2020’カトカラ3年生 其の弐(1)

 
 
  vol.25 ナマリキシタバ 第一章

汝、空想の翼で駆け、現実の山野にゆかん

 
2018年 8月13日

ずっと蝶屋だったが、この年から本格的に蛾のカトカラ(シタバガ亜属)も集めだした。蛾は苦手だけど、カトカラは綺麗なモノが多いし、胴体もあんまし太くないから抵抗感があまりなかったのだろう。
そうゆうワケで、謂わばこの2018年が自分の中での「カトカラ元年」と相成った。

ナマリキシタバも初年度から狙いにいった。関西には武田尾渓谷という手軽に電車で行ける有名な産地があったからである。
最初はまだカトカラをそんなに真面目に集める気はなかったけど、この1か月程前に稀種カバブキシタバを採ったあたりから集める気持ちが加速した。その流れの中で、ネットの『兵庫県カトカラ図鑑(註1)』というサイトを見つけた。そこに載ってたナマリキシタバの画像が無茶苦茶に渋カッコ良かった。しかも稀少度は最高ランクの★5つになっていた。
そこからナマリへの憧憬の旅路が始まった。

 
【ナマリキシタバ Catocala columbina ♂】

(出典『www.jpmoth.org』)

 
その後、ナマリの画像をネットで探してみたが、あんなに美しいナマリキシタバの標本画像は他に見たことがない。前翅の複雑な模様の中に、ビカビカの稲妻のような黄色い線がギザギザに走っているのだ。
残念ながら、その画像は取り込めないゆえ掲載できないけど、文末にURLを載せておいたので、興味のある方はアクセスされたし。
あっ、そんな事しなくとも「兵庫県カトカラ図鑑」と打つだけでもヒットはするんだけどもね。

この日はA木くんを焚き付けて、武田尾温泉近くで灯火採集をした。彼は蝶と蛾の二刀流だが、まだナマリは採ったことがないと知っていたから乗ってきてくれると思ったのである。

 

 
そこまでは目論見通りだったが、蛾は沢山飛んで来たのにも拘わらず、ナマリの姿はついぞ見られずじまいだった。
たぶん午前0時くらいには撤退したかと思う。こっから先の時間帯がナマリの飛来タイムである事すら知らなかったのだ。
でもまだ、この時点では楽勝気分だった。自称「まあまあ天才」。蝶なら大概の種は一発で仕留めてきた男なのだ。ゲット数250種くらいある中で、採りに行って連敗した蝶は片手にも満たないのだ。

 
2018年 8月15日

翌々日、渓谷の反対側(南)に行った。
ライト・トラップは持っていないので、糖蜜トラップで採れないかと思ったのである。まあまあ天才なのだ、いくらナマリキシタバがカッコ良くて珍しかろうとも、たかが蛾だ。とっとと片付けてやろう。

後ほど図鑑等で知ったのだが、環境的には絶好の場所で、如何にもナマリが居そうなところである。

 

 
周辺には、幼虫の食樹であるイブキシモツケも沢山生えている。

 

 
やがて、闇が訪れた。

 

 
ここは旧国鉄福知山線の跡地で、今はハイキング道になっており、線路とトンネルがそのまま残っている。
そのトンネルの奥は真っ暗だ。闇が尋常でなく濃い。

 

 
あんぐりと開いた不気味な黒い口の先は、背中に悪寒が走るほど深い闇だ。
怖がりで小心もんのワシには、チビるに充分なシチュエーションじゃよ。

昼間だと、↙こんな感じだが、それでも充分に怖い。

  

 
何てったって、出口の明かりさえ見えない長いトンネルだってあるのだ。昼間でも懐中電灯が無ければ歩けないようなレベルの暗さなのだ。

時々、と云うか頻繁にトンネルの方に目を遣る。

だって、奥から魑魅魍魎どもが走ってきたら、ワシのマイライフはジ・エンドなんだもーん༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ༽

いつでも全速力で逃げられる用意をしておかなくてはならんのだ。一歩でも逃げ出すスピードが遅れれば、致命的な結果になりかねない。

しかし、そこまで必死こいて頑張ったのにも拘わらず、糖蜜に来たのはムクゲコノハとアケビコノハ、それとオオトモエくらいだった。

 
【ムクゲコノハ】

(2019.8月 岐阜県高山市)

 
乙女のカッチャンは「ねっ、ねっ、コイツ綺麗だよね。」と言ってたけど、正直なところ毒々しくて気持ち悪い。元来、蛾はキモいから苦手なのだ。ってゆうか、怖い。餓鬼の頃からの蛾=邪悪と云う図式の刷り込みは容易な事では拭い去られるものではない。

コイツと次のアケビコノハは、よく糖蜜に寄ってくるが、妙に敏感ですぐ逃げよる。これが💢イラッとくる。だから、しばしばバイオレンスな気持ちになる。まだシバき倒してやった事はないけどさ。

 
【アケビコノハ】

(2019.5月 大阪府東大阪市)

 
普通種だが、素直な気持ちで見るとカッコ美しい。
でも前述したように、しばしば殺意を抱(いだ)く存在。

 
【オオトモエ】

(2018.8月 奈良県大和郡山市)

 
個人的には「マスカレード」と呼んでいる。
仮面舞踏会のマスクみたいなデザインだからだ。大きくて見栄えも良いから割りと好きな蛾だが、翅が薄くて直ぐにボロボロになりよる。たぶん藪の中とか変なとこを飛ぶせいもあるのだろう。パッと見キレイそうだからと採ってみたら、大概が縁がボロボロになっとる。羽化直後のような新鮮な個体でも、どこか破れているのだ。そんなワケだから採る度ごとに一々ガッカリするし、コヤツも敏感な奴が多くて直ぐ逃げるのも何だかムカつく。だから最近は見てもフル無視だ。

