久し振りにスダレ貝に会った。
特別な印象はあまりないが、そこそこ旨かったような記憶があるし、半額だから買うことにした。だって、たったの140円くらいなんだもーん。それに死んでるならパスだけど、何とか青息吐息で辛うじて生きていそうだった。一応言っとくけど、半額なら何でも買うと云うワケではない。ちゃんと目利きした上での判断だ。
死んでる貝は激クサ死臭で、食ったらマジでヤバいと云うか、下手したらアタるどころか死にまっせ(笑)。けんど、生きててさえいれば、危険度は低いのだ。されども貝毒とゆうのもござるので、絶対セーフではないけどもね。
調理する前にスダレ貝について調べてみよう。
好奇心があると言えば聞こえがいいが、相変わらずメンドくさい性格である。
先ずはいつも御世話になってる『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』を見てみよう。ワケのわからぬ魚介類を調べる時は、このサイトが一番使えるのだ。
魚貝の物知り度 ★★★★★ 知っていたら学者級
味の評価度 ★★★ 美味
どうやら味はまあまあみたいだね。
【分類】
二枚貝綱 異歯亜綱 マルスダレガイ目 マルスダレガイ科 スダレガイ属。漢字で書くと「簾貝」。
スダレガイという名称は、表の殻頂から同心円を描く太い簾(すだれ)状の輪脈(細い筋)に因むそうだ。
【生息域】
海水生。水深10〜40mの浅い砂地に生息し、アサリなどと同じように海水を濾過してプランクトンを摂取している。
分布は国内では北海道南西部から九州に至る沿岸とされ、朝鮮半島、中国大陸南岸にまで及ぶ。
【主な産地と漁獲量】
ほぼ全国の沿岸に生息するようだが、底曳き網などで稀に他の貝類に混じって獲れる程度のようで、産地は非常に限定的。流通に乗せられるほど獲れる地域は殆んどない。
おいおい、そんなに珍しいのかよ。にしては安いよね。
【漁獲時期と旬】
旬は春で、4~6月とされる。
つまり、同じ二枚貝の浅蜊とかと同じって事だね。
【市場での評価】
嫌みのない味の良い二枚貝だが、前述したように生息数が少なくて市場に出回る事は殆んどない。市場で目にする「スダレガイ」と表記されている貝は本種ではなく、だいたいは近縁種のアケガイって貝らしい。
えっ❗、じゃあもしかしてコヤツも、そのアケガイ❓
アケガイと似ているが、本種の輪脈はアケガイのそれよりも段差がハッキリしており、それが殻頂(貝の上の部分)にまで及んでいるのが特徴。アケガイは上部に筋が無く、滑らかでツルツル。また、アケガイの殻の内側は殻頂部辺りが黄色いのに対し、本種は黄色くない。
もうメンドくせーなあ。そのアケガイとやらも調べないと話にならんではないか。その前にスダレガイの見た目って、どんなだっけ❓ギガの使い過ぎで画像の取り込みがメチャ遅いから文字だけコピーして書いているのだ。
(スダレガイ)
(出典『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)
何だよ。全然違うじゃないか。
(-_-;)もしかして…。
慌ててアケガイの方も調べてみる。
(アケガイ)
(出典『ぼうずコンニャク魚貝類図鑑』)
( ̄□ ̄lll)あちゃー、スダレ顔になったよ。
とゆうことは、ワシが買ったのはアケ貝やんけ(-_-メ)
それにしても、相も変わらず魚介類業界の紛(まが)いもん表記は酷いな。こんなの完全に詐欺でしょうに。
あ〜あ、アケガイで調べ直しじゃよ。
【分類】
マルスダレガイ目 マルスダレガイ科 スダレガイ属。
貝殻の模様と色は多様で、ベージュ系から濃いブラウン系まで様々。膨らみがやや強く、不規則な同心円肋で被われる。殻頂附近は平滑。
漢字で書くと「朱貝」。名前の由来は、おそらく足の部分が鮮やかな赤だからだろう。
味の方はどうだ❓
評価が低かったらガックシだよなあ…。
魚貝の物知り度 ★★★★ 知っていたら達人級
味の評価度 ★★★ 美味
おっ、スダレガイと変わらんじゃないか。ホッとしたよ。
【地方名・市場名】
アケスダレ(朱簾)、アカガイ(赤貝)、アカゲ、アブラガイ、クワズガイ、コウクイ、コウクリ、コングリ、サネガイ、ジョロガイ、タコガイ、チョウセンガイ、テッポウガイ、トリガイ、ハマグリ、ヒメカイ、ヒメガイ、ヒメサンガイ、ビンゾウ、ベニガイ、ベンクシガイ、ミミスリガイ、ミンガラガイ。
