三日月の女神・紫檀の魁偉~泥濘編

思えば、去年シンジュサンには振り回された。
普通種だとナメてかかってたけど、連敗に次ぐ連敗で、ボコられたんだよなあ…。

 
5月22日、最初は生駒山地南端の信貴山に行った。

 

 
オオシモフリスズメの記録が多いし、有名なお寺に灯火があると睨んだからだ。
しかし、その殆んどは L.E.D.に替わっていた。

 

 
山頂部に僅かに残る蛍光灯で待つが全然ダメだった。
それで思い出したんだけど、この日は日没後しばらくしてフランス人のオバチャンが登ってきて、網を持ってるオラに英語で『何してるの❓』と尋ねてきた。

 

 
アンタこそ、こんな時間に何してんの❓と思いつつも、素直に『蛾を探してます。』と答えたら、『トレビア~ーン💮』と言われたのだった。
暫し会話して、最後に一緒に記念撮影を求められてパシャ&バイバイ👋。何だかよくワカンなかったけど楽しかったよ。それにしても、フランス人は、オバチャンでもスタイルいいよなあ。所詮、東洋人はネオテニーなのさ。

そういえば若い頃にユーラシア大陸をバイクで横断した時にも、フランス人に同じセリフを言われたっけ…。
たぶんフランスのロワール地方の古城だったと思う。

『OHー、サムラーイ( ☆∀☆)❗トリビア~ン❗』

古城内にベルナール・ビュッフェの小規模なギャラリーがあって、そこで太ったオッサンに目を丸くして言われたのだった。
当時はモトクロス用のプロテクターを着ていたので、それが戦国武将の甲冑にでも見えたのだろう。
一応、笑いながら『この無礼者がっ!』と言ってやった。日本語だから意味なんぞ解るワケがないのだ。
旅では、その後も何度かフランス人にトレビアーンと言われた。エアでバッサリ斬ってやったこともあった。もちろんフランス人は関西人ではないので、『ぎゃあ~。』とか言ってその場で倒れてはくれない。ゆえに、すかさず『It was only joking.』とフォローせねばならないのは言うまでもない。
まあ、フランス人にトレビアンと言われた日本人はそうはいないと思うよ

10時過ぎまで粘ったが、時間の無駄だった。当然、帰りのバスは既に無く、三郷駅まで歩かざるおえなかった。長い坂道を終電に間に合うよう足早に歩く。
駅まであと少しといったところで、コンビニの駐車場の強烈なライトに大きな影が舞った。
ぬおっ( ̄□||||❗❗、一瞬、目に入ったその形は、メモリーされているシンジュサン特有の鉤状に出っ張った羽先に見えた。
Ψ( ̄∇ ̄)Ψおほほのほ、さすが引きの強いオレ様だい。毎度の事ながら、最後の最後にチャンスが舞い降りてきたぜ(^o^)v
強く願う心と諦めないハートを持ち続ける者だけに、神様は幸運をプレゼントしてくれるのだ。
でもコンビニに行くには目の前の道路を横断しなければならない。しかし、タイミングの悪いことに右手から車が近づいてきていて、渡りたくとも渡れない。ざわつく心で車の通過を待って、軽くダッシュ💨する。全速力ではなかったのは、余裕のヨッちゃん、どこかでもう採ったも同然の気分になっていたからだ。ドラマチックなフィナーレを想像して、おっちゃん、ヘラヘラ笑いになっていたのである。

(・。・;あれっ❓……。
しかし、いる筈のシンジュサンの姿がない。そこには、ただ強烈な光だけが在った。そう、跡形もなく忽然と消えていたのだ。慌てて周囲を見渡す。だが、やはり飛んでいる姿はどこにも無い。目を切ったのは5秒くらいだ。狐に摘ままれた気分で呆然とその場に立ち尽くす。
願望が強過ぎて幻覚でも見たのだろうか❓バカな…。にしてはリアルすぎる。

暫く此処で待とうか…。
咄嗟に腕時計に目をやると、終電の時刻が迫っていた。5分くらいは余裕があるかもしれないが、初めて来る土地だ、何があるかワカラナイ。少しでも道を間違えたら、乗り遅れかねない。ギリは避けたい。
漆黒の夜空を恨めしげに見上げる。大きな溜め息を一つ吐(つ)き、駅へと歩き出した。

惨敗だったが、でもこの時はまだ心に余裕があって、そのうち楽勝で採れると思ってた。

 
翌23日、再び三郷のコンビニを訪れた。リベンジである。しかし、天気予報に裏切られて、着いて間もなく雨が落ちてきた。小雨の中、周囲を探索するも、クソ蛾すらいなくて、リベンジどころか返り討ちの憂き目にあう。

