あおはる1day trip その弐(後編)

 

『お城とおでんとお菊さん』後編

 
晩飯に何を食うかは、彦根から姫路へと向かう電車の中で既に決めていた。
姫路といえば、今や「姫路おでん」である。それを食う為もあって、彦根からここまで青春18切符で大返してやって来たのだ。
姫路おでんは、以前は関西でもあまり知られていないローカルフードだった。しかし、数年前にTVで紹介されてから脚光を浴び、今やメジャーな食いもんにのし上がってきている。
でも実を言うと、姫路おでんって食ったことないんだよねー。12、3年前に当時のオネーチャンと来た時はまだ姫路おでんなんてもんは全然有名じゃなかったんである。あの時って、いったい何食ったんだろ❓
懸命に考えたみたけど、全然思い出せないや。夏場だったから、おでんなんて絶対食ってないことは確かだ。夏場におでんなんぞ食いたいとホザいたら、彼女にシバかれとるわ。シバかれとったら、いくら健忘症のニワトリおつむのオイラでも覚えているだろう。

帰り道は一本隣の小溝筋の商店街を通った。
TVで見た日本酒の酒造会社が経営している老舗おでん屋というのを探す。しかし、困ったことに店の名前を覚えていない。それでも何とかなるだろうと思ったのだが、どうもそれらしき店が見つからない。仕方がないので、もう1回観光案内所へ行く。そこで訊くのが一番の早道じゃろう。

行くと、受付の若い女性にパンフレットを渡された。

 

 
おでん屋のガイドマップだ。
こんなもん、あったのね。

でも開いてみたら、思ってた以上におでん屋だらけだ。

 

 
(# ̄З ̄)ちっ、裏にまである。

 

 
こりゃ、ワカランわと思って、その若い女性に訊いてみた。

『あのう…、この中でお姉さんのお薦めの店はどこですか❓もしくは一番有名な店はどこです❓あっ、一番老舗の店でもいいです。』
だが、何だか反応が鈍い。
ならばと間髪入れずに『酒造会社がやってる昔からあるおでん屋さんって、どれですかね❓』と訊いてみた。
そこで、漸くその女性が口を開いた。
『そういうことは、一切お答えできません(-_-)』
冷たい声でピシャリと言われた。
(;゜0゜)唖然とする。
言ってることは理解できる。観光案内所の人間が、どこか特定の店に肩入れして紹介するのは不公平だからと云う事たろう。誠にもって正しい意見ではある。
それに人にはそれぞれ好みというものがある。お薦めした店が万人に合うワケではないだろう。あとで、「不味かったやんけ、ボケー(#`皿´)」とも言われかねないのである。
でもさあ、他の場所の観光案内所では結構親身になって色々教えてくれたぞ。
例えば長野県上田市の観光案内所では、旨いそば屋を教えてくれませんか❓と尋ねたら、特にここが美味しい、お薦めだとは言わなかったけれど、ここが昔から有名な老舗店ですとか、ここがいつも行列ができてますとか、ここが有名観光地に近くて便利ですとか、ここが一番コスパがいいですとかとは言ってくれた。つまり特定のオススメは決して言わずに、ちゃんと広く情報は流してくれたのだった。あとは観光客がそこから好きなところを選べばいいのである。これならクレームが出ることもないだろう。賢いですな。

ワタクシの質問一つめと二つめの、お薦めの店はどこですか❓と一番有名な店はどこですか❓は、その若い女性の答えでもいいだろう。なぜなら、多分に個人的意見が入る余地があり、また答えは一つと限定できないからだ。
しかし、一番老舗の店はどこですか❓という質問は、その若い女性当人がちゃんと勉強していれば答えられた筈だ。貴方の好みを訊いているワケではないからだ。単に事実を訊いているだけだ。お薦めを訊いているワケではないのである。二度言うが、それならば、答えられた筈だ。
次の、酒造会社がやってる昔からあるおでん屋さんってのも、彼女の好みやお薦めを訊いているワケではない。もし知っていれば、事実を答えればいいだけのことだ。だが、答えられないと云うのは、どうせ勉強不足で知らないだけなのだろう。
ようは言い方である。上田市の対応がヒントにはなろう。そもそも観光案内所の仕事は接客業である。お客様に情報と云う価値あるサービスを提供してこそ、何ぼのもんなのである。そこには官も民も関係ない。たとえ市というお役所の運営だったとしてもである。
ハッキリ言う。彼女の答え方は全てのお店を公平に扱っていますという一見正当な理由の傘(笠)に甘えた、単なる怠慢行為に過ぎない。もし観光客に対して親身になって相談を聞いているならば、その紋切り型の答えはありえないだろう。
ワテは優れているから(笑)、何とでも解決策を見つけられるからいい様なものの、普通の観光客ならば困惑するだろう。己の力で探せってか❓だったら、パンフレットだけ置いとけや。アンタは、いらん。
(-“”-;)あっ、大人げなく怒ってしまったよ。
スマン、スマン。まだ若いからそれも仕方がないよね。是非この先経験を積んで、いい応対をして下さいな。キミなら、きっと出来るよ。大丈夫d=(^o^)=b

ここまで書いて、そこまで怒ることないじゃん、そんなのネットで調べればいい事じゃんか❓と疑問を持たれた方もいるだろう。おっしゃるとおーりである。
出来ることなら、ワシもそうしたかったとよ。でもスマホが古いのでバッテリーがバカになりかけてて、直ぐに電池が無くなるのだ。だから今日もずっと機内モードにしているのだが、それでも電池が無くなりかけていたのである。もし、ここで機内モードを解除してネット検索したら、迷惑メールがてんこ盛りでやって来て、あっという間に電池切れになることは明白である。そうなったら、姫路おでんの写真が撮れんのじゃよ、もしー。だから観光案内所に頼るしかなかったというワケなのさ。
何かここ書いてたら再び沸々と怒りが湧いてきたわ。

まあいい。怒ったところで問題が解決するワケではない。流そう。そんな事に拘ってても疲れるだけだ。
もうこうなったら自分で探すしかない。おでんガイドマップをガン見する。

丹念に見ていくと、それらしき記述のある店が見つかった。
店の名はどうやら『酒饌亭 灘菊 かっぱ』と云う店のようだ。言われてみれば聞いたことがあるような気もする。
紹介文にはこうあった。
「酒蔵が経営する”姫路おでん”の老舗。姫路駅前でカウンターと太鼓のイスで50年余。大串おでん。”SAKE”一合徳利瓶が名物。

【おでんダネの特徴】
旬の素材・地元の食材を一つ一つ丁寧に仕込んで、こんぶ、かつを、地酒を使った伝承の出汁で煮込みます。

ここまで書いてあるんだったら、教えてくれてもいいやんか❗やっぱあのアマぁ(#`皿´)、知らなかっただけか単に性格が悪いだけだ。地獄に落ちろや、ドブスめがっ❗❗
どーどーどー。幸い見つかったから良いではないか。そう怒る事はない。怒ると体によくないあるよ。

想像はしてたけど、やっぱ店は駅から近かった。
歩いて5分とかからなかった。

 

 
如何にも大衆的な感じがいいねぇ。
最近はお洒落な店よりもぐでんぐでんの酔っ払いのオヤジが好きそうな店に惹かれる。何やらそっちの方が落ち着くのだ。ようするに自分もオジサンになっちったと云うことなのね。

 

 
店舗の上がセクシー系の店なのに、ちょい笑う。
老舗感、大幅減やんか(^○^)

 

 
店内はこんな感じ。悪くない。
昭和33年創業というから、もう60年も続いてるって事か。ならば、それなりに期待が持てそうだ。

明るい声のオバチャンに煙草を吸う人用の壁際のカウンター席に座るよう促される。狭い店なんだから、どこだっていっしょだろうにと思うが、便宜上色々あるんだろね。酒飲むのにも面倒くさい世の中になってきたなあ。何かとコンプライアンスで、どんどんツマンナイ世の中になっていってる。まるで何かの寓話みたいだ。5年後、コンプライアンス人間は、みんな原因不明の奇病にかかって口がきけなくなるのさ。

そんな事よりも、先ずはビールである。

  

 
そういえば、今日初めてのビールだ。電車に乗る前に売店で買ったろかいと思ったが、まだおバカになるには早いと思って自重したんだったワ。コンプライアンス的にぃ~。

(≧∀≦)ぷしゅー。
あるこほるが、瞬時に全身の血管の隅々にまで運ばれてゆく。堪んないね。

落ち着いたところで、さてさて問題は何を頼むかだが、先ずは何をおいても姫路おでんである。
ここで姫路おでんとは何ぞやと申しますると、どうやら生姜醤油で食べるおでんのことを「姫路おでん」と呼ぶらしい。姫路には関東煮と呼ばれる濃い味付けのおでんと関西風の薄味のおでんの二種類が存在するが、出汁のベースには全く関係がなくて、生姜醤油で食べるかどうかが姫路おでんか否かの大きな決め手となるらしい。つまり生姜醤油で食べるおでんは全て「姫路おでん」ってワケ。おおらかだけど、ざっくりでんなあ。
姫路を中心に加古川~相生辺りの地域に限定されるもので、2006年に町おこしを考えるグループがその食べ方を「姫路おでん」と名付けたことが始まりのようだ。

ふぅ~ん(´・ω・`)
でもさあ、それって帰りにコンビニでおでん買ってさあ、家で自分で生姜醤油を作って、おでんにソレつけて食べたら「姫路おでん」ってことかあ❓
気せずも根元的な問題に触れてしまう。
そう考えると、果して姫路で今おでん食う意味あんのかえ❓という疑問が俄(にわか)に首をもたげてくる。けんど、強引にシャットアウト。こういう事に徒(いたずら)に疑問を持ってはならない。たとえそうであったとしても、先ずは本場の姫路おでんを食わなければ、姫路おでんの何たるかを己の中に規定できないじゃないか。基準無きものについては論じられないのである。だいち、それでは彦根から此所まで苦労してやって来た意味が瓦解してしまう。o(T□T)o意味ないじゃーん。
ワタシは姫路城を見る事と姫路おでんを食うことを目的に遠路はるばる此所までやって来たのだ。しかと、己にそう言い聞かす。

早速メニューを見る。あった、あった。コレだ。

 

 
TV放送での記憶だと、この店は赤おでんと白おでんってのがあって、それが名物のようだ。コヤツが多分それだね。
ふむふむ。どうやら大串セットというのお得のようだ。取り敢えず姫路おでんの定番そうな赤おでんのセット(¥540)の方をたのむ。

 

 
見た目のルックスが、まるで漫画の中の🍢おでんだ。
赤塚不二夫の漫画『おそ松くん』のチビ太がいつも手に持ってたのが、この形のおでんだね。それがやがて漫画の世界での典型的なおでんの形となっていったのである。

 
【チビ太】
(出典『越谷秘宝館』)

 
でも実際には、こんな形のおでんは見たことがない。あれはあくまでも象徴としてのおでんであって、この世には存在しないものだとばかり思っていた(註1)。それが今、現実的に目の前にある事に半分カンドーして、半分笑ってしまう。冗談かよ…。確信犯だったら、尊敬するわ。

具は上からスジ肉、玉子、厚揚げ、コンニャク、ごぼ天である。よく見ると、玉子も含めて全部小振りである。チビ太の事を考えての配慮かな。それとも赤塚先生へのオマージュ❓

カウンター周りで生姜醤油を探したが、あれっ?無い。どうやら生姜醤油は既にかかっているようである。この店では、そういうスタイルらしい。
でも自分でおでんを生姜醤油にジャバッとつけて、ヤアと食べるという、既成の概念を打ち破る勇気の瞬間が楽しみたかったなあ…。とはいえ、店にはそれぞれのスタイルというものがある。ましてや、60年もの歴史がある店だ。まあ、そこは致し方なかろう。

取り敢えず左手を腰にあて、チビ太の如くおでん串を右手に掲げ、直立不動で清く正しく食ってみる。コチラも赤塚先生へのオマージュだ。何だかバガバカしくって楽しい。

味はねぇ。よく味が具材にしゅんでる。ちょっと濃いかなと思ったが旨い。
でも破壊的な旨さではない。想像の範囲内だ。普通ちゃ、普通なのだ。因みに、生姜の味は思ったほどしなかった。

ふと、思い出した。以前も書いたことがあるような気がするけど、昔、ショットBarをやっていた頃のお客さんに「おでん」というニックネームの女の子がいた。アダ名はオラがつけた。客の名前が憶えられないニワトリ頭だからだ。とはいえ、言い訳させて戴ければ、当時はいっぱい客がいたから、そうでもしないと憶えられなかったのである。無い知恵の自分なりの苦肉の策だったのだ。
たしか彼女には「おでん」も含めて4つくらいのアダ名候補があった。でも候補といってもアッシが全部考えたもので、他の3つはそれはもう最低の酷いネーミングだったと思う。何でこんな手の込んだ事をしたのかというと、ニックネームをどうしても「おでん」にしたかったのである。
で、この4つの中から彼女に自分で選ばせた。答えは自ずと決まってくる。だって他の3つはサイテーなんだもん。
勿論、そこへ持ってゆくのに、別な布石も打っていた。
『おでんちゅーもんはなあ、万人に愛されとる庶民的な食いもんやないか。おまえの飾らないでいて、みんなに愛されそうな雰囲気にピッタリやないか。おでん、ええと思うでぇ。大丈夫。おでんそのものやなくて、ちゃんも付けたるやん。』とか何とか言いくるめるトークはそのものではない前にはしていたのだ。でも、ついぞ最後まで呼び捨てで、「ちゃん」をつけることは一度たりともなかった。酷い男である。

