日本の美しい蛾

 
岸田先生の『世界の美しい蛾』には、日本の美しい蛾も紹介されている。

 

 
数えると、偶産も含めて23種類もあった。
意外とオラ、知らないうちに結構採ってるぞ。

 
【エゾヨツメ Aglia japonica ♂】
(2018.4.5 兵庫県 武田尾)

 
年に1回、春先に現れる夜のスプリングエフェメラルだ。青い瞳のような紋が美しい。

 
(2019.4月 大阪府箕面公園)

 
画像は去年のものだが、初めて出会ったのは2017年の春だった。初の灯火採集に連れていってもらった時の事だ。
その辺のくだりは、『春の三大蛾祭』と題して当ブログに二年連続で書いているので、是非読んで戴きたい。特に2017年版がお薦めです。蛾の話だけど、闇について語ったホラーな物語で、自分的には好きな文章だ。

 
【ヨナグニサン♀ Attacus atlas】
(2010.10.22 沖縄県 与那国島)

 

 
沖縄県の天然記念物である。
二度目の与那国島に行った時にいた。いたというか道の真ん中に落ちてた。林道の小道をレンタルバイクで走ってたら、転がっていたのだ。
WAO(゜ロ゜;ノ)ノ❗、思わず急ブレーキをかけたよ。
で、ギリギリ停まった。危うく天然記念物を轢き殺すところじゃったよ。
バイクを脇に停めて近づき、Σ( ̄ロ ̄lll)ギョッとする。そのあまりのデカさに、その場で固まった。

軽く小枝で突っつくと生きてた。そのままにしておくと車に轢かれそうなので、避難させることにした。
で、掴んだらモノごっつデカかったので、ちょっと感動して撮ったのが上の写真である。

 

 
道路脇のシダに止まらせて、再度パチリ。
いやはや、こうして改めて見ると笑けるほどデカイよねー。いや、一人だったけど実際声に出して笑った記憶有りだ。デカイしデブだから多分♀だったんだろなあ。
そういうワケで展翅写真は無い。勿論、標本も無い。持って帰ってたら犯罪者なのだ。だいち持ち帰るにしても三角紙には到底入りきらない。そこまでデカイ三角紙は市販されとらんのじゃ。だから三角紙を収める三角ケースにも入らん。収納不可だ。また、代用になる紙をそんな都合よく持ち合わせているワケもない。たとえ採集禁止じゃなくとも持って帰らなかったと思う。蛾だしさ。

知ってる事はこれくらいで、考えてみればヨナグニサンの事はそんなに詳しいワケじゃない。本来は蝶屋で、蛾屋じゃないからね。一応ググッとこっと。

『鱗翅目ヤママユガ科に分類されるガの一種。前翅長は130~140mmほどで日本最大、昆虫の中で翅の面積が最大のガとして知られているが、近年の研究によりオセアニアに分布するヘラクレスサン(Coscinocera hercules)に次ぐ2位の大きさであることが明らかとなった。』

ほおーっ、もっとデカイのがいるのね。知らなかったよ。
そういえば、ヨナグニサンってゴジラ怪獣のモスラのモデルと言われてるんだよね。

 
(出展『M-ARTS』)

 
モデルと言われてるわりにはヨナグニサンとあまり似てない。翅の柄なんて、かなり違う。たぶん大きさ由来だけなんじゃねえの?

モスラって、ダサいからあんまり好きじゃない。バトラの方がカッコイイ。バトラとは、モスラの対となる破壊神のことね。

 
(出展『魂ウェブ』)

 
黒くて邪悪な感じがいい。
自分で言うのも何だが、邪悪な感じがするものには心惹かれがちなとこあるんだよねぇ~。

『与那国島で初めて発見されたことから「ヨナグニサン」という和名が付けられた。
日本の沖縄県八重山諸島(石垣島、西表島及び与那国島)のものは、亜種ryukyuensisとされ、漢字では「与那国蚕」と書く。ヤママユガ科の蛾は、漢字にするとクスサン(楠蚕)、シンジュサン(新樹蚕)など大体この「蚕」の字が宛がわれる。
与那国島の方言では「アヤミハビル」と呼ばれる。 「アヤミ」とは「模様のある」。「ハビル」とは「蝶」を意味する。』

