『燃えよ麺助』ってどーよ❓


先日、念願だった『燃えよ麺助』に行った。
この店、大阪では超有名なラーメン屋で行列が絶えない。
トリップアドバイザーの評価では5点満点の「4.5」、食べログでも「3.78」という高得点で、2017年と2018年には『食べログラーメン百名店WEST』にも選出されている。
そして『ラーメンWalkerグランプリ2019』では並居る名店を押し退けての総合部門1位にも輝いている。
また、姉妹店『麦と麺助』は同年にミシュランガイドのビブグルマン入りも果たしている。ついでに言っとくと、『秘密のケンミンSHOW』でも取り上げられていたそうだ。
そこまで評価が高いのならば、自ずと期待値もマックスにならざるおえない。

場所は大阪駅から1つ先、環状線の福島駅を降りて直ぐにある。



夕方の部の開店時間午後6時の5分程前に店前に着く。
(☉。☉)あっ❗、並んでる人が少ない。
新型コロナの影響だろうが、2、3人しかいないじゃないか。予測は何となくしていたけれど、思ってた以上に少ない。
実をいうと、去年この店には一度だけ並んだ事がある。しかし並ぶの大の苦手な男ゆえ、10分で痺れを切らして行列から離脱した。



コロナ対策のせいか今日は入口が開いているが、前回来た時は閉まっていた。だから全体が白壁で窓らしい窓がなく、一文字型の細い窓から辛うじて店内が覗けた。つまり、およそラーメン屋とは思えない外観なのである。 それで思い出した。このカッコつけた外観にも嫌な感じがして、行列から離脱したのだった。



暖簾が短くて、お洒落でやんす。

程なくして、店員に促されて店内に入る。
しかし、ここで💢イラッとくる。一見丁寧な接客なのだが、どこか偉そうで慇懃無礼な匂いを感じた。客に対して食わしてやってるみたいな雰囲気が嗅ぎ取れたのである。まあいい、若者だ。有りがちの事だろ。若者ってもんは、店の看板という虎の偉を借りて猫なのに虎になった気分に成りがちってもんだ。かまへん、かまへん。だいち、そんな些事で自らラーメンを不味くしてしまうのは愚かなことだ。心を平静にリセットするっぺよ。

入って直ぐ右手に自動券売機があり、そこでチケットを買う方式になっている。この自動券売機パターン、あまり好きではない。後ろに人が並ぶので、どこか急かされたような気持ちになるからだ。それにそもそも背後につかれる事を極端に嫌う男でもある。世が世ならば、振り向きざまに袈裟がけにしかねない危ない人なのだ(笑)。

この店は「紀州鴨そば」と「金色貝そば」の二本柱。前回並んだ時に、それくらいは学習している。そこで思い出した。前回並んだ時は前にいたカップルの男の方が、横のブスに如何に「紀州鴨そば」が「金色貝そば」よりも旨いかを力説しておったのだ。それも相俟ってか💢イラッときて離脱したんだったわさ。短気だね〜。
しかし、ここは素直に彼の言に倣って鴨そばにしよう。
でも小さな字がズラズラと並ぶボタンを見て、一瞬パニくりかける。この辺も自動券売機が嫌いなところである。
何とか見つけたものの、再び選択を迫られる。「紀州鴨そば」¥890と『味玉紀州鴨そば』¥990のどちらかにするか迷ったのだ。ちょいとお高いが、もともと味玉好きだし「味玉紀州鴨そば」の方をチョイスする。
それにしても、最近のラーメンって高いよなあ…。千円前後が当たり前になりつつある。スープなど素材に金が掛かってるのだろうが、どこか納得いかないところがある。昭和の男は安くて旨いのがラーメンって云う概念が強いからだ。その辺の食堂の定食よか高いって、どーよ❓
とはいえ、時代も変わりつつあるのだろう。そのうち千円越えのラーメンが当たり前の世界になるかもしれない。全ての料理の調理技術を注入した究極の料理がラーメンだとか芸術作品だとか言い始めたら、そうなりかねない。けど千円越えのラーメンなんて食ってたまるかの所存だけどね。

店内はカウンター10席のみ。思ってた以上に狭い。
そりゃ、行列にもなるわな。きっと店の戦略なのだろう。
これは行列効果というもので、バンドワゴン効果とも呼ばれている。多くの人がある選択肢をとると(この場合は行列)、さらにその選択肢をとる人が増えていく現象を指す。つまり、人は行列=人気があると感じ、よっほど旨いんだろうなと考える。で、「とりあえず多くの人に同調しておこう」と云う心理が働き、情報をあまり吟味せずに並んでしまうと云う心理効果のことをいう。ワシもそれに完全に引っ掛かっとるワケやね。
店としての戦略なんだから、べつにそれを否定しているワケではない。自分が逆の立場だったら、同じこと考えるもんね。

驚いたことに、こんな狭いのにスタッフが4人もいる。
多くないかい❓この店の規模なら3人で充分だと思うんだけど…。
人件費は意外と高い。店の経費の多くを占めている。勿論、それはラーメンの価格にも反映されて然りだろう。スタッフを一人減らせば、ラーメンの価格も安くなりそうなもんだけどね。

店内にはジャズが静かに流れている。こういうお洒落風情のラーメン屋って、最近やたらと増えてねえか❓ 目の前には、スタイリッシュな金属のコップと脇には透明でデザイン性の高い水入れ。何処までもお洒落路線である。
気づいてはいたが、目の前のスタッフもまるでシェフみたいなユニフォームである。解った、解ったよ。コンセプトはそうゆうことなのね。店主の目指すところが、よくワカリマシタ。自分の店なんだから、大いになさってよろしである。店をどうしようが、それは店主の特権だかんね。ただ、自分は洒落たラーメン屋が何となく気持ち悪いだけだ。
そこでまた記憶がフィードバックする。といっても、もっと時間的には近い話である。さっき来る時にたまたま筋を一本間違えて店の裏を通った。その時、このスタッフたちが裏通りでたむろしてたわ。あくまでも私見だが、その感じは嫌なものだった。だるそうな雰囲気で、客をナメた人たちだとセンサーは反応していた。料理人のバックステージなんてものはどこも似たようなものだが、目についたから覚えていたのであろう。

コロナウィルスの影響か、こういうのもカウンターにあった。



3列目が引っ掛かる。 「咳、くしゃみエチケットを守ってくださいますようお願いいたします(原文のまま)」
一瞬、「、」が無いから、くしゃみエチケットって何ぞや?と思ったが、咳やクシャミはエチケットを守って下さいという事 なのだろう。でも、このエチケットというのが今ひとつよくワカラン。咳やクシャミをするなって事なのか❓でもこの2つは咄嗟に止められるものではないだろう。どうせよというのだ❓咳やクシャミをしても迷惑をかけない為にマスクがあるのではないか❓マスクしてても、咳やクシャミはしてはいけないのか❓それとも咳やクシャミをするなら、手で口や鼻を覆うのではなく、欧米のエチケットみたく自分の肩に鼻と口を付けてせよって事なのか❓はたまた、コレはマスクをしていない人に対して言ってるのか❓だったら、マスクしてない人の入店を断れよ。入口にその旨、張り紙なさい。
何か、ものを食うには最悪の精神状況になりつつあるが、忘れよう。そういう負の感情は切り捨ててリセット、ここはラーメンに集中しよう。ラーメンさえ旨けりゃ、そんなもんは払拭される。お洒落であろうが無かろうが、その他云々も関係ない。そんなものに味のジャッジメントが影響されてはならない。それが昔からのモットーだ。例えば、どんだけムカつくオヤジの店であったとしても、旨けりゃいいのである。そこに人間性は関係がない。旨けりゃ、再訪するだけのことだ。問題はない。そうゆうスタンスなのだ。

5分と経たずしてラーメンがやって来た。驚くほど早い。



運ばれて来た時に、微かに柚子の香りがした。矢張り、そっち系か…。とはいえ、柚子は好きなので全然許せる。

見た目はインスタ映えしそうなお洒落なレイアウトだ。
具はレアチャーシュー、鴨肉、支那竹(メンマ)、白ネギ、三つ葉ってところだ。そこにトッピングと言ってもいい、味玉が加わる。

先ずはスープから。
レンゲで一口すすって、🙄アレレ❓と思った。期待していた程には旨くないのである。
ならばと丼鉢を持って直接すすってみる。スープ表面の脂との関係で、そうした方がスープ本来の旨さが解るからである。
しかし、やっぱり感動するような旨さはない。
一瞬、ワシもコロナを発症したのではないかと思ったよ。でも味も香りもするから、冷静に考えればコロナではない。首を傾げる。
名前通りの鴨と、たぶん鶏ベースの醤油味かな?…。けど、それだけではない複雑な味わいがあるから、他に魚介系と昆布の出汁も少し入っていそうだ。
旨味とコクはあるがどこかサッパリとしており、上品な顔のスープだ。女子の評価が高そうである。
けど正直、鴨だしって感じがあまりしない。自分が知っている鴨だしとは遠い。鴨なら、もっと深みと旨味があって、鴨独特の脂が感ぜられる筈だ。
それに何よりいけないのが、如何せん口に残る後味が甘い。一瞬、鴨の甘みかな?とも思ったが、それにしては違和感大だ。素材の自然な甘みではないような気がする。
(-_-;)うーむ、これはおそらく四国や九州で好まれる甘い醤油を使っているからではなかろうか❓そう思った。あの、醤油に大量の砂糖を入れた甘醤油、昔からどうも好きになれないんだよねぇ。関西の西の端あたりから、この甘い醤油が幅を効かせており、皆さん、刺身とかにも好んでかけらっしゃるのだ。
それにしても世の中、こんなにも甘いもん好きの人が多いのかね❓ラーメンに甘みは、野菜の甘み以外は要らんだろ❓ そりゃ、長らくスィーツブームだって続くわさ。
とはいえ、途中で柚子を混ぜたらバランスが少し良くなった。

麺は中細のストレート麺。コシがあり、心地好い歯ざわりがある。スープとの絡みも良い。感覚的に加水率は高くないようだし、個性的な麺と言っていいと思う。
思うに、何となく蕎麦の雰囲気もある麺だ。柚子や三つ葉が入っているせいもあるし、スープも相俟ってか途中から段々ラーメン食ってる気かしなくなってきた。頭の中がちょっと混乱する。麺も旨いような、そうでもないような気がしてきて、益々混乱が広がる。
そして、何だか麺が途中からどんどんスープを吸っていく感じがして、段々マズくなっていってるような気もしてきた。

スープと麺を別々に評したので、説明がバラバラになってしまっているきらいがあるが、今さら書き直すのも面倒だ。このままの路線でいく。具についても個別にコメントしていこう。

レアチャーシューは素直に旨い。でも感動する程ではない。
味玉も旨い。味の染み具合といい、黄身の半熟度合いといい申し分ない。たぶん何処かのブランド玉子なのだろう、黄身がオレンジ色でコクがあり、旨味が強い。
それらをも凌駕するのが、支那竹だ。「しな」と打っても支那と出てこない。今どき、その名称って差別用語でマズイんだっけ❓たかが食いもんにまで差別とか言う世の中って、恐いよな。今や言葉狩り社会だ。
スマン、スマン。また危うく大脱線するとこじゃったよ。この手の話をしだすと終わんなくなっちゃうからね。変換が面倒だし、以後メンマで通します。
このメンマ、極太で唯一無二なくらいに美味い。よくある甘ったるくて濃くてどうでもいいようなオマケ的存在のメンマではないのだ。抜群に歯応えがあり、噛むとスープとは別な系統の洗練された出汁が溢れ出す。存在感があって、メチャンコ美味いのである。これにはマジ感動したよ。
しかし、炙り鴨がそれらのハーモニーを致命的にブチ壊した。
口に入れた瞬間に直ぐ違和感を感じて、本能的に解った。傷んでて腐りかけているのである。その場で、よほど吐き出そうかとも思ったが、カッコ悪いので我慢して飲み込んだ。気分、最悪である。こんなもんを客に出すって言語道断だろう。全てを台無しにするダーク・インパクトな代物だ。
一応フォローしておくと、もし傷んでなかったら、それなりに評価されて然るべきものだとは容易に想像がつく。おそらく、前日に余ったモノの保存状態がよろしくなかったのであろう。

このラーメンの自分の印象を一言で纏めてしまうと、パンチがない。ドロドロ濃厚なラーメンは好きじゃないけれど、上品なラーメンもあまり好きではないのかもしれない。意外と自分のラーメンの好みのレンジは狭いのかもね。ようはラーメンほど各人の好みが分かれる食いもんはないものと思われる。だから。あそこは美味いけど、ここのは認めないなどという各人バラバラの意見が飛び交うのだろう。

結果、ディスりまくってしまったが、ゴメンやけど嘘はつけない。正直、これなら店主の弟が出した店、近鉄の難波(大阪難波)駅構内にある「なにわ麺次郎」の方がまだ旨いと思ったよ。



コッチもジャズが流れるお洒落系ラーメン屋である。




まあ、コチラでは貝だしの「金色貝そば」を食ったから、比べることじたいがフェアではないんだけどね。

さらに言えば、同じ福島ならジャンルは違うけど、個人的には鶏白湯麺が売りの「ラーメン人生JET」の方が好きかな。店を出て、正直そっち行っとけば良かったと思ったよ(ちなみに煮干しラーメンで有名な『烈志笑魚油 麺香房 三く』もあまり好きじゃない)。
もっと言うと、店を出た前、斜め隣にある「大洋軒」の唐揚げ定食を食っときゃ良かったと思った。行ったことないけど、その店は「第8回からあげグランプリ」中日本醤油だれ部門金賞を受賞してもいるのである。オラ、唐揚げフリークだかんね。
因みに唐揚げ定食は¥780である。それからすると、やはりラーメンが¥990って納得いかんなあ…。

帰って食べログの口コミ欄を見たら、何と大半の人が★5つとか4つを付けていた。皆の舌がオカシイのか、ワシの舌がバカなのかマジで悩んだよ。 しかし少数だが、★2つとか3つの意見もあった。読むと、スープが甘いとかワシの感想と近いものもあった。それで少しホッとしたよ。ワシのような感想を持った人もいるってことは、全く的外れな意見ってワケでもないからね。 とはいえ、世間の評価が高いのも事実だ。嫌味でもなんでもなく、行きたい人はワシの意見など無視して行かれるがよろしかろう。こんだけ評価が高いなら、かなり満足できる筈だ。
ワシは二度と行かんけどね。

                        おしまい

追伸
因みにあとで調べたら、店主は「金久右衛門 本店」の御出身のようだ。
金久右衛門といえば「大阪ブラック」が有名で、食べログ大阪ベストラーメン3年連続No.1(2009〜2011年)、関西1週間大阪ベストラーメン受賞、大阪ラーメン覇王決定戦 準優勝、東京ラーメンショー2012 第一幕優勝など数多くの受賞歴を持つ関西を代表する醤油ラーメン専門店である。
自分も本店と道頓堀店に行ったことがあるけど、納得の旨さだった記憶がある。でも醤油の甘さは記憶にない。たぶん九州や四国の醤油もブレンドして使っているのだろうが、ようは気になるか気にならないかは、味のバランスにもよるのだと思われる。気にならない程度の甘さはラーメンのスープには必要なのかもしれない。

スープには紀州鴨と阿波尾鶏の鶏ガラ、魚介のスープ、昆布だしが入っているらしい。一応ビンゴのようだが、古い記事も混じっているだろうから今もそうなのかはワカラナイ。現在は違っている可能性はあるだろう。真面目な店ならば現状に満足せず、日々スープも改良を重ねているからね。因みに或る記事には、ポルチーニ茸オイルも入っているとか書いてあった。全然ワカランかったけど。
醤油ダレは小豆島の醤油に数種の醤油をブレンドしているようだ。小豆島の醤油ならば、瀬戸内だから甘い可能性大だね。醸造元が分からないから何とも言えないけどさ。
いや、待てよ。小豆島は香川県だけど、たしか四国みたく醤油は甘くなかった筈だ。となると、このスープの甘さは醤油由来のものではないと云うことか…❓でも、あの甘ったるさは鴨ダシ由来ではないと思うんだよなあ…。だったら何なのだ❓ワッカリマセーン\(◎o◎)/

麺は、昔は森製麺に特注したものを使っていたようだが、現在は自家製麺。全粒粉と最近流行りの高級小麦「はるゆたか」もブレンドして使っているそうだ。そのわりには、あまり小麦の香りを感じなかったけど。

味玉は「赤うま卵(旨赤卵?)」という鹿児島の卵を使っているらしい。やはりブランド卵だったのね。

メンマは、無添加熟成メンマを4日間かけて戻し、鰹だしに一晩つけたそうだ。

炙り鴨の鴨ロースは和歌山県湯浅町「太田養鶏場」にて育てられた純国産紀州鴨で、藁(わら)で炙っているそうな

レアチャーシューは豚肩ロースを特製塩ダレに漬け、香ばしく焼き上げた後に低温でじっくりと火を通したみたい。

驚いたのは、香辛料として胡椒と祇園「原了郭」の黒七味が置いてあると云う記述が散見されたことだ。そんなもんはワシの目の前には無かったぞ。あったら、絶対に黒七味かけまくり必至であったろうに。誠にもって無念じゃよ。
しかしそれは昔の話であって、現在は置かれていないのかもしれない。もしかして、うちのラーメンは旨いんだから、何にもかけんなよって事かね❓客には味変する権利も自由も与えられないってワケね。それって餃子屋に何も調味料が置いてないのと同じじゃないか。味が付いてますのでそのままどうぞと言われても、飽きてくるから醤油やラー油、胡椒、酢をつけたい人だっているだろうに。せめて胡椒か山椒、七味のどれか一つくらいは置いて欲しいな。人間の舌は皆同じじゃないんだからさ。ブツブツ(ー_ー゛)
何か結局最後までディスりまくりで終わってしまったよ。店主さん、ごめんなさいね。バカ舌男の戯れ言だと思って許してつかあさい。

話は全然変わる。
実を云うと、ラーメンを食ったのは伊丹空港周辺にシルビアシジミの様子を見に行った帰りです。しかもミナミの難波からママチャリ🚲で。

【シルビアシジミ♂】


今年は発生が早かったようで、ゴールデンウィーク後半のこの日には既にボロ個体ばかりだった。おそらく4月下旬が適期だったのだろう。しかも1箇所を除いて個体数も少なかった。但し、晴れだったけど風が強かったから何とも言えない部分がある。風が強いと蝶はあまり飛ばないからね。
個体数が多いところは♀ばかりだった。バルボキア感染は継続して起こっているようだ。このバルボキア感染について知りたい方は、拙ブログ『シルビアの迷宮』の第三章 バルボキアの陰謀の回を探して読んで下され。URLを貼り付けるのは面倒なので、申し訳ないけど自分で探してね。
そういうワケだから、今回は1つも持ち帰らなかった。あまりにボロばっかなので早々と諦め、蝶の写真を撮っていた爺様とずっと喋っとりました。