 
5月27日は知り合いの姉さんと京都に蛍を見に行った。ついでにちょっとだけ探したが、見つからず。

 

 
おまけに蛍も見れず、晩飯を食って帰った。
ぽろぽろ( ;∀;)、何でおらんのん❓

 
5月29日は矢田丘陵方面に行ったが、見ず。
食樹のクロガネモチがギョーサン有るのに、気持ち悪いエダシャクしかおらん。(=`ェ´=)死ねや、ワレ。

 

 
何でやねん❗❓(/´△`\)
次第に焦燥に駆られる。

  
6月1日には八尾市楽音寺の大阪経済法科大学に行った。
ついでにウラジロミドリシジミの様子も見てやろうと云う算段である。
🚲キコキコキコキコー。しかも、ママちゃりで。バリ、遠かったよ。

 
【ウラジロミドリシジミ ♂】
(2013.6.10 東大阪市枚岡公園)

(2014.6.2 兵庫県猪名川町上阿古谷)

  
しかし、なぜか夕暮れになってもウラジロミドリは姿を見せなかった。
フライング❓でも今年は発生が早いと聞いていたのになあ…。

 

 
ミズイロオナガシジミしかおらず、手乗りさせて遊んでいるうちに日が暮れた。

 
【ミズイロオナガシジミ】

 
青のグラディエーションが美しい黄昏だった。
この時間帯の空が一番好きだ。心がスゥーッと落ち着く。

 

 
しかし、照明は全部 L.E.D.で、お話にもならなかった。成果、ゼロやんけ(ー。ー#)

 
6月3日は京都・南禅寺界隈に行った。そこにシンジュサンの食樹の一つであるカラスザンショウが沢山生えていると云う情報を得たからだ。
また、ここは佳蝶キマダラルリツバメの有名産地でもある。久し振りにキマルリにも会いたいし、上手くいけば一石二鳥だ。キマルリも採れて大団円で凱旋ってな展開を密かに思い描いていた。

 
【キマダラルリツバメ】

(裏面)
(2016.6.18 兵庫県神鍋高原)

 
けんど、又しても惨敗(ToT)
なぜかキマルリも1頭も飛んで来なかった。

 

 
この日も美しい黄昏だけが慰めだった。

これで5連敗だ。真剣には探してない蛍の時も入れれば6連敗である。虫採りで5連敗もしたのは、いまだかつてキリシマミドリシジミだけしかいない。まさかシンジュサンで再び喰らうとは夢にも思わなかった。
シンジュサンって、本当に普通種かよ❓もしかして、昔、普通種。今は激減してて絶滅危惧種とかじゃねえだろうなー。
悔しいやら情けないやらで、なんか半泣きになってきたよ。

今回で、蛾の採集は蝶よりも難しいと痛感した。
蝶と比べて蛾の情報量は圧倒的に少ないし、昼間飛ぶ蛾以外は飛んでいるのを見つけるのは至難だ。当たり前だが、夜は暗いのだ。だから、見つけるには灯火に飛来したものを探すか、花や樹液で待ち伏せするしかない。されど今は照明の殆んどが、L.E.D.に替わってしまっている。昆虫は紫外線の多い水銀灯や蛍光灯にしか寄ってこないのだ。L.E.D.はああ見えて紫外線量が少ないのだ。蛾を忌み嫌っている頃は有り難かったけど、まさか蛾を採る事になろうとはなあ…。青天の霹靂だよ。
また、花や樹液での採集はシンジュサンには無効だ。彼らは口が退化しており、食物を摂らないのだ。

シンジュサンどころか、ウラジロミドリやキマルリにもフラれ、挙げ句に蛍まで見れないなんて酷すぎる。
憂鬱だ。暗憺たる気分になってくる。
けれど、逃げるワケにはいかない。そんなもんはオラのプライドが許さないのだ。心を硬質化させ、いよいよ背水の陣で臨まねばならぬ。
帰り道、ヒロユキは死ね死ね団の歌を口ずさみながらママちゃりを漕ぎ漕ぎ、強くリベンジを誓ったのであった。
ゼッテー、シバく(*`Д´)ノ❗❗
 
 
                   つづく

 
追伸
2回で終わる筈だったが、終わらん。
原因は最初にメインの後半を書いてから、前半部に取り掛かったからだ。ようするに、前半が思いの外に長くなったので力尽きたのだ。
長い間ソリッドな文章を書いていないので、書けなくなっている。実を言うと、文章は短い方が書くのが難しい。長々とウダウダしか書けないのは、才能の無い証拠なんである。

えー、そう云うワケで、次回は必ずや完結させまする。