2019年の空たち 夏・秋冬編

 
前回の続き夏・秋冬編である。

 

 
6月9日。
生駒山地・枚岡展望台からの空だ。
多分この日はフシキキシタバ(註1)を採りに来たのだろう。

 
 

 
6月29日。
戒壇院側から見た奈良・東大寺。
空は曇っているが、巨大なる東大寺の圧倒的存在感の前には関係ござらん。裏やサイドに回ると人も少ないので、その存在感に浸れるからお薦めでやんす。

 
 

 
7月4日。
三重県熊野市のとある場所に灯火採集に行った。
天気予報では曇り時々小雨と云う絶好のコンディションだったが、途中から月が出てきて惨敗。
同行の小太郎くんには「もー、こんなところでスーパー晴れ男の力を発揮しないで下さいよー(・3・)」と言われたよ。
恨めしい空だったが、山奥で見る月は幻想的で美しかった。

 
 

 
7月20日。
近鉄奈良駅を出ると物凄い夕暮れになっていた。
今年一番の夕暮れは❓と尋ねられれば、即座にこの日の凄惨なまでに美しい空を挙げるだろう。

 
 

 
8月1日。
神戸市須磨区。
海と空のある風景は心のオアシスだ。いつだって心が和む。

 

 
クロシオキシタバ(註2)詣も三年目に入った。
でも何故か1頭も現れず、神戸の夜景が慰めてくれたんだったね。

 

 
8月9日。
長野県開田高原。神々しいまでの荘厳な空だった。
巨大な雲の建築物から幾つもの天国への階段が架けられている。
レンブラント光線は、誰しもの心を洗う。

 
 

 
8月18日。
大阪・難波界隈。黄色と青のコントラストが美しい。

 
 

 
8月27日。
難波界隈。
この、夜の帳が下りるまでの僅かな時間の空の色が好きだ。
淡い青の透明感が心をスーッと楽にさせてくれるのだ。

 
 

 
9月3日。
難波界隈。
夕暮れは快晴よりも適度に雲がある方が美しい。光を反射した雲が様々な色に染まるからだ。

 
 

 
9月6日。
長野県松本市・新島々駅前近く。スイカおやじが青空にすっくと立つ姿にフッと笑みがこぼれた。

 
 

 
空が強烈に青い。

 

 
そこから島々谷へと移動した。往年の蝶の名産地だ。蝶採りを始めて間もない頃はよく訪れたものだ。ここで初めて憧れのキベリタテハを採ったんだよね。

 
【キベリタテハ】

(2009.9月)

 
そういえばシータテハやツマジロウラジャノメ、カラスシジミなんかも此処で初めて採った。
だが人が入らないせいか、道は荒れている。キベリタテハもシータテハの姿もなかった。ただ、ただ青と緑が眩しかった。

 

 
さらに乗鞍高原へと移動。
いつの間にか青空は消え、空は曇に包まれていた。
女郎花(オミナエシ)の花が、時折風に揺れていた。
まあ、お陰で目的のムラサキシタバ(註3)も採れたけどね。小太郎くんに言われたから日中は晴れ男パワーを発揮し、夕方から曇を願うようにしたら、最近はその通りになるようになってきた。天気をコントロールできる男なのだ(笑)。
我ながら不遜な物言いだよなあ…。まあ、偶々だとは思うけどね。

 
 

 
9月13日。難波界隈。
壮絶な夕暮れだ。夏から秋へと移る頃の空が一番ダイナミックなような気がする。

 

 
10月1日。
難波界隈。この日は十五夜。
月を見るのは好きだ。
空を眺めることを忘れない人でありたいと思う。

 
 

 
10月31日。
堀江界隈。近所に住むサッちゃんと公園で酒盛りしてた。
ベンチから、ふと見上げると藤棚の上に月が出ていた。

 
 

 
11月9日。
難波界隈。何となく綺麗な夕空が見られるのではないかと思って見晴らしが比較的良い場所まで来たが、どって事なかった。
今日はキレイなんじゃないかと思っても、雲の動きは刻々と変わってゆくので、おいそれとは簡単には読めないのだ。
綺麗な夕日と会えるのはタイミングであり、偶然だと思うからこそ、有り難い気持ちになるのかもしれない。

