夏が来る

 
先週の月曜日、たまたま『なるみ・岡村の過ぎるTV』(7月10日放送分)を見ていたら、「夏の名曲といえば?」と題して、最初に思い浮かべる曲の街頭アンケートというのをやっていた。
10~20代、30~40代、50代以上の各年代のベスト5を紹介してたんだけど、細かい順位は忘れた。
とにかく10~20代の1位は、湘南乃風の『睡蓮花』だった(ふ~ん、なるほどね)。
次の50代以上の1位は、予想通りのTUBE『シーズン・イン・ザ・サン』(50代以上というのはザックリ過ぎるけど、50代ならば確実に鉄板な曲でしょう)。
そして、最後に30~40代の発表。ここで何となく大黒摩季の『夏が来る』辺りが入ってくるのかなあと思った。だが、予想に反してベスト5にも入っていなかった。
因みに1位はサザンの『真夏の果実』だった。
そういえばユーミンの『真夏の夜の夢』も入っていなかったなあ…。ユーミンにしろ大黒摩季にしろ、40~50代括(くく)りにしないと挙ってこないのかもしれない。

まあいい。人には人それぞれの思い出の曲があるのだ。別に順位なんて関係ない。

大黒摩季の『夏が来る』を聞くと、サイパン時代を思い出す。
まだダイビングインストラクターの見習いをしていた頃は、よく新ちゃんのアシスタントについていたっけ。
新ちゃんは本当は新太郎と云う名で、実家は三宅島のダイビングショップだった。だから、幼少の頃から潜っていたと云うもうダイビングの申し子みたいな子だった。
勘が鋭くて、時々打合せしていたコースとは全然違うコースを選ぶんだけど、彼が泳ぐ先には巨大な一匹狼のバラクーダ(オオオニカマス)とか、まるで戦艦みたいに鎮座するモヨウフグとか、ステルス戦闘機みたいなバカでかいマダラトビエイ等々の大概は大物がいて、よく驚かされたものである。
新ちゃん曰く、海に入って泳ぎだした時にビビッと来るそうである。天才だなと思った。
だが、今では蝶採りの時にたま~にそういう時があるから、そういうのって解らないでもない。言葉で説明するのは難しいんだけど、ようするに野生の勘みたいなもんだね。何となく何か特別な奴がいると感じるのだ。

その新ちゃんが、ファンダイブでオブジャンビーチに向かう時によくこの曲をかけていた。
オブジャンビーチに向かう道は、突然眼下に青い海と空がガアーンと広がる。その時に限ってナゼかこの曲がよくかかったんだけど、もう『夏ぅー❗❗』って感じで最高な気分だった。アップテンポだし、気持ちがメチャンコ盛り上がるのだ。
そういえば、たま~に客が多すぎてダットラ(ダットサン)の荷台に乗せられた事があったなあ…。
仰向けに寝そべって空を眺めながら、この曲を聞いていると『嗚呼、オレって今南国にいるんだよなあ…。夏って最高だなあ。』とよく思ったもんである。
今思えば、とっても幸せな時代だった。

一応、YouTubeの動画を貼っておきます。
青いとこ、クリックです。

夏が来る 大黒摩季

ライブ版より、オリジナル版の方がシックリくるんだけどなあ…。でも、ナゼか貼り付け失敗。
オリジナルが気になる人は、自分で探してみてね。

どこかちよっとバブリーな時代の残り香がする歌詞はコチラ。

あれれ?、ナゼかコレもリンクが貼れないや。
これも申し訳ないけど、気になる人は自分で探してみて。

 
【オブジャンビーチ】
(出典『マリアナ政府観光局』)

サイパンのダイビングポイントといえばグロットだけど、自分が一番好きだったのはオブジャンビーチだった。
ここのポイントはリップカレントと云う特殊な地形で、エントリーもエキジットも波に流され易くて結構緊張感があった。それが程好い刺激になってていい。
もっとも、荒れてる時は客連れてるとマジ怖いんだけどさ。

【オブジャンビーチ・ポイントマップ】
(出典『MSCサイパン』)

奥に進むと白い砂が広がっているから、海がより青く見える。

(出典『Pop photos』)

で、そこにガーデンイール(チンアナゴ)が一杯いて、ゴーゴンとかメデューサの髪みたいにゆらゆらと妖し気に揺らいでいる。それはちよっと不思議な光景で、幻想的と言えなくもない。

