天鵞絨(びろうど)の葉巻

 
前回(『あおはる1day trip 其の1~お城とデジタル蛾』)で、ビロードハマキについて少し触れた。それで何となく気になったので、ビロードハマキについて調べてみた。ちょっと面白かったので、この蛾のことを書く気になった。

先ずは、その前回の記事からビロードハマキの部分を抜粋してみよう。いや、どうせなら書きなおそう。

 
表御門跡・馬屋の横だった。
木のベンチに座ろうとしたら、その上で何かがピョンと跳んだ。で、ズズズイと動いた。クソ暑過ぎて頭がぼおーっとしてるし、幻覚でも見たかなと一瞬思った。だが、確かに何かが動いたように見えた。ベンチを凝視する。

 

 
(・。・;何だこりゃ❓
3~4センチ程と小さいが、よく見ると其所にはデジタル模様のカラフルなものが場違い的に静止していた。
はて(゜〇゜;)?????…。暫し固まる。
カラフルなウミウシの仲間(註1)にこんなのって、いなかったっけ❓
いや、でも海の中の生物がこんな所にいる筈がない。
そもそもコレって生き物なのかよ❓
誰かが服を釘とかに引っ掻けて、その千切れた切れ端が偶然にベンチに落ちて、それが風に飛んだとか❓
いやいや、そもそもこんな柄の服を着ている奴なんているのか❓ それにこんなド派手な柄の服なんて、そうは売ってないぞ。
じゃあ、てめえは何者なのだ❓
もしや、まさかの矮小型の👽宇宙人ではあるまいな❓ そのうち喋りだすかもしれん。
アホか俺。それこそ幻覚の白昼夢だ。一刻も早く病院に行った方がいい。
でも、何処かで見たことあるような無いような…。何か記憶の奥底にムズムズするものがある。何だっけ❓えーと、コレ何だっけ…❓そのもどかしさに脳ミソが右往左往する。しかし、何らかの答えを出さねばならない。頭の中でカチャカチャ計算が始まる。そして、脳は矢張り見たことがあるぞと認識した。そして、パラパラと記憶の中の映像の海を辿ってゆく。

一拍おいてから、ようやく思い至った。
シナプスが固有名詞とも繋がった。

(;・ω・)コレって、もしかしてビロードハマキじゃなくなくね❓

蛾に見えないけど、コヤツは蛾だ。葉巻みたいな形をしている蛾の仲間をハマキガというのだ。
記憶が次々と数珠繋ぎに溢れ出す。
だとしたら、蝶採りを始めた2009年とかそれくらいの頃に生駒の枚岡で見た時以来、二度目の遭遇だ。
確かオオムラサキを採りに行った時だから、6月か7月だ。何かの葉っぱの上に止まっていた。この派手な色柄だ、否応なく目に入った。そうだ、蛾だと本能的に感じてΣ( ̄ロ ̄lll)キッショ❗と言って飛び退いたのだった。その頃は大の蛾嫌いだったので、全身オゾ気(け)づいたっけ。走ったねー、悪寒。
でも毒々しくはあるものの、美しいといえば美しい。デザインがドットで構成されているのにも斬新さを感じた。気持ちが悪いっちゃ悪いけど、お洒落ちゃお洒落だ。デジタル模様の生き物がこの世に存在するとは想像だにしていなかったので、衝撃的でもあった。そうだ、己の審美眼がどう扱っていいのか判断出来ずに軽い目眩(めまい)を覚えたような記憶があるぞ。

もちろんその時は持ち帰らなかった。当時は蛾を触るどころか、近づく事さえも出来なかったのだ。
でも気になる存在だったので、名前は後で調べたんだと思う。だから、ビロードハマキと云う名前をちゃんと知っているのだろう。

それにしても、改めて見てもインバクトのある蛾だなあ。伊藤若仲の、あのデジタルな画を想起させられるようなデザインだ。

 
【樹花鳥獣図屏風】
(出典『ART LOVER』)

 
この屏風は方眼紙のように細かい四角の集合体から成っている。江戸時代にドットでモザイク画を描くデジタル的発想って、天才若沖ならではだ。微視的であり、巨視的な稀有な作品と言えよう。

