2017′ 麺の亡霊たち(うどん妖怪編)

 
前回の中華麺に続く2017年に作った和の麺の亡霊たち。今回も🎵般若波羅蜜多時~…。キッチリ成仏させるのじゃあ。

 
【美々卯のうどん】

 

 
元祖「うどんすき」で有名な大阪の老舗高級うどん店のものだ。イオングループのコーヨーで売っている。

うどんすきと言っても関西以外の人には馴染みが薄いと思うので、一応説明しておこう。~すきと言ってもスキヤキのすきではない。蟹すきのすきだ。つまり、具が色々入ったうどんが主役の鍋料理って事だね。

ここの本店に行ったことがあるんだけど、ガッカリだった。名物のうどんすきはハッキリ言って、高いわりには大したことない。

でも冷しうどんにしてみたら、麺にコシがあってツルンツルンで旨かった。麺のポテンシャルは高い。老舗、侮るべからずである。

画像を見ると、生姜とスダチが添えられている。スダチが黄色いのにはワケがある。冷蔵庫に入れっぱなしにしてたら、色が緑色から黄色に変わっちゃったのである。黄色くなると酸味がやわらかくなり、甘みが増すけど、コレはコレで悪かない。

 

 
次はうどんすき風に鍋焼きうどんにしてみた。
具は玉子、豚肉、ネギ、三つ葉ってところかな。こっちも中々美味しい。
値段が高いなりに、やはりその辺の安物の饂飩とは一線を画すね。今回は使わなかったが、美々卯のうどんスープも売っているので、それを使えばお手軽に老舗の味が楽しめるってワケだ。店に直接行くことを考えれば、かなり安くてお得かもしんない。

 
【きざみんうどん】

 
他の地方では何と呼ぶか知らないが、関西ではこの名で通っていてポピュラーな存在。シンプルだけど旨い。
あっ、珍しく天カスが乗せてるなあ。普段は天カスなんて買わないから、乗っけることは滅多にないのだ。
おっ、そうだ。関西以外では天カスとは呼ばないんだよね。東京だと揚げ玉だっけね。
そういえば、昔どっかのうどん屋のオッチャンが、他の地方から来た客に(#`皿´)キレ気味に言ってたなあ…。

『あげだま❓何~やそれっ❗❓』

あ~、そのセリフ、オラも言ったわ。まだ東京に住み始めて半年も経ってない頃で、当時つきあっていた彼女にキレ気味に言うたわ。シチュエーションは憶えてない。東京のうどん屋なんかに入るワケは無いから、お好み焼き屋か、もしくは普段の会話の流れの中での言動だろう。

『天カスは天ぷらのカス(滓)やから、天カスやないけ、ボケー。揚げ玉とかカッコつけんなやワレー』

たぶん、そう付け加えたと思う。
関西人、オバケよか怖い。

 
【日清 鬼かき揚げ太うどん】

 

 
コレ、かなり期待した。だから古伊万里まで登場させたのだ。
何者かっつーと、日清の「鬼かき揚げ太うどん」。

 

 
冷凍食品なんだけど、パッケージ写真とネーミングに完全に騙された。全然旨くねぇんでやんの。
この分厚くて魅力的なかき揚げに心踊らぬものはいないだろう。けんど、よく見ると、海老とおぼしきものは人参だった。更によく見ると何と海老も入ってなけりゃ、小柱も入ってないタダの野菜天。
まあそこは百歩譲ってもいい。世の中には旨い野菜天だってある。しかし、一口食って、何じゃこりゃ❗❓見事に我が期待値を粉々に粉砕しよった。それくらい旨くなかった。
太麺というが、うどんに対する記憶は無い。かき揚げに対しての憤りのせいで記憶がフッ飛んでるんだろ。
コレ、今でも売ってるのを見かけるから、見る度に忸怩たる思いが甦る。年末年始にはよく見るから、皆さん気をつけなはれ。

 
【きざみうどん その2】

 
たぶん、前(さき)のきざみうどんの時に余ったお揚げさんを甘辛く炊いたのだろう。
大阪でうどんといえば、きつねうどんが筆頭格。しかし、意外と家で食う機会がない。なぜかっつーと、お揚げさんを炊くのは手間がかかるのだ。そのわりには店みたいに上手く炊けない。かといって、どういうワケか、スーパーにもあまり売ってない。だから、大阪人はもっぱら外できつねうどんを食う。その方が余っぽど面倒がなくて、かえって安上がりだったりもするのだ。

 
【蕨うどん】

 
コレ、漢字を読めた人は偉い。
ワラビと読みます。わらび餅とかのあのワラビで、山菜のワラビだね。
ワラビは自分で取ってきて調理したヤツで、おひたしにしたあとの残りとキノコを炊き合わせたものだ。
見てくれを意識して温泉玉子なんぞをトッピングしたが、これが失敗。山菜のみの方が余程旨い。カッコつけて損したよ。