その「おでん」とは、一度だけ二人で飯を食いに行ったことがある。場所はお洒落系屋台の寿司屋だったと思う。
彼女は可愛いし、オッパイもデカイし、素直な性格の娘だったけど、話は全然弾まなかった。
何だかツマンナかったのである。別に彼女に魅力が無かったワケではない。単にフィーリングが合わなかったのだ。素直なだけで、個性を感じられなかったのである。そういうものは30分も話せばわかることだ。多分、少し変わった女が好きなのかもしれない。ロクでもない相手だとしても、相性が合えば惹かれあってしまうのが恋だとかいうものなのだ。

ひとしきりのモノローグが終えたところで、次は白の方を頼むことにする。
でも酒粕を使っているらしく甘い可能性がある。左党は甘いものは好まない。それにセットだと具は赤おでんと全く同じラインナップのようだ。飽き性の自分が、それに飽きないワケがない。
値段的には損だが、ならばと単品で白のスジ肉(¥250)を頼むことにした。

 

 
酒粕の良い香りがする。自分ところの酒蔵の酒粕だろうから期待は持てそうだ。当然ここは酒粕に絶対合うであろう日本酒を頼むことにした。

 

 
『本醸造なだぎく』。
意外なほどに辛口で、思ってた以上に旨い。

食ってみる。
濃厚だ。酒の味がスゴくする。甘いが、それほど気にならない。でも、そんなに幾つも食えないだろう。単品にしといて正解だ。

すかさず日本酒を飲む。合うねぇ。
あっ、閃いた。ここは一味をかけて、もっと酒との相性を良くしよう。

 

 
うん、いいね。正解だ。

店に来てから、ずっと懐かしい歌謡曲が流れている。
最初に耳に入ってきたのは町田義人の『戦士の休息』だった。🎵男はだ~れも皆 孤独な兵士~ 笑えて死ねる人生~ それさえあればい~い
懐かしい。映画『野性の証明』のテーマ曲だったよね。
次は小椋佳の『さらば青春』。あれっ❓『さらば青春の時』かな❓どっちだっけ❓とにかく、🎵僕は~ 呼び掛けはしな~い 遠く過ぎさるもの~に 僕は~ 呼び掛けはしな~い 傍らをゆくものさえ~ って方だ。
3曲目は尾崎豊の『15の夜』。これは誰でも知っているだろう。🎵盗んだバイクを…ってやつね。
4曲目はキャンディーズの『ハートのエースが出てこない』。言わずと知れた名曲だ。何かよくワカランがとても嬉しくなってきた。やっぱ、昭和の時代は良かったよ。

もう一品くらい頼もうかと思った。でもおでんはもういいや。とすれぱ、姫路名物だそうだが今まで聞いた事もない『ひねぽん』辺りを頼もうか…。ひねぽんのひねは卵を産まなくなった雌鶏(ひね鶏)の事で、ぽんはポン酢の事のようだ。
でもなあ…、ようはメスの親鳥の肉をポン酢で和えたものだろ❓味の想像はだいたいつく。無理して食べるほどのものでもないだろう。それにこれ以上食ったら、次の店で何も入らなくなるかもしれん。ここは思い切って移動することにした。
5曲目のザザンの『チャコの海岸物語』が終わったところで店を出た。さらば、昭和のノスタルジィー。

駅へと向かう。

 

 
既に陽は落ち、黄昏れ時になっていた。
路上ライブの歌声がビルに反響して谺する。
昼間の暑さが嘘のように涼しい。
風が渡ってゆく。何だか、ほっこりする。
そういえば、もう9月も10日なのだ。
秋の気配を感じた。

 
                    つづく

 
追伸
書き出すと言葉が溢れて、サクサク書けない。
理想は昔に書いた『西へ西へ、南へ南へ』の初回と最終回かな。本当はソリッドな文章を書きたいのだ。
次回、最終回。といっても予定としておこう。

 
(註1)この世には存在しないものだと思っていた
赤塚先生の串おでんのモチーフになった店があるようだ。チビ太のおでんは、公式には上からコンニャク、ガンモ、ナルトで、だしは関西風と設定されているが、この店の当時の具は「はんぺん」「揚げボール」「ナルト」だったという。
因みに、コンビニの「サークルKサンクス」が一時期「チビ太のおでん」と称して、この串に刺したおでんを販売していたようだ。
 

あおはる1day trip その弐(前編)

 

『お城とおでんとお菊さん』前編

 
2時50分前に彦根駅に着いた。
長浜・敦賀方面に行くか、それとも醒ヶ井・岐阜方面へ行くかは中に入ってから気分で決めよう。青春18切符なら、どっちへ行こうが自由だ。
あっ、でも考えてみれば、別に彦根で決めなくともいいや。そっち方面に行くならば、乗り換える米原まで行ってからでもまだ変更は可能だ。ひと駅だが都会と違って駅間は長い。それだけあれば考える時間には充分だろう。

 

 
でもこの電光掲示板を見て考えを変えた。
そうだ、姫路へ行こっ\(^o^)/
久し振りに姫路城を見るのだ。そういえば大かがりな改修工事が終えてからの姫路城をまだ見ていない。
おーし、テーマは決まった。本日は城攻めじゃあ~❗彦根城に続き天下の名城 姫路城をも攻め落とすのじゃ❗
ここで、だったら長浜城に行けばいいじゃんと訝る向きもおられよう。だが、悪いがあんなものは城とは言わん❗
なぜならば、現在の天守は30年か40年前に犬山城や伏見城をモデルとして模擬復元されたものなのだ。豊臣秀吉が最初に手にした歴史的由緒ある城ではあるが、でっかい模型には用がないのじゃ❗

それにしても、この新快速というのはスゴいな。始発は米原だろうから、そこから姫路まで乗り換え無しで一発で行けちゃうんだもんな。米原から姫路って相当離れてるぞ。しかも停まる駅はかなり少ないから、特急とかに乗ってるのと変わらん。あの長野や岐阜のクソ遅い、しかも滅多に来ない電車と比べたら、考えられんくらいに素晴らしい存在だ。長野や岐阜の人には申し訳ないけど、都会に生まれ育ったことにつくづく感謝するよ。移動においての時短を都会人の方が圧倒的に享受してるってことだ。ここで田舎と高齢者ドライバーについての話に怒濤の如く入ってゆきそうになるが、やめておこう。長くなるし、それについてはまた別で話す機会もあろう。

それにしても、今度は姫路とは大返しもいいところだ。完全に導線を無視している。しかし予定は未定であって、しばしば変更なのだ。それが旅の醍醐味ってもんだ。スケジュール有りきの旅行とは、そこが決定的に違う。旅と旅行とは似て非なるものなのだ。この話も語り始めたら長くなるので、やめておこう。電車だけに今回は脱線はあきまへん(笑)
しまった、おやじギャグがつい浮かんでしまった。止せばいいのに浮かんだら言ってしまうのがオヤジなのさ。誰にも止められやしない超特急\(^o^)/
あっ、またやっちまった。( ̄∇ ̄*)ゞ失礼しやしたー。

長野みたいにクーラーがたる~い温度ではなく、キンキンに冷えてて快適だったので、車内でいつの間にか爆睡。気がつけば大阪の高槻付近だった。

大阪駅で時間を確認したら、米原から所要時間約1時間15分だった。歩いたら、何日かかんねんである。昔の人は大変だったねー。でも道中は昔の人の方が楽しかったかもなあ…。効率化が進むことが、イコール幸せではない。

尼崎で、一瞬またしても予定を変更しそうになった。乗り換えて、宝塚で有名な玉子サンド食って、それから更に奥の丹波とか篠山まで行ったろかいと思ったのである。だが、何とか踏み堪えた。帰りのことを考えれば、早いし、電車の本数もある東海道線(山陽本線)の方が選択肢は広まる。

明石駅で又しても誘惑に駆られる。
明石で寿司食って、明石焼きでフィナーレなんてのも有りだ。城だって天守閣こそ無いが、明石城跡ってのがある。でもなあ、明石は今年の初夏に行ったし、行くにしても姫路の後だろう。

 

 
4時15分くらいに姫路駅に到着した。彦根から2時間ちょっととは恐れ入る。恐るべし新快速。

ホームを歩いてて、思い出した。

 

 
そういや姫路といえば「えきそば」である。
日本一の立ち食いそば屋と称されることもある名店だ。久し振りに食べたくなってきた。まだお腹は空いてないのに、誘(いざな)われるようにふらふらと券売機の前へ行き、食券を買い、中へと入る。

 

 
中は典型的な立ち食いそば屋である。
狭い店内はサラリーマンとおぼしきオジサンや近所のオバサンっぽい人、若い兄ちゃんでゴッタ返している。残念ながらピチピチの女子高生はいない。

セルフで水を入れ、食券を厨房内のオジサンに渡したら、何と4秒で出てきた。(゜д゜)どんだけ早いねん。驚き、半笑いになる。えきそば、恐るべし。

 

 
きつねと迷ったが、えきそばといえば天ぷらそばである。こういう場合は王道を外してはならない。経験上、変化球的なものを頼むと失敗する確率が高いと知っているのだ。

ここで、姫路名物「えきそば」を知らない人もいると思われるので、軽くレクチャーしておこう。
簡単に言うと、和風だしにかんすい入りの中華麺という、有りそうで無い禁断の組み合わせの立ち食いそばなのだ。

先ずは軽く汁をすする。
間違いない。ちょっと甘めの和風だしである。万人受けする優しい味だ。人気の秘密はその辺にもあるのだろう。
続いて麺をすする。これまた間違いない、紛れもなく中華麺だ。これがミスマッチかと思いきや、違和感をさほど感じない。全然イケてるのである。
七味を軽く振り、お次は天ぷらを少し囓じってから麺をすする。
この天ぷらがいい。豪華なものではないが、だし汁や麺にモノごっつ合うのである。食べ進めるうちに天ぷらの油が汁に溶け、味が僅かづつ変化してゆくのもいい。

旨かったっす。でも麺類って、けっこう腹に溜まる。
昼飯を食べ過ぎたかもしんない。調子乗って、そば湯を飲み過ぎたのも効いてる。

改札を出て、観光案内所へ行く。
地図を貰うためだ。そこで姫路城までの所要時間を尋ねたら、オバサンにもう姫路城は4時に閉まりましたよと言われる。そんなに早かったっけ❓
でも、そんな事に動じるワタシではない。姫路には来たことがあるから知っている。姫路城は城内に入らずとも城の姿はよく見えるのだ。それに元より入るつもりもなかった。中は知ってるし、見学してる時間が勿体ないと思っていたからだ。

駅正面に出ると、大通りの奥に姫路城が見えた。

 

 
スマホの画像だから小さくしか写っていないけど、肉眼だと、もっと近くにハッキリと見える。姫路城はデカイのだ。

大通りを避け、みゆき通り商店街を北に向かって歩く。先程えきそばを食ったばかりだけど、晩飯を食う場所を物色しながら姫路城を目指そうというワケだ。

城は近くに見えたけど、案外遠い。15分程かかって漸く門に辿り着く。

 

 
大手門をくぐり左に曲がると、直ぐ正面に城が見えた。

 

 
彦根城とは違い、スケールがデカイ。幾つかの天守が組合わされたその姿は勇壮だ。
しかし、威圧感はない。白鷺城とも言われるだけあって、白くて優美なのだ。さすがは世界遺産。コレこそがキャッスルと呼びたくなる。ヨーロッパの名だたる城にも全然負けてない。
でも、惜しむらくは改修工事が完全には終わっていないことだ。手前の櫓がまだ工事中のようである。

先ずは正面左へと回る。

 

 
こっちに城内への入口がある。
思い出した。ここから城を眺めながら近づいてゆくアプローチは素晴らしいの一言に尽きる。早めに来てたら、やっぱ入城してただろう。もし、姫路城に行く機会があったのなら、中にも入ることを強くお薦めする。金を払って入る価値は十二分にある。

姫路城の天守は、江戸時代のままの姿で現在まで残っている12の天守の一つで、その中でも最大の規模を誇っている。世界遺産だけでなく、もちろん国宝である。

今度は右手に回る。

 

 
コチラの方が外から城に近づける。
それにしてもデカイ。高さは石垣が14.85m、大天守が31.5mなので、合計すると約45mにもなる。
見上げる城の、この圧倒的存在感に心を動かされない者などいないだろう。スマホで撮った写真ではそれが全然伝わらなさそうなのがもどかしい。実際はデーン❗と感じで城がダイナミックに迫ってくるのだ。

 

 
傾きかけた陽が、雲に映えて美しい。シルエットの姫路城も悪かない。
気がつけば、辺りには誰もいなくなっていた。暫く静かに城と対峙する。次第に心がゆるりとほどけてゆくのがわかる。わざわざ姫路まで来て良かったよ。

城を出て、広場で煙草を吸う。
そこにレリーフというか説明書きみたいなものがあった。

 

 
揚羽蝶の家紋は我が家系のものでもある。自然と目がいく。
そういや姫路城の城主といえば池田輝政と云うことを失念していたよ。その池田家の家紋がアゲハチョウなのである。姫路城は関ヶ原の戦いの後に城主となった輝政によって今日見られるような大規模な城郭へと拡張されたんだったね。
ところで、小さい頃から揚羽の家紋は平家の流れだと聞かされてきたけど、あれってホントかね?(註1)

その横に、もう一つ説明書きがあった。

 

 
ジャコウアゲハが姫路市の市蝶なんだそうな。
それは知らなかったが、姫路城とジャコウアゲハの話は聞いたことがある。
説明書きを原文そのままに書き移そう。

「姫路城の城主、池田輝政の家紋が揚羽蝶であることや、この蝶の蛹が姫路地方に伝わる幽霊伝説の”お菊”に似ており”お菊虫”と呼ばれていることから麝香揚羽が市の蝶に指定された。」

「”」の使い方に違和感があるが、まあいいだろう。これ以上ゴチャゴチャ言うのは時間の無駄だ。そんな事よりも、この文だけでは説明不充分なので補足しておこう。
ジャコウアゲハが「お菊虫」と言われるのには、もっと深いワケがある。有名な怪談の皿屋敷(さらやしき)が関係しており、ひいては話は東海道四谷怪談にも通ずるのだ。少し長くなりそうだが、出来るだけかいつまんで説明しよう。