そういえばガイドの時はよくダイビング後のレクチャーで、お客さんに『アレは全て地面の下で繋がってて、実を言うと一匹のガーデンイールなのだー。』とかアホみたいな冗談を言ってたなあ…。

【オブジャンビーチのガーデンイール】
OLYMPUS DIGITAL CAMERA/caption

記憶は数珠繋ぎに溢れてくる。
アシスタントの時で海が穏やかな日は、水面近く1~2mの水深でよくホバリングしてたっけ…。
縦に浮き、体の力を一切抜いてぼおーっと海の青を見ていた。その水深が最も海が綺麗に見えるのだ。
それはとてもとても美しい蒼のグラディエーションで、限りなく透明に近いブルーというのはああゆうブルーの事なんじゃないかなと思う。
自分の呼吸音だけが静かに聞こえてて、まるで違う惑星にいるかのようだった。

どれもが懐かしい思い出だ。
またいつかサイパンで潜りたいなと思う。

 
                  おしまい

 
追伸
そういえば、後に相棒の奥さんになる人にこの曲をダビングして貰ったんだっけ…。
多分あのテープ、探せばどっかにある筈。
探してみよっかなあ…。何かオリジナル版をあのテープで聞きたいなあ。

さあ、大好きな夏も半ばを過ぎた。
夏を満喫しなきゃ、損、損。

『西へ西へ、南へ南へ』21 魚体模型の夜

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-09-03 16:33:19

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

 (第十六番札所1/2分の1・魚体模型の夜)

 
船に乗れなくて恥ずかしかったが、脇田丸へ。
当然、竹さんに笑われる。

今日は久々に魚が並んだ。台風が去ったせいで漁があったのだろう。
ブダイ2種類とシイラ、チカメキントキ、ゴマモンガラ。

お薦めは、シイラだった。
ならばと、まずはシイラの刺身(390円)から始める。
ハワイ等ではマヒマヒと呼ばれる高級魚だが、正直シイラにはあまり良い印象はない。
だが、またやられた。概念を覆された。
芥子醤油で食べるのだが、そこそこ脂も乗っており、美味い。塩だけだと(わざわざ頼んだ)、より魚のクオリティが解る。旨い。
でも、飛びっきり新鮮でないと旨い魚ではないのかもしれない。

チカメキントキの煮付け(?円、メニューに表示なし)

旨いんだが、ハーシビ(トガリエビス)には全然及ばないと思う。でも、そんじょそこらの煮付けよか旨い。好みが別れるところだが、身がちよっと固いかなあ。

ゴマモンガラも前に並んでいた。
この魚、自分は密かに海の狂人と呼んでいる。
下手すれば、鮫より凶暴な魚だ。特に産卵期は怖い。勝手に寄ってきて、いちゃもんをつける魚界のチンピラなのだ。
ダイビングインストラクター時代、同僚が何にもしてないのにレギュレーターホースを食いちぎられたことがある。それくらい凶暴で歯が鋭いのだろう。
眼も三白眼で、シャブ中の目つきみたいで完全にオカシイ。イっちやってるって感じなのだ。
飛び出た目玉がギロンギロンと180度に回るのだが、左右あさっての方向にハラバラに動くので、何処を見ているのかがサッパリわからない。岩に横たわってそれをやってたりするとこも異様。加えて、泳ぎも真っ直ぐ泳げないヤク中狂人然のフラフラだから、とっても不気味。
そういえば初心者の講習中に生徒の背後に現れて暫く浮いていた事があったっけ…。あん時は、マジで気が気でなかったなあ。
そのうち立ち去って、結局何も起こらなかったけど肝を冷やしました。

(竹さんとゴマモンガラ)

竹さんに訊くと刺身か鍋で食べるらしい。
話の種に頼もうかとも思ったが、竹さんの顔を見てやめた。突っ込んで訊いてみると、矢張り癖が強くてあまり美味くないらしい。
よく虎魚(おこぜ)や鮟鱇(アンコウ)など醜悪な魚の方が美味いと言われるが、どうやらコヤツには当てはまらないようだ。

