2019’カトカラ2年生 其の1

No.18 アサマキシタバ 前編

『晩春と初夏の狭間にて』

 
2018年にカトカラ(シタバガ属)を集めようかと思い始めた頃には、既にアサマキシタバの時期は終わっていた。
なので、2019年はまだ見ぬアサマくんからのスタートとあいなった。

思えば、カトカラを追い掛けるキッカケになったのはシンジュサン探しからだった。
蝶採りにも飽きてきて、この年はまだ見ぬ有名な昆虫たち、例えばオオトラカミキリとかオオチャイロハナムグリなんかを探そうと思っていた。予定調和は面白くない。未知なるモノを全智全能を傾けて採るから楽しいのだ。
そのリストの中にシンジュサンも入っていた。つまり、恥ずかしながらも実物のシンジュサンを一度も見た事がなかったのである。虫捕りを始めた時には、そう珍しいものではないだろうから何処かでそのうち会えるだろうと思っていたが、なぜか一度も出会えなかった。
で、この年は真面目に探し始めたんけど、これがどうにも見つからない。んなわけなかろうと、途中から必死モードになったんだよね(笑)。たぶんシンジュサンって、今や普通種じゃないんでねえの❓
その辺の苦労話は拙ブログに『三日月の女神・紫檀の魁偉』と題して書いたので、宜しければ読んでつかあさい。

【シンジュサン(神樹蚕)】


(2018.6月 奈良市)

その折りに、副産物としてフシキキシタバとワモンキシタバが採れて、ちょっとカッコイイかもしんないと思ってしまった。それが黄色いカトカラに本格的に興味を持ち始めた切っ掛けになった。
そういえば、その1ヶ月程前の5月中旬くらいにシンジュサンが見たくてA木くんにせがんでライト・トラップをしてもらったんだった。
場所をお任せしたら、彼は金剛山地の持尾方面を選定した。
だが。結局飛んで来たのはベニスズメとかコスズメくらいで、そのうち雨が強くなって早々と撤退。結局、シンジュサンは見れずじまいだった。
その時に、A木くんから『もう、アサマキシタバも出てるかもしれませんよ。』と言われたんだっけな…。
でも、アサマキシタバと言われてもピンとこなかった。よくワカンなかったから、生返事しか出来なかったように思う。言われてキシタバの仲間だろうと云う事くらいは何となく想像できたが、頭の中には図鑑等でインプットされた画像は一切無かったのである。
だから、もしもこの年、2018年に最初に出会ったカトカラがアサマキシタバだったならば、黄色い系のカトカラには全く興味を持たなかったかもしれない。正直、アサマキシタバは黄色いカトカラ類の中にあっては一番小汚いのだ。蛾は基本的に忌むべきものだったから、(`ェ´)ケッと思ったに違いない。汚いのは蛾の概念の域を出ない気色の悪い存在でしかないのである。

 
2019年 5月18日

小太郎くんに『アサマは見られる時期がわりと短いですよ。鮮度の良いキレイな個体を採りたければ、早めに行っといた方がいいんじゃないですか。』と事前には聞かされていた。たしかに去年ここを最初に訪れた時は6月上旬だったけど、ボロでさえも一つも見なかった。
今年は蝶の発生が例年よりも早いと言われているし、もう出ているだろうと思い、この日はその奈良県大和郡山市の矢田丘陵へと出掛けた。

この季節を人々は初夏と呼ぶが、自分の中では晩春だ。なぜなら、1年を夏は6,7,8月。秋は9,10,11月。冬を12,1,2月。そして、春を3,4,5月と便宜上区切っているからだ。だから、3月1日がどんなに寒かろうとも春だと自分に言い聞かせて気持ちを切り替えるようにしてきた。
とはいえ現実の感覚とか心は、けっしてそんな風には割り切れないところがある。今日はまだ5月だが、既に気分は半分夏だ。あれっ?自分で何を言いたいのかワカンなくなってるぞ。
まあいい、いつも通り構成を考えずに書き始めておるのだ。そのうち思い出すだろう。

ポイントへ行く道すがら、アルテミスと出会った。ギリシャ神話の月の女神だ。

【オオミズアオ】

あっ、今はアルテミスじゃないんだったな。本種の日本産の学名は Actias artemis から Actias aliena に変わっちゃんだよね。ものスゴくガッカリだよ。別種になったみたいだから、致し方ないんだろうけどさ。

そんな事はどうあれ、その儚き翠(みどり)はいつ見ても幽玄で美しい。
もうオイラの心の中ではアルテミス、月の女神でいいじゃないか。そうゆう事にしておこう。と云うワケなので、女神に会ったんだから幸先良いスタートだ。たぶん、この調子でアサマも余裕のヨッちゃんで楽勝ゲットだろう。前向き軽薄男は御都合主義のプラス思考なのだ。

(ー_ー゛)……。
しかし、去年カトカラがわんさか集まっていた樹液出まくりのクヌギの大木には何にも居なかった。
たぶん樹液が出ていないのだ。😰あっちゃっちゃー。そんな事はまるで予測していなかったので、ものスゴ〜く💦焦る。どうせ樹液で採れるからと糖蜜トラップは持ってきてないし、此処では外灯に集まって来る個体は樹液に集まるものよりも遥かに少ないからだ。余裕のヨッちゃん気分が一気にフッ飛ぶ。