怪談 皿屋敷とは、数多くの異聞がある怪談話の総称である。お菊の亡霊が井戸で夜な夜な「いちま~い、にま~い… 」と皿を数えるアレである。で、特に有名なのが、播州姫路が舞台の『播州皿屋敷』と江戸は番町が舞台の『番町皿屋敷』。この二つがよく知られており、映画や歌舞伎、浄瑠璃、文学等々多くの原作になっている。
実際あった話が下敷きとされ、播州もの『播州皿屋敷実録』では戦国時代の出来事だとされるが、史実としてそこまでは遡れないようだ。

異説はあるが、物語の内容は大体こうだ。
『姫路城第九代城主 小寺則職の代(永正16年(1519年)~)、家臣であり城代の要職に就く青山鉄山が主家の乗っ取りを企てていた。これを忠臣 衣笠元信が察知、自分の妾だったお菊という女性を鉄山の家の女中として送り込み、鉄山の謀略を探らせた。そして、元信は鉄山が増位山の花見の席で主家を毒殺しようとしていることを突き止める。元信は花見の席に切り込んで則職を救出、家島に隠れさせる。
乗っ取りに失敗した鉄山は家中に密告者がいたと睨み、家来の町坪弾四郎にその者を探すよう命じた。程なく弾四郎は密告者がお菊であったことを突き止める。以前からお菊に惚れていた弾四郎はこれを好機としてお菊を脅し、妾になれと言い寄る。だが、お菊に拒まれてしまう。それを逆恨みした弾四郎は、お菊が管理を任されていた10枚揃わないと意味のない家宝の毒消しの皿「こもがえの具足皿」のうちの一枚をわざと隠す。そして皿が紛失した責任をお菊になし付ける。お菊は縄で後ろ手に縛られ、松(柳という説も有り)の木に吊るされて激しく折檻される。そして、ついには責め殺されて古井戸に捨てられた。以来、その井戸から夜な夜なお菊が皿を数える声が聞こえたという。
その後、元信らによって鉄山一味は討たれ、姫路城は無事に則職の元に返った。
後に則職はお菊の事を聞き及び、その死を哀れんで姫路城の南西に位置する十二所神社の中に「お菊大明神」として祀ったと言い伝えられている。』

 
【伊藤晴雨「番町皿屋敷」】
(出展『東京銀座ぎゃらりぃ秋華洞』)

 
因みに、この時にお菊が投げ込まれたとされる井戸が「お菊井戸」として現在も姫路城内に存在する。この井戸がいつから存在するのかはハッキリしない。
城外との秘密の連絡経路になっていたため、誰も近づかないように怪談の噂を広めたという説もあるようだが、これも定かではないようだ。過去に本格的な調査をしようとしたこともあったようだが、不気味な空気が流れて中止したという記録があるともいう。
Σ( ̄ロ ̄lll)ゾゾゾッ。

それから約三百年経った寛政7年(1795年)、城下に奇妙な形をした虫が大量発生した。これがまさしく赤い口紅をつけた「お菊さん」が後ろ手に縛られた姿に似ていた。そのことから、お菊さんの祟りだと大騒ぎになった。人々はお菊さんがその身を虫の姿に変えて帰ってきたのだと思ったのである。それ以来、その虫のことを「お菊虫」と呼ぶようになったという。
新たな「お菊伝説」の誕生である。

今では、この虫はジャコウアゲハの蛹ではないかと考えられている。
暁鐘成の『雲錦随筆』では、お菊虫が「まさしく女が後手にくくりつけられたる形態なり」と形容し、その正体は「蛹(よう」であるとし、さらには精緻な挿絵も添えられていたからだ。

 
【ジャコウアゲハの蛹】
(出展『じいさんの日記』)

(出展『あまけろの尼崎ネタ』)

(出展『大阪市とその周辺の蝶』)

 
お菊さんが後ろ手に縛られ、拷問の痛みに体をよじっているようにも見える。色が肌色というのも人間っぽくて、妙に艶かしい。蠱惑的でさえある。縛られて折檻される女性の姿には、倒錯の美がある。エロチックなのだ。何かもう、この蛹が情念の塊みたいに見えてきたよ。

続いて、斜め横から。

 
(出展『昆虫漂流記』)

 
言われてみれば、確かに頭部のオレンジ色の紋が口紅に見えてくる。或いは痛みに堪えかねて、強く唇を噛んで血に染まった様に見えなくもない。

そして、正面からの画。

 
(出展『大阪市とその周辺の蝶』)

 
段々、形が女性の凹凸のある体に見えてくるから不思議である。
この異形とも言えるフォルムもさることながら、日本ではこういう朱色紋が入るアゲハの蛹はない。庭木のミカンやカラタチ、サンショウなどにつく、当時見慣れたであろう他のアゲハチョウたちの蛹とは見た目が明らかに違う。見慣れない蛹だけに、見た人にはインパクト大だ。そういうところも背景としてお菊さんになぞらえやすかったのだろう。もしこれら全部をひっくるめて、この虫は「お菊さん」みたいだと他人に話せば、刷り込まれて誰もがそう見えてくるだろう。そうなると伝播は早い。そして、その見慣れぬものが大発生したとあらば、伝播は爆発的に広がる。因みに、ジャコウアゲハは蛹化時に食草から離れ、壁などの人工物で蛹になることが多い。だから必然、とっても目立つことを付け加えておこう。そんなのが壁一面にバアーッとくっ付いていたとしたら、もうそれは怨念の世界だよね。

以上のような因縁があった事から、ジャコウアゲハが姫路市の市蝶に指定されたようだ。
市には「ジャコウアゲハが飛び交う姫路連絡協議会」なる組織があり、その中には「ジャコウアゲハ倶楽部」と云う市民活動の会もあり、ジャコウアゲハサミットやスケッチ大会、フォトコンテストなどのイヴェントも開催されているようだ。

ついでだから、より理解を深めてもらうためにジャコウアゲハのことをもう少し詳しく説明しておこう。

 
【Byasa alcinous 麝香揚羽(ジャコウアゲハ)♀】

 
春から夏にかけて現れ、年3~4回発生する。成虫は午前8時頃から午後5時頃まで活動する。
決して珍しくはないが、何処にでもいてそうで意外と何処にでもいない蝶である。
分布は石垣島・沖縄地方から本州北部と広い。沖縄地方では離島間で特化が進み、各亜種に分類される。

(裏面)
(三点とも 2018.4.22 大阪市淀川河川敷)

 
画像は何れも♀である。
メスは明るい褐色なのに対し、オスは黒色でビロードのような光沢がある。
♂の画像は撮っていないので、他からお借りしよう。

 
(出展『しょうちゃんの雑記蝶』)

 
これは赤紋が発達する八重山諸島の亜種(ssp.bradanus)のようだ。

 
(裏面)
(出展『蝶一日』)

 
ジャコウアゲハの名前は、オスが腹端から麝香のような匂いを発することに由来する。成分はフェニルアセトアルデヒドで、香りは「蜂蜜のよう」「甘い」「バラの香り」「ヒヤシンスの香り」「みずみずしい」「草の香り」などと表現される。ジャコウはん、どこまで妖艶要素そろえとんねん(°Д°)

蛹だけでなく、蝶になった成虫の姿もエロチックだ。
頭や体の横側に赤色が配され、毒々しくも妖艶である。赤はお菊さんの怒りを具現化した紅蓮の🔥炎だ。騒動の時に、蛹からこの蝶が一斉に羽化して舞ったのなら、当時の人々は更に驚いて、それこそ黄泉の国から甦った「お菊さん」の化身と思ったやもしれない。その光景はちょっとした幻想夢物語だ。

飛翔はゆるやかで、飛ぶ様は中々に優雅である。そういえば「山女郎」という別名もあったな。女郎とはこれまた妖艶ではないか。女郎に身をやつした「お菊さん」なのだ。どこまでも不幸だねぇ~。
でもそれだけではない。その優雅な飛び方にも理由があって、それが更なる妖艶さを一層際立たせている。
幼虫の餌となる植物はウマノスズクサといい、この草には毒がある。幼虫はその毒を体内に溜め込み、鳥などの天敵から身を守っていると言われている。成虫になってもその毒を体内に持ち続ける事から、やはり鳥に忌避されて襲われない。飛翔がゆるやかなのは、敵に襲われないがゆえの余裕のよっちゃんなのだ。エロティシズムだだ漏れの美しき毒婦には、誰も近づけないのさ。

 
城を振り返る。
目を閉じると、姫路城とその城下を無数の麝香揚羽が飛び交っている光景が浮かんだ。やがて、蝶たちはスローモーションになって、ゆっくりと天に舞い上がっていった。

                    つづく

 
追伸
サクサク終わらせるつもりが、皿屋敷とジャコウアゲハの話になって大脱線してしまった。ゆえに前編と後編に分けざるおえなくなったんだよね。「電車なだけに脱線はあきまへん。」なんぞと云うオヤジギャグをカマしておきながらの大脱線とは世話ないよ(笑)。
タイトルが変なのもそのせい。皿屋敷とジャコウアゲハについて詳しく書く予定は無かったので、最初のタイトルは『お城とおでん』だったのだ。そこに「お菊さん」をつけ加えたってワケ。でも、それなら『お城とお菊さんとおでん』とすべきだよね。それはそうなんだけど、何かそれでは音感がよろしくない。と云うワケで、そのままにしておいた。それに、お城に続いてお菊さんとくれば、頭のいい人ならば、はは~ん、皿屋敷とジャコウアゲハの話だなと気づく。それを防ぐというのもあった。たとえ気づいたとしても順番が変なので、少なくとも攪乱することくらいは出来ると考えたのだ。

余談だが、『東海道四谷怪談』のお岩さんと『皿屋敷』のお菊さんは混同されることが多い。だが、お菊さんは顔半面が爛れていないし、お岩さんは皿を数えない。井戸とも関係がない。なのに、その二つがミックスされて記憶されている方も多いだろう。実際、自分もそうだった。
これは昔、『8時だよ、全員集合』などのドリフ(ドリフターズ)のコントで、志村けんが顔面にお岩さんみたいな瘤を付けて、井戸の側で「いちま~い、にま~い…、一枚たりな~い」とやったからだと言われている。
納得である。子供なんだから、そりゃセットで刷り込まれるわな。

 
(註1)揚羽の家紋は平家の流れだと聞かされてきたけど、あれってホントかね?

ホントです。
ことに平清盛の流れをくむ者が蝶の紋を多用したので、後世に蝶が平家の代表紋になったようだ。しかし、その美しさゆえ他の家も多く用いられている。公家の西洞院、平松、交野の諸氏や戦国時代・江戸時代に祖先を平氏と標榜する家は殆んどが家紋を蝶柄としている。また、清和源氏の流れの中川、池田、逸見、窪田の諸氏、宇多源氏の建部、間宮、喜多村の諸氏、他にも藤原氏を流れとする諸家、平氏の子孫と称した織田氏も木瓜紋と共に蝶紋を使用していた。
たぶん本当は平家とは全然関係ない田舎の豪族の末裔や百姓あがりだとしても、先祖は平家だと名乗るのが流行りだったんだろね。ようするに、平家とその家紋は一種のブランドだったのだろう。

 

あおはる1day trip その壱

   『お城とデジタル蛾』

 
青春18切符が1回分残っている。
昔の彼女とぶらりと何処かへ行く予定だったが、ドタキャンを喰らったのだ。それも酷い形で。昔の男なんてものは女性にとって所詮は過去の遺物で、身分カーストからすれば底辺の存在なのだ。男にとって過去の甘い思い出は大切でも、女にとっては記憶のガラクタにすぎない。男たちは過去に思いを馳せ、女たちは未来を見ているのだ。
男は往々にして歴史好きだけど、女はあまり歴史に興味がないのは、きっとそのせいだろう。

まあどうあれ、切符は使わなくては勿体ない。
だが、どう活用して何処へ行くかを考えあぐねているうちに期限の9月10日になった。
こうなるともう、大の字。何も考えずに心の赴くままに任せてしまおう。その場その場、その時の気分で行く場所を決めればいい。出たとこ勝負の行き当たりばったりなのが旅というものだ。旅と旅行は違うと思う。普段もそれに近いものがあるけれど、それは殆んどが虫捕りだ。たまには本当にあてどのないワンデイ・トリップも悪かない。

先ずは大阪駅まで行き、そこで東へ行くか西へ行くかを決めよう。でも、この青春18切符で長野県白馬方面と岐阜県飛騨高山方面に行ったから、正直もう東にはウンザリだ。西は赤穂辺りまで行って、久し振りに日本一美味いとも言われる『さくらぐみ』のピザでも食おうか…。
とにかく今日は、腹がハチ切れんばかりにパンパンになるまで各地の美味いもんを食って食って食いまくってやる。

Σ(-∀-;)ハッ、でも痛恨の二度寝(-.-)Zzz・・💤
慌てて用意して何とか9時前に家を出た。
(×_×;)もう何だか先が思いやられるよ。

 

 
しかしJR難波駅に行くも、大和路線で何かあったみたいで、電車が止まっている。スタートから前途多難である。
(=`ェ´=)クソがっ❗、あのアマが全部悪い。

遅れは心配するほどでもなく、5分ほどで動いた。
しかし、乗換駅の新今宮駅でも大和路線のダイヤの乱れのせいで環状線が遅延していた。
(=`ェ´=)クソがっ❗、全部あのアマのせいだ。

ここでも10分程待って何とか電車に乗ることができた。

 