蝶じゃないけどさ。

『学名のAttacus atlasは、その体が巨大であることから。ギリシア神話の巨人アトラースに起因する。
また英名 atlas moth(アトラスガ)も同じ理由からの命名。中国では「皇帝の様な蛾」を意味する「皇蛾(拼音:huáng’é)」と呼ばれている。
インドから東南アジア、中国、台湾、日本にかけて幅広く分布し、いくつかの亜種に分けられている。日本のものは分布の北限にあたる。日本国外の亜種は日本産と比べて羽の三角模様が少し小さいという特徴を持つ。フィリピン産のカエサルサン、ニューギニアやオーストラリア北部のヘラクレスサンはヨナグニサンよりはるかに大型の別種である。
口器(口吻)は退化して失われているため、羽化後は一切食事を取れない。幼虫の頃に蓄えた養分で生きるため、成虫寿命は長くても1週間ほどと短い。
成虫の前翅先端部には、蛇の頭のような模様が発達し、これを相手に見せて威嚇すると言われているが、定かではない。灯火によく飛来する。』

纏めると、こんなところかな。
この蛇の頭に擬態していると云うのは昔からよく言われているが、大いに疑問だ。たぶんそれを証明した者は誰もいないだろう。個人的見解では、あんなもんが威嚇になるとは思えない。鳥の目は無茶苦茶いいから、この程度では騙されんじゃろう。コレは最初に言い出した人のコジツケだろうと思う。でも、そうゆう風に想像することじたいは悪くないと思うけどね。発想が豊かで想像力が逞しい方が面白いじゃないか。時に、それが正しいことだってあるだろう。クソ真面目を否定するつもりはないが、クソ真面目ばっかだと、ツマラン。

あっ、幼虫の餌を書くのを忘れてた。
『森林域に生息し、幼虫はアカギやモクタチバナ、フカノキ、カンコノキ類、トベラ、ショウベンノキなどを食草とする。』

やっぱ蛾って、何でも食うんだな。蝶と比べて蛾の方が食樹や食草の領域が広い傾向が強い。蛾の進化したものが蝶だと云う説を聞いたことがあるけど、こういう食の嗜好性が広いモノの方が進化してると言えまいか❓蝶好きは蛾嫌いの人が多いから、蝶の方が優れていると思いたいんだろね。

『年に3回(4月、7月下旬~8月上旬、10月中旬頃)発生する。卵の期間は11から12日、幼虫期は摂氏20度で57日、25度で43日、30度で46日、蛹は24度で28日、30度で46日。熱帯産にもかかわらず、高温だと成長が遅い。2齢までの幼虫は2から5頭の群れを作る。』

へぇ~、年三回も発生するんだ。日本のヤママユガ科の多くは年1化のものが多く、一部が年2化だから、意外だった。まあ、南方系だから、そうなるか。だいたい南の暖かい場所の昆虫は多化性になるのだ。

参考だが、ネットの「みんなで作る日本産蛾類図鑑」のヨナグニサンの項に興味深い記述があった。

繭の写真について述べられたものだ。
『写真は与那国島のもので、中はすでに空。繭にヨナグニサンの脱出坑が無いので、コロギスに寄生された疑いが濃厚。コロギスは繭に卵を産みつけ、初齢で繭に潜り込み、ヨナグニサンの蛹を食し成虫に至る。食糧が無くなると、適当に繭を食い破り、脱出するらしい。』

コロギスってバッタ、いやさキリギリスの仲間だろ❓
そんなもんが寄生するなんて、俄には信じがたい。だとしたら、無茶苦茶に面白い。でもググっても他に関連した記事は見つけられなかった。

 
【オキナワルリチラシ Eterusia aedea】
(2010.5.27 沖縄県 与那国島)

 
与那国島に蝶採りに行った時に結構飛んでた。
綺麗だなと思いつつも蛾だからずっと無視してた。蝶好きだからといって、綺麗でも蛾はダメなのだ。

コレって、そういえば大人になって初めて採った蛾だ。でも、あまりにも綺麗なので、つい採ってしまった。
けど、採っても恐くて三角紙に翅をたたまずに放り込んで厳重に何重にも包んだ。もしも這い出してきたら、発狂すると思ったのだ。してからに、宿の冷凍庫に放り込んでもらい、完全にブッ殺したのだった。