ともかく、こんな蛾を世に産まれ落とせし神のデザインセンスには感服せざるおえんよ。

ベンチの上から毒瓶を被せる。
虫屋の性で、目的が虫採りじゃなくとも虫捕り道具一式は持ってたりするのだ。コレは虫捕りという一種のビョーキだ。このビョーキに罹患すると、救いようのないおバカになるのである。少なくとも世間一般的に見れば、およそ理解されない病理じゃろう。

 

 
んっ、どっちが頭なのじゃ❗❓
一瞬ワカンなくなるが、先がオレンジじゃない方が頭だ。思うに、コッチが頭だと鳥が勘違いして啄んだ隙に逃げるのじゃろう。ビロードちゃん、賢いねー(^o^)
それにしても、一般ピーポーからすれば蛾とは思えないような謎の形だ。自分でも本当に蛾なのか自信が無くなってきて、確認のために裏返してみた。

 

 
やっぱ蛾だな。下翅はどんなんだろ?と思っていたけど、鮮やかな橙(だいだい)色だ。表側は確認してないけど、おそらく蛾にしては綺麗なんじゃなかろうか。
蛾ってのは一部を除き、大体においては下翅が汚ない。上翅はそこそこキレイでも、下翅が汚くてガッカリさせられる事が多い。そこが今一つ蛾の世界に踏み入れられない理由かもしれない。

一応、展翅してみたが、蝶とは違い変な形なのでバランスがワカンナイ。
でも、たぶんコレで合ってんじゃないかな❓

 
【Cerace xanthocosma (Diakonoff,1950)】

 
上翅をもっと上げたい衝動に駆られるが、上辺の基点の位置からすると、これが正しいかと思われる。

触角が右片方ないのは残念だけど、まあいいっしょ。蛾はカトカラとヤママユくらいしか集めてないから、特段執着心はない。

たぶん♂だと思う。♀はもっと白斑が発達するようだ。気になる人はネットに画像が沢山あるので、そちらで見てけれ。

ネットで調べたら、漢字だと「天鵞絨葉巻蛾」と書くそうだ。これはビロードの漢字が「天鵞絨」だからだね。皆さん知ってるとは思うけど、ビロードとは織物の一つで、綿、絹、毛などを細かい毛を立てて織ったものだ。なめらかで艶があるのが特徴である。
ビロードはポルトガル語で、英語圏ではこれをベルベットと呼んでいる。似たような生地にベッチンがあるが、これは別物。

ビロードハマキはビロードの布地ほどには羽に艶がないのに、何でビロードなのかな❓
まあ、ノリみたいなもんで名付けたんだろね。きっと単に美しい様を表現したかっただけなのだろう。厳密的にはそぐわないけど、語感がいいから許す。

以下、ネットで調べた事とその感想を書こうと思う。

【分類】
ハマキガ科(Tortricidae)
ハマキガ亜科(Tortricinae)

日本のハマキガ科の中では最大種のようだ。

 
【学名】
Cerace xanthocosma(Diakonoff,1950)

軽く調べてみたが、よくワカンナイ。
唯一、わかるのは小種名の xanthocosma の一部のみ。おそらく前半部はギリシア語の xanthos(黄色の)で、それに他の語を足した造語であろう。

 
【分布】
従来は、本州(関東南部以西)、四国、九州、対馬、屋久島とされてきたが、近年は北上しており、東北地方にまで分布を拡げているようだ。ようするに元々は南方系の蛾なんだね。
平地から山地にかけて見られるが、主に低山地に分布し、照葉樹林帯を好むようだ。
国外では、樺太、中国(東北部~南西部)にも棲息するという。