 
はあ~い\(^_^)/
午前11時13分。ナゼか東の彦根駅に到着。
おいおい、東やないケー。もうムチャクチャ言うてた事とちゃうやんかというツッコミが入りそうだが、コレにはそれなりのワケがある。
何でこないな事になったのかと云うと、大阪駅で突然神の啓示の如く彦根城に行こうと思い立ったのである。
実を云うと、何度も電車の車窓から彦根城は見ているものの、近くまでは一度も行ったことがない。今年の信州方面への計4度の行き帰りでも毎回その事が心のどこかで引っ掛かっていた。つまり、その思いが突然噴き出しちやったのだ。
それに鮎を食いたいというのもあった。店の名前は忘れたけど、彦根城下に鮎料理の専門店があることを思い出したのだ。
オイちゃん、無類の鮎好きなのに今年は殆んど食ってないんである。どうしても美味い鮎の塩焼きが食いたーい\(^o^)/
以上、ってなワケなのさ。

先ずは観光案内所に行き、地図とグルメガイドをゲットする。現地でその場で得る情報は大事だ。この先どうするかに大きく関わってくる。優れた男は、アバウトにして緻密なのさ(* ̄∇ ̄)ノ
一応、オバサンにお薦めの店を訊く。しかし、今日は火曜日で夢京橋キャッスルロードのお店は殆んどが休みだと聞かされる。どうやらそこに食べ物屋が集中しているらしい。
嫌な予感がした。そこに鮎の店もあったような気がする。
ガイドブックで確認したら、やはり怖れたとおりに目的の店『あゆの店きむら』はその何たらロードにあり、定休日になっていた。
また、コケた。これもあれも全ては、あのアマのせいじゃ(=`ェ´=)❗そう云う事にしておこう。
クソッ、今度アユおごれや( ̄ヘ ̄メ)

又しても躓くが、まあこれも行き当たりばったりの愉しさだと取ろう。予定は未定であってしばしば変更。何があるかワカラナイ方が旅は面白くなるというものだ。

 

 
駅前に銅像があった。
「桜田門外の変」の井伊直弼❓
でも上下(かみしも)じゃなくて、武将の格好だから違うな。だいち直弼は世間的には悪役にされてるからなあ…。
近づいてみると、井伊直政とあった。
なるほどね。直政といえば徳川四天王の一人である。徳川十六神将、徳川三傑にも数えられ、家康の天下取りを支えた功臣として知られている。しかもたいそう美男だったそうな。けど性格がキツくて嫌な奴だったみたい。皆に好かれてたら、もっと有名になってた筈だもんね。

 

 
10分ほど歩いて中堀に辿り着く。
中々ええ感じのロケーションだ。堀って、何だか落ち着く。
しかし、城よりも先ずはメシだ。早めに食っとかないと、この先、食間のインターバルが短くなる。間がタイトになればなるほど、食べまくるにはキツい。

歩く道すがら、グルメガイドで次の店の候補をいくつかピックアップした。

 

 
『献上伊吹蕎麦 つる亀庵』。
あまり聞いたことがない伊吹そばと云うのが気になった。江戸の町で評判だった蕎麦で、井伊家から将軍家への献上品だったそうな。この店がその蕎麦を復活させた店だというのに惹かれた。古(いにしえ)の歴史あるモノは旅情を掻き立ててくれる必須アイテムなのだ。ロマンチストさんは、そういうの大好物なりよ。
もう一軒気になる店があるから、そちらも見てから決めようと思ったが、店前の「びわ鱒の漬け丼」の幟が目に入った。それが有無を言わさぬ決定打となった。ビワマスは食べた事がないから、かねてから是非食べてみたいと思っていたのだ。
ビワマスとは琵琶湖に棲む鱒のことで、アマゴ(ヤマメ)の海降型亜種である。海降型というのは本来陸封型のアマゴが川を下って栄養たっぷりの海で育ち、サケみたくデッカクなったものだ。東日本のサクラマス、長良川に代表される西日本のサツキマスが有名だが、琵琶湖でも一部のアマゴが琵琶湖に下り、デッカクなる。それが幻とも言われる稀少なビワマスと云うワケなのさ。

 

 
店内は結構お洒落。
蕎麦付きの『びわ鱒漬け丼セット』をオーダーする。
お値段は¥1750(税別)と、ちとお高いが天下のビワマス様だ。この程度の金額は致し方あるまい。
でも後でミニびわ鱒漬け丼¥480ってのを見つけた。それと、もり蕎麦¥750を頼めばよかったかなあと軽く後悔する。

 

 
そば茶と、お茶うけの蕎麦の揚げたのが出てきた。
そば茶は香りが良くて結構好きだ。蕎麦の揚げたのは珠に見掛けるが、どってことない代物だ。しょっぱくもない甘くもないどっちつかずの野郎で、食べると正直な話し軽くイラッとくる。こんなもん、蕎麦崇拝主義者しか有り難がらんわ、ボケッ(=`ェ´=)

 

 
テーブルに三種類もの七味が並んでいた。
どれも見たことがある有名な七味だ。

 

 
へぇー、コヤツらが日本三大七味なのね。
左から東京は浅草寺の「やげん堀」、京都・清水寺の「七味家本舗」、長野・善光寺の「八幡屋磯五郎」。
それぞれどこかで何かにかけた記憶があるけれど、特にどうのという味の記憶はない。七味なんてウドンにかけてしまえば、純粋な味なんぞワカランのだ。
ヒマだし、試しに手のひらに振りかけて味見してみた。

(・。・;あっ、それぞれ全然違うや。
その違いに驚くが、相手がいないので心の中でキャッキャッする。
やげん堀は黒胡麻が効いていて香ばしい。七味家本舗は京都だから山椒の味が強い。善光寺のものは解説通りに一番辛い。しかも唐辛子の辛さがいつまでも舌に残る。そっかあ…。こりゃ料理により適した七味があって然りだね。勉強なりましたわ。

一人で妙にテンションが上がり始めたところで、御膳が運ばれてきた。

 

 
奥から琵琶湖三大珍味。右手に蕎麦、左手にびわ鱒漬け丼。これに味噌汁とそば湯がつく。

 

 
左から滋賀名物の赤コンニャク、モロコの佃煮、川海老と豆の佃煮である。
赤コンニャクは歯応えがあると言われるが、言うほどではない。モロコは焼いて食うと珍味だが、佃煮にしてしまえば、上品とはいえ所詮は佃煮だ。川海老と豆の佃煮は滋賀ではよく見かけるが、食べた事が殆んどない。
感想としては思った以上に良い組み合わせだが、膝を叩いて唸るほどのものではない。「あっ、こういう味なんだ。好きな人はきっと好きなんだろなー。」とは思う、そんなようなもんだす。

 

 
さて、蕎麦だ。
取り敢えず、ごく一部にちょい塩を振ってそのまま食べてみる。
うむ、香りはそこそこ良い。

お次に塩➕山葵でいってみる。
(-_-)…。山葵がクソだ。コレは本ワサビを擦ったものではなく、ホースラディッシュとかを混ぜ合わせた紛いものだろう。ワサビ本来の香りも味もしない人工的な味がする。(#`皿´)偽物めがっ❗、世の中の大半のワサビは信用ならんわい。

そして、ワサビ抜きでつけ汁につけてすする。
あっ、(^o^)美味い。コシがあって喉越しもいい。決して強くはないが、香りも鼻からいい具合に抜ける。
伊吹蕎麦って、期待してた以上に美味いぞ。長野の上田で行列に並んでまで食った蕎麦よりも百倍は美味いわい。
蕎麦って、ウドンよりもクオリティーの落差が激しいんだよなあ。そのわりには割高だったりするから腹が立つことが多い。何か蕎麦は通っぽい世界でカッコつけてる感じだしさ。時々、鼻につく。
どうあれ、美味い。嗚呼、レギュラーサイズのもり蕎麦とミニびわ鱒漬け丼にすれは良かったかなあ…。

そして、いよいよ琵琶鱒漬け丼である。

 

 
見た目はサーモンみたいに鮮やかなオレンジ色ではない。どちらかと云うと、くすんだようなピンク色だ。
感じ的にはサーモンというよりも鮭的。もっといえば、時鮭(時知らず)の刺身に近い。

期待をもって頬張る。
( ☆∀☆)うみゃい。味は脂は乗っているのだが、サーモンみたくシツコクない。脂の抜けがいいのだ。味的には時鮭に近い気がする。
でも御飯の量とのバランスが悪い。御飯の量に対してヅケの量が少ないのだ。やはり蕎麦➕ミニ漬け丼が正解だったかも。日々、勉強である。

味噌汁飲んで蕎麦湯も飲んだら、腹パンパンになった。この先、バカみたいに食べまくる自信が早くも崩れ落ちそうじゃよ。

 

 
赤松かなあ❓大木が奥まで続いている。
思わず、カバフキシタバはいないかと幹を凝視する。
虫屋の悲しい性だ。何だって虫とリンクさせて考えてしまう。

看板を見ると、いろは松と呼ばれているみたいだ。これは、かつてはいろはの文字数と同じ47本の松が並んでいたからだそうだ。土佐から持ってこられた松で、根が地上に出ないから人馬の往来の妨げにならないとということで植えられたという。確かに根がゴツゴツしていない。

 

 
佐和口多聞櫓。
青空と白壁のコントラストが目に眩しい。

表御門跡・馬屋の横で木のベンチに座ろうとしたら、その上で何かがピョンと跳んだ。で、ズズズイと動いた。目の錯覚かなと思い、暫く凝視する。
(・。・;何だこりゃ❗❓小さいがデジタルでカラフルな場違いなものじゃが、見たことあるような気もする。

 

 
更に一拍おいてから、ようやく思い至った。
コレって、ビロードハマキじゃね❓
だとしたら、蝶採りを始めた頃の2009年とかそれくらいの頃に生駒の枚岡で見た時以来の二度目の遭遇だ。
それにしても、インバクトのある蛾だなあ。伊藤若仲のデジタルな画を具現化させたようなデザインだ。こんなもんを世に落とせし神のデザインセンスには感服せざるおえんよ。

ベンチの上から毒瓶を被せる。
コレまた虫屋の性。目的が虫採りじゃなくとも虫捕り道具一式は持ってたりするのだ。コレは虫捕りという一種のビョーキだ。このビョーキに罹患すると、救いようのないバカになるのである。少なくとも世間一般的に見れば、およそ理解されない病理じゃろう。

 

 
んっ❓、どっちが頭なのじゃ❓
一瞬ワカンなくなるが、オレンジじゃない方が頭だ。思うに、コッチが頭だと鳥が勘違いして啄んだ隙に逃げるのじゃろう。
それにしても。一般ピーポーからすれば蛾とは思えないような謎の形だ。自分でも本当に蛾なのか自信が無くなってきて、確認のために裏返してみる。

 

 
やっぱ蛾だな。下翅がどんなんだろ?と思っていたが、おそらく蛾にしては綺麗なんじゃなかろうか❓

金800円也を支払って、城の核心部へと向かう坂道を登る。

 

 
やがて城郭が現れる。
石垣が、ええ感じだ。

 

 
登りきると、天秤櫓に続く橋が見えた。

 

 
美しい。見事なバランスだ。

 

 
橋の下から木組みをのぞむ。
機能美が芸術的なデザインを産む一つの証左だろう。

ぐるりと回り込み、橋の手前まで来た。
横に看板があり、ここでしか見られない植物の事が書かれてあった。

 

 
「オオトックリイチゴ」というんだとさ。
何だ、イチゴかよ(‘ε’*)
バラ科 キイチゴ属の一種で、彦根城以外では知られていない固有種のようだ。こんな狭いとこにスゴいやんと思ったが、自生の「ナワシロイチゴ」と中国・朝鮮半島原種の「トックリイチゴ」が自然交配したものらしい。なあ~んだ、雑種かよ(# ̄З ̄)

 

 
確かにイチゴの葉だわさ。
コレだけを食うチョウとかガの幼虫っていないのかなあ❓いたら、相当の稀種になるよね。
あっ(;・∀・)、また虫屋の性が何でも虫とくっつけて考えとるわい。

 

 
天秤櫓。

 

 
橋の真ん中で城下を見下ろす。
ちょっとだけ殿様気分~🎵

 

 
門をくぐる。
扉に歴史を感じる。築城は1604年に始まり、1622年に完成したそうな。四百年も前だ。そりゃ、歴史も感じる。扉は四百年前のモノじゃないとは思うけどさ。
あ~、この分厚い門扉に手裏剣投げてぇー。

 

 
道はジグザグに、各所で鋭角的に曲がって登ってゆく。
クソ暑い。汗がバカみたいに滴り落ち始める。気温はもう35℃を越えてるやもしれぬ。スーパー晴れ男も考えものじゃよ。

 

 
この造りは、ようするに戦(いくさ)の時の為だね。角の部分で敵兵が歩留まり、ごった返したところで、上の櫓から矢だの鉄砲の弾だのが雨あられと降り注ぐという寸法だ。攻める側からすれば、堪ったもんじゃありやせん。城というものは、そもそもが要塞だから、攻め手側の観点で天守閣を目指すと結構面白い。

漸く天守と御対面。
ひこにゃんもいる。

 

 
といっても、看板だけど。

 

 
モノホンのひこにゃん、そこいらに居ねえかなあ。
いたら、後ろから羽交い締めにするか、脇腹に一発蹴りを入れてやんのになあ。これ、マジで(笑)。

 

 
雲一つない青い空をバックに、たおやかに建っている。荒々しさは無く、むしろ優美でさえある。
天守は小さいが、変化のある破風が重なりあって美しい。さすが国宝じゃな。
これで国宝天守4つめだ。姫路城、松本城、犬山城は過去に行っているから、残りはあと松江城だけだな。

窓(花頭窓)が特徴的で、寺に見られるような粋な形だ。でも周囲を巡る廊下とか欄干が無いなあ。殿様ごっこが出来ねぇでねぇか。

中に入る。

 

 
物凄い急な階段だ。見た目は殆んど垂直。壁だ。
番をしている爺さんに訊いたら、62度もあると言う。

『こんなのお子ちゃまや爺さん、婆さんとか大丈夫なんですか❓登りはまだしも降りられますのん❓』

『時々、立往生しやはる人もおますな。そういう時は後ろ向きにか、座って一段、一段降りてもらいます。』

なるほどね。後ろ向きはまだしも座って降りるという発想は無かったわ。

 

 
意外と中の廊下は幅広い。

  

 
梁の木組みが面白い。
ぐにゃぐにゃ曲がってる木もある。

上から回廊に落ちる光が美しい。
日溜まりが耀いている。

 

 
窓から屋根をのぞむ。

 

 
詳しくはないが、屋根も個性的な気がする。

 

 
最上階まで昇ってきた。

 

 
琵琶湖が見えた。
この国も湖もワシのものじゃあ~Ψ( ̄∇ ̄)Ψ
暫し、殿様気分を満喫じゃよ。

降りて、西の丸に回る。

 

 
フォルムがいい。
裏から見た方が好きかもしんない。

そのまま西の丸、三重櫓、続櫓を経由して玄宮園へと廻るつもりだったが、通行止めになっていた。仕方なく来た道を戻り、玄宮園へ。

 

 
百日紅(さるすべり)には夏空がよく似合う。

 

 
玄宮園入口。

 

 
手前右側に見えるのは稲穂である。
最近になって復元されたようだ。五穀豊穣の祈願とかなのかな?

