テンションだだ下がり蟹物語

 
今日はあったかかったねぇ。
20℃は優に越えてんじゃないかと思う。
そんな日に蟹の話をするのは恐縮だが、どうしても言っておかなければならない事がある。奴らには恨み辛みが山ほどあるのだ。

昼頃、スーパーに買い物に行ったら、カニが1杯980円で売っていた。紅ズワイガニだが、虫の息とはいえまだ生きている。それで980円なら安い。買いだろう。
でも手を伸ばしかけてやめた。ここ数年、何度もこのスーパーで売っているカニに何度も煮え湯を飲まされてきたのだ。
スーパーで売ってるカニ、特にズワイガニや紅ズワイガニで旨いカニに当たったことなど一度たりともない。毛蟹とかタラバガニはそうでもないんだけど、この二種類がまっこと酷い。冷凍物でも生でも、丸のままであろうがカットされたものであろうが、はたまた死んでいようが生きていようが、差こそあれ、ことごとく我が期待を裏切ってきたのである。

最近では、2月の初めにやはり同じスーパーで、同じ形体でズワイガニが売られていた。しかも同じ値段で、同じように虫の息ではあったが生きていた。

夕方に冷蔵庫から取り出したら、グッタリとなっておった。御臨終したっぽい。でも何時間か前には確実に生きていたのだ。刺身で食えないワケはなかろうと考えた。

で、殻を剥き、冷水に晒した。
旅館とかで出てくるように花を咲かせてやろうと思ったのだ。本来は氷水に晒すのだが、この日は極寒。水道水も手が切れるようなチビたさである。氷水が無くとも出来ると判断した。

しかし、中途半端なものになってしまった。

 
【蟹の刺身】

部分的には身が毛羽立ったが、全体的にはとても花が咲いたようにはなってくれなかった。
蟹が生きていないと、そうならないと聞いてはいたが、たとえ虫の息や御臨終直後であっとしてもダメという事か…。バリバリ元気なヤツでないと、ダメってことなんだろね。(-_-;)ガッカリちゃんだ。

気を取り直して、食うことにする。
見てくれはどうあれ、味の方は大丈夫だろう。
芸能人がよくやるように、カニを顔の上より高く掲げ、下からあんぐりとやる。

(-_-;)んぅ~…。
マズかないが、期待していたほどには旨くない。何だか水っぽいのだ。
早くも先に進む道には暗雲が垂れ込めているじょー。

取り敢えず、蒸してみることにした。
水っぽいなら、味を凝縮させてやればいいのではないかと考えたのだ。

 
【蒸し蟹】

食べてみる。
これも不味くはないが、特別旨いもんでもない。
せっかく苦労して捌き、せせこましく身をほじって食ってるのに何ら幸福が与えられないとは何たることよ。カニはメンドクセー食いもんだけど、美味いからそのメンドクセー作業に耐えられるのであって、そうでなければ拷問と同じだ。

しかし、ここで挫けてはならぬ。
再び気を取り直して焼き蟹に挑む。

 
【焼き蟹】

こっちは、ほっかほっかの湯気も出てる写真。

そこそこ身もぷっくりだし、期待を持たせるビジュアルだ。

(-“”-;)む、(-“”-;)む、(-“”-;)むう~…。
蒸しよかマシだが、何だか甘さが足りないんだよねぇ。

最後は三田村邦彦大好きのコレで勝負だ。

 
【甲羅酒】

コヤツで、帳消しにしてくれぞうよ。
さっきまで生きていた蟹なのだ。コレでコケたら、死のロード地獄の四連敗。優勝戦線から確実に脱落じゃよ。

その為にわざわざ酒も用意した。

黄桜まるの辛口だ。
網に蟹の甲羅を乗っけ、酒を入れてじっくり焼く。

頃合いをみて、スプーンで一口。

(ノ-_-)ノ~┻━┻ だりゃあー。
苦い❗不味い❗
サイテーだ。

一応、残った酒を飲んでみたが、何ら問題のない辛口の酒だった。という事は、間違いなくカニ味噌に問題ありと云う事だ。テンションだだ下がりである。

因みにA級戦犯の姿はコイツ。

 
【ズワイ蟹表裏】

蟹って、マジマジと見ると宇宙人みたいだね。
前に虫は太古の昔に隕石に乗ってきたインベーダーだと言った事があるが、コイツらもそうに違いない。
いや、陸上に踏みとどまったのが昆虫や蜘蛛で、海老とかカニとかは水中にニッチ(生態的地位、環境の棲み分け)を求めて、進化適応したのかもしれぬ。

ここまで書いて、クロージングに入る予定だったが、まだ他にもカニ関連の画像があった筈だ。
この際まとめて紹介して画像を消してやろう。

 
【香箱】

香箱とは金沢辺りの呼び名で、カニのメスの甲羅に身や卵、カニ味噌を詰めたものである。
たしか予め茹でたものを買ってきた記憶がある。
そういえば、生のメス蟹って売っているのを見た記憶が殆んどない。何か理由があるのかな?すぐ死んでまうとか、小さいからないがしろにされてるとかさ。
とにかくそれをバラして、チマチマ解体して甲羅に詰めてゆくのである。まっこと辛気くさい作業だ。
でも、この時は報われた記憶がある。
正直、ヘタなオス蟹を買うなら、安くて内子(卵)が美味いメスの方が余程お値打ちじゃないかと思う。

ここから先はカニ本体の画像が探しても見つからなかった。たぶん、期待外れにムカついて画像を消したと思われる。

 
【蟹めし】

ようするに、そのまま食って不味い蟹は、手を入れて食えるものにするしかないというワケなのさ。

たぶん蟹の殻は捨てずに、それで出汁をとった筈。
そこに昆布の出汁、酒、味醂、醤油なんぞを加えて炊きこんだのだろう。
不味い記憶はないから、そこそこの仕上がりにはなったのではないだろうか。

 
【蟹チャーハン】

コレは他の具材がだいぶ加わるので、かなり誤魔化しがきく。とはいえ、玉子はカニと相性が良いので必須ですぞ。レタスがあれば、尚良し。

 
【カニ玉チャーハン?】

蟹チャーハンの進化系である。
でも、ただのカニ玉かもしんない(笑)

  
【蟹酢あえ】

これが一番お手軽な誤魔化し術かな。
まあ、カニ酢次第だけど…。

「うちぼり 蟹酢」。
この時のカニ酢は、これを使ったのではないかと思う。

 
結論。
スーパーで安い蟹を買うのはリスク有りと肝に命じるべし。
本当に美味い蟹を食いたかったら、それなりの金を出して、ちゃんとした店で食うか、現地に行って旅館とかで食うべきと肚を据えるべし。

次の冬は、日本海の荒波をBGMにして、色っぽい女と炬燵で差し向かいで旨い日本酒でさしつさされつつ、極上の蟹を食いたいね。あ~、ホントそうしたい。

                 おしまい