ちょっと前の話と去年の暮れの話。
しかも去年の暮れというのは、🎄クリスマスイヴだった。
イヴ用の料理は既に仕込みが終わっていたが、白ワインかシャンパンだかを買いに行った。その帰りに、何となく『スーパー玉出』に寄ったら、コレが目に入った。
見慣れぬ結構デカい魚が半身で売っていた。
長崎産で価格は驚きの480円。しかも刺身用のシールが貼ってある。この量で、この値段は激安だろう。
でも名前を見て、首を傾げる。
キツネカツオ❓おまえ、誰や❓
である。全く聞いたことのない魚名だったのだ。
「カツオ」と名がついているからには、カツオの仲間であることは想像がつくが、そんな種類のカツオっていたっけか❓
それに、身の色はカツオみたいに赤くない。どちらかと云うとサワラに近いものがある。そこが怪しい。
だいたいキツネと云う名前が、そもそも怪しいじゃないか。キツネといえば、化かすというイメージがある。見た目はカツオと似ているが、食べてみたら全然カツオとは似ても似つかない糞マズ魚だったんで、騙されたと思った人が「キツネカツオ」と呼んだんじゃないのか❓
また、カツオと名はつくが、全く関係のない別グループの魚やもしれぬ。謂わばパチモン、偽物って可能性も充分ありうる。漁業の流通業界は信用おけないところがある。売らんが為に奴ら、深海魚や淡水魚に平気で何とかダイ(鯛)だの、銀タラ、銀ムツとかの嘘の名前をつけるのだ。謂わば、擬装が罷り通っている業界なのである。売ってるところが、またスーパー玉出というのも、ちょっと胡散臭い。よく利用はしているが、100%信用できないところがあるのだ。
あれこれ考えても仕様がないので、すかさずその場でググる。
したら、一発で出てきたよ。便利な世の中になったものだ。
それによると、キツネカツオとはハガツオの別名らしい。
なあ~んだ。ハガツオなら知ってるよ。でも、あんまし食べたことがないよな。暫し記憶を反芻する。
💡おっ、そうだ。4、5年前に対馬で食った事あるわ。メチャメチャ美味かったような記憶があるが、おぼろだ。対馬ではツマアカスズメバチにボッコボッコに刺されたし、他にもロクでもない思い出ばかりだったので、脳が記憶を消したがっているのだろう。
だから記憶違いの可能性もあるが、損しても480円だ。マズかったら、焼いてマヨネーズとか塗りたくっとけば何とか食えるだろう。ならば、ここは断然買いだろう。
取り敢えず半分に切って金串を打ち、皮目をガス火で直接焼いてやった。カツオの仲間なんだから、タタキにすりゃいいだろうと云う極めて安易な発想からである。
薬味は青ネギ、山葵、おろしニンニク。
先ずは、塩のみで食う。
( ☆∀☆)しょえー、バキ美味いやんけ❗❗❗
脂が乗ってて、旨みが強く、鼻から香ばしい香りが抜ける。ねっとりとした歯触りもよろしい。
味わいはカツオとサワラの中間的と言ったら、伝わり易いかもしれない。だけど、どっちかというとサワラ寄りかな。
醤油でも試してみたが、圧倒的に塩を推す。そっちの方がハガツオ本来の味を、よりダイレクトに堪能できるからだ。薬味も無くてもいいくらいだ。飽きたら、たまに使う程度でいい。
残り半分は、闇の食糧庫に眠っていたこんなもんをつい使ってしまった。
日本製粉のオーマイブランドのカルパッチョの素だ。
賞味期限は過ぎているけど、勿体ないから使用。
フリーズドライのトマト、ブラックペッパー、ディルなどが入っているような事が書いてある。
かけて食ってみた。
白ワインヴィネガーの風味がするな。
ても味は悪くないのだが、良くもない。さっきの塩のみと比べれば、ゴテゴテと味をつけたのに失敗してるって感じだ。素材の味を完全に殺しとる。
思うに、カルパッチョって、良い魚でする必要性があんのかな?何か勿体ない気がする。カルパッチョは、くたびれた魚や元々味があまり良くない魚を美味しくするためのテクニックじゃなかろうか❓
とにかく、これはダメ。何とかせねばならない。
オリーブオイルをブッかけて、イタリアンパセリをふんだんに散らしてやった。
まあまあかな。少しはマシになったような気がする。
とはいえ、ハガツオの良さは完全に消えている。
ん~、( ´△`)勿体ないことしたよ。
それはさておき、キツネカツオ(ハガツオ)くんの事が気になってきた。アンタ、誰?とか言った手前、知っておかねばなるまい。
ハガツオはスズキ目サバ科ハガツオ属に分類され、体長1m前後になる。
(出展『つりまる』)
カツオは勿論だが、サバにも似てるかも。
(出展『つりまる』)
歯は鋭く、顔は厳(いか)つい。
ははあーん。名前の由来はここら辺りだな。
(出展『旬の食材百科』)
Wikipediaによると、カツオに似ているが鋭い歯を持つことからハガツオ(歯鰹)と名付けられたようだ。
ドンピシャだ。まあ、それくらいは誰でも想像つくだろうから、自慢するほどの事じゃないけどさ。
とにかく歯が鋭いわ。下手に触れたら、スパッといきそうだ。歯が小さくて目立たないサバ科の中にあって、特異な存在だな。
また細長い顔つきから「キツネガツオ」とも呼ばれるんだって。コレまた納得じゃな。
それはそうと、パッケージには「キツネカツオ」とあったが、本当は「キツネガツオ」と濁るんだね。そっちの方が言い易いから、コレまた納得。