 
(出展『yohbo.main.jp』)

 
これも綺麗だけど、岸田先生の本には凄いのが載ってるので、ソチラも添付しておこう。

 

 
配色が素晴らしい上に、メタリック。仰け反る美しさだ。

オキナワルリチラシといえば、昼間に飛んでることくらいで、詳しいことは殆んど知らない。
んなワケで、Wikipediaで調べてみた。

『スリランカ、インド、ネパール、ミャンマー、タイ、中国、台湾にかけてのアジア一帯と、日本では琉球列島から本州中部まで広く分布しており、名にオキナワとあるが南西諸島特産種ではない。ただし、南西諸島産のものは多くの亜種に細分される。また本州のうち温暖でない地域では個体数が極めて少ないため、自治体によっては絶滅危惧種としてレッドリストに掲載しているところもある。
成虫は開翅長30-35mm ほどの小さなガであるが、名にあるとおり前後翅、頭胸部及び脚に見る方向によって緑から瑠璃色に変化する金属光沢を有し、日本産のガとしてはサツマニシキと並ぶ美しいガである。ただし、体のどの部位にどのくらいの金属光沢が出るかは亜種により異なり、八重山産種は前後翅のほぼ全部が光り輝くが、本州に産する亜種は地味な赤褐色にしかならない。
オス、メスともに櫛型の触角を有する。オスの触角の櫛歯はメスよりはるかに長く、先端が扁平となり広がる。
幼虫は、ヒサカキやツバキなどを食草とする。人の手で捕えるなど、体表に何か触れると外敵から身を守るため青酸系の毒物を含んだ液体を出す習性がある。 成虫は、チョウのように昼間飛ぶことが多い。また、捕まえると胸部から青酸系の毒物を含んだ白い泡のような液体を出す習性がある。』

久米島亜種 Eterusia aedea azumai Owada, 2001
徳之島亜種 Eterusia aedea hamajii Owada, 2001
中之島亜種 Eterusia aedea masatakasatoi Owada, 2001
屋久島種子島亜種 Eterusia aedea micromaculata Inoue, 1982
八重山亜種 Eterusia aedea okinawana Matsumura, 1931
沖縄本島亜種 Eterusia aedea sakaguchii Matsumura, 1931
本土亜種 Eterusia aedea sugitanii Matsumura, 1927
奄美亜種 Eterusia aedea tomokunii Owada, 1989

ものすごく亜種があるんだね。海外にも亜種が沢山いるみたいだけど、面倒なので端折(はしょ)る。

 
【サツマニシキ Erasmia pulchella】
(出展『おきなわカエル商会』)

 
(出展 岸田泰則『世界の美しい蛾』)

 
美しくもあるが、毒々しくもある。
元々は蛾嫌いだから、偏見なんだけどもね。
でも捕まえると、コヤツも体から青酸の泡を噴き出しよるから、やっばおぞましいわい。

和名は漢字で書くと『薩摩錦』。どなたが名付けられたか知らないが、優美な名前でセンスあると思う。

コヤツもオキルリと同じく昼行性の蛾で、目にする機会は、そこそこある。だから、採ったことは日本でも海外でも何度かある。けれど、画像が一つもないので、図鑑からパクらせて戴いた。展翅もしていないから、そっちの方の画像もないのだ。
採ったものは全てどなたかに御進呈申しあげた。

ついでに岸田先生の解説文も、そのまま使わせて戴こう。

『数多くの個体変異や地理的変異が見られる。例えば後翅の白色部が拡大したものや、まったく失ったものなど様々である。幼虫は双子植物の「ヤマモガシ」を食す。生息域はインド、中国南部、インドシナ半島、台湾、日本などのアジア各地で、いくつかの亜種が認定されている。日本では近畿地方以西の暖地に生息。南西諸島のものは特に美しい色が特徴だ。』

多分、日本には本土亜種と屋久島亜種、南西諸島亜種に分けられてたんじゃないかな。海外の亜種はもう面倒臭いので割愛させて戴きやす。

 
【キオビエダシャク Milionia basalis】
(2017.6.台湾 南投県埔里)

 
台湾で採ったものだ。町中の花が咲いてる木に沢山集まってた。台湾2度目の来訪の初日だったんだけど天気が悪くて、つい採ってしまった。
メタリックで美しいとは思いつつも、蛾アレルギーなので、背中がゾワゾワで採ってた。