オラ、もう必死のパッチで他に樹液が出ている木を探しましたよ。そいだらこと縁起が悪いべよ。開幕戦からー、コケるのはー、何としてでもー、避けねべならねっ。
で、何とか3本の木を見つけることが出来た。しかし、どれも少量の樹液しか出ていない。もしもコクワガタくんが来てくれていなけりゃ、見つけられんかったよ。それくらい心もとない樹液滲出状況なのだ。
こりゃ採れんかもしれん…。林内の闇の中空に、行き場を失った不安が所在なげに浮遊する。
いかん、いかん。悲観的な考えは後で恰好な言い訳の材料になる。ダサいぞ、俺。そんなもんは直ぐ様うっちゃって、プラス思考に切り替えよう。でないと、益々採れんくなる。
樹液状況が芳しくないとはいえ、コクワガタくんが来てるんだから大丈夫っしょ。飛んで火に入る夏の虫、デヘデヘ🥵。悪意に満ちたストーカー変態男が待伏せているとも知らずに、そのうちノコノコやって来るっぺよ。
危うしアサマくん、Σ(゚∀゚ノ)ノキャアー、逃げてぇー。
ひとしきり一人遊びしたところで、いつもの前向きオチャラケ男に戻る。

(ー_ー;)……。
(。ŏ﹏ŏ)……。
༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ༽……。

けれども、待てど暮せどアサマキシタバはいっこうに姿を見せない。
もしかしてフライング❓ それとも今年はムチャクチャ発生数が少ないとか❓ 或いは何らかの理由で、ここでは既に絶滅してたりとか❓ だから去年、6月上旬でも見れなかったのかもしれない…。頭の中をあっちゃこっちゃ色んな思考が駆け巡る。

とにかく、まさかの展開である。アサマって嘗ては珍品だったらしいけど、最近は普通種に成り下がったと聞いていたし、2015年には大発生したみたいで、その時の話も散々ぱら聞かされてもいた。何と大阪市内や神戸市内、果ては関西空港の外灯にもいたらしい。そんなワケだから、戦う前から楽勝気分だったのだ。
もしかして、樹液に来るのはメチャメチャ遅い時間だったりして❓ 前向きに考えるも、でもそんな情報、聞いたことがない。だいち、もしもそんな特異な生態をもっていたならば、沢山採ったことのある小太郎くんが必ずや言及している筈だ。

🙀ゲロゲロー。
結局、樹液に来たのはコクワガタとクロカタビロオサムシくらいだった。
クロカタビロオサムシが樹液を吸汁するなんて聞いたことがなかったから、一応証拠写真を撮っとくことにした。オサムシ屋さんにとっては、多分それなりに価値ある例だろう。オイラ、こう見えても小学生の時は、日浦(勇)さんに「オサムシ少年」と呼ばれていたのだ。オサムシの知識のベースはそれなりにある。

【クロカタビロオサムシ】

(2019.5.18 奈良県大和郡山市 矢田丘陵)

この画像を Facebookに載せたら、オサムシの研究で知られる神吉正雄さんからワザワザ連絡があったくらいだから、かなり珍しい例のようだ。と云うことで、この写真はニュー・サイエンス社の学術誌『昆虫と自然』にも掲載された。
エヘヘ(^^)ゞ、タダではコケない男なのである。

(ノД`)グスン。そんなこと言ったって、所詮は負け犬の遠吠えである。現実は惨敗なのだ。夜道を1時間半、暗澹たる思いで駅まで歩いて帰ったよ。

 
2019年 5月23日

前回採れなかったので、満を持して5日後に再訪した。
5月下旬ならば、絶対に発生している筈だ。それでも会えないとなれば、ここには居ないということだ。捜索は振出しに戻る。つまりイチから場所の選定をし直さなければならない。

まさか、そんなわきゃなかろう。たかだかアサマキシタバだ。大丈夫だろう。そうは思うが、正直なところ半信半疑だった。
夜の森を一人でウロウロしてるだけでもストレスなのに、また採れないとなると最悪な気分になること必至だ。それだけは何としてでも避けたいところだ。
それにアサマで2連敗なんかしたら、小太郎くんあたりに何を言われるかワカったもんではない。もし今日も採れなかったら、黙っておこう。2連敗の事実は闇に永遠に葬り去ろう。

午後7時。
やがて日が沈んだ。この黄昏から夜へと移る時間帯は毎回心がゾワゾワする。逢魔が刻(おうまがとき)なのだ。この時間帯が暗闇よりも寧ろ恐かったりもする。これは来たるべく黒い闇を怖れて心が敏感になっているからだろう。口裂け女が現れるのも、この時間だというしね。

『ワタシ、キレイ❓』

😱ゾクッときた。口裂け女のセリフを思い出して、背中に悪寒が走ったのだ。そして、もしも口裂け女が出たらと想像してしまったのである。マジ、それ怖すぎー😭。
あんなもんに横走りで追い掛け回されたら、😭涙チョチョギレで超マッハで走らねばならぬ。でも口裂け女は100メートルを5秒で走るというから、小学校6年間と中学3年間、ずっとリレーの選手でトップかアンカーをつとめ、100メートルを12秒フラットで走れたワシでもソッコー追いつかれるだろう。そして、そして…。
次々と、その後のヤバい展開の映像が浮かんでくる。
いかん。恐怖の連鎖反応じゃ。恐怖が恐怖を呼んでおる。想像力こそが恐怖を増幅させるのだ。これ以上想像したら、発狂してしまう。
 