他に、背に幾筋も縦筋が入っていることから「スジカツオ」とも呼ばれている。また、関東では「トウサン」「トウザン」「ボウサン」などとも呼ばれているとある。
古くはキツネガツオ(狐鰹)が標準和名だったそうな。ハガツオは三重県、和歌山県の関西方面、長崎、静岡、高知県などでの呼び名みたい。けど、関西でも市場で見たことは一度ないぞ。
続きを読んだら、その理由も解った。
日本列島をはじめ、西太平洋・インド洋に広く生息している。回遊魚で、日本の沿岸で漁獲される時期は初夏から秋にかけてで、盛期は8月から10月。沢山穫れる時期という意味での旬は夏と言えるが、秋から晩秋にかけては身に脂がのり、味の点からすれば、その時期が旬と言える。
しかし、サバ科のなかでは漁獲量が少なく、この魚を目的とした漁は殆んど行われておらず、カツオやサバなどに混じって漁獲される。安定的に獲れないので知名度が低く、産地などでは味の良さから好んで食べられているが、消費地では知られていない魚でもある。
他のサイトでも調べてみた。幾つかのサイトを総合すると、こないな感じになる。
「旬は脂の乗る秋から冬だが、年間を通して味がいい。
鱗は無く、皮は薄く弱い。骨も軟らかい。赤みは弱く、熱を通すと硬く締まるが、カツオほどではない。卵巣も美味。だが、何といっても生食が一番美味。鮮度が良いハガツオの刺身はカツオ特有の鉄臭さが無くて旨みもあり、魚類中、最上級クラスの味である。
とはいえ、ハガツオは鮮度落ちが非常に早く、水揚げされてから翌日辺りまでしか美味しく食べられないとさえ言われている。」
かなりの高評価じゃねぇか。かえすがえすも、カルパッチョなんかにするんじゃなかったよ。激しく後悔したね。
今年に入ってからの2月11日、再びスーパー玉出で御対面あいまった。まさか、また会えるとは思っていなかったよ(´ω`)
今度は580円と、前よりも百円高い。
けど、それでもこの量なんだから安い。それに前回の失敗カルパッチョのリベンジもしたいところだ。迷わずに買う。
今回も金串に刺して、ガス火で直かに皮目を炙る。
でもって、塩のみで食う。
【ハガツオのタタキ】
相変わらず、バリうまー( ☆∀☆)
マジ、美味い。
画像には無いが、スダチを軽く搾っても美味かった。
【ハガツオの辛子醤油】
包丁で切ると、腹の周辺がバラバラになりよった。
ハガツオは身割れしやすいのだ。そう云う意味でも、カツオよかサワラに近いのではないかと思う。
それを適当に盛って、芥子醤油で食った。
サバは芥子醤油と相性がいいので、ハガツオにも合うと思ったのだ。
正解d=(^o^)=b。合うね。山葵よか、全然合うかもしんない。
【〆ハガツオ】
鯖寿司ならぬ、ハガツオ寿司を作ろうと思った。
ハガツオにたっぷりと砂糖をまぶす。えっ、砂糖?普通は塩締めでしょうよ。と思う人は多いだろうが、御心配なく。鯖寿司を作る時でもそうなんだけど、砂糖の方が仕上がりがいい。因みに、全く甘くはならないという一言も添えておこう。
皿を傾けて1時間程おくと、ピンク色の液体が下に溜まってくる。これが生臭みの素なので、本体に触れないようにして捨てて、流水で洗う。してからに、キッチンペーパーで水気を拭き、酢で〆る。酢が回り過ぎるのは嫌なので、15分程で上げる(途中で一度裏返してね)。それをラップして、数時間おく。アニサキスが恐い人は、これを冷凍庫にブチ込みなはれ。死によるで。
味が落ちるので、自分はしないけどさ。
量があるので、棒寿司にする前に少し食べてみることにした。それが上の写真である。
d=(^o^)=bいいね。
酢で〆た分、角が少しとれて、飽きのこない味になった。これはこれで刺身とはまた違う良さがあって美味い。
【ハガツオの棒寿司】
〆たハガツオの中骨を抜き、腹側の骨も取り除く。してからに酢飯と合体させて、昆布を乗せる。それをラップして、巻き簾で巻いた。ほいでもって、一晩冷蔵庫で寝かす。
分厚めに切る。
鯖寿司でもそうなんだけど、棒寿司は分厚めに切った方が旨いのだ。
大皿に盛って、南天なんかを飾ろうかと思ったが、近所の公園に取りにいくのか面倒でパス。ふた切れだけを皿に盛る。酔っ払ってるので、飾りは一切なし。
醤油をちょいとつけて食う。
(о´∀`о)どんだけ美味いねん。
【ハガツオの鉢寿司】
翌日に冷蔵庫から出したら、酔っ払ってたせいかラップが外れてて、酢飯が乾いていた。パッサパサのボッロボロである。
なので、飯部分をバラして酒を振りかけてレンチン。冷ましてから、古伊万里に盛る。その上にハガツオを切って乗せ、貝割れ大根と胡麻を散らした。
肉厚感はないが、コレはコレで美味い。結構な量があったが、全部食っちまったべよ。
今思うと、酢飯に刻んだガリを混ぜ込めば、もっと美味くなってたかもしれん。
【ハガツオの昆布締め】
それでもまだ少しだけハガツオが残った。
で、昆布に巻いて一晩寝かした。
コレまた少し味わいが違う。より昆布の旨みが移って酒の肴には打ってつけだ。
ハガツオは傷みが早い魚だと云うけれど、酢で締めたり、昆布締めにしたら、意外ともつもんだね。
ハガツオを食べる機会は中々ないかもしれないけど、出会ったら是非食べて戴きたい。まだ、季節的には出回る可能性はあると思うよ。
おしまい