市)

 
タテハチョウ科のヒョウモンチョウの1種。 
北海道、本州、四国、九州に分布する。
このチョウも数を急速に減らしている。今や近畿地方では確実に見られるのは兵庫県西部の一部のみだろう。

(註2)その後、誰かが別なところのものを放蝶して
噂では、導入されたのは奈良県御所市の大和葛城山のものが有力だとされている。尚、現在は大阪府側も含めてこの山の個体群は採集禁止になっている。

 
追伸の追伸

この日に採った蕨(ワラビ)はおひたしにした。

 

 
椎茸を出汁でサッと煮たものと混ぜて、一晩おいたものも作った。

 

 
今まで椎茸とのコラボの発想はなかったけど、やってみると合うね。旨いわ。

翌日は更に竹輪を加えてみた。

 

 
中々に旨いぞ。これも意外と合う。但し、チープな感じになっちゃうけど(笑)。竹輪を入れると、どうしてああも庶民的な食いもんになっちまうんだろう❓竹輪にトリュフとかキャビアを乗せた図を想像してみたけど、そんなの高級レストランや料亭で出てくるワケないよね。居酒屋でも無いとは思うけどさ。

で、最終的には京揚げを加えてクタクタに煮てやった。

 

 
クタクタにしたのはシャキシャキの食感に飽きてきたので、ヌルズルにしたかったのである。味も少し味醂を加えて、やや甘くしてみた。
これはこれで旨かったと記憶してる。

 

2019年の空たち 夏・秋冬編

 
前回の続き夏・秋冬編である。

 

 
6月9日。
生駒山地・枚岡展望台からの空だ。
多分この日はフシキキシタバ(註1)を採りに来たのだろう。

 
 

 
6月29日。
戒壇院側から見た奈良・東大寺。
空は曇っているが、巨大なる東大寺の圧倒的存在感の前には関係ござらん。裏やサイドに回ると人も少ないので、その存在感に浸れるからお薦めでやんす。

 
 

 
7月4日。
三重県熊野市のとある場所に灯火採集に行った。
天気予報では曇り時々小雨と云う絶好のコンディションだったが、途中から月が出てきて惨敗。
同行の小太郎くんには「もー、こんなところでスーパー晴れ男の力を発揮しないで下さいよー(・3・)」と言われたよ。
恨めしい空だったが、山奥で見る月は幻想的で美しかった。

 
 

 
7月20日。
近鉄奈良駅を出ると物凄い夕暮れになっていた。
今年一番の夕暮れは❓と尋ねられれば、即座にこの日の凄惨なまでに美しい空を挙げるだろう。

 
 

 
8月1日。
神戸市須磨区。
海と空のある風景は心のオアシスだ。いつだって心が和む。

 

 
クロシオキシタバ(註2)詣も三年目に入った。
でも何故か1頭も現れず、神戸の夜景が慰めてくれたんだったね。

 

 
8月9日。
長野県開田高原。神々しいまでの荘厳な空だった。
巨大な雲の建築物から幾つもの天国への階段が架けられている。
レンブラント光線は、誰しもの心を洗う。

 
 

 
8月18日。
大阪・難波界隈。黄色と青のコントラストが美しい。

 
 

 
8月27日。
難波界隈。
この、夜の帳が下りるまでの僅かな時間の空の色が好きだ。
淡い青の透明感が心をスーッと楽にさせてくれるのだ。

 
 

 
9月3日。
難波界隈。
夕暮れは快晴よりも適度に雲がある方が美しい。光を反射した雲が様々な色に染まるからだ。

 
 

 
9月6日。
長野県松本市・新島々駅前近く。スイカおやじが青空にすっくと立つ姿にフッと笑みがこぼれた。

 
 

 
空が強烈に青い。

 

 
そこから島々谷へと移動した。往年の蝶の名産地だ。蝶採りを始めて間もない頃はよく訪れたものだ。ここで初めて憧れのキベリタテハを採ったんだよね。

 
【キベリタテハ】

(2009.9月)

 
そういえばシータテハやツマジロウラジャノメ、カラスシジミなんかも此処で初めて採った。
だが人が入らないせいか、道は荒れている。キベリタテハもシータテハの姿もなかった。ただ、ただ青と緑が眩しかった。

 

 
さらに乗鞍高原へと移動。
いつの間にか青空は消え、空は曇に包まれていた。
女郎花(オミナエシ)の花が、時折風に揺れていた。
まあ、お陰で目的のムラサキシタバ(註3)も採れたけどね。小太郎くんに言われたから日中は晴れ男パワーを発揮し、夕方から曇を願うようにしたら、最近はその通りになるようになってきた。天気をコントロールできる男なのだ(笑)。
我ながら不遜な物言いだよなあ…。まあ、偶々だとは思うけどね。

 
 

 
9月13日。難波界隈。
壮絶な夕暮れだ。夏から秋へと移る頃の空が一番ダイナミックなような気がする。

 

 
10月1日。
難波界隈。この日は十五夜。
月を見るのは好きだ。
空を眺めることを忘れない人でありたいと思う。

 
 

 
10月31日。
堀江界隈。近所に住むサッちゃんと公園で酒盛りしてた。
ベンチから、ふと見上げると藤棚の上に月が出ていた。

 
 

 
11月9日。
難波界隈。何となく綺麗な夕空が見られるのではないかと思って見晴らしが比較的良い場所まで来たが、どって事なかった。
今日はキレイなんじゃないかと思っても、雲の動きは刻々と変わってゆくので、おいそれとは簡単には読めないのだ。
綺麗な夕日と会えるのはタイミングであり、偶然だと思うからこそ、有り難い気持ちになるのかもしれない。

 
 

 
12月2日。
桜ノ宮駅界隈。皇帝ダリアが凛々しく咲いていた。いい具合に電車も走ってきたので、パチリ。
空気が冷えてきたせいか、空はキリッと締まっている。

この日は遅ればせながら、クロマダラソテツシジミ(註4)の低温期型を探しに行った。しかも難波からママチャリで。
食害の痕跡は沢山あったが、蝶の姿は無かった。

 

 
中之島中央公会堂。
そのまま大川沿いに走ってきたら、突然出てきたので驚く。この位置から公会堂を見るのは初めてかもしれない。

 
 

 
12月5日。
大阪市生野区御幸通り商店街。初冬の青空は高い。
この日もクロマダラソテツシジミ探し。またチャリで今度は八尾まで行った。桜ノ宮でも難波からそれなりの距離があるが、八尾までとなると、もうサイクリングの域だ。
しかし食害痕は沢山あるものの、やはり姿なし。
その帰りにコリアンタウンの御幸通り商店街に寄ったのだ。
通りはコロナなんか関係ないと云うくらいに人でごった返していた。しかも大半は女性。年齢も十代と思われる娘からオバサンまでと幅広い。

 

 
何でかというと、どうやら韓流ドラマの大ヒット作『愛の不時着』の影響らしい。15年程前だろうか、当時の彼女と訪れた時は寂れた商店街だったのにね。
そういやキムチを買おうとして、量が多いから半分にしてくれとお頼み申したら、韓国人のオバハンに物凄い剣幕でメチャクチャ叱られた。半分だと❗❓、てめぇフザけんじゃねぇよ❗❗みたいな感じで烈火の如く💢キレられたのだ。こっちは客なのに何でそこまで怒られてるのかワカンなくて、マジで涙が目の端に溜まったよ。たぶん今まで女性に此処までボロカスに叱られた事が無かったからだろう。その後、今の今まであんなに叱られたことは無い。
でもって結局、白菜丸々1個のキムチを買わされて帰った。
まあ、でもそのキムチが人生で一番旨いと思ったキムチかもしれない。だから、それほど嫌な思い出ではない。

                        おしまい

 
追伸
そして、前編冒頭の画像へと続く。

 

 
空が写ってる写真なんて、そんなに多くはないと思ってたが、意外と多かったので2回に分けた。

この後、一部を除き消去したが、はたして供養になったのだろうか…。

 
(註1)フシキキシタバ

(2019.6 )

和名は最初に富山県伏木で採集された事に由来する。昔は大珍品だったが、灯火にはあまり誘引されず、樹液に集まる事が分かってからは、それほど珍しいものではない事が判明した。
価値は下がっても、鮮やかなオレンジ色の領域が広くてキシタバ類屈指の美しい種だと思う。
詳細は当ブログのカトカラ元年シリーズの記念すべき第一作『不思議のフシキくん』と、その続編に書いてあります。

 
(註2)クロシオキシタバ

【♂】

(2018.7月 神戸市)

主に西日本の沿岸部に生息する。
拙ブログに『落武者源平合戦』と、その続篇『絶叫、発狂、六甲山中闇物語』があります。

 
(註3)ムラサキシタバ

【♂】

(2019.9月 松本市)

主に東日本の標高千メートル前後以上に見られる美麗蛾。
大型で且つ美しく、そこそこ珍しいので人気が高い。関西では極く一部にしか生息してないので、より憧れ度は強い。
そのせいか当ブログではムラサキシタバについては『2018’カトカラ元年 プロローグ』『2019’紫への道』『憤激の蒼き焔(ほのお)』『パープルレイン』『紫の肖像』と5篇も書いた。

 
(註4)クロマダラソテツシジミ

【低温期型♀】

(2018年 和歌山県白浜)

本来は日本には生息していなかった蝶だが、2000年代に入ってから台湾かフィリピン辺りから沖縄に飛んで来て爆発的に増え、本土でも珠に発生するようになった。しかし関西では寒さに耐えきれず、冬を越せずに死滅する。

アメブロの方の「蝶に魅せられた旅人」に『2016’ツマグロキチョウとクロマダラソテツシジミ』と題して書いた。

 

2020’Xmas🎄の献立(3)赤目芋と鶏の肝煮

 
クリスマスの献立第三弾である。

今日のメインの酒はシャンパン(スパークリングワイン)だから、鶏肝をペースト状にしてパテか何かにしようと思った。
けど、考えてみれば邪魔くさいし、和食にも合うスパークリングっていうんだから、手抜きする事にした。

 

 
鶏の肝煮である。
作り方は簡単。

①肝を軽く水洗いする。
鍋に肝、水、だしの素(昆布かつお)、酒を入れて火にかける。ちなみに鶏の肝は牛や豚のレバーと違って臭みはないから、牛乳なんぞに漬けなくともよい。

②火が通ったら、仕上げに醤油と味醂を加えて火を消し、冷ます。しばらくおいて味を馴染ませたら、粉山椒を振って葱を散らして出来上がり。

(☆▽☆)旨いっ❗
コチラもスパークリングワインとの相性は抜群だ。
我ながら天才じゃないかと思う(笑)。

 

 
スパークリングワインは、モマンドール・エクストラドライ。
値段は680円。値段のわりには旨いと思う。辛口で料理の邪魔をしない。

続けて、赤目芋。
赤目芋と云う名前を知っている人は少ないだろうけど、里芋の仲間である。
(°o°)あー、でも芋の写真を撮り忘れた。なので、画像をお借りしよう。

 

(出典『たべるご』)

 
こうして芽が赤いのが特徴なので、本当は「赤芽芋」と書くのが正解だろう。でも「赤目芋」と書いてあるケースが多いような気がする。他に「大吉芋」なんて呼称もあるが、これは「赤目大吉」という品種があるからかもね。あっ、赤目芋の名称もコレの影響が大かもしれんね。この品種が主流みたいだしさ。

作り方は以下のとおり。例によって調味料は目分量だ。

①先ずは芋の皮を剥く。で、塩を付けて擦する。したら、鍋にそのまま入れて、水(できれば米の研ぎ汁)から下茹でする。これは最初から出汁で煮ると味が入りにくいからだ。串を刺して中まで火が通ったことを確認したら、火を切って煮汁を捨て、軽く水で芋を洗う。

②あとは芋を出汁で煮るだけだ。
出汁は鱧を湯引きした時の煮汁に、昆布(顆粒だしでも可)を入れたものがベースだ。そこに芋、酒ドバドバ、味醂少々、薄口醤油を適当に入れて、さっき言い忘れたけど圧力鍋で煮る。その方が時短になるし、芋がふっくらと仕上がるのだ。

三つ葉を添えて完成。

 

 
(☆▽☆)旨いねぇ〜。柔らかくてホクホクじゃよ。
身質は里芋と比べて粉質でヌメリが少ない。食感はどっちかというと海老芋とかに近いかも。
問題は泡との相性だ。マッシュルームや鶏の肝との相性に心配はなかったが、はたして里芋なんぞに合うのかね❓
すかさず、スパークリングワインを飲む。

✌️(≧▽≦)イケますぅー❗
全然、相性大丈夫っすー。

肝心な事を言い忘れたが、赤目芋の正式名称はセレベス。
昔、日本に帰化したセレベス侯爵が故郷のホゲメネラ王国を懐かしく思い、母国から送らせたものが日本に定着した…。
と云うのは真っ赤なウソでぇー、名前の由来はインドネシアのセレベス島から伝わったとされるからだ。補足しておくと、セレベスは昔の呼び名で現在はスラウェシ島と呼ばれている。
スラウェシといえば、ウォーレシアとも呼ばれ、東洋区とオーストラリア区の間に位置し、島の両側に生物境界線のウォレス線とウェーバー線が引かれている。で、そこにいる生物は変と云うか不思議な進化をしていて、興味深い。

 

(出典『蝶の百科 ぷてろんワールド』)

 
赤いのがウォレス線でオレンジがウェーバー線。
何で2本あるのかというと、最初にウォレスさん(註1)が提唱して、のちにウェーバーさんが淡水魚の分布から『ウォレスさん、アンタそれちゃいまんでー。』と新たな境界線を引いたってワケ。
でもこれはどちらかが間違ってるというワケではなくて、どちらも正しい。どういう事かというと、ある種の生物はウォレス線を境に分布しなくなるけど、別な生物はウェーバー線を境にいなくなるって事だね。だから、明確に1本の線は引けないって事なのさ。
現在ではウォレス線の西側は東洋区、ウェーバー線の東側はオーストラリア区の生物が生息すると云う事で落ち着いているようだ。で、スラウェシ島には東洋区の蝶もオーストラリア区の蝶もいるんだけど、これは最近の研究では東洋区の島とオーストラリア区の島が💥ガチンコで合体して出来たかららしい。
その後、何千万年か何億年かは知らんが、長い年月を経て生物相が融合し、独自に進化していったのではないかと言われているようだ。
実際、スラウェシ島の蝶はとっても変だ。同じ種類でもなぜか他地域のものよりデカくなる傾向があり、翅が尖んがって湾曲化する傾向も強い。あと、黒化といって翅が黒っぽくなる種類も多いのだ。何でそないなるかは、学者はんらも説明できないみたい。

日本にもいるアオスジアゲハは、東アジア〜東南アジア、オーストラリアにもいて、スラウェシの西側、たぶん隣のボルネオ島にもいる。

 
【アオスジアゲハ】

 
前述したようにオーストラリアにもいるから、どちら側からかは分からないが(とは言っても多分アジア側からだろう)、スラウェシに侵入して独自進化してミロンタイマイになったんじゃろうね。

 
【ミロンタイマイ】

(2013.1 バンティンムルン)

 
そういや並べた画像もあったな。

 

 
ねっ、巨大化して前翅が湾曲してるざましょ。
黒化とはまた違うが、青緑の紋も減退していて黒っぽい。

スミナガシも巨大化&湾曲化している。

 
【Dichorragaia nesimachus pelurius】

(2013.1 タナトラジャ&palopo)

 
下のデカいのは、裏展翅である。
それにしても、何で裏展翅なんかしたんだろう❓こんなデカい個体を裏展にするなんて勿体ないよなあ。上の小っちゃいのを裏展にすべきだった。アンテナも気に入らんし、ひっくり返して展翅しなおしてやろうか❓でも、めんどくせーなあ。
今思えば、最初からもうちよっと考えて展翅しておくべきだった。相変わらず、なあ~んも考えていないんである。

フラッシュを焚いたら、こうなった。

 

 
うわっ(;゜∇゜)、色と斑紋にメリハリがスッゲーついた。
光をあてると、こんなに複雑な色柄なんだ…。
おそらくペルリウスっていう亜種だと思うが、やっぱさすがスラウェシ島である。スミナガシもかなり変わっている。巨大化&前翅湾曲の所謂(いわゆる)スラウェシ仕様の特徴を具現化していらっしゃるのだ。こんなに変わっててカッコイイなら、もっと真面目に採るべきだったなあ…。とは言いつつも、珠に見る程度だったけどさ。スミナガシはアジアに広く分布してるけど、日本みたく沢山いるとこは見た事がない。何処でもレアなのだ。

リュウキュウムラサキの仲間にも巨大化した奴がいる。

 

(2013.1 タナトラジャ)