帰りにスカイパークにも寄った。



関空なんかの画像をTVで見てると飛べない飛行機がズラズラと並んでいるが、そんな様子は見受けられなかった。通常通りとは言えないが、思ってた以上に飛行機の離着陸がある。

調度着いたところで、ボーイング777-200/-200ERの離陸が始まった。ラッキーである。現在の大阪空港ではジャンボ機は就航しておらず、こやつとボーイング777-300/-300ERくらいしか大型機は見られないのだ。



スピード、遅くねえか❓
ドタドタと重そうに滑走路を走ってゆくのを見て、よくこんな鉄の塊が空に浮かぶなと思う。小さい飛行機ならまだしも理解できるが、このクラスの大きさになると俄に信じ難い。飛行機嫌いの、あんな鉄の塊に乗れるかい云々の意見も解るような気がしたよ。

半神の蛇

 
去年は春の3大蛾のうち、ついぞイボタガとオオシモフリスズメを見れなかった。
なので、今年は何とか会っておきたいと思った。

 
【エゾヨツメ】

 
【オオシモフリスズメ】

 
【イボタガ】

 
しかし、箕面で灯火回りをするも惨敗。
その後はずっと天気が良く、出動できなかった。月齢も悪くて月夜続きだったのだ。天気が良いのに何で❓と訝(いぶか)る向きもおられるだろうから、一応説明しておく。
蝶採りの場合は晴天が好条件となるが、蛾の灯火採集の場合は反対に曇天や小雨の天候の方が好条件となるのである。
蝶と比べて蛾が気の毒なのは、夜の住人だからだ。今でこそ、夜になっても光が溢れているが、古(いにしえ)の時代はそうではなかった。昔は今よりもずっと闇は深く、人々はその闇を怖れていたのだ。その闇から湧き出る蛾は魑魅魍魎の化身であり、畏怖の対象になったとは考えられまいか。その記憶の遺伝子が現代人にも引き継がれているのではなかろうか…。そんな気がする。
我々現代人は今の時代のモノサシで全てを計ってはいけない。昔の方が今よりも闇が深かったゆえに、数々の幻想的な物語や奇っ怪な伝説、伝承が誕生したとも言えるのだ。そこに人々は想像力を掻き立てられ、ドラマツルギーにも大きな影響を与えた筈だ。
冒頭からワケのわからぬことを言ってしまった。御託はこれくらいにして、話を進めよう。

 
2020年 4月17日。
久々に良さげな天気予報で、曇天且つ気温も高め、翌朝は雨となっていた。灯火採集には好機である。
んなワケで小太郎くんを誘ったら、車で来ると云う。

午後8時前に奈良の富雄駅でピックアップしてもらい、近大農学部方面へ。
しかし、駐輪場の外灯には何もいない。ここの外灯は去年の春までは水銀灯で、色んな虫がバンバン寄って来ていたのだが、夏に入るとLEDライトを残して突然消灯されてしまった。秋になって復活したと思ったら、何にも寄って来なくなっていた。一見して水銀灯っぽいライトなのだが、たぶん水銀灯モドキのLEDなのだろう。早々と諦め、南へ向かう。

しかし、昨年の秋までは水銀灯にバシバシにウスタビガが飛んで来ていた葬儀場もLEDに替わっていた。そして、橋上の水銀灯は消えていた。最悪である。これで確実に水銀灯があるのは、この地域では知る限り1箇所だけとなった。
けど、泣きっ面に蜂。そこも質も量もダメでロクなもんがおらん。オオシモフリの羽が落ちていただけだった。

ならばと、新たな水銀灯を探し求めて信貴山方面を探索する。
なんとか幾つかの水銀灯を見つけたが、なぜか何にも来とらん。天気、気温、湿度共に良い筈なのに何でやのん(╥﹏╥)❓

仕方なしに、オオシモフリの羽が落ちていた水銀灯に戻る。
時刻は既に午後11時近くになっている。しかし遠目に見ても、水銀灯の周りにはロクすっぽ何も飛んでなくて、全く活性が入っていない。時刻的にはゴールデンタイムなんだけどなあ…。
エゾヨツメは日没直後に現れるが、オオシモフリは9時過ぎ頃から飛来が始まり、午前零時前後に個体数が多い。イボタガはオオシモフリより飛来が遅れ、午後10時以降、多くは午後11時を過ぎてから現れるのだ。
だが、近づくも状況は全くもってヨロシクないままだ。ホント、泣きたくなるくらいに何もおらん。

そんな中、小太郎くんから声が飛ぶ。
「屋根の庇に何か大きいのが止まってますよ。」。
見ると、そこには大きなスズメガが止まっていた。
しかし、大きいとはいえどもオオシモフリと比べれば小さいし、遥かに迫力に欠ける。邪悪性も感じられない。オオシモフリくんはバケモン的存在で、ネズミくらいはあるのだ。下手したら、ネズミよかデカイかもしんない。もうオーラが全然違うのだ。またチューチュー鳴いてくれよ、オオシモフリちゃん。

それはそうと、このスズメガって何じゃらホイ(・o・)❓
この時期にいるスズメガっていたっけ❓ 見たことも聞いたこともないぞ。普通スズメガの仲間って、コスズメとかベニスズメ、キイロスズメなど早いものでも5月に入ってから現れると云うイメージしか持ち合わせていない。

取り敢えず、もっと近くで見てみようと下から網で突っついたら、イヤイヤしよる。何ゆえ、そんなところに固執するのかね?キミにはキミの事情があるかもしれないが、許しません❗
更に強引に突っついたら、網の縁にポテッと落ちよった。
で、動かない。

 

 
(ー_ー゛)うーむ、何じゃこりゃ❓
上翅の柄がオシャレっちゃオシャレで、まあまあ渋カッケーかもしんない。たぶん見たことがないスズメガだ。小太郎くんに何ぞや?と訊いてみたが、彼もワカラナイと言う。
もしかしたら、稀少種とか海外から飛来した迷蛾かもしれないと云う考えが頭を掠(かす)める。マホロバキシタバ(註1)に引き続き、又してもイガハヤコンビで新発見とちゃうかーと云うスケベ心がムクムクと湧き上がってくる。

とはいえ、ススメガは蛾を噛り始めた2018年は一応採っていたものの、次第に無視するようになった。普通種は一通り採ったと云うのもあるが、所詮はデフだと解ったので興味を失ったのだ。ススメガの仲間は止まっている姿はシャープで結構カッコいいから、つい採ってしまってたんだけど、展翅するとイマイチ格好良くないのだ。それを思い出して、上がったテンションがソッコー下がる。

と云うワケで、持ち帰るかどうか迷った。殺すのが面倒くさいし、持ち帰ったら展翅しなければならない。それもまた面倒くさいからだ。
だが、まあまあカッコイイし、採らないと後に正確な同定が出来ない。それに、もしも珍品だったら後々に地団駄を踏みかねない。しゃあない。持ち帰ることにした。

12時過ぎまで待ったが、他に飛んできたのはボロボロのアケビコノハだけだった。一瞬でも、すわっエゾヨツメのメスかと思った自分が呪わしいよ。

 
【アケビコノハ】

 
その後、天理、山添村と足を伸ばしたが、悲しいくらいに何もいなかった。そのうち無情の雨が降り出し、ジ・エンド。吉野家で牛丼食って、始発で帰った。
あ〜あ、今年もオオシモフリ、イボタガには会えずじまいで終わりそうだ。

翌日、小太郎くんからLINEが入った。
彼の言によると、あのスズメガ、どうやらハネナガブドウスズメという名前らしい。
ネットでググると画像がいっばい出てきた。なんじゃい、って事は普通種やんけー(ノ´・ω・)ノ ミ ┻━┻。
一瞬、捨てたろかと思ったが、殺めといてそれもしのびない。それに画像検索しても生態写真ばかりで、展翅画像が殆んどない。だから、どんな奴なのか全体像がイマイチ把握しきれない。というワケで、超久し振り、2年振りにスズメガを展翅してみた。

 
【ハネナガブドウスズメ】

 
スマホを買い替えたら、勝手に補正して色がドギつく映りよる。茶褐色で、やや紫がかってはいるが、本当はこんなに赤っぽくは見えない。
なので、前のスマホで撮り直した画像も貼り付けておく。

 


(2020.4.21 奈良県生駒郡平群町)

 
十全とは言えないが、こっちの方がまだ実物に近い。
ところで、コレってオスなのかなあ?メスなのかなあ?
多分ススメガの仲間だから雌雄同型なんだろうが、ワカラン。

お手本がないので適当に展翅したが、こんなもんかなあ…。
蛾は翅の形が個性的なモノが多くて、正解を見い出しづらい。

一応、ネットからパクった裏面写真も貼付しておきます。

 
[裏面]

(出典『Wikipedia』)

 
それにしても、やっぱスズメガは胴が太くて、下翅が小さいや。だから高速で飛べるのだろうが、この胴体と翅とのバランスがどうも好きになれない。オオシモフリは上翅がジャックナイフみたいでカッコイイから許せるが、他はだいたい形がおとなしいのだ。あと許せるスズメガの仲間といえば、オオシモフリと同じく禍々しい出で立ちのメンガタスズメ、クロメンガタスズメと色柄が美しいイブキスズメ、キョウチクトウスズメくらいだ。

それはそうと、下翅がやっぱり地色一色のベタで柄が無いなあ。これは別にスズメガの仲間に限ったことではなくて、蛾の多くがこのパターンである。だから、展翅の時に翅を開いてみて、ガッカリすることが多々ある。
対して蝶は殆んどの種類が上下ともに柄がある。そこが蝶の方が人気のある理由の一つになっているのかもしれない。このハネナガブドウにしたって、上翅は中々にスタイリッシュなのに惜しい。下翅も上翅と同じようなデザインならば、印象が相当変わるだろうに。正直、上翅のデザインに関しては蛾の方がバリエーション豊富で、デザイン性が高いのではないかとさえ思うことがある。でも下翅がねぇ…。
それに蛾は裏の色柄がイマイチなモノも多い(ハネナガブドウは、まだマシな方)。そのへんも残念なところだ。
思うに、これは蛾は蝶のように翅を立てて止まるものが少なく、下翅を見せずに三角形の形で平面的に止まっているものが多いからではなかろうか❓ 見られることが少ないゆえに下翅や裏面は手を抜いてるんじゃないか❓そう疑いたくもなるよ。言っとくけど、あくまでも総体的な話で、例外は多々あるけどね。

普通種とはいえ、一応どんな奴かをザッと頭に入れておくことにした。これも一つの出会いである。知っておいて損はなかろう。

 
【科・属】
科:スズメガ科(Sphingidae)
ホウジャク亜科(Macroglossinae)
属:Acosmeryx Boisduval, 1875

意外にもホウジャク亜科なんだね。全然ホウジャクっぽくないけどさ。
そういえば Barをやってた頃の客の彼女に、ホウジャクかオオスカシバかはワカランが、『アタシ、近所でハチドリを見た❗』と強く言い張る若いバカな女がいたな。顔は可愛いが、頭が悪いクセに強情な女で大嫌いだった。思い出したら、段々腹が立ってきた。日本にハチドリはいないと何度説明しても、納得しなかったのだ。

属名のAcosmeryxは調べてみたが、その語源は手がかりさえ掴めなかった。きっと対象に対して愛がないから、調べる気合が足りないんだろう。

 
【学名】Acosmeryx naga (Moore, 1858)
小種名の naga(ナーガ)とはサンスクリット語(梵語)で蛇の意。
神話上では人間の顔とコブラの首、蛇の尾を持つ半神的な存在である。7つの下界の最下層のパーターラに住まわせるために聖仙カシュバの妻カドルーが産んだとされる(出典 平嶋義宏『蝶の学名‐その語源と解説‐』)。

こんなんやろか❓

 

 
絵心、ゼロである。
何で服着とんねん❓(笑)。

それはそうと、何ゆえ学名は「蛇神さま」なのだ❓
ちょっと理由が思いつかない。

 
【和名及び近似種との違い】
和名は同属の近縁種であるブドウスズメよりも翅が長いことからの命名だろう。
漢字で書くと「翅長葡萄天蛾」、もしくは「翅長葡萄雀蛾」と書くようだ。

ブドウスズメ(Acosmeryx castanea)とよく似るが、本種はより大型で、胸部背面に先端が尖った山型の茶褐色の紋があり、前翅外縁の白線が後角部まで伸びる。

ブドウスズメは2年前に武田尾で一度だけ採っている。今はなき唯一残っていた水銀灯の柱の下部に止まっていた。

 
[ブドウスズメ Acosmeryx castanea]

(2018.8月 兵庫県宝塚市武田尾)

 
確かに上翅外縁にある白線がハネナガブドウよりも明らかに短い。背中の山型紋も形が違う。
初見の印象はハネナガブドウよりも赤っぽいイメージが残っている。ハネナガはグレーに見えたから、似ているにも拘わらず、両者が繋がらなかったのだ。ただし照明の関係もあるし、両種とも一度だけしか見たことがないゆえ、色についてはあまり偉そうなことは言えない。あくまで印象です。この点は鵜呑みなされるな。

それにしても酷い展翅だな(笑)。上翅を上げ過ぎてバンザイさんになっとる。その頃は蛾を採り始めてまだ1年目だったのでバランスが全然わかんなかったのだ。蛾はお手本になる図鑑が蝶と比べて少なく、しかも高価なのだ。加えてネット上の画像も少ないときてる。特に展翅画像は少ない。オマケにその展翅が大概はヒドいから、あんまり参考にならんのだ。
岸田先生には是非とも安価なポケット図鑑を作って戴きたいね。とは言うものの、蛾は蝶と比べて遥かに種類数が多いゆえ、そうおいそれとは簡単にはいかないだろうけどさ。

 
【開張(mm)】 85〜115mm
今回採集した個体は95mm。上翅をもっと下げれば、100mm近くになるかもしれない。なのにそんなに大きいとは感じないのは、横幅が広いわりには表面積が少ないからだろう。
気になったのは、85〜115mmと大きさにレンジがあるところだ。大小の差が3センチもあるじゃないか。これはオスとメスの差も関係してるのかな?と思って、ザッとそれについて調べてみた。
だが、どうやら雌雄同型で、色調や斑紋、翅形、大きさなどに差はないようだ。それゆえ雌雄を区別するには、腹端を精査する必要があるという。そう言われても、ワシにはどっちがどっちだか皆目ワカランけど。

 
【分布】
日本では北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島、トカラ列島、奄美大島、徳之島、沖縄本島。ようは日本全国どこにでもいるというワケだ。完全に普通種だな(-_-;)
海外では台湾、朝鮮半島、中国北部~南部、ロシア、インド、ネパール、インドシナ半島、マレー半島、アフガニスタン、タジキスタンに分布しているようだ。
( ̄皿 ̄)ケッ、アジアでも何処にでもおるやんけ。ちょっとでも珍品だと思った自分が恥ずかしいわい。

 
【亜種と変異】
🔹Acosmeryx naga naga (Himalayan foothills of Pakistan, India, Nepal and China, Peninsular Malaysia, Thailand, northern Vietnam, eastern and southern China, Taiwan, Korea and Japan)

🔹Acosmeryx naga hissarica Shchetkin, 1956 (southern Tajikistan and Afghanistan)

分布が広いから亜種も多いかと思いきや、そんな事はない。
亜種は原記載のもの以外は、南タジキスタン〜アフガニスタンに分布するものだけのようだ。
日本のものは上記のように原記載亜種に含まれる。
そういうワケだから、国内での地理的変異は知られていない。ただ、色調に若干の個体変異があるという。

 
【成虫出現期】
年一回の発生のようだが、ネットで見ると4〜6月とするものと6~8月とするものがあった。今回4月に採れたんだから、6〜8月というのはオカシイ。いい加減なこと書きやがってと思ったが、もしかしたら、これは北方など寒い地域での出現期なのかなあ…。

  
【成虫の生態】
夜行性で、日中は林縁などで休息している。
夕刻から夜半にかけて各種の花を吸蜜に訪れるが、主な飛来時刻は18:30~19:30頃。
また、灯火に飛来することも多く、飛翔は敏速。

 
【幼虫の食餌植物】 
マタタビ科:サルナシ、シマサルナシ、キーウィフルーツ。ブドウ科:ヤブカラシ、ブドウ、ノブドウ、エビヅルなど。

 
【幼生期】

(出典『いもむしハンドブック』)

 

(出典『Return to Sphingidae of the Eastern Palaearctic species list』)

 
幼虫は毛虫型ではなく、芋虫型。丸々と太っておる。庭木を剪定してて、こんなもんが出てきたら絶叫発狂モノだな。世の女子は気をつけなはれ。
とは言っても、むしろ可愛いらしいわ❤️なんていう女子もいたりするから、女子はようワカラン。
ちなみに左側の尾突起のある方に目がいきがちだが、右側が頭となる。鳥などの天敵の目を逸らせる役目があると言われてそうだが、そんなもんで鳥から逃げおおせるとは思えん。二度目の攻撃でプチュやろ。

越冬態は蛹で、軟らかい土中などに土窩を作って蛹化し,そのまま冬を越す。

ここで、はたと思いつく。もしかして学名の由来は、この蛇にも似た幼虫の形態から来ているのではないか❓と。
しかしながら、スズメガ科の幼虫はみんなこの芋虫型だ。ハネナガブドウスズメだけが特別に蛇っぽいワケではない。
となると、食樹のブドウからかな❓ブドウといえば、長い蔓(つる)がある。ヤブカラシなんかもツル植物で、蛇がノタ打ち回るようにして生えているという印象がある。けど、だったら素直にブドウ的な学名にしても良さそうなものなのにね。
もしかして、ブドウ的なものは既にブドウスズメの学名に使われてたとか❓
けんど確認すると、ブドウとは関係なさそうな学名だ。小種名の「castanea」は、どう見たって「🌰栗」って意味だろう。ブドウスズメって栗の木の葉っぱも食うの❓それって全然系統が違う植物じゃないかと軽くパニックになる。
けど調べた結果、ブドウスズメは栗🌰は食わないようだ。ここで漸く気づく。たぶんコレはその見てくれの色にある。成虫の色が栗みたいな茶色だってことで名付けられたに違いなかろう。
そこで、またまた気づく。何とブドウスズメの方がハネナガブドウよりも記載されたのは後ではないか。ハネナガが1858年なのに対し、ブドウスズメは1903年の記載だ。つまりは50年近く後になってからブドウスズメが発見されたと云うワケだ。完全に和名に騙されたよ。和名の慣わしからすれば、ブドウスズメが基準種だ。となれば、当然記載年もブドウスズメの方が先だと考えるのが妥当だろう。ナゼに❓
やめとこう。普通種のスズメガたちの名前の由来なんて、ホントはどうだっていい。

