舌の根の根も渇かぬうちに

 
前回のカニの話の続編である。

文章を書き終わって、スーパーに買い物に行った。
すると、前回に登場した今朝がた売っていた蟹が、なんと半額以下になっていた。980円が、な、何と400円❗生きている生の蟹が980円でも激安なのに、400円とは破格である。
しかし、今しがたスーパーに売っている蟹は大概がハズレで、旨かった試しなど一度たりともなかったと罵詈雑言を並べたばかりなのである。
この期に及んで、何と云うタイミングだ。舌の根の根も渇かぬうちに、ここで蟹を買ってしまえば、学習力ゼロの💫パープリンと言われても致し方なかろう。
むう~(-“”-;)、暫し悩んだ。
慥(たし)かに、この状況でまたぞろ蟹を買ってクソ不味いなんて事になれば、救いようのないアホだ。そんなアホは、カニ型宇宙人にムシャムシャ食われて死んだ方がよろし。

だが、気づけば手にとっており、重さを量っておった。それって、買う意志が無きにしもあらず、いや買う気全然ありやんか( ; ゜Д゜)
いやいや重さを量って、どうせ軽いんだろう? ほら、やっぱり軽いやんけー。誰がそんなクソ蟹なんぞ買うかボケーッ(=`ェ´=)と言いたかっただけなのだ。
と心の中で言いワケかましてみたが、嘘です。買う気、かなりありました。
だってさー( ̄З ̄)、400円なんだもーん。

で、4匹あるうちの一番重いのを買ってしまった。

 

 
前回には紅ズワイガニと書いたが、正体はズワイガニであった。
何で間違えたのかというと、朝方売っている時は魚屋さんみたいにクラッシュアイスの上に平積みにされており、札に紅ズワイガニと書いてあったのだ。しかもカニは全部裏側になってた。表側だと見間違うワケがないが、腹側だとチラ見程度では見分けにくいのだ。

因みに言っとくけど、カニ、特に生の蟹は腹側を上にして売られているモノの方が美味しい可能性大。
そうする事によって、カニ味噌が崩れにくいからである。それだけ店側がカニに対する扱いが丁寧である事をも証明している。
まあ、パックにされた時に表側になってたら世話ないけど(笑)

中を開けてみると、今朝はまだ辛うじて生きていたが、流石に御臨終されておられた。
さて、問題は調理法である。

もう刺身はしません。焼き蟹も蒸し蟹もしません。蟹めしも蟹チャーハンも致しません。
ここはシンプル。原点に帰って、茹で姿蟹にさせていただきやす。

塩水を2L分つくる。水1Lに対しておおよそ大さじ2の塩を入れればよい。
しかし、一番大きい鍋でもカニの幅に足りぬ。
ヤケクソで無理矢理ネジ込み、蓋をして半蒸し煮にしてやった。蒸し煮にした時間はおおよそ15分強。ぬるま湯の状態からブッ込んでやった。低温から徐々に火を入れた方が身質を損なわないのではと思ったのである。まあ、単なる思いつきなんだけどね。

カニの忌まわしいところは、外からではどれだけ火が入っておるのか皆目見当がつかないところだ。
コレは蟹を買う時にも当てはまるから、何とも苛立たしい。見てくれだけでは、どれくらい身が詰まっているのかワカランのだ。持って重さを量ると云う方法も無いではないが、コレとて所詮は相対的なものだ。並んでいるカニの中で一番身が入っていると云う事はわかっても、それがギッシリ詰まっている保証にはならない。魚と違って、目利きもへったくれもありゃしない。

Σ( ̄皿 ̄;;興奮してきた。カニには何度も落胆させらてきたのだ。そういえば、買った冷凍の蟹を解凍したら、青緑色に変色した事もあったな。チキショーめがっ❗

心を落ち着かせよう。
まあ、またクソ蟹だったとしても、所詮は400円なのだ。それほど怒ることはないと自身に言い聞かせる。
とはいえ、マズかったらどうせ怒髪天(#`皿´)にはなるんだろうけどさ。心の狭さはいくつになっても変わらんのだ。

グジャグジャ考えてるうちに茹で上がりましたよん。

 

 
ねっ、無理から鍋に入ってた形でしょ。
ザルの中でほっこり。湯あがりカニ型宇宙人の寛ぎの図。

取り敢えず、温かいうちに食ってみよう。
一番太い足をワッシと折る。で、鋏✂を入れて、まだ湯気の立っているところをそのまま頬張る。

\(◎o◎)/甘っめぇー❗❗❗
火の通り具合は、今しがたギリギリ火が通りましたと云った感じで、しっとりふっくらだ。
( ☆∀☆)ムッチャクチャ旨いやんけー。
身の詰まり具合もスーパーで買ったカニの中では一番だ。あのスカスカだった時のガッカリ感ったらないもんなあ…。

と、ここで近所の姉さんから飲みのお誘いが入った。
後ろ髪引かれる思いだったが、ただ酒という事なのでホイホイ出掛ける事にした。
と云うワケで昨日は文章を発表出来なかったのである。

翌日、残りのカニを食うことにした。

 

 
キレイに並べようと思ったが、既に足を1本食っているのである。左右対称にはならない。と云うワケで、ザックリと皿に盛った。

先ずはちよっとカニ味噌を味見をしてみる。
\(^o^)/うんめぇー。前回のカニ味噌は苦くてクソ不味かったが、ねっとりとして、微かな苦味のなかに旨みがたっぷりとあるではないか。

身をほじり出す。

 

 
うん、良い感じだ。
勿論、何もつける気はない。カニ酢なんぞ邪魔だ。
シンプル・イズ・ザ・ベストが一番である。

食ってみると、茹でたてには負けるが身はやっぱ甘い。
カニはやはり茹でたてが一番美味いんだなと改めて感じ入る。昨日は勿体ないことをしたが、冷えても旨いから許す。

ほじほじ~。ほじほじ~。
至福のほじほじ男の顔からは、微笑みが絶えることはなかった。

                 おしまい