 
下の奴だけど、名前はディオメアムラサキだったかな。場所はタナトラジャだったと思うけど、コレはカッコイイからもっと採りたかった。ちなみに上は比較用のリュウキュウムラサキだす。

 
他にもオビモンアゲハ、アオネアゲハ等々が巨大化&湾曲化している。

 
【ギゴンオビモンアゲハ】

(2013.2 palu)

 
模様はオビモンアゲハと殆んど変わらないが、バカでかい。
オビモンアゲハとは別種だとされているが、どう考えてもオビモンアゲハが進化したものだ。

 
【アオネアゲハ】

(2013.2 palu)

 
コチラも巨大化が著しいが、別種ではなく、亜種扱いになっている。補足しておくと、青色の部分は本当は緑色。光の当たる角度によっては、こうゆう風に青色にも見えるのだ。

 
【アンドラノドルスオナガタイマイ】

(2013.1 palu)

 
模様はオナガタイマイとソックリだが、コチラもアホみたいに大きくて王者の風格がある。
アンドラノドルスは美しい。川の真ん中の水面スレスレを飛ぶ姿は優美にして優雅だ。
だが、優雅とはいっても速いし、岸辺には寄って来ないから採るのは大変だった。

 
【ミリナハレギチョウ】

(2013.1 タナトラジャ)


(2013.1 バンティンムルン&タナトラジャ)

 
ハレギチョウもスラウェシでは湾曲化&巨大化してる。
上は南部のもので下は中部のもの。北に行けば行くほど青くなってゆき、北部では青色になる。で、たぶん別亜種になるんじゃなかったかな。
他には、ベニシロチョウが巨大化プラス翅先トンガリになったオオベニシロチョウなんかも典型的な例だろう。画像は撮ってないから無いけど。

巨大化はしていないが、前翅は湾曲しているのも結構いる。

 

 
左上はシロモンチャイロイチモンジで、右上はクロクモイチモンジ。下はセレベスアサギゴマダラかな。
シロモンもそうだけど、クロクモの湾曲が激しいね。

 

(2013.1 タナトラジャ)

 
また、このように湾曲プラス擬態関係に有りそうなモノも数多くいるから楽しい。
上がユベンタヒメゴマダラで下がイスマレカバマダラ。両方ともマダラチョウの仲間で、おそらく互いに毒があるからミュラー型擬態だね。ようは、こうゆう柄のチョウは毒があると天敵に刷り込ませる機会を増やす作戦だね。
あっ、たぶん前の画像の中のセレベスアサギゴマダラも、おそらくマダラ系の奴に擬態しているものと思われる。

 

(2013.1 palopo)

 
右が、たぶん毒のあるマダラチョウだろう。左は無毒のヒカゲチョウの仲間だ。コチラは毒の無いモノが毒のあるモノに似せるというベイツ型擬態だね。先程、言及したセレベスアサギゴマダラも、このベイツ型にあたる。
このヒカゲには完全に騙された。横から飛び出してきた時は普通種のマダラチョウだと思ったが、咄嗟だったので体がつい反応して、瞬間的に思わず網を振ってしまったのだ。で、網の中を覗いてみて、何じゃこりゃ❓だった。
名前、何だったっけ❓
あっ、そうだ。確かインケルタダマシヒカゲだ。えーと、えーと、もう一つはねー、ビトレアヒメゴマダラだと思う。

そういやブルメイもオビクジャクアゲハが巨大化したものだったよな。

 
【フィリピンオビクジャクアゲハ】

(出典『蝶の標本 麗蝶』)

 
オビクジャクアゲハ(ルリオビアゲハ)はマレー半島で採ってるけど、ボロばっかなので展翅写真を撮ってない。なワケで画像を探したけど、ロクなのが無い。とゆうワケで、ソックリさんのフィリピンオビクジャクの画像を貼付した。それに、この方の展翅はキレイだからね。

ブルメイはオビクジャクと比べて馬鹿デカく、倍近くあるイメージが残っている。

 
【ブルメイアゲハ(オオルリオビアゲハ)】

(2013.1 palopo?タナトラジャ?)

 
タナトラジャでも採ったけど、コレは♀だから多分パロポ産だろう。
そういやタナトラジャからパルまでローカルバスで移動したんだけど、アレはスーパー地獄だった。エアコンどころか扇風機も無いオンボロバスで、しかも超満員で何故か現地のガキがずっとワシの膝の上に乗ってた。で、パルに着いたのは25時間後。オマケに郊外だった。そっから更にバイタク(バイクタクシー)の糞コスい親父と交渉して市内まで行った。もう、泣きっ面に蜂だったよ。
スラウェシ島ってデカいんだよね。確か世界で11番目に大きい島だった筈だ。

辛いことだらけの旅だったけど、スラウェシには、また行きたい。固有の凄い蝶がいっぱいいるのだ。
スラウェシには、およそ557種類の蝶がいて、日本の倍以上の蝶が生息するが、それでも隣のボルネオ島に比べて少なく、反対に1/2倍以下の種類数しかいない。しかし固有種は全体の約45%を占め、その割合は極めて高い。だから面白い。固有種ではなくとも分化が進んでおり、見る蝶、見る蝶が変なのだ。
また、マダラチョウ類の分化が激しく、38種もいて、世界でも有数なマダラチョウのホットスポットとなっている。

 
【コグナトスフタオ】

(裏面)


(2013.1 palu)

 
コグナトスは裏面がカッコイイ。表も悪くないけど、この複雑怪奇な柄が素晴らしい。

 
【アマンダベニボシイナズマ】

(2013.1 バンティンムルン)

 
アマンダもベニボシイナズマの中では、デカい(特に下の♀)。
♂は糞速くて、マッハで飛ぶ。

 
【タンブシシアナオオゴマダラ】

 
怪蝶だ。オオゴマダラの仲間は皆デカい巨人軍団だが、一番デカいバケモノ。これは自分では見た事も採った事もないから、いつか大空を飛ぶ姿を見てみたい。

 
【マルスフタオ】

 
フラッシュを焚くと、こんな感じ。

 

 
下翅のオレンジは傾けるとピンク色になる。幻光色なのだ。
軍神マルスも自分で採ってない。この2つとジョルダンアゲハは採ってないから、やっぱスラウェシには、もう1回行かないとね。

(ㆁωㆁ)あっ、しまった。大脱線じゃよ。
やっぱり虫の事を書き始めると長くなるわ。

芋の話に戻そう。セレベスは親子兼用品種で、親芋、子芋共に食用になり、子芋も大きく、収量が多い事でも知られている。

セレベスの旬は、秋から冬。9月中旬頃からけ1月頃まで出荷されます。食べ頃の旬は11月から12月。
まだ間に合うから、里芋好きは見つけたら買いですぞ。

                         つづく

  
追伸
大晦日だというのに、クリスマスの話を書いているのである。しかし、まだ話は続くのである。

書き忘れたけど、黒化する代表はスジグロカバマダラなんかが代表だ。画像は無いけど、オレンジの部分が黒ずむ。

 
(註1)ウォレスとウォレス線

アルフレッド・ウォレス[1823-1913]
イギリスの探検家。1854年から1862年にかけて東南アジアで生物の研究をしている折り、海峡を境に生物の特徴が変わることに気づき、インドネシアの動物の分布を二つの異なった地域に分ける分布境界線、ウォレス線を特定した(1868年)。生物地理学の父と呼ばれることもあり、ダーウィンとは別なアプローチで自身の自然選択を発見し、ダーウィンに理論の公表を促した。一説によれば、功を焦ったダーウィンが慌てて『進化論』を発表したとも言われる。
今日(こんにち)では、自然選択説の共同発見者であると同時に、進化理論の発展のためにいくつか貢献をした19世紀の主要な進化理論家の一人とされる。その中には自然選択が種分化をどのように促すかというウォレス効果と、警告色の概念が含まれる。
なお、ウォレス線の定義はバリ島とロンボク島(ロンボク海峡)、ボルネオ島とスラウェシ島、ミンダナオ島とモルッカ諸島からスラウェシ島の西側、マカッサル海峡を通り東に走り、フィリピンのミンダナオ島の南に至る線である。

一方、オランダ人の母とドイツ人の父を持つ動物学者マックス・ウェーバー[1852-1937]は貝類や哺乳類の分布の違いを基準に1902年にウェーバー線を提唱した。
この2つの線で生物層が異なるのは、氷期には海面が下降したからだと考えられている。海面下降により、東南アジア半島部からボルネオ島、バリ島までの一帯がスンダランドと呼ばれる陸続きとなっていた。同様に、パプアニューギニアとオーストラリアはサフルランドを形成していた。しかし、スンダランドの東側とサフルランドの西側は陸続きにはならなかったことから、それぞれの生物が交流する事なく独自に進化し、その状態が現在に至るまで続いていると云うワケ。

参考までに言っとくと、ウォレスについてはアメブロのブログ(蝶に魅せられた旅人)に『古代ギリシャの七賢人』と題して書いてる。
またスラウェシのスミナガシに関しては、同じくアメブロの捕虫網の円光シリーズに『墨流し』の回で触れている。

 

2019’カトカラ2年生 其の1 第五章

 
 No.18 アサマキシタバ(5)

『シュタウディンガーの謎かけ』

 
いよいよ最後は解説編です。
えー、今回も石塚勝己さんの『世界のカトカラ(註1)』の画像を借りまくりまする。石塚さん、いつもスンマセン。

 
【アサマキシタバ♂】

【同♀】

【♂裏面】

【♀裏面】

 
【分類】
ヤガ科(Noctuidae)
シタバガ亜科(Catocalinae)
シタバガ属(Catocala)

属名は、愛好家の間ではシタバガ属と呼ばれることは殆んど無く、学名そのままの「カトカラ」が通称となっている。

 
【学名】Catocala streckeri Staudinger, 1888

記載者はドイツ人の昆虫学者・蒐集家・標本商のオットー・シュタウディンガー(Otto Staudinger)であろう。
シュタウディンガーは日本の蝶だと、ウラジロミドリシジミ、アイノミドリシジミ、ヒロオビミドリシジミ、オオゴマシジミの学名の後ろに其の名があるから、ゼフィルス好きの人なら馴染みがあるだろう。

属名「Catocala」の語源は、ギリシャ語の「Cato=下」と「Kalos=美しい」を合わせた造語である。
小種名「streckeri」は、頼みの綱である平嶋義宏氏の『蝶の学名−その語源と解説−』には残念ながら載っていなかった。ようするに「streckeri」と云う学名がついてる蝶はいないようなのだ。
と云うワケで、今回は自力で語源を探(さぐ)るしかない。

小種名「streckeri(ストレッケリィ)」は、おそらく誰かに献名されたものだろう。
なぜなら、人名っぽい「strecker」と云う語尾に「i」が付いているからだ。学名の命名規約上では誰かに献名する場合には、男性だとその名前の語尾にラテン語の属格の「〜i」を付けることが慣わしになっているからである。
だとするならば、問題は「strecker」とは誰かと云うことだ。

最初に候補として考えたのが、ドイツ人化学者のアドルフ・シュトレッカー(Adolph Friedrich Ludwig Strecker)である。
昆虫学者ではないが、シュタウディンガーとは同じドイツ人同士だから何らかの関わりがあったかもしれないと考えたのだ。
まずはシュタウディンガーの生没年だが、西暦1830〜1900年となっていた。シュトレッカーは、1822〜1871年だった。つまり、二人はほぼ同時代に活躍している。であるからして、可能性はある。
しかし、ここで重大な事に気づく。アサマキシタバの記載年は1888年なのだ。まさかのシュトレッカーは既に没しているのである。没後に献名された可能性も無いではないが、没後17年も経ってからの献名は考え難(にく)い。もし二人の親交が深ければ、死んでから時を経ずして献名されていて然りだからだ。
もしかして、シュタウディンガーは1871年から1888年の間に何にも記載していないのでは❓とも考えたが、調べたら、そんなことは全然なかった。結構、この間も蝶や蛾を記載しているのである。A.シュトレッカーの可能性は低いだろう。
😓あ〜あ、ふりだしに戻っちゃったよ。

全然関係ない話だけど、このシュトレッカーの没日は11月7日。この日は、著名な博物学者であるアルフレッド・ウォレスと松村松年が亡くなった日でもある。シュトレッカーはどうでもいいけど、ウォレスと松村松年が同じ日に亡くなったというのは感慨深いものがある。

取り敢えず、他に学名に同じ小種名が使われているものはないかと探してみた。そこから、語源を追えないかと思ったのである。
検索すると「Ficimia streckeri(メキシコフックノーズスネーク)」という蛇がトップに出てきた。
そこからさぐってゆくと、John Kern Strecker junior(ジョン・カーン・ストレッカー・ジュニア)という人物にヒットした。
英語版の Wikipedia を意訳してみる。

ジョン・カーン・ストレッカーは、1875年にイリノイ州で生まれ、13歳でテキサス州ウェイコに移住した。彼の主な関心は爬虫類、特にヘビだった。そして、18歳の時にベイラー大学の博物館のキュレーターとして雇われる。その後、彼は直ぐに各地を旅して博物館の標本収集を始める。彼は鳥、哺乳類、軟体動物、爬虫類、両生類に関する学術論文を発表し、1933年に死去するまで多くの新聞や雑誌の記事を書いた。

いくつかの爬虫類が、彼に因んで名付けられている。

・Ficimia streckeri(メキシコのヘビ)
・Pseudacris streckeri(カエル)
・Sistrurus miliarius streckeri(小型のガラガラヘビ)

 
J.K.ストレッカーは博物館の標本収集をしていたワケだから、昆虫も集めていた可能性はある。だから、この人に献名されたかもと思ったが、生没年的にそれは無さそうだ。1875年に生まれているから、アサマが記載された時はまだ13歳だ。いくらなんでも子供に献名はせんじゃろう。100%と無いとは言い切れないが、確率は極めて低い。他をあたろう。

色々調べていると、新たな鉱脈にブチ当たった。
驚いた事に、シュタウタウディンガーは、アサマキシタバの記載以前にも別な蛾に同じ小種名を付けている。
Kentrochrysalis streckeri(Staudinger, 1880)というロシア原産のスズメガの仲間だ。

 


(出典『http://tpittaway.tripod.com/china/k_str.htm 』)

 
補足すると、記載者と記載年が()括弧で括られているように、属名はシュタウディンガーの名付けたものとは変更になっている。元々の属名は「Sphinx(スフィンクス)」だ。個人的な好みとしては、コチラの方が圧倒的にカッコイイなと思う。

それにしても、同じ人に二度も献名したってことなのかな❓ならば、よほど懇意にしていた人物か…❓

また、この学名はサボテンにも付けられている。しかし、そこからも語源には辿り着けなかった。
何か、どんどんアサマキシタバの話から離れていってるような気がするが、もうここまできたら意地だ。納得いくまで調べてやろう。

延々調べてると、以下のような文を見つけた。

『GrrlScientist
A century of butterflies and moths

Collection Manager Jim Boone takes us on a tour through the Field Museum’s Herman Strecker Moth and Butterfly Collection
GrrlScientist

Historically, insect collecting was (and still is) a widespread and very popular educational hobby. But the earliest insect collectors weren’t professional entomologists — they were hobbyists.

Herman Strecker was a sculptor who lived in Pennsylvania from 1836 to 1901. But his art was not what gave him lasting fame. Instead, it was his hobby. Beginning when he was a teenager, Mr Strecker collected and studied butterflies and moths. Swapping specimens with scientists and specialists around the world brought him into contact with some of the most notable people of his day, such as Grand Duke Nicholas of Russia. Although considered an amateur by today’s standards, Mr Strecker named and described 251 different species of butterflies and moths, mostly in a book he illustrated and published in parts from 1872 to 1900. By the time he died, Mr Strecker had amassed the largest and most important collection of butterflies and moths in the Americas, comprising more than 50,000 specimens. In 1908. the Field Museum in Chicago purchased this collection along with several thousand letters between Strecker and other leading naturalists of the day.

In this interesting video, Collection Manager Jim Boone tells us a little about the history of the moth and butterfly collection held by the Field Museum in Chicago and shows us some its most interesting specimens.』

ざっくり訳すと、こうだ。

『GrrlScientist(進化生態学者・鳥類学者・科学作家・ジャーナリスト)
ー蝶と蛾の世紀ー

コレクション蒐集マネージャーのジム・ブーンが、フィールド博物館のハーマン・ストレッカーの蝶と蛾のコレクションの旅に御案内します。

歴史的に、昆虫の採集は広く普及しており、非常に人気の高い教育的趣味でした。しかし、初期の昆虫採集者は専門家の昆虫学者ではなく、愛好家たちでした。

ハーマン・ストレッカーは1836年から1901年までペンシルベニアに住んでいた彫刻家でした。しかし、彼の芸術作品は永続的な名声を得ることはありませんでした。
その一方で、彼は10代の頃から蝶や蛾を収集、研究しており、標本を世界中の学者や専門家と交換することで、ロシアの大公ニコラスなど、世界中の著名な専門家たちとも親交がありました。
ハーマン・ストレッカーは、現在の基準ではアマチュアと見なされますが、251種類の蝶と蛾に名前を付け、その殆どを1872年から1900年にかけて部分的に出版した本で図示、解説しました。
彼が亡くなった時には、その標本は5万点を超え、アメリカ大陸で最大かつ最も重要な蝶と蛾のコレクションとなっていました。シカゴの自然史博物館は、1908年にこの重要なコレクションを購入しました。また、ストレッカーと当時の他の主要な博物学者との間で交わされた数千通の手紙も得ました。

この興味深いビデオでは、コレクションマネージャーのジム・ブーンが、シカゴ自然史博物館が開催する蛾と蝶のコレクションの歴史について少しお話し、最も興味深い標本をいくつか紹介します。』

ハーマン・ストレッカーの生没年(註2)はシュタウディンガーが生きた時代とも被るから、アサマキシタバの学名はこの人に献名された可能性はある。アメリカ人だと云うのが気になるが、世界的なコレクターだったから、シュタウディンガーと親交があった可能性は高い。だいちシュタウディンガーは世界有数の標本商でもあるのだ。ストレッカーは、その良いお客さんだったに違いない。となると、上客に対する御機嫌とりに献名されたとか、そうゆう可能性は充分あるんじゃなかろうか❓
また、ストレッカーはロシア大公とも親交があったと云うのもアサマキシタバとの関連性が考えられる。おそらくかアサマの記載に使われたタイプ標本はロシア南東部のものだから、大公からストレッカー、もしくはシュタウディンガーの手に渡ったのではあるまいか❓

まあ、これは全てオラの勝手な想像だけどね。
だから、間違ってたら御免よ。

因みに、冒頭で「strecker」と云う学名がついてる蝶はいないみたいな事を書いたが、調べたら、このストレッカー由来の蝶がいた。
「Megathymus streckeri」というバカでかいセセリチョウにも、この小種名が付いている。

 

(出典『Wikipedia』)

 
たぶん英名は「Strecker’s giant skipper(ストレッカーのジャイアントスキッパー)」。
スキッパーはセセリチョウの英名だね。ジャイアントは言うまでもないが、巨大という意味だ。
米国では、モンタナ州南東部とノースダコタ州南西部からテキサス州南部、アリゾナ州北西部からユタ州南西部にかけて見られるそうだ。

 

(出典『Butterflies of America』)

 
🤯ゲゲッ❗、6.3センチもある。
バケモンだな。

記載者と記載年は(Skinner, 1895)となっている。これも()付きなので、Skinnerが記載してから後に属名が変更になったのだろう。

更に調べを進めていくと、このセセリチョウの仲間からストレッカーが記載したものと考えられるものが見つかった。

 
【Megathymus cofaqui(Strecker, 1876)】

 
【同裏面】

(出典『Butterflies of America』)

 
ストレッカーズ・ジャイアント・スキッパーよりも、コチラの方が見てくれはいいな。所詮はセセリだから、どっちも蛾みたいなもんだけどさ。

💡ピコリン。
ここで漸くシナプスが繋がった。
セセリチョウは蛾みたいなもんだと云うことは、もしかしてストレッカーは蝶よりも蛾を中心に蒐集、研究していたのではないか❓
慌てて、石塚さんの『世界のカトカラ』を見てみる。このストレッカーが記載したカトカラも、きっと有る筈だ。

日本には、ストレッカーが記載したカトカラはいなかった。もしあったとしたら直ぐにピンときてた筈だから、期待はしてなかったけどね。
ならばと、旧大陸(ヨーロッパからアジア)に分布するカトカラを調べてみる。
だが、こちらからも残念ながらストレッカーの名前は見い出せなかった。
但し、スタウディンガーの記載がゴチャマンに出てきた。
折角だから並べちゃおう。

 
・Catocala deuteronympha Staudinger,1861 ケンモンキシタバ

・Catocala orientalis Staudinger,1877 ウラルベニシタバ

・Catocala strekeri Staudinger,1888 アサマキシタバ

・Catocala repudiata Staudinger,1888 ネズミベニシタバ

・Catocala desiderata Staudinger,1888 ナガレモンベニシタバ

・Catocala neglecta Staudinger,1888 ヒメウスベニシタバ

・Catocala optima Staudinger,1888 オプティマベニシタバ

・Catocala doerriesi Staudinger,1888 クロゾメキシタバ

・Catocala remissa Staudinger,1891 サバクベニシタバ

・Catocala aestimabilis Staudinger,1891 カシュガルキシタバ

・Catocala eminens Staudinger,1892 チョコレートキシタバ

・Catocala koreana Staudinger,1892 アズミキシタバ

・Catocala abacta Staudinger,1900 トラフキシタバ

 
こんな事やってるから、徒(いたずら)に長くなるんだよなあ…。

さてさて、お次は新大陸である。考えてみれば、ストレッカーはアメリカ人なんだから、アメリカ大陸が1番有望だ。何で北米のお化けセセリチョウの時点でピンとこなかったんだろ?
とにかく、ここにストレッカーが記載したと思(おぼ)しきカトカラが有れば、ビンゴだろう。そして、スタウディンガーと同時代に記載していたならば、アサマキシタバの小種名はストレッカーに献名されたものと断定してもいいだろう。

ワクワクしながら、ページに目を通す。
w(● ̄0 ̄●)wワオッ❗、いきなり1つ目から「Strecker」の文字が目に飛び込んできだ。

アメリカオニベニシタバ Catocala aholibah Strecker,1874 とある。記載年もスタウディンガーの活躍した時代とピッタリ合う。
以下、ストレッカーの記載らしきものが続々と出てきた。

 
・Catocala obscura Strecker,1873 クラヤミクロシタバ

・Catocala agrippina Strecker,1874 アグリピナクロシタバ

・Catocala judith Strecker,1874 ユディトクロシタバ

・Catocala ulalume Strecker,1878 ウラルメクロシタバ

・Catocala dejecta Strecker,1880 ウナダレクロシタバ

・Catocala sappho Strecker,1883 カバフクロシタバ

・Catocala herodias Strecker,1876 マエジロカシベニシタバ

・Catocala hippolyta Strecker,1874 イポリタベニシタバ

・Catocala luciana Strecker,1874 ダイヘイゲンベニシタバ

・Catocala faustina Strecker,1873 ウエスタンベニシタバ

・Catocala delilah Strecker,1874 デリアキシタバ

・Catocala amestris Strecker,1874 テキサスキシタバ

・Catocala jair Strecker,1897 ニセオビナシチビキシタバ

 
何と、14種も記載している。これはスタウディンガーの13種類よりも1つ多い。そして、記載年の殆んどがスタウディンガーよりも早い(こんな事やってるから、徒(いたずら)に長くなるんだよなあとか言ったけど、スタウディンガーが記載したカトカラを抜き出しといたのが役に立ったよ)。
記載年が早いと云うことは、カトカラの記載に於いてはストレッカーの方がスタウディンガーよりも先輩なのだ。寧ろスタウディンガーがストレッカーに教えを乞うていたかもしれない。或いは、二人は互いに切磋琢磨するライバル関係にあったのかもね。
これらの事から、スタウディンガーが尊敬の念を込めて、アサマキシタバの学名にストレッカーの名前を冠したのだろう。

                         つづく

 
追伸
(^o^;)アハハハハ。おいおい、である。
いやー(^^ゞ、まさか解説編が1番最初の【学名】の項で終わるとはね。こんなのシリーズ前代未聞だよ。ドツボに嵌まって、とんでもない大脱線となってしまったおかげで、今回で最終話になる予定が見事にフッ飛んだわ。ホント、学名で力尽きるだなんて夢にも思わなかったよ。

実をいうと、アサマキシタバの第一章と此の解説編は3月には殆んど完成していた。しかし、触角の件と生態の一部に答えが見つからなかったので、寝かせておったのだ。
改めて書き始めると、触角関連で大幅加筆になり、この解説編でも加筆する羽目になった。
「💡ピコリン。ここで漸くシナプスが繋がった…」以降の展開が、この回の新たな加筆部分である。それで、考えざるおえなくなった。この後に更に各項目の文章が続くので、これではあまりにも長いと気づき、分けることにしたのである。
次回こそ、ちゃんと解説編を完結させますんで、宜しく御願いします。

そうゆうわけで、石塚さんの画像は次回にパクリまくりになります。↙コレね。

 
(註1)『世界のカトカラ』

カトカラの世界的研究者である石塚勝己さんのカトカラ入門書にして、全世界のカトカラをほぼ網羅した図説。出版元は『(有)むし社』。

 
(註2)ハーマン・ストレッカーの生没年
Herman Streckerで検索したら、ちゃんと出てきたよ。

Ferdinand Heinrich Herman Strecker(フェルディナンド・ハインリッヒ・ハーマン・ストレッカー)
「生没年 1836.3.24 30〜1901.11.30」

どえりゃー長い名前だな。
Wikipediaによると、蝶と蛾を専門とするアメリカの昆虫学者とある。で、内容を信じるならば、どちらかというと蛾よりも蝶の研究家だったみたい。予測はハズレましたな。

若い頃からフィラデルフィア自然科学アカデミーの図書館に頻繁に出入りしていたという。興味の対象は、カリブ海、メキシコと中央アメリカの蝶だったそうな。

クソ長い名前から予想はしていたが、両親はドイツ人のようだ。或いはスタウディンガーともドイツ語でやり取りしていたのかもしれないね。
翻訳文では彫刻家としたが、実際にはニュアンス的に墓石屋に近かったらしい。
より詳細を知りたければ、Wikipediaの記事を読んで下され。

 

2019’カトカラ2年生 其の1第四章

 
  vol.18 アサマキシタバ(4)

  『ゲシュタルト崩壊』

 

翌朝、展翅しようとしてみて驚いた。
アンモニア注射した最初の1頭以外の全員が、蘇生していらっしゃったのだ。一瞬、墓から一斉にゾンビの如く這い出してくるアサマちゃん軍団の映像が浮かんだよ。
それはもう皆さん、元気、元気。毒瓶に少々ブチ込んだぐらいでは簡単には死なんのだ。恐るべき生命力である。

もう1回、1匹1匹ブチ殺すのも何か気が進まないので、そのまま2日間くらい放置していた。だが、それでもまだお元気でいらっしゃった。段々、不憫に思えてきて、逃してやりたい衝動に駆られそうになったので、全員アウシュビッツ送り。冷凍庫にブチ込んでやった。結局は悪魔の如き所業、虐殺なのである。酷いもんだ。虫屋は死んだら、全員すべからく地獄行きだな。

翌日、冷凍死体安置所から取り出し、遺体解凍を行なう。書いてて、やってる事が変態サイコ野郎だなと思う。やはり虫屋は間違いなく、全員すべからく地獄行きだな。

合掌してから展翅し始める。
しかし、憐憫の情はここまで。死んだもんは、物に過ぎない。(ΦωΦ)フフフ…、これでオスとメスの触角の長さの違いの有無が明らかになるじゃろう。

先ずはオスから。

【アサマキシタバ Catocala streckeri ♂】

(2020.5.24 大阪府東大阪市 枚岡。以下同所)

取り敢えず、触角は自然な感じに仕上げた。
しかし、展翅した後に気づく。今回は触角の長さが重要なのだ。出来るだけ真っ直ぐに伸ばしといた方が比べ易いかもしれん。

で、頑張ってみたのだが、先っちょの湾曲が直せずにどうしても完全に真っ直ぐにはならない。カトカラって生きてる時は触角が真っ直ぐなのに、何で死んだら曲がっちゃうんだろ❓ マジ、面倒くさいわ。

で、頑張り過ぎた結果、右の触角の根元が折れた(TOT)❗
カトカラの触角って細いから、すぐ切れよる。(`Д´#)ムキーッ、いまいましいざんす。
まっ、いっか。触角の長さを比べるにあたって、これくらいなら問題なさそうだ。

♂は3頭いずれも触角が長いねぇ。
目の悪い人は画像をピンチアウトして拡大してネ。

裏展翅したものも貼り付けておこう。

【♂裏面】

♂は前脚がモフモフだね。何かウサギの頬っぺみたいに見えて、ちょっと笑っちゃったよ。
今回、♂は4頭しか採れなかったのて、補足として去年に採った♂個体も幾つか並べておこう。


(2019.5月 奈良県大和郡山市矢田丘陵。以下同所)

右側の触角を見て少し短いかもと思ったが、左側を見ると矢張り長いね。
関係ないけど、♂はモフモフの前脚を思っきし出した方が邪悪度が増して好きかもしんない。

先端の細い部分が湾曲していて少し分かりづらいが、これまた長い。
最初の個体も同様だが、触角は上反りしている方が邪悪な感じがして好きかも。いや、真っ直ぐな方がいいか…。触角の調整の在り方は今でも悩みの種だ。どれが正しいのか、しょっちゅうワカンなくなる。嗚呼、もー。結局、また触角迷宮に迷い込んどるがな。

これまた先が細くて分かりづらいが、コヤツも長い。
以下、酷い展翅だが貼付しておく。

一番下の個体は左側の触角の先が切れているが、右側は切れてないから充分長いでしょう。分かりにくいから、画像を拡大してネ。
アサマの触角の先って、特別に細くねえか❓少なくとも♂はそんな気がする。他のカトカラと比べてないから、断言するのは危険だけどさ。
否、そんなわきゃないか❓早くも混乱が始まってる感じだな。

ともあれ、こうして去年の♂を並べてみても、矢張り♂の触角は長いと云う印象が強い。

さてさて、ここからが本番だ。
続いて、課題だったメスの展翅を始めよう。去年、もしかして♀の触角は♂よか短くね❓と感じた事から端を発した疑問なのだが、メスのサンプルが2、3頭とあまりにも少なかったゆえ、解決には至らなかったのだ。
その疑問の答えが、いよいよ出る。ちょいと💞ドキドキだ。

【アサマキシタバ Catocala streckeri ♀】

(゜o゜;あっ❗、短いかも。
ちなみに右触角の先は見た目よりも、もう少し長くて白いゴミの所で上に湾曲してます。そのままだとマチ針が邪魔して見えにくいので、画像を拡大してみて下され。

でも1頭じゃ、まだ何とも言えないよね。お次はどうだろ❓

これまた短いような気がするぞ。しかし、まだまだ断言は出来ない。更に展翅を続ける。

ここから先は前のスマホで撮った画像を Bluetoothで転送したものだ。最近になってスマホを買い替えたのだが、勝手に画像修整しよるのだ。上の2頭は本当はこんなに黄色くはない。もしも、こんだけ黄色ければ、カトカラ・カーストにおいて、もっと上位にランクされてもいい筈だもんね。カトカラ内におけるアサマちゃんの人気は高くないのだ。

短い。
いやはや、こりゃ♀は♂と比べて絶対に短いぞ❗
待て待て、まだたった3頭だ。検証の数としては少ない。落ち着いて次の個体へとかかる。

ハイ、これもそうだね。
さあ、どんどん行くぞ。

なぜか、どうやっても触角が真っ直ぐにならなかったけど、コレも長いとは言えないだろう。

さっきは触角の調整がままならなかったので、ムカツときた。だから、次は鬼のごたる気持ちで真っ直ぐにしてやっただよ。しかも、早くも遊び心が出て、如何にも蝶屋的な触角の角度にしてやったわい(笑)
こんだけ真っ直ぐにしてやっても短いんだから、そろそろワシの仮説の証明も現実味を帯びてきたんじゃねーの❓
へへへ( ̄ー ̄)、ゴールは近い。

さあ♀は、あと2つだ。ここは完全勝利のパーフェクトゲームといこうじゃないか。
それはちょっと言い過ぎか。もとい。完封勝利といこうじゃないか。

(・o・)へっ❓、コレって長くねえか❓
(゜o゜;えっ❗❓、(☉。☉)えっ❗❓、\(°o°)/えぇーっ❓❗
慌てて、オスの触角と見比べてみる。

(ー_ー;)微妙だなあ…。確認の為に何度も見比べる。
たぶん♂の方が長い。…ような気がする。
でも見れば見るほど微妙な気がしてきて、段々ワケがワカラナクなってきた。いよいよ、ゲシュタルト崩壊の始まりである。きっと脳がパニックを起こして、判定を拒否しておるのだ。

ここは一旦、冷静になろう。
因みに、この個体の右触角は最初から無かった。そうゆうのも何だかミステリアスだ。それって、これからを暗示する何かのメタファー❓

( ゚д゚)ハッ❗、待てよ。
腹が長いし、もしかしてオスの間違い❓ オデって、てーげーな性格だから有り得るぞっ。
そういえば、展翅前に撮った写真があった筈だ。それ見りゃ、オスかメスかが確実に分かる筈だ。