 
【天敵】
オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリなどのカマキリ類。ヤブキリ、コロギス等の捕食性キリギリス類のほか、造網性クモ類など。幼虫はスズメバチ類、ジガバチ等のアナバチ類、クチブトカメムシ類、サシガメ類も天敵になる。またハチにも寄生され、ヒメバチ亜科のクロヒメバチ(Amblyjoppa cognatoria)やイヨヒメバチ(Amblyjoppa proteus satanas)に卵を産み付けられることが知られている。

以上、おしまい。
と、ここで終わりにしときゃいいのに、たぶん蝶にもこの「naga」と云う学名を持つ種がいた筈だと思ってしまい、つい探してまっただよ。

(◠‿・)—☆ビンゴ‼️
ありました。

 
【Plastingia naga(de Niceville, 1884)】

 
(裏面)


(出典 4店共『BOLD SYSTEMS』)

 
あらま、コレってタイかラオスで見たわ。裏面が可愛いらしいんだよね。そっか、それが頭の隅に残ってたというワケだ。たぶんインドシナ半島北部では、かなり珍しい種だったと思う。

生態写真も貼り付けておこう。

 

(出典『ButterflyCicle Checklist』以下4点共同じ)

 
裏面の写真は沢山見つかるのだが、なぜか表側の画像があまりない。あっても上のようなものばかりでキレイに開翅しているものが皆無だ。
理由は途中で解った。このセセリチョウ、どうやら下翅だけを横に開き、上翅を立てて止まるのが特徴のようだ。こんな感じでね↙

 

 
でも、こうゆう風に止まっていたと云う記憶が全然ない。
所詮はセセリだと思って採ってるから、印象に残らなかったのだろう。

前述したように裏面画像は沢山あるので、厳選したのを貼り付けておこう。

 
(裏面)

(出典『ButterflyCicle Checklist』)

 
そうそう、コレ。こっちは記憶がある。
特徴的な裏面がスタイリッシュだね。
ちなみに和名はウラギントラセセリというようだ。

英語版のみだが、Wikipediaに解説があった。それによると、英名は「The chequered lancer」or「Silver-spot lancer」とあるから、さしづめ「市松模様の槍騎兵」「銀紋の槍騎兵」といったところか。何れにしろ裏面由来の命名だね。

大きさは「It has a wingspan between 33–38 mm.」とあるから、日本でいうところのイチモンジセセリとかダイミョウセセリくらいの大きさだ。もっと小さいイメージだったけどなあ…。
分布はアッサムからミャンマー、タイ、ラオス、マレーシア、シンガポール、ボルネオ島、インドネシア、フィリピン。
林内や林縁に見られ、主に午前中に活動し、日陰を好む種みたいだ。

「The species’ host plant is the Caryota mitis, also known as the fishtail palm.」
幼虫のホスト、つまり食餌植物は和名でコモタチクジャクヤシやカブダチクジャクヤシと呼ばれているものだ。

 
(卵)

 
(幼虫)

 
(蛹)

(出典『ButterflyCicle Checklist』)
 
 
卵はポップで、とってもオシャレさんだ。
しかし、幼虫と蛹は正直言って気持ち悪い。そもそもセセリチョウの幼虫と蛹は嫌いなのだ。幼虫はのっぺりしてて変に透けてたり、蛹は粉っぽかったりするからだ。バナナセセリの幼虫なんて許せないくらいに醜いもんなあ。

それはさておき、このセセリチョウからも「naga=蛇的」なものが一切感じられない。なのに何で「naga」と命名されたのだ❓

このnagaと云う小種名を持つチョウは、ジャノメチョウ亜科の Lethe属にもいる。

 
【Lethe naga Doherty.1889 ナガクロヒカゲ】

(出典『Wikipedia』)

 
取り敢えず、Wikipediaの英語版にヒットしたが、画像は無く、絵しかない。向かって左側が表、右が裏面になる。絵しかないところからも、たぶん相当な珍品かと思われる。
調べてみたら、木村勇乃助氏の『タイ国の蝶vol.3』でも短い解説文があるのみで標本写真は図示されていなかったから、その可能性は高い。

 

(出典『yutaka.it-n.jp』)

 

(出典『Butterflies of India』)

 
何とか画像も見つけた。
上がオスで下がメスなんだそうである。オスには白帯が無いんだね。雌雄異型とは想像してなかったから、ちょい驚き。
オスは日本のクロヒカゲモドキっぽい。メスは台湾にいるシロオビクロヒカゲとイメージが重なる。

 
【クロヒカゲモドキ】

(2016.6月 大阪府箕面市)

 
この生息地は物凄い数のダニだらけなので、これ以来行っていない。はたして今も健在なのだろうか❓
マジ卍で、ダニだらけだから行かないとは思うけどさ。
補足しておくと、クロヒカゲモドキは多くの地域で減少傾向にあり、絶滅危惧種に指定されている。そう云えば、奈良県の某有名産地でも極めて稀になりつつあるようだ。

 
【シロオビクロヒカゲ】

(2016.7月 台湾南投県仁愛郷)

 
初めて見た時は、クロヒカゲのイケメン版やなと思った。
たしかバナナ・トラップに寄ってきたんだよね。それで幾つか採れた。ヒカゲチョウが寄ってくるのは想定外だったから、軽く驚いた記憶がある。
そういえば、マレーシアでも似たような奴を見たな。たぶん別種だとは思うけど。

Lethe nagaの話に戻ろう。
英語版のWikipediaには、こうとだけ書いてあった。

「Lethe naga, the Naga treebrown, is a species of Satyrinae butterfly found in the Indomalayan realm where it occurs from Assam to Myanmar, Thailand and Laos.It is named for the Naga hills.」

訳すと「英名は Treebrown。ジャノメチョウ亜科に属し、インド・マラヤルムで発見された。分布はアッサム、ミャンマー、タイ、ラオス。学名の由来はナガヒル(ナガ丘陵)から。」といったところか。

えっ❗❓と云うことは、和名のナガクロヒカゲのナガはナガヒルの事だったのか❗
和名が脳内でオートマチックに「長黒日陰」に変換されていたから、目から鱗だ。となると、おそらくウラギントラセセリの学名も同じ由来の可能性が高い。
そっかあ…、学名の「naga」は蛇の意とばかり思っていたが、コヤツらはそっちだったのね、しからば、ハネナガブドウスズメもナガ族やナガヒル、ナガランド(註2)が由来という可能性も出てきたぞ。
昆虫にはナガランドやナガヒル由来のものが、わりかし多いという印象がある。ここで初めて見つかった種は結構有りそうだ。そういえばシボリアゲハが最初に見つかったのはナガヒルだったなあ。幻の蝶オナシカラスアゲハもナガヒルで採集された記録があった筈だ。今でも「ナガヒル」でネット検索すると、最初にズラズラとクワガタムシの名前が出てきたりするしね。クワガタなど甲虫も此処が原産地のものが数多くいるのだろう。
でも冷静に考えると、ハネナガブドウスズメなんて広域分布の低山地性普通種だ。秘境であるナガヒルで最初に見つかったとは考え難い。ゆえにハネナガブドウの学名の由来は、最初の見立てどうりの「蛇」「半神の蛇」「蛇神さま」でいいだろう。だからといって、この蛾に何故にこの学名が付けられたかは結局わからずじまいだけどもね。

ナガクロヒカゲを見て、シロオビクロヒカゲを思い出し、長い間頓挫したままの連載『台湾の蝶』シリーズの事も思い出した。たぶん連載は1年くらいは止まったまんまだ。
たぶん原因は労作だったキアゲハの回で力尽きた事に始まる。その後、そろそろ連載を再開しようと、このシロオビクロヒカゲにターゲットを絞った。しかし、いざ書く段になって、まだ展翅すらしていない事に気づいた。まず先にそれを探す事から始めないといけないかと思うと、急に全てが嫌になって放り出したのだ。で、カトカラの連載を始めちゃったんだよね。そのカトカラの連載(註3)も、結局は途中でウンザリになってレームダック状態、書くのが苦痛で仕方がなかった。それでも何とか先月、第一シーズンを終わらせたけどさ。

よくよく考えてみれば、『台湾の蝶』シリーズは、まだまだ書いていないものだらけなんだよなあ…。展翅画像はちゃんと撮っているものの、ゼフィルスには手をつけていないし、ヒカゲチョウ、ジャノメチョウ、セセリチョウ、シロチョウも殆んどの種が登場を待っていると云う状態だ。書かねばならない種は山ほどあるのだ。2回しか行ってないけど、あと百話くらいは書けるんじゃないかな? 何だか、気が遠くなってきたよ。

 
                        おしまい

 
追伸
こんなどうでもいい事を書いているから大事な原稿が書けないのだ。

台湾は前述したように2回しか行ってないのに、珍品も含めてその時期に採れる蝶の殆んどを採った。結構、自慢だったけど、今となってはそれが重荷になってる。もう、3、4年前の事だから、台湾での記憶も薄れてきてるし、益々書く気が起こらん。1行でも書けば記憶が甦り、暫くは突っ走れそうだけど…。
こんな戯れ言を書いてる時点で調子悪りぃー(_)

 
(註1)マホロバキシタバ

 
2019年に発見された日本では32種目となるカトカラ。
日本以外では台湾のみに生息し、日本のものはその亜種として記載された。学名 Catocala naganoi mahoroba。

 
(註2)ナガ族とナガランド、ナガヒル
チベット・ビルマ語族。インド〜ミャンマー国境に居住し、約100万人がインド・ナガランド州に、もう100万人がミャンマーのパトカイ山脈沿いに住む。その孤立した地理的条件から独特の風習を保ち、衣服をほとんど身にまとわない代わりに、ビーズやタトゥーで身を飾る。ビーズは古くから交易によってインドやベネチアからもたらされたもので、身につけるビーズによって富や社会的地位を示している。
また、かつては首狩りの習慣を持っていた。村の繁栄を祝ったり、勇者の証しとするために首が狩られたという。太平洋戦争(第二次世界大戦)時、この地域からイギリスの勢力を排除しようとしたインパール作戦では日本軍も彼らにずいぶんと苦しめられたそうだ。
補足すると、インパール作戦とは「史上最悪の作戦」とも言われ、無謀で愚かな作戦の代名詞として、しばしば引用される。当初より軍内部でも慎重な意見があったものの、牟田口廉也中将の強硬な主張により作戦は決行された。兵站(物資の補給、負傷者の回収及び手当て等の野戦病院、移動などの後方支援)を無視し、精神論を重視した杜撰な作戦により、多数の死者と負傷者を出して歴史的な敗北を喫した。その死者数は2万4千とも、6万5千、7万2千とも言われ、これをキッカケに日本は敗戦の道をひたに走り出したとも言われている。ようは、無能な司令官、上司、リーダーが指揮すると、全員討ち死になると云う格好の例なのだ。

ナガランド州はインド東部にあり、一般外国人観光客には多くが未開放地域となっている。
面積は1万6579平方キロメートル。ミャンマー北西部に接するナガ山地に位置する。人口約199万。州都はコヒマ。
ナガ人によって独立運動が行われた結果、かつてのアッサム州ナガ山地を中心として、1957年に自治州、62年に州となった。しかし現在も独立運動は続けられており、それが観光客に対する入域規制エリアの多さに繋がっている。
焼畑農業が盛んで、大部分の住民はチベット・ビルマ語系の言語を話す。宗教は仏教徒とイスラム教徒が多い。年平均気温は24~25℃、年降水量は2000ミリメートルを超える。

 
(註3)カトカラの連載
『2018’カトカラ元年』のこと。現在、第一シリーズの第17章を書き終えたところで休載になっている。

 

青春18切符oneday-trip春 第一章(2)

第2話 Spring fairy‐春の妖精‐

 

 
春の女神に会うために4時間半かけ、はるばる大阪からここまでやって来た。

 

 
逸る心で山へと向かう。

 

 
苔むした階段を上がり、登山口に取り付く。
麓ではカタクリの花が保護されているが、女神の姿はない。

 

 
やがて傾斜がキツくなる。去年のことを段々思い出してくる。ナメてたけど、この山は急登続きでキツい事をすっかり忘れてたよ。しかも、尾根まで上がらないとギフチョウはいない。

 

 
ようやく尾根まで登ってきたが、如何にもギフチョウが好きそうな環境なのにナゼか姿が見えない。しかも、もう10時半過ぎだ。彼女たちが活発に飛び回っている時間帯なのに何で❓
早くもヘロヘロになりながら、そう云えば去年もそうだったなと思う。歳を喰うと忘却の人になりがちだ。

暫く歩いたところで、ようやく飛び回る女神が視界をかすめた。
心が沸き立つ。全身がゾワゾワする。この見つけて最初の一振りまでがギフチョウ採りの醍醐味にしてクライマックスだ。
背景に溶け込み、断続的に姿が消えるが、動きを予測して後を追う。
細かくステップを踏みながら、距離を詰めてゆく。
射程内に入った。
最初の一振りで空振りするのは縁起が悪い。コンセントレーションを高める。
しかし、左に飛んだかと思いきや、急に右に進路を変えよった。😨ヤバイと思いつつも、素早く反応して咄嗟に網を左から右へと💥一閃する。

ジャストミートで振り抜いた手応えがあった。
逃亡を防ぐためにすかさず網先を捻り、中を確認する。
網の中で蝶が暴れている。
(ノ`Д´)ノよっしゃ❗GET。
まあまあ天才の、ここぞと云う時の集中力をナメんなよである。
だが、生きたまま取り出すと、翅がやや擦れている。今年は発生が早く、1週間程前から発生していると聞いてはいたが、やはり遅かったか…。

リリースしてやったら、飛んで行かずに地面にふらふらと止まった。ギフチョウ本人も何が起きたかワケ解らず、ショックを受けているのだろう。何だか申し訳ない気持ちになった。ゴメンね。
折角だから写真を撮ることにした。

 

 
これは近い距離だから姿が容易に視認できるけれど、1Мも離れれば、枯葉と同化して姿がかき消える。派手な翅のように見えるが、保護色になっているんだよね。生き物って、よく出来てるよな。

オスだね。
と云うことは、この鮮度だとメスはまだまだ綺麗なものもいそうだ。

写真を撮っていると、立て続けにギフチョウが飛んで来た。
ここは鞍部になっており、どうやら集まって来やすい場所のようだ。

短時間に5頭GETして、鮮度の良い1頭と少し斑紋が変なものをキープして、あとはリリースする。

そうこうしていると、下から4人連れの登山者が上がってきた。
毎度の事ながら、訝り目線が飛んでくる。まあ、大の大人が大きな網を持って立っているんだから、当たり前といえば当たり前のリアクションである。4人のうち一人は男性で「ギフチョウですか?」と声を掛けてきた。「そうです。」と答えていたら、丁度ギフチョウが飛んで来た。
ここで、オバサンたちの前でカッコつけたろと思ったのがイケなかった。派手に思い切り網を振ったら、

 
💥べキッ❗

 
(-_-;)やっちまったな…。
強く振り過ぎて、柄の2段目が折れた。
鮮やかに決めてやろうと云う虚栄心にバチが当たったに違いない。
(눈‸눈)カッコ悪りぃ〜。

既に採っているものをオバサンたちに見せて、何とか体裁を保つ。オバサンたちも喜んでいたから、それでいいじゃないかと自分を慰める。

取り敢えず補修しておこうと、いつもザックに入れっぱなしになっているビニールテープを探すが、無い…。
😥マジかよ❓である。たぶん去年のシーズンが終わって、ザックを洗濯した時に取り出したものと思われる。で、今回は開幕戦ゆえにパッキングする時に入れ忘れたのだろう。又しても、(-_-;)やっちまったな…である。
仕方がないので、殺している1段目に巻いていたビニールテープを剥がす。先程、2段目が折れたと書いたが、正確には3段目が折れたのである。1段目が細いから折れ易いので1段目を殺して2段目と合体させていたのだ。と云うワケで1〜3段目までを合体させる。
しかし試し振りをしたら、連結部の固定が弱くてフニャフニャだ。仕方なく、人差し指と親指を網枠に掛けて残りの指で柄を掴んで振ることにした。ようするに網を伸ばさずに、網の根元を掴んでそのまま左手一本でスウィング、勝負するしかないってワケだ。

早速飛んで来た奴を、すかさず片手一本で居合斬り。
どーじゃ、ワレー( `Д´)ノ、”弘法、筆を選ばず”じゃ❗まあまあ天才をナメなよである❗❗

暫くいたが、やはり鮮度が悪いものが多い。もっと上へ行くことにした。
しかし、どんどん道は急になってゆく。斜度がキツくてロープが張られている箇所も何ヶ所か出てきた。余程さっきの場所に戻ろうかとも思ったが、去年来ているから上にもっと良いポイントがあると知っているだけに戻れない。だいち性格上、今さら引き返すのも癪にさわる。

時々、飛んで来るギフチョウを拾い採りしながら、喘ぎながら登ってゆく。

視界が開けた。

 

 
白山だろうか、遠くに雪を冠した山塊が望見できる。

 

 
眼下には今庄の宿場町が見える。随分と登って来たな。

左側に目を転じると、日野山らしき山容も見える。
その先は武生、鯖江、福井の街だ。一瞬、ノスタルジーが溢れ出しそうになるが、それを振り払うかのように踵を返した。

道は先程でもないが、相変わらず急登が続く。
途中、待望のメスが採れた。

 

 
ギフチョウはオスよりもメスの方が美しい。
特に裏面は、より色鮮やかだ。

 

 
午後12時過ぎ。やっとこさポイントに着く。
予想通りギフチョウは沢山いた。次々と飛んで来る。
しかし、鮮度は特に良くなりはしない。ギフチョウは麓と山頂を往復する蝶だから、当たり前っちゃ当たり前なんだけどね。

段々飽きてきて、惰性でぞんざいに網を振ったら、枠に当たったようで、ふらふら飛んで行って枯枝に止まった。
半ヤラセみたいなものだが、コレ幸いにと写真を撮る。

 

 
それにしても、去年はいたキアゲハを今日は1頭も見ない。
ここではキアゲハの方が珍しい。

 

 

 
(裏面)

 

(2019.4.6)

 
こうして見ると、キアゲハの美しさはギフチョウにも負けてないと思う。少なくともスタイルは負けていない。
でも悲しい哉、普通種。あまり評価されることはない。

午後1時過ぎ、完全に飽きたので下山を開始する。
登りもキツかったが、下りの方がしんどかった。こんなキツイとこ登ってきたのねと、より斜度を実感した。此処は足に自信のない老人は訪れるべきではないだろう。

 