こんだけ名前があると云うことは、何処でも獲れるって事ね。
【生息域と分布】
海水生。水深10〜50mの砂地。
北海道南西部から九州。朝鮮半島、中国。
アサリよりもやや沖合に生息し、三河湾が産地として知られ、主に貝桁引き網で獲られる。
なるほどね。今回のも愛知県って書いてあったわ。
【市場での評価】
内湾で獲れるもので、主にアサリの代用品として利用される。アサリの減少から活貝、加工品として需要が高まっている。国内でも獲れるが、この需要を主に満たしているのが輸入モノ。中国や東南アジアからボイルしたものが冷凍の形で入ってくる。これを佃煮や総菜に加工しているようだ。絶対に「アサリの佃煮」とかって言われて、知らんうちに食わされてるな。
国内産はまとめて入荷することは少ないが、時にまとまって入荷してくる。値段は安い。
【目利き・選び方】
国産は原則として活け。活きのいいもの。貝殻の表面の滑りに透明感のあるもの。貝類は生きているものを選ぶことが前提で、水中のものなら水管を伸ばし、触ると素早く引っこめるものを選び、水から上げられているものは殻を閉じ、だらりと口を開けていないものを選ぶ。
【旬・味わい】
春から夏。
クセがなく旨みがやや薄いが、味的には間違いなく美味しい。
熱を通すと硬くなりやすいのが難点。
長々と書いたが、いい加減に調理にかかろう。
考えるのが面倒くさくて、酒蒸しにすることにした。調理法は基本的に浅蜊と同じだろう。
①ザルなどに入れて流水でザブザブと擦(こす)りながら洗い、水分をよく切る。
ゴシゴシ洗ってたら、足が取れた。
ちょっと迷ったが、生で食べてみることにする。
浅蜊は毒がある可能性があるから生では食べてはいけないと言われるけど、こんくらいなら大丈夫だろ。醤油をかけて食う。
(☉。☉)あっ❗、甘くて美味いぞ。
いっそ全部、生で食うたろかと思ったが、一々口をコジ開けてなんかいられない。やっぱ酒蒸しでいいや。
②雪平鍋に入れて酒を振りかけ(お好みで生姜を入れてもいい)、蓋をして蒸し焼にする。貝殻が開いたら出来上がり。お好みで三つ葉やネギを散らしてもよい。
この間、1、2分。そう、超簡単なのである。
ニンニクを加えて、白ワインで蒸し上げてもいいと思う。
見た目は浅蜊よか美しい。
とはいえ、毒々しいと見る向きもありそうだけどね。
食べてみよう。
先ずは出汁を飲む。
浅蜊よりも旨味が弱いような気もするが、旨い。
お次は身だ。
味は良い。でも、これまた浅蜊よか旨味が少ないような気がする。まあ、旨いという範疇には入るとは思うけどさ。
気になるのは食感だ。浅蜊よりも明らかに身質が固い。そこがちょっと残念ところかな。その代わりといっちゃ何だが、アサリと比べて身は大きいので食べごたえは浅蜊よりもある。
残り汁に余っていた卵の白身を入れて飲んだ。
普通に旨い。
けど、無茶苦茶あうってもんでもない。
それはさておき、ちょっと待てよ。旬は秋じゃなくて春だったな。それで思い出した。確か春先にも食ったような気がするぞ。もしかして、そっちこそ正真正銘のスダレガイだったりして…。
やっぱ、あった。
日付を見ると、5月23日になっている。
う〜ん、でもコッチもアケガイだね。
調理法は何だったっけ❓たぶん酒蒸しだったような気がするけど。
あらあら、器の選択も同じだし、どうやら調理法まで同じみたいだね。
記憶が少し甦った。そういや、この時の方が旨かったわ。やはり、旬は春かもしれないね。
おしまい
追伸
今回は酒蒸しのみ紹介したが、何にでも使える素材のようだ。
味噌汁、焼きアケガイ、アヒージョ、なめろう、ボンゴレ風パスタ、刺身、寿司、ぬた、かき揚げ、ブイヤベース、佃煮、炊き込みご飯などが紹介されていた。ようはアサリと思えばいいのである。
絶賛している料理があるので、一つだけ紹介しておこう。
◆アケガイの貝汁そうめん
多めのアケガイを酒蒸しにして、そこにめんつゆと水を加えて味を整えて冷蔵庫で冷やす。茹でたそうめんを冷水ですすぎ、水気を切って器に盛る。その上から先のアケガイの汁をかけ、刻んだ大葉とショウガを散らす。
これがことのほか旨いらしい。
今度見つけたら、そうしてみよう。あっ、でも春の方がいいかもね。
ー参考資料(ネット)ー
◆『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』
◆『旬の食材百科』