 

 
いわゆる池泉回遊式庭園というやつだね。

 

 
ここが一番のビューポイントかな。
木はカエデだから、秋深くには一層美しい姿になるだろう。

 
ここも美しい。

 

 
背後に天守閣が見える。
お月見にも良さそうなロケーションだ。

 

 
隣の楽々園。復元の途中のようだ。
ここも秋には美しいだろう。

彦根城って、中々ええやんか。結構、楽しめたよ。
それはさておき、今何時だろう?
確認したら、もう1時半である。1時には電車に乗ってる予定だったのに、あらあら知らぬ間に時間が経ってたのね。
さてさて、次は何処へ行きますか…。
長浜で久し振りに旨い親子丼を食ってもいいし、敦賀の気比の松原なんてのもある。もっと足を伸ばして若狭方面ってのも有りだ。小京都とも言われる小浜も捨てがたい。鯖街道の起点でサバを食うのだ。或いは福井まで行ってソースカツ丼とか越前蕎麦なんてのも悪かない。あっ、蕎麦は昼に食ったからもういいか。

候補をあれこれ考えながら駅へと続く道を歩く。
まあいい。行き先は、駅に着いてからその場の気分で決めよう。

 
                    つづく

 
追伸
写真を並べてサクッと終わらせるつもりが、ついつい文章を書いてしまい、長くなってしまった。
次回からは、もちっとサクサクいこう。

冒頭に青春18切符の画像を持って来るつもりだったのだが、なぜだか切符が見つからない。使い終わってるとはいえ、捨てた記憶は無いんだけどなあ…。
たぶん、神隠しだな。

 
 

明石で寿司を食う

  
明石で寿司を食った。

 

 
魚の棚に行くと、無性に寿司を食いたくなるのだ。
だから毎回、名物の明石焼きはスルーである。並ぶのも嫌だしさ。

魚の棚商店街のメインストリートから少し入った寿司屋『鮨 縁』へ行く。
「縁」と書いて「えにし」と読む。
扉を開けると、店内は静かな音楽が流れるお洒落な空間だった。白木の一枚板のカウンターが奥へと伸びている。席は、そのカウンターのみの8席。
一枚板の白木のカウンターは大好き。頬ずりしたくなるくらい手触りが良いからだ。こういう店は店主の拘りを感じるから期待値も跳ね上がる。
付け台も一枚板で、その向こうが板場になっており、職人の仕事がよく見えるようになっている。所謂(いわゆる)、割烹スタイルだね。こういう劇場型の店は見てて飽きないから楽しい。
聞けば、店のデザインは若い店主御本人とのこと。寿司職人の前は建築関係の仕事をされていたらしい。

日曜日限定の「おまかせ3000円コース」をチョイスした。
先ずはビールで喉を潤し、ガリに手を伸ばす。

 
【ガリ】

 
ガリは2種類ある。ちょっと珍しい。色も濃い。
奥がお馴染みの薄切りの甘酢漬け、手前が棒状のものである。どちらも見た目通りの濃い味で、味の系統は似ている。しかし、食感が違う。特に棒状のはポリポリで、酒のツマミにもなる。これは普通の土生姜(根生姜)ではなく、はじかみなどに使われる谷中生姜(葉生姜)なんだそうな。なるほどね。土生姜よか歯の当たりが柔らかい。

 
【剣先烏賊】

 
トップバッターは剣先いかの昆布〆。
表面に細かく切れ目が入れられており、それがイカの甘さを引き出している。だが、惜しむらくは表側は柔らかいが裏は硬いこと。裏側に隠し包丁が入っていなかったのではないかと思われる。

 
【明石鯛】

 
これも昆布〆だったかな。
噛めば噛むほど、奥から旨みが立ち上がってくる。
明石といえば、鯛。日本一の鯛の名産地だ。だから旨くて当然なのだ。養殖とはひと味もふた味も違う。
昔、東京のお寿司屋さんで聞いたことがある。鯛に関しては圧倒的に西の方が味が良くて、特に明石のものは最上、とても敵わないとおっしゃってた。潮が速いから、ムチャクチャ運動量が多くて身質が格段に良いのだと言う。
そういえば、明石の鯛はよく泳ぐから尻尾の骨が一部ボコッと瘤状に盛り上がってるらしい。

 
【縞鰺】

 
シマアジはカンパチ、ヒラマサ、ハマチ(ブリ)とは親戚関係だが、中でもシマアジが一番好きだ。
コリコリとした歯応えがあって、脂と旨みに上品さがある。しつこくないのだ。
ハマチの養殖モノなんて、脂臭くてダメ。だから最近は全く食わなくなったし、ブリも天然のモノしか食わない。どうにも生臭くて苦手なのだ。昔は好きだったんだけどなあ…。それだけ舌の経験値が上がってるのかなあ、それとも単に歳喰っただけなのかなあ…。

 
【鰯】

 
真鰯は大きいと脂が乗りすぎててしつこいが、これくらいの大きさだと丁度良い塩梅(あんばい)だ。
脂が舌に広がったあと、すうーっと余韻を残して消えてゆく。
これも昆布〆だったっけか?
言い忘れたが、この店はネタには全部仕事がなされている。だからカウンターには醤油は無くて、刷毛で塗られて供される。

 
【甘海老】

 
これも昆布〆。
昆布〆系が続くが、まあ好きだから文句はない。
甘海老の昆布〆といえば、富山を思い出す。金沢や富山は昆布〆文化だから、何でも昆布〆にすると云う印象がある。チーズの昆布〆だって見たことがある。
でも、昆布の旨みが身に移るから利には叶っている。美味いし簡単だから、自分でも珠に家で作る。
因みに、この店ではネタにより昆布の産地を使い分けているそうだ。羅臼や利尻など昆布によって全然味わいか異なってくるらしい。

ここでビールから日本酒へチェンジ。
この店は日本酒が売りでもあるようだ。
当然、辛口をお願いする。

 

 
新潟 青木酒造『鶴齢』。
酒器は切子である。
厚みが無いので薩摩切子ではなく、江戸切子だろう。
涼しげでいいね。切子を見ると、もう夏だなと思う。

 

 
新潟の酒と云えば淡麗辛口だが、フルーティーで辛口というよりかは、どちらかと云うと旨口である。そういえば最近はまた日本酒がブームになってきてるね。ホント、今はスパークリングとか色々ある。ボトルもおよそ日本酒とは思えないものも多い。

 
【鳥貝】

 
子供の頃は、この鳥貝がマイ寿司ネタランキングの最下層だった。見た目がジジむさいし、大して旨くねえし、あの上に塗られた変に甘ったるい煮ツメが嫌いだった。それに何より、噛んでてガムみたいにクチャクチャといつまでも口に残るのが最悪だった。だからか、いつも最後には鳥貝が寿司桶に残っていたという記憶がある。
そういえば、最近は寿司ネタで見ないようになったような気がする。経緯は分からないが、今は高級食材になっているようだ。回転寿司で見ないのも、コストに見あわないからだろう。

小振りの鳥貝だから、どうかと思ったが旨い。
貝の仄かな香りもして、歯切れもいい。久し振りに美味い鳥貝を食ったよ。

 
【鯖寿司】

 
薄い昆布が乗ってるから、関西で言うところの「バッテラ」だね。但し、シャリには色々入っている。
海苔で包み、手渡しされる。この海苔で包むと云う発想がいい。手渡しもアクセントになってて面白い。
けど、鯖は酢で〆過ぎかな。身が硬くなるし、酢もキツく感じるから、もっと生っぽい方が好みなのだ。

 
【漬け鮪】

 
調味液に漬け込んだ時間が絶妙。程好い柔らかさと味の入り方だ。ヅケ鮪は漬け込み時間によって味が大きく変わる。漬け込み過ぎると身が硬くなるし、浅いと調味液が沁みないのだ。

 
【穴子】

 
煮てから炙ったようだ。
でも、申し訳ないが自分好みではない。穴子はとろとろに柔らかくて、口に入れたら溶けるような奴が好きなのだ。

 
【赤だし】

 
出汁が効いてて美味い。
ホッとする。三つ葉以外は具が入ってないというのもいい。余計なものが入っていない方が、かえってシメとしては寿司の味が脳裡に蘇る。

これで三千円は安いと思う。
しかし、誠に残念なのがシャリ。
シャリが赤酢なのは、まあいい。しかし、ちょっと味が濃い。自分はギリ大丈夫だが、酢がキツイと感じる人は多いかもしれない。
一番の問題点はシャリのかたさ。兎に角、かたい。前半は米に芯が残ってるものも多かった。ネタには良い仕事をしてるだけに、物凄く勿体ない。シャリの大きさはシャリ駒で、ネタとのバランスも悪くないしさ。
まあ、大将はまだ若いし、そのうちそれも改善されてゆくだろう。
シャリが改善されたなら、三千円はメチャクチャ安いと思う。

 
船着き場に寄って、たこフェリーの復活を確認し、明石城跡に行った。

 

 
あらら、高速艇になってるのね。
昔のたこフェリーが懐かしい。乗り場も新しく綺麗になってたから、ノスタルジィーの人としてはちょっぴり悲しい。でも、何はともあれ復活したんだから喜ばしい事だ。

明石城跡でベンチに寝転ぶ。
風が渡ってゆく。
正面には駅のフォームが見える。列車を待つ人々も見える。
城から駅がこんなに近くに見える所は無いと思う。そして、駅からお城がこんなに近く見えるところも他には無いと思う。
明石って、素敵なところだ。

 
                  おしまい

  

旬彩坐 立山

前回の後日談。
帰りに富山県の郷土料理屋に入った。

 
【白海老の刺身】

 
富山名産のシロエビ。
確か富山湾でしか獲れないんじゃなかったかな。
あの小さなエビの殻を丁寧に取り除いているのには、おそれいる。味は基本的に生の海老のそれ。甘みが少し強いかな。個人的には、同じ北陸ならばガスエビとか鬼エビと呼ばれている寸詰まりの海老の刺身の方が美味いと思う。

 
【刺身盛り】

 
真ん中上が寒ブリ。左回りにメダイ、ハマフエフキダイ、サス(カジキ)。一旦上に上がってサワラ、右がヒラメ。
白身は塩をもらって食べた。白身の魚は塩と柑橘類とで食うのが好きだ。その方が、魚の旨みや甘みが感じられるからだ。
富山ではカジキのことをサスと呼び、カジキが好んで食べられる。昆布締めなんかもよく見る。

(-。-;)う~ん、しかしコレといって唸るものは無し。

 
【公魚(わかさぎ)の唐揚げ】

 
ワカサギは、これくらい小さいのが美味しいと思う。
独特のホロ苦さが好きなんだよなあ。

 
【幻魚(げんげ)の干物】

醜悪な深海魚である。
表面はヌルヌルだし、顔つきも災いして、漁師たちの間では下の下(げのげ)の魚とされたのが名前の由来。
足が早い魚なので、昔は地元のみで消費されていたが、近年になって流通が発達し、割烹や料亭で天婦羅や唐揚げとして提供されはじめたことで、評価が高まりつつあり、幻の魚=幻魚(げんげ)という漢字が宛てられるようになったよう。富山湾の代名詞、幻のような蜃気楼とも掛けているかもね。
外はヌルヌルだが、コレは女子が大好きなコラーゲン。身自体は白くて綺麗だし、あっさりはしているけとも脂も適度にあるから、慣れれば好きになる人は多いと思う。

ゲンゲの干物は初めて食う。
噛めば噛むほど奥から旨みが湧き上がってきて、中々に旨い。とはいえ、自分的には鍋に入れるか天麩羅にするのが一番お奨めかな。

 
【揚げ茄子びたし】

 
茄子は旬ではないが、旨かった。
茄子料理は味噌汁以外は何でも好きだけど、一番好きなのは揚げ茄子かな。茄子と油は相性がいいのだ。

 
【鯖へしこ】

 
へしこと云うのは、簡単にいうと鯖の糠漬け。北陸地方の伝統料理で、鯖の他にイワシやサンマなんかでも作られる。
コレを少しずつポジって食う。間違っても普通の焼き魚みたくガバッと食ってはならない。ものすご~くショッぱいのだ。でも、そのショッぱさが、酒のアテには最高。特に日本酒や焼酎には抜群にあうのである。エンドレスに、なんぼでも酒を飲み続けれるのだ。