 
途中、辛夷(コブシ)の花が咲いているのに癒やされる。
登りの時に気づかなかったわけではないが、その時はじっくり見てる余裕がなかった。白木蓮も好きだが、たおやかに野で咲く辛夷の方が好きだ。

駅まで下りてきたが、へとへと。体力落ちてる。
福井に行くにせよ敦賀に戻るにせよ、電車の時間まで1時間程あったので、馴染みの蕎麦屋にでも行くかと思った。ここ今庄の蕎麦は「今庄そば」として、つとに有名だ。おろし蕎麦が旨い。しかし、あまり腹が減ってないので、やめにした。

一応、馴染みの蕎麦屋を紹介しておく。

 
【ふる里】

 
何とはない、飾らない店だ。

 

 
店内には、来店したのだろう、名優 宇野重吉の写真が飾ってある。息子は、これまた名優の寺尾聰だね。

 

 
右の、おろし蕎麦を強く推す。
素朴だが、真っ当に旨い。越前そばと云えば、やはりおろし蕎麦に限る。因みに自分は、大根を皮ごと擦ってもらう。その方が辛みが増し、エッジが立つのだ。
婆さんが一人でやってるから、いつ無くなるかワカランので、早めに行かれることをオススメする。

 
宿場町をゆるゆると歩く。

 

 

 

 

 

 
古(いにしえ)の宿場町は風情があるだけでなく、レトロだ。
昭和の匂いが色濃く残っている。

 

 
ここでも桜は花盛りだ。
早朝や夜に見る桜はどこか妖艶だが、昼間に見る桜は、ただただ美しい。

 

 
喉か渇いたので、古い造り酒屋でビールを買って横の長椅子でビールを飲む。
(≧▽≦)プハーッ。歩いたあとのビールは殊の外に旨い。

 

 
平日のせいか、宿場町の人通りは少ない。
時が止まったかのように森閑としてる。
やわらかい光が辺りの景色に陰影をもたらしている。
春だなと、しみじみ思う。

                         つづく

 
一応、この時のギフチョウを展翅したものを並べておきます。

先ずはオス。

 
【ギフチョウ♂】

(2020.4.3 福井県南条郡南越前町今庄)

 
正直言って、ギフチョウの展翅は大嫌いだ。
触角が元々湾曲しているし、先端がびよ〜んと伸びるので整形が難しいのだ。だから真っ直ぐにしづらいし、左右の長さを揃えるのも大変。オマケに長さを合わせる為に無理に先端を伸ばすと、すぐプチッと千切れよる。クソ忌々しいかぎりである。
あとは下翅の赤紋が縮れているので、それを伸ばしてやらないといけない。コレが面倒くさい。でも、やらないと美しさが半減してしまう。

 

 
矮小個体だ。北陸のギフチョウは関西なんかと比べて小さい。そして黒っぽいものが多い。好み的にはデカくて黄色いギフチョウが好きかな。

 

 
ギフチョウの展翅が嫌いな理由を、もう一つ思い出した。
毎年、上下の翅のバランスが分からなくなるのである。二番目は上翅を上げ過ぎだし、一番下のモノなどは寸詰まりになっとる。でも昔の展翅写真なんかは、だいたい寸詰まりだった。触角も真っ直ぐにはされてない。蝶の展翅にもトレンドがあるようである。
自分的には一番最初、冒頭に貼付した画像のようなバランスが好きかな。そのうちまた変わる可能性はあるけど。

 

 
これは越前にしては黄色みが強い個体。

 

 
コレも矮小型だが、尾状突起が短い。

 

 
一方、コチラは尾状突起が長くて細い。しかも左上翅の斑紋に異常がある。ここの黒帯が分断されるのを「H型」と言うらしい。黄色いところがアルファベットのHに見えるからだとさ。

 

 
コヤツは地面に止まった時に変な奴だぞと思って採った。
この辺りのギフチョウとしては黄色い領域が多い。そして赤紋もオレンジ色だ。
良い型なのに、左側の触角がプチッと切れた。こう云う事が起こるから忌々しいのである。

お次はメス。

 
【ギフチョウ♀】

 
メスはオスよりも相対的に大きく、翅が全体的に丸みを帯びる。そして、頭の下の毛が赤っぽい。

 

 
綺麗な個体だなと思ったら、赤紋が上に伸びる「赤上がり」と呼ばれる型だった。
越前ではかなりの数のギフチョウを採っているが、赤上がりは初めて見た。この辺にもいるのね。

それにしても、知らぬうちに結構な数を採ってしまってるね。
殆んどリリースしたから、まさかこんなに採っているとは思わなかった。たぶん網に入れたのは40頭は下らないと思う。だからヘトヘトにもなったのね。

 

深夜にキンキの刺身

 
箕面公園に春の三大蛾(註1)を探しに行ったおり、偶然カッちゃんに会った。
で、車で送ってもらう事になったのだが、あの男のオネエ言葉が伝染(うつ)ってワケわかんない変なノリになってまっただすよ。
そのせいなのか、ナゼか超怖がりやの二人が心霊スポットでもある妙見山の山頂に行くことになってしまった。もう或る意味ムチャクチャで、それはそれで面白かったのだが、二人の名誉を傷つけることになりかねないので今回は内容を割愛させて戴く。

で、結局大阪まで戻ってきたら、丑三つ刻の午前2時半になってまっただ。別れた後、ついその足で24時間営業のスーパーに寄ってみた。したら、高級魚キンキの刺身だけが唯一ポツンと売れ残っていた。
その売れ残り方が何だか不自然だった。そのスペースには刺身だけでなく切身とかも含めて他に一切の魚が無かったのだ。違和感を抱きつつ視線をもう一度キンキの刺身パックを戻したら、あれ⁉️と思った。位置がさっきと少し変わっているような気がしたのだ。目の錯覚か?…。まさかキンキの刺身が自らの意志で動くことなどあるまいて…(-_-;)

ここから「深夜に禁忌の刺身」と云う、深夜に絶対に食べてはいけない世にもオゾましい刺身の奇妙奇天烈な話が始まると思ったアナタ。

 
(ㆁωㆁ)ウソでぇーす❗

  
(≧▽≦)ハハハ、タイトルだけ見て今回は『深夜に禁忌の刺身』と云うホラーとか怪奇モノの話だと想像した人はゴメンナサイなのだ。但し、動いたと云うのだけが嘘で、他は一切ウソを吐(つ)いてはいない。時間も売れ残っている様も本当の事だった。

スマン、スマン。ここからマジメに本編を書きます。

そのキンキの刺身、しかも値段は340円と激安価格に値下げされていた。何故にキミのような器量良しが売れ残るのだ❓
たぶん一般ピーポーの大半は、この魚の美味さを知らないのであろう。高級魚で値段が高いと云うのもあろうが、思うに世の中、保守的な人が多いんだろね。そういえば、或る居酒屋の店主も言ってたなあ。耳馴れない名前の魚は、皆さんあまり注文しないって。どんな魚なのか尋ねる人さえ殆んどいないそうだ。
きっと、たのんで失敗するのがイヤなんだろね。
キミたちには好奇心とかチャレンジ精神と云うものが無いのかね❓ツマンナイ奴らだ。
とは言っても、無知で好奇心もチャレンジ精神もない人ばかりな御陰で、こうして旨い魚が安く手に入るのだから文句は言えまい。お願いだから、アンタたちゃ一生チマチマとそうしてなさい。

早速、皿に盛り付ける。

キンメダイと同じく、赤くて目が大きい。そして眼が澄んでいて、性格良さそうだ。キンメとキンキは魚業界では1、2位を争う正直者の良い奴に違いない。もし魚に生まれ変わったとしたら、キンキくんとキンメくんとは仲良くなりたいね。楽しいフイッシュ・ライフを送れそうだ。

因みに、世の中にはキンキとキンメダイを混同している人や同類と思ってる人が結構多いらしい。だが、2つは分類学的には仲間ではない。両者ともども深海魚ではあるが、キンキはカサゴ目カサゴ亜目フサカサゴ科(あるいはメバル科)に属するが、キンメダイはキンメダイ目キンメダイ科に属する。科レベルならまだしも「目(もく)」まで違うとあらば、相当縁戚関係は遠い。完全なる他人の空似だ。

 

 
先ずは塩とレモンとで食す。
噛んでるうちに奥から甘みと旨みが溢れ出してくる。

お次は醤油で。
コレはコレで醤油の旨みが加わって旨い。

しかしながら、魚体が小さいので期待を上回るものではなかった。キンキはデカイ方が断然旨いのである。

おっと、大事なことを書き忘れておった。
キンキと呼んでるけど、正式名称はキチジ(喜知次、吉次、黄血魚)です。
コレは漁獲高の多い北海道でキンキの名で広く流通しているからだろう。それが全国に伝播したと云うワケやね。謂わば、ノドグロと同じパターンだ。ノドグロも正式名称はアカムツなんだけど、漁獲高のある島根県とか北陸ではノドグロと呼ぶから、ソチラの方が有名になった。

キンキでちょっと驚いのは、その分布。駿河湾以北からオホーツク海、ベーリング海に見られ、日本海側には分布しないんだそうな。これは意外だった。ナゼに日本海にはいないんだろね❓ 蝶や蛾の話じゃないから、理由は掘り下げないけどさ。一般ピーポーにアホと思われるのは構わないが、虫屋にアホと思われるのは許せないのだ。

主に深海200~500mに生息し、そこで海老類を中心にエサを食ってはるそうだ。魚体が赤いのは、この海老に含まれるアスタキサンチンという色素によるものである。天然の真鯛が赤いのも海老を食ってるからだと言われちょります。海老を食ってる魚介類は美味いのだ。納得だよ。

旬は秋から冬とされるが、夏場に食っても遜色はさほど感じない。つまりは通年に渡って美味なる魚だと言えよう。

捨てるのも勿体ないので、頭は火を入れることにした。
煮付けにするか、酒蒸しにするか迷ったが、煮付けを選択。

 

 
甘ったるくはしたくなかったので、砂糖は入れずに出汁と酒のみで上品に仕上げて、木の芽を飾って完成。

w(°o°)wハッ❗
一口食って、今更ながらに思い出す。
キンキは刺し身よか、火を入れた方が圧倒的に美味い❗❗
脂は乗っているのだが、マグロの脂のようにベタベタといつまでも口に残らなくて、スッと消える。しつこくないのだ。謂わば、キレのいい上品な脂なのだ。刺し身なんぞで喜んでた己の愚かさに臍(ほぞ)を噛む。
返す返すもキンしゃぶ、すなわちキンキしゃぶしゃぶにすべきであった。深夜にて、脳ミソが回っていなかったとはいえ、断腸の思いだ。

ふと思う。
それにしても、深夜にこんな事でブツブツ言ってるワシって、何なんだ❓どうみても変人だな…。何だか自分でも笑えてきたよ。
たぶん、変な人カッちゃんのせいだ。
そうゆうことにしておこう。

                        おしまい

 
追伸
とはいえ、カッちゃんのお陰で、安くキンメが食えたのだ。変態さんに感謝なのだ。

この文章は、ちょっと前にバアーッと一気に書いたもので、記事をアップするのを忘れてた。日付を確認すると、4月4日になっていた。
世間のコロナ騒動振りに、何となくお蔵入りにしようかと思ったが、せっかく書いたことだしアップすることにした。

 
(註1)春の三大蛾
オオシモフリスズメ、エゾヨツメ、イボタガのこと。
拙ブログに『2017年 春の三大蛾祭』と『2018年 春の三大蛾祭』と題したシリーズ連載文があります。宜しければソチラも読んで下され。そっちはホンマのホラー仕立てになっておりまする。特に2017年版の方ね。

 
【オオシモフリスズメ】

(2018.4月 兵庫県宝塚市武田尾)

 
もう形からして禍々しい。オマケにデカイわ、脚に鋭い棘と云う凶器を持ち合わせている。尻を持ち上げる威嚇姿もオドロオドロしい。しかも鳴きよる。でも、慣れたらあまりにも邪悪を具現化しているのに鈍臭いので、段々可愛くなってくる。

 
【エゾヨツメ】

(2018.4月 大阪府箕面市)

 
春の蛾のマドンナだろう。
フォルムも優美だが、何といっても深淵のブルーアイズが美しい。

 
【イボタガ】

(2018.4月 兵庫県宝塚市武田尾)

 
その唯一無二の洒落たデザインには感服する。自然の造形物の中で、これほど洗練されたものはそうはないだろう。

 

 

2018′ カトカラ元年 其の14

   vol.14 オオシロシタバ
  『その名前に偽りあり』

 
2018年 9月7日

オオシロシタバを初めて採ったのは、エゾシロシタバと同じく山梨県甲州市塩山だった。

 
【ペンションすずらん】

 
但し、ジョナスやエゾシロシタバのようにペンションすずらんのライトトラップではない。
じゃ何かというと、果物トラップで採れたのだ。糖蜜ではないところが、いかにも蝶屋らしい。蝶屋はあまり霧吹きシュッシュッの糖蜜は使わないのだ。
簡単な方法はストッキングにバナナやパインをブチ込み、焼酎をブッかけて発酵させたものを木に吊るす。
だから、翌日に蛾マニアの高校生が霧吹きを持ってシュッシュシュッシュやってるのを見て、衝撃を受けた。彼はライトトラップも別な場所でやってたしなあ。純粋なる蛾好き魂に触れたような気がするよ。

 

 
そういえば、この日が初めてのカトカラ狙いでのフルーツトラップだったんだよね。でもって、同時に初ナイトフルーツトラップでもあったわけだ。
カトカラにそこまで嵌まっていたワケではなかったから、そうまでして採ろうとは思わなかったのだ。
でも、ムラサキシタバとなれは話は別だ。大きさ、美しさ、稀少性、どれを取っても別格のカトカラなのだ。彼女だけは何としてでも採りたかった。だからカトカラ目的で遠征したのもこの日が初めてだったし、トラップまで用意したのだろう。

果物は何を使ったっけ❓
一つは即効性の高い🍌バナナを使ったことは間違いないが、ミックスしたもう1種類が思い出せない。普通で考えればパイン🍍なのだが、それは沖縄や東南アジアでの話だ。中部地方では、勿論のこと露地物のパインなんぞ栽培されているワケがない。ゆえに誘引されないかもしれないと考えた記憶がある。因みにバナナも中部地方に露地物はないだろうが、トラップとしては万能だと言われている。だから選んだ。実際、過去に効果もあったしね。
となると、もう1種はリンゴか梨、桃、スモモ辺りが考えられる。
🍎リンゴは発酵するのに時間がかかるし、一度も使った記憶が無いから有り得ないだろう。
梨かあ…。今、テキトーに並べたけど、もともと梨なんて考えてもしなかったよ。使ってるって聞いたことないもんな。でも産卵させる為に親メスを飼う場合は餌として梨がよく使われている。有りかもなあ…。機会があったら試してみよっと。でもリンゴと同じく発酵には時間がかかるかもしれない。
🍑桃は効き目がありそうだが、高価だ。ズルズルになるのもいただけない。それに季節的にもう終わってるよね。コレも無いだろう。
となると、スモモの可能性が大だ。そういえばオオイチモンジを採るのに使ったことがあるけど、効果あったわ。たぶんスモモだろね。そう思うと、そんな気もしてきたわ。

 
【オオイチモンジ】

 
場所は標高1400mにあるペンションすずらんから30分程下った所だった。となれば、標高1300~1200mってとこだろう。
何で、そんな遠い場所にトラップを仕掛けたのかというと、コレにはちゃんとした理由がある。宿のオッチャンに尋ねたところ、その付近にしかムラサキシタバの食樹であるヤマナラシが生えていないと言われたからだ。
だんだん思い出してきたわ。ペンションとそこを何度も往復したんだよね。コレが肉体的にも精神的にもキツかったんだよなあ。一晩に何10㎞と歩いたし、一人で夜道を歩くのはメチャメチャ怖かった。お化けの恐怖もあったけど、何といってもクマ🐻ざんすよ。近畿地方の低山地じゃないんだから、100パーおるもん(T△T)

時間は午後9時台だったと思う。
降りてきたら、ヤマナラシの幹に縛り付けておいたトラップに見慣れぬ大型の蛾が来ていた。
しかし、見ても最初は何だか理解できなかった。けど下翅を開いて吸汁していたのでカトカラの仲間であることだけは判った。でも何じゃコレ(;・ω・)❓である。
10秒くらい経ってから漸くシナプスが繋がった。

『コレって、オオシロシタバじゃなくなくね❓』

ムラサキシタバしか眼中になかったから、全くターゲットに入ってなかったのだ。それに『日本のCatocala』には、オオシロは花には好んで集まるが、樹液には殆んど寄ってこない云々みたいな事が書いてあった。ネットの情報でも糖蜜トラップでオオシロを採ったという記述は記憶にない(註1)。だから、こう云うかたちで採れるとは思ってもみなかったのだろう。

採った時は、そこそこ嬉しかった。
思った以上に大きかったし、予想外のモノが採れるのは嬉しいものだ。それに良い流れだと感じたことも覚えている。ムラサキシタバの露払いって感じで、モチベーションが⤴上がったもんね。
だが同時に、薄汚いやっちゃのーとも思った。その証拠に、この時撮った写真が1枚たりとも無いもんね。
発生から1ヶ月くらい経っているから致し方ないのだろうが、このカトカラって他のカトカラよりもみすぼらしくなるのが早くねぇかい(・。・;❓

此処には3日間通ったが、毎日複数頭が飛来した。
おまけに、シラカバの樹液を吸っている個体も見た。
ということは、偶然ではない。間違いなくオオシロシタバは樹液やフルーツトラップに誘引される。そう断言してもいいだろう。
そういえば、この時には思ったんだよなあ。シロシタバは夜間、樹液で吸汁する時以外でも下翅を開いて樹幹に止まっているものが多いなんて(註2)何処にも書いてなかったし、こんな風にオオシロシタバの生態も間違っていたから、何だよ、それ❓ってガッカリした。蛾は、蝶みたく全然調べられてないじゃないかと軽く憤慨しちゃったもんね。でも、今考えると、それも悪いことじゃない。殆んど調べ尽くされているものよりも、そっちの方がよっぽど面白い。性格的にも、そういう方が合ってる。先人たちをなぞるだけの採集なんてツマラナイ。

 
【Catocala lara オオシロシタバ】

 
その時に採った比較的マシな個体だ。
全然、シロシタバ(白下翅)って感じじゃない。どちらかというと黒っぽい。コレを白いと思う人は少ないと思うぞ。
下翅の帯が白いから名付けられたのだろうが、それとて純粋な白ではない。せいぜい良く言ってクリーム色だ。悪く言えば、薄黄土色じゃないか(上にあげた画像が白く見えるのは鮮度が悪いくて擦れているから。後に出てくる野外で撮った写真を見て下されば、言ってる意味が解ると思う)。
和名はオオシロシタバよか、シロオビシタバの方がまだいいんじゃないかと思うよ。
その下翅の帯だが、この形の帯を持つものは日本では他にムラサキシタバしかいない。両者って類縁関係はどうなってんだろね?(註3)