それにしても展翅がなあ…。よくよく見ると下手クソだわさ。まだ蛾の展翅には慣れてない初期の頃のモノだから、前翅が上がり過ぎてるし、触角の角度も上向き過ぎてる。蝶と蛾とでは羽の形が微妙に異なるから、蝶とは勝手が違うのだ。来年は改めて採り直して、完璧なのを作ろっと。
あっ、全然関係ないけど、台湾の青いトモエガは超カッコイイから是非とも自分の手で採りたいね。

 
【Erebus albicincta obscurata 玉邊目夜蛾】

(出典『飛蛾資訊分享站』)

 
美しいだけでなく、結構デカいらしい。
これはマジで採りたいから、どなたかポイントを教えてくれんかのう。

 
2019年 7月24日

2019年の一発目は、武田尾駅の1つ先の道場だった。
ここにもナマリキシタバの幼虫採集の記録があるからである。去年、武田尾で2連敗した教訓から、場所を変えてみようと考えたのだ。ターゲットを落とす為には、ありとあらゆる可能性を考えて戦略を練らなくてはならない。女の子を落とすのと同じだ。
あっ、でもワシって、いつもその場その場の出たとこ勝負だわさ。まあ、それも戦略っちゃ戦略かもなあ…。

場所は謂うなれば前回とは反対側の渓谷の北の外れにあたり、ここから武田尾渓谷を経て生瀬まで幼虫の採集記録がある。
でも、見たところ幼虫採集のみの記録しかなくて、成虫が採れたと云う話は聞いたことがない。そこんとこは気になるところではある。皆さん、成虫は中々採れないゆえに幼虫採集をしやはるみたいだ。どうやら標本を得るためには、終齢幼虫を採ってきて親にするのが一番手っ取り早いらしいのだ。
でも、蝶を採り始めた時からファーストコンタクトは成虫採集でなければならぬと云う強い拘りがある。はなから幼虫を採ってきて羽化させてハイ採れましたじゃ、卑怯な気がするのだ。どこか正々堂々と対峙してないと感じてしまう。
ことわっとくが、これは別に他人のやり方を誹謗中傷しているワケではない。単に自分は、そうゆう主義なのである。そこは己の生き方にも通じるところがあるから曲げれない。それだけの事だ。他人がどうあろうと関係ないし、興味もない。

 

 
千刈ダムまで行って引き返す。
周囲に灯りは全く無さそうで、日が沈めは真っ暗になると思ったからだ。それに何か辺りの風景が不気味だったので怖かったのだ。ダムってお化けとか幽霊が出そうなんだよなあ…。絶対に誰かが沈められてると思う。アッシ、自慢じゃないが、ウルトラ根性なしの怖がり屋で、チキンハート野郎なのさ。子供の頃、夜中に便所に行くのが怖くて妹に30円払ってついてきて貰ってたような男なのだ。

だいぶ手前の桜並木まで戻り、糖蜜を吹き付けてゆく。
何処であろうとも、採れりゃいいのである。異界の者に会うリスクは出来るだけ避けるべきじゃろう。

午後9時半くらいだったと思う。林縁の高い所を飛ぶカトカラを発見。
裏側は黄色いから、ナマリも含まれるキシタバ類に違いない。
大きさ的にはデカくないからパタラ(キシタバ=C.patala)ではない。消去法でいくと、既に発生が終わっているアサマキシタバやフシキキシタバの可能性も除外していいだろう。いたとしても相当なボロだかんね。どう見ても飛んでるのは、そんなボロ風情ではない。
この時期だと、おそらくコガタキシタバもボロだろうし、関西の低地だとワモンキシタバやウスイロキシタバも同じくボロだろう。それにウスイロは裏の色が薄く、オフホワイトだから間違う可能性は低い。
クロシオキシタバは主に沿岸部に棲み、内陸にはあまり居ない種だし、大きさもキシタバに次ぐものだからデカい。コレも有り得んだろう。

 
【キシタバ ♀】

(2019.6月 奈良県大和郡山市)

 
【アサマキシタバ ♂】

(2019.5月 大阪府東大阪市)

 
【フシキキシタバ ♂】

(2019.6月 兵庫県西宮市)

 
【コガタキシタバ ♂】

(2020.6月 兵庫県西宮市)

 
【ワモンキシタバ ♀】

(2019.8月 長野県上田市)

 
【ウスイロキシタバ 】

(2020.6月 兵庫県西宮市)
 
 
【クロシオキシタバ ♂】

(2018.7月 兵庫県神戸市)

 
残る可能性はアミメキシタバ、カバフキシタバ、マメキシタバ、そしてナマリキシタバくらいだろう。

 
【アミメキシタバ ♀】

(2019.7月 奈良市)

 
アミメって、此処に記録があるのかなあ❓ウバメガシが有ればいるかもしれないけど、あまり聞いた事がない。でも可能性はそれなりにあるだろう。

 
【カバフキシタバ ♀】

(2020.7月 奈良市)

 
カバフは稀種で、分布は局所的だ。いる可能性もないではないが、いない可能性の方が高い。

 
【マメキシタバ ♂】

(2020.7月 長野県北安曇郡)