負の脳内物語を全て頭から遮断し、心頭を滅却させる。
 
٩(๑`^´๑)۶、ヤアーッ❗

『臨、兵(びょう)、闘、者、皆(かい)、陣、烈、在、前(ざん)、オンソワカー❗』(註1)
 
左腰から右上に手刀でキレッキレで、空を「九字切り」する。
念の為に同じ呪文を唱えながら、神様の形を真似て手指を結び、「契印(手印結び)」も行う。
もう気分は、陰陽師 安倍晴明じゃよ。式神も出したろか、ワレ。
  
7時20分。
空はまだ仄かに明るかったが、森の中は真っ暗になった。
闇の物語の始まりじゃあ〜と思ったら、らしきものが直ぐにパタパタと飛んで来た。そして、先日クロカタビロオサムシがいた木と同じところに止まった。
たぶんアサマキシタバで間違いなかろう。この時期にいるカトカラはアサマしかいない。何だかε-(´∀`*)ホッとする。

ヘッドライト、オーン💡
網を構えて距離を詰める。緊張感は、さしてない。会えたと云う安堵の心の方が強かったのだろう。
取り敢えず、💥ダアリャー。網を幹に強く叩きつける。すると、驚いた彼奴(きゃつ)は自ら網の中に飛び込んできた。
もう、この採り方もお手の物である。網の面を正確に幹と合わせる事と、力加減さえ間違えなければ、ほぼ百発百中だ。

今思えば、この頃(2019年初夏)はまだ、こんな博奕度の高い採り方をしてたんだね。もっと楽勝の採り方を編み出したのは、もう少し後の事だったわ。たぶんカバブキシタバかマホロバキシタバの時だね(註2)。

素早く毒瓶にブチ込み、〆る。
暫く経ったところで取り出し、手の平に乗せる。

【アサマキシタバ ♂】

(裏面)

冒頭に『もしもこの年、2018年に最初に出会ったカトカラがアサマキシタバだったなら、黄色いカトカラには興味を持たなかったかもしれない。』と書いたように、その第一印象は酷いものだった。カトカラを本格的に集めようと思っていたから、採れたのは素直に嬉しかったが、一方、右脳は別な評価を下していた。
『チビだなあ…。それに何だよ、コイツの下翅。黄色いとこが少ないし、オマケにその黄色に鮮やかさがまるて無いじゃないか。薄汚れてて美しくないなあ。それに何だか毛深いや。』
正直、お世辞にも全然魅力的には見えなかったのである。

その後、この日は4、5頭程が飛来した。
ド普通と聞いてたけど、今回そうでもないと実感したよ。その年により発生数の増減が激しい種なのかもしれない。

 
2019年 6月3日

♀があまり採れていなかったので、もう1回訪れた。
この日は小太郎くんも参戦してくれた。

コナラにウスタビガの幼虫がいた。

【ウスタビガ 終齢幼虫】

一瞬、持って帰ったろかと思ったが、やめた。
面倒くさがりやの自分には飼育は向いていないからだ。それに、尻の一部が茶色い。小太郎くん曰く、寄生されてるかも…と云う意見もあったしさ。

この日も日没後、暗くなったら、アサマくんたちが樹液に飛来した。やはり飛来時刻は早い。
で、いくつか連続でゲットしてソッコー飽きた。

 
2019年 6月6日

この日は、夕方に生駒山地の枚岡にウラジロミドリシジミの様子を見に行った。

【ウラジロミドリシジミ ♂】

こんなに美しいのに、酷い和名だなと思う。
何で、この色にフォーカスしないのさ。

たぶん、この裏面からのネーミングだと思うけど、もっと他に名付けようがあっただろうに。
学名は、Favonius saphirinus。小種名の語源は宝石のサファイアだぜ。学名が先に有りきの和名の命名だろうから、より想像力の欠如と言わざるおえない。

折角だからと、ゴージャスな夕日を見て帰ることにした。

けど、ついでに夜までいた。
 

 
べつに夜景を見たかったワケではない。理由は他にある。
生駒山地の昆虫調査をしている東さんが、フシキキシタバの記録が無いと言っていたのを思い出したのだ。
矢田丘陵にフシキキシタバがいるなら、隣の生駒山地にいないワケがなかろう。それって、蛾屋の怠慢じゃないか❓だったら、それをお茶の子さいさいで証明してやろうと云う心が芽生えたのである。負けず嫌いのイヤらしい性格なのだ。
しかし、同時にこうも思っていた。東さんは協力者が少ないのに真面目に調査してはるみたいだし、世話になってるところもあるから少しは貢献しようとも思ったのである。嘘じゃなくて、そう云う殊勝な心もちゃんとあったんだかんね。

それに樹液が出ている木を探しておいて損はない。
10年ここに通っているが、いまだもってスミナガシ(註3)の♀が一度も採れていないんである。どころか見たことさえ殆んど無い。どうやらメスは、ほぼ樹液でしか採集は望めないようなのだ。でも、枚岡って意外と樹液がバシバシ出てるような御神木的な木が無いのだ。だから、そういう木を昔から探しているのだが、標高の低いイージーな場所では、ナゼか見つからない。昼間に樹液の出ている木を探すのは意外と難しいのだ。むしろ夜の方が意外と見つけ易かったりする。その事に気づいたのは、カトカラ採りもするようになった去年(2018年)だった。夜は視界が制限されるから、かえって集中力が高まるし、蛾、特にヤガの仲間は懐中電灯の光が当たると目が光るから目印になるのだ。また昼間よりも樹液に集まる昆虫が多いので、目につきやすい。昼間はあまり見ない夜行性のカブトムシやクワガタなどの大型甲虫も集まるから、よく目立つのである。

日没後、ウロウロしていると懐中電灯の光がアケビコノハの姿を捉えた。

【アケビコノハ】

(2019.6.13 )

コヤツが木に下翅を開いて止まっていると云うことは、樹液が出ている証拠だ。(^3^♪オホホ、ソッコーでフシキがおることも証明したるわい(ノ`Д´)ノ❗

そして、別な木だが樹液に来てるアサマも3頭見つけた。
しかし、3頭とも羽が傷んでいたのでリリース。場所は違えど、初見からまだ10日だぞ。ボロになるのが早過ぎやしないか❓
 
アサマがいるなら、フシキも採れんだろ。採れなきゃ採れないで、いないって逆証明にもなりうる。ただ、季節的には発生初期だろうから、まだ発生していない可能性もある。かりに発生していても、出始めで個体数は少ないだろう。

結局、フシキキシタバは樹液には来なかった。
だが、帰りの夜道で飛んでるのをシバいたった。

【フシキキシタバ ♂】

やはり、いたね。
ザマー、見さらせである。センスを証明されたいがために虫採りやってんのかもなあ。
 
 
2019年 6月12日

この日はアサマではなく、フシキキシタバを探しに矢田丘陵へとやって来た。

ガクアジサイがひっそりと咲いており、夕暮れのそよ風に嫋(たお)やかに揺れている。

予想したとおり、フシキキシタバは最盛期に入ろうとしていた。

【フシキキシタバ♂】

どれも新鮮な個体ばかりだ。

【同♀】

アサマと比べたら、遥かに美しい。

アサマも飛んで来たが、既に古びたボロ個体ばかりで数も少なかった。見たのは2頭だけだ。初見から20日足らずで、この状態とあらば、やはりアサマって発生期間が短いようだね。
 
 
2019年 6月13日

翌日に兵庫県宝塚市にカバブキシタバの下見に行った時も、大量のフシキキシタバに混じってボロボロのアサマを1頭だけ見た。この例からも、成虫の発生期は他のカトカラと比べて、比較的短いのではないかと思う。

2019年に採ったアサマキシタバの展翅画像を貼り付けておこう。

【Catocala streckeri アサマキシタバ♂】

形はカッコイイと思うんだけど、下翅が汚い。
それにしても、酷い展翅だな。上から3、4つまではまあまあだけど、段々酷くなっていってる。

【同♀】

更にメスは目を覆いたくなるような出来だよ。このテキトーさ加減、対象に対する愛が感じられないねぇ。これは年を越えたゆえ、カトカラに対する概念がリセットされて、アサマを見て改めて所詮は蛾だと云う認識に逆戻りしたのかもしれなーい。オイラ、元々は生粋の蛾嫌いなのだ。

それはさておき、何か♀の触角が短くないかい❓

【♂裏面】

【♀裏面】

裏展翅のコレも♀の触角が短いぞ。
気になるから、石塚さんの『世界のカトカラ』を開いてみた。

♂と比べて、やっぱ少し短くなくねぇか❓
今一度、アチキが展翅した♂の画像と見比べて戴きたい。明らかに♂の触角は長いよね。でも、この一つだけじゃ何とも言えない。慌てて他の♀画像に目を転じる。

あっ、コレも短い。と一瞬思ったが、左の触角はそうでもない。
٩(๑`^´๑)۶ハッとさせんじゃないよ。

一瞬、これも短いと思ったが、コチラは右の方の触角が長い。
長い方が本来の長さだろうから、たぶん♀の触角が短いなんて気のせいだろう。

あっ、短い❗とコレも思ったが、よく見れば左側が少し長いな。やっぱ、きっと気のせいなんだろうな。
 
それはさておき、しかしこうも触角の先って切れるもんかね❓
何か理由があるのかもしれない。元々メスは左右の触角が同じじゃない個体が多いとか、メスって極めて触角の先が折れやすいとかさ…。
(ノ´・ω・)ノ ミ ┻━┻、んなワケあるかーい。理由として論理的に苦しいわ。アカンな。
 
おーっと、そうだ。オスも見てみよう。
 

 
ヽ(`Д´#)ノクソッ、コイツもかよ。右の触角が折れとるのか短いじゃないか。アサマって、そんなにも触角が折れやすい種なのか❓
それはさておき、左の触角はメスよかオスの方が長いような気がする。けど、微妙な長さではあるんだよね。上から3番目、番号10のメス個体も触角が長めだからなあ。
ならばと他のオスを探すが、(・o・)ありゃま。でも他にオスの標本が図示されてない。オスはこの1個体だけなのだ。それじゃサンプルが少な過ぎて、これ以上は何とも言えないや。
 
異常型だが、メスをもう1点。


(以上すべて、石塚勝己『世界のカトカラ』より)

これは明らかに短いような気がするぞ。
けど短い感じたものが偶々(たまたま)連続したから、そうゆう印象を最初に持ってしまっただけなのかもしれない。こんなどうでもいいような事をグダグダ書いてたら、レベルが低いと笑われそうだな。声高に論じるテーマとも思えんしなあ…。