オオと名前が付いているのにも不満がある。
初めて見た時は大きいと思ったが、明らかにシロシタバより小さい。重厚感も全然足りてない。なのにオオなのだ。完全に見た目と名前が逆転現象になってる。名前に偽りありだ。何がどうなったら、そうなってしまうのだ。謎だよ。

 
2018年 9月16日

その1週間後、また中部地方を訪れた。
とはいえ、今度は長野県。そして、一人ではなくて小太郎くんが一緒だった。
小太郎くんの目的はミヤマシジミとクロツバメシジミの採集だったが、ついでにムラサキシタバの採集をしてもいいですよと言うので、車に乗っけてもらったのだ。
この時は殆んど寝ずの弾丸ツアーだったので、幻覚を見るわ、発狂しそうになるわで、アレやコレやと色々あって面白かった。
しかし、そんな事を書き始めたら膨大な文章になるので、今回は端折(はしょ)る。

場所は白骨温泉周辺だった。
この日もフルーツトラップで勝負した。
たぶん前回使ったものに果物を足して、更に強化したものだ。車の後部座席の下に置いたら、小太郎くんが『うわっ、甘い匂いがスゴいですねー。』とか言ってたから、間違いなかろう。

トラップを設置して、直ぐにオオシロシタバが現れた。勿論、もう感動は1ミリたりともない。擦れた個体だったし、みすぼらしい汚ない蛾にしか見えなかった。
それでも一応、1頭目は採った記憶がある。

 

 
その後も、オオシロくんは何頭もトラップに飛来した。
これで、やはりオオシロシタバはフルーツトラップに誘引されると云うことを100%証明できたぜ、ざまー見さらせの気分だった。
けど、フル無視やった。もうゴミ扱いだったのである。だから、この日もオオシロシタバの画像は1枚もない。

そういえば、この日は白骨温泉の中心でもオオシロを見ている。外灯に飛んで来たものだ。図鑑やネットを見てると、オオシロの基本的な採集方法は灯火採集のようだ。
思うに、この灯火採集が蛾界の生態調査の進歩を妨げている部分があるのではないだろうか❓
確かに、この採集方法は楽チンで優れている。一度に何種類もの蛾を得られるから効率がいい。その地域に棲む蛾の生息を調べるのには最も秀でた方法だと思う。しかし一方では、生態面に関しての知見、情報はあまり得られないのではなかろうか❓せいぜい何時に現れるとか、そんなもんだろ。
まだまだ蛾の初心者のオイラがこう云うことを言うと、また怒られるんだろなあ…。
まっ、別にいいけどさ。変に忖度なんかして感じたことを言えないだなんて、自分的にはクソだもんな。

今回も2019年版の採集記を続編として別枠では書かない。面倒くさいし、そこには何らドラマ性も無いからだ。書いても、すぐ終わる。
と云うワケで2019年版も引っ付ける。

 
2019年 9月5日

2019年のオオシロシタバとの出会いも白骨温泉だった。
ポイントも同じ。違うところは、細かいところを除ければ、一人ぼっちなところと1週間ほど時期が早いことくらいだ。

天気がグズついてて、ようやく雨が上がったのが午後10時過ぎだった。やっとの戦闘開始に気合いが入る。
霧吹きで、しゅっしゅらしゅしゅしゅーと糖蜜を噴きつけまくる。
そうなのだ。フルーツトラップから糖蜜にチェンジなのじゃ。( ̄ー ̄)おほほのホ、一年も経てぱバカはバカなりに少しは進化しているのである。
フルーツトラップは天然物なだけに、効果は高い。但し、問題点もある。荷物になるのだ。それに電車やバスに乗ってて、甘い香りを周りに撒き散らすワケにはいかないのだ。されとて、ザックの中に入れるワケにもゆかない。液漏れでもしたら、悲惨なことになる。だいち重いし、かさ張る。ようするに邪魔なのだ。今回のように全く車に頼れない時は、そういう意味ではキツい。一方、糖蜜トラップは蓋をキッチリしめてさえいれば、匂いが漏れる心配はない。荷物もコンパクトにできる。液体が減れば、当然軽くもなるし、補充も現地で何とかなる。山の中で売ってる果物を探すのは至難だが、ジュースや酒ならまだしも手に入る。

糖蜜トラップのレシピは覚えてない。
なぜなら、決まったレシピが無いからだ。基本は家にあるものをテキトーに混ぜ合わせるというアバウトなものなのさ。
たぶん焼酎は入ってる。ビールは入っているかもしれないが、入ってないかもしれない。
果実系のジュースも何らかのものは入っていた筈だ。ただ、それが🍊オレンジジュースなのか、🍇グレープジュースなのかは定かではない。下手したら、それすら入ってなく、カルピスやポカリスエットだった可能性もある。勿論、それら全部がミックスされていた可能性だってある。
酢は入れなかったり、入れたりする。普通の酢の時もあれば、黒酢の時もある。気分なのだ。ゆえにワカラン。
この時は絶対に入ってないと思うが、作り始めた初期の頃などは黒砂糖なんかも入れていた。効果は高いけど、溶かすのが面倒くさいから次第に入れなくなったのだ。
コレってさあ、普段自分が作る料理と基本的な流れが同じだよね。やってることは、そう変わらない。もちろん料理の場合は基礎が必要だけれど、最終的にはセンスとかひらめきとか云う数値にできない能力で作ってる部分が多い。でも料理より酷いハチャメチャ振りになる。たぶん自分で食ったり飲んだりしないから、必然もっとテキトーでチャレンジャーになってしまうのだ。
それでも何とかなってしまうところが怖い。って云うか、だから努力を怠るのでダメなんだけどもね。メモさえ取らないから、いつも行き当たりバッタリの調合で成長しないのだ。自分で、まあまあ天才なんて言ってるけど、少しばかりセンスのある単なるアホだ。基本的に論理性に欠けるのだ。だって右脳の人なんだもん。

結果は、やっぱり撒いて程なくオオシロくんが来た。
そして、やっぱりボロばっかだった。
違うのは、それでも一応写真は撮っておいたところくらい。この時には、もう既にカトカラシリーズの連載を書き始めてだいぶ経っていたゆえ、さすがに必要だと思ったのさ。

 

 
【裏面】

 
酷いな。やっぱり汚ないや。腹なんて毛が抜けて、テカテカになっとるがな。ここまで腹がデカテカなカトカラは初めて見るかもしれんわ。
そう云えば、たぶん『日本のCatocala』にメスは日が経ってるものは腹の鱗粉がハゲていると書いてあったな。それは多分、産卵するために樹皮の間に腹を差し込むからだろうとも推定されていた筈だ。
何か樹液の件で文句言っちゃったけど、やはり著者の西尾則孝氏はスゴイ人だ。日本のカトカラの生態についての知識量は断トツで、他の追随を許さないだろう。この図鑑が日本のカトカラについて述べたものの中では最も優れていると思う。

けど、コレって♀か❓
まあ、いいや( ・∇・)

その時に採ったものを展翅したのがコチラ↙

 

 
二年目の後半ともなれば、展翅もだいぶ上手くなっとるね。如何せん、鮮度が悪いけどさ。

今年は、もし真剣に採る気ならば8月上旬に行こうかと思う。鮮度が良い本当のオオシロシタバの姿を知るためには、それくらいの時期に行かないとダメだね。
実物を見たら、オオシロシタバに対する見方も大幅に変わるかもしれない。

次回、解説編っす(`ー´ゞ-☆

                    つづく

 
追伸
実を云うと、この回は先に次回の解説編から書いている。
そっちがほぼ完成に近づいたところで、コチラを書き始めた。その方が上手く書けるのではないかと思ったのだ。まあまあ成功してんじゃないかと自分では勝手に思ってる。

 
(註1)ネット情報でも糖蜜トラップでオオシロを採ったという記述は記憶にない

ネットで糖蜜トラップでの採集例は見つけられなかったが、樹液での採集を2サイトで見つけた。青森でミズナラとヤナギ類で吸汁しているのが報告されている。もう片方のサイトでは、樹液に来たとは書いていたが、具体的な樹木名は無かった。

 
(註2)シロシタバは樹液吸汁時以外も下翅を開いてる

これについてはvol.11のシロシタバの回に詳しく書いた。気になる人は、そっちを読んでけれ。

 
(註3)両者って類縁関係はどうなってんだろね?

実を云うと、先に次回の解説編を書いた。
あれっ、それってさっき追伸で書いたよね。兎に角そう云うワケで、時間軸が歪んだ形でDNA解析について触れる。えーと、説明するとですな、これを見つけたのは解説編を書いている時なのだよ。

 
(出展『Bio One complate』)

 
石塚勝己さんが新川勉氏と共にDNA解析した論文である。
(/ロ゜)/ありゃま。オオシロ(C.lara)とムラサキシタバ(C.fraxini)のクラスターが全然違うじゃないか。
つまり、この図を信じるならば、両者に近縁関係はないと云うことだ。共にカトカラの中では大型だし、帯の形だけでなく、翅形もわりと似てるのにね。DNA解析は、従来の見た目での分類とは随分と違う結果が出るケースもある。蝶なんかはワケわかんなくなってるものが結構いるから、見た目だけで種を分類するのは限界があるのかもしれない。違う系統のものが環境によって姿、形が似通ってくるという、いわゆる収斂されたとする例も多いみたいだしさ。
まあ、とは言うものの、DNA解析が絶対に正しいとは思わないけどね。

 

(/´△`\)ガッカリやわ

 
こないだの日曜日は、大阪昆虫同好会の総会&新年会だった。
で、標本をオークションに出した。
お金に困っているのだ。

結果はガッカリだった。
みんな酒飲んでるし、オークションに出てた標本数も多かったし(ホイホイ結審になる)、外国の蝶は価値が解らない人も多いから致し方ないんだけどさ。おまけにショバ代も引かれるから思ってた程にはならなかった。

 
【アルボプンクタータオオイナズマ】

 
アルボプンクタータは大好きな蝶だ。特に♀は佳蝶と言っても差し支えなかろう。
場所はラオスのLak Sao(ラクサオ)のものだ。
知る限りでは、記録は殆んど無い所だと思う。たかってくる小蝿に苦しめられながら採ったんだよね。

このアルボは長谷さんのもとへ。
これはOK。長谷さんの標本は何処かちゃんとした機関に寄贈される可能性が高いからいいのだ。後世に残るだろうから、ゴミにならなくて済む。

 
【ヤイロタテハ】

 
これまた佳蝶ですな。
画像のように裏が厳(いか)つくて美しい。
初めて海外採集に行ったマレーシアのキャメロンハイランドで採ったものだ。存在を全く知らなかったので、見た時はメチャメチャ何じゃこりゃ\(◎o◎)/❗❗と思ったものだ。
再展翅までして完璧に仕上げたのに、ガッカリの金額で落札された。

 
【アンビカコムラサキ♂】

 
個人的には世界で最も美しいコムラサキだと思う。
これも存在を全く知らなかったので、初めて見た時は何じゃこりゃだった。場所はラオスのバンビエン。
裏が白くて(裏も美しい)、最初はチビ系のフタオチョウかなと思って採ったら、網の中で青紫の幻光色が青い炎のようにビッカビカッに光った。ものすごーくビックリしたっけ。
外野から『♀ないんかーい!』と言葉が飛んだが、『採っとるわ、ボケー。』と思わず言ってもうた。酒の席じゃ、許せ。
確かに♀はかなりの珍品だ。でも、幻光色がないから全然綺麗ではない。それと言っとくけど、♂は珍品じゃないけれど、行けば確実に採れるというものでもない。イモと引きの弱い人は採れまへんえ。

 
【オオウラギンヒョウモン】

 
長崎の自衛隊演習場で採ったものだ。
今は採集禁止になっていると思われる。
♀もデカ♂も結構採った。その2つがいる微妙な環境が読めたので、その時に来ていた人の中ではダントツで採った筈。この頃が一番感性が研ぎ澄まされていたと思う。
福岡の高島さんと御一緒した思い出深い採集行だ。
それなのに激安で落札(T_T)

 
【コヒョウモンモドキ】

 
岐阜県の湿原でタコ採りした。
普段はある程度採るとすぐ飽きる人なので、あまり数は採らない。だから、昔はよく叱られていた。
なんだけど「そのうちおらんようになるから、今採っとかないとアカンでぇー。」と言われて頑張った。長靴を持ってなかったので、結構大変だったけど面白かった。
なんぼで売れたか知らんけど、安かったんじゃなかったかな。

 
【カトカラセット】

 
特に珍しいものは入ってないゆえ、800円で出した。
1つ百円➕箱代である。千円で落札されたかと思う。
これは、どうせ売れ残ると思ってからラッキー。

来年は屑チョウをアホほど並べて、セコく小銭を稼いだろかしら。

                    おしまい

 

2018′ カトカラ元年 其の13 後編

  vol.13 エゾシロシタバ 後編

      解説編

   『dissimilisの謎を追え』

 
エゾシロシタバの解説編である。
前回、エゾシロをろくに採ってない事は話した。なので御理解戴けるかと思うが、解説編でも生態面に関して何ら新しい事は書いていない。よって、殆んどが文献からのパクリになろうかと思う。というワケなので「~らしい、~みたいだ、○○なんだそうだ」の連発になりそうだ。おまけに初のオリジナル画像無しにもなりそうだ。早くも、そうだ、そうだの連発で先行き不安だが、それでも自分なりの解釈もあろうかと思う。面白く書けることを祈ろう。

 
【エゾシロシタバ】
(出展『世界のカトカラ』)

 
(出展『日本のCatocala』)

 
【学名】Catocala dissimilis Bremer,1861

小種名の dissimilis(ディッシミリス)の語源は、頼みの綱である平嶋義宏氏の『蝶の学名-その語源と解説-』にも近いものを含めて載っていなかった。
だが、おそらくlatin(ラテン語)由来だろう。何とかなりSODA。ちゅーワケで自分で探すことにした。

ネットでググりまくったら、わりと昆虫の学名には付けられているようだ。日本でもアマミノコギリクワガタ(Prosopocoilus dissimilis)やエゾスズメ(Phillosphingia dissimilis)に、その名がある。この2つ辺りが代表だろうが、ざっと見たところ他にも幾つかある。

・チャモンナガカメムシ Dieuches dissimilis
・ウスチャオビキノメイガ Yezobotys dissimilis
・テンウスイロヨトウ Athetis dissimilis
・アナズアリヅカムシ Batrisceniola dissimilis
・キアシチビメダカハネカクシ Stenus dissimilis

昆虫以外の鳥や貝などにも、この小種名がつけられているものがいるようだ。それだけあれば、何らかのヒントはつかめるだろう。

綴りとラテン語で検索すると、怖れた程には苦労せずにヒントが見つかった。
造語で、dis-➕similis(“resembling, like”)となっている。それで、だいたいの意味は窺えた。
resemblingは、resembleの現在分詞で「○○に似ている」だし、likeは「○○のような」という意味だ。
でも、いったい何と比して似ているのだ❓ 今一つピンとこない。対象物が浮かばん。

更に踏み込んで調べてゆく。
ラテン語だと、disには「二つに分かれて、分離の、逆に、甚だしく」の意味があるようだ。
また違うのが出てきた。嫌な予感がする。ぬかるみ世界が顔を覗かせとるがな。でも何かと似ていて、そこから分離されたと解釈できないこともない。

ググり続けていると、ようやく「dissimilis」そのものにヒットした。
意味は「異なった、異なる、異質の、~とは異なり、違う」。コレまた言葉は違(たが)えど、~と似ているが異なるものと解釈すれば、意味は同じともとれる。

おそらく学名に込められた意味は、これらをひっくるめたもので間違いなかろう。
例えば、Prosopocoilus dissimilis(アマミノコギリクワガタ)なんかの学名は、日本本土にいる普通のノコギリクワガタ(P.inclinatus)を基準に名付けられたものだろうと推察される。即ち見慣れたノーマルのノコギリクワガタと較べて異質で、別種として分離されるべきものだから「dissimilis」と名付けられるに至ったのではないかと想像する。
またアマミノコギリは南西諸島特産で島ごとに変異があり、7亜種(アマミノコギリ・トカラノコギリ・トクノシマノコギリ・オキノエラブノコギリ・オキナワノコギリ・イヘヤノコギリ・クメジマノコギリ)に分けられている。どの亜種も形や色にそれぞれ少しづつ変わった特徴を備えている事も関係しているかもしれない。これもまた、似ているが違うものだからね。
それらのパターンに則れば、エゾシロシタバの学名由来も似たような理由だと思われる。だとしたら、問題はエゾシロシタバが何と較べて異質で、何から分離されたかである。似ているが異なるモノの根本の存在を突き止めねばならぬ。

慌てる乞食は貰いが少ない。先ずは外堀から埋めていこう。答えのヒントは学名に隠されている筈だ。
記載者 Bremerはロシアの昆虫学者であり、自然主義者の Otto Vasilievich Bremer(オットー・ヴァシリエヴィッチ・ブレマーの事かと思われる。没年が1873年11月11日とあるから、活躍した時代とも合致するし、間違いないと思うんだけど…。もし間違ってたら、もう謝り倒すしかないね。けど同じ時代に、同じ名前の昆虫学者はそう何人もいないと思うんだよね。

Bremerといえば、セセリチョウの研究で有名ではなかったかな❓
『日本産蝶類標準図鑑』によれば、日本のセセリチョウだけでもイチモンジセセリ、コキマダラセセリ、チャマダラセセリ、ヒメキマダラセセリ、ヘリグロチャバネセセリ、ギンイチモンジセセリ、ミヤマセセリの記載者にその名がある。
因みに日本のカトカラではオニベニシタバとオオシロシタバの記載者名に、このBremerの名がある。カトカラの記載年は全て1861年。セセリは1852年と1861年の二つに分かれている。
もしやと思い、日本の蝶で他にBremerが記載したものはないかと探してみたら、あった。
オオミスジ(1852)、サカハチョウ(1861)、ミヤマシロチョウ(1861)、クロシジミ(1852)、トラフシジミ(1861)と5つある。そして、全てが1852年か1861年のどちらかの記載だった。蛾は分からないが、日本の蝶に関しては見る限り他の記載年はない。これは何処かから、その年に纏めて送られたきたものに命名したか、実際に其所に本人が訪れて採集したことを示唆してはいまいか❓もしかして、それは日本❓
となると、これら各種の分布が気になってくる。この中に日本固有種がいれば、ある程度それが証明できる。エゾシロシタバのタイプ産地も日本である可能性が出てくる。