 
マメは普通種だから間違いなく此処にも居るだろう。
でも翅形はナマリよりも細い気がする。飛んでるのはマメよりも翅が丸いような気がする。
となると、ナマリの公算は高いかもしれない。
しかし、降りて来ることはなく、やがて梢の上を優雅に越えて姿を消した。
まあいい、そのうち我がスペシャルレシピの糖蜜トラップに寄ってくるじゃろうて。何てったって、カバフを筆頭に樹液をも凌駕してきた糖蜜なのである。ドーンと来いじゃ❗

  

 
しかし、トラップには殆んど何もやって来ず、帰り際に飛んでたクソみたいな蛾(たぶんキマダラオオナミシャク)を思わず採ってしまう。
未曾有の大惨敗である。マジで心折れたね。

 
2019年 8月5日

まだ採ったことのないカトカラを求めての信州遠征5日目である。
ミヤマキシタバ、アズミキシタバ、ハイモンキシタバ、ノコメキシタバ、ヒメシロシタバ、ケンモンキシタバ、ヨシノキシタバを狙うも、前半は3連敗でボコボコ、漸く昨日になって何とかミヤマキシタバを仕留める事ができた。

 
【ミヤマキシタバ】


(上は♂で長野県大町市、下は♀で長野県木曽町)

 
とはいえ、連日のテント生活で疲れきっていた。おまけに新しい靴で死ぬほど歩き回ったせいで酷い靴ズレになってて、身も心もボロボロだった(註2)。

 

 
松本から新島々行きの電車に乗る。
目指すは、○○ちゃんに教えてもらった場所だ。

しかし、結構歩いた末に崖崩れで前へ進めず、ポイントには辿り着けなかった。仕方なく中途半端な場所で糖蜜を撒く。居ないとは言い切れないが、環境的にあまり期待が出来ないことは自分でも解っていた。でも糖蜜の甘い匂いに誘われて離れた所からでも飛んで来んだろう。生物の嗅覚は人間の想像する以上に優れていると言うからね。
でも(´Д⊂グスン。そうでも思わないと、やってらんないのである。

そして案の定、結果は惨憺たるもので、全くと言っていいほど何も飛んで来なかった。
もしかしたら、ナマリは糖蜜トラップでは採れないのかもしれない。となると、灯火採集用のライト・トラップが無いと無理なのか❓…。でも樹液に来たという記録は少ないながらも有るんだよなあ。

帰りに、駅で見たことがない蛾を見つける。
すわっ❗、ジョウザンヒトリか❗❓と思って採ってしまった…。

 

 
ついでにスタイリッシュな柄の別な蛾も採ってしまう。

 

 
蛾はカトカラとヤママユ系以外は採らない主義だが、何にも戦利品がないのは悲し過ぎる。なので、つい採ってしまったのである。そうでもしないと、溜飲が下がらなかったのだ。
けど、それで溜飲が下がったか?と訊かれたら、黙り込むかもしんない。所詮は己を誤魔化しているに過ぎないと、心の底では知っているからだ。

結局、帰って調べたら、別に珍しくも何ともない者たちであった。
最初のはシロオビドクガの♀みたいだ。

 

 
ドクガと名がつくが、毒はない。
♂は見た目が全然違くて、前翅の柄はもっと素っ気なく、後翅も黒くて地味。あまりにも両者の見た目が違うので、以前は別種だと考えられていたそうな。

2頭目はボクトウガの仲間である。

 

 
展翅したら、ズッコケるくらいに異様でブサいくな形(なり)だったんで、凹んだよ。
たぶん「ゴマフボクトウ」って奴だろう。

3頭目はマイマイガの仲間と知って、展翅すらしなかった。
たぶんノンネマイマイ。ノンネって何じゃらホイ?意味ワカランわい。死ねや(-_-メ)
マイマイガの仲間は時に大量発生するし、ホント気持ち悪い。触角もヤな感じだし、許せない。以前、カシワマイマイには一杯喰わされたしね(註3)。マジ、コイツら憎悪だ。

  

 
松本の居酒屋に入って、お通しのキャベツに味噌つけて食い、ビール飲んでテーブルに突っ伏す。
このシリーズを読んでおられる方ならお気づきだろうが、ここでも疲労と落胆で突っ伏していたのである。

 

 
店員のブス女に薦められたサラダである。
別にマズくはないのだが、如何せん量が多い。コレでソッコー腹一杯になった。
一人で居酒屋に入る時は絶対にサラダなんか頼まないのに、ブスの言うことなんて聞くんじゃなかったよ。

糞ブスめがっ(ノ`Д´)ノ彡┻━┻❗❗

やる事なすこと上手くいかなくって、オジサンは心がヤサグレてて、とっても荒(すさ)んでいるのである。女子店員に罪はない。

 

 
他にハジカミ(谷中生姜)の豚肉巻きも頼んだ。
けんど期待を下回るもので何ら感動がない。長野県って野沢菜以外にロクに旨いもんがないんだよなー。スマンが長野で食いもんに感動した事は一度だってないのだ。蕎麦は高いわりには美味くないし、馬刺は熊本の方が百万倍旨い。蜂の子とかも、さして旨くなくて、昔の人は食べるもんがないから仕方なしに食ってたんじゃないかという気さえする。五平餅はまだ許せるが、そもそも甘い味付けの食いもんは我が食のカーストでは底辺に位置するのだ。
それに、三河地方出身の小太郎くん曰く、五平餅の元々の発祥は三河で、そこと隣接する長野県南部の一部でも名物だが、それを他の長野県の地方がパクッてドサクサで長野名物にしてしまったという。どこまで本当なのかはワカランし、責任持たないけどね。真偽が知りたい方は、御自身で調べて下され。