結局、誰も頼む客も無く、皮を剥がされ、憐れ魚体模型のような気持ちの悪い姿になった。

理科室にあった人体模型、あれの魚版ってとこだね。
目の上下に付け睫(まつ毛)みたいな模様があり、これがより一層、奇怪さと滑稽さを増幅させている。
キミ、完全にホラーだよ( ̄▽ ̄;)

今日の支払いは、2160円でした。

                       つづく

(subject 写真解説)

【チカメキントキとシイラ】
左チカメキントキ、右シイラ。
チカメキントキは、分類学的には金目鯛やトガリエビスとかに近いんだと思う。
こんだけ目が大きいとゆうことは、暗闇で僅かな光でも餌をキヤッチする為だと見受けられる。多分、夜間に活発に活動する魚ではないだろうか?それとも普段は深海にいるのかな?
そういえば、サイパンのグロットでナイトダイビングした時にコヤツらの眼が暗闇に光ってて、ものすご~く気味悪かったんだよね。
まだ新人の頃で、エキジットポイント(水中)で一人で番をさせられてたんだけど、突然闇の中に幾つもの青緑色の光が浮かび上がり、蠢(うごめ)きだした。
近くには、戦争で沢山の人が身投げしたバンザイクリフ(註1)ってのもあるし、サイパンの海には沢山の英霊たちが眠っているのだ。
だから、出たと思った。その鬼火かと思い、めちゃんこ怖かった。
しかし、あとで先輩にそんな戯言(たわごと)を話したら、バカにされそうだ。だから、勇気を振り絞って確認に行ったら、コイツらの群れだったと云うワケである。どれほどホッとした事か。

シイラは釣った事はありませぬが、スポーツフィッシングとしては釣り味があって、かなり面白いらしい。そして、釣り上げられた直後がとても美しいとゆうことだ。
魚でも蝶でも、間近に見るまだ生きている時の姿が一番美しい。特に魚は死んでしまえば消えてしまう色が沢山ある。水中で見る色とは全然違ってたりするのだ。魚屋に並ぶ魚の色は皆んな本来の色ではない。
蝶にせよ魚にせよ、フィールドに出て間近に対峙したものだけがそれを知っている。

因みにシイラは『魚暑』と書きます。
二文字ではなく魚偏に暑いです。変換で出て来なかったから仕方がないのだ。
それにしても魚偏に暑いって、昔の人は偉いね。実際夏が旬の魚で、暑い昼日中に釣れると云うイメージがあるもんね。

【竹さんとゴマモンガラ】
竹さん、精悍です。男の中の男って感じです。

ゴマモンガラ、やっぱ迫力ありますな。
多分、これは中くらいの奴でもっとデカくなるんじゃないのかな?

【魚体模型と化したゴマモンガラ】
完全に脱がされましたな。
この写メでは残念ながら気色の悪い付け睫みたいなのが上手く撮れてませんね。

追伸
前回もそうだったけど、今回もオリジナルにかなり訂正加筆をほどこした。そうすると、全体の細かい所にも手を入れなくてはいけなくなる。だから、結構時間が掛かっているのである。
因みに今回の「魚体模型の夜」というタイトルは、中島らもの小説『人体模型の夜』がモチーフとなっております。

(註1)バンザイクリフ
(出典『wikipedia』)

太平洋戦争中、追い詰められた日本兵や民間人たちがアメリカ軍の投降勧告に応じず、この崖から『大日本帝国万歳!』、『天皇陛下、万歳!』と言って両手を上げながら次々と飛び降りた事からこの名がついたそうな。その数は一万人とも言われていて、青い海が血で真っ赤に染まったという。
サイパンは太平洋戦争時の激戦地で、多くの日本兵が命を落としたといわれる。その数、五万。

この場所はダイビングスポットとしても有名で、透明度が半端じゃなく、とても青い。
但し、潮の流れがムチャクチャ速くて、かなりの上級者じゃないと潜れない。潜れる時期も限られていたような記憶がある。春だっけ?初夏だっけ?
ここはまた大物も多く、タイガーシャークがウミガメを追いかけ回しておりましたな。

今、思い出したんだけど、台風の時はよく此処に行ったもんだった。荒れ狂う波が崖に激しくぶつかって、崖の上まで波しぶきが上がり、💥爆発したように崩れるのである。
あれって物凄く迫力あったなあ。でも、かなり怖かったとです。近づき過ぎると波にさらわれてサヨナラなのだ。