だが探した結果、残念ながら日本固有種はいなかった。
(|| ゜Д゜)おいおい、また別のぬかるみにハマっとるやないけー。迷走必至のパターンじゃよ。
但し、共通項はあった。何れの種も日本、朝鮮半島、沿海州(ロシア南東部)、中国東北部に分布していることが分かった。ならば、その何処かである。即ち、タイプ産地が分かればいいワケだ。もう1回、図鑑を仔細に見直す。

ありました❗
ミヤマシロチョウの解説欄に、名義タイプ亜種のタイプ産地はロシア南東部と書いてあるではないか。だとすれば、他の蝶もタイプ産地はロシア南東部なのかな❓
日本がタイプ産地になっているものがある可能性を無視できないところだが、そう云う事にしておこう。調べるのが段々イヤになってきたし、それを追うことが本稿の第一の目的ではない。既にだいぶ本筋から逸脱しているのだ。

遠回りになったが、これらの事からエゾシロシタバに似ているカトカラはロシアにいる筈だ。
もしも本当にBremerがロシア人のO.V.Bremerその人ならば、ロシアに分布するカトカラを見て、エゾシロシタバを「dissimilis」と名付けたのだろう。だから、ロシアにいるカトカラの中からエゾシロに似ていて非なるものを探せばいい。或いは一見エゾシロに似ていないが、よく見れば似ているのを探せばいいのかな。ちょっと脳ミソが錯綜しかけているが前へと進めよう。

世界のカトカラを網羅した文献といえば、石塚さんの『世界のカトカラ』だ。
それ見りゃ、ソッコーで解決でけるんちゃうけー。楽勝やろ。
解決したも同然の気分で『世界のカトカラ』を開く。

 

 
ガ、ガビ━━━Σ( ̄ロ ̄lll)━━━ン❗無い❗❗
無いと云うワケではないが、相当するものが無い。下翅が黒いカトカラが殆んどおらんのだ。アメリカ大陸にはぎょーさんおるのに、ユーラシア大陸には1種類しかいないのだ。それもロシアじゃなく、トルコだ。

 
【Catocala viviannae ターキィクロシタバ】
(出展『世界のカトカラ』)

 
分布地はトルコで、非常に稀な種らしい。トルコ以外にはいないみたいだし、それにエゾシロシタバみたく小さくない。クロシオキシタバくらいはありそうだ。だいち下翅は黒いといっても全然似てないじゃないか。コレとエゾシロが似ているなんて言う輩がいたら、目が腐っとるとしか思えん。
それに決定的なのは記載年だ。記載は1992年。Bremerは百年以上前(1873年)に死んどるわい。有り得ん。

アメリカ大陸にしても、黒い下翅のカトカラは沢山いるのにも拘わらず、似てる奴が1つもおらん。デカイのばっかだし、皆さん上翅がカッコいい。

 
【Catocala flebilis カリモガリクロシタバ】
(出展『世界のカトカラ』)

 
カッコいいので、他にも幾つか並べちゃおう。

 
【Catocala agrippina アグリピナクロシタバ】

 
【Catocala epiona フチシロクロシタバ】

 
【Catocala palaeogama クルミクロシタバ】

 
【Catocala sappho カバフクロシタバ】

 
チンケなエゾシロシタバと比べられたとしたら、一緒にすな!と、みんな怒るで。
他にもカッコいいクロシタバはいるが、それは図鑑を買って見ましょうネ。

( ゜o゜)あらま、見逃していたが小さいのもいた。

 
【Catocala judith ユディトクロシタバ】
(出展 以下5点共『世界のカトカラ』)

 
下翅に白斑はないが、そこそこ似ている。大きさ的にもエゾシロシタバと同じくらいだ。
だが記載されたのは、Bremerが没した翌年の1974年。エゾシロよりも後の記載なので、似て非なる者にはあたらない。

見過ごしていたが、更に後ろの方にも小型のクロシタバが幾つかいた。

 
【Catocala miranda ミランダクロシタバ】

 
記載年は1881年だから、これも既にBremerは他界している。当然、候補から脱落だ。だいち、分布は局地的で非常に稀なカトカラみたい。有り得んな。

 
【Catocala orba ヒメクロシタバ】

 
これまた記載は1903年。枠外だね。

 
【Catocala andromedae コケモモクロシタバ】

 
似ているかもしんない。背景が白くて分かりにくいが、面積は小さいものの下翅の白斑の位置が同じだ。それに同じくらいの大きさか、やや小さいくらいで、エゾシロと大差ない。
記載は1852年。Bremerがバリバリ活動していた時期である。エゾシロよりも早い記載だし、普通種みたいだから、これは有り得るなあ…。
でも、わざわざ遠く離れたアメリカ大陸のカトカラを意識して学名を付けるものだろうか❓考えにくいところではある。判断が難しいところだ。
いや、この時代には下翅の黒いカトカラは、まだ現在みたいに沢山は発見されていない筈である。ならば、当然比較の対象になりうる。

一応調べたら、殆んどがBremerの死後以降の記載だった。生前以前の記載はコケモモクロシタバ、カリモガリクロシタバ、フチシロクロシタバ、クルミクロシタバ、ヒアイクロシタバ、ヤモメクロシタバの6種だった。クロシタバは全部で20種くらいだから少ない。やはり多くは1861年以降の記載と云うワケだ。6種だけなら、カトカラ全体の記載数もまだ少なかった時代だと推測される。ならば、Bremerが比較の対象をアメリカ大陸にも広げていたことは充分考えられる。
その6種のうち小型なのはコケモモクロのみである。
つまりアメリカ大陸に棲む下翅の黒いカトカラの中では、コヤツしか該当する条件を満たす者はいないと云うことだ。暫定だが、筆頭候補としよう。

他に考えうるとすれば、アジアのマメキシタバか…。
たしかマメキシタバは日本以外にも居たよね。

 
【マメキシタバ Catocala duplicata ♀】

(2019.8月 大阪府四條畷市)

 
マメちゃんは一見したところ、エゾシロシタバとは全然似てない。だが研究者の間では類縁関係が示唆されており、岸田先生の『日本産蛾類標準図鑑』には「翅の基本パターン、ゲニタリア(交尾器)の形態、幼虫の形態など類似点も多い。」とあった。だが、類縁関係は明らかでないとも書いてあった。

マメキシタバはロシア南東部にはいないようだが、日本や朝鮮半島、中国にはいる。エゾシロと分布が重なる地もあるのだ。その何処だかは分からないが、そこで両者が二つに分化した可能性はある。ちょっとだけ謎の解明に近づいたかもしれない。

ここで原点に戻ろう。学名「dissimilis」の語源と意味に、今一度立ち返ろうではないか。
これまで調べた語源と意味を全部並べてやれ。
「~に似ている、~のような、二つに分かれて、分離の、逆に、甚だしく、異なった、異なる、異質の、~とは異なり、違う」。
コヤツらを強引、豪腕で組み替えて1つにしたろ。

「エゾシロシタバとマメキシタバは共通の祖先種から二つに分かれて、更に分離が進み、やがて甚だしく違う異質なものとなった。しかし、両者は違うように見えて、よく見れば逆に似ている。」

ムチャクチャである。強引にも程がある。
Ψ( ̄∇ ̄)Ψケケケケケ…。もう行き詰まってて、マッドな男になっているのだ。
このままだとクロージングできない。もうヤケクソでバカボンのパパ風に言ってやる。

コレで、いいのだ。

学名はマメキシタバに比して付けられたとしよう。
もう、それでいいではないか。オジサン、疲れたよ。

Σ( ̄ロ ̄lll)え━━━━━━━っ❗❓
しかし、マメキシタバの記載年を確認して、ひっくり返る。マメキシタバの記載は1885年だ。Bremerは、もう死んどるぅー(T▽T)
マメキシタバは、その対象者じゃなかったって事だ。
もおーっ、どいつと似てて、異質なのぉー(*ToT)

う~ん。現時点では、エゾシロシタバはコケモモクロシタバと比して似ているが異なるモノとせざるおえない。
しかし、この「dissimilis」の語源の見立てそのものが間違っているのではないかと思えてきたよ。なぜにこの学名が採用されたのだ❓

お手上げだ。
参考までにシノニムを付記して、この頃を終えることにしよう。

Wikipediaによれば、シノニム(同物異名)には以下のようなものがある。

◆Ephesia nigricans Mell, 1939(nec Mell, 1939)
◆Catocala nigricans
◆Ephesia griseata Bryk, 1949
◆Catocala hawkinsi Ishizuka, 2001
◆Ephesia fulminea chekiangensis Mell, 1933

 
【和名】
シロシタバとつくが、シロシタバと類縁関係はない。
というか、下翅が白くない。白い部分は有るにしても、申し訳程度だ。大部分が黒い。なのにシロシタバなんである。初心者に混乱を引き起こしかねない酷いネーミングだ。命名者のセンスを疑うよ。脳ミソの中で、どれがどうなったら白シタバという名前が出てくるのだ❓
エゾクロシタバに改名した方がええんでねぇの❓

上につくエゾも酷いっちゃ酷い。エゾは蝦夷(註1)のことで、主に北海道を指しているのだが、これも安易。北海道で発見されたものや北海道や東日本に多いとか、北方系と考えられるものに、このエゾが付けられる場合が矢鱈と多いはしまいか❓
実際、昆虫の名前にはエゾが付くものは多い。
例えばエゾゼミ、エゾハルゼミ、エゾマイマイカブリ、エゾカタビロオサムシ、エゾシロチョウ、エゾスジグロシロチョウ、エゾミドリシジミ、エゾイトトンボ、エゾシモフリスズメ、エゾカメムシetc…と枚挙に暇(いとま)がない。
でもエゾゼミは九州にだっている。もともとエゾゼミはコエゾゼミとは異なり、南方系のセミらしいぞ。夏でも気温があまり上がらず涼しい北海道よりも、むしろ長野県や東北南部で多く見られる傾向があるというではないか。エゾハルゼミだって九州にいるし、エゾカタビロオサムシにいたっては奄美大島にまでいるみたいだぞ。何やソレ❓ってツッコミ入れたなるわ。

(-“”-;)んぅ❗❓ちょっと待てよ。もしも、記載は日本の北海道で採れたものからされたならば、和名をエゾとしても不思議ではない。北海道で最初に採れたんだったとしたら、その和名は有りでしょう。
しかし、ネットで調べてもタイプ産地が何処なのかワカラヘーン\(◎o◎)/
結局、Holotype=基産地が何処なのか見つけられなかった。おまえの探し方が悪いんじゃと言われそうだが、皆さんが思っている以上のパープリンなのだ。能力は低いもんね。
石塚さんが、新たなカトカラ図鑑を作っているという噂を聞いたけど、もし本当なら次の図鑑にはタイプ産地も載せて欲しいなあ。あと、裏面の画像も。図鑑でもネット情報でも裏面写真があまり無いから困るんである。種の同定をするには、裏面も大事だと思うんだよね。

因みに、Bremerのタイプ標本の大半はロシアのサンクトペテルブルグにある動物博物館にあるらしい(やどりが 190号 2001年 松田真平)。
言明はしないけど、総合的に考えると、たぶんエゾシロのタイプ標本はロシア南東部(沿海州)の可能性が高いかな…。明日、真平さんに会うだろうから訊いてみよっと。

 
【亜種】

◆Catocala dissimilis dissimilis
◆Catocala dissimilis melli Ishizuka, 2001

他にもあるかもしれないが、Wikipediaではそうなってた。

 
【変異】
前翅が著しく白化する個体がいるようだ。
↙こう云うヤツのことを言ってるのかな↘

 
(出展『東京昆虫館』)

 
どうやら白化と言っても、翅の付け根部分までは白くならないようだ。

また、黒化するものもいるという。
こんなんかな?↘

 
(出展『世界のカトカラ』)

 
何かカトカラじゃないみたいだ。小汚ないヤガの仲間にしか見えないぞ。

 
【開張(mm)】 45~50㎜
『みんなで作る日本産蛾類図鑑』には、そうある。『日本産蛾類標準図鑑』では44~51㎜内外となっていた。何れにせよ、日本ではマメキシタバ、ヤクシマヒメキシタバと並び、最も小さいカトカラである。
あっ、ナマリキシタバやアズミキシタバも小さいか…。

 
【分布】北海道・本州・四国・九州・対馬

『世界のカトカラ』の県別分布図によると、日本で記録のない都道府県は千葉県、奈良県、福岡県、沖縄県のみである。一方『日本のCatocal』の分布図では千葉県、山口県、福岡県、沖縄県が空白になっていた。

おそらく分布は主要な食樹であるミズナラとカシワの分布と重なるものと考えられる。
従って東日本に多く、西日本では少ない傾向にある。近畿地方の中心部では稀。九州でも稀。たぶん四国でも稀だと思われる(註2)。
何れもミズナラが自生する冷温帯、比較的標高の高い山地に棲息する。中国地方にはカシワが自生するので、西日本の中では比較的多いようだ。

ネット上に解りやすいミズナラとカシワの分布図があったので、添付しよう。

 
(ミズナラ分布図)

 
(カシワ分布図)
(出展 2点共『www.ffpri.affrc.go.jp』)

 
この二つを重ね合わせたものが、エゾシロシタバの実際の分布に近いのではなかろうか?
これを見れば、近畿地方の真ん中がポッカリ空いているし、九州地方に少ないのも理解できる。
四国にはカシワはないが、ミズナラは中央の四国山地に案外あるなあ…。結構いるのかもしれない。

近畿地方では全府県で記録されているようだ。
但し、前述したように少ない。ネットで記録を拾っただけだが、以下の場所で記録されている。

大阪府 貝塚市和泉葛城山
奈良県 奈良市近畿大学奈良キャンパス
京都府 京都大学芦生演習林
和歌山県 龍神村護摩壇山

『世界のカトカラ』では奈良県は空白になっていたが、一応奈良県にも記録はあるみたい。滋賀県と三重県は分布するとされているが、記録を拾えなかった。でもミズナラの分布図からすれば、少なくとも滋賀県には居そうだな。
兵庫県内では記録が多い。西播から但馬地方などの西側北部に限られるが、生息地での個体数は多いようだ。

日本国外では、沿海州(ロシア南東部)、樺太、朝鮮半島、中国(四川省北部・甘粛省南部)に分布する。

 
【成虫出現月】7~9
7月から出現し、10月頃まで見られるが、新鮮な個体が得られるのは8月初めまでのようだ。

 
【生態】
ネットを見ていると、その殆んどが灯火採集によって得られている。飛来数は多く、クズ扱いされてる感じだ。特に東日本では、居るところにはドッチャリいるみたいだね。東日本では、普通種扱いになってるのも理解できる。

西尾規孝氏の『日本のCatocala』に拠れば、低山地ではクヌギ、ヤナギなどの樹液によく集まる。しかし、標高の比較的高いミズナラ帯では採餌行動は殆んど観察されていないそうだ。
どうりで標高の高いブナ林帯では糖蜜に寄って来なかったワケだ。ただし、その場所に分布していたのかどうかはワカンナイけど。

 

 
日中は頭を下にして樹幹や岩などに静止している。驚いて飛翔した時は上向きに着地して、数10秒以内に姿勢を変えて下向きになるという。また、着地するのは飛び立った木とは反対面に止まることが多いらしい。この行動パターンはマメキシタバと全く同じなんだそうな。
マメキシタバって、そうだったっけ❓
昼間にそれなりの数を見ている筈だが、記憶にない。
おそらくは敏感で、すぐに飛び立ち、小さいから見失ってしまうのだろう。それに所詮はマメなので、フル無視だ。追いかけて探したりまではしないもんね。

 
【幼虫の食餌植物】
主要な食樹はブナ科コナラ属のミズナラとカシワ。
だが『日本のCatocala』によると、低山地(長野県の標高700~1000m付近の谷沿い)ではクヌギ、コナラも食樹になっているようだ。但し、ミズナラの場合よりも遥かに幼虫は少ないという。
つまり、幼虫の主な生息地は山地のミズナラ帯である。長野県の白馬村や大町市といった標高1000mのカシワ林ではマメキシタバ、ヒメシロシタバと混生する場合があるが、どのような場所でも主要な発生木はミズナラみたいである。
飼育する場合、コナラ属(Quercus ssp,)全般が代用食になるという。幼虫は樹齢15~40年の木によく付き、標高の高いところでは巨木に発生することもあるそうだ。

 
【幼生期の生態】
もう、ここは全面的に西尾氏の『日本のCatocala』に頼る。だいちと云うか、そもそもが幼虫期に関してここまで詳しく書かれたものは他に無いのだ。

卵から孵化後、幼虫はマメキシタバと同じく暫く動き回り、物に糸でぶら下がって静止していることが多い。
終齢幼虫は5齢。飼育すると、ごく一部が6齢に達するという。昼間、若齢から中齢幼虫は裏に静止している。終齢になると、太い枝や樹幹に降りてくる。
野外での終齢幼虫の出現時期は、長野県の低山地で6月上・中旬。1600mの蓼科高原では6月末~7月上旬。

 
(出展『フォト蔵』)

 
野外で見つかる幼虫には色彩変異があり、濃淡の強い個体や全体が暗化したり、淡色化した個体までいるんだそうだ。

幼虫はマメキシタバの幼虫と似ていて、高標高のものは白っぽくて殆んど区別できないものもいるという。マメキシタバとの識別点は腹部下面に列生する肉突起。いわゆるフィラメントの有無による。マメキシタバにはフィラメントがあるが、エゾシロにはないそうだ。
これだけ幼生期を詳しく調べられている西尾氏でも、蛹化場所についての知見は無いという。普通カトカラの蛹は落葉の下から見つかるから、発見できないのはちょっと不思議だね。

成虫も幼虫も生態面諸々がこれだけマメキシタバに似ているとなると、無視できないものがある。
学名の項で既に触れているが、もう一度両者について考えてみよう。

と思ってたら、『世界のカトカラ』の末尾に別項で言及されているのを見つけた。
見る時はいつもテキトーにパラパラやってるから、全然気づかなかったよ。けど、タイミングが良いと云えば良い。知らずに全て書き終えた後に気づいてたら最悪だったもんね。本を持っているのに見てないだなんて、アイツは能無しだとバカにされること明白だわさ。

『闇の中の光』と題した文中の「外見が著しく異なる近縁種」のページから抜粋しよう。

「マメキシタバ duplicataーエゾシロシタバ dissimilis
以前からこの2種は近縁と言われてきた。確かに成虫は後翅が黄色いか黒化しているかで、基本的な斑紋パターンやゲニタリアは似ている。幼虫も似ている。外観的には、前述の北アメリカの3組(※)とほぼ同様であり、類縁関係はある筈なのだが、ミトコンドリアDNA、ND5の塩基配列では明瞭な類縁関係は認められない。おそらくCatocalaが最初に一斉に適応放散した頃にこの2種は種分化し、その後あまり形態的変化を生じないまま今日に至っているのではないだろうか。」