 
【成虫発生期】
年2化。6~7月と9~10月に見られる。
へぇー、年2化なんだ。想像してなかったよ。つまり初めて見た奴は夏型で、今回見たのは秋型ってワケだね。

 
【開張】
♂34~40㎜ ♀40~59㎜。
♂より♀の方が大きいんだね。また、6~7月に現れる第1化は、第2化より遥かに大型なんだそうな。

 
【変異】
地理的変異は知られていないが、斑紋には比較的顕著な個体変異があるようだ。

 
【生態】
昼行性で、主に午後に活動するが、飛翔は緩やかで、あまり活発でない。夜間に灯火に飛来することもある。

どこかのサイトには歩くと書いてあったから、ズズズ…ズイと動いたのは錯覚ではなかったのね。

 
【幼虫の食餌植物】
ブナ科コナラ属のアラカシ、アカガシ、シラカシなどのカシ類、ツバキ科のヤブツバキ、ツツジ科のアセビ等の常緑樹のほか、カエデ科カエデ類などの落葉樹。
或るサイトでは、第1化の幼虫が常緑樹、第2化の幼虫が落葉樹を食べる傾向があると書かれていたが、別なサイトでは、1化はカエデを、2化はツツジ科のアセビ、ツバキ科のツバキ、ブナ科カシ属のカシ、カエデ科のイロハモミジ、ヤマモモ科のヤマモモ、モクレン科のオガタマノキを食するという記述もあって、よくワカラナイ。意外と本当は季節によって食性なんて変えてなくて、それぞれの個体が、それぞれ勝手に好きなもんを食べてるだけだったりしてね。

越冬態は幼虫で、食樹の葉を数枚綴って簡単な巣を作り、その中に潜むという。

そういえば思い出したけど、初めて会った翌年から、またビロードハマキには会いたいなと心の底のどこかで思っていたふしがある。枚岡なんかでは、今年も見ないなあと時々思ったからね。
もしビロードハマキにまた会ったなら、今度も採ろう。そして、雌雄完璧な展翅標本を作って、蛾ギライな女に送りつけてやろう。

                   おしまい

 
(註1)カラフルなウミウシの仲間
例えば、こんなんと言いたいところだが、セキュリティの問題で「世界のウミウシ」という素晴らしいサイトの画像が使えなかった。世界のウミウシで検索すれば、カラフルなウミウシが沢山出てきます。
ウミウシは多用で面白い。バリエーションが有り過ぎて分類は相当錯綜しているのではないかと想像するよ。

 

あおはる1day trip その壱

   『お城とデジタル蛾』

 
青春18切符が1回分残っている。
昔の彼女とぶらりと何処かへ行く予定だったが、ドタキャンを喰らったのだ。それも酷い形で。昔の男なんてものは女性にとって所詮は過去の遺物で、身分カーストからすれば底辺の存在なのだ。男にとって過去の甘い思い出は大切でも、女にとっては記憶のガラクタにすぎない。男たちは過去に思いを馳せ、女たちは未来を見ているのだ。
男は往々にして歴史好きだけど、女はあまり歴史に興味がないのは、きっとそのせいだろう。

まあどうあれ、切符は使わなくては勿体ない。
だが、どう活用して何処へ行くかを考えあぐねているうちに期限の9月10日になった。
こうなるともう、大の字。何も考えずに心の赴くままに任せてしまおう。その場その場、その時の気分で行く場所を決めればいい。出たとこ勝負の行き当たりばったりなのが旅というものだ。旅と旅行は違うと思う。普段もそれに近いものがあるけれど、それは殆んどが虫捕りだ。たまには本当にあてどのないワンデイ・トリップも悪かない。

先ずは大阪駅まで行き、そこで東へ行くか西へ行くかを決めよう。でも、この青春18切符で長野県白馬方面と岐阜県飛騨高山方面に行ったから、正直もう東にはウンザリだ。西は赤穂辺りまで行って、久し振りに日本一美味いとも言われる『さくらぐみ』のピザでも食おうか…。
とにかく今日は、腹がハチ切れんばかりにパンパンになるまで各地の美味いもんを食って食って食いまくってやる。

Σ(-∀-;)ハッ、でも痛恨の二度寝(-.-)Zzz・・💤
慌てて用意して何とか9時前に家を出た。
(×_×;)もう何だか先が思いやられるよ。

 

 
しかしJR難波駅に行くも、大和路線で何かあったみたいで、電車が止まっている。スタートから前途多難である。
(=`ェ´=)クソがっ❗、あのアマが全部悪い。

遅れは心配するほどでもなく、5分ほどで動いた。
しかし、乗換駅の新今宮駅でも大和路線のダイヤの乱れのせいで環状線が遅延していた。
(=`ェ´=)クソがっ❗、全部あのアマのせいだ。

ここでも10分程待って何とか電車に乗ることができた。

 