(@_@)れれれれ…❓、どっちだ❗❓
メスにしては腹が長い気がするし、オスにしては短くて腹太のような気がするぞ。
どうぞ、オスであってくんなまし。オスなら触角が長くとも何ら問題なしなんだもーん。

でも、よく見ると腹先が♂っぽくないような…(詳細は後術するが、尻先から産卵管らしきものが出ている)。

ガビ━━━━Σ(゚Д゚))━━━━ン❗❗

ならば、メスだ。
それに前脚も後脚も♂みたくはモフモフじゃないぞ。
メスであれば、メスなのに触角は間違いなく長いじゃないか。
パタッ(ο_ _)ο=З、死んだ。イガ仮説、崩壊。

そうだ❗、オスの写真も撮ってあった筈だぞ。ソイツと比べてみよう。判断はそれからだ。(ノ`Д´)ノまだ死ねん。

(@_@)アチャー、触角の長さは殆んど変わらん。
何度も見比べるが、そうとしか思えん。このままだとゲシュタルト崩壊が止まらなさそうなので、ブレイクアウト。煙草でも吸うことにした。

ぷはぁ〜(-。-)y-゜゜゜
何だかパーフェクトゲーム直前で、センター前にヒットを打たれたみたいな気分だ。
いんや、まだゲームは終わってない。ゲシュタルト崩壊、何するものぞっ❗

落ち着くために、取り敢えず先に最後の8頭目を裏展翅しよう。

【♀裏面】

♀の前脚は、あんまりモフモフじゃないね。これは雌雄を区別する条件の一つと言っていいだろう。

どれどれ触角はどうだ?
見た感じ、それほど短くはないが、♂と比べると矢張り、やや短い。例外はあるものの、これで雌雄の触角の長さに差異がことを、ある程度は証明できたような気がする。とはいいつつも、何となく引っ掛かるものがある。
なので、去年に採った♀と他の展翅前画像も並べてみることにした。
先ずは去年の♀からだ。

2つとも、どう考えても短いよね。まあ、キッカケになった者たちなんだから、知ってて当たり前なんたけどさ。
これだけ条件が揃ってくれば、そうゆう傾向はあるって言ってもいいんじゃね❓
再び乗ってきたところで、次は残った今年の展翅前画像だ。

腹の形や脚のモフモフ度、触角の長さから、これが♂だよね。
w(°o°)wあっ❗ここで気づく。
さっきの♂だと思って貼付した画像は♀だわさ。♂と♀とでは腹の形が違うのだが、あの画像は腹部の横の影のせいで♂に見えたのだ。

その件(くだん)の画像を明るくしてみよう。

ほらね。完全にメスだわさ。
何だか九回裏、パーフェクト目前でレフトのポール際に大ファールを打たれた気分だよ。いや、ホームランの判定が覆ったと言った方がいいか?とにかく首の皮一枚つながったって感じだ。

よっしゃ、試合再開だ。改めてさっき貼付した♂の画像に戻って、触角を見てみよう。

(ー_ー;)……。長いっちゃ長いけど、触角が前にせり出しているので今イチわからない。
ならば、他の♂画像を確認してみよう。

先程の個体は、やや微妙なところもあったが、コレは明らかに♂だろう。腹の形は勿論のこと、前脚と後脚が超モフモフだしさ。

触角はというと…。
かなり長い。長いんだけど、オスと間違えたメスや触角が片方しかないメスとあまり大差ないようにも見える。いや、少し長いか?

しゃあない、次を見てみよう。

左はまだしも、右の触角は角度的に全く参考にならん。使えん。えーい、次だ。

しかし、探しても無い。どうやらこの3個体しか写真を撮っていないようだ。ならばと、去年の画像も探したが、これまた無い。
もわ〜っ(;゚∀゚)=3、イガちゃん仮説に又しても暗雲が垂れ込める。

仕方ない。他の♀からのアプローチを試みよう。

短いね。
それはさておき、この写真を見るとアサマキシタバの触角は先っぽの方が白っぽくなってるのがよくワカル。印象としては特に♀に、こういうのが多いような気がするが、印象なのでハッキリとは断言できないけど…。
おそらく、この白くなるのは触角の上面かと思われる。裏返すと、大体が先まで黒く見えるからだ。つまり下面は黒いってことだ。それらの画像は面倒なので貼り付けないが、気になる方は前回の章で確認されたし。

あと気づいたのは横からでも産卵管らしきものが見えることだ。腹端から少し飛び出ている(以下の画像でも拡大すれば、それとなく確認できる)。

一見これも短く見えるが、こんなに丸まってると何とも言えない。しかも触角が前向きだから、益々ワカラン。またゲシュタルト崩壊が始まりそうな予感がするよ。

コレもパターンは同じだ。
試しに想像力を働かせて、必死に頭の中で触角を真っ直ぐに伸ばしてみる。アホだ。そんな事が出来るワケがない。たとえ出来たとしても、それじゃ何ら科学的根拠は示せない。つくづく、おバカさんだよ。厳密にはゲシュタルト崩壊ではないけれど、また新たなパターンの脳ミソ崩壊が始まったよ。ぽてちーん\(◎o◎)/

話は逸れるが、こうしてメスの前脚をいくつか見てると、やはり♀のお手手はモフ度が低いわ。

コヤツも前向き触角になってもうとる。先っちょも丸まっとるしなあ…。それでも全体的に何となく♀の方が短いような気もしないでもないが、何とも言えないというのが正直な気持ちだ。
もうこうなれば、1個1個の触角を外して軟化させ、真っ直ぐに伸ばしてノギスで計測するしかないだろう。加えて各個体の上翅前縁の長さも測り、触角との比率まで出さなくては違うと断言できまいて。そんな事までしなくてはならぬとなると、テキトー&てーげーな性格なオイラには到底無理だ。そういう事は我慢強くてキッチリした性格の人がやらないと誰もが納得する明確な差異を示す数値は示せない。そうゆうの、誰か替わりにやってくんないかなあ…。

んっ❓、あれっ❓何言ってんだオレ。コイツら既に展翅して触角が短いって分かってる奴らばかりじゃないか。触角を伸ばすとか、ワケわかんないこと言ってんじゃねえよ。完全に脳細胞がイカレポンチになっとるがな。
とは言うものの、ノギスで測って数値化しようという奇特な方かいれば、是非ともやってもらいたいけど。

それに、ここへきて漸く根本的な問題に気づいたよ。そもそも、たかだかこの程度の頭数を比較してアレコレ宣(のたま)ってるのは、賢(かしこ)な人から見れば失笑ものだろう。去年と合わせて雌雄各10頭ずつ程度で結論づけるのは、あまりに乱暴な論理だからだ。やってる事が雑いのである。検証数は少なくとも50体ずつ、いや100体ずつくらいはないと説得力に欠ける。偶然の入る余地を極力減らさねば、結果に信頼性はないとゆうことだ。

ならばとネットでググるが、これが笑けるほど標本画像が無い。有っても触角とかワヤクチャだから、使いもんになんない。カトカラは蛾の中でもトップクラスの人気者だと言われてるが、悲しいけど現状は所詮そんなもんなのだ。最近は蛾もブームになりつつあるそうだが、蛾に興味を持っている人の分母はまだまだ小さいのだろう。

もうコレは図鑑に頼るしかない。
先ずは岸田せんせの『日本産蛾類標準図鑑Ⅱ』の画像をお借りしよう。

図鑑には3点のアサマキシタバの標本が図示されていた。

♂だね。
触角が怒髪天なので分かりづらいが、長いことには間違いないだろう。にしても、何でこないに傾いてはるのん❓

お次は♀だ。

異常型の♀だが、触角は短いように見える。


(以上3点共 出典 岸田泰則『日本産蛾類標準図鑑Ⅱ』)

う〜ん、長いかも知んない。でも♂よりかは短いと思うぞ。
こうなってくると、最早、願望がそう見せているのかもしれないと云う疑念が芽生える。段々、疑心暗鬼になってきた。脳ミソは、時に見えてる画像を自分の都合のいいように勝手に改変するというではないか。もしそうならば、もうゲシュタルト崩壊どころの騒ぎではない。そのうち人格の崩壊まで起こるやもしれない。ピッチョ§△◆♮〓✮‡ブチャカエ❡‰≒➽∌アビバビブ✔♯✪〄∀ダリャホセ〜。(ㆁωㆁ)オデ、オデ、コワレタ。

一応、『原色日本蛾類図鑑』も見てみるか…。

画像は、↙この1点のみ。

古い図鑑だけあって、酷い展翅だ。それでも左触角を見れば、長いことは想像に難くない。
それはさておき、名前が平仮名の「あさまきしたば」となっているのが何だか新鮮だな。優しい感じがする。これは古い図鑑の特徴でもあるのだが、一周まわって何かオシャレだよ。

石塚さんの『世界のカトカラ』の画像は既に第一章で使わせて戴いた。

でも何となくパラパラ見てると、海外のカトカラの欄に韓国産とロシア産のアサマキシタバがあった。


(以上2点共 出典 石塚勝己『世界のカトカラ』)

上が♂で下が♀である。コレも♂の方が少し長い気がする。
もう、そうゆうことにしておこう❗
考えてみれば、そこまで触角に拘る必要性は無い。だって、そんな不確実な雌雄の見分け方に頼らないなくとも、他の方法、腹先のスリットと産卵管の有無で100%見分けられるのである(詳しくは前章を参照されたし)。
『バッカみたい』。昔の彼女の声が、耳の奥で聞こえたよ。

出来れば、このままフェイドアウトで終わりたい。終わりたいが、それじゃあまりにもグダグダ過ぎる終わり方だ。ここまで読んでくれた人に対しても申し訳ない。壊れたアタマなりに、何とかまとめて終わらせよう。

もう、結論から言っちゃうからネ。
えー、アサマキシタバのメスの触角はオスよりも短い❗
そう言い切ってしまおう。
でも、あくまでそれは傾向的なもので、微妙なものもいる。野外で採集した時の雌雄の同定には、ある程度は使えるが、絶対的なものではない。コレでどうだろうか❓

雌雄の同定をする場合、先ずは裏返して尻先と産卵管の有無を確認しましょう。その2つが有れば、間違いなくメスです。
補足事項として、以下のような特徴が傾向として見受けられる。

①オスは腹部が細くて長い。反対にメスは太くて短いものが多い。

②オスは尻先に毛束がある。メスも無いではないが、その量は遥かに少なく、尻先がより丸くなる傾向がある。

③オスは前脚(第1脚)と後脚(第3脚)が毛に覆われ、モフモフである。特に新鮮な個体ではコレが顕著である。対するメスは毛があるにはあるが、オスよりも明らかに少なく、モフモフ度は低い。

④相対的にメスの方が翅に丸みがある。バランスは横長で、胴体の太さも相俟ってか、ずんぐりむっくりな印象を受ける。オスはそれと比して、細くてシャープに見える。

⑤触角は比較的オスの方が長い傾向にある。

但し、各項ともに例外もあるので、これらを総合的に鑑みて同定することが必要だろう。

こんなもんで許してけれ。

今回の結果はどうあれ、対象に対してどこか変だな、違ってるんじゃないかと感じる心は大事だと思う。
きっと去年、マホロバ(キシタバ(註1))を発見できたのも、そうゆう感性や姿勢があったからなんだと思う。

                        つづく

 
追伸
次回、やっとこさの種の解説編。
まだ続くんである(笑)。自分でも、いい加減にしろと言いたいよ。次回で終えれることを心から願おう。

 
(註1)マホロバキシタバ
2019年に奈良県で発見された、日本では32番目となるカトカラ。

【マホロバキシタバ Catocala naganoi mahoroba】

  

2019’カトカラ2年生 其の1第三章

 
   vol.18 アサマキシタバ(3)

  『コロナ禍の狭間で(後編)』

 
午後8時を過ぎてもアサマキシタバは飛んで来ない。
いよいよヤバい展開だ。

8時15分。ようやく樹液に飛んで来た。
ものスゴくホッとする。でも、ここで逃したら元も子もない。ゆえに網で採るか毒瓶で採るか迷った。通常ならば翅の鱗粉の損傷を最小限にとどめる為や背中の毛がハゲちょろけにならないように毒瓶を使用すべきところだ。しかし、今回重視しているのは触角だ。この際、完品とかどうだっていい。それに位置的にやや高い。手の長いオイラのことだから届くだろうが、まあまあギリってとこだろう。ならば、ここは確実に採るために網を選択すべきだと判断した。

網枠で幹をコツンと叩いて、驚いて飛んだ瞬間に網の切っ先がマッハで反応した。下から左上へと海老反りでナギ倒すように振る。

【アサマキシタバ Catocala streckeri】

網さばきは今年も健在なりよ(◠‿・)—☆
おっ、この尻の形からするとオスだな。触角は…長いね。
取り敢えず、やはりオスの触角は長いと言っていいだろう。
それにしても、アサマちゃんって相変わらずあまり美しくないね。所詮はカトカラカーストでは下層民なのだ。

ベンチでアンモニア注射で昇天させ、写真を撮って三角紙に収める。いつもこの最初の1頭を三角ケースにしまうと、心の底からホッとする。ゼロと1とでは精神的にどえりゃー差がある。心の余裕が全然違うのだ。

木に戻ったら、もう1頭来ていた。
コヤツも網で難なくゲット。これも♂だった。で、触角は矢張り長かった。

でも、正直オスはもういい。ターゲットはサンプルの足りないメスなのだ。メスの触角を見なければ、アホっぽいオラの仮説も証明できない。

8時半。また樹液に1頭飛んで来た。
やや小さくて、翅が丸く見えた。たぶんメスだ。

今度は低いところに止まったので、毒瓶を被せることにした。
今思うと、確実に網で採れよな。この辺が直ぐにダレちゃうオラの悪いクセだね。基本、てーげーな人なのだ(註1)。

難なくゲット。
♀っぽいね。一応、裏返してみる。

腹が短いし、太いから多分♀に間違いなかろう。

触角を確認してみる。
あっ、♂よりも明らかに短いぞ(画像をピンチアウトすると拡大できます)。
でも毒瓶を被せた時に千切れたとかないだろうか❓ カッコつけて毒瓶なんか使わなければ良かったよ。

ここでピタリと飛来が止まる。
ヤバいよなあ…。このままいくと、あまり数は望めないかもしれない。
カトカラ2年生、まだまだ少ない経験値で言っちゃうと、多くのカトカラは樹液への飛来が7時半くらいから8時台半ばまでは強い活性があって、9時くらいになると一旦飛来がピタリと止まる。そして10時を過ぎたくらいから再びダラダラと飛来が始まり、11時台の半ばあたりから午前0時過ぎにかけて、もう1回活性のピークがあると云うイメージがある。そのパターンからすると、ヨロシクない傾向だ。2回目のピークは1回目よりも弱いしね。

まっ、いっか…。今日は電車ではなく、難波からママチャリで来ているのだ。ゆえに終電を気にする必要はない。じっくりと対峙できる。
とはいえ、10時迄まだ1時間以上もある。11時なら2時間待ちだ。待つことが誰よりも大嫌いな人間にとっては、地獄だな。それまで闇の恐怖と戦わねばならないと思うと、気が重いよ。

覚悟して、大声で怪鳥の鳴き声を真似て発してやった。
闇を切り裂く高音の怪しき声が山に谺する。鵺(ぬえ)の哭く夜は恐ろしいのである。超恐がりとしては、苦肉の策の逆療法なのだ。逆にこの怪鳥音で魑魅魍魎を震撼させてやろうというセコい作戦ですねん。でも闇の恐怖を紛らわすには効果がある。闇の中で黙っていると、ろくな妄想をしかねないのだ。
それに展望台辺りでキャアーキャアー言ってる小娘どもの声がウザいので、ビビらせやろうとも思った。悪の心が恐怖をも凌駕するのだ。
効果があったのか、小娘どもの嬌声のトーンは落ち、ひそひそ声のキャァキャァになった。ψ(`∇´)ψケケケケケ、おまんら死ぬほどビビって山を下りたらええねん。悪いオジサンは、自分の恐怖を紛らわす為だったら、何だってするのだ。

9時10分。
闇と闘うことに漸く折り合いをつけたところで、アサマが樹液に飛んで来た。

(. ❛ ᴗ ❛.)あらま、予想外の嬉しいお越しだよ。
当然、今度は網でシバく。

なあんだ。また♂か。
でも一瞬、触角を見て戸惑った。短くねえか❓
だがよくよく見れば、触角の先が光の反射か何かのせいで白っぽく見えてるだけのようだ。ちゃんと見ると、♂らしい長さだね。
確認のために裏返してみる。