シャクガ科の蛾で、イヌマキの害虫として知られる。
成虫は濃い紺色に黄色の帯があり、それが名前の由来だろう。日本では南西諸島に多い蛾で、近年は九州で定着、生息域を拡大させている。おそらく地球温暖化の影響だろう。あとは南九州地方では旧武家屋敷などに生垣としてイヌマキが植えられていることが多く、それも関係しているのかもしれない。

因みに、日本では採ったことがない。
あれ❓展翅した覚えがないなあ…。
(;・∀・)あっ、展翅してないわ。多分、冷凍庫で眠ってるな。

 
【イボタガ Brahmaea japonica】
(2018.4.5 兵庫県 武田尾)

 
エゾヨツメと同じ日に採ったものだ。
運が良ければ、春の三大蛾のエゾヨツメとイボタガ、オオシモフリスズメが同時に採れる。

 
(2018.4月 大阪府箕面公園)

 
中でも、このイボタガが飛んで来るとテンションが上がる。
鱗翅類で唯一無二のスタイリッシュなデザインでカッコイイ。モノトーンの美しさの極みだろう。
岸田先生も、「国鳥」や「国蝶」があるように、もしも「国蛾」を制定するならば、このイボタガが一番の候補だろうとおっしゃっておられる。

分布は北海道・本州・四国・九州・屋久島。
日本の固有種だが、近縁なものが世界に15種類ほどいるようだ。

幼虫の食樹は、イボタノキ、モクセイ、トネリコ、ネズミモチ。近年は各地で生息数を減らしているようだ。

展翅は、まだ蛾の展翅に慣れていなかったので上翅が上がり過ぎてる。今年はもっと完璧な展翅をしてやろっと。

せっかくだから、春の三大蛾のもう1つも紹介しておくか。

 
【オオシモフリスズメ Langia zenzeroides】(2018.4.5 兵庫県 武田尾)

美しいと云うか、禍々(まがまが)しくてカッコイイ。悪の魅力に満ち満ちているのだ。

最初に見たときは、ステルス戦闘機かと思ったのを、よく憶えているよ。
デカイし、迫力も半端ない。翅はギザギザで鋭利な刃物のようだし、鈍色のネズミ色も強者の雰囲気を醸し出しておる。触角も悪魔的だ。脚は太く、クワガタムシ並みに強力で、手から剥がす時は痛い。オマケに鋭い棘があって、最初は咬まれたかと思って、メッチャびっくりした。
それに、尻を上げ、気持ちの悪い形になって威嚇しよる。

 

 

 
こんな奴、普通は気持ち悪くて触れんやろ。

頭の方に⚡雷的というか、ソリコミというか、ヤバイ系の柄まである。

 
(以上3点共 画像提供 森博司氏)

 
掴むとキューキュー鳴くしね。悪魔の落とし子かよ。
何か全てが規格外と言えよう。最初は度肝抜かれたけど、慣れたら可愛いんだけどね。

この蛾も春先の3月から4月だけに現れるものだ。
分布は本州・四国・九州・対馬。西日本に多く、中部地方から東ではあまり見られない。
幼虫の食樹はサクラ類である。

イボタガとオオシモフリスズメの事も『春の三大蛾祭り』に書いてあるので、読んでね。っていうか、コッチが主役なんだけどもね。

思った以上に長くなったので、今回はここまでにしておこう。但し、続けるかどうか気分です。

                    おしまい

 

未だ見ぬ日本の美しい蛾2


年末に岸田先生の『世界の美しい蛾(註1)』について書いたが、本には海外の美麗蛾のみならず、日本の美しい蛾も数多く紹介されている。
今回も前回に引き続き日本に分布する未だ見たことがない憧れの美しい蛾たちである。

 
【ハグルマヤママユ Loepa sakaei】
(出展『世界の美しい蛾』)

 
鮮やかな黄色にアクセントとなる赤褐色の眼状紋が配されている。このビビットなコントラストが美しい。それを引き締めるかのような黒い波状線がまた何とも心憎い。艶やかにして、粋(いき)。この美しさには誰しもが瞠目するだろう。
ヤママユガ科(Saturniidae)の蛾は美しいものが多いが、中でもハグルマヤママユが最も美しいと思う。ヤママユガ科の中では、やや小さいと云うのもキュートな感じがして好ましい。