 
はあ~い\(^_^)/
午前11時13分。ナゼか東の彦根駅に到着。
おいおい、東やないケー。もうムチャクチャ言うてた事とちゃうやんかというツッコミが入りそうだが、コレにはそれなりのワケがある。
何でこないな事になったのかと云うと、大阪駅で突然神の啓示の如く彦根城に行こうと思い立ったのである。
実を云うと、何度も電車の車窓から彦根城は見ているものの、近くまでは一度も行ったことがない。今年の信州方面への計4度の行き帰りでも毎回その事が心のどこかで引っ掛かっていた。つまり、その思いが突然噴き出しちやったのだ。
それに鮎を食いたいというのもあった。店の名前は忘れたけど、彦根城下に鮎料理の専門店があることを思い出したのだ。
オイちゃん、無類の鮎好きなのに今年は殆んど食ってないんである。どうしても美味い鮎の塩焼きが食いたーい\(^o^)/
以上、ってなワケなのさ。

先ずは観光案内所に行き、地図とグルメガイドをゲットする。現地でその場で得る情報は大事だ。この先どうするかに大きく関わってくる。優れた男は、アバウトにして緻密なのさ(* ̄∇ ̄)ノ
一応、オバサンにお薦めの店を訊く。しかし、今日は火曜日で夢京橋キャッスルロードのお店は殆んどが休みだと聞かされる。どうやらそこに食べ物屋が集中しているらしい。
嫌な予感がした。そこに鮎の店もあったような気がする。
ガイドブックで確認したら、やはり怖れたとおりに目的の店『あゆの店きむら』はその何たらロードにあり、定休日になっていた。
また、コケた。これもあれも全ては、あのアマのせいじゃ(=`ェ´=)❗そう云う事にしておこう。
クソッ、今度アユおごれや( ̄ヘ ̄メ)

又しても躓くが、まあこれも行き当たりばったりの愉しさだと取ろう。予定は未定であってしばしば変更。何があるかワカラナイ方が旅は面白くなるというものだ。

 

 
駅前に銅像があった。
「桜田門外の変」の井伊直弼❓
でも上下(かみしも)じゃなくて、武将の格好だから違うな。だいち直弼は世間的には悪役にされてるからなあ…。
近づいてみると、井伊直政とあった。
なるほどね。直政といえば徳川四天王の一人である。徳川十六神将、徳川三傑にも数えられ、家康の天下取りを支えた功臣として知られている。しかもたいそう美男だったそうな。けど性格がキツくて嫌な奴だったみたい。皆に好かれてたら、もっと有名になってた筈だもんね。

 

 
10分ほど歩いて中堀に辿り着く。
中々ええ感じのロケーションだ。堀って、何だか落ち着く。
しかし、城よりも先ずはメシだ。早めに食っとかないと、この先、食間のインターバルが短くなる。間がタイトになればなるほど、食べまくるにはキツい。

歩く道すがら、グルメガイドで次の店の候補をいくつかピックアップした。

 

 
『献上伊吹蕎麦 つる亀庵』。
あまり聞いたことがない伊吹そばと云うのが気になった。江戸の町で評判だった蕎麦で、井伊家から将軍家への献上品だったそうな。この店がその蕎麦を復活させた店だというのに惹かれた。古(いにしえ)の歴史あるモノは旅情を掻き立ててくれる必須アイテムなのだ。ロマンチストさんは、そういうの大好物なりよ。
もう一軒気になる店があるから、そちらも見てから決めようと思ったが、店前の「びわ鱒の漬け丼」の幟が目に入った。それが有無を言わさぬ決定打となった。ビワマスは食べた事がないから、かねてから是非食べてみたいと思っていたのだ。
ビワマスとは琵琶湖に棲む鱒のことで、アマゴ(ヤマメ)の海降型亜種である。海降型というのは本来陸封型のアマゴが川を下って栄養たっぷりの海で育ち、サケみたくデッカクなったものだ。東日本のサクラマス、長良川に代表される西日本のサツキマスが有名だが、琵琶湖でも一部のアマゴが琵琶湖に下り、デッカクなる。それが幻とも言われる稀少なビワマスと云うワケなのさ。

 

 
店内は結構お洒落。
蕎麦付きの『びわ鱒漬け丼セット』をオーダーする。
お値段は¥1750(税別)と、ちとお高いが天下のビワマス様だ。この程度の金額は致し方あるまい。
でも後でミニびわ鱒漬け丼¥480ってのを見つけた。それと、もり蕎麦¥750を頼めばよかったかなあと軽く後悔する。