やはり長いね。
けど♂は、もういい。♀をもっと見んと仮説は証明できん。

9時35分。
待望の♀が飛んで来た。

やっぱ、触角は短く見える。

裏返したら、思ってた以上に長い。それでも♂よりも短い気がする。

9時40分。
連続して飛んで来た。しかも3頭。完全に活性が入った。
気分は殺し屋スナイパー。1つ1つ確実に始末していこう。

♀だ。
これも触角が短い。

でも裏返してみたら、そうでもないような気がしてきた。
いやいや、やはり♂よりも短いぞ。とはいえ、何だか頭の中が少し混乱してきたぞ。

お次も、又しても♀である。

やっぱ、どう見ても短いよなー。

裏返してみたら、コレもそうでもないような…。
けれど、同じく♂よりも短い気がするぞ。と言いつつも、更に頭の中が混乱してきた感あり。

それはさておき、もはや裏返せば瞬時に雌雄が見分けれるようになった。
今一度、並べた画像を見て戴きたい。先ず絶対的に違うのは、尻先だ。♀は尻先に縦にスリットが入り、何やら黄色いものが見える。おそらく産卵管だろう。一方、♂は腹先にスリットが入らないし、毛でフサフサだ。黄色いものは見えない。
ここからは相対的で絶対条件ではないが、気づいた他の判別法も並べておく。

その他①
腹の形は♀は短くて太い。対して♂は細くて長い傾向がある。しかし、腹が長く見える個体もあったりするから、どっちか悩むこと有りです。

その他②
♂は前脚が毛でモフモフだ。♀は、それと比べてモフモフ度が低い。
但し、これは新鮮な個体での話だ。飛び古した♂は毛が抜けてるだろうから、その場合は判別には使えないだろう。

図鑑には、この②と腹のスリット&産卵管については何処にも書いてなかった気がする。そもそも裏面画像が添付されてる図鑑は殆んど無いのだ。知る限りでは、唯一あるのは西尾規孝氏の『日本のCatocala』だけだ。それとて雌雄両方の画像は無い。また、文中で前脚とスリット云々については言及されていなかった筈だ。

その他③
♀の方が翅形が円い。対して♂は上翅からシャープな印象を受ける。
また裏返して見ると、♀の方が下翅が円く見える。
とはいえ、微妙な個体もいるから、これも絶対条件ではない。

その他④
♀の方が全体的に小さい。但し、個体差があり、♀でも大きいものはいる。あくまでも相対的だから、これまた絶対条件ではない。けれど、樹液に飛来した時の目安にはなる。それで、だいたい雌雄の目星がつくことが多い。

時を戻そう。
問題は触角である。雌雄に差があるような気がするけど、でも微妙なんだよなあ…。まだ明確な答えは出せない。今度は♂の触角を見たくなってきた。♂の触角をもう一度見ないと判断は下せないと思った。

3頭いたうちの残り1頭は、いつの間にか樹液から消えていた。
さっきから見てると、コヤツら、どうも全体的に樹液滞在時間が短いような気がする。せわしない感じがして、他の個体や蛾が飛んで来たら直ぐに飛び立つ。で、どっか行っちゃう。何か神経質なのだ。でも去年はそうゆうイメージを抱(いだ)かなかったから、今日だけの事なのかもしれない。或いは去年はボオーッと見てたから気づかなかったのかも…。些細な事だけど、そう感じたので一応書いときました。とはいえ、その日によるものと思われる。

しっかし、それにしても糖蜜トラップに対してアンタら完全にフル無視やのう(。ŏ﹏ŏ)
アサマって、糖蜜にはあまり反応しないのか❓いや、でも文献には好んで集まるみたいな事が書いてあった気がするぞ。んっ❓、あれは糖蜜じゃなくて、樹液の方だったっけ❓ あれあれっ、どっちだっけ❓ 事前に復習して来なかったから、ワカラーン。この勉強不足具合、たかがアサマと云う見下し意識が垣間見えとるよ。

いつしか時計の針は午後10時近くを指していた。
9時台でも樹液に結構来るんだね。樹液の飛来時刻の概念が少し変わったよ。
きっと、その日の天気とか温度、湿度、発生の時期、前日の天気等々、様々な条件が関係しているのだろう。基本的なパターンはあるのだろうが、しばしばイレギュラーがあって、その微妙な条件が人間には感知しえないのだろう。

10時ジャスト。
(☉。☉)!ワオッ、遂に糖蜜トラップに来よった❗

証拠の為に写真を撮る。
でも、やっぱり小さくしか写らない。結構近づいてるんだけどなあ…。スマホのカメラじゃ限界あるよね。センチ単位の至近距離まで近づかないと、まともな写真は撮れなさそうだ。

慎重に接近する。
しかし、さあシャッターを押そうとしたら、(+_+)あちゃま、逃げよった。まあ、しゃあないわな…。

10時10分。
別な木だが、またトラップに来た。でも、さっきの個体とは明らかに違う。もっと大きい。たぶん♂だ。

待望の♂である。
おっ、触角はどう見ても♀よりも長いぞ。
♀の触角が短いなんて気のせいだと思ってたけど、ここまで差異が連続すると、仮説が現実味を帯びてきた。

10時20分。
又してもトラップに飛んで来た。おいおい、急にどうしたんだ❓ その急変振り、全くもって理由がワカラン。

♀だね。そして、これまた触角が短い。
っていうか、メチャメチャ短くね❓切れてんのか❓

『キレてないですよ(註2)。』
思わず、長州力ばりに言っちゃったよ。
でも、ちょっと待てよ。ここで漸く気づいた。よく見ると、根元は黒いけど、段々先に向かって白くなっていってんじゃねえか。先が白いから手の平と同化して短く見えたのだ。
(≧▽≦)何だよー、それー。完全に騙されたわ。
皆さんも、画像を拡大して検証してみてね。

急いで、撮った写真を全部確認してみよう。
いや、その前に裏の確認だ。

けど、白いとこを入れても♀の方が、やや短いような気がするぞ。

慌てて撮った写真を確認してみる。
確かに♀は触角が途中から白くなってる個体が多い。でも、やっぱそれでも♂よりも短いような気がする。
けんど、ジッと画像を見ていると、段々ワケがわからなくなってきた。ゲシュタルト崩壊を起こしそうだ。いや、既に起こしているやもしれぬ。
こんな暗いところで、あーだこうだ考えたところで埒が開かん。帰って、展翅せんと本当のところはワカランぞなもし。

それ以降もアサマはトラップに飛来し、延べ6例の飛来があった。


(PM10:29。ものスゲーピンボケ(笑))

重複個体もあるかもしれないが、少なくとも4個体以上は飛来したものと思われる。そう云うワケだから、アサマキシタバも糖蜜トラップに反応すると云うことは証明できたかと思う。
それはさておき、何で急に反応し始めたのだろう❓空気に触れて、途中から微妙に成分が変わったとか❓まーさかー。

↘上のピンボケ写真の個体。

またもや♀だ。

尚も続けて飛んで来た。
以下、撮影時刻を入れておく。写真屋も偉そうなこと言うなら、撮影時刻くらいチャンと入れろよな(註3)。



(PM10:38)


(PM10:54)

全部メスだ。
しかし、もう触角がどーのこーのと云う思考回路は働かない。完全にゲシュタルト崩壊が起こっておるのだ。もう、うんざりなのだ。

11時前に♂がトラップに来たが、網を構えたら逃げよった。
それで、プッツンいった。触角とか、そんな瑣末な事は、もうどうでもいいわい(ノ`Д´)ノ彡┻━┻❗

今日はチャリで来てるんだから、終電の時刻は気にしなくてもいいんだけど、帰ることにした。とっとと帰って、🍺ビールがぶ飲みじゃい❗

11時過ぎ、撤退。
さあ、光瞬く下界へと降りよう。

翼よ!あれが巴里の灯だ❗(註4)

                        つづく

追伸
その後の話を少ししておく。
真っ暗な坂道を歩いてたら、急に闇への恐怖が芽生えたんだよね。また、口裂け女とか思い出したよ。震撼っす。
降りてきて、11時半に枚岡駅を出発。午前0時半ジャストに帰り着いた。帰りは30分短縮の1時間で帰ってきたってワケ。ママチャリで時速15キロって、速くね❓
えー、何でそんなに早かったのかと云うと、駅ごとに即興で歌を歌って漕いでたからだ。

🎵GO to the つるは〜し(鶴橋)
🎵GO to the つるは〜し
🎵GO GO GO GO GOOー つるは〜し❗

とかね。駅ごとに曲つくって歌ってたのさ。
音楽は力なり(笑)

結局、この日は4♂8♀も採ってしまった。検証の為とはいえ、心情的にはちょっとね。スマヌよ(◡ ω ◡)

本当はこの回で触角問題の解決までいく予定だったが、書いてて長いから力尽きた。今回はあんまり脱線してないのになあ…。
えー、次回いよいよ触角問題の解決編です。

 
(註1)てーげーな人なのだ
「てーげー」とは沖縄県の方言で、物事について深く考えたり、突き詰めて考えたりせず、程々のええ加減で生きていこうという意味の琉球語であり、また概念のこと。
そこには、いい加減を筆頭に「テキトー」「だいたい」「おおよそ」「まずまず」「そこそこ」「なあなあ」といったニュアンスが多分に含まれている。

 
(註2)キレてないですよ
プロレスラー長州力の有名なセリフ。そのモノマネで有名になった長州小力がこのセリフをネタとしており、一時流行った。
しかし、長州自身は実際には『キレてないですよ。』とは言っておらず、正確には『キレちゃいないよ。』と言っている。長州力って滑舌がバリ悪いから、誰もツッ込まないけどね。それに長州自身もバラエティー番組でイジられたら、『キレてないですよ。』と言ってたしね。

 
(註3)撮影時刻くらいチャンと入れろよな
蝶の写真を撮るのを趣味にしている人には、全部が全部じゃないけれど採集する人に対して批判的な人が多い。そうゆう人のブログを見てると、しばしば網を持っている人への強い攻撃性を感じる。最初の頃は同じ蝶屋なんだし、仲良くすればいいじゃないと思っていた。実際、フィールドで会っても仲良く接してきた。だが、最近はブログ内の表現もエスカレードしてきて、採集者を指して『ネットマン』という侮蔑と揶揄たっぷりの底意地の悪い言葉が横行している。それって、如何なものかと思う。マナーの悪い採集者への怒りからだろうけど、ネットマンという蔑称を連発するのもマナーがいいとは言えないよね。
こういう事を書き始めると長くなるし、だいち面倒くさい。なので、冷静でわかり易く書いておられる方の文章をお借りしよう。
リンクを貼っておきます。

『雑記蝶』
https://usubasiro2-exblog-jp.cdn.ampproject.org/v/s/usubasiro2.exblog.jp/amp/21315119/?amp_js_v=a2&amp_gsa=1&usqp=mq331AQFKAGwASA%3D#aoh=15911860661393&amp_ct=1591186079462&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&amp_tf=%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%3A%20%251%24s&ampshare=https%3A%2F%2Fusubasiro2.exblog.jp%2F21315119%2F

テキストエディタだと、リンクを貼るのが上手くいかない。
かといって今更ヴィジュアルエディタで書くとなると、改行をイチから全部やり直さなければならないんだよね。
一応、このままでも上の空白部分をクリックすると記事には飛びます。それで御勘弁を。

もう一つリンクを貼り付けておきます。

『BUTTERFLY BRINGS☆』
https://rpsbetter-exblog-jp.cdn.ampproject.org/v/s/rpsbetter.exblog.jp/amp/21378006/?amp_js_v=a2&amp_gsa=1&usqp=mq331AQFKAGwASA%3D#aoh=15912263520122&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&amp_tf=%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%3A%20%251%24s&ampshare=https%3A%2F%2Frpsbetter.exblog.jp%2F21378006%2F

申し訳ないけど、これも空白部分をクリックして下され。

きっと「ネットマン」と云う言葉は、殺してる者に対する憎悪からの発露だろう。謂わば、正義感だ。おまえらは蝶に対して愛はないのかと云うことだ。でも撮る人だけでなく、採る人も間違いなく蝶に対して愛はあるんだよね。この辺の心情は、昔は採っていたけど、撮る側にまわった人は理解できるかと思う。
問題なのは、撮ることから入った人たちだ。そうゆう人たちは正義感を振りかざしやすい。「生き物を殺してはならない」。この言葉は伝家の宝刀みたいなもので、絶対正義だからだ。何か結局ディスる事になりそうだが、続ける。
怒らないで読んで戴きたい。正義を振りかざす人は大抵が底が浅い。単純だからこそ、猪突猛進。平気で強く批判できる。正しいことをやっていると信じている人は強いのだ。世の中のクレーマーの多くが正義感の上に立って行動しているのと同じだ。最近で言えば、コロナウィルスの「自粛警察」とか「コロナポリス」と呼ばれる人たちが、こういう人種だろう。正義が背景にあるから、正義なんだから何やってもいいと逸脱してしまう輩たちだ。そう云う輩は、もうそれは正義を飛び越えて悪になっているのが分からなくなってるから怖い。盲信だ。ホント、こういうのってタチが悪いんだよね。勿論、写真をやっている人全員がそうではないだろう。そうゆう人は一部の人だとは思うけどね。

話を少し戻す。「生き物を殺してはならない」と云うなら、何も食うなよと云う論理にいきがちだが、言いたいところの本意はそこにあるワケではない。たとえ家畜でも生き物だと言いたいワケでもない。言いたいのは、アナタたちが食ってるものは自然をブッ壊した結果、目の前にありものだと云うことだ。作物を作るにしても、家畜を飼うにしても、森は切り拓かれる。それによって、その場の植物や鳥、哺乳類、昆虫、爬虫類、両生類、土壌生物etc、どれだけの生き物が絶滅していることか。我々が食ってるハンバーガーの、その背後に無数の生き物の死がある事を忘れてやしやせんか❓単に目の前の死だけしか見てなくて発言している人が多いから底が浅いって言いたいってワケ。マクドナルドが1店舗増えるごとに結構な広さの森が失われているのだ。その事を忘れないでほしい。

アレッ❗❓、何か脱線してるなあ…。こんな事を言いたかったワケではない。結局ディスってるし。良くないなあ。
えーと、何が言いたかったんだっけ❓
あっ、そうだ。思い出した。

写真をやってる人たちのブログを見てると、そこに有るのは蝶の写真だけで情報量が少なく、何ら参考にならないものが多い。撮影地の地名を載せてないのは、まだ理解できる。直ぐにワンサカ人が集まって来て荒れるからね。でも撮影環境くらい載せてもいいんじゃないかと思う。その蝶がどんな環境に棲んでるか知りたい人もいるだろうに。あっ、でもその写真だけで場所を特定してしまう鋭い人もいるか…。けど蝶そのものだけでなく、棲息環境の写真あっての生態写真だと思うんだよね。
あれっ?、待てよ。写真やってる人のブログって、生態面に殆んど言及されていないものばかりだぞ。そうゆうのって採集者は大事だと解ってるけど、カメラしかやらない人は興味ないのかな?綺麗な蝶の写真さえ撮れればいいのかな?
それじゃ、オナニーと一緒で何ら博物学に寄与していないじゃないか。考えてみれば、撮影日すら書いてないブログも多い。その蝶が、その地域では何日(いつ)ぐらいに発生しているか記録されていれば、貴重な資料になる。環境写真や生態的知見が書かれていれば、それもまた貴重な資料になるのである。写真を撮っている人にはお願いしたい。せめて撮影日くらいは書きましょうよ。できれば撮影時刻も。なぜなら、撮影時刻からでも蝶の生態が類推できるからだ。それで従来の生態的知見がひっくり返る事だって有り得る。それって、スゲーことじゃん。

撮影する人も採集する人も同じ蝶屋なんだから、ちゃんと情報交換や意見交換して仲良くしましょうよ。蝶が趣味の人なんて、世間から見ればキモい極々少数のマイノリティなんだからさ。いがみ合いしてても、何ら良い事はおまへんで。

 
(註4)翼よ!あれが巴里の灯だ
ビリー・ワイルダー監督、ジェームズ・ステュアート主演の1957年上映のリンドバーグの伝記映画。名作です。
勿論、大阪の街はパリじゃないけど、ぽろっと口から言葉が零れた。何となく、そんな気分だったのだ。

 

2019’カトカラ2年生 其の1

No.18 アサマキシタバ 前編

『晩春と初夏の狭間にて』

 
2018年にカトカラ(シタバガ属)を集めようかと思い始めた頃には、既にアサマキシタバの時期は終わっていた。
なので、2019年はまだ見ぬアサマくんからのスタートとあいなった。