 
 

 
12月2日。
桜ノ宮駅界隈。皇帝ダリアが凛々しく咲いていた。いい具合に電車も走ってきたので、パチリ。
空気が冷えてきたせいか、空はキリッと締まっている。

この日は遅ればせながら、クロマダラソテツシジミ(註4)の低温期型を探しに行った。しかも難波からママチャリで。
食害の痕跡は沢山あったが、蝶の姿は無かった。

 

 
中之島中央公会堂。
そのまま大川沿いに走ってきたら、突然出てきたので驚く。この位置から公会堂を見るのは初めてかもしれない。

 
 

 
12月5日。
大阪市生野区御幸通り商店街。初冬の青空は高い。
この日もクロマダラソテツシジミ探し。またチャリで今度は八尾まで行った。桜ノ宮でも難波からそれなりの距離があるが、八尾までとなると、もうサイクリングの域だ。
しかし食害痕は沢山あるものの、やはり姿なし。
その帰りにコリアンタウンの御幸通り商店街に寄ったのだ。
通りはコロナなんか関係ないと云うくらいに人でごった返していた。しかも大半は女性。年齢も十代と思われる娘からオバサンまでと幅広い。

 

 
何でかというと、どうやら韓流ドラマの大ヒット作『愛の不時着』の影響らしい。15年程前だろうか、当時の彼女と訪れた時は寂れた商店街だったのにね。
そういやキムチを買おうとして、量が多いから半分にしてくれとお頼み申したら、韓国人のオバハンに物凄い剣幕でメチャクチャ叱られた。半分だと❗❓、てめぇフザけんじゃねぇよ❗❗みたいな感じで烈火の如く💢キレられたのだ。こっちは客なのに何でそこまで怒られてるのかワカンなくて、マジで涙が目の端に溜まったよ。たぶん今まで女性に此処までボロカスに叱られた事が無かったからだろう。その後、今の今まであんなに叱られたことは無い。
でもって結局、白菜丸々1個のキムチを買わされて帰った。
まあ、でもそのキムチが人生で一番旨いと思ったキムチかもしれない。だから、それほど嫌な思い出ではない。

                        おしまい

 
追伸
そして、前編冒頭の画像へと続く。

 

 
空が写ってる写真なんて、そんなに多くはないと思ってたが、意外と多かったので2回に分けた。

この後、一部を除き消去したが、はたして供養になったのだろうか…。

 
(註1)フシキキシタバ

(2019.6 )

和名は最初に富山県伏木で採集された事に由来する。昔は大珍品だったが、灯火にはあまり誘引されず、樹液に集まる事が分かってからは、それほど珍しいものではない事が判明した。
価値は下がっても、鮮やかなオレンジ色の領域が広くてキシタバ類屈指の美しい種だと思う。
詳細は当ブログのカトカラ元年シリーズの記念すべき第一作『不思議のフシキくん』と、その続編に書いてあります。

 
(註2)クロシオキシタバ

【♂】

(2018.7月 神戸市)

主に西日本の沿岸部に生息する。
拙ブログに『落武者源平合戦』と、その続篇『絶叫、発狂、六甲山中闇物語』があります。

 
(註3)ムラサキシタバ

【♂】

(2019.9月 松本市)

主に東日本の標高千メートル前後以上に見られる美麗蛾。
大型で且つ美しく、そこそこ珍しいので人気が高い。関西では極く一部にしか生息してないので、より憧れ度は強い。
そのせいか当ブログではムラサキシタバについては『2018’カトカラ元年 プロローグ』『2019’紫への道』『憤激の蒼き焔(ほのお)』『パープルレイン』『紫の肖像』と5篇も書いた。

 
(註4)クロマダラソテツシジミ

【低温期型♀】

(2018年 和歌山県白浜)

本来は日本には生息していなかった蝶だが、2000年代に入ってから台湾かフィリピン辺りから沖縄に飛んで来て爆発的に増え、本土でも珠に発生するようになった。しかし関西では寒さに耐えきれず、冬を越せずに死滅する。

アメブロの方の「蝶に魅せられた旅人」に『2016’ツマグロキチョウとクロマダラソテツシジミ』と題して書いた。