※後翅が黄色と黒と著しく異なる近縁種の組合せ

Catocala consores ━ Catocala epione
Catocala palaeogama ━ Catocala lacrymosa
Catocala gracilis ━ andromedae
の3組のこと。

えーい、こんなんじゃ解りづらかろう。
図鑑の画像ばっかパクってるので心苦しいが、ブッ込む。

 

(出展『世界のカトカラ』)

 
ようは一見すると遠縁に思えるが、共通の祖先種から各々分化したと予想されると云うことだ。上翅の斑紋を見ると、それが何となく解る。

また、次のコシロシタバとヒメシロシタバの項にもマメとエゾシロについて触れられている。要約しよう。

「ユーラシア大陸にはコシロシタバ、ヒメシロシタバ、エゾシロシタバ、ターキィクロシタバ、C.nigricans(アサグロシタバ)、チベットクロシタバ(C.xizangensis)という5種類の後翅が黒化したカトカラがいる。」

と、ここで早くも躓く。
アサグロシタバ❓、チベットクロシタバ❓(・。・)何だそりゃ❗❓
ちょっと待て。ユーラシア大陸には黒い下翅のカトカラは、エゾシロシタバ、コシロシタバ、ヒメシロシタバを除けば、ターキィクロシタバしかいないと思っていたけど、他にもおるんかい❗❗
ネットの『ギャラリー・カトカラ全集』にも「北アメリカに後翅が黒化したカトカラが多いが、旧大陸ではターキイクロシタバと本種の2種が後翅が黒化したカトカラとして知られているだけで…」とあったから、ターキィのみだとばかり思ってた。でも、そうじゃないんだ❓ここまで来て、青天の霹靂の急展開じゃないか。おいおいである。
早速、慌てて図版を見返す。

 

 
(-“”-;)あった…。
でも何じゃそりゃである。

 
【コシロシタバ&ヒメシロシタバ】
(出展『世界のカトカラ』)

 
気が引けるし、裏面くらいは自分の画像を使おう。

 
【コシロシタバ裏面】

 
【アサグロシタバ&チベットクロシタバ】
(出展『世界のカトカラ』)

 
チベットクロはバカでかいものの、何のことはない、コヤツらみんなコシロシタバと殆んど同じである。
コシロとヒメシロシタバのページに埋もれてて、見逃しておったわ。我ながらダセーな。

いやいや、ちょと待て、ちょと待て、お兄さん。
もしかしたら、コシロ、ヒメシロ、アサグロ、チベットクロの何れかがエゾシロシタバの学名「dissimilis」の似ているが非なる者の語源になったカトカラかもしれない。灯台もと暗し。盲点じゃったよ。まさかコシロやヒメシロとは考えもしなかった。両者とエゾシロとは上翅の斑紋パターンが違うし、地色や下翅の白紋の位置も違うのだ。
もしそうだったとしたら、🎵チャンチャンのオチじゃないか。まあ、解決すればスッキリするから、それはそれで良いんだけどさ。

(|| ゜Д゜)あちゃー。
けど、それも有り得ない。
コシロの記載年は1874年。ヒメシロが1924年でアサグロは1938年。そしてチベットクロが1991年なのだ。何れもエゾシロシタバの記載年1961年よりも後の記載なのである。
又もや謎は解けなかった。益々もって混迷は深まるばかりだ。

話を石塚さんの文章に戻そう。

「それら(下翅の黒いカトカラ)に対応する後翅が黄色い種がいると考えたが見当たらない。外観からコシロシタバとアミメキシタバ、ヒメシロシタバとヨシノキタバが近い関係とも推測されたが、ゲニタリア(交尾器)が全く違う。この点から従来の常識では類縁関係は認められない。
しかし、日本産のカトカラをDNA解析した結果、コシロシタバとアミメキシタバ、またヒメシロシタバとキシタバに僅かながらの類縁関係が認められた。もしこの結果が正しければ、交尾器の相違は類縁関係を反映していないことになる。」

この結果に対して石塚さんは、こう見解されている。
「地史的に比較的新しい時期に種分化したものはゲニタリアは似ているが、古い時期に種分化したものはゲニタリアにまで著しい違いが出てくる可能性があるのかもしれないが、全くの謎である。
現時点では、マメキシタバとエゾシロシタバもアミメキシタバとコシロシタバもそれぞれ互いの類縁関係はないと解釈するしかない。後翅の黒化は、北アメリカでは地史的に比較的最近の出来事であるが、旧大陸ではかなり古い時代にいろいろな系統内で生じたのではないかと思われる。」

DNA解析の結果ではマメキシタバとエゾシロシタバは類縁関係はないとされるが、互いの成虫の交尾器、形態、大きさ、生態は似ているし、幼虫の形態・生態も似ている。つまり、どう考えても近縁種と思われるのに、類縁関係が無いとはどうゆうこっちゃ❓と云うワケだ。
確かに謎だよね。
石塚さんが「DNA鑑定が100%正しいかどうかは分からない。」云々みたいなことをおっしゃっていた意味がようやく解った気がするよ。自分もDNA鑑定が十全で、絶対だとは思わない。種を規定するにはDNAだけでなく、総合的な観点が必要だと思う。カトカラではないが、外部形態に差異が見出だせないのに、DNAは全然違う昆虫だっているみたいなんである。ならば肉眼では区別できないと云うことだ。そもそも種の分類とは、人間が区別するためにあるものだろう。それだと意味ないじゃないか。意味ないは言い過ぎかもしれないけど、目で区別出来ないものを別種とするのには抵抗感がある。

そう云えば思い出した。オサムシのDNA解析の結果を論じた中で、平行進化という言葉があったな。
平行進化とは、異なった種において似通った方向の進化が見られる現象を指し、その進化の結果が収斂となる場合があるという説。簡単に言うと、全く別系統な種が、例えばカタツムリを餌とすることによって、より容易(たやす)く餌を摂取する為に進化し、首が伸びるとかアゴが強大化して、結果、互いの外観が似ちゃいましたーって事ね。
でも、一部のカトカラの下翅が黒くなる理由を明確に答えられる自信がないし、平行進化を何にどう宛がっていいのかもワカンナイ。これ以上、変なとこに首を突っ込みたくない。やめとこ。

話は戻るが、もう一度DNA鑑定をやったら、また違った結果が出たりしてね。最初にDNA鑑定をしてから年数が随分と経っている。その時よりも手法や精度だって進歩してる筈だし、今なら、より正確な事が分かるんじゃないかな?誰か、やり直してくんないかなあ。

 
                    おしまい

 
追伸
謎が解決するどころか、益々謎が深まっちゃったよ。
前回、ボロクソ言ったけど、エゾシロシタバって奥が深いわ。エゾシロちゃん、ゴメンね。
今年はまた違った観点でエゾシロシタバに向き合えそうだ。糖蜜がどこまで通用するかも試してみたい。

今回は、石塚さんの『世界のカトカラ』と西尾則孝氏の『日本のCatocala』に頼りっきりで書いた。お二人の偉大さを改めて感じたでござるよ。末尾ながら感謝である。

それにしても、結局またクソ長くなったなあ。
エゾシロシは一番楽勝で書き終えられると思ってたのに大誤算だわさ。

 
追伸の追伸

エゾシロシタバの小種名dissimilisは、どの種を基準にして名付けられたかと云う問題に対して、松田真平さんから以下のような回答を戴いた。

「エゾシロシタバの学名は、オオシロシタバCatocala laraに似ているということでCatocala dissimilisと名づけられたのではないでしょうか。1861年にBremerが、東シベリアからアムール付近からもたらされた採集品をタイプ標本にして記載した3種のCatocalaの中で、この2種が色彩的に似ているという意味だと思います。もう1種のオニベニシタバは色彩的に無関係ですね。」

まさかだが有り得るよね。
真平さんは追記で、次のような見解もされておられる。

「カトカラ類が世界で初めて記載された時の三種。後翅表面が白黒で近いというだけですが、この時は時代的にまだそういう研究段階なのだろうと。原記載を読めばさらに面白いと思うのは私くらいかなあ。」

ようするに、昔はアバウトだったって事か。まあ、そう言わてみれば、そんな気もする。昔のまだ色んな事がわかっていない時代の観点と今の色んな事がわかっていて、それが当たり前だと云う立ち位置とでは、当然モノの見方も変わってくるもんね。
一応補足すると、世界で初めて記載されたカトカラ3種と云うのは世界でと云うワケではなくて、エゾシロ、オオシロ、オニベニの事を言うてはるのかなと思います。因みにカトカラで一番古い記載は、たぶん1755年のコオニベニシタバ Catocala promissa。

 
【Catocala promissa】
(出展『世界のカトカラ』)

 
追伸の追伸の追伸

オオシロシタバの解説編の為にネットで色々と調べていたら、こんなんが出てきた。

 
(出展『Bio One complate』)

 
カトカラのDNA解析だ。
あっ、表題を見ると『Molecular Phylogeny of Japanese Catocala Moths Based on Nucleotide Sequences of the Mitochondrial ND5 Gene』となっている。
そっかあ…、コレが石塚さんが新川勉さんに依頼したというDNA解析かあ…。探したけど、全然見つからんかった論文だ。
コレを見ると、オオシロシタバとエゾシロシタバの類縁関係がそこそこ近いじゃないか。
だとするならば、Bremerさんがオオシロに近いと感じてエゾシロに「dissimilis」と云う学名をつけたのは慧眼だったのかもしれない。
とはいえ、DNA解析が本当に正しいかどうかはワカンナイけどね。

 
(註1)蝦夷
Wikipediaには、以下のような解説がある。
「蝦夷(えみし・えびす・えぞ)は、大和朝廷から続く歴代の中央政権から見て、日本列島の東方(現在の関東地方と東北地方)や北方(現在の北海道地方)などに住む人々の呼称である。中央政権の支配地域が広がるにつれ、この言葉が指し示す人々および地理的範囲は変化した。近世以降は北海道・樺太・千島列島・カムチャツカ半島南部にまたがる地域の先住民族で、アイヌ語を母語とするアイヌを指す。大きく「エミシ、エビス(蝦夷・愛瀰詩・毛人)」と「エゾ(蝦夷)」という2つの呼称に大別される。」

 
(註3)たぶん四国でも稀だと思われる
1970年代と古い時代の資料だが、以下のような記述を見つけた。
「石鑓山系(小島,1964)や 剣山(永井・富永,1971)など四国中央山地に分布が知られていたが、香 川と徳島の県境に位置する阿讃山地の尾根にも広く分布するようでもあり,県下(香川県)のカトカラの中で は比較的個体数の多い種である。」(「四国の蛾の分布資料(1)香川県のカトカラ」増井武彦,1976)

やはり中央山地には結構いるんだね。
ブログなどにも割りとエゾシロは出てくるから、どうやら四国での分布は広いようだ。しかし、そんなに多いものでもない旨の文章もあった。

 
 

未だ見ぬ日本の美しい蛾2


年末に岸田先生の『世界の美しい蛾(註1)』について書いたが、本には海外の美麗蛾のみならず、日本の美しい蛾も数多く紹介されている。
今回も前回に引き続き日本に分布する未だ見たことがない憧れの美しい蛾たちである。

 
【ハグルマヤママユ Loepa sakaei】
(出展『世界の美しい蛾』)

 
鮮やかな黄色にアクセントとなる赤褐色の眼状紋が配されている。このビビットなコントラストが美しい。それを引き締めるかのような黒い波状線がまた何とも心憎い。艶やかにして、粋(いき)。この美しさには誰しもが瞠目するだろう。
ヤママユガ科(Saturniidae)の蛾は美しいものが多いが、中でもハグルマヤママユが最も美しいと思う。ヤママユガ科の中では、やや小さいと云うのもキュートな感じがして好ましい。

漢字で書くと、おそらく「歯車山繭」だろう。
ヤママユの仲間は皆さん眼状紋があるけど、波状の線が目立つゆえ動的に見えたから歯車ってつけたのかな?
由来さておき、中々良い和名だと思う。早口言葉で三回続けて言うと絶対に噛みそうだけどね。

分布は奄美大島、徳之島、沖縄本島北部とされているが、宮古島なんかでも採れているみたいだ。
ハグルマヤママユ類は東南アジアに広く分布しており、似たようなのが沢山いるものの従来はtkatinkaとして一まとめにされ、特に種としては分けられていなかったようだ。日本のものも、その1亜種とみなされてきた。しかし近年になって分類が進み、多くが種に昇格したという。日本産も別種とされ、日本固有種となったようだ。

年3回の発生で主に3月、5月、8~10月に見られるとある。ヤママユの仲間は年1化が多く、一部が2化すると云うイメージだが、南方系の種だけあって年3化もするんだね。

何だか久々に奄美大島に行きたくなってきた(註2)。
奄美にはハグルマヤママユもいるし、キマエコノハもいるもんね。それにベニモンコノハの記録も一番多い。上手くいけば憧れの美しい蛾が三つとも採れるかもしれない。
蝶だって美しいものが多い。この島特有の美しいアカボシゴマダラやアマミカラスアゲハがいるし、春ならば、日本で最も美しいとされる白紋が発達したイワカワシジミだっている。

 
【アカボシゴマダラ♂】

 
【オキナワカラスアゲハ奄美大島亜種 夏型♂】

【同♀】

 
【イワカワシジミ】
(各地のものが混じってます。)

 
そうそう、思い出したよ。そういえば最近は沖縄本島にしかいなかったフタオチョウも土着しているというじゃないか。フタオチョウは沖縄県では天然記念物で採集禁止だが、鹿児島県ならばセーフだ。あのカッチョいいフタオチョウを大手を振って採れるのだ。

 
【フタオチョウ♀】

 
つまりレピ屋には、奄美はとっても魅力的な島なのだ。
それに奄美の海はとても綺麗だ。食いもんだって沖縄とは桁違いに旨い。アバスの唐揚げとか死ぬほど美味いもんな。
(ToT)嗚呼、奄美行きてぇー。

                     おしまい

 
追伸
冒頭に蛾たちと書いたし、数種を紹介する予定でいたが、早くも力尽きた(笑)。
やっぱ不調なのである。ボチボチ書いていきます。

 
(註1)世界の美しい蛾

グラフィック社より出版されている。
今のところ、ジュンク堂など大きな書店に行けば売ってます。

 
(註2)久々に奄美大島に行きたくなった
本ブログに『西へ西へ、南へ南へ』と云う奄美大島の紀行文があります。自分的には好きな文章。昔の方が良い文章を書いてたと思う。よろしければ読んで下され。

 

『世界の美しい蛾』

 

 
『世界の美しい蛾』という、岸田先生が今年出版された本だ。
この本の存在は知ってはいたが、長いこと未見だった。春先だったと思うけど、Oくんが買って損したとか文句を言ってたので、ふ~んと思ってそのまま存在を忘れてしまってた。
で、最近になって大きな本屋に行った時に偶々(たまたま)見つけた。中をパラパラと見ると、見たこともない綺麗な蛾が並んでて、Oくんの口振りから想像していたものとは随分と印象が違った。値段も¥3850と、そう高くはなかったので衝動的に買ってしまったなりよ。ただいま絶賛ボンビー中なのにさ。

帰りの電車の中で、中を見る。
表紙の綺麗な蛾は「Baorisa hieroglyphica タナバタユカタヤガ」という名前のようだ。漢字で書くと、たぶん「七夕浴衣夜蛾」になるのだろう。一瞬、夏祭りの甘酸っぱい思い出が甦る。ノスタルジィーを掻き立てる粋な和名だと思う。

見てると、ガにはチョウには無い独特の翅のデザインが有ることに気づく。チョウよりもそのデザインはバリエーションに富み、種によってはチョウよりも複雑な模様を持っている。男性よりも女性の方が蛾に興味を持つのは、その辺に理由があるのかもしれない。仔細に見れば、スタイリッシュなのだ。
男はモノをざっくりと見がちだが、女性は細部までをよく見ているのだろう。男は色のデザインよりも形、つまりフォルムに反応するように出来ているのかもしれない。車やメカ(機械)、カブトムシやクワガタをカッコイイと感じるのが男なのだ。女性の体も、細部よりも先ずは体のライン、全体のフォルムを重視して見ているところがある。各パーツに目がいくのは、その次だ。で、顔を除けば、乳、ケツ、足に集約される。
一方、女性は最初から細部に目がいっているような気がする。男性の体の中でどこが好きですか?と訊かれて「手」と答える女性は多いが、男からすれば、有り得ない答えだ。もしも男で、最初に「手」とか答える奴がいたら、そいつは間違いなく変態です。乳、ケツ、足以外の「首筋(襟足)」とか「耳」のチョイスも解らないでもないが、1位に持ってきた時点で変態性が強い。
一言添えておくと、もちろん男は細部に拘っていないワケではない。あくまでも全体像、フォルム有りきの細部なのである。
これは太古の昔、狩猟採集の時代は男が狩猟を、女が村の周りの食物の採集を担当していた名残からなのかもしれない。
話が逸れた。このままいくと、また迷走なので本筋に戻そう。

艶やかな蛾が並ぶ中、目新しいもので特に惹き付けられたのはコレかな。

 
【レプレータルリチラシ Eterusia repleta】

 
オキナワルリチラシの親戚だね。
緑に青と少し黄色が入るって、カッコイイなあ。
蝶や蛾の知識の無い人から見れば、蝶にカテゴライズされるかもね。世間一般では、キレイ=蝶。汚ない=蛾という概念が定着しているところがあるからね。

こんなのも気になった。↙

 
【アフリカミドリスズメ Euchloron megaera】

 
黄色と緑の組み合わせの服なんて絶対に着れないけど、デザインとしては全然有りなんだよなあ…。
服や周りの調度品としての緑は好きじゃないが、自然界にある緑は掛け値なしに好きなのはナゼだろう。

更に見ていくと、後半のページで仰け反りそうになった。

 
【アサギマダラガ Cyclosia notabilis】

 
何じゃ、こりゃ(゜ロ゜;ノ)ノ❗❓
へぇ~、アサギマダラに擬態したチョウは知ってるけど、ガにもいるんだ…。そう思った。
アサギマダラは体内に毒を持つ事から、鳥に捕食されにくいと言われている。心憎いことに、殆んど襲われないと知っているからなのか、ゆるりと優雅に飛んでいらっしゃる。
それにあやかろうと、一部の毒の無い蝶や蛾が自らをアサギマダラに似せて難を逃れようと進化したのが擬態だ。本当にそうだとしたら、とんでもない高等戦術だ。しかし、似せようと思って似せられるものなのかね❓それがいまだ疑問だけど、どうあれ自然とか生き物って、やっぱスゲェーな。
ん❓、ちょい待てよ。このアサギマダラガもマダラガの仲間なんだから、元々自身も毒を持ってそうだな。だとしたら、ミューラー型擬態って事になる。種を越えて互いに擬態効果を高めてるってヤツだね。似たような毒ある奴が沢山いた方が、より鳥への訴求力は高まるって寸法だ。

