デカいガシラを食うざます。

 
やっとカトカラの連載が一段落したので、ようやく食いもんの話が書ける。
少し前の話だけど、読んでたもれ。

6月上旬の事だったと思う。
スーパー玉出で、見たこともないようなデカいガシラが半額で売っていた。

 

 
勿論、ガシラを食ったことは何度もあるけれど、こんだけデカいのを見たのは初めてだった。大体は姿そのままを唐揚げにするか、煮付けにするとかが定番だから、そう大きくないイメージの方が強いのである。

こんだけデカいのは食ったことがないし、半額なんだから、ここは買いでしょう。
けど、頭と尻尾側の両方あって悩んだ。普段なら迷わず頭側を選ぶのだが、どう見ても尻尾側の方が身の量が多かったからだ。ガシラって、頭がデッカチで歩溜まりが悪いんだよなあ。
でも魚と云えば、尾頭付きという言葉もあるし、頭の方が旨いと言われている。ここは矢張り、頭の方を選ぶことにしよう。

あっ、言い忘れてたけど「ガシラ」とは関西地方の呼び名で、正式名称は「カサゴ(笠子)」であります。他にも各地に沢山の地方名があるようだ。日本全国どこにでもいるし、そんだけ昔から親しまれていた魚なんだろね。しかし、普通のスーパーでは滅多にお目にかからない。何でかっつーと、磯の魚で沢山は獲れないし、高級魚だからみたい。昔はそうでもなかったのような気がするけどなあ…。
最近は、そうゆう風に「昔は大衆魚だったけど、今は高級魚です。」って魚、多くないか❓
これは漁獲高が減ったと云うのもあるのだろうが、グルメブームで美味しい魚だと知っている人が増えたと云うのもあるのだろう。供給量は変わってないのに需要が増えれば、高値になってゆくのは道理だかんね。

 

 
家で一番デカい皿に乗せて、ほぼ皿いっぱいの大きさなんだから、やっぱデカい。
全体像は、こんな感じです。↙

 

(出典『みえぎょれん』)

 
頭デッカチだし、全体的にガサガサしててブサイクだ。まあ、ブサイクの魚の方が美味いとは言うけどね。
そう云えば、ウルトラ怪獣のガラモンのモチーフは、コヤツだと聞いた事があるぞ。

 
【ガラモン】

(出典『MEDICOM TOYY』)

 
確かに似てるっちゃ、似てるな。
顔デカいし、唇は分厚くて口角は下がってる。色的にも似てる。

ところで、ガラモンとピグモンはどう違うんだっけ❓
設定的にはガラモンの方がデカかったと思うんだけど、それ以外はワカラン。まあ、所詮は『ウルトラQ』で使ったガラモンの着ぐるみを改造して『ウルトラマン』に登場させたのがピグモンなんだろうけどさ。

スマン、話が逸れた。本文に戻る。
ガシラといえば、締まりの良い白身で脂がのっていて旨い魚だ。クセも無いから、和洋中華ともに様々な料理に使われるといったイメージがある。和食では鍋料理・潮汁・味噌汁といった汁ものや刺身、煮付け、小振りならば唐揚げにされる。また、洋であればブイヤベースやアクアパッツァなどによく使われる魚だ。中華は、あまりイメージがないが、唐揚げの甘酢餡かけとか清蒸(チンジョン)といった辺りかな。

先ずブイヤベースやアクアパッツァは他の具材もいっぱい必要になってくるし、仕込みも邪魔くさい。それに良い出汁が出るまで時間が掛かりそうなのでパス。
鍋も同じ理由で除外。潮汁や味噌汁も似たようなものだ。鮮度的に刺身は無理だし、唐揚げにするにはデカ過ぎる。
中華餡掛けも揚物だし、甘酢なんて甘いもんは酒呑みには言語道断だ。
となると、残るは煮付けか清蒸だ。でも、煮付けも甘酢餡ほどではないにせよ、甘めの味付けだよな…。
とはいうものの、ワタクシ、けっして煮付けが嫌いなワケではない。甘過ぎる煮付けは苦手なだけだ。まあ、甘くしなければいいだけの事なんだけどね。なれば、ここはやっぱ定番の煮付けかな。
しかし、ここで重大な事に気づく。青山椒を切らしているのだ。毎年、山椒の青い実を山で採るか、買うかして冷凍庫に保存しているのだが、今は切らしていて無いのだ。それだとワシの理想の煮付けは作れない。青山椒を入れると、魚の臭みがとれ、味も格段に良くなるのだ。

ハイハイ、自動的にメニューが決まりましたなあ。
但し、清蒸といっても蒸し器とか使って本格的にやるつもりはない。こっちとしては、一刻も早く酒を呑みたいのだ。チンタラやってる暇はない。お手軽清蒸でいく。