白い御飯にも合い、これまた飯がアホほど食える。

 
【ブリ大根】

 
ブリ大根の主役は断じてブリではない。あくまでも大根である。ブリは大根を旨くさせる出汁の役割にすぎない。だから、エキスがいっぱい出るアラで作った方が美味い。

大根はやわらかくて、味がしゅんでおり旨かった。
しかし、いかんせんブリばっかで大根の量が少ない。
サービスのつもりだろうが、ブリはダシガラなんだから無くてもいいんである。実際、ブリ大根のブリはカスカスで不味い。あえてブリは排除して、大根のみを出す店なら、相当カッコイイと思う。

 
【へしこ茶漬け】

へしこがしょっぱ過ぎて食えたもんじゃない。
でも残すのは本意ではない。お茶をたのみ、キープしていた刺身の山葵を乗っけた。ホンマもんの本ワサビやそれに準じたものなら、酒のアテに充分なるのだ。

そこそこ食えるようになったが、それでもしょっぱい。

全体的には、まあまあの店だったかな。
富山の地元の魚を食ったことがあると、どうしても点数が辛くなってしまう。
普通の人なら、充分旨い店だとは思うかな。

 

難民、天王寺界隈を徘徊す。

 
新連載の『台湾の蝶』の第2話が早くも頓挫の様相を呈しておる。
気分転換にFacebookに投稿した記事を再編、加筆してお届けします。

気の知れた女ともだちから「北斎展」のお誘いを受けた。

混雑が予想されるので、珍しく午前9時45分という早い時間に天王寺駅で待ち合わせした。
だが、甘かった…。

開館直後なのに、もうこの黒山の人だかり。
画狂老人の人気、恐るべし❗❗
チケット買うのに1時間待ちだとさ。
並ぶのと待つのが死ぬほど嫌いなオイラの事を忖度してくれたのか、『やめよ。』と云う姉さんの鶴の一言で、即刻離脱のUターン。

とは云うものの、はてさてどうしたものか?
とりあえず早めの昼飯でも食おうかとなったのだが、中途半端な時間である。ウロウロするが、まだどこも飯屋が開いておらん。早くも難民と化す。

姉さんが中華を食いたいと言うので、ネットで調べて地図を脳ミソにインプット。辿り着いたのがこのお店。

中華料理『悦来閣』。
裏町の場末感満載の場所の一角で、ギョーザと書かれた幟(のぼり)が風に揺れていた。

パッと見、雰囲気的にはハズレだ。
だが、一考の余地はあると思った。こんな場所を観光客が通ることなど、まず無いだろう。ならば、一見(いちげん)のお客は殆んどいない筈だ。となると、三段論法で地元の人くらいしか来ないと云うことになる。
外観からはそれなりの年数経過が感じられるし、そこそこ続いてきたからには一定のニーズはあるって事だ。
つまり、地元の人の普段使いの中華と結論づけてもよかろう。ならば、そこそこ旨い可能性がある。
但し、賭けではある。行列が有るわけでなし。旨いという確たる保証はどこにも無いのだ。
かと言って『食べログ』の感想記事を読むのも癪(しゃく)だ。店選びは、最終的に自分の経験に基づいた己の嗅覚と勘のみで決めたい。姉さんの意見は聞いても、見知らぬ赤の他人の意見などに左右されてたまるものか、ボケッ(*`Д´)ノ!!!

時刻は午前11時前。
店の前で二人して逡巡していると、オバチャンが看板を持って店から出てきた。
『いらっちゃいませー、どぞー』と声をかけられる。
日本語だが、明らかに訛りがある。間違いなく中国人だろう。これで決心が固まった。

中国人がつくる中華にハズレなし。

店内は、町の普通の定食屋といった風情。
促されて真ん中のテーブル席に座る。

オラと姉さんは、コンビ・ザ・酒バカだ。
当然朝っぱらから🍻ビールである。
ビールとあらば、自明の理の如く餃子であろう。
幟にもギョーザとあったではないか、意見一致で迷わずオーダー。

えー、ここで一言ことわっておきます。
写メ撮ってないので、画像は無しです。だって文章書く気なんて無かったんだもん。興味のある方は食べログで探しましょう。

見た目は、羽付きで如何にも旨そうな餃子だった。
(ハイ、おのおの頭の中で勝手に想像しましょうね)

しかし、食べてみてちょっと驚く。
食べたことのないベクトルの不思議な味の餃子だったからだ。旨いには旨いんだけど、妙に上品でアッサリしていて餃子特有の👊パンチ力があまりないのだ。
これはこれで有りだと思うし、慣れればハマる可能性はあると思う餃子かな…。

次なるオーダーを模索する。
姉さんが普段めったに外でラーメンを食わないとおっしゃるので、ラーメンに決定。
味噌とか豚骨とかもあったけど、ここはシンプルに醤油ラーメンをチョイスだろう。直感的に、こういう店では王道を外してはならないと思ったのだ。

餃子、ラーメンとくれば、炒飯だろう。
さらに定食メニューの中から、これまた間違いは無いだろうという『海老と卵の炒めもの』をチョイス。
三品まとめて頼んで、これにてハニー❤フラッシュ❗もといのオーダー・フイニッシュ❗

書いてて飽きてきたので、こっからは早足でいく。

『海老と卵の炒めもの定食』。
シンプルな炒めものを想像していたが、予想外の海老チリ風。味付けは悪くないが、片栗粉がダマになってて期待値を大きく下回るものだった。
各定食に付いてくるという「白身魚フライ」は冷たくて、(#`皿´)ガッデーム❗お前なんかオマケでもいらんワイと云う代物で❌。
但し、自家製らしきザーサイはバリ旨❗白メシに合う最高のアイテムだ。

『炒飯』。
見た目はベッチャリ系。
ふわパラ系が好みだから、ややガッカリする。
だが食べてみると、そうでもない。ちょっと独特ではあるが、味付けも嫌いじゃない。旨いと言ってもいいだろう。但し、食い進めるうちに飽きてくる味。
付いてくるスープは旨い❗たぶん化学調味料とか入ってそうだけど、そんな事はどうでもよろしの美味さだ。

『醤油ラーメン』。
さして期待していなかったが、これが驚き桃の木、カッパのへぇ~だった。
見たところ、麺は太さノーマルの中細ストレート麺。
スープもどこといって特徴のない色と澄み具合。
具はネギとチャーシュー、もやし。あとメンマも入ってたっけ?これまたノーマルそのもののラインナップである。
とにかく、見た目はシンプルの一言。何ら奇をてらったところの無いごく普通の醤油ラーメンだ。
だが何も考えずに麺をズズッとすすって\(◎o◎)/アチャマー、びっくらこいた。見事な調和といおうか、ワケがワカランくらいにシンプルに美味いんである。麺の硬さも程好く、スープとの相性も抜群だ。

順番が逆になったが、次いでスープだけを飲む。
( ☆∀☆)メチャクチャ美味いやんけー。
有名なラーメン店なら、まず先にスープから飲むのが常道だから、よほどナメてかかってたんだろうネ。
多分、ベースは白湯スープ。これまた基本路線を踏襲している。だが、微かな香りが鼻腔をかすめて抜けた。何だろ❓記憶にある香りなのだが、一瞬香ったと思ったら、押し寄せてきた旨みの波に埋没するようにして消えた。

もう一口食う。今度は具も一緒だ。
チャーシューは、まあ普通。メンマはそこそこに美味いってとこだ。でも、もやしが心憎いまでに麺のサポートをしておる。シャキシャキ感が堪んない。麺と共に口の中で噛んでいると、そのシャキシャキがアクセントとなって口の中で絶妙のハーモニーを奏でるのだ。
普通だけど凄い。普通の中の究極の醤油ラーメンって言いたくなるような稀有なるバランスのラーメンだ。
しかも、600円だぜー。コスパ、最高じゃん。
正直、昨今のラーメン屋の値段の高さには疑問を持たざるおえない。いくらスープに金と手間が掛かっているか知らんが、千円近くもするラーメンってどうよ❓
もう庶民の食いもんとちゃうで。その値段を出せば、そこそこ豪華な定食が食えるんちゃうんけー。

しかし激賞はしたものの、最近は外であまり飯を食わないので、自分の舌が今どの程度のレベルにあるのかがワカラン。舌は鍛えられるものでもあるからだ。
ここは姉さんに一刻も早く食ってもらって、感想を述べて貰わねばならぬ。でないと不安だ。美味いもん好きの姉さんのコメントは信用に足る。

『美味しいわあ。もやしのシャキシャキ感もいいと思う。あっ、少し八角の香りがするネ。』

おー、(  ̄▽ ̄)そうかあ。言われてみれば、あの香りは確かに八角の匂いだわさ。
流石だよ、姉さん❗❗尊敬させて戴きます。
考えてみれば、本場中国や台湾では、わりと普通に八角(スターアニス)は使うもんね。五香粉(ウーシャンフェン)にもふんだんに入っておるしさ。
もしかしたら、この微かに香る八角が、普通だが普通でない極上の醤油ラーメン足らしめている理由なのかもしれない。

ここまで書いといて画像が無いのも忍びないので、最後に他からパクっきた画像を貼り付けときます。

(出典『Retty』より)

さてさて、腹も一杯になった事だし、この先どうすっべか❓

                 つづく

追伸
Facebookにあげた3つの記事を纏めるつもりが、アホほど加筆してしまった。ラクしようとしたのに、これじゃ丸っきりの新作じゃねえか。気分転換のつもりが、かえってシンドしてどないすんねんである。

因みに、実を言うとこの中華屋には後日また行った。
ラーメンの味を確かめる為である。ああゆう大衆中華って、珠にたまたまその日だけの「偶然の奇跡」が起きたりするのである。常連のとっつあん曰く『大将、今日のスープ、上手いことデケてるやないけー』の世界である。

で、肝腎の食っての感想。
ハッキリ言って前とは少し違ってました。美味しくないことはないんだけど、前ほど美味くはなかったと云うのが偽らざる感想だ。そこに感動も驚きもない、本当に普通のラーメンに成り下がっていた。
味のバランスというのは、ちょっとでもズレれば大きく印象が変わるものなのだろう。
とはいえ、どっちの日が普段の味だったのかはワカラナイ。たまたまこの二度目がハズレで、最初の一杯が普段の味だったのかもしれないのだ。
だから、もう一回行ってやろうと思ってる。

でも、三回目は又違う味だったりするんだよな~(笑)
多分、店には料理のベースになるスープがあって、それを使って色んな料理をつくるのだと思う。だから、ラーメンもその日のスープの出来次第というか、味次第だと思うんだよね。ラーメン専門店じゃないんだから、そこまでスープには拘ってない可能性は充分にあると思う。八角の量もその日次第で、下手したらオヤジさんの気分で入らない日だってあるかもしれない。

あのなあ~、多分なあ~、スープの素となる具材が毎日いっしょとちゃうでぇーΨ( ̄∇ ̄)Ψ。

『西へ西へ、南へ南へ』終焉のとき

 
蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-09-15 01:34:27

       ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

     番外編その参(再最終回)

    (第二十二番札所・終焉のとき)

 
 
2011年 9月27日

ミッドナイト・エクスプレスは車内に光の矢を放ちながら、夜の高速をひた走る。

午後10時、 熊本。
午前0時半、下関。
午前3時半、東広島市・小谷。
午前6時、兵庫県・三木。

やがて美しい朝日が昇ってきた。
雲一つない快晴が嬉しいが、何だか憾めしくもある。
想いを馳せる。奄美大島も晴れているだろうか?

東南アジアの長旅からの帰国後も、今年はよく日本を旅したが、日本の風土は本当に美しい。
破壊されているとはいえ、まだまだ森や林も残っている。東南アジアの殺伐に比べれば、まだマシな方かもしれない。

7時15分。
バスは予定より40分も早く大阪駅桜橋口に着いた。
にも関わらず車掌が謝るのを聞いて、いかにも日本的だなと苦笑いする。
他の国では遅れるのが当たり前だし、遅れても謝ることなどまずない。
これもまた平和の証だ。

無事、帰還。

9月終わりの、よく晴れた幸せそのもののような水曜日が始まろうとしている。

なかなか、恰好よくは生きれない。

                  完

 
(subject 写真解説)

【奄美大島 笠利町のビーチ】
奄美大島は、海よし、山よし、人よし、蝶よし、食いもんよしの素敵な島でした。
皆さんも機会が御座いましたら、是非行ってみて下さい。

おまけで、今シリーズで使わなかった画像もついでに紹介しておこう。

【盆踊り】

9月23日の「魚体模型の夜」の回に挿入すべき画像だったのだが、当時(初稿)はあえて使わなかったのではないかな?表題の印象を薄めたくなかったのだろう。
或いは、ほぼ一日遅れの毎日配信だったので、組み込むには時間が足りなくて、端しょたのかもしれない。文章を書くのは、思っている以上に時間がかかるのだ(悲しいかな、駄文であろうとも書くのに要する時間は美文と変わらないのである)。
今回の第3稿では、折角だから盆踊りについても文章にしようと試みてみた。しかし、今や記憶が定かではないし、挿入すると文章全体のバランスも悪くなりそうだったので結局断念した。
おぼろげな記憶をたどると、全体的に照明が暗くて、とても静かな盆踊りだったような気がする。

とここまで書いて、何で9月に盆踊り❓という疑念がようやく頭をもたげてきた。
調べてみると、これは盆踊りではなく、「八月踊り」というそうである。
もっとも、盆踊りとは非常に近い芸能文化なのだそうだ。沖縄にも同じようなものがあって、コチラも八月踊りというようだ。

でも、ここで再び新たな疑問が湧いてきた。9月も半ばなのに、何で八月踊りなのだ❓
この疑問は、すぐに氷解した。八月といっても旧暦の8月(旧盆)のことを指しているんだね。つまり、現在の新暦になおすと9月になるというワケだ。

【ゴーヤ】

脇田丸で、お通しに出たもの。
実を言うと、ゴーヤは苦手だ。苦くて青臭いのが、どうも口に合わない。でも出されたら体には良さそうだし、薬と思って食べることにしてる。
奄美大島でもゴーヤは頻繁に食べるようだし、沖縄とは共通の文化や慣習が多いと思う。

【蝶ライター】

これも使おうと思って使い忘れた画像だ。
このライターは昔の彼女に貰ったもので、蝶採りの時の御守りみたいなもんだった。不思議にこのライターを持っていると、佳い蝶が採れた。
でも今はガスが切れてしまい、持ち歩いていない。それ以降、前ほどには連戦連勝とはいかなくなったような気がするのは気のせいかな…。運だけで蝶を採っているようなものだから困るよね。使い捨てライターにガスを補充する方法とかないのかな?