解説文には「中国とラオスでの分布が確認されているが、野性下の姿を見られる機会は極めて稀だろう。」とあった。中国と云うのは、おそらくインドシナ半島北部に隣接する雲南省辺りなのだろう。
ふ~ん、ラオスにいるのなら何処かで見ててもオカシクないよな、と思った次の瞬間、記憶の映像が💥ガーンとフラッシュバックした。
コレって、見たことあるぞーΣ( ̄ロ ̄lll)
どこだっけ❓
たぶん…、インドシナ半島北部だな。確か吸水に来てるのを撮ったぞ。
 
帰宅後、探しまくって漸く画像を見つけた。

 

 
画像を拡大しよう。

 
(2016.4.22 ラオス北部)

 
遠目に見て、一瞬ちっちゃいアサギマダラ(蝶)かなと思った。だが違和感ありありで、すぐにニセモノだなと気づいた。にしても、他のマダラチョウの仲間でもなさそうだった。たぶん見たことがない奴だ。
何じゃらほいと思いながら近づいてゆくと、地面に止まって吸水し始めた。それを見て、一発で蛾だと理解した。だってさあ、触角がモロに蛾なんだもーん。

で、アサギマダラに擬態してる蛾なんて聞いたことがなかったから、一応証拠として写真を撮ったのだった。
ところで、コレって結局採ったんだっけ❓
いや、でも展翅した憶えがない。だとしたら、M氏辺りに渡したのかな❓ いやいや、当時はまだ蛾は気持ち悪かったし、写真撮ったからもういいやと思って採らなかったわ。相当に珍みたいだし、採っときゃよかったなあ…。

あれっ❗❓、でもよくよく見れば、どこかアサギマダラガと違うぞ。あっ❗上翅と下翅の地色が逆になっとるやないけー(@_@)

もしかして、まさかオスとメスとで上下の色が入れ替わるとか❓ でもそんな例、聞いたことがない。そりゃ、たぶん無いわ。
となると、これはアサギマダラガとは違う別種って事になるぞな…。
しかし、だったらコイツはいったい何者なのだ❓
でも、蛾の情報って少ないんだよなあ…。ちょっと調べてみたけど、直ぐにイヤになってやめた。まさか新種だったりして(笑)。まあ、それは無いとは思うけど。
それはそうと、コイツも珍なのかしら❓
岸田先生、教えて下され。

それはさておき、アサギマダラに擬態してる蝶がいると前述したが、コレが凄い精度なのだ。この際、ついでだから紹介しておこう。

 
【カバシタアゲハ Chilasa agestor】

 
タイやマレーシアの可能性もあるが、たぶんラオスで採ったものだろう。サムヌアかバンビエン辺りのものかな。

 
(裏面)

 
コレには完全に騙されたなあ。
その存在さえも知らなかったから、マレーシアで初めて会った時には腰を抜かしそうになった。それくらい似てるのだ。姿、形だけではなく、飛び方までソックリなのさ。マネシアゲハの仲間は擬態精度がメチャメチャ高い。アサギマダラガもいい線いってるけど、カバシタアゲハには敵わないんでねぇの❓
とは言っても、飛んでいる現物を見ないと、何とも言えねえな。余談は禁物だわさ。

おっと、本家本元、肝心要のアサギマダラにも登場して貰わないと本末転倒だ。これじゃ、普通の人には伝わらんよね。

 
【アサギマダラ Parantica sita】

 
とはいっても、ド普通種ゆえに展翅画像なんて撮ってない。よって、図鑑の画像をお借りした。

 
(裏面)
(出展 2点共『日本産蝶類標準図鑑』)

 
コレで如何に似ているかは御理解戴けたかと思う。
擬態って、改めてスゲェー世界だよなあ。

 
本を見ていると、他にも見たことや採った事があるものがそこそこ載っていた。トラシャクなんかは、そこそこ見てる。

 
【トラシャク Dysphania militaris】

 
コレは散々迷った揚げ句、採った記憶がある。
各地で珠に見ていたが、綺麗だけど蛾だと云う概念が邪魔して採る勇気がなかったのだ。じゃあ、何でこの時は採ったんだろ❓魔が差したのかなあ…。それか、この時は目ぼしいものかいなかったからヒマ潰しで、つい採ったのかも…。ブツは蛾好きのM氏に進呈したと思う。

本の解説には「日中、梢を飛翔し樹上に留まることが多いから捕獲は難しい種だと言える。ただし、稀に吸水のため地面に降りることもある。」と書いてあった。
目立つ蛾だから、そんなに珍しいモノだとは思っていなかった。しかし言われてみれば、そんな気もしてきた。よくよく考えてみると、何処にでもいたワケではない。でも吸水に来ている時は集団の事もしばしばあって、アオトラシャクなんかも混じってたなあ。採ろうと思えば、トータルで軽く20くらいは採れてたと思う。
もしも又、東南アジアに行く機会があったなら、真面目に採ろっと。

オウサマアゲハモドキもあった。

 

 
バックが暗くて分かりづらいので、他のところから画像を引っ張ってこよう。

 
【オウサマアゲハモドキ Epicopeia polydora】
(出展 『学研の図鑑 世界の昆虫』)

 
【裏面)
(出展『insectdesigns.comlithops.com』)

 
名前が王様なのだ。おそらくアゲハモドキの仲間の最大種だろう。タイのチェンマイで見たことがある。
最初はナガサキアゲハとかオオベニモンアゲハ、レテノールアゲハ(アルクメールアゲハ(註1))かなと思ったが、よく見ると違うので背中に悪寒が走ったよ。何度も言うが、その頃は蛾を忌み嫌っていたからね。
だから勿論の事、無視した。随分と後になってから、かなり稀なものだと知った。結構沢山いたので、今思えば、コレも採っときゃよかったよ。因みに此の場所以外では見た記憶はない。

チョウと見間違えたのは、コヤツも体内に毒を持つので、コレに擬態してるチョウが多いからだ。
つまり、ガがチョウに似せているのてはなくて、反対にチョウがガに似せているのだ。謂わば、それらのチョウはオウサマアゲハモドキモドキなのである。
いや、違うか❓ 違うな。勢いで、つい筆がスベったが、毒持ちなのはオオベニモンアゲハだわさ。冷静になって考えれば、オオベニモンアゲハはジャコウアゲハ系アゲハだもんね。ジャコウアゲハと言えば、食草はウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)である。この植物には毒があり、幼虫はそれを体内に取り込み、成虫になってもその毒は体内にとどめられる。植物の種類は違うが、原理はアサギマダラと同じだ。それによって、鳥などの捕食者から身を守るのだ。
思い出したよ。台湾のオオベニモンアゲハは、確かタイワンウマノスズクサやリュウキュウウマノスズクサを食ってた筈だ。となると、インドシナ半島北部でも同じ系統のものを食しているものと推察される。毒ありなのは相違なかろう。
一方、アゲハモドキの仲間はアオキ科などを食樹としているものが多く、知る限りでは毒持ちではない。オウサマアゲハモドキが何を食ってるかは調べても分かんなかったから断言は出来ないけど、おそらく毒持ちではないだろう。間違ってたらゴメンだけど。

このチェンマイのポイントには、互いに擬態関係にあるものが数種いたと云う記憶がある。オウサマアゲハモドキに、オオベニモンアゲハ、レテノールアゲハ、ナガサキアゲハの4種類だ。

 
【オオベニモンアゲハ♀ Atrophaneura polyeuctes】

 
【裏面】

 
美しくもあるが、毒々しい。翅だけじゃなく、頭や腹まで赤いところが妖しい。毒婦じゃよ。
コレは台湾産のオオベニモンだけど、インドシナ半島のモノとそう変わらないだろう。見事にオウサマアゲハモドキに似ているね。いや、オウサマアゲハモドキがオオベニモンアゲハに似てるってのが正しいか。

インドシナ半島のモノも見っかった。

 

 
こっちは翅形的に♂かな。
白紋が大きいくらいで、やっぱ基本的には変わらんね。

 
【ワタナベアゲハ♀ Papilio thaiwanus】

 
(裏面)

 
これも飛んでたら、同じように見えるだろう。
違うと気づいたとしても、その時にはもう遅い。当然スタートも遅れる。たとえ結果的に見破られたとしても、判断を遅らせることが出来たならば、逃げれる確率は格段に上がるのである。

 
【ナガサキアゲハ♀ Papilio memnon】

 
裏展翅がないので、杉坂美典さんの画像をお借りしよう。

 
(裏面)
(出展『台湾の蝶』杉坂美典)

 
台湾産の有尾型だ。日本のものは、基本的には尾っぽがありゃせん。一応、そっちも載せとくか…。

 
【ナガサキアゲハ無尾型♀】

 
白いから、たぶん沖縄本島のものだろう。
そういえば白いのは、これまた毒を持つオオゴマダラに擬態してるという説もあったような気がするなあ。

 
(裏面)
(出展『蝶の傍らに』)

 
改めて見ると、ナガサキアゲハは腹が赤くないんだね。そういう意味では擬態精度はやや落ちるかもね。

参考までに言っとくと、当時見た記憶は無いが、此の場所にはベニモンアゲハとホソバシャコウアゲハもいるかもしれない。一応、両者とも分布域には入ってるからね。特にベニモンはいる可能性が高いだろう。

ベニモンアゲハもド普通種なので、展翅画像が無い。
まさかベニモンなんぞをブログで取り上げることなど無かろうと思ってたから、写真もありゃせんのだ。って云うか、ベニモンなんて採らない。いても普通種なので今や無視なのだよ。どうせ採っても展翅しないだろうからさ。無駄な殺生してもしゃあないし。

 
【ベニモンアゲハ Pachiliopta aristolochiae】

 
(裏面)
(出展 2点共『日本産蝶類標準図鑑』)

 
毒持ちでやんす。でもオオベニモンアゲハと比べると、かなり小さい。レテノールもやや小さいから、もしかしたらベニモンに寄せて擬態してるのかもしれない。そういう観点からみれば、オオベニモンに一番寄せてるのはオウサマアゲハモドキかもしんない。

 
【ホソバシャコウアゲハ Losaria coon】

 
変な形だニャア(ФωФ)
たぶんラオスで採ったものだ。バンビエンかタボックの個体だろう(どっちにもいる)。
裏展翅をした記憶が無いから、裏面画像はネットから拝借しよう。

 
(裏面)
(出展『SAMUIBUTTERFLIES』)

 
ホソバシャコウもジャコウと名が付くだけあって、毒持ちだ。横から見ると、やはり毒々しいねぇ。

整理すると、毒持ちはオオベニモンアゲハ、ベニモンアゲハ、ホソバシャコウ。毒無しはナガサキアゲハ、レテノールアゲハ&ワタナベアゲハ、オウサマアゲハモドキって事になる。
ここまでパッと見が互いに似ているのがいたら、天敵の鳥だってワケわかんなくなって騙されるに違いない。擬態組の何れ劣らぬ擬態振りに改めて感心するよ。
いかん、いかん。ついつい、またミミクリー(擬態)の話になってしまった。語り始めたら長くなるから、これくらいにしておこう。擬態は奥が深いのだ。
それにオウサマアゲハモドキと擬態については、以前にアメブロの方で『第三のアゲハモドキ』と題して書いた。興味のある方はソチラを読んでたもれ。一応リンク先を貼りつけておきます。

 
https://ameblo.jp/iga72/entry-12248086677.html

 
キボシルリニシキ、アオトラヤガ、アオトラシャク等々、見たり、採ったりしたものがまだまだある。もっと紹介したいところだが、調子に乗って紹介すると、先生の営業妨害になりそうだから、この辺でやめとく。興味を持った方は、あとは本を買って見て下さいな。

                      つづく

 
追伸
意外と日本の蛾も紹介されていたので、次回はそれについて少し書こうかと思います。

 
(註1)レテノールアゲハ(アルクメールアゲハ)
レテノールの画像が、めっかった。♂だけど。

 

 
(裏面)

 
昔は、Papilio rhetenorという学名だったが、近年になって Papilio alcmenorという学名になったようだ。その経緯(いきさつ)は知らないか。
だが勝手に推測するならば、たぶん、P.rhetenorよりも、P.alcmenorの方に名前の先取権があることが後に判明したのだろう。つまりコウテイモンキチョウのパターンと同じじゃないかと考えたワケだ。
個人的には、断然レテノールという名前の方が好きだ。だから、いまだにレテノールと呼んでいる。
歩くメールアゲハだなんて、ダサいじゃないか。
 

青き Lampides

 
ひと月ほど前にシルビアシジミの事を書いたが、その折りに標本箱から変わったシジミチョウが出てきた。
すっかり忘れていたが、思い出深い蝶の一つだ。

 

 
コレ、なあ~んだ❓
見て直ぐに何者なのかが解る人もいれば、解らない人もいるだろうが、ド普通種のウラナミシジミだ。
因みに色の違いに言及しとくと、写真は外光など部屋の明かりの具合(光の射す角度)や背景の色によって写り方が変わってくる。強いて云えば、上から見たら、一番下の画像のように見えることが多いかな。

ラベルを見ると、まだまだ蝶屋も駆け出しだった頃の「2011年11月13日 大阪府豊中市勝部」となっている。ふわっと記憶が映像となって甦る。

夕方4時くらいだっただろうか、大阪空港の豊中市側をシルビアシジミを探して歩いていた。
ここは知る人ぞ知る、飛行機の着陸が物凄く間近で見られる場所だ。

 

 
すっかり傾いた太陽の光が、その長い指を伸ばし、辺りの風景に美しい陰影を与えていた。
そんな折りだった。🍀クローバーだらけの足元から小さな蝶が驚いて飛び上がった。何だろう?と思っ次の瞬間に、右からの淡い斜光に反射して羽がキラリと光った。
( ☆∀☆)青い❗それも物凄く青いと感じた。
Σ( ̄ロ ̄lll)何じゃ、ありゃ❗❓
咄嗟に走り出しながらも、刹那に脳ミソの片隅で考える。小さいといってもシルビアやヤマトシジミにしては大きい。ツバメシジミも同様だ。それに、それらの青とは違うもっと明るい青に見えた。しかも金属光沢があるように感じた。じゃ、何❓ もしかして迷蝶❓ だったとしたら、まだ見ぬどえりゃあ~珍なるモノかもしれない。

2、3歩ダッシュして、網を持つ片手を目一杯伸ばし、前に突んのめりながらもゲット。
で、ドキドキしながら中を見て、びっくり。全然、予想外の奴だった。裏面はどう見ても、ド普通種のウラナミシジミだったからだ。ウラナミシジミって、青というよりも藤色じゃなかったっけ❓あんな青く見えるワケないよな。

 
【Lampides boeticus ウラナミシジミ♂】

 
【同♀】

 
【裏面】

  
締めて、羽を開いてみると、やっぱ青い。どうやらメスのようだ。メスはオスと比べて色が青系だ。といっても青い部分は少なく、金属光沢が全く無いワケじゃないが、かなり弱い。とにかく、こんなに綺麗なもんじゃないのだ。だから、その時は異常型なんじゃないかと思った。

しかし、そこはまだまだ駆け出しの蝶屋。ウラナミシジミに低温期型ってのがあるなんて、まるで知らなかった。帰って調べてみて、漸くそういうのがいるってのを初めて知ったのだった。当時も今も、なあ~んも知らんのである。

今回、改めて見ると、正面からはあまり青く見えないのだが、傾けるとワッと青が浮き上がってくる。構造色なんだね。傾ける角度によって、微妙に色が変わる。

 

 
下翅の外縁部まで青い鱗粉が乗っていて、非常に美しい。黒い紋もよく発達しているね。
更に傾けると、また色が変わり、輝きも強くなる。

 

 
一応、ノーマルの♀も同じように傾けてみた。

 

 
藤色だ。色も薄いし、金属光沢も弱い。
全然、綺麗じゃない。でも、ウラナミシジミの♀って、こんなもんだよな。普通種だし、人気がないのも致し方ないよね。

ねんの為に、低温期型の裏面も確認してみた。

 

 
下翅の帯が太くなり、上翅の波柄にメリハリがあるように感ぜられる。

コレって低温期型にしても、特別美しくないかえ❓
でも、これ以外に低温期型のウラナミシジミなんて見たことがない。って云うか、真面目に探した事などない。或いは、こんなクラスはいくらでもいるのかもしれない。気になったので、ネットでググってみた。

低温期型って結構珍しいのかと思いきや、わりかし記事が出てくる。ちょっとガッカリだ。
でも、ここまで青いのは少ないんじゃないかと思う。
いや、やっぱ真面目にウラナミシジミなんて採ったことないから、ワカンねぇや。どれくらいの頻度で出るのかが、実体験として無いもんね。
よし、来年は低温期型をマジで探そう。これくらい美しいなら、採る価値はある。
とは言っても、どうせ秋になったら忘れてそうだけど…。

                    おしまい

 
追伸
『2018′ カトカラ元年』の新作が遅々として進まないので、こんなんでお茶を濁しております。

書き忘れた。
『日本産蝶類標準図鑑』によると、「早春に発生する個体は後翅裏面の白帯は広く、斑紋は不鮮明。後翅肛角部の橙色斑は著しく減退する。」とあった。
たぶん、こういうのを指しているのだろう。↙

 
(出展『g-hopper.ne.jp』)

 
だとすれば、秋冬型とも言える今回のは低温期と言えるの❓言えないの❓(@_@)ワケ、わかんねえや。

 
(註1)ウラナミシジミ
英名『long-tailed blue butterfly』
鱗翅目シジミチョウ科ヒメシジミ亜科。前翅長17mm内外。裏面に褐色の波状紋が密にあるため、その名がある。表面は雄では藤紫色であるが、雌では基半部にのみ青みを帯び、外半は暗褐色。後翅には細い糸状の尾状突起がある。英名はコレに由来する。幼虫はマメ科の栽培種や野生種の花や若い果実などを広範に食害する。暖地性で、本州では房総半島南部、伊豆、紀伊半島などで越冬し、夏から秋にかけてこれらの地方から本州各地,ときには北海道南部まで世代を繰返しながら北上する。しかし冬を越すことはできず、死滅する。四国南部、九州南部と西部、琉球列島などではほぼ一年中みられる。日本以外にも分布は広く、アジア南部、南太平洋の島々、オーストラリア、ハワイ諸島、ヨーロッパ中・南部、アフリカ北部に及ぶ。(参考資料『コトバンク』)

猪名川の河川敷以外でも、淀川や大和川の河川敷なんかでもよく見かける。関西では、平地の河川敷なら何処にでもいるって感じだ。それほど多くはないが、大阪市内でもちょくちょく見かける。そういえば、今年は近所の公園(難波)にもいたな。