漢字で書くと、おそらく「歯車山繭」だろう。
ヤママユの仲間は皆さん眼状紋があるけど、波状の線が目立つゆえ動的に見えたから歯車ってつけたのかな?
由来さておき、中々良い和名だと思う。早口言葉で三回続けて言うと絶対に噛みそうだけどね。

分布は奄美大島、徳之島、沖縄本島北部とされているが、宮古島なんかでも採れているみたいだ。
ハグルマヤママユ類は東南アジアに広く分布しており、似たようなのが沢山いるものの従来はtkatinkaとして一まとめにされ、特に種としては分けられていなかったようだ。日本のものも、その1亜種とみなされてきた。しかし近年になって分類が進み、多くが種に昇格したという。日本産も別種とされ、日本固有種となったようだ。

年3回の発生で主に3月、5月、8~10月に見られるとある。ヤママユの仲間は年1化が多く、一部が2化すると云うイメージだが、南方系の種だけあって年3化もするんだね。

何だか久々に奄美大島に行きたくなってきた(註2)。
奄美にはハグルマヤママユもいるし、キマエコノハもいるもんね。それにベニモンコノハの記録も一番多い。上手くいけば憧れの美しい蛾が三つとも採れるかもしれない。
蝶だって美しいものが多い。この島特有の美しいアカボシゴマダラやアマミカラスアゲハがいるし、春ならば、日本で最も美しいとされる白紋が発達したイワカワシジミだっている。

 
【アカボシゴマダラ♂】

 
【オキナワカラスアゲハ奄美大島亜種 夏型♂】

【同♀】

 
【イワカワシジミ】
(各地のものが混じってます。)

 
そうそう、思い出したよ。そういえば最近は沖縄本島にしかいなかったフタオチョウも土着しているというじゃないか。フタオチョウは沖縄県では天然記念物で採集禁止だが、鹿児島県ならばセーフだ。あのカッチョいいフタオチョウを大手を振って採れるのだ。

 
【フタオチョウ♀】

 
つまりレピ屋には、奄美はとっても魅力的な島なのだ。
それに奄美の海はとても綺麗だ。食いもんだって沖縄とは桁違いに旨い。アバスの唐揚げとか死ぬほど美味いもんな。
(ToT)嗚呼、奄美行きてぇー。

                     おしまい

 
追伸
冒頭に蛾たちと書いたし、数種を紹介する予定でいたが、早くも力尽きた(笑)。
やっぱ不調なのである。ボチボチ書いていきます。

 
(註1)世界の美しい蛾

グラフィック社より出版されている。
今のところ、ジュンク堂など大きな書店に行けば売ってます。

 
(註2)久々に奄美大島に行きたくなった
本ブログに『西へ西へ、南へ南へ』と云う奄美大島の紀行文があります。自分的には好きな文章。昔の方が良い文章を書いてたと思う。よろしければ読んで下され。

 

未だ見ぬ日本の美しい蛾1

  
年末に岸田先生の『世界の美しい蛾(註1)』について書いたが、今回はその続編。
本には海外の美麗蛾のみならず、日本の美しい蛾も数多く紹介されている。

大概の蛾は知っていたから驚きはあまり無かったが、コレには目を見張った。
 

【ダイセツヒトリ Grammia quenseli daiset】

 
ヒトリガ科(Arctiidae)・ヒトリガ亜科(Arctiinae)。
北海道の大雪山系に棲む高山蛾だ。昼行性の蛾だから、高山植物のお花畑なんかに飛んでるのかな?
国外では、ヨーロッパからアラスカにかけての寒冷地、高地に棲息する。
存在を知らないワケではなかったけれど、認識不足だった。小さいし、もっと地味なイメージを持っていたんだけど、拡大された画像を見て驚いた。まさか、こんなにも渋カッコイイとはね。シンプルだけど、とても洗練されたデザインだ。
そういえば棲息地である大雪山系に行った事があるけど、見なかったなあ。時期的には6月下旬だったから、見ていてもおかしくないんだけどね。或いは蝶以外は眼中に入ってなかったのかも。