ムカつくので、あとは只管(ひたすら)に酒をガブ呑みしてやったよ。
こういうのを、人は「ヤケ酒」と呼ぶ。

 
2019年 8月8日

この日は信州から大阪までボロボロになって戻ってきた。
にも拘らず、青春18切符だったので真っ直ぐには帰らず、根性で兵庫県の道場駅まで足を延ばした。

 

 
我ながら執念である。そこまでしてナマリに会いたいのだ。もうここまでくれば、恋愛の域だ。恋い焦がれている。

そして、今回は前回の道場のリベンジでもある。
でも全く同じ場所では返り討ちに遭うことは明白だから、ポイントを変えて前回よりも奥を目指した。そう、こないだはビビって逃げ出したあのダム・サイトだ。

この前は怖くて、それどころじゃなかったが、千刈ダムにはナマリの食樹であるイブキシモツケが山ほど有った。

よっしゃあー(ノ`Д´)ノ❗
ここで一発逆転じゃあ❗

この地でナマリさえ採れれば、逆転さよならホームラン、全ては大団円で終わるのだ。長野遠征の屈辱と疲れも一気に吹き飛ぼうぞ。

木と崖の岩に糖蜜を目一杯吹き付けてゆく。今日が旅の最終日なので、手持ちの糖蜜を全部使い切ってやる所存だ。

撒き終わった頃に日が沈み、真っ暗闇になった。
辺りには、ダムの放水音が不気味に響き渡っている。出るシチュエーションだ。そして、足を踏み外して落ちたら、土座右衛門必至である。で、朝にはプカプカと川に浮かぶのだ。旅の最後が溺死だなんて悲し過ぎるよ、ベイベェー。

だが、それだけ勇気を振り絞って頑張ったのにも拘わらず、又しても返り討ちに遭う。絶好の場所なのに、ナマリどころか殆んど何も飛んで来ん。武田尾といい、此処といい、極めて蛾の棲息密度が薄い。( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )バカ野郎めが…。

ギザギザにササクレ立った心を抱えて、早めに離脱した。午前0時までに家の最寄りの駅まで帰らないと、青春18切符の期限が切れるのだ。
とにかく又しても負けた。しかも、未だに何の手掛かりも無いに等しい状態だ。光明が何処にも見えない。

 
写真を撮っていないので日付はハッキリしないが、実をいうと、8月12日〜17日の間にも武田尾に行ってる筈だ。北側の武田尾駅方面からトンネルを抜けて樹液採集に行った記憶が強く残っているからだ。
何故に強く脳髄に刻まれているのかと云うと、メッチャクチャ怖かったからだ。ダムの時よか遥かに恐怖はデカかった。
渓谷の南側からのアプローチはトンネル内に入らずともポイントに行けるが、北側からだとポイントに行くのにトンネルを少なくとも2つは通り抜けねばならないからだ。
トンネルといえば、心霊スポットの王道だ。ゼッテー、ヤバいのがいらっしゃるに決まっているのだ。そんな所に一人で行くなんて自殺行為だ。

 

 
昼間だって充分怖い。懐中電灯が無いと歩けないのだ。
なのに、そこを夜に通るだなんて、正気の沙汰ではない。想像しただけでも、髪の毛が立つほどに恐ろしい。
それでも意を決して行ったのは、ナマリ嬢にどうしても会いたい、手籠めにしたいと云う強い欲望の為せる業だった。いつだって恋愛は、人をどこまでも愚かにさせる。

トンネルを通った時の記憶は朧(おぼろ)だ。メモリーはフリーズされ、脳内の永久凍土に奥深く埋められているのだろう。だから、その時の事はあまり思い出せない。でも時々、今でもトンネル内の冷んやりとした空気や暗闇を切り取る懐中電灯の長い光線、背中の毛が総毛立つよな感覚がフラッシュバックする事がある。人はね、恐怖の記憶を無意識に消すように出来てるのだ。でないと、生きていけないからね。

トンネルを幾つか抜け、雑木林に入った。
6月に別なカトカラを探しに来た折りに、樹液の出ている木を何本か見つけておいたのである。もしかして糖蜜トラップは効かないのかもしれないと考え始めていて、ならば樹液だったらどうだと思ったのだ。自然のモノゆえ、少なくとも糖蜜よりかは採れる可能性は高いだろう。
汝、空想の翼で駆け、現実の山野にゆかん。採れないのなら、想像力を働かせて策を練り、一つ一つ実行に移してゆくしかないのだ。

ここまで来ると、川の音も聞こえない。
辺りは森厳としている。
トンネルに比べれば怖くはないが、それでも懐中電灯を消すと暗黒世界だ。やっぱり怖い。鳥の声にギクリとする。怪鳥ギラータかもしれん…(・o・;)
心頭滅却。ナマリの事だけを考えよう。それが恐怖に打ち勝つ最適にして最良の方法だ。

程なくして、
来たっ❗❗と思った。

大きさ的に小さいからナマリだろ❗❓
慎重に距離を詰める。ここで会ったが百年目、何があっても我が手中に収めてやるっ(ノ`Д´)ノ❗

しかし近づくと、上翅にはナマリキシタバ特有の、あの稲妻が走ったような黄色い線が無い。
(-_-;)誰だ、テメェ❓

一拍おいて漸く気づく。
なあ〜んだ、アミメキシタバだわさ。やはり、この渓谷にもアミメちゃんは居たんだね。
にしても、(´ε` )ガッカリだよ。恥ずかしいまでの糠喜びっぷりだった。スゲー損した気分だ。