 

 
そば茶と、お茶うけの蕎麦の揚げたのが出てきた。
そば茶は香りが良くて結構好きだ。蕎麦の揚げたのは珠に見掛けるが、どってことない代物だ。しょっぱくもない甘くもないどっちつかずの野郎で、食べると正直な話し軽くイラッとくる。こんなもん、蕎麦崇拝主義者しか有り難がらんわ、ボケッ(=`ェ´=)

 

 
テーブルに三種類もの七味が並んでいた。
どれも見たことがある有名な七味だ。

 

 
へぇー、コヤツらが日本三大七味なのね。
左から東京は浅草寺の「やげん堀」、京都・清水寺の「七味家本舗」、長野・善光寺の「八幡屋磯五郎」。
それぞれどこかで何かにかけた記憶があるけれど、特にどうのという味の記憶はない。七味なんてウドンにかけてしまえば、純粋な味なんぞワカランのだ。
ヒマだし、試しに手のひらに振りかけて味見してみた。

(・。・;あっ、それぞれ全然違うや。
その違いに驚くが、相手がいないので心の中でキャッキャッする。
やげん堀は黒胡麻が効いていて香ばしい。七味家本舗は京都だから山椒の味が強い。善光寺のものは解説通りに一番辛い。しかも唐辛子の辛さがいつまでも舌に残る。そっかあ…。こりゃ料理により適した七味があって然りだね。勉強なりましたわ。

一人で妙にテンションが上がり始めたところで、御膳が運ばれてきた。

 

 
奥から琵琶湖三大珍味。右手に蕎麦、左手にびわ鱒漬け丼。これに味噌汁とそば湯がつく。

 

 
左から滋賀名物の赤コンニャク、モロコの佃煮、川海老と豆の佃煮である。
赤コンニャクは歯応えがあると言われるが、言うほどではない。モロコは焼いて食うと珍味だが、佃煮にしてしまえば、上品とはいえ所詮は佃煮だ。川海老と豆の佃煮は滋賀ではよく見かけるが、食べた事が殆んどない。
感想としては思った以上に良い組み合わせだが、膝を叩いて唸るほどのものではない。「あっ、こういう味なんだ。好きな人はきっと好きなんだろなー。」とは思う、そんなようなもんだす。

 

 
さて、蕎麦だ。
取り敢えず、ごく一部にちょい塩を振ってそのまま食べてみる。
うむ、香りはそこそこ良い。

お次に塩➕山葵でいってみる。
(-_-)…。山葵がクソだ。コレは本ワサビを擦ったものではなく、ホースラディッシュとかを混ぜ合わせた紛いものだろう。ワサビ本来の香りも味もしない人工的な味がする。(#`皿´)偽物めがっ❗、世の中の大半のワサビは信用ならんわい。

そして、ワサビ抜きでつけ汁につけてすする。
あっ、(^o^)美味い。コシがあって喉越しもいい。決して強くはないが、香りも鼻からいい具合に抜ける。
伊吹蕎麦って、期待してた以上に美味いぞ。長野の上田で行列に並んでまで食った蕎麦よりも百倍は美味いわい。
蕎麦って、ウドンよりもクオリティーの落差が激しいんだよなあ。そのわりには割高だったりするから腹が立つことが多い。何か蕎麦は通っぽい世界でカッコつけてる感じだしさ。時々、鼻につく。
どうあれ、美味い。嗚呼、レギュラーサイズのもり蕎麦とミニびわ鱒漬け丼にすれは良かったかなあ…。

そして、いよいよ琵琶鱒漬け丼である。

 

 
見た目はサーモンみたいに鮮やかなオレンジ色ではない。どちらかと云うと、くすんだようなピンク色だ。
感じ的にはサーモンというよりも鮭的。もっといえば、時鮭(時知らず)の刺身に近い。

期待をもって頬張る。
( ☆∀☆)うみゃい。味は脂は乗っているのだが、サーモンみたくシツコクない。脂の抜けがいいのだ。味的には時鮭に近い気がする。
でも御飯の量とのバランスが悪い。御飯の量に対してヅケの量が少ないのだ。やはり蕎麦➕ミニ漬け丼が正解だったかも。日々、勉強である。

味噌汁飲んで蕎麦湯も飲んだら、腹パンパンになった。この先、バカみたいに食べまくる自信が早くも崩れ落ちそうじゃよ。

 