思えば、カトカラを追い掛けるキッカケになったのはシンジュサン探しからだった。
蝶採りにも飽きてきて、この年はまだ見ぬ有名な昆虫たち、例えばオオトラカミキリとかオオチャイロハナムグリなんかを探そうと思っていた。予定調和は面白くない。未知なるモノを全智全能を傾けて採るから楽しいのだ。
そのリストの中にシンジュサンも入っていた。つまり、恥ずかしながらも実物のシンジュサンを一度も見た事がなかったのである。虫捕りを始めた時には、そう珍しいものではないだろうから何処かでそのうち会えるだろうと思っていたが、なぜか一度も出会えなかった。
で、この年は真面目に探し始めたんけど、これがどうにも見つからない。んなわけなかろうと、途中から必死モードになったんだよね(笑)。たぶんシンジュサンって、今や普通種じゃないんでねえの❓
その辺の苦労話は拙ブログに『三日月の女神・紫檀の魁偉』と題して書いたので、宜しければ読んでつかあさい。

【シンジュサン(神樹蚕)】


(2018.6月 奈良市)

その折りに、副産物としてフシキキシタバとワモンキシタバが採れて、ちょっとカッコイイかもしんないと思ってしまった。それが黄色いカトカラに本格的に興味を持ち始めた切っ掛けになった。
そういえば、その1ヶ月程前の5月中旬くらいにシンジュサンが見たくてA木くんにせがんでライト・トラップをしてもらったんだった。
場所をお任せしたら、彼は金剛山地の持尾方面を選定した。
だが。結局飛んで来たのはベニスズメとかコスズメくらいで、そのうち雨が強くなって早々と撤退。結局、シンジュサンは見れずじまいだった。
その時に、A木くんから『もう、アサマキシタバも出てるかもしれませんよ。』と言われたんだっけな…。
でも、アサマキシタバと言われてもピンとこなかった。よくワカンなかったから、生返事しか出来なかったように思う。言われてキシタバの仲間だろうと云う事くらいは何となく想像できたが、頭の中には図鑑等でインプットされた画像は一切無かったのである。
だから、もしもこの年、2018年に最初に出会ったカトカラがアサマキシタバだったならば、黄色い系のカトカラには全く興味を持たなかったかもしれない。正直、アサマキシタバは黄色いカトカラ類の中にあっては一番小汚いのだ。蛾は基本的に忌むべきものだったから、(`ェ´)ケッと思ったに違いない。汚いのは蛾の概念の域を出ない気色の悪い存在でしかないのである。

 
2019年 5月18日

小太郎くんに『アサマは見られる時期がわりと短いですよ。鮮度の良いキレイな個体を採りたければ、早めに行っといた方がいいんじゃないですか。』と事前には聞かされていた。たしかに去年ここを最初に訪れた時は6月上旬だったけど、ボロでさえも一つも見なかった。
今年は蝶の発生が例年よりも早いと言われているし、もう出ているだろうと思い、この日はその奈良県大和郡山市の矢田丘陵へと出掛けた。

この季節を人々は初夏と呼ぶが、自分の中では晩春だ。なぜなら、1年を夏は6,7,8月。秋は9,10,11月。冬を12,1,2月。そして、春を3,4,5月と便宜上区切っているからだ。だから、3月1日がどんなに寒かろうとも春だと自分に言い聞かせて気持ちを切り替えるようにしてきた。
とはいえ現実の感覚とか心は、けっしてそんな風には割り切れないところがある。今日はまだ5月だが、既に気分は半分夏だ。あれっ?自分で何を言いたいのかワカンなくなってるぞ。
まあいい、いつも通り構成を考えずに書き始めておるのだ。そのうち思い出すだろう。

ポイントへ行く道すがら、アルテミスと出会った。ギリシャ神話の月の女神だ。

【オオミズアオ】

あっ、今はアルテミスじゃないんだったな。本種の日本産の学名は Actias artemis から Actias aliena に変わっちゃんだよね。ものスゴくガッカリだよ。別種になったみたいだから、致し方ないんだろうけどさ。

そんな事はどうあれ、その儚き翠(みどり)はいつ見ても幽玄で美しい。
もうオイラの心の中ではアルテミス、月の女神でいいじゃないか。そうゆう事にしておこう。と云うワケなので、女神に会ったんだから幸先良いスタートだ。たぶん、この調子でアサマも余裕のヨッちゃんで楽勝ゲットだろう。前向き軽薄男は御都合主義のプラス思考なのだ。

(ー_ー゛)……。
しかし、去年カトカラがわんさか集まっていた樹液出まくりのクヌギの大木には何にも居なかった。
たぶん樹液が出ていないのだ。😰あっちゃっちゃー。そんな事はまるで予測していなかったので、ものスゴ〜く💦焦る。どうせ樹液で採れるからと糖蜜トラップは持ってきてないし、此処では外灯に集まって来る個体は樹液に集まるものよりも遥かに少ないからだ。余裕のヨッちゃん気分が一気にフッ飛ぶ。

オラ、もう必死のパッチで他に樹液が出ている木を探しましたよ。そいだらこと縁起が悪いべよ。開幕戦からー、コケるのはー、何としてでもー、避けねべならねっ。
で、何とか3本の木を見つけることが出来た。しかし、どれも少量の樹液しか出ていない。もしもコクワガタくんが来てくれていなけりゃ、見つけられんかったよ。それくらい心もとない樹液滲出状況なのだ。
こりゃ採れんかもしれん…。林内の闇の中空に、行き場を失った不安が所在なげに浮遊する。
いかん、いかん。悲観的な考えは後で恰好な言い訳の材料になる。ダサいぞ、俺。そんなもんは直ぐ様うっちゃって、プラス思考に切り替えよう。でないと、益々採れんくなる。
樹液状況が芳しくないとはいえ、コクワガタくんが来てるんだから大丈夫っしょ。飛んで火に入る夏の虫、デヘデヘ🥵。悪意に満ちたストーカー変態男が待伏せているとも知らずに、そのうちノコノコやって来るっぺよ。
危うしアサマくん、Σ(゚∀゚ノ)ノキャアー、逃げてぇー。
ひとしきり一人遊びしたところで、いつもの前向きオチャラケ男に戻る。

(ー_ー;)……。
(。ŏ﹏ŏ)……。
༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ༽……。

けれども、待てど暮せどアサマキシタバはいっこうに姿を見せない。
もしかしてフライング❓ それとも今年はムチャクチャ発生数が少ないとか❓ 或いは何らかの理由で、ここでは既に絶滅してたりとか❓ だから去年、6月上旬でも見れなかったのかもしれない…。頭の中をあっちゃこっちゃ色んな思考が駆け巡る。

とにかく、まさかの展開である。アサマって嘗ては珍品だったらしいけど、最近は普通種に成り下がったと聞いていたし、2015年には大発生したみたいで、その時の話も散々ぱら聞かされてもいた。何と大阪市内や神戸市内、果ては関西空港の外灯にもいたらしい。そんなワケだから、戦う前から楽勝気分だったのだ。
もしかして、樹液に来るのはメチャメチャ遅い時間だったりして❓ 前向きに考えるも、でもそんな情報、聞いたことがない。だいち、もしもそんな特異な生態をもっていたならば、沢山採ったことのある小太郎くんが必ずや言及している筈だ。

🙀ゲロゲロー。
結局、樹液に来たのはコクワガタとクロカタビロオサムシくらいだった。
クロカタビロオサムシが樹液を吸汁するなんて聞いたことがなかったから、一応証拠写真を撮っとくことにした。オサムシ屋さんにとっては、多分それなりに価値ある例だろう。オイラ、こう見えても小学生の時は、日浦(勇)さんに「オサムシ少年」と呼ばれていたのだ。オサムシの知識のベースはそれなりにある。

【クロカタビロオサムシ】

(2019.5.18 奈良県大和郡山市 矢田丘陵)

この画像を Facebookに載せたら、オサムシの研究で知られる神吉正雄さんからワザワザ連絡があったくらいだから、かなり珍しい例のようだ。と云うことで、この写真はニュー・サイエンス社の学術誌『昆虫と自然』にも掲載された。
エヘヘ(^^)ゞ、タダではコケない男なのである。

(ノД`)グスン。そんなこと言ったって、所詮は負け犬の遠吠えである。現実は惨敗なのだ。夜道を1時間半、暗澹たる思いで駅まで歩いて帰ったよ。

 
2019年 5月23日

前回採れなかったので、満を持して5日後に再訪した。
5月下旬ならば、絶対に発生している筈だ。それでも会えないとなれば、ここには居ないということだ。捜索は振出しに戻る。つまりイチから場所の選定をし直さなければならない。

まさか、そんなわきゃなかろう。たかだかアサマキシタバだ。大丈夫だろう。そうは思うが、正直なところ半信半疑だった。
夜の森を一人でウロウロしてるだけでもストレスなのに、また採れないとなると最悪な気分になること必至だ。それだけは何としてでも避けたいところだ。
それにアサマで2連敗なんかしたら、小太郎くんあたりに何を言われるかワカったもんではない。もし今日も採れなかったら、黙っておこう。2連敗の事実は闇に永遠に葬り去ろう。

午後7時。
やがて日が沈んだ。この黄昏から夜へと移る時間帯は毎回心がゾワゾワする。逢魔が刻(おうまがとき)なのだ。この時間帯が暗闇よりも寧ろ恐かったりもする。これは来たるべく黒い闇を怖れて心が敏感になっているからだろう。口裂け女が現れるのも、この時間だというしね。

『ワタシ、キレイ❓』

😱ゾクッときた。口裂け女のセリフを思い出して、背中に悪寒が走ったのだ。そして、もしも口裂け女が出たらと想像してしまったのである。マジ、それ怖すぎー😭。
あんなもんに横走りで追い掛け回されたら、😭涙チョチョギレで超マッハで走らねばならぬ。でも口裂け女は100メートルを5秒で走るというから、小学校6年間と中学3年間、ずっとリレーの選手でトップかアンカーをつとめ、100メートルを12秒フラットで走れたワシでもソッコー追いつかれるだろう。そして、そして…。
次々と、その後のヤバい展開の映像が浮かんでくる。
いかん。恐怖の連鎖反応じゃ。恐怖が恐怖を呼んでおる。想像力こそが恐怖を増幅させるのだ。これ以上想像したら、発狂してしまう。
 
負の脳内物語を全て頭から遮断し、心頭を滅却させる。
 
٩(๑`^´๑)۶、ヤアーッ❗

『臨、兵(びょう)、闘、者、皆(かい)、陣、烈、在、前(ざん)、オンソワカー❗』(註1)
 
左腰から右上に手刀でキレッキレで、空を「九字切り」する。
念の為に同じ呪文を唱えながら、神様の形を真似て手指を結び、「契印(手印結び)」も行う。
もう気分は、陰陽師 安倍晴明じゃよ。式神も出したろか、ワレ。
  
7時20分。
空はまだ仄かに明るかったが、森の中は真っ暗になった。
闇の物語の始まりじゃあ〜と思ったら、らしきものが直ぐにパタパタと飛んで来た。そして、先日クロカタビロオサムシがいた木と同じところに止まった。
たぶんアサマキシタバで間違いなかろう。この時期にいるカトカラはアサマしかいない。何だかε-(´∀`*)ホッとする。

ヘッドライト、オーン💡
網を構えて距離を詰める。緊張感は、さしてない。会えたと云う安堵の心の方が強かったのだろう。
取り敢えず、💥ダアリャー。網を幹に強く叩きつける。すると、驚いた彼奴(きゃつ)は自ら網の中に飛び込んできた。
もう、この採り方もお手の物である。網の面を正確に幹と合わせる事と、力加減さえ間違えなければ、ほぼ百発百中だ。

今思えば、この頃(2019年初夏)はまだ、こんな博奕度の高い採り方をしてたんだね。もっと楽勝の採り方を編み出したのは、もう少し後の事だったわ。たぶんカバブキシタバかマホロバキシタバの時だね(註2)。

素早く毒瓶にブチ込み、〆る。
暫く経ったところで取り出し、手の平に乗せる。

【アサマキシタバ ♂】

(裏面)

冒頭に『もしもこの年、2018年に最初に出会ったカトカラがアサマキシタバだったなら、黄色いカトカラには興味を持たなかったかもしれない。』と書いたように、その第一印象は酷いものだった。カトカラを本格的に集めようと思っていたから、採れたのは素直に嬉しかったが、一方、右脳は別な評価を下していた。
『チビだなあ…。それに何だよ、コイツの下翅。黄色いとこが少ないし、オマケにその黄色に鮮やかさがまるて無いじゃないか。薄汚れてて美しくないなあ。それに何だか毛深いや。』
正直、お世辞にも全然魅力的には見えなかったのである。

その後、この日は4、5頭程が飛来した。
ド普通と聞いてたけど、今回そうでもないと実感したよ。その年により発生数の増減が激しい種なのかもしれない。

 
2019年 6月3日

♀があまり採れていなかったので、もう1回訪れた。
この日は小太郎くんも参戦してくれた。

コナラにウスタビガの幼虫がいた。

【ウスタビガ 終齢幼虫】

一瞬、持って帰ったろかと思ったが、やめた。
面倒くさがりやの自分には飼育は向いていないからだ。それに、尻の一部が茶色い。小太郎くん曰く、寄生されてるかも…と云う意見もあったしさ。

この日も日没後、暗くなったら、アサマくんたちが樹液に飛来した。やはり飛来時刻は早い。
で、いくつか連続でゲットしてソッコー飽きた。

 
2019年 6月6日

この日は、夕方に生駒山地の枚岡にウラジロミドリシジミの様子を見に行った。

【ウラジロミドリシジミ ♂】

こんなに美しいのに、酷い和名だなと思う。
何で、この色にフォーカスしないのさ。

たぶん、この裏面からのネーミングだと思うけど、もっと他に名付けようがあっただろうに。
学名は、Favonius saphirinus。小種名の語源は宝石のサファイアだぜ。学名が先に有りきの和名の命名だろうから、より想像力の欠如と言わざるおえない。

折角だからと、ゴージャスな夕日を見て帰ることにした。

けど、ついでに夜までいた。
 

 
べつに夜景を見たかったワケではない。理由は他にある。
生駒山地の昆虫調査をしている東さんが、フシキキシタバの記録が無いと言っていたのを思い出したのだ。
矢田丘陵にフシキキシタバがいるなら、隣の生駒山地にいないワケがなかろう。それって、蛾屋の怠慢じゃないか❓だったら、それをお茶の子さいさいで証明してやろうと云う心が芽生えたのである。負けず嫌いのイヤらしい性格なのだ。
しかし、同時にこうも思っていた。東さんは協力者が少ないのに真面目に調査してはるみたいだし、世話になってるところもあるから少しは貢献しようとも思ったのである。嘘じゃなくて、そう云う殊勝な心もちゃんとあったんだかんね。

それに樹液が出ている木を探しておいて損はない。
10年ここに通っているが、いまだもってスミナガシ(註3)の♀が一度も採れていないんである。どころか見たことさえ殆んど無い。どうやらメスは、ほぼ樹液でしか採集は望めないようなのだ。でも、枚岡って意外と樹液がバシバシ出てるような御神木的な木が無いのだ。だから、そういう木を昔から探しているのだが、標高の低いイージーな場所では、ナゼか見つからない。昼間に樹液の出ている木を探すのは意外と難しいのだ。むしろ夜の方が意外と見つけ易かったりする。その事に気づいたのは、カトカラ採りもするようになった去年(2018年)だった。夜は視界が制限されるから、かえって集中力が高まるし、蛾、特にヤガの仲間は懐中電灯の光が当たると目が光るから目印になるのだ。また昼間よりも樹液に集まる昆虫が多いので、目につきやすい。昼間はあまり見ない夜行性のカブトムシやクワガタなどの大型甲虫も集まるから、よく目立つのである。

日没後、ウロウロしていると懐中電灯の光がアケビコノハの姿を捉えた。

【アケビコノハ】

(2019.6.13 )

コヤツが木に下翅を開いて止まっていると云うことは、樹液が出ている証拠だ。(^3^♪オホホ、ソッコーでフシキがおることも証明したるわい(ノ`Д´)ノ❗

そして、別な木だが樹液に来てるアサマも3頭見つけた。
しかし、3頭とも羽が傷んでいたのでリリース。場所は違えど、初見からまだ10日だぞ。ボロになるのが早過ぎやしないか❓
 
アサマがいるなら、フシキも採れんだろ。採れなきゃ採れないで、いないって逆証明にもなりうる。ただ、季節的には発生初期だろうから、まだ発生していない可能性もある。かりに発生していても、出始めで個体数は少ないだろう。

結局、フシキキシタバは樹液には来なかった。
だが、帰りの夜道で飛んでるのをシバいたった。

【フシキキシタバ ♂】

やはり、いたね。
ザマー、見さらせである。センスを証明されたいがために虫採りやってんのかもなあ。
 
 
2019年 6月12日

この日はアサマではなく、フシキキシタバを探しに矢田丘陵へとやって来た。

ガクアジサイがひっそりと咲いており、夕暮れのそよ風に嫋(たお)やかに揺れている。

予想したとおり、フシキキシタバは最盛期に入ろうとしていた。

【フシキキシタバ♂】

どれも新鮮な個体ばかりだ。

【同♀】

アサマと比べたら、遥かに美しい。

アサマも飛んで来たが、既に古びたボロ個体ばかりで数も少なかった。見たのは2頭だけだ。初見から20日足らずで、この状態とあらば、やはりアサマって発生期間が短いようだね。
 