まあ気のせいだとは思うけど、今年(2020年)、確認しに行こう〜っと。
 
                         つづく
 
 
追伸
終わりそうで終わらない物語みたいでヤだけど、アサマキシタバの話は尚も続きます。このままいくと3話構成にはなる。3話で終わることを祈るよ。

えー、この文章は3月の時点で下書きが粗方出来上がっておりました。でも、触角問題と生態面でハッキリとしないところがあって一旦お蔵入りになってました。そこにある程度の目処(めど)がついたので、晴れて蔵出しとあいなったワケである。
けんど、シリーズ初回にも拘らず、改めて文章の手直しを始めだら、大脱線。要らぬところで筆が止まらず、大幅訂正加筆の1.5倍以上に膨れ上がってしまった。我ながら、愚かじゃよ。

愚か者ゆえに、次回は触角問題に切り込むでぇ〜。まだ一行も書いてないけどー。
嗚呼、次もどうせ大脱線になりそうだ。自分にウンザリだよ。
 
 
(註1)『臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前』オンソワカ
悪霊退散の呪文の1つ。九字を唱える事でその場を清め、結界を張ることも出来る。
これは「仏の言葉」や「秘密の言葉」と言われる真言の一種で「神様の軍隊が通るため、立ち去るように」という最終通告を意味している。
また九字護身法には、悪霊や邪気、災いを祓う浄化効果だけでなく、その人が持つ霊力を高めて幸福へと導く開運効果もあるとされている。

オンソワカの「オン」は、真言の頭につける慣用句。「帰命する」という意味。
「ソワカ」は聖句の末尾につけられ、「成就あれ」の意味。

 
(註2)カバブキシタバかマホロバキシタバの時だね

【カバブキシタバ】


(2019.6 兵庫県宝塚市)

上がオスで、下がメスである。次のマホロバも同じ。

 
【マホロバキシタバ】


(2019.7 奈良市)

木の幹に止まったカトカラの簡単採集法は、たぶんカバブキシタバの時の後半辺りで気づき、マホロバの時に確立した。採り方は、マホロバの回の時にでも詳しく書くつもりだ。まあ、蛾捕りの天才であるマオ(小林真央くん)も、その採り方を実践してたから、知ってる人は知ってんだろうと思うけどね。

 
(註3)スミナガシ 
タテハチョウ科に属するチョウの一種。

【スミナガシ 春型♂】

 
(裏面)

(2018.4.28 東大阪市枚岡公園)

名前の由来は、平安時代から続く伝統的な芸術技法であり、遊びの一種でもある「墨流し」から。墨汁を水に垂らした際に出来る模様、及びそれを紙に写したもので、その模様を布に染めた物のことも指す。

 

続フシキキシタバ(1)ダミアンの闇

 
去年は蛾ビギナーゆえに、カトカラの展翅も手探り状態だった。図鑑なんて持ってねえし、自己流でやるっきゃなかったぺよ。
けど自分で言うのも何だが蝶の展翅ならば、そこそこ上手い。だから、蛾なんぞ楽勝だと思ってた。ネットで見ても蛾の展翅は酷いものが多いし、何ならワシが蛾の展翅の新たなトレンドを作っちゃるわい(# ̄З ̄)❗みたいな気分さえあった。
しかれども、やればやるほど自分でも下手なのか上手いのかようワカランくなってまっただよ(@_@;)
ちゅーワケで、今年はカトカラの展翅を真面目にやり直すことを決意した。
その第一弾として、キシタバグループのファースト・インパクトだったフシキキシタバを探しに行った。

とはいえ、同じ場所から始めたくない天の邪鬼な性格。矢田丘陵にいるのならば、生駒山地にもいるとふんだ。
詳しいことは何ちゃらワカランし、来年か再来年かも知らぬが、大阪昆虫同好会で生駒山地の昆虫相を調べて本にするようだ。その協力もやんわりと打診されていたから枚岡公園へ行くことにした。
それに枚岡なら通い慣れたフィールドだ。ついでにウラジロミドリ(註1)の様子も併せて見る事も出来る。

 
2019年 6月6日。

もう一つ6が揃えば、悪魔の子ダミアン(註2)だなと思いつつ、夕方に出掛ける。

 

 
尾根筋でテキトーにウラジロミドリシジミと遊んだ後、展望台に向かっておりる。時刻は7時を過ぎている。そっかウラジロに夢中で気づかなかったが、確実に6月6日午後6時6分6秒と云うズラリと6が並んだ時間を此処で過ごしていた事になる。変な事が起こらない事を祈ろう。

夕闇の中で、外国人たちがボソボソ喋っている。
眼下には大阪平野の夜景が広がっている。綺麗だ。

 

 
にしても、生駒山中に外国人かあ…。
しかもこの時間帯とは時代も変わったもんだなと思う。こんなとこまで外国人観光客がやって来る時代になるとは考えもしなかった。ジャパンはこの先どうなってゆくのだ❓

暗闇の中、懐中電灯を照らして木を小まめにチェックしてゆく。実を云うと、昼間よか夜の方が樹液の出ている木は見つけやすい。なぜなら、ある種の蛾やクワガタとかカブトムシは夜に樹液に集まるからだ。懐中電灯を照らすと、カブトやクワガタはデカイだけに、よく目立つのである。蛾も飛び方で何となく樹液に寄って来たのだと解る。それらを観察していれば、樹液が出ている場所を特定できる。

いくつか樹液が出ている木を見つけた。
しかし、寄って来たのは矮小クワガタや何処にでもいるアケビコノハと名も知らぬクソ蛾どもだ。

梅園に降りる道が封鎖されていたので、仕方なく椋ヶ根橋へと繋がるルートに入る。

 

 
暗い。木々の間から僅かに街の灯が垣間見える。
道は尾根道から逸れ、やがて谷へと下ってゆく。街の灯りが届かず、真っ暗闇だ。この辺はイノブタ(猪豚)が出没するから注意せよという看板があったことを思い出してブルッとくる。いわゆる武者震いである。
そして、こんな暗い夜道。しかも山道を一人で歩いているだなんて、つくづく自分でも阿呆だなと思う。それも蛾を探して…。オイラ、頭オカシイぜ。
そもそもアチキは、子供の頃から夜の闇がメチャンコ怖くて一人でトイレにも行けなかったし、蛾もパニックな存在で、見たら飛び退くのが常だったのだ。しかも、この2つは時にリンクする。もう最悪パターンである。

しかし、げに恐ろしきは虫採り魂である。狂気の沙汰も虫次第。虫が採りたいという強い欲望が恐怖心をも凌駕してしまうのである。心頭滅却、恐怖心さえ排除して、対象物にのみに神経を集中させられるだなんて、我ながらスゴい心理コントロールじゃないか。ちょっとしたゾーンに入ってるのかもしんない。これって、まるでトップアスリートや武術の達人の領域だじょー(´▽`;)ゞ

懐中電灯の光の束が忙(せわ)しげに闇を走る。
一応蛾を探してはいるものの、イノブタへの警戒心も怠(おこた)っていないのだ。心なしが背中の毛が逆立っているような気がする。久し振りに恐怖心が芽生え始めていた。
オデ、オデ、イノブタ、怖いよー(T_T)。

そんな折り、何となく気配を感じた。
慌てて懐中電灯を照らす。
その先、頭上斜め上で蛾がくるくると飛んでいた(イノブタと思った人、残念ハズレでぇーす)。
下から黒と黄色の縞模様が見えた。
カトカラだ( ̄□ ̄;)❗
しかも、明るい黄色だからアサマキシタバではない。たぶんフシキだ。
瞬時に片手で網を左から右へとナギ払った。

手応えはあった。出会い頭の居合い殺法には自信がある。昔から運動神経と反射神経はいいのだ。
網の中を見ると、色鮮やかなオレンジが明滅している。間違いない。フシキキシタバだ。

 

 
ところで、生駒山地ってフシキキシタバの記録あんのかな❓初記録だったりして。

その場にしゃがんで、闇の中でスマホで写真を撮り、ブツを三角紙におさめる。
もし、こんな時間、こんなところでしゃがみ込んでる男に出くわしとしたら、きっと怖いだろうなあ…。行動が得体が知れなさ過ぎるよ。もしも傍らまできて急に襲い掛かれたとしたら…と思うとゾクゾクくる。足が確実に止まるね。で、追い掛け回されたりでもしたら、確実に髪の毛があっちゅー間に真っ白になるに違いない。

スマホを足元に転がるザック内の小ポケットに戻し、立ち上がって煙草に火をつけようとしたその時だった。
人の声がしたような気がした。
その場で凝固した。
(・。・;気のせい❓いや、ハッキリと聞こえた。
こんな山の中の暗闇で、人❓でも誰かが近づいて来た気配なんて無かった筈だ。なのに、いつの間に❓
もしかして、悪魔の子ダミアンの声(|| ゜Д゜)❗❓
しかも男女二人のようだ。
Σ( ̄ロ ̄lll)ハッ、ダミアンが二人❓
どわっ( ̄□ ̄;)❗❗、それとも双頭のシャム双生児的ダミアン❓それはアカン過ぎるやろ。
懐中電灯の光が激しく前後左右に振られる。
(;゜∀゜)誰だ❗❓何処にいる❗❗
女の喘ぎ声が聞こえたてきた。
背中が凍りつく。お化け❓妖怪❓それとも何かの霊❓
何にしろ、出たなと思った。
(ToT)チップス先生、さようなら。皆さん、お世話になりました。

けれど、何やら音が小さい。
しかも足元近くから聞こえてくる。
(・。・)小人❓
そして女の喘ぎ声も、どう考えても呪詛の声というよりかはアッチ系の声だ。

『あん、あん、あん、あっふぅ~ん❤』

(;・ω・)はあ❓
ザックに近づき、スマホを取り出す。
その画面には若い娘が歓喜の嗚咽を漏らして激しく交(まぐ)わっている映像が映っていた。
それは紛れもなく自分がダウンロードしたアダルト動画だった。それがザック内のポケットに無理矢理押し込んだ時に、偶々(たまたま)、変なところの触れて起動したのだろう。

恐怖はドッと解き放たれた。
安堵と同時にバカバカしくなって、声を出して笑ってしまった。
闇の中で、その笑い声は辺りに奇妙に反響し、やがて何事もなく静寂が訪れた。

                  つづく

 
追伸
その時のフシキキシタバの個体はコチラ。

 

 
♂である。
上翅を下げて、皆が良しとしそうなパターンでやってみた。
まあ、んなもんじゃろう( ̄З ̄)

因みに、去年の展翅はこんな感じだった。

 

 
鬼的なものを意識して展翅した。この頃は、まだまだ深層心理では蛾を畏怖する存在として捉えていたのかもしれない。

だいふと前に既に『2018’カトカラ元年』の2種めの原稿はほぼ書き上げているのだが、去年の自分のカトカラの展翅に少なからずショックをおぼえた。故にこの文章を書く気になっただす。後々、展翅写真がズラリと並ぶ予定なので、どれが正しい展翅なのか忌憚なき意見をお伺いしたい。
それと、フシキキシタバじたいに対する考えも今年は去年とは変わってきた。次回は、その辺りにも言及しようと思う。

 
(註1)ウラジロミドリ
ウラジロミドリシジミ(Favonius saphirinus)のこと。

 

 
(註2)悪魔の子ダミアン

1976年のホラー映画『オーメン』に登場した悪魔の子ダミアンのこと。
6月6日午前6時に生まれ、頭に666のアザを持つ少年ダミアンを巡る奇妙な物語。 監督はリチャード・ドナー。
1978年に続編『オーメン2/ダミアン』、1981年に『オーメン/最後の闘争』、1991年に『オーメン4』とシリーズ化されており、2006年には1976年版をリメイクした同名映画『オーメン』も製作された。2016年にはその後を描くテレビドラマにもなっている。

生まれたのは午前6時だったんだね。
考えてみれば、午後6時は18時だもんね。でも、この時はそんな事を考える余裕は無かった。だいたい午前6時って朝じゃんか。全然怖くない。一方、午後6時は昼と夜の狭間の黄昏(誰ぞ彼)の時間であり「逢魔が刻」なのである。その時間にダミアンが誕生したと記憶するのもしゃあないっしょ。

 

三日月の女神・紫檀の魁偉~泥濘編

思えば、去年シンジュサンには振り回された。
普通種だとナメてかかってたけど、連敗に次ぐ連敗で、ボコられたんだよなあ…。

 
5月22日、最初は生駒山地南端の信貴山に行った。

 

 
オオシモフリスズメの記録が多いし、有名なお寺に灯火があると睨んだからだ。
しかし、その殆んどは L.E.D.に替わっていた。

 

 
山頂部に僅かに残る蛍光灯で待つが全然ダメだった。
それで思い出したんだけど、この日は日没後しばらくしてフランス人のオバチャンが登ってきて、網を持ってるオラに英語で『何してるの❓』と尋ねてきた。

 

 
アンタこそ、こんな時間に何してんの❓と思いつつも、素直に『蛾を探してます。』と答えたら、『トレビア~ーン💮』と言われたのだった。
暫し会話して、最後に一緒に記念撮影を求められてパシャ&バイバイ👋。何だかよくワカンなかったけど楽しかったよ。それにしても、フランス人は、オバチャンでもスタイルいいよなあ。所詮、東洋人はネオテニーなのさ。

そういえば若い頃にユーラシア大陸をバイクで横断した時にも、フランス人に同じセリフを言われたっけ…。
たぶんフランスのロワール地方の古城だったと思う。

『OHー、サムラーイ( ☆∀☆)❗トリビア~ン❗』

古城内にベルナール・ビュッフェの小規模なギャラリーがあって、そこで太ったオッサンに目を丸くして言われたのだった。
当時はモトクロス用のプロテクターを着ていたので、それが戦国武将の甲冑にでも見えたのだろう。
一応、笑いながら『この無礼者がっ!』と言ってやった。日本語だから意味なんぞ解るワケがないのだ。
旅では、その後も何度かフランス人にトレビアーンと言われた。エアでバッサリ斬ってやったこともあった。もちろんフランス人は関西人ではないので、『ぎゃあ~。』とか言ってその場で倒れてはくれない。ゆえに、すかさず『It was only joking.』とフォローせねばならないのは言うまでもない。
まあ、フランス人にトレビアンと言われた日本人はそうはいないと思うよ

10時過ぎまで粘ったが、時間の無駄だった。当然、帰りのバスは既に無く、三郷駅まで歩かざるおえなかった。長い坂道を終電に間に合うよう足早に歩く。
駅まであと少しといったところで、コンビニの駐車場の強烈なライトに大きな影が舞った。
ぬおっ( ̄□||||❗❗、一瞬、目に入ったその形は、メモリーされているシンジュサン特有の鉤状に出っ張った羽先に見えた。
Ψ( ̄∇ ̄)Ψおほほのほ、さすが引きの強いオレ様だい。毎度の事ながら、最後の最後にチャンスが舞い降りてきたぜ(^o^)v
強く願う心と諦めないハートを持ち続ける者だけに、神様は幸運をプレゼントしてくれるのだ。
でもコンビニに行くには目の前の道路を横断しなければならない。しかし、タイミングの悪いことに右手から車が近づいてきていて、渡りたくとも渡れない。ざわつく心で車の通過を待って、軽くダッシュ💨する。全速力ではなかったのは、余裕のヨッちゃん、どこかでもう採ったも同然の気分になっていたからだ。ドラマチックなフィナーレを想像して、おっちゃん、ヘラヘラ笑いになっていたのである。

(・。・;あれっ❓……。
しかし、いる筈のシンジュサンの姿がない。そこには、ただ強烈な光だけが在った。そう、跡形もなく忽然と消えていたのだ。慌てて周囲を見渡す。だが、やはり飛んでいる姿はどこにも無い。目を切ったのは5秒くらいだ。狐に摘ままれた気分で呆然とその場に立ち尽くす。
願望が強過ぎて幻覚でも見たのだろうか❓バカな…。にしてはリアルすぎる。

暫く此処で待とうか…。
咄嗟に腕時計に目をやると、終電の時刻が迫っていた。5分くらいは余裕があるかもしれないが、初めて来る土地だ、何があるかワカラナイ。少しでも道を間違えたら、乗り遅れかねない。ギリは避けたい。
漆黒の夜空を恨めしげに見上げる。大きな溜め息を一つ吐(つ)き、駅へと歩き出した。

惨敗だったが、でもこの時はまだ心に余裕があって、そのうち楽勝で採れると思ってた。

 
翌23日、再び三郷のコンビニを訪れた。リベンジである。しかし、天気予報に裏切られて、着いて間もなく雨が落ちてきた。小雨の中、周囲を探索するも、クソ蛾すらいなくて、リベンジどころか返り討ちの憂き目にあう。

 
5月27日は知り合いの姉さんと京都に蛍を見に行った。ついでにちょっとだけ探したが、見つからず。

 

 
おまけに蛍も見れず、晩飯を食って帰った。
ぽろぽろ( ;∀;)、何でおらんのん❓

 
5月29日は矢田丘陵方面に行ったが、見ず。
食樹のクロガネモチがギョーサン有るのに、気持ち悪いエダシャクしかおらん。(=`ェ´=)死ねや、ワレ。

 

 
何でやねん❗❓(/´△`\)
次第に焦燥に駆られる。

  
6月1日には八尾市楽音寺の大阪経済法科大学に行った。
ついでにウラジロミドリシジミの様子も見てやろうと云う算段である。
🚲キコキコキコキコー。しかも、ママちゃりで。バリ、遠かったよ。

 
【ウラジロミドリシジミ ♂】
(2013.6.10 東大阪市枚岡公園)

(2014.6.2 兵庫県猪名川町上阿古谷)

  
しかし、なぜか夕暮れになってもウラジロミドリは姿を見せなかった。
フライング❓でも今年は発生が早いと聞いていたのになあ…。

 

 
ミズイロオナガシジミしかおらず、手乗りさせて遊んでいるうちに日が暮れた。

 
【ミズイロオナガシジミ】

 
青のグラディエーションが美しい黄昏だった。
この時間帯の空が一番好きだ。心がスゥーッと落ち着く。

 

 
しかし、照明は全部 L.E.D.で、お話にもならなかった。成果、ゼロやんけ(ー。ー#)

 
6月3日は京都・南禅寺界隈に行った。そこにシンジュサンの食樹の一つであるカラスザンショウが沢山生えていると云う情報を得たからだ。
また、ここは佳蝶キマダラルリツバメの有名産地でもある。久し振りにキマルリにも会いたいし、上手くいけば一石二鳥だ。キマルリも採れて大団円で凱旋ってな展開を密かに思い描いていた。

 
【キマダラルリツバメ】

(裏面)
(2016.6.18 兵庫県神鍋高原)

 
けんど、又しても惨敗(ToT)
なぜかキマルリも1頭も飛んで来なかった。

 

 
この日も美しい黄昏だけが慰めだった。

これで5連敗だ。真剣には探してない蛍の時も入れれば6連敗である。虫採りで5連敗もしたのは、いまだかつてキリシマミドリシジミだけしかいない。まさかシンジュサンで再び喰らうとは夢にも思わなかった。
シンジュサンって、本当に普通種かよ❓もしかして、昔、普通種。今は激減してて絶滅危惧種とかじゃねえだろうなー。
悔しいやら情けないやらで、なんか半泣きになってきたよ。

今回で、蛾の採集は蝶よりも難しいと痛感した。
蝶と比べて蛾の情報量は圧倒的に少ないし、昼間飛ぶ蛾以外は飛んでいるのを見つけるのは至難だ。当たり前だが、夜は暗いのだ。だから、見つけるには灯火に飛来したものを探すか、花や樹液で待ち伏せするしかない。されど今は照明の殆んどが、L.E.D.に替わってしまっている。昆虫は紫外線の多い水銀灯や蛍光灯にしか寄ってこないのだ。L.E.D.はああ見えて紫外線量が少ないのだ。蛾を忌み嫌っている頃は有り難かったけど、まさか蛾を採る事になろうとはなあ…。青天の霹靂だよ。
また、花や樹液での採集はシンジュサンには無効だ。彼らは口が退化しており、食物を摂らないのだ。

シンジュサンどころか、ウラジロミドリやキマルリにもフラれ、挙げ句に蛍まで見れないなんて酷すぎる。
憂鬱だ。暗憺たる気分になってくる。
けれど、逃げるワケにはいかない。そんなもんはオラのプライドが許さないのだ。心を硬質化させ、いよいよ背水の陣で臨まねばならぬ。
帰り道、ヒロユキは死ね死ね団の歌を口ずさみながらママちゃりを漕ぎ漕ぎ、強くリベンジを誓ったのであった。
ゼッテー、シバく(*`Д´)ノ❗❗
 
 
                   つづく

 
追伸
2回で終わる筈だったが、終わらん。
原因は最初にメインの後半を書いてから、前半部に取り掛かったからだ。ようするに、前半が思いの外に長くなったので力尽きたのだ。
長い間ソリッドな文章を書いていないので、書けなくなっている。実を言うと、文章は短い方が書くのが難しい。長々とウダウダしか書けないのは、才能の無い証拠なんである。

えー、そう云うワケで、次回は必ずや完結させまする。