(魚たち)

これも入れ忘れた画像。
一番左はたぶんノコギリダイだろう。本土ではあまり見掛けない亜熱帯から熱帯に棲む魚だ。
淡白だが意外と旨い魚で、刺身、塩焼き、フライ、煮付けなど何でもイケる。強いていえば、淡白ゆえにバター炒めなど油を使った料理法がベターかな。

 
(あとがき)
人間の記憶とゆうものは曖昧なもので、アメーバのブログ連載を始めるにあたって改めて読みなおしてみると、案外自分でも書いた内容をすっかり忘れていて、幾つかの箇所で思わず吹き出してしまった。
基本、三歩あるくと忘れてしまう鳥アタマだから、仕方がないのだ。

それと気付いたのだが、考えてみれば日本国内でこれだけ長い旅をしたのは初めてではないだろうか? しかも完全に予定が未定の放浪旅だった。

この年は、随分とたくさんの旅をした年だった。
2月から始まった3ヶ月に及ぶ東南アジア縦断放浪旅を皮切りに、帰国後すぐに熊本に行き、その後、岡山に二度、新潟&長野、沖縄本島、福岡&長崎、北アルプス(双六岳)、山梨(八ヶ岳)と旅してきた。
そして最後がこの九州&奄美大島の旅だったとゆうわけである。
思えば、一年の半分近くを旅先で過ごしたと云う事になるわけだ。
その全部が、目的は蝶採りだったわけだから、自分でもバカを通り越した大バカ、愚か者だと思う。
でも、それは裏を返せば、それだけ蝶たちに魅了されていたと云う事なのだろう。
恋をしていたと言っても過言ではない。
愚かだが、しあわせな男だと思う。

長々とその大バカ者で幸せな男の駄文にお付き合い頂き、本当にありがとうございました。礼。

 
         2012年 9月10日 作者

 
 
(あとがきのあとがき)
多分、バーの何人かのお客さんに送っていたオリジナルにもあとがきを書いた筈だから、これは正確にはあとがきのあとがきのあとがきになるんじゃないかと思う。

正直、まさか同じ文章を書き直し書き直しして三回も世に送り出すとは夢にも思わなかった。人生、こんな些末的な事でも先はワカランのである。流石に4回目は無いとは思うけど…。

3回目を書く事になったキッカケは、アメブロからワードプレスにブログを移転した事から始まった。
前のアメブロの記事が編集できなくなっていたので、この際これを機会に記事を移して、そのブログを閉じてやろうと思ったのだ。
だが、これが思った以上に大変な作業になってしまった。誤字脱字と行間などを少し手直しすれば発表できるとばかり思っていたのだが、第二話くらいから説明不足や気に入らないところが出てきて、かなり細かく手を入れる破目になった。一部をいじると、バランスが崩れて他のところも削ったり足したりと結局全体を書き直さなければいけない事もあったりするのだ。
そして、いらんことを始めたと途中で気づいた時には、もう遅い。既に四話くらいまで進んでいた。こうなると、今さら引き返せない。と云うワケで今日に至るのである。
前のブログには、まだ記事が百話くらいある。この先、どうすんでしょね❓
皆さん、何かをする時は、よく考えてから行動しましょうね。

前回のあとがきに書かなかった事を少し書きます。
小タイトルの第○○番札所と云うのは、関所や西国四十四ヶ所巡りなどを意識してつけたものです。一つ一つ難所を通過して、狙った蝶を手中に入れてゆく巡礼の旅をイメージして貰えればと思ったのだ。結局、最後のピースであるアカボシゴマダラの完品のメスは採れず、巡礼の旅は不完全に終わったけどさ…。
だから、捕虫網の円光シリーズの最後はいつも「ここに円は閉じた」の一節で終わるのに、使えなかったのである。

そういえば、もう一つ思い出した事がある。
店の一部のお客さんに円光シリーズを書いていた時は、直接感想なども聞いていた。読者の顔が見えると云うのは恐ろしいもので、飽きられない為に毎シリーズごとに何か新しい試みをしていた覚えがある。
今回みたいな小タイトルの工夫の時もあれば、毎回のように駄句を詠む、芭蕉の「奥の細道」仕立てのシリーズもあった。全編オチャラケ満載のフザけたシリーズもあったし、絵文字だらけにしたシリーズもあった。初期の頃には純文学風のものもあって、文体だって毎シリーズごとに変えていた時期だってある。
今思えば、そういうのを経て、この『西へ西へ、南へ南へ』辺りで、現在の文体に落ち着きはじめたのではないかなと思う。
そろそろブッ壊して、また文体を変えてやろっかなあ…。まあ、そう簡単にはいかないとは思うけど…。

そろそろ、駄文に長々とお付き合い下さいました事に再度お礼を申し上げて文を閉じます。
読んで下さった皆様方、本当にありがとうございました。
また近く、旅に出ます。
いまだ漂泊の想い、やまずである。

 
           2017年 5月26日 作者

『西へ西へ、南へ南へ』27 番外編2

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-09-12 23:57:55

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』
        番外編その弐

『第二十一番札所・北へ北へ、そして東へ東へ』

  
2011年 9月26日

 港からバスに乗り、鹿児島中央駅へ。
午前9時過ぎ着。降り積もった火山灰が風に巻き上がり、酷いことになっている。
すぐに目の中がゴロゴロしてくる。鹿児島は美味いもんだらけだが、絶対に住めんね。

ここからまた長い時間潰しが始まる。
大阪行きの夜行バスは夜の7時半くらいなのだ。
一応、確認の為に東口高速バス乗り場へ。

だが、7時台の便が見つからない。
(|| ゜Д゜)焦る。

どうもオカシイと思ってメールを確認したら、あれれ?(;゜゜)、出発は西口になっている。
どうやら定期便じゃないバスみたいだ。昔の彼女にネットで安いチケットを探して貰ったのだが、たぶん最近、規制が緩和されて、色んなバス会社が勃興しておるのだろう。
とにかく確認しておいて正解。知らずに東口で待っていたら、また船の時と同じように乗り遅れて怒髪天のエライコッチャになっているところだった。

映画でも見ようかと思ったが、この時期公開されている話題作が思い浮かばない。取り敢えず映画館に行ってみてから考えよう。

見ると、何本かの映画がかかっている。が、特に観たいモノも無い。強いていえば『モテキ(註1)』くらいか…。まあ、こんな時でもなけりゃ、映画館で『モテキ』なんて見る事は絶対にないだろうな。それもまた一興か…。
でも、邦画ってのもなあ…。こういう時は頭カラッポで観れる映画の方がいいんだよなあ。
何れにせよ、どれも上演時間はまだ先の11時台からだ。それまでは何処かで時間を潰さなくてはならない。

昼飯は、行きの時に食い逃した激安マグロ丼にしようかなと考えた。
でも何となく嫌な予感がして、店前まで確認しに行ってみたら、何と定休日❗
まあ、仕方あるまい。昼に期待値マックス完全マグロ脳で行くよか、遥かにダメージは少ない。
だいち、急に1から何を食うか考えなおさければならないのは結構キツイものだ。一度寿司なり焼肉なりのモードになっている脳を別な食いもんにシフトしなおすのは、案外面倒だったりしません?
食べたかった食いもんをグズグズと引き摺って他の食いもん食ったところで、満足できるワケがないのだ。
まあ、今更また魚ってのもなあ…と思っていたから、諦めはつき易いんだけどね。

帰りに何ぞ土産でも買って帰ろうと思い、土産物売場や地下食品売場をウロウロ物色してたら、試食でお腹一杯になった。
船が港に着く直前にカップ麺のソムタム麺(牛テールスープ麺)も食ったしなあ…(具なしで126円って、高くないかあ?)。

そもそもソムタム麺は、大阪行きのフェリーに乗る予定で購入したものである。不味い食堂めしを食うよかカップ麺の方がまだマシだと思ったのだ。
他に同じものがもう一個と焼そば、味噌らーめんも買ったから計4個もあったが、ルート変更により邪魔になったので、脇田丸のスタッフに帰りしなに配った。多分、オカマで独身の福ちゃんの口に入るであろう。
借りはちよっとだけ返したぜ、福ちゃん。

これだけさつま揚げを数店舗で何種類も食えば、逆にさつま揚げは無しだね。正直、さつま揚げを見るのさえイヤになってきた。
とはいえ、とかく旨そうなもんが多いわ、鹿児島。

郵便局に金をおろしに行ってたら、映画の時間に間に合わなくなった。
まあ、次の回でもいいや。

映画を観るとしたら、J・キャメロン制作総指揮の何たらかんたらとかゆうSF映画か、『モテキ』。
だが、実を言うとジェイムス・キャメロンの映画はキライ。娯楽映画としてはよく出来てはいると思うが、どうも性に合わない。暇潰しには最高の映画だろうけどね(『タイタニック』ファンの人、ゴメンナサイ)。
唯一、好きなのは『ターミネーター1』くらい。第1作のターミネーターは低予算のB級映画だが、傑作なのだ。

「モテキ」、キャメロンのSF映画、どちらを観るにせよ、二つとも次回は1時半から2時の間。
何か気分が乗らないので、場合によってはランチも映画もパスかなあ…。

2時前に異様に腹が減ってきた。
蝶採りをしている間は空腹を感じなかったが、やっぱり普通に過ごしていたら、昼になれば普通に腹が減る。
採集している時は、いつも朝飯を食ってからは晩飯まで何も食わない。集中しているせいか空腹感を感じないのだ。だいたい、飯を食う暇さえも惜しい。そんなヒマがあったら、蝶を追い掛ける。

にしても、晩飯を食う事を考えれば中途半端なんで、ランチはパス。紀伊国屋書店に行って時間を潰すことにした。自分は、本屋があればヒマをもて余すことはない。世の中には、数多(あまた)本がある。興味は尽きないのだ。いくらでも時間なんて潰せる。

あっという間に4時半になった。
映画は、予告編のモニターを観て止めた。モテキに一番牽かれたが、何だかかえって落ち込みそうで止めてしまった。恋なんて長らくしてないのだ。観たら、何かと煩悶するに決まっている。

さてさて、何処で夕めしを食うかだね。
あの寿司屋に行きたいが、二週間後に登場ってのは、恥ずかしすぎだもんなあ…。色々と理由を訊かれるのも面倒だ。
買い食いって手もあるんだよねー。
結構、旨そうな酒の肴を見つけたかんなー。

喫煙所で煙草を吸ってると、今までさしてダメージらしいダメージを感じなかったんだけど、アカボシゴマダラの♀の完品が採れなかった現実がジワジワと浸食してきた。
(-。-;)あ~あだ。

それでも寿司を食うつもりでいたが、空腹に耐えきれず、肉巻きおにぎり(300円)と缶ビールを購入。
ホントは昼間に目をつけていた黒豚爆弾おにぎりを食べたかったんだけど、いつの間にか完売していた。
コイツは魅力的な奴で、黒豚ゴロゴロの混ぜ御飯の中心が半熟玉子なんだよな。食えないとなると、何だか口惜しいが、今さら詮なし。

肉巻きおにぎりは、普通に誰が食っても旨いと言うだろう優等生。驚きは特にない。焼いた肉とご飯を合体させれば、さもありなんという味だ。

一度、お腹に物が入ると、胃袋に火がついた。
次のターゲットを物色し始める。
商店街の赤鶏の唐揚げ屋へ。こちらも昼間に目をつけていたものだ。
唐揚げ5個(350円)、手羽元80円×2本と、298円だった蒸し鶏半身を250円にまけてもらい、ビールを買ってベンチでささやかな旅の終わりの宴をする。

何処からともなく、エレクトーンの優しい演奏が流れてきた。
永かったし、随分と遠くまで来てるんだなあとぼんやりと思う。嗚呼…。

 
 西口に向かう途中で小雨が降りだした。
旅の終わりの雨というのも風情があって悪かない。

西口は東口に比べて、あまり拓けていない。簡単に見つけられるかと思ったが、高速バスのターミナルらしきものは無い。多分、民営の不定期便だから、そもそもバスターミナルは無いのかもしれない。
本当に西口に来るのか不安だったが、7時20分になってようやくバスがやって来た。これで、やっと大阪に帰れる。

だが、車内を確認したら何とトイレがない。ここはラオスかよ?(笑)
普通の高速バスなら1万2千円くらいなのに、6800円と格安だから仕方ないか…。
次のトイレ休憩は2時間後。ビール買ったけど、どうすっべ?

7時半キッカリにバスは動き出した。
これから深夜、大阪に向けてひた走るのだろう。
バスではあるが、これもまた深夜特急だ。

延べ、20日間に及ぶ旅が終わろうとしている。
観覧車のネオンが、雨に滲んでいた。

                  つづく

 
(subject 写真解説)

【註1 映画 モテキ】
原作は久保ミツロウの漫画。
監督 大根仁。主演は森山未來。女優陣は長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子。
興行収入22億と、そこそこヒットしたようだ。

後にテレビ放映を見たが、結構面白かった。
あの時、もし観てたらどんな感情になってたんだろう?或いは昔の彼女たちに電話しまくってたかもしれない。そうしてたら、後々の人生も変わっていたかもしれない。今となっては、どうにもならないけど…。
人生は連綿と続く選択の連続だ。ちよっとした事で、大きく変わるんだなと思う。それを知っていたところで、どうにもならないんだけどね。

【肉巻きおにぎり】
テレビのB級グルメ番組でグランプリをとった宮崎市発祥の肉巻きおにぎりは、この頃全国的にブームになりつつあったと云う記憶がある。
だが、最近はあまり見掛けなくなったなあ…。
調べてみたら、発祥の店『元祖 にくまき本舗』は全国展開したが、この2年後の2013年には倒産したらしい。ブームの怖さというものをまざまざと感じるね。ブームはいつか終わるものなのだ。

【観覧車】
画像は西口ではなく、東口から撮ったもの。

この時、ふと口ずさんだ歌があった。
自分にとって観覧車が出てくる歌といえば、甲斐バンドの『観覧車’82』しかない。
「♪雨の日にふたり 式を挙げた」って歌詞から始まるんだよね。口ずさみながら、色んな思い出が浮かんでは消えていった事を覚えている。

 
 雨の日に二人 式を挙げた
 借り物の上着 友達が縫ったドレス
 指輪と花束 ささやかな誓い
 ただそれだけ でも幸福(しあわせ)だった
 おまえは今 家の前
 椅子にすわり 外を見る
 生きることを呪うよに
 悲しみ宿る目で 夜の果てをみてる

 夕暮れの遊園地 憶えてるか
 おまえと二人 暖かな冬の日
 観覧車に乗り 昇ったとき
 不意に壊れ その場に
 置き去りにされた
 手をのばせば届きそな
 星が降る空の中
 俺はおまえを抱きしめ
 二度と離さないと
 固く心に決めた

 
自分の中では、名曲なんだよなあ…。
1982年って、何してたんだろな?
激しく恋してたのは間違いないけど、細かい出来事は、もはや忘却の彼方だ。
そういえば、来た時に泊まったホテルからもこの観覧車が見えたなあ。行きと帰りとでは、同じ観覧車でも違ったように見えるから不思議だよね。
風景は心の在りようによって、全然違ったものに見えると云う証左かもね。

次回、二回目の最終回。と云うか今度こそホントの最終回です。

『西へ西へ、南へ南へ』番外編1

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-09-11 20:29:45

一応、第十九番札所でおしまいですが、退屈なのでオマケ番外編を一部の人にグダグダで送ります。何せ船の中はヒマなのだ(ライブ送信、当時のままの文面です)

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』
       番外編・その壱

      (第二十番札所・北へ北へ)

 
2011年 9月26日

えーと、ですね。
最終回はシンプルにしたかったから、ゴチャゴチャ必要のない事は極力排除したかったわけよ。で、ああ云う風な形になった。
と云うことで、書かなかった間の事とその後の事を書きます。

バイクを返した後、荷物を預かって貰っていたので宿に戻った。
如才がないので、ちゃっかり風呂まで入らせてもらう。どうせ明日はバス移動で入れんだろうし、フェリーの風呂は、狭くて悲しいくらいに薄茶色だしね。

今度こそ髭そり用のT字カミソリを捨ててやるぞ。
もう、慌ててゴミ箱を漁ることもないだろう。
このあいだは船に乗り遅れたから、必要ないと思って捨てたカミソリを大慌てでゴミ箱から探し出したのだった。

そして、最後の脇田丸へ。

これが多分13回目の来店じゃないかな?
かつて、これだけ短期間で一つの店に通った記憶はない。

今日は竹さんがいた。
魚も活きの良いのがカウンターにズラッと並んどるんじゃないのー(⌒‐⌒)v

カンモンハタ、コクハンアラ、アカハタ、クエ、スジアラ、ミーバイ、アズキハタetc…。本日はハタのオールスター勢揃いだ。
皆んな高級魚じゃよ~(≧∀≦)

迷ったが、竹さん一番のお薦めのスジアラを選択いたしましたよん。

スジアラ刺身(790円)

先ずもって、身が美しい。
白く抜けるような透明感じゃね。
味は淡白だが、噛んでいると奥から甘みが昇ってくる。

アバス唐揚げ(490円)

11回も食ったが、飽きない。
いつ食っても絶品❗(^o^)v

次のお薦めは、鰭長勘八(ヒレナガカンパチ)頭の塩焼き(980円)だった。
焼く前の姿を見せてもらったが、巨大。
食えるかどうか心配でオーダーを躊躇した。
だが、こんなもん次いつ食える機会があるというのだ。男なら、ガツンといっときましょう❗

うおっ(゜〇゜;)❗、まるで肉を食ってるみたいだ。
格闘という言葉が最も当てはまる肉弾戦。食っても食っても減らん(@_@;)
カマの部分は、やや大味。顔面の方が肉質が繊細で美味い。

今日は流石に支払いが3000円を越えたよ。
外は本格的な雨。雨合羽はあるのだが、出すのも着るのも面倒臭いので如才なく店で傘を借りる。いや、返すアテなどないから、貰うか?
8時20分。竹さんと堅い握手をして店を出た。

暗い夜道を港に向かって歩いていると、益々自分が何をしているのかがワカラナクなってくる。
一瞬、もう一日居ようかと云う悪夢のような考えがよぎったが、慌てて打ち消した。

さらば、奄美。
船は暗い海に向かって次第に速度をあげ始めた。

バチバチバチーン( ☆∀☆)★★★
ロビーで信じられないくらいの凄い美人と目が合った。視線が絡み合う。
どちらからともなくデッキに誘った。

暗い夜空の下、二人は抱き合った。
そして、激しく、貪るように互いの口唇を求めあった。
彼女の口から嗚咽が漏れる。
あっふう~~~~~ん❤❤❤❤❤
柔らかな乳房を揉みしだき、男は後ろからオラオラオラー(*`Д´)ノ!!!、猛烈に突き上げた。

というのは、
真っ赤なウソでー(・┰・)
うすら寒い二等客室タコ部屋で、横揺れが強くてコリャ酔うなと思い、早々と睡眠薬を飲んでソッコー寝た。

朝8時40分。
男は、再び火山灰舞う街に降り立った。

                  つづく

 
(subject 写真解説&追伸)
ふざけた文章だから(特に本文後半)、よほど削除しようかと思ったが、色々考えた末にそのままにしておく事にした。それはそれで、その時の気分だったり、ヒマだからゆえのお遊びだったりするのだ。

 
【ハタ・オールスターズ】

右からカンモンハタ?、アカハタ、アオノメハタ?、コクハンアラかな?
他にも数種類のハタくん達がいたのに、全員写ってないのはミステイクです。
ダイビング・インストラクター時代は魚の名前は大概わかった。プロなら当然だと思っていたし、ヒマさえあれば図鑑を見ていたからだ。でも、流石に引退して長いと忘れますね。
因みに右上はアオブダイ、左上が海ブドウと海ゴーヤですね。

【スジアラ刺身】
スジアラもハタの仲間。九州辺りではクエ(ハタ科)をアラと呼んだりするから、この名前になったのだろう。
身が透き通るような白さで、お美しい。
ハタ系の魚は、白身で大体はあっさりはしているのだが、噛んでいると奥から上品な脂と甘みが広がってくるのだ。白身魚はしっかり噛むよし。

【鰭長勘八の頭塩焼き】
ヒレナガカンパチは、文字どおり鰭が長いカンパチさんですな。マグロの代用とされることもあるそうで、高級魚です。
後ろに煙草の箱がありますから、巨大さは解って戴けるかと思います。
やっぱり、こういうもんは何人かでつっつくもんです。他にたくさん種類も頼めるしね。
誰か一緒に脇田丸ツアーに行って欲しいもんだね。
女の子なら、なお良し。

【脇田丸店内】

皆さんはもっとワイルドな店を想像していたと思うけど、意外と店内はオシャレなのだ。
右側がカウンター席です。いっつもここにいました。奥、左から2番目か3番目が定席でした。理由はそこが竹さんのだいたい真正面だったからです。

【二等客船タコ部屋】

結構、殺伐しております。
まあ、それも旅情と云うもんでしょ。

 
〈追伸の追伸〉
残念な話です。
このあと何年後かに(3年後だっけ?)、再び奄美大島を訪れる機会があった。そして、当然のごとく脇田丸に行った。
だが、店は様変わりしていた。
まず、あの並べられていた色んな魚が一切無くなっていた。
魚が傷むからと、やめたそうである。あれが、「さあ今日は何食おっかなあ…」と云う楽しみだったし、竹さんにあれこれ質問してオーダーを決めてゆくのも楽しかったのに…。
値段も随分上がっていたし、上がったのにも拘わらず量が減っていた。おまけにメニュー数も少なくなっていた。
「漁師めし」なんかは消えていたし、380円という驚異的な値段だった「刺身定食」も500いくらかになっていた。
スタッフもだいぶ入れ替わってて、竹さんはいたが、オカマでウルトラ年配熟女好きのフクちゃんは既に辞めていた。

それでも、また奄美大島に訪れることがあったら、脇田丸に行くと思う。
食べ物だけが全てではない。そういうものだ。

『西へ西へ、南へ南へ』24 はんだま・ぐわっ!、Σ( ̄◇ ̄;;クエッケッケー

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-09-06 00:06:35

2011年 9月24日

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』

『第十八番札所1/2分の1
はんだま・グワッ!!、Σ( ̄◇ ̄;;クエッケッケー 』

  
昨日と同じように、帰ったら間も無く雨が降りだした。だが、違うのは雨は激しくなる一方で稲光まで走りだした。腹が減って死にそうだが、この土砂降りでは出れない。

今日はあまりに酷い採集の終わり方だったので、明日帰る気はほぼ失せていたが、多分こんな天気では結論は同じだったろう。この豪雨の中、15分以上も掛けて港まで歩く勇気はない。
どうせ予定が1日くらいズレたところで最早関係ない。もう、週末の女の子との約束に間に合えさえすればいい。

8時半迄待ったが、雨はいっこうに弱まる気配がない。諦めて豪雨のなか、脇田丸へ。

いつものようにカウンターに座る。
で、何気に目の前に並んでいる魚たちを見た。

ぐわっ❗、Σ( ̄◇ ̄;;クエッケッケ~

幻聴かもしれないが、自分にはクエがそう言ったように聞こえた。
それにしても、(゜ロ゜;ノ)ノびっくりしたなあー、もー。おじさん、思わず仰け反っちやったよ。

(;¬_¬)……。
それはそうと、今コイツ動かなかったかあ❓
オラにはそう見えたぞー。
ひどい事つづきで、目も耳もイカれちまったのかもしれない。

厨房内に竹さんを探すが見当たらない。
フクちゃんに訊くと、今日は中学生の息子の体育祭と云うことでお休みらしい。
彼とはほぼ同い年なので、何だか溜め息が出る。自分にもそれくらいの歳のガキがいてもおかしくはないのだ…。
考えるのはよそう。どう転んでも時間は巻き戻せはしない。

お通しは、はんだま(金時草)の酢の物。

粘り気が少しあって、中々いける。

本日一発目のオーダーは、刺身盛合せ(690円)。
島ダコ、ソデイカ、マグロ、シマアジ、鰹の腹皮造り、クエと云うラインナップだ。この面々で690円とは信じられんよな。

鰹の腹皮造りは皮付きなので、コリコリして美味。
クエはデカイほど美味い(7㎏)。滋味強し。白身の奥深さに感服。

シメは漁師めし(490円)。

ようするに、いか墨の雑炊。

文句なし❗イカだの海老だのがゴロゴロ入っている。
翌日の朝が大変な事になるらしいが、そんな事、知ったこっちゃない。黒いもんを食うと、当たり前に黒いもんが出るのだ。

本日のお代。
瓶ビールを2本飲んで、2260円でした。

明日の天気予報は終日、雨。
残った意味、あんのかよ( ̄。 ̄)❓
酷いね。

                  つづく
 

 
(subject 写真解説)
そこそこ書き直したので、オリジナルの文章とは写真の順番が変わってるけど、まあこの際いいでしょう。

【はんだま(金時草)】
久々、写メを見たが奇怪なもんでんなあ。多分、照明の関係もあるんだとは思うけど…。
金時草といえば、加賀伝統野菜の一つで、記憶が確かならば金沢の料亭で食べた記憶がある。
そういえば、今年5月(2010年)に行った熊本(捕虫網の円光 熊本編『火の国ビッグブルー』(註1))では、同じ物が水前寺菜とかって名前で出てきた。
葉の表がグリーンで、裏が綺麗な赤紫なんだよね。

(出典『沖縄図鑑』)

時々、自分はツルムラサキと混同して、どっちがどっちかワカンナクなる時がある。
粘り気が有り、癖もあるけど、慣れれば結構旨いもんです。
しかし、何でこっちでは「はんだま」なんだ?
語源が全く想像つかない。

やっぱ気になるし、調べてみた。
ハンダマとは沖縄地方での呼び名だそうな。奄美大島も同じ呼び名って事だね。
そういえば沖縄本島や石垣島、与那国島でも食った事があるわ。

沖縄では昔から不老長寿の薬とされてきたらしい。
血をキレイにする効果があるという。
因みに、語源は別名の一つ「春玉」がなまった説しか見つからなかった。

 
【グワッ!!、Σ( ̄◇ ̄;;クエッケッケー】

いつものようにカウンターに座ったら、目の前のクエさんが確かに私にそう言ったんですよー(笑)
威嚇されました。迫力あります。

【漁師めし】
イカ墨がふんだんにブチ込まれており、ヤケクソみたいにこれでもかとイカだの何だのの海鮮もんがごろごろ入っている。
量もあって、かなりお腹一杯になる。しかも、そんな値段でいいのか?と云うくらいに安い。
恐るべし( ̄ロ ̄lll)、脇田丸。

(註1)熊本編「火の国ビッグブルー」
バーのお客さんの一部に配信したもので、当ブログには掲載しておりません。
ちょっと内容を思い出した。レインジャー部隊云々のくだりは笑えるんだよなあ。

次回、いよいよ最終回だっぺ。