前回のカニ出汁の話で書き忘れてた鱸(スズキ)の卵の話である。
スーパー玉出でスズキの卵が売っていた。
値段は280円だったが、半額になっていたので実質140円だ。
しかしデカくてグロいので買うのを躊躇した。でも反芻してみればスズキの子を食べだ記憶がない。となると魚卵好きとしては見逃せない。買うことにした。
ちなみに本体の画像は無い。デカくてグロいから撮る気が起きなかったのだ。それに普段なら切り分けて熱湯に放ち、花型に仕上げるのだが、水っぽい感じがしたので丸のままカニ出汁で茹でたら、よりいっそうグロくなってまっただよ(@_@)。白くてブヨブヨで、まるで何かの幼虫(芋虫)みたいに醜悪なのだ。おまけに血管的なものが黒い筋となって浮き立ち、誠に気持ちが悪い。押すとボワンボワンと体を揺らしよる。
\(ㆁωㆁ)/わちゃ、テメェ生きてやがんな思わず後ずさりしちゃいましたよ。醜悪にして邪悪。怖気(おぞけ)ましたがな。
ゆえにそっちの画像もない。
更にイラッときたのは、10分も茹でたのに切ったら中は大半が生だった。(-_-;)何なんだ、おまえ
お陰で計25分も茹でたよ。
それを輪切りにし、カニ出汁に酒と味醂、薄口醤油を加えて煮付けにした。
それを2回に分けて食った。
感想を言うと、不味いもんではないが取り立てて旨いもんでもない。粒が小さくて稠密で、粒々感があまりないし、旨みもやや少ないような気がする。
正直、期待ハズレだ。スズキ自体は旨い魚なのに何で
偶々ハズレだったのかもしれないし、一応ネットでの評価も確認しておこう。
ネット上での情報は少なかった。それも釣ったら卵が入ってました的なものが多く、調理法の大半は甘辛く煮付けものだった。
味の評価は微妙。好きな人は好き、嫌いな人は嫌い的な記述もあった。どうやら特別に旨いもんではなさそうだ。まあ納得ってとこかな。
振り返ってみれば、我が半生、今まで随分と魚の卵を食ってきたな。思えば魚卵まみれの人生だよ。だからコレステロール値が異様に高いのだ。
魚卵の筆頭といえば、タラコとイクラだろう。
【明太子のスパゲッティ】
これは説明不要だろう。
もう、旨いとしか言いようがない。何度も言ってるけど、最初に鱈子スパゲッティを考えた人は偉いですな。表彰されて然るべきだろう。
【シラスの鱈子あえ】
サッと茹でたニラと和えてもいいツマミになる。
タラコと明太子は万能だ。白ご飯は勿論の事、何にだって合う。チーズとも合うんだから、おそれいります。
【自家製イクラの醤油漬】
これまた魚卵の王道である。
筋子も旨いよね。ここ数年は高騰してるから、前ほど食べれなくなったけどさ。悲しいやね。
似たようなものに鱒の子や岩魚やヤマメの子があるが、全て同じ方向性に旨い。
【雲丹イクラ丼】
考えてみれば、雲丹も卵巣(+精巣)なんだから卵だよね。魚じゃないけど、魚介類と考えれば範疇に入るだろう。
【数の子】
黄色いダイヤとも言われる鰊(ニシン)の卵である。
これも言わずもがなの旨さだ。歯応えが堪りまへん。
『銀平』の道頓堀店で何度か食ったけど、子持ちニシンの塩焼きってのがあって、これが身と卵を同時に味わえて最高なんだよね。
あと子持ち昆布も好きだなあ(´ω`)
よくよく考えてみれば、魚卵ってメジャーなものからマイナーなものまで沢山種類があるんだよなあ…。
【平政の子】
卵を2センチくらいの輪切りにして熱湯に放つと、こうやって丸まって花のような形になるのである。
紹介順がいきなりの変化球だが、けっこう旨いから頭の方に持ってきた。
ちなみに平政(ヒラマサ)は、旬が夏のブリの仲間です。
【平目と鯛の子】
左が鯛の子で右が平目の子である。
何故かこの時は、気分で鯛の子の方は花型しなかった。
鯛は魚の王者だけあって身も旨いが卵も旨い。白子も美味いし、アラも皮も旨いから最強の魚だろう。
色が黄色いヒラメの子も旨い。鯛の子に勝るとも劣らない味である。でも市場に出回る事は少ないから、あまりお目にはかからないけどね。単品で売ってることは殆んどなく、アラと一緒にされてることが多い。不当な扱いだと思うが、そのぶん安くなってるからいいんだけどね。
【鯛の子の玉子とじ】
普通に甘辛く煮付けた鯛の子も旨いが、甘さ控えめにしたコチラの方が好きだ。酒の肴にもなるが、ご飯のオカズにもなる。
【鱧(はも)の子と松の葉昆布のパスタ】
鱧の子で一番作るのはパスタかな。
作り方の基本はオリーブオイルにニンニク、鷹の爪のアーリオ・オーリオ風に薄口醤油を加えて和風寄りにする。
ちなみに上の画像は松の葉昆布を使ったので、ニンニクと鷹の爪は入れず、油は太白胡麻油を使ったんじゃなかったかな
仕上げに松の葉昆布を乗せ、木の芽(山椒の葉)を散らした。
コレはバリ旨だったと思う。スッポンの出汁で炊いた高級昆布の松の葉昆布さえ入れれば、何だって激旨になるからね。
コレは同じようなレシピの冷製パスタかなあ…。或いは上の残りかもしれない。旨いもんは冷えても旨いのだ。鱧の子は下手したら鯛の子よりも美味かもしんない。旨みがより強いのだ。
そういや生の鱧の子でもパスタを作ったな。
【生ハモの子の冷製パスタ】
鮮度が良かったので、タラコみたく塩漬けに挑戦してみた。
(☆▽☆)これが絶品画像は無いけど、生カラスミに比肩しうる旨さであった。湯がいた鱧の落としの上にも乗っけたし、帆立の刺し身と和えたり、タラコみたく白御飯と食べたりもしたが、全て絶品だった。塩辛の1種みたいなもんだから少々手間と時間がかかったが、その甲斐は十二分にあったよ。
【子持ち鮎】
我、子持ち鮎偏愛主義者である。
でも出回る時期が限られるので、時期になれば目を光らせるようにしている。ぼおーっとしてたら、すぐ市場から消えてしまうのだ。
そういえば「子うるか」という絶品の高級珍味があるが、マジで美味。うるかといえば内臓の塩辛の「苦うるか」が基本なのだが、稀に鮎の卵の塩辛の「子うるか」と、これまた絶品である白子の塩辛「白うるか」を見かける。見かけるといっても、どちらも何十年とお目にかかってないんだけどね。それくらい珍しいものだ。マジで、酒呑みには堪りまへん代物ですわ。
【子持ち鰰(ハタハタ)】
ハタハタの卵は「ブリコ」とも言われ、体の割合に比べて卵が大きいのが特徴だ。
しかし、味はガッカリもんだ。旨みがあまりなくて、歯応えもキシキシしてて、お世辞にも旨いとは言えない(一部では評価が高く、好きな人は好きらしい)。
身は美味しい魚なのに何でざましょ身が旨い魚は卵も大概は旨いんだけど、時には例外もあるのだ。あっ、シー・バス(スズキ)もそうなるのか。
卵が大きいというので思い出した。次のコレも粒が大きい。
【鰍(かじか)の子 明太子風】
カジカといっても川にいる奴ではなくて、海にいる奴だ。
コレも鮮度が良かったので塩辛にした。いや、醤油漬けだったかもしれない。
粒が大きくてプチプチで、旨みもあって、かなり美味かったと記憶してる。だが、量が多過ぎて途中で飽きてきた記憶もあるけどね。
【鰍と針烏賊の和え物】
飽きてきたので、イカの刺身と一緒にしてみたんだと思う。
酒の肴としては身をよじる旨さだ。白御飯の上に乗っけても美味い。炊きたて白飯と一緒にハフハフとカッ込むと、身体くねくねで仰け反りまっせ。
【真子の釜玉風チーズ乗っけパスタ】
真子とは真鱈(タラ)の卵の事である。ちなみにタラコは、タラはタラでもスケソウダラの卵だ。マダラの卵はタラコとは見た目が全然違ってて、デカくてグロい。
デカイだけじゃなくて、表面が汚くて全然旨そうに見えないのである。買ったはいいが、途方に暮れた記憶がある。
画像は茹で上がったパスタに真鱈の子、鶏の卵とバターを乗せ、醤油と黒胡椒をかけてグシャグシャに掻き混ぜたものかな…
詳しくは拙ブログの『グロい真鱈にゃ気をつけろ』と題して書いてる筈だから、そっちを読んでね。
一応言っとくと、画像に「出典」と入っていないものは、全部それについて書いてる文章が存在します。このワードプレスのブログか同タイトルのアメブロのどっちかに文章があります。暇な人は探して読んで下され。例えば「蝶に魅せられた旅人+イクラ」で検索すれば、それ関係にヒットします。
画像はないが、他にもマイナーな魚卵はそこそこ食ってきた。記憶しているところでは、ブリ、サバ、サワラ、カンパチ、シマアジ、マグロなんかがある。
メジャーどころではボラの卵を干した高級珍味「唐墨(からすみ)」がある。イタリアにも「ボッタルガ」という近いものがあって、パスタと混ぜ合わせて食べたりする。カラスミのスパゲッティは美味いよね。
参考までに言っとくと、ボラの卵で作るのが基本ではあるが、他の魚でもカラスミは作れます。
尚、生カラスミと呼ばれる塩辛があり、これが死ぬほど美味い。
【生カラスミ】
(出典『築地魚群』)
市販のモノも結構ある。だが旨いけど高いので、自分で作ったことがある。画像は無いけど、悶絶級に美味かった。
他には魚卵といえば、飛魚の卵の飛びっ子、ワカサギ、本シシャモ、カラフトシシャモ(カペリン)あたりは大概の人が知ってるだろう。
ちなみに居酒屋で出てくる子持ちシシャモは、シシャモではなくてカラフトシシャモ。ホンマもんのシシャモとは別種である。どころか分類学的には「科」さえ違う縁遠い間柄だ。付け加えておくと、本シシャモの方が味は遥かに上品で繊細である。カラフトシシャモの方は脂臭い。参考までに言っとくと、シシャモもカラフトシシャモもオスの方が身自体は旨い。
他にポピュラーといえば、カレイかな。煮付けとか干したものに、よく子が入ってる。美味しいよね。
あとはマイナーだけど子持ちニゴロブナというのもあったな。
知ってる人は直ぐにピンときたとは思うけど、このフナが琵琶湖名物「鮒ずし」の原材料だ。
【鮒ずし】
(出典『旅ぐるたび』)
発酵食品で、クセがメチャメチャ強い。アンモニア系の独特の臭みがあるのだ。例えるとするならば、ウォッシュ系のチーズと相通ずるものがある。
これまたマイナーたが、『フグの糠漬け』とゆうのもある。
【河豚の子の糠漬け】
(出典『Foodie』)
たしか金沢とか石川県の名物珍味だ。たぶん福井辺りでも作ってた筈だ。
ご承知のとおりフグの卵巣には、肝などと同様に致死性の高い毒素であるテトロドトキシンが多く含まれている。だから、そのままでは食用にできない。
しかし、その卵巣を2年か3年間塩漬け&糠漬けにすると毒素が消えるんだよね。不思議ですな。
猛毒のものをそこまでして食べようという姿勢には頭が下がるよ。試し食いするのにも相当な勇気がいるしね。
そのままだとそう旨いもんではないが、白飯は沢山食える。兎に角、信じられないくらいにしょっぱいのだ。とはいえ、味付けなしで御茶漬けにしたり、パスタに入れると旨い。
こんなもんかなあ…。
魚じゃないなら、前回に取り上げたカニの卵、内子と外子とゆうのがあるし、海老の卵もある。甘海老なんかには、よく緑色の卵が付いてるよね。
烏賊も子持ちイカなんてのが珠に売ってる。そういやタコの卵はあまり知られてないが「海藤花(かいとうげ)」というんだよね。コレは卵が蛸壺などの天井に産まれ、その形が藤の花に似ているからと名付けられた。
【海藤花】
(出典『京都錦市場 珍味通販の喜久屋』)
(出典『一般社団法人 明石観光協会』)
高級珍味ではあるが、騒ぐほど旨いもんではない。産卵前の真ん丸のも食べた事があるが、期待外れだったと記憶している。
おっと、メジャーだけど高級過ぎて食べた事がある人は少なそうなキャビア様の事を忘れてたよ。
キャビアはチョウザメの卵である。サメといっても淡水にいるもので、あの凶悪な鮫とは全く別物の生物である。そもそも歯が殆んど無いんだから、危険度ゼロのおっとりさんなのだ。
たしかカスピ海にはセヴルーガ、オシェトラ、ベルーガという3種類のチョウザメがいて、その順で高級となりベルーガが一番上物だった筈だ。
余談だが、カスピ海沿岸をバイクで走ったことがあるんだけど、綺麗な水色だったんで驚いたなあ。
あとパチモンのキャビアもあったな。ランプフイッシュという深海魚の卵を昔はキャビアと称して売ってたんだよなあ。高級ホテルでも、このパチモンが料理の上にチョコンと乗っかってたもんな。キャビアは黒っぽい灰緑色だが、ランプフイッシュは真っ黒なので見極めるのは簡単なんだけどね。
あっ、でも今はランプフイッシュ・キャビアとイミテーションだと堂々と名乗っているから、より偽装度は上がっているかもしれない。食べれば分かるけどね。あー、でもキャビアを食べた事のない人にはワカランよな。旨かったらキャビアだと言いたいが、それも人によりけりだからなあ…。ホンマもんを一度は食べるしかないです。
そういや思い出した。昔つきあってた彼女からの誕生日プレゼントがキャビアだった事がある。アタシャ、たしかにキャビアは好きだよ。でも何だそりゃである。
悪だくみは天才的、頭の切れるクレバーな女性だったけど、エキセントリックな女(ひと)でもあったもんなあ…。こんなの思い返せば序の口だったよ。
でも考えてみれば寄ってくんのは、そんなエキセントリックなのばっかだったかもしれない。昔から美人で小悪魔的、捉えどころが無くて、取っ掛かりが難しいような不思議系の女性とは縁があるんだよなあ…。多分その不思議さがさして気にならなくて、何となく理解できたからなのかもしれない。
それに小悪魔系は得意分野だった。ワシにはあんまし攻撃が効かなかったし、そのせいかあまり攻撃もされなかったしね。それに悪魔度は、こっちの方が高かったかも。だからボロボロにされた事は殆んどない。一人を除いてはね。
そういや、あの時のキャビアってどうしたんだっけ
たぶん…、彼女が「冷製キャビアのカペリーニ」を作ってくれたんだと思う。
(出典『* Fleur de Coeur *ココロノハナ』)
(出典『エピレシピ リストランテ・アルポルト』)
それ以来、今でも「冷製キャビアのカペリーニ」は好きだ。
おしまい