それではササッと作っちゃいましょう。

①先ずは魚の裏表に塩を振り、傾けた状態で30分おく。
これは魚の臭みを取るためである。塩を振って暫くおくと、浸透圧の関係で臭み成分が液体となって外に出てくるのだ。傾けるのは、その臭み汁が魚に付かないようにする為である。

ここで、『アンタさっき、一刻も早く酒呑みたいからチンタラやってる暇はないと言ったばかりじゃないか❗』などとソッコーでツッコミが入りそうだけど、御安心めされ。既に、この工程は何の料理にするかグジグジ思い悩んでいる間に済ませておるのじゃ。つまり、何の料理にするにせよ、この臭み抜きは必須工程なんである。
(ΦωΦ)フフフ…、その辺は抜かりがないのだよ、明智くん。

②30分後に水で洗い流し、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
でもって皿に乗せ、顆粒の昆布だしをちょっとだけかける。出来れば、昆布を下に敷いた方がいいのだが、あいにく昆布も切らしていたのだ。更にそこに上から酒をオラオラじゃなくて、優しくブッかけて軽く塩を振る。

③あとはラップしてレンジでチンするだけだ。
自分は一度、オートでチンして、もう1回オートでチンするのが基本だけど、熱の入り具合で3回チンする事もある。但し、3回目は様子を見ながら、テキトーなところで止める事も多い。

④その間に素早く白ネギを切って、白髪ネギを作る。
頃合いをみて、フライパンに胡麻油を入れて火にかける。量はお好みだが、ややたっぷりめが宜しかろう。

⑤ラップを取り、白髪ネギを盛る。その上から煙が出るまでチンチンに熱した胡麻油をエイヤ❗とかける。リビドー全開。この瞬間がゾクゾクするくらい気持ちいい。ジュッとかジャッとか心地良い音がした後に、辺り一面に胡麻油とネギの香りが立ち込める。
う〜ん、トレビアーン(☆▽☆)❗

思わず、フランスの古城でワシのモトクロス用のライディングスーツを見たフランス人の紳士に『OHー、トレビアーン❗』と言われたのを思い出したよ。そういえば、別な観光地でも『OHー、サムラーイ❗』と言われたっけ…。
そんな事は、どうでもよろし。ハイハイ、出来上がりましたよーん\(^o^)/

 

 
魚料理って、頭が左側にすることが決まりだというのを思い出して、ひっくり返す。

 

 
あれっ?、これだと頭の上下が逆さまになるじゃないか。
考えてみれば半身なんだから、それも当たり前か…。
そんな事は、どうでもよろし。
早速、食べてみる。
WAOっ❗❗、身がブリンブリンやないの。そして、上品な旨味と甘みが後から追いかけてくる。小さいガシラとは味の趣きが全然違うじゃないか。美味いねぇ〜(≧▽≦)
途中、飽きたら醤油をかけても美味いよ〜ん。
これで約300円って、激安やな。やっぱ、食材チャレンジャーいがは偉いよ。嬉しいから、もう自画自賛なのだ。

残った汁があまりにも旨くて、捨てれなかった。ガシラは骨からメチャメチャ良い出汁が出るのである。なワケで、それをベースにスープを作った。味付けは塩ベースに、ちょっとだけ醤油である。
これまた美味だったので、ラーメンを作ることにした。

 

 
具はネギとモヤシ、温泉卵のみ。ガシラのスープを生かしたかったので、シンプルにしたのだ。
おっと忘れてた。麺はいつものマイ・フェバリットの『マルちゃんの極太中華麺』です。

 

 
(≧▽≦)んニャロメー❗
上品だが、強い旨味と胡麻油のコクがあって、メチャメチャ美味いやんけー。ガシラの出汁、恐るべしである。
これでラーメン屋したら、流行るでぇ〜。
でも、こんなラーメン、一日3杯しか出せへんでぇ〜。
店、ソッコーで潰れるでぇ〜。あんじょう殺したってやぁ〜。

 
                        おしまい

  
追伸
カサゴの旬はいつなのか調べてみると、色んな説があった。
基本は秋から初春が旬という声が多かったが、春や初夏から冬という説もあったりして、ようワカランところがある。
普通の魚の旬は、産卵前だと言われている。その頃が栄養を体にたくさん蓄えているので一番美味しいというワケだ。
更に調べて驚いたのは、カサゴは産卵で子孫を残す魚ではなく、体内受精で稚魚を産むという。秋に交尾したメスは1~3ヶ月後くらいに数万尾の稚魚を産むらしい。ということは、やっぱり旬は冬かな。
でも季節を問わずに、年間を通じてあまり味が落ちないという説もあった。まあ、美味かったから別にいいんだけどね。
いや、とゆう事は冬とかだったら、これよりもっと美味いって事か…。
冬に売ってたら、半額でなくとも買いだね。