1時間ほど居たが飛んで来ず、焦れてポイントを移動する事にした。壁にイブキシモツケが沢山生えている場所がある事を思い出したのだ。記憶が一部寸断しているが、多分もう1つトンネルを抜けて其処へ行った筈だ。

だが、糖蜜トラップは又しても殆んど機能せず、クソ蛾がパラパラと散発で飛んで来ただけだった。オマケに雨までポツポツ降り出してきた。泣きっ面に蜂とは、正にこの通りだ。
それで思い出したよ。その小雨の中、壁の上の方を小さめのカトカラが飛んでた。網は全然届かない高さだ。多分、アレこそがナマリだったのではないかと思う。忘れていたところをみると、自分に都合の悪い記憶だから壁に塗り込めていたのだろう。
それにしても、何で糖蜜トラップは無視なのだ❓何ゆえに誘引されないのだ❓もしかしてワシの糖蜜が無能のクズ糖蜜なのか❓いやいや、そんな筈はない。同じレシピで今まで大きな成果を上げてきたのだ。
そういや、蛾界の若手のホープである天才マオちゃんも「ナマリのポイントで何度も糖蜜やってますが、来た試しがありませんね。」と言ってたなあ…。

結局、ソヤツも何処かへ消えた。
深窓の令嬢は未(いま)だに、その姿さえまともに現してはくれないのだ。謎めいた存在のままだ。

どうあれ、又しても惨敗決定である。
終電に間に合うように撤退した。勿論、またメチャンコ怖いトンネルを通ってである。記憶にあるのは、まだ彼女に会えてさえいないのに、こんなとこで魑魅魍魎どもに襲われて死んだとしたら、泣くに泣けないと思った事だけだ。記憶はあまり無いのにも拘わらず、二度とアソコには行きたくないと思ってるところをみると、相当怖かったに違いあるまい。

結局、2019年は屈辱の4連敗で終わった。
2018年の戦績も加えれば、何と6連敗だ。蝶での連敗記録の最大数はキリシマシジミの5連敗だから、最早それをも越えている。まさかである。しかも姿さえまともに見てないんである。「まあまあ天才」の自信、完全に瓦解である。
蛾なんぞと、完全にナメ切っていたが、たぶんチョウよかガを採る方が遥かに難しいと痛感させられたよ。
蛾は夜間採集が主だから、蝶みたく飛んでるのを見つけて採るとゆうワケにはゆかぬのだ。基本的に灯火採集か樹液&糖蜜採集しか採る方法はない。オマケに蝶と比べて情報量が極めて少ない。文献の数は遥かに少なく、マニアの数も少ないから情報も入ってこないのだ。

 
2020年は、余程5月に幼虫採集に行ってやろうかと思った。連敗に次ぐ連敗で、採れる気が全くしない。心は半分以上、折れていたのである。
しかし、グッと踏み堪えた。最後の最後まで闘う矜持を失うワケにはいかない。背水の陣。今年がダメならば、来年は潔く諦めて幼虫採りでも何でもしてやるよ、バーロー。

 
2020年 7月16日

2020年、最初のナマリチャレンジである。
気合が入ってる分、例年よりも始動は早い。

去年は糖蜜には全く反応が無かったので、この為に遂にライトトラップを購入した。
といっても、水銀灯や発電機、安定器がセットとなった大掛かりなものではなく、簡易の何ちゃってライトトラップである。

 

 
高出力UV LEDライトで、めちゃんこシンブル。でもってメチャメチャ軽い。たったの130gしかないのだ。
モバイルバッテリーは200gだから、全部で驚愕の330gしかない。

 

 
とはいえ、上のバッテリーは495gある。途中でライトが消えたら泣くに泣けないので、大容量のモノに変えてもらったのだ。それでも合計は625gである。車で行けないような山奥でも楽勝で持ち運べるのだ。
尚、このバッテリーだと12時間点けっぱなしでも容量が半分以上も残っている。ゆえに一晩だけなら、もっと低い容量のバッテリーでも充分もつだろう。

既にテストで何度か試している。勿論、威力は水銀灯に比ぶべきもないが、それなりに虫は集まって来る。目安としては40Wのブラックライト蛍光灯と同程度の誘引力があるらしい。

 

 
仕様は小太郎くんに貰った三脚に本体をビニールテープで貼っつけ、下に白布を敷いただけである。

 

 
この時点までの実績は、カトカラだとウスイロキシタバとフシキキシタバ、コガタキシタバ、キシタバが寄ってきた(註4)。

布を下に引くだけでは止まる面積が少ないし、見逃しそうなので新たに蚊帳も購入した。
本来ならば、白布をパイプか何かで作った枠組にスクリーン状に張らなければならないのだが、一々セットするのは面倒臭いし、布は重たいので薄手の蚊帳にしたのである。
ホームセンターで展示品だった二千円いくらかのものが、交渉したら消費税込みで千円くらいになった。こうゆう時は生粋の大阪人で良かったなと思う。

組み立ては超簡単だし、とにかく軽い。しかし、折り畳んでもデカいので、車が無ければ邪魔なサイズではある。日帰り採集くらいなら荷物も少ないから電車でも運べるが、荷物の多い長期の採集だと厳しいかもしんない。

そして、昆虫同好会で借りてきた同じ会社で作ってる超高出力のUV LEDライトも持参した。

 

 
コチラは600gと重いが(バッテリーは650g)、それでも1キロちょっと。ザックに入れて持っていける重量だ。
誘引力の目安としては、水銀灯200〜300Wの効果があるそうだ。但し、光はそれなりに強いが、点灯時間が1時間半と短いので、ナマリが飛んで来るという午前0時前後に投入する予定である。
現時点で、出来うる限りの事はやりきった。
今日こそ、今まで溜まり溜まった憤怒のマグマを💥爆発させてやるぜ。

場所は三度目の正直の道場である。
何故に此処を選んだのかと云うと、見通しのいい拓けた場所があって、その先の川向うには如何にもナマリが居そうな崖が有るからだった。だが、心配なのは少し距離がある事だ。崖まで50mはあるだろう。けど、周りが真っ暗なんだから誘引されると踏んだ。長時間点灯してりゃあ、そのうち飛んで来んだろう。
(´ω`)ハハハハ、長時間って書いたのは朝まで灯火採集をやるつもりの覚悟だからだ。そう、言ったように背水の陣なのである。もしこれでダメなら、もう自分で打てる手は無しである。

 

 
何だか美しい。「宇宙船地球号」と呟く。
どこが宇宙船地球号なのか自分でもよくワカンナイが、何となく口から言葉が漏れた。
因みに蚊帳の中の水色の丸いのが蚊帳のケースである。

宇宙船地球号の意外な程の美しさに暫しハシャいでいたが、点灯後すぐに死ぬほど羽蟻が飛んで来やがった。ガッデーム。正直、キモい。これも令嬢の嫌がらせかよと思ってしまう。
あとは何故かコガネムシが大量に飛んで来た。ウザいわ、ボケッ❗

一応、ダメ元で糖蜜も木に吹き付けておく。
これでナマリがライトにではなく、糖蜜に寄ってきたとしたら、お笑い草だよな。ライトした意味ねぇーじゃんかあ(+_+)
けどこの際、採れりゃ何だっていい。

しかし待つも、糖蜜にもライトにも来やしない。
少しずつ追い詰められてゆく。

午前0時。
満を持して、デカい方のライトも点灯する。

 

 
今度こそ、頼んますと手を合わせる。もう採れるのなら、神頼みだって何だってしてやる所存だ。

そして、時々糖蜜トラップの様子も見に行く。

 

 
(☉。☉)ありゃま❗
アンタ、こんなとこにも居たのね。
相変わらず糖蜜トラップにはロクなもんが飛んで来なくて1頭もカトカラは寄って来なかったが、ナゼかレアなカバブキシタバが採れてしまった。まさか、こんなとこにも居るとは思いも寄らなかったよ。カバブは局所的分布で珍しいと言われてるけど、探せば案外どこにでもいるのかもしれん。食樹のカマツカは、さして珍しい木ではないからさ。但し、何処でも個体数は少ないのかもしれないけどね。

(-_-;)……。
でも、お嬢は姿をチラリとも見せない。
心が、どんどんドス黒く染まってゆく。正直、泣きそうだ。

午前2時過ぎ。
業を煮やして場所を変える事にした。
そこなら崖の真ん前だ。イブキシモツケも結構生えてた筈だ。

 

 
去年、謎のカトカラが飛んでいた場所のすぐ近くだ。

 

 
午前3時。
見たことがあるまあまあカッコイイ蛾が大量に飛んで来た。
初めて京都で見た時も午前0時を過ぎてから現れたので、活動時刻が遅い蛾なのかもしれない。

 

(2018.7月 京都市)

 
たぶん、ツマキシャチホコって名前じゃなかったかな?
でも、オマエらなんかどうでもいい。採る気さえ起こらない。
活性が入り、他の蛾も飛んで来て期待値が上がるも、チャンチャン。結局また、お嬢に袖にされた。
白み始めた道を引きずるような足取りで駅まで歩いた。
コロンビーナ(columbina)は、何処にいるのだ❓
思わず、ボロっと口ずさむ。

🎵ビーナ、ビーナス
🎵何処にいるのか ビーナ〜
🎵誰か ビーナを知ら〜な〜いかあ〜❓(註5)

 
2020年 7月18日

明後日にも出動した。

 
再びの宇宙船地球号である。
やるっきゃない。もうヤケクソを超えた意地である。

今度は武田尾渓谷の南側にやって来た。
前回の反省から、もっと棲息地に近そうな場所を選んだのだ。道場は崖まで50mくらいあったが、ここなら20mくらいだろう。もし居れば、必ずや飛んで来る筈だ。いや、最も居る可能性の高い環境なのだ、居ない筈はなかろう。

どうせダメだとは思うが、一応周囲に糖蜜トラップも撒く。
こんだけ効果がないと、もはや期待なんか全然しない。全然してないと言ったけど、心の底の底ではどっかで期待してるんだけどね。奇跡を信じなきゃ、救われないもんね。
でも考えてみりゃ、ここでは1頭たりともカトカラはトラップに寄って来てない。何処でも必ず現れるタダのキシタバさえも見てないのだ。

午後9時半だった。

ビクッΣ(・ω・;|||❗

何か気配のようなものがしたので、振り向く。
見ると、トンネルの奥で灯りが揺れ動いている。
一瞬、🔥鬼火かと思った。だとしたら、お終いだ。
皆さん、ありがとうございました。そしてサヨウナラと心の中で呟く。
けど、ここで死ぬワケにはいかぬ。まだナマリ嬢を落としていないのだ。よし、もしも化け物なら、(-_-メ)ブッ殺してやる。網の柄を強く握り締める。これでタコ殴りして、マシンガンキックを喰らわしてやろうぞ。この溜まりに溜まった鬱憤を暗い怒りに転化してくれるわ( `Д´)ノ❗

よく見ると、灯りは1つではなく、2つだった。もしかして巨大な顔だけの👹鬼だったりして…。水木しげる先生の描いた妖怪に、そんな奴いなかったっけ❓

近づいて来る灯りが、やがてトンネルを出た。
どう考えても懐中電灯だ。とゆう事は、人だ。人間の形の影も見える。ホッとする。
しかし、こんな時間に、こんな場所に人❓
もしかしたら、殺人鬼兄弟が逃亡しているのやもしれん😱
再び全身の筋肉が緊張する。

どんどん近づいて来る。
あと15mってところだ。

こんばんわ〜。

気がついたら、朗らかな声で言っていた。
咄嗟に、殺人鬼ならば懐柔しようと思ったのである。殺されたくないという一心が、いい奴だと思われようとしているのである。だから明るい朗らかな声を掛けたのだ。上手くいけば、殺人鬼に見逃してもらえるかもしれない。
それに考えてみれば、アッチだって怖いかもしれないのだ。たとえ殺人鬼でも闇に浮かぶ宇宙船地球号の傍らに立つ男だなんて、どう見ても怪しい。怪訝に思って然りだろう。だから、それを解消するためにコッチから早めに声を掛けたのだった。一応、網の柄は逆さまに持っていて、いつでもブッた斬る姿勢は崩してなかったけどもね。

直ぐにアチラからも「こんばんわ〜。」と云う挨拶が返ってきた。
良かったあ〜。殺人鬼ではなさそうだ。
見ると、男性の若者二人組だった。

暫く立ち話をする。
聞くと、二人は廃線マニアらしい。鉄ちゃんには、そうゆうジャンルもあるらしい。こんなとこで蛾を探してる自分だって人の事は言えた義理じゃないけど、世の中には変わった人もいるんだね。それにしても。なして夜なの❓
尋ねると、たまたま夜になっただけらしい。なあ〜んだ、廃線マニアで、心霊マニアなのかと思ってたよ。

二人が去ると、再び辺りに静寂が訪れた。
いや、脳が消去していたが、川の流れる音は聞こえている。寧ろ、かえって音は強くなったような気がする。

時々、ライトの角度を変えるも効果なし。
何も起こらなかった。強いて言えば、カブトムシが飛んで来た事くらいか…。

虚しく、夜が明けた。

 

 
目の前は如何にもナマリが居そうな環境なのに、何で飛んでけぇへんの〜(ToT)❓
ホントに此処に居るのかよ❓絶滅したんじゃないのか❓
もう、そう思わずにはやってらんない。

 
2020年 7月19日

翌日と云うか、その日の昼過ぎに小太郎くんから電話があった。プーさんと一緒に灯火採集するけど、来ます?というお誘いだった。小太郎くんは、今年になって遂に水銀灯のライトトラップセットを買ったのである。

場所は能勢方面である。小太郎くんが、ここにはユキヤナギではなくてイブキシモツケ食いのホシミスジがいるからナマリもいる筈だと言い出したのだ。
本音では、そんなとこおるワケあるかーいと思ってたし、今朝の今日だから正直なところ行くのは億劫だった。昨日の惨敗で身も心も疲れきっていたのだ。
でも、その誘いに乗ることにした。ナゼかと云うと、すっごくセコい理由からである。もし行かなくて、本当に採れでもしたらメチャメチャ口惜しいからだ。我ながら、心が狭い。

夕方、川西能勢口でピックアップしてもらい、ポイントへと移動する。

確かにイブキシモツケはあった。しかし、数は少ない。
それに、あまり環境は良さそうには思えない。

日没と共に点灯。

 
やはり水銀灯は光量が強い。
ワシの何ちゃってLEDとは雲泥の差がある。やっぱ、コレくらい光が強くないとダメなのかなあ…。

前から存在が気になっていたムラサキシャチホコを初めて見た。小太郎くんが見つけてくれたのだ。彼には、前から会ってみたいとは言ってたからね。

 

 
こんなの、どう見ても丸まった枯葉にしか見えん。
自然の造形物の妙に、ただただ驚愕する。
別角度から見れば、そうでもないんだけどもね。

 

 
まるで「ダダ」とかオカッパの宇宙人の顔みたいだ。
コレも擬態❓(笑)

 

 
でも、よくよく考えてみれば、コレって昨日もいたよなあ…。
まさかムラサキシャチホコだとは思いもよらなかったので、無視した。頭の中はナマリキシタバで一杯だったのである。他の蛾は全て眼中になかったのだ。

勝手に「白い鷹グリフィス(註6)」と呼んでいるヒトツメオオシロヒメシャクもやって来た。

 

 
結局、カトカラの飛来はナマリどころか、宇宙船地球号に止まったコシロシタバ2頭のみだった。
やっぱりね。こんなとこ居ねえよ。

 
【コシロシタバ ♀】

(2020.7月 奈良市)

 
プーさんが欲しそうにしてたので、どうぞとお譲りする。
ワシを、蝶屋じゃなくて「蛾屋」だと散々に揶揄してきたプーさんだったが、今年からカトカラも集め始めているのである。面倒くさい人だ。

んな事は、どうだっていい。
これで9連敗。状況は、もう泥沼だ。しかも底なし沼である。弱小阪神タイガースかよ(´ε` )
ライト・トラップにも寄って来ないとなれぱ、どうすればいいのだ❓八方塞がりじゃないか…。

プーさんを神戸まで送り、小太郎くんと大阪に戻って来たのは明け方近くだった。夜遊びしまくってた頃だって朝帰りの2連チャンなんて記憶にない。(ㆁωㆁ)何やってんだ、俺…。
菫色の空を茫然と仰いで、深い深い溜息をつく。
もう一生、お嬢には会えないんじゃないかと思った。