 
赤松かなあ❓大木が奥まで続いている。
思わず、カバフキシタバはいないかと幹を凝視する。
虫屋の悲しい性だ。何だって虫とリンクさせて考えてしまう。

看板を見ると、いろは松と呼ばれているみたいだ。これは、かつてはいろはの文字数と同じ47本の松が並んでいたからだそうだ。土佐から持ってこられた松で、根が地上に出ないから人馬の往来の妨げにならないとということで植えられたという。確かに根がゴツゴツしていない。

 

 
佐和口多聞櫓。
青空と白壁のコントラストが目に眩しい。

表御門跡・馬屋の横で木のベンチに座ろうとしたら、その上で何かがピョンと跳んだ。で、ズズズイと動いた。目の錯覚かなと思い、暫く凝視する。
(・。・;何だこりゃ❗❓小さいがデジタルでカラフルな場違いなものじゃが、見たことあるような気もする。

 

 
更に一拍おいてから、ようやく思い至った。
コレって、ビロードハマキじゃね❓
だとしたら、蝶採りを始めた頃の2009年とかそれくらいの頃に生駒の枚岡で見た時以来の二度目の遭遇だ。
それにしても、インバクトのある蛾だなあ。伊藤若仲のデジタルな画を具現化させたようなデザインだ。こんなもんを世に落とせし神のデザインセンスには感服せざるおえんよ。

ベンチの上から毒瓶を被せる。
コレまた虫屋の性。目的が虫採りじゃなくとも虫捕り道具一式は持ってたりするのだ。コレは虫捕りという一種のビョーキだ。このビョーキに罹患すると、救いようのないバカになるのである。少なくとも世間一般的に見れば、およそ理解されない病理じゃろう。

 

 
んっ❓、どっちが頭なのじゃ❓
一瞬ワカンなくなるが、オレンジじゃない方が頭だ。思うに、コッチが頭だと鳥が勘違いして啄んだ隙に逃げるのじゃろう。
それにしても。一般ピーポーからすれば蛾とは思えないような謎の形だ。自分でも本当に蛾なのか自信が無くなってきて、確認のために裏返してみる。

 

 
やっぱ蛾だな。下翅がどんなんだろ?と思っていたが、おそらく蛾にしては綺麗なんじゃなかろうか❓

金800円也を支払って、城の核心部へと向かう坂道を登る。

 

 
やがて城郭が現れる。
石垣が、ええ感じだ。

 

 
登りきると、天秤櫓に続く橋が見えた。

 

 
美しい。見事なバランスだ。

 

 
橋の下から木組みをのぞむ。
機能美が芸術的なデザインを産む一つの証左だろう。

ぐるりと回り込み、橋の手前まで来た。
横に看板があり、ここでしか見られない植物の事が書かれてあった。

 

 
「オオトックリイチゴ」というんだとさ。
何だ、イチゴかよ(‘ε’*)
バラ科 キイチゴ属の一種で、彦根城以外では知られていない固有種のようだ。こんな狭いとこにスゴいやんと思ったが、自生の「ナワシロイチゴ」と中国・朝鮮半島原種の「トックリイチゴ」が自然交配したものらしい。なあ~んだ、雑種かよ(# ̄З ̄)

 

 
確かにイチゴの葉だわさ。
コレだけを食うチョウとかガの幼虫っていないのかなあ❓いたら、相当の稀種になるよね。
あっ(;・∀・)、また虫屋の性が何でも虫とくっつけて考えとるわい。

 

 
天秤櫓。

 

 
橋の真ん中で城下を見下ろす。
ちょっとだけ殿様気分~🎵

 

 
門をくぐる。
扉に歴史を感じる。築城は1604年に始まり、1622年に完成したそうな。四百年も前だ。そりゃ、歴史も感じる。扉は四百年前のモノじゃないとは思うけどさ。
あ~、この分厚い門扉に手裏剣投げてぇー。

 

 
道はジグザグに、各所で鋭角的に曲がって登ってゆく。
クソ暑い。汗がバカみたいに滴り落ち始める。気温はもう35℃を越えてるやもしれぬ。スーパー晴れ男も考えものじゃよ。

 

 
この造りは、ようするに戦(いくさ)の時の為だね。角の部分で敵兵が歩留まり、ごった返したところで、上の櫓から矢だの鉄砲の弾だのが雨あられと降り注ぐという寸法だ。攻める側からすれば、堪ったもんじゃありやせん。城というものは、そもそもが要塞だから、攻め手側の観点で天守閣を目指すと結構面白い。

漸く天守と御対面。
ひこにゃんもいる。

 

 
といっても、看板だけど。

 

 
モノホンのひこにゃん、そこいらに居ねえかなあ。
いたら、後ろから羽交い締めにするか、脇腹に一発蹴りを入れてやんのになあ。これ、マジで(笑)。

 

 
雲一つない青い空をバックに、たおやかに建っている。荒々しさは無く、むしろ優美でさえある。
天守は小さいが、変化のある破風が重なりあって美しい。さすが国宝じゃな。
これで国宝天守4つめだ。姫路城、松本城、犬山城は過去に行っているから、残りはあと松江城だけだな。

窓(花頭窓)が特徴的で、寺に見られるような粋な形だ。でも周囲を巡る廊下とか欄干が無いなあ。殿様ごっこが出来ねぇでねぇか。

中に入る。

 

 
物凄い急な階段だ。見た目は殆んど垂直。壁だ。
番をしている爺さんに訊いたら、62度もあると言う。

『こんなのお子ちゃまや爺さん、婆さんとか大丈夫なんですか❓登りはまだしも降りられますのん❓』

『時々、立往生しやはる人もおますな。そういう時は後ろ向きにか、座って一段、一段降りてもらいます。』

なるほどね。後ろ向きはまだしも座って降りるという発想は無かったわ。

 

 
意外と中の廊下は幅広い。

  

 
梁の木組みが面白い。
ぐにゃぐにゃ曲がってる木もある。

上から回廊に落ちる光が美しい。
日溜まりが耀いている。

 

 
窓から屋根をのぞむ。

 

 
詳しくはないが、屋根も個性的な気がする。

 

 
最上階まで昇ってきた。

 

 
琵琶湖が見えた。
この国も湖もワシのものじゃあ~Ψ( ̄∇ ̄)Ψ
暫し、殿様気分を満喫じゃよ。

降りて、西の丸に回る。

 

 
フォルムがいい。
裏から見た方が好きかもしんない。

そのまま西の丸、三重櫓、続櫓を経由して玄宮園へと廻るつもりだったが、通行止めになっていた。仕方なく来た道を戻り、玄宮園へ。

 

 
百日紅(さるすべり)には夏空がよく似合う。

 

 
玄宮園入口。

 

 
手前右側に見えるのは稲穂である。
最近になって復元されたようだ。五穀豊穣の祈願とかなのかな?

 

 
いわゆる池泉回遊式庭園というやつだね。

 

 
ここが一番のビューポイントかな。
木はカエデだから、秋深くには一層美しい姿になるだろう。

 
ここも美しい。

 

 
背後に天守閣が見える。
お月見にも良さそうなロケーションだ。

 

 
隣の楽々園。復元の途中のようだ。
ここも秋には美しいだろう。

彦根城って、中々ええやんか。結構、楽しめたよ。
それはさておき、今何時だろう?
確認したら、もう1時半である。1時には電車に乗ってる予定だったのに、あらあら知らぬ間に時間が経ってたのね。
さてさて、次は何処へ行きますか…。
長浜で久し振りに旨い親子丼を食ってもいいし、敦賀の気比の松原なんてのもある。もっと足を伸ばして若狭方面ってのも有りだ。小京都とも言われる小浜も捨てがたい。鯖街道の起点でサバを食うのだ。或いは福井まで行ってソースカツ丼とか越前蕎麦なんてのも悪かない。あっ、蕎麦は昼に食ったからもういいか。

候補をあれこれ考えながら駅へと続く道を歩く。
まあいい。行き先は、駅に着いてからその場の気分で決めよう。

 
                    つづく

 
追伸
写真を並べてサクッと終わらせるつもりが、ついつい文章を書いてしまい、長くなってしまった。
次回からは、もちっとサクサクいこう。

冒頭に青春18切符の画像を持って来るつもりだったのだが、なぜだか切符が見つからない。使い終わってるとはいえ、捨てた記憶は無いんだけどなあ…。
たぶん、神隠しだな。