調べたら、何と頻繁には飛ばずに地面を歩き回ることが多いようだ。おいおいである。お花畑を優雅に飛ぶのを想像してたからガッカリさんだ。しかも地表の地衣類なんかにジッとしてて、保護色になって見分けがつかんらしい。道理で目にしない筈だ。まあ、それでも次回行く事があったら、真面目に探してみよう。

 
【トラガ】

 
そういえば、トラガは台湾で採ったな。
花に吸蜜に来ていた。トラガは昼間に活動する蛾なのだ。
昼行性の蛾はこのように派手な柄のものが多いような気がする。毒のある奴が多いのかな?
とも思ったが、そうでもなさそうだ。毒のある者もいるが、無い者も結構いるみたい。このトラガも調べた限りでは毒持ちではないようだ。考えてみれば、昼間飛んでいる派手めの蝶に毒があるかといえば殆んど無いもんね。日本で毒があるものは、ベニモンアゲハとツマベニチョウくらいしか思い浮かばない。

 
(2017・7月 南投県仁愛郷)

 
(・。・;ん❗❓
よく見りゃ、微妙に全然違うぞ。翅形も違うし、柄も
似てるが仔細に見れば異なる。
あ~、そうだ。これってトラガじゃないや。別種だったよね。忘れてたわ。
たしか、Epistene lectrix(選彩虎夜蛾)って奴だったっけ…。近縁種なのかな❓トラガの学名を調べてみよっと。
あれれ❓、Chelonomorpha japana となっている。属名だって全然違うじゃないか。
どちらもNoctuidae(ヤガ科)・Agaristinae(トラガ亜科)だとは思うんだけど、よくワカンナイや。下手に足突っ込むと、またエライことになりそうなのでスルーしとこっと。

兎に角、本チャンのトラガはまだ見た事がない。いや、見た事はあるかもしれないが、眼中に無しでスルーしてた可能性は高い。何れにせよ、採ったことがないと云うのが現実だ。今年は、ぽいのを見掛けたら採ることにしよう。でも、この柄って気持ち悪いっちゃ、気持ち悪いんだよなあ…。腹が黄色いとか赤いのもゾワつく。

他に本の中で紹介されている日本の蛾は、オオシモフリスズメ、キョウチクトウスズメ、クロメンガタスズメ、ギンモンスズメモドキ、キマエコノハ、ベニモンコノハ、ハグルマヤママユ、エゾヨツメ、ヨナグニサン、イボタガ、サツマニシキ、オキナワルリチラシ、キオビエダシャク、シンジュキノカワガ、ヒトリガ、ジョウザンヒトリ、イチジクヒトリモドキ、シロシタバ、ムラサキシタバ。
思ってた以上に意外とオラ、結構採ってるぞ。

とはいえ、採った事が無いものも多い。
採ってないものは、キマエコノハ、ベニモンコノハ、シンジュキノカワガ、クロメンガタスズメ、キョウチクトウスズメ、ギンモンスズメモドキ、ハグルマヤママユ、ヒトリガ、ジョウザンヒトリ、イチジクヒトリモドキ、ハグルマヨトウかあ…。

 
【キマエコノハ Eudocima salaminia】
(出展『outsvx.com』)

 
画像は岸田さんの本ではなく、他の人のブログから拝借した。
この方の展翅が一番美しくカッコイイからだ。他の蛾の展翅だって美しいしね。文章も好きだから、よく読まさせて戴いている。
そういえば思い出した。ネットでこの画像を見て、初めてキマエコノハの存在を知って、カッケー( ☆∀☆)と思ったんだよね。
あと、この画像を選んだ理由としては、あまり先生の本の画像をお借りすると御迷惑を掛けそうなので、適宜ちょいちょい入れてく事にした(特に出展と記していない画像は『世界の美しい蛾』からの引用)。
載せてないのは、本を買って見てくだされ。

話を本筋に戻す。
見たことない蛾で一番会いたい筆頭は、今のところこの蛾かなあ…。
色も綺麗だし、配色もいい。形もシャープな感じがして好きだ。全体的にエキセントリックというか、攻めたデザインで、巨大化させれば怪獣としても充分通用するだろう。「毒蛾怪獣キーマエコノハー」、結構人気出ると思うよ。あっ、キマエコノハには毒持ちじゃないと筈だけどさ。