 
2019年 6月13日

翌日に兵庫県宝塚市にカバブキシタバの下見に行った時も、大量のフシキキシタバに混じってボロボロのアサマを1頭だけ見た。この例からも、成虫の発生期は他のカトカラと比べて、比較的短いのではないかと思う。

2019年に採ったアサマキシタバの展翅画像を貼り付けておこう。

【Catocala streckeri アサマキシタバ♂】

形はカッコイイと思うんだけど、下翅が汚い。
それにしても、酷い展翅だな。上から3、4つまではまあまあだけど、段々酷くなっていってる。

【同♀】

更にメスは目を覆いたくなるような出来だよ。このテキトーさ加減、対象に対する愛が感じられないねぇ。これは年を越えたゆえ、カトカラに対する概念がリセットされて、アサマを見て改めて所詮は蛾だと云う認識に逆戻りしたのかもしれなーい。オイラ、元々は生粋の蛾嫌いなのだ。

それはさておき、何か♀の触角が短くないかい❓

【♂裏面】

【♀裏面】

裏展翅のコレも♀の触角が短いぞ。
気になるから、石塚さんの『世界のカトカラ』を開いてみた。

♂と比べて、やっぱ少し短くなくねぇか❓
今一度、アチキが展翅した♂の画像と見比べて戴きたい。明らかに♂の触角は長いよね。でも、この一つだけじゃ何とも言えない。慌てて他の♀画像に目を転じる。

あっ、コレも短い。と一瞬思ったが、左の触角はそうでもない。
٩(๑`^´๑)۶ハッとさせんじゃないよ。

一瞬、これも短いと思ったが、コチラは右の方の触角が長い。
長い方が本来の長さだろうから、たぶん♀の触角が短いなんて気のせいだろう。

あっ、短い❗とコレも思ったが、よく見れば左側が少し長いな。やっぱ、きっと気のせいなんだろうな。
 
それはさておき、しかしこうも触角の先って切れるもんかね❓
何か理由があるのかもしれない。元々メスは左右の触角が同じじゃない個体が多いとか、メスって極めて触角の先が折れやすいとかさ…。
(ノ´・ω・)ノ ミ ┻━┻、んなワケあるかーい。理由として論理的に苦しいわ。アカンな。
 
おーっと、そうだ。オスも見てみよう。
 

 
ヽ(`Д´#)ノクソッ、コイツもかよ。右の触角が折れとるのか短いじゃないか。アサマって、そんなにも触角が折れやすい種なのか❓
それはさておき、左の触角はメスよかオスの方が長いような気がする。けど、微妙な長さではあるんだよね。上から3番目、番号10のメス個体も触角が長めだからなあ。
ならばと他のオスを探すが、(・o・)ありゃま。でも他にオスの標本が図示されてない。オスはこの1個体だけなのだ。それじゃサンプルが少な過ぎて、これ以上は何とも言えないや。
 
異常型だが、メスをもう1点。


(以上すべて、石塚勝己『世界のカトカラ』より)

これは明らかに短いような気がするぞ。
けど短い感じたものが偶々(たまたま)連続したから、そうゆう印象を最初に持ってしまっただけなのかもしれない。こんなどうでもいいような事をグダグダ書いてたら、レベルが低いと笑われそうだな。声高に論じるテーマとも思えんしなあ…。

まあ気のせいだとは思うけど、今年(2020年)、確認しに行こう〜っと。
 
                         つづく
 
 
追伸
終わりそうで終わらない物語みたいでヤだけど、アサマキシタバの話は尚も続きます。このままいくと3話構成にはなる。3話で終わることを祈るよ。

えー、この文章は3月の時点で下書きが粗方出来上がっておりました。でも、触角問題と生態面でハッキリとしないところがあって一旦お蔵入りになってました。そこにある程度の目処(めど)がついたので、晴れて蔵出しとあいなったワケである。
けんど、シリーズ初回にも拘らず、改めて文章の手直しを始めだら、大脱線。要らぬところで筆が止まらず、大幅訂正加筆の1.5倍以上に膨れ上がってしまった。我ながら、愚かじゃよ。

愚か者ゆえに、次回は触角問題に切り込むでぇ〜。まだ一行も書いてないけどー。
嗚呼、次もどうせ大脱線になりそうだ。自分にウンザリだよ。
 
 
(註1)『臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前』オンソワカ
悪霊退散の呪文の1つ。九字を唱える事でその場を清め、結界を張ることも出来る。
これは「仏の言葉」や「秘密の言葉」と言われる真言の一種で「神様の軍隊が通るため、立ち去るように」という最終通告を意味している。
また九字護身法には、悪霊や邪気、災いを祓う浄化効果だけでなく、その人が持つ霊力を高めて幸福へと導く開運効果もあるとされている。

オンソワカの「オン」は、真言の頭につける慣用句。「帰命する」という意味。
「ソワカ」は聖句の末尾につけられ、「成就あれ」の意味。

 
(註2)カバブキシタバかマホロバキシタバの時だね

【カバブキシタバ】


(2019.6 兵庫県宝塚市)

上がオスで、下がメスである。次のマホロバも同じ。

 
【マホロバキシタバ】


(2019.7 奈良市)

木の幹に止まったカトカラの簡単採集法は、たぶんカバブキシタバの時の後半辺りで気づき、マホロバの時に確立した。採り方は、マホロバの回の時にでも詳しく書くつもりだ。まあ、蛾捕りの天才であるマオ(小林真央くん)も、その採り方を実践してたから、知ってる人は知ってんだろうと思うけどね。

 
(註3)スミナガシ 
タテハチョウ科に属するチョウの一種。

【スミナガシ 春型♂】

 
(裏面)

(2018.4.28 東大阪市枚岡公園)

名前の由来は、平安時代から続く伝統的な芸術技法であり、遊びの一種でもある「墨流し」から。墨汁を水に垂らした際に出来る模様、及びそれを紙に写したもので、その模様を布に染めた物のことも指す。

 

青春18切符1daytrip 春 第二章(2)

第2話 流水桃花物外春


前回は『往年のギフチョウ』と題しておきながら、殆んど鉄道の事とJR湊町駅について紙数を費やしてしまった。スマン、スマン。
というワケで、今度こそ往年のギフチョウについて書きまする。謂わば、今回は『往年のギフチョウ』の後編ってワケね。


9時前にポイントに着く。









三葉躑躅(ミツバツツジ)が満開だ。
このミツバツツジとギフチョウの発生期は重なるから、おそらく今日も楽勝じゃろう。

ツツジの中では、ミツバツツジが一番か二番目に好きだ。
葉が芽吹く前に先んじて花が咲くから綺麗だし、基本的には野生のものだからだ。春先のまだ茶色っぽい山肌の所々を鮮やかにポッと染めているのを見ると、何だか心がホッとする。ほのぼのと春なんだなと実感できるのだ。
ツツジといえば、世間では公園などに植えられている平戸躑躅のイメージだろう。だが、あの多分バチバチに品種改良されたであろう大振りのピンクの花が好きじゃない。人工的な感じがするからだ。派手なんだけど、品のない女みたいで好きくないのだ。野生のものなら、また違った意見を言いそうだけど…。

尾根筋のギフチョウが如何にも好きそうな小ピークに陣取る。
程なくして20mほど遠くで飛ぶ姿が見えた。さあゴールデンタイムの始まりだ。天気や気温にも左右されるが、この9時くらいから10時半くらいまでがギフチョウの動きが一番活発になるのである。
でも走り出すこともなく、余裕のヨッちゃんでスルーする。
煙草に火を点けたばかりだったし、そのうちバンバンに飛んで来るだろうから、まっいっかと思ったのである。

しかし、その後ジャンジャンに飛んで来る筈が全く姿を見せない。気温も上がってるし、何で❓ もしかして個体数が少ないとか❓
やや焦り始める。余裕カマして煙草なんぞ吸ってたワシって、もしかして救いようのない愚か者❓

9時半を少し回ったところで、ようやく2頭目が飛んで来た。
(・o・)あれっ❓、何か黄色いくないかい❓ 一瞬、イエローバンド(註1)とかじゃねえかと思って気合が入った。慎重に距離を詰めて💥一閃、鮮やかに振り抜く。



(裏面)


でも網の中を見て、直ぐに普通のギフチョウだと気づく。
福井の黒っぽいギフチョウに目が慣れてたから、そう見えただけだったんだね。ここいらのギフチョウは比較的黄色い部分が多く、明るく見えるという事を完全に忘れてたよ。
とは言っても往年の名産地である武田尾のギフチョウの完品だ。前に来た時は時期が遅くて全てボロだったから、ちょっと嬉しい。余談だが前回の手乗りギフチョウの写真は、その時に撮ったものだ。ボロばっかだったから、そういう遊びごとが出来たってワケ。

コレをキッカケにジャンジャン飛んで来た。しかし、どれも翅が欠けてたり、擦れてたりと鮮度があまりヨロシクない。今年は噂通りに発生が早かったのだろう。何度も同じ個体を採るのもイヤなのでリリースせずに生かしたまま三角紙に收めてゆく。

10頭数頭を採ったところで、完全に飽きてきた。
このまま続けていても同じ事の繰り返しだろうから、春の三大蛾(註2)であるイボタガやオオシモフリスズメ、エゾヨツメの探索に切り替えようかとも思った。
けど、よくよく考えてみれば、まだメスが採れてない。どうせ三田のモノと変わりあるまいとは思いつつも此処のメスがどんな型なのか見ておきたいし、もう少し粘ることにした。

しかし、10時半頃にピタリと飛来が止まった。
蝶って、示し合わせたかのように飛び始めたら一斉に飛び始めるし、飛ばなくなったら全く姿を見せなくなるって事がよくある。日照、気温、風、湿度等々ほとんど条件が変わってないのに何で❓と思う事しばしばなのである。また昨日と今日の気象条件がほぼ同じでも、昨日は沢山いたのに今日は全然見かけないなんて事もよくある。あれって、何ざましょ❓
おそらく人間には感知しえない微妙な変化があるのだろう。何らかの条件によりスイッチが入ったり、反対にOFFになったりするんだろうけど、それが何だか解らないケースも多々あるのだ。

11時過ぎ、ようやく1頭が姿を現した。
正面から飛んで来たのを仕留める。



(裏面)




あっ、メスだわさ。
しかも完品のキレイな個体だ。
ギフチョウの雌雄の区別は比較的簡単だ。メスの方が大きく、翅形が丸くて優しい感じがする。人も女性の方が体の線が丸いから同じだね。これって基本的に生物の普遍的な法則なのだろう。例外も結構あると思うけど。
他には背中の毛がメスはオスに比べて短くて赤っぽい事、裏面の色にコントラストがあって鮮やかな事、また上翅裏面の外縁上部が濃い黄色になることで区別できる。あと、尻先に交尾囊(受胎囊)があれば、間違いなくメスだ。これは交尾した時にオスが他のオスとの交尾を阻害するために分泌物で蓋をしたものである。これにより一度交尾をしたメスは、もう交尾することが出来ないと言われている。謂わば、貞操帯みたいなもんである。
ギフチョウって、人間で言えば独占欲が強くて相手を縛りたがる嫉妬深い男みたいだ。それって病的で怖いなあ…。あんまし何でもかんでも人間目線で見ちゃいけないんだけどね。

再び静寂が訪れる。
その後も、とんと姿を見せない。
何処へ行ったの❓、ギフチョウちゃん。

ようやく見つけたと思ったら、何とナミアゲハくんだった。



ギフチョウ並みに小さい個体だったし、しかもギフチョウみたく地面に止まったからマジ間違えたよ。普通はナミアゲハが地面に翅をベタッと広げて止まることなど滅多とないからね。折角だからと、ヤラせ写真を撮る。



本当にこんな風に止まったのだ。
そりゃ一瞬、間違うでしょうよ。

その後もやはり姿は見られず、正午には諦めてその場を離脱することにした。
2♂1♀のみを残して、あとは全部リリースする。
何が起こったか、ちょっと解らないような顔で暫し指先に止まり、何かを思い出したかのようにふわふわと飛んでゆく。その後ろ姿を見送り、どうか無事生き延びて欲しいと願う。

いつもライト・トラップをしている場所に移動して、三大蛾を探す。

【春の三大蛾】

(オオシモフリスズメ)


(エゾヨツメ)


(イボタガ)


しかしコヤツら皆、この季節の枯れた風景に溶け込むような色柄だ。容易に見つかるわけがない。我慢が足りない人だから直ぐにダレてきて、小一時間ほどで早々とやめにすることにした。現実的にも性格的にも、どだい無理な話であった。

枝垂れ桜が綺麗だ。





風にそよそよとなびく様を暫く見てた。
桜はいつまでも見てても飽きない。
こうやって往く春を見送る気持ちも悪かない。

午後2時過ぎ。
バス停まで戻ってきたが、時刻表を見るとバスはさっき出たばかりのようだった。困ったことに、次のバスまでかなり時間がある。
はてさて、どうしたものか…。
でもこんなとこで、ぼおーっと待ってるのは性に合わない。元来、待つことが死ぬほど嫌いな男なのだ。歩き回って疲れてはいるが、この際、歩こう。駅まで歩ける距離なのかどうかも確かめたいしね。ライト・トラップするのに行きはバスで、バス便のない帰りは歩きで戻れる可能性の可否を知っておいて損はないだろう。道中で無理だと思ったら、途中のバス停から乗ればいい。

駅の近くで飛んでいるギフチョウを見た。道路標識の青色に反応して一瞬だけ纏わりついて飛んで行った。なあ〜んだ、駅の周辺にもいるじゃないか。たぶん放蝶ものだろうけどさ。

午後3時。
思ってた以上に遠かったが、何とか駅にたどり着いた。
行きの時は直ぐにバスが出発しそうだったのでゆっくり見れなかったが、満開の桜が綺麗だ。その向こうにはラムネ色の川が流れている。



       浮雲柳絮人間世
       流水桃花物外春(註3)

世間はコロナ騒動でそれどころではないけれど、桜はどこ吹く風と変わらずに咲いている。当たり前の事だが、不思議な気持ちに囚われる。季節の推移はそんな騒動とは関係なく粛々と進んでいるのだ。

さてさて、どうしたものか…。午後3時と中途半端な時間になったから三田に転戦するには遅過ぎるし、次の目的地に行くにはまだ早過ぎる。
まあいい。電車に乗ってから考えよう。今回は青春18切符を持っているのだ。その日のうちならば、何処へなりと行ける。風の赴くまま、心の赴くままに。

                         つづく

一応、この日に採って展翅したものを並べておく。

(♂)




(♀)


福井産と比べてやや大型で、後翅中央黒帯が細く、下の黒点との間隔が開く。ゆえに黄色い領域が広くて全体的に明るく見えるのだろう。また赤紋が福井産よりも厚い傾向にある。

参考までに『ギフチョウ88か所めぐり』の「武田尾」の項にあるギフチョウの特徴を書いておく。
それによれば、「京都〜大阪北部の集団と、兵庫県の山陽側の集団とはかなり印象が異なるが、ここらあたりが接点となる。斑紋は基本的には兵庫県山陽型であるが、京都〜大阪北部型も混じる。」。因みに此処の幼虫の食草はヒメカンアオイである。
お隣の「三田」のギフチョウについても言及されているので、それについても書いておこう。
「兵庫県の瀬戸内側、三田市から西脇市あたりにかけてのヒメカンアオイ食いのギフチョウはやや変わった一集団である。この産地では尾状突起が短く、丸い翅形の個体が多い。」
(☉。☉)あら、武田尾とは違うんだね。けど、ホントかね❓ ニブいアッシにはワカランかったよ。実を云うと、それほど変異には興味がない人なのである。でも言われてみれば、尾突起は短かかったような気がしないでもない。

比較のために福井産のモノも貼付しておきます。

(♂)






後翅中央の黒帯が太くて、3つめの個体などは下の黒紋と完全に繋がっている。小太郎くん曰く、こう云う型を「ジジヒゲ(爺髭)型」と言うんだそうだ。
福井産は、この様に黄色い領域が狭い個体がわりと多く、また縁毛が黒くなりがちなせいもあって黒っぽく見えるのだろう。
とは言っても、あくまで傾向であって、例外も多々あることをつけ加えておこう。

右面上翅がH型のこれなんかは↙、一見すると福井のモノに見えない。
とはいえ、分かる人には一発で福井南部のものと判別できるんだろうけどさ。



(♀)





メスも同じような傾向があるが、これまた例外もある。
2つめの赤上がりの個体は黒帯があまり太くないし、下の黒紋との間隔も開きがある。

一応、コチラも参考までに『ギフチョウ88か所めぐり』の福井県越前産のギフチョウについて書かれた箇所を示しておこうと思った。けんど、(-_-;)あちゃーだった。
福井県の産地は5箇所(丹生郡、勝山市、大野郡、南城郡)が紹介されているのだが、そのうちの3箇所が手元にない。随分前に本からコピーしたものなので、あえてその部分を複写しなかったのか、それとも最初からその部分が抜け落ちていたのかは分からない。取り敢えず「南条町 杣山」の項に「異常型(杣山型のこと)の血が混じっているせいか、黒条に何らかの乱れをもつ個体が多い。」という記述があった。
なるほどね。形質がバラバラという印象があるのは、そう云うワケなのね。此処がギフチョウ発祥の地で、ここから全国に広まったりとかしてね。いい加減なこと言ってるけど(笑)。
また文中には「黒条の乱れる程度にはさまざまな段階があるようだが、前後翅のいちばん基部側の黒条が太くなり、前翅ではその外側の黒条が薄れ、後翅では短い黒条が細く線状になる点が共通している。」とも書かれている。加えて『日本産蝶類標準図鑑』によれば、「日本海側では秋田〜新潟県までは前後翅とも黄色部がよく発達し、明るい印象を受ける。新潟上越地方〜富山県あたりになると徐々に黄色部が減退し、福井県北部で顕著になってゆく。福井県若狭地方〜島根県中部では、縁毛も黒色の割合が増え、黒い印象を受けるようになる。」。
ようするに、ここいらのは黒いってワケだ。

スルーするつもりだったけど、三田のギフの画像も探してみっか…。


(2018.4.13 兵庫県三田市)


(2015.4.3 三田市)

以外と写真が残ってない。
展翅画像に至ってはコレだけだった。



翅形が丸いといえば、丸いような気もする。尾突起も短いっちゃ短い。でもこの個体1つだけじゃ何とも言えないよね。
けど、もうウンザリだ。やさグレる。本音は、んな事どっちだっていい。どうしても気になる方は自分で調べてくれたまえ。

ついでだから、ギフに見間違えたナミアゲハの画像も貼り付けとこっと。



最近は蛾の展翅の影響で上翅が下げ気味になってきてるが、これは蝶屋の展翅らしく前翅を上げ気味にした。
矢張り、こう云う上げ気味なのが好きだなあ…。

も一つ次いでに、ギフチョウと並んだ展翅画像も貼り付けとこう。



ねっ、ナミアゲハにしては小さいでしょ。


追伸
本稿は当初『往年のギフチョウ(後編)』と題して書き進めていたが、記事のアップ直前に『流水桃花物外春』に改題した。構成をロクに考えずに書き始めるから、こう云うことはままある。ワタクシにおいては、万事が日常茶めしごとなんである。何をするにも計画がアバウト。緻密な計画を立てようと思うのだが途中で放り出してしまうのだ。向いてない。
しかし、こうも思う。綿密に計画を立てたところで、だいたいがその通りにはいかないじゃないか。だったら緻密とか綿密な計画など立てる必要など無いではないか。そもそも、たとえその通りにいったとしても、それって果たして面白いか❓とも思ってしまう。まあ、立てた計画がピッチリ進んでゆくことに無上の喜びを持ってる人もいるとは思うけどさ。それはそれで楽しいとは理解できる。
そういえば知り合いにデートの前の週に下見に行く奴がいたなあ。自分には真似できないから尊敬はするけど、んな事は絶対一生やんないだろな。そこまでシュミレーションしてて計画通りにいかなかったら、絶対に女の子に苛つきそうだもん。となると、当然上手くいかないよね。細かくスケジュール管理する男は嫌われるのだ。
因みに、ワテは待ち合わせ場所だけ決めといて、そこで行く所を決めることも多い。で、その場その場の局面で物事を決めてゆく。時に導線も無視する。無茶苦茶だが、自分でも先がどうなるかは分からないから面白いのだ。女の子だって先が読めないからドキドキしたりする。ようは自分も楽しめて、女の子も楽しければいいのだ。勿論、女の子からの信頼があってこその話だけどもね。だから、これは恋愛慣れしてない人は絶対にやめといた方がいい。ノープランって、基本的には最悪だからね。女の子に嫌われるパターンの典型でもあるから、フレキシブルに動けない人は綿密な計画を立てましょうね。


(註1)イエローバンド




(2013.5.8 長野県開田高原)


(下はクモマツマキチョウ)

縁毛が黄色くて美しい。ギフチョウの型の中でも最も美しいものの一つだろう。
この型は各地に稀に見られるが、長野県白馬産のものが出現頻度が高いことで有名である。因みに、この個体はその白馬産を飼育放蝶としたと言われている長野県開田高原産のものである。とかく蝶屋は放蝶されたものに対して厳しい意見だが、こう云うのは全然OKな人もいるみたいで採りに行かれる人は多い。綺麗だから、ワシも全然許す。白馬ではギフチョウが採集禁止だしさ。


(註2)春の三大蛾
本ブログにて『春の三大蛾祭』と題して2017年と2018年に詳しく書いた。なので、宜しければソチラを読んで下され。


(註3)浮雲柳絮人間世 流水桃花物外春
第19代 内閣総理大臣だった原 敬(はら たかし)の書(漢詩)。
おそらく「禹山傍繞翠爭新兩澗平分月有鄰木紗柴開如看畫構陰苔徑欲凝塵浮雲柳藥人間世流水桃花物外春杯酒狂歌極浩蕩野煙晴樹望中勺春日遊山」という漢詩からの引用であろう。
一応、訳しておこう。
「柳の綿種がふわふわと浮かぶように、人の世は儚い。けれど川の水はそんな俗世間とは関係なく滔々と流れ、桃の花咲く変わらぬ春だ。」

当時は世界的にスペイン風邪(インフルエンザ)が流行し、日本でも約39万から44万人もの人が死んだと言われている。原自身も、この死の病に罹患した。これは、その時の事を思って書かれたものだとされているようだ。しかし、スペイン風邪では死ななかったものの、1921年に東京駅で暗殺されちゃうんだけどね。


青春18切符 1daytrip 春 第二章(1)

 

第1話 往年のギフチョウ

 
2020年 4月6日

JR難波から今宮駅まで行き、環状線に乗り換えて大阪駅へ。
この今宮駅で乗り換えるのが七面倒臭くて、毎回イヤんなる。本来、大阪駅に行くならば、地下鉄の御堂筋線もしくは四ツ橋筋線のなんば駅から乗るのが常道である。なんばから梅田(大阪駅)まで一直線の最短距離を走るから、その方が圧倒的に早い。しかも本数も多いから断然便利なのだ。
一方、JRを使う場合は一旦今宮もしくは新今宮駅まで南下し、そこから環状線で大回りに弧を描いて大阪駅へと向かわなければならない。つまり距離的にも遠いし、乗り換え時間もあるから倍以上の時間を要するのである。
これはひとえにJR難波駅が終着駅であるからだ。
ここ難波周辺に住むようになってからは、JRが難波と大阪駅とで直かに繋がっていないのは不便極まりないことに改めて気づかされた。なぜに延伸させなかったのかなあ?という疑問が一挙に噴出したのである。
とはいえ平野区に住んでいた時は、さほど気にならなかった。JR難波駅はその昔は難波駅ではなかったからだ。25年程前までは湊町駅(註1)という駅名だったので、難波駅じゃないんだから、それも致し方ないのかなあと思っていたのである。繁華街とはちょっと離れているがゆえ、エリア外として線引きされても仕様がないと理解してたってワケ。それが地下駅となり、名前もJR難波と改称された時には強い疑問を持った。憤然、そのまま地下を掘り進めて大阪駅に繋げればいいではないかと思ったのである。

しかし、それが将来的には解消されることをつい最近になって知った。どうやら新大阪まで繋がる路線の工事が始まっているらしい。


(出典『Response』)

「なにわ筋線」といい、梅田貨物駅跡地に新しく「北梅田駅」を新設し、従来からある貨物線を利用して新大阪駅まで繋げるという構想らしい。南海電鉄(南海なんば駅)と阪急電車(十三駅)との相互乗り入れも決定しているという。つまり新大阪から関西空港までの直通電車が誕生し、大幅にアクセスが良くなるってワケだ。
但し、工事の完成予定は2031年になるそうだ。果たしてそれまでここに住んでいるのかね❓何か恩恵を受けずじまいになりそうな気がするよ。

それはさておき、こうして地図を改めて見ると驚かざるおえない。赤線の新線左横のグレーの膨らんだ線が、おそらく環状線だろう。だとしたら、難波から梅田まで如何に遠回りしているかが今更ながらよく解るじゃないか。
とはいえ、今日は御堂筋線に乗る気はない。なぜなら青春18切符の旅とは、やむおえない場合を除いては一筆書きであらねばならぬという強い信念があるからだ。そして、どんだけJRを乗り倒してやったかが、自分の中で重要なのだ。そこに何となく達成感みたいなのがあるのである。青春18切符に便利という視点は要らない。むしろ不便さとその苦難に耐え、途中下車も有りいので、ジワジワと目的地に近づいてゆくところに醍醐味があるのである。

のっけから物凄く話が逸れた。
いつもの悪い癖だ。ロクに構想無しで思いつくままに書いているから、ついつい興味のある方に引っ張られてしまい、こうして脱線してしまうのである。(^~^;)ゞまっ、今回は電車の話を書いているので脱線も致し方ないか(笑)。
あっ、いかん、いかん。電車に脱線は洒落にならんな。以後、努めて脱線なきように書き進める所存である。

大阪駅で宝塚線の丹波路快速に乗り換える。
比較的乗り慣れてる電車なので、写真を撮り忘れた。ゆえにネットから画像を拝借させて戴こう。


(出典『フォト蔵』)

名塩駅で普通に乗り換え、次の武田尾駅で下車する。
青春18切符を使うわりには近場じゃないかとツッコミが入りそうだけど、それなりの理由がある。当初は別なところに行く予定だったのだが、前夜になって急遽やめたのだ。理由をあげれば他にも色々あるのだが、単純に言うと路線検索のアプリが調子悪くて💢ブチギレたのである。

降りて直ぐ、バスに乗り換える。
今回もギフチョウの採集が目的だ。
武田尾といえばギフチョウの往年の名産地である。1970年頃までは多産しており、シーズン中は何十人もの採集者が押しかけていたそうだ。しかし、それ以後は開発や里山の放置による荒廃等により激減し、訪れる人もめっきり減ったという。

 
【ギフチョウ】

手乗りギフチョウだね。

それから約半世紀、現在はと云うと確実に増えている。
但し放蝶によるものである。ゆえに訪れる者は今も少なく、大多数の採集者はお隣の三田市に集まっている。蝶屋(蝶愛好家のこと)と呼ばれる人種たちは、放蝶されたものを極端に嫌うのである。憎養殖モノを良しとしないっていう概念が強いのだろう。まあ、言ってみれば大きな生け簀で釣りするのと同じだと考えれば、解るような気がするけどさ。
でも地図を見ると、武田尾と三田は連なっているから両所を移動していることは充分に考えられる。互いの血が混じっている可能性は結構あるのではないかと思う。とはいえ、自然由来か養殖モノかを区別するのは困難だ。その線引きは、斑紋が異なる他産地のものが放蝶でもされていないかぎりは事実上不可能だろう。
そんな放蝶されたギフチョウに何で会いに来たのかというと、べつに往年の名産地である此の地域のギフチョウがとりわけ欲しかったワケではない。産地ラベルのコレクターではないしね。僕ちゃん、ギフチョウを見つけて採る行為じたいが楽しいだけの人なのだ。だから理由を簡単に言っちゃうと、三田は人が多そうだと思ったからである。場所取りとか面倒くさいのだ。加えて、三田駅から採集ポイントまでの道中を考えると萎えた。途中、とんでもなくキツい坂を登らねばならぬのである。アレがホント辛くてイヤ。
それに今回は青春18切符での移動というのもある。乗り放題なので電車賃を気にすることなく、いつでも三田に転戦が可能なのだ。ここがダメなら、移動すれぱいいのである。その気楽さが此処を選ばせた。

実を云うと、もう一つまだ理由がある。
ここは春の三大蛾であるオオシモフリスズメ、エゾヨツメ、イボタガが3つとも産する。次回ライト・トラップをするにあたり、今一度、場所の選定を考えてみようと思ったのだ。謂わば下見である。そして、密かにあわよくば昼間でも見つけられまいかと思っていた。昼間に隠れている場所さえ見つかれば、わざわざ夜にライト・トラップをしなくても済む。夜の山ん中はおぞましくて怖いんだもん。この時期、夜はまだまだ冷えるしさ。

バスは急勾配を苦しそうに登ってゆく。
こりゃ、歩いては夜にライト・トラップする場所までは行けないなと思った。それも確認調しておきたかったのだ。
ちょっと憂鬱な気分で車窓の外に目をやる。これでギフチョウまでいなけりゃ、場所選びは大失敗だなと思った。

                         つづく

 
追伸
のっけからの脱線で疲れてしまって、ここで力尽きたなりよ。第二章は2話で終える予定が、この調子だとまだまだ続きそうである。これからは極力、脱線せぬよう鋭意努力しよっと。って云うか、このシリーズ、完結するのかよ❓道のりは遠いわ。

 
(註1)湊町駅
関西本線の終着駅である。あっ、今は大和路線と呼ぶんだっけか?いや、大和路線は愛称だっけか?ややこしいなあ。どっちかに統一しろよな。

どんな駅だったっけ❓と思い、当時の画像を探してみた。


(出典『さいきの駅舎訪問』)

こんなだったっけ❓ 全然、記憶にない。
年号は平成6年(1994)9月とある。どうやらこの時に駅名が「湊町」から「JR難波」に改称されたようだ。
この地上駅の「JR難波」は地下化までわずか1年半しか存在しなかったんだそうだ。余談だが、JR西日本ではこの難波駅が初の地下駅だったんだそうな。

ちなみに現在の駅はこんなの。


(出典『さいきの駅舎訪問』)

およそ駅に見えない、もう丸っきりの別モンである。
今は近所に住んでるから関係ないけど、昔と比べて改札口は歓楽街から遠くなったからムカついた記憶あり。


(出典『さいきの駅舎訪問』)

最初の画像とあまり変わりないが、湊町駅みたい。そう言わてみれば、何となく記憶の隅に画像がある気がしてきた。
高速道路の工事に支障があるために、平成元年(1989)12月に駅舎を移転したそうだ。そういえば駅の位置がズレたと云う記憶があるや。さっきより少し記憶の輪郭が鮮明になりかけてきてる。
移転の日付を見て気づく。その頃には東京に住んでいたから、あまりこの駅舎には馴染みがないのだろう。それでも1、2回は帰省していたから、年2、3回くらいは利用していた筈だ。


(出典『さいきの駅舎訪問』)

あっ、コレだね。これこそ記憶の中の湊町駅だ。強く印象に残っているのはこの駅舎だよ。
ミナミで遊んでて、終電に乗るのによくここまで走ったっけ…。
昭和24年(1949)3月改築とある。たぶん数え切れないほど、この駅の改札を通ってるんだろな。


(出典『懐かしい駅の風景〜線路配置図とともに』)

そうそう、改札を抜けると右手にコノ字型のプラットフォームがあったんだよなあ。


(出典『懐かしい駅の風景〜線路配置図とともに』)

誰もいないね。


(出典『アルベース』on twitter)

改札からプラットフォームまでの雰囲気がとても好きだった。人でゴッタ返していても、どこか風情があった。


(出典『ゲイの鉄道マニア・カシオペアの個人的趣味シャベレ場』)

この白い鉄骨、懐かしい。


(出典『交野が原道草』)

こんな感じで、電車がよく停まっていた。
でも、だいたいの記憶は夜か夕方だけどね。遊びに行くから、行きは夕方、帰りは深夜なのだ。


(出典『つるさんの鉄ブロ温泉』)

103系らしい。
そういえば東京に初めて出てきた時には、この電車が山手線を走ってたから何だか変な気分だった。
それはさておき、こんなのが快速電車として走ってたんだね。そういえば、微かだけど記憶にあるや。


(出典『新快速東京行き@外出自粛中』)

駅名の看板も懐かしいが、背後の景色がもっと懐かしい。そういや、こんな風景だったわ。でも多分、殆どの建物は今は無い。
タイムマシーンがあったら、この時代に帰りたいよ。

 
追伸の追伸
ありゃー、舌先が渇かぬうちに早くも註釈で脱線だわさ。
脱線は、もう宿痾のビョーキなのかもしれない。次回はちゃんとギフチョウの事、書きまあーす。