 
【かき揚げうどん その2】

 
たぶん、出来合いのかき揚げ。
スーパーで売ってるかき揚げに期待したアタイがバカだった。

 
【焼うどん】

 
実家では焼うどんといえば、ソース味だった。
世間には醤油味もあり、むしろそっち派の方が優勢だと知ったのは随分あとになってからだ。
これは醤油味にした。そこそこ旨かったような記憶がある。具はキャベツに人参、ひき肉だね。
それにしても、何でこんなにも人参だらけなのだ❓
今となっては、全然その意味も意図もワカラナイ。

 
【若竹うどん】

 
コレはねぇー、文句なく美味いです。
なぜなら、アタイの作った若竹煮がベースだから。
タケノコの香りと仄かな苦み、生のワカメの旨みが渾然一体となって押し寄せてくるのだ。あー、でも山椒の葉が無いから完璧ではないね。
今年も手間ヒマ惜しまず、ちゃんと気合いを入れてタケノコを茹でよっと。

 
【舞茸うどん】

 
画像を見て、自分で作っといて何じゃこのオドロオドロしいものは❓と思った。テメエ、油すましかよ❗❓
仔細に画像を点検してみて、ようやく舞茸だと確認できた。
そこそこ旨かったのではないかと思う。でも、ネギは要らないような気がする。

こごで乾麺のうどんの画像が出てきた。

 
【讃岐 太麺強腰うどん】

 
焼うどんには、この乾麺を使ったみたいだ。
強腰と書いてあるけど、全然記憶にない。どうせ言うほどのモノでもなかったのだろう。驚くほど腰の強いものだったら、ちゃんと憶えている筈だ。

 
【温玉ぶっかけうどん】

 
真ん中の茶色いのが何なのかワカラナイ。肉なのか、キノコなのか、はたまた佃煮的なモノなのかが画像を拡大してもワカランのだ。きっと妖怪のしわざだな…。

 
【浅蜊うどん】

 
これも、どうやら強腰乾麺のようだ。
前の温玉ぶっかけもそれっぽい。

何でこんなもんを作ったのか、全然覚えがない。
しかも鍋焼き風。まあ、組み合わせとしては悪かないんだろうけど、妙にスープが妖怪ドロドロ系だ。何がスープのベースになってるのか全く特定できない。
思うに、どうせ酔っ払ってテキトーに作ったんだろう。マッドサイエンストよろしく、残り物の汁の何種類かをアバンギャルドに混ぜ合わせたっぽい。まさかカレーとか入れてないだろな❓想像するだに恐ろしい。
妖怪創造。酔っ払って料理すると、ついワケのワカラナイ野心的なものを作ってしまう。だが、大概は微妙なものになるし、上手く作れたとしても二度と再現できない。阿呆である。

 
【しっぽくうどん】

 
何となく、しっぽくうどんって書いたけど、しっぽくって何だっけ?
あっ、そうそう。香川県の郷土料理だね。野菜や肉を煮たものを汁ごとうどんにブッかけるのだ。
具はコンニャクにゴボウ、人参、キノコ、肉ってところか…。
味はまあ、可もなく不可もなくってとこだったんじゃないかな❓こういう手あいのモノは特別旨いものにはならないけれど、失敗もあまりないのだ。

 
【豪華版しっぽくうどん】

 
まだしっぽくの母体が残っていたので、そこに茹で玉子と鴨の薫製を加えたんだね。
まあ、グレードアップした分、それなりには旨くなってた筈だ。
一応、これで乾麺は終了みたい。

 
【鶏南蛮うどん】

 
本当は鴨南蛮が食いたいところを鶏で代用しましたって感じだ。
鴨南蛮の由来は、江戸時代に来日した南蛮人(白人)がネギに嵌まり、そればっか食べていたからだそうである。で、鴨とネギの相性が良いので、二つを合わせて鴨南蛮ってワケだね。そう、南蛮はネギの事なのだ。鴨は直接は関係無いのである。
でも、ふと思ったんだけど、昔は大阪の難波(なんば)周辺が難波葱と呼ばれるネギの一大産地だったそうだ。その「なんば」が訛って「なんばん」になって、後になって南蛮の漢字をあてがったと云う説とかは無いのかね?