分類はヤガ科(Noctuidae)・Eudocima属。
補足として、エグリバ類(Calpinae)ともあった。
アッシは今も蝶屋だし、純粋な意味での蛾屋ではないから、これが何を意味するのかはワカラン。きっと蛾の分類は蝶よりもややこしいんだろなあ。

南方系の種で、日本での分布は主に南西諸島のようだ。しかし最近は地球温暖化に伴って分布を西へ拡大しており、九州や四国、本州西部での記録が増えているようだ。とはいえ、まだ迷蛾の部類で、定着はしていないだろう。国外の分布はインド、南大平洋諸島、オーストラリアなど。

ライトトラップにもパイナップルやバナナなどのフルーツトラップに寄って来るそうだ。沖縄・奄美諸島に行けば何とか会えそうだなあ。でも、出来れば近畿地方で狙って採りたいものだ。

生態面で、ちょっと面白いなあと思ったのはコレ↙

 
(出展『与那国フィールドノート』)

 
昼間は、こんな風に葉っぱに止まってるらしい。
この画像を見て、一瞬何が何だか解らなかったよ。どう見ても、落ちた緑の葉が枯れかけて外側が丸まり始めたようにしか見えない。まるで3D的だまし絵みたいじゃないか。
(´∇`)嗚呼、アナタに騙されてみたい。

 
【ベニモンコノハ Phyllodes consobrinus】

 
分類は(Noctuidae(ヤガ科)・Catocalinae(シタバガ亜科)。あらま、かなりキマエコノハに近いものかと思いきや、案外遠い❓

上翅は地味でどって事ないけど、下翅は美しいね。
日本の国旗、日の丸みたいだと思ってたら、本にも「その紋様から標本商の間では「日の丸」と呼ばれることもある。」と書いてあった。

 
(出展『断虫亭日乗』)

 
(;゜∇゜)ワオッ❗、思ってた以上にデカイね。
デカいのは好きだ。ハンター気質としてはモチベーションが上がる。蝶採りを始めて10年ちょっと、蛾採りを始めて2年だが、基本はミーハーなのでデカくて綺麗くてカッコイイのはシバく意欲が湧く。

生態的にちょっと変わってると思ったのは、ライトトラップには殆んど誘引されないようだ。蛾だからって、何でもかんでも光に集まるワケじゃないんだね。その代わり、パイナップルなどのフルーツトラップにはよく集まるようだ。

岸田さんの解説には、分布はインド、インドネシア、中国南部、日本で、日本のものは小型で別亜種だとあった。しかし文献を漁っていると、基本的には迷蛾で、日本には土着していない可能性が高いとする向きもある。
2011年に奄美大島で纏まって採れたそうだが、二町一成氏他の論文(註2)によると、偶々海外から飛来したものが、その年に二次発生した可能性が高いとある。自分も論文を読んだ限りでは、概ねその論に賛成だ。おそらく中国辺りからの飛来したもので、狙って採れるものではないだろう。その理由は長くなるのでここでは詳しく書かない。知りたい方は註2の論文にアクセスされたし。

ネットサーフィンしてて、ゲッΣ( ̄ロ ̄lll)❗❗
グワッと仰け反り、笑ってもうた。幼虫の姿が、どえりゃーエグいのだ。厳密的にはベニモンコノハそのものではない近縁種のようだが、キマエコノハの幼虫とさして変わらんらしい。

 
(出展『カラパイア』)

 
何とも珍妙な姿に、(;゜∇゜)ハア❓って感じ。
最初はフザけたペリカンかよ❓って思った。どこか漫画っぽい。誰かが考え出した想像上の生き物みたいだ。そういえば、その記事にはポケモンのキャラ的感想が添えてあった。ポケモンに関しては詳しくはないけど、それって解る気がする。グロなんだけど、キモ可愛いところがあるのだ。

疲れてきたので、続きはまた次回。

                      つづく

 
追伸 
以後、不定期にこのシリーズはちょこちょこ書いていく予定です。

 
(註1)世界の美しい蛾

2019年にグラフィック社から出ています。
ジュンク堂など大きな書店に行くと売っとります。

(註2)ベニモンコノハの論文
『2011年 奄美大島にて多数採集されたベニモンコノハ』やどりが 2013 236号