                         つづく
 
 
ーお詫びー
小太郎くんの言として五平餅は元々は三河地方発祥のもので、長野県のパクリだと書いたが、小太郎くんから次のような指摘があった。
「あ、五平餅を愛知発祥だと言ったことはありません。飯田からの流れで地元の三河でもよく売られてるだけですよ。
名古屋名物は他のパクリが多いとは言ったけど。」

睡魔で、話がゴチャゴチャにミックスされてしまったようだ。
長野県の皆様、並びに飯田市の皆様、悪口雑言を撒き散らして、どうもすいませんでした。
よく調べずに書いて、ごめんなさいm(_ )m
あと、小太郎くんもm( _)mごめんなさいでしたー。

 
追伸
タイトルの『汝、空想の翼で駆け、現実の山野にゆかん』は推理小説の大家、松本清張の言葉をパクったものである。
数十年前に清張から石見銀山の若者に贈られた色紙に書かれた言葉で、そこに「汝、」を付け足しただけだ。
NHKのBSで清張と鉄道をモチーフにした番組の再放送をやっていて、そこに出てきた。タイトルを付けあぐねていたので、それに飛びついたってワケ。
少々、仰々しいタイトルだが、ナマリへの想いとチャレンジし続けなくては果実は得れないと云うことを表現したかったから、まっいっかとなったのさ。
或いは、『何処にいるのか、コロンビーナ』とでもした方が良かったのかもしれない。邪魔くさいから変えないけど。

 
(註1)『兵庫県カトカラ図鑑』
URLは、www.konchunkan.net.pdf
兵庫県昆虫同好会誌「きべりはむし(39(2)」に、2017年に掲載されたもので、兵庫県のカトカラについて書かれた決定版とも言える内容である。
著者は、阪上洸多・徳平拓朗・松尾隆人各氏の連名になっている。
兵庫県内のカトカラについて精査されており、記録地も書かれてあって、各カトカラに何処へ行けば会えるのかも分かるようになっている。
昨今はネット上では過剰なまでに産地が隠されているから、初心者の身としては誠に助かりもうした。
正直、幾らキレイな写真を御満悦にネットで載せようとも、そんなの記録には残らないからオナニーと同じなんじゃないかと思う。勿論ネットで公開すれば、あっという間に情報が広がり、トラブルの原因にもなることは理解できる。虫屋はモラルに欠ける人間が多いからね。
かといって、蛾なんて人気種のカトカラでさえも記録が少ないのだ。あらゆる面で、記録は後世に残していかなくてはいけないのは当たり前の話で、コレについては異論はなかろう。
記録を積極的に残せて、産地を荒れなくするような何か良い解決法は無いものかね❓そう、いつも思うのだが、妙案は未だ浮かばない。

『兵庫県カトカラ図鑑』の話に戻ろう。
前半はカトカラの概要と、その採集法が書いてあり、カトカラの入門編としての役割も果たしている。次にメインである各種の解説があり、最後には新たに兵庫県で発見される可能性のあるカトカラ(ケンモンキシタバ・ミヤマキシタバ)にまで言及されている。お世辞抜きにバイブルにも成りうる優れたものだと思う。特に近畿地方の人には拝読必須の文献だ。

 
(註2)身も心もボロボロだった
この辺の事については拙ブログに『薄紅色の天女』『白馬わちゃわちゃ狂騒曲』『突っ伏しDiary』と題して書いた。
一応言っとくと、それぞれベニシタバ、アズミキシタバ、ミヤマキシタバの回です。

 
(註3)以前、カシワマイマイには一杯喰わされたしね
これについては、拙ブログに『人間ができてない』と題して書いた。誠にもって大人気(おとなげ)ないと云う話。

 
(註4)何ちゃってライトトラップの実績
9月に試した時はシロシタバ、ゴマシオキシタバ、エゾシロシタバが飛来した。ムラサキシタバも近くまでは飛んで来た。
このライトトラップは、おそらく尾根や山頂などの拓けた場所ではなく、森の中や林縁で効果を発揮するのではないかと思われる。遠くに居る者を引き寄せるというのではなく、近くに居る者を引き寄せると云う考え方をした方がいいかもしれない。

因みに値段は、バッテリー込みで3万円だが、五十嵐さんから聞きまたしと言えば安くしてくれるかもよ。

一応、連絡先を載せておきます。

 

 
(註5)誰か、ビーナを知ら〜な〜いかあ〜
「上海リル」の替え歌です。ビーナとは学名「columbina」の、その場で思いついた略称。ビーナスは勿論あのヴィーナス、美神の事である。ナマリキシタバの美しさと掛けたのだ。
何でこんな世代でもない古い歌を知ってるのかは、自分でもワカンナイ。

 
(註6)「白い鷹」グリフィス
三浦建太郎の漫画『ベルセルク』の重要な登場人物。
戦場で恐れられる傭兵団「鷹の団」の団長。白銀の長い髪をなびかせる中性的な美貌の騎士で、鷹の頭を象った兜と白を基調とした出で立ちから「白い鷹」と云う異名がある。

 

(出典『moemee.jp』)

 
また平民出身でありながらも本物の貴族よりも貴公子然としており、民衆にも人気がある(だったと思う)。
だが、「自分の国を持つ」という夢を果たす為であれば、冷徹なことも平然とやってのける。
書き忘れたが、勿論のこと剣の腕前は超一流である。