それはさておき、鶏とネギの相性も良い。だから、コレもたぶん旨かったんだろうね。

 
【おろしぶっかけ】

 
具は大根おろし、茗荷、カボス、青ネギだな。
夏場は、こういう冷たい系のを矢鱈と食べたくなるよね。毎年のように冷たい麺をせっせと作ってるけど、失敗作の記憶は無い。だから、これも旨かったに違いない。大根おろしは辛味大根の筈だし、茗荷を筆頭に具にもマイナス要素は無いから尚更のことだ。

きっと麺はコレだったんだろな。

 

 
製造会社はさぬき麺業とある。生タイプのうどんだ。冷たいうどんを作る場合、乾麺は殆んど使わない。だいたい生タイプを使う。喉ごし重視なんだろね。

 
【おろしぶっかけ その2】

 
一瞬、さっきのと同じものかと思った。
けど、よく見れば盛付け違うし、具の構成員も微妙に違う。
それにしても左側の緑色の物体は何者❓河童の化身かあ❓
暫し沈思黙考する。う~む、最初は野沢菜かと思ったが、どうやら大根の茎のようだ。大根の茎は食べられるから、捨てるのは勿体ない。サッと茹でたか、浅漬けにしたものだと思う。浅漬けの方が、きっと旨いと思う。

 
【鱈子うどん】

 
謂わば、鱈子スパケッティのうどん版だ。
作り方はパスタと同じで、ほぐしたタラコとバター、お好みで昆布茶を入れて練り合わしておく。そこに熱々のうどんを投与して、ウルトラ高速でかき混ぜる。時間との勝負だ。トロついていると、あっという間に冷めちまう。皆さんも作る場合は鱈子スパ然り、気合いを入れて混ぜなはれ。

 
【冷しおろしうどん】

 
汁が掛かってないので、ぶっかけではないだろう。
生醤油で勝負している筈だ。
具は大根おろし、茗荷、カボス、貝割れ大根。
コレ、絶対旨かったと思う。

  
【鱧うどん】

 
ハモを霜降りにした時の茹で汁を使ってのうどん。
ハモからは極上の出汁が出る。それを使わない手はない。薄口醤油、塩のみで味を整える。お好みで酒や味醂を少し入れてもいいだろう。ハモの出汁にはネギは邪魔なので、三つ葉を添えた。
(⌒‐⌒)バリ旨~。

 
【釜玉バター】

 
普通の釜玉かと思いきや、ベーコンらしきモノが乗っているので、たぶん釜バターじゃろう。洋風釜玉なのじゃ。バターと胡椒が特徴だ。卵は黄身のみで、白身は使わない。醤油をかけてグシャグシャにかき混ぜて食うと、(о´∀`о)至福だね。

あっ、気に入らないのか、写真撮りなおしてるね。

 

 
湯気があると、どうしてもソフトフォーカスの写真になる。ブスを美人風に見せるのには良いけれど、食べ物の写真だと靄(もや)が掛かり過ぎると、あまり宜しくないのだ。

 
【コロッケうどん】

 
コロッケうどんだね。
うどん界の中では比較的歴史の浅い異端児だ。

 

 
最初はコロッケの表面がカリカリなのだが、やがて汁を吸って弱体化。醜悪で無様な姿になってゆく。
そうなる事は年端のいかぬ子供でも容易に理解できる。だから小学生の頃に、外でコロッケうどんの存在を初めて知った時は、軽い衝撃を受けた。家庭内ならまだしも、外では禁じ手だろうと思ったのだ。ヴィジュアル的に問題ありだ。食べてる時も食べ終わった時も丼の中は美しくない。
最初にうどんにコロッケを入れた店は何処なんだろう❓勇気があるよね。
この汁が次第に汚れていくところは、うどん好きなら許しまじであろう。澄んだ美しいスープが濁っていく様に耐えられない筈だ。謂わばコロッケうどんはうどん界のタブーを破った存在なのだ。ここで、じゃあかき揚げや天ぷらはどうなのだ❓と疑問を持つ方もおられるだろう。しかし、それらと比べたら汁の汚れ方が半端なく違う。許容範囲を遥かに越えているのだ。

ちょっとでも時間が経つと、こうなっちゃう。

 

 
七味を取ってきて振り掛けて、写真を撮っているうちに見る見るうちに酷い見た目になってゆく。ぶくぶく水死体のコロッケ土左衛門だ。この世の者ならざる異界の者だ。
最初にうどんをすすり、やおらまだカリッとしているコロッケを囓じる。おいしい。この時点ではまださしたる問題は起きていない。平和な牧歌的風景とも言えよう。だが、囓じって汁に戻した瞬間から惨劇が始まる。囓じった断面から急速に汁が染み込んでゆくのだ。侮っていると、コロッケがアッという間にドボドボのビチャビチャのグジュグジュになる。
しかし、ここからがコロッケうどんの醍醐味なのだ。
その汁を吸ったコロッケが何とも旨いんである。コロッケ本体に箸を入れると、簡単に崩れて見る見るうちに清澄な出汁が穢れてゆく。何か悪い事をしている気分になる。その背徳感に打ち震え、口の中でほろほろと崩れ溶けてゆくジャガイモの悦楽に身悶えするのだ。そして、時間の経過と共にビチャグジュ度が変わってゆくのだが、その変遷までも楽しめるようになれば、貴方も変態の仲間入り。もう立派なコロッケうどんフリークだ。
でも、外でコロッケうどんを食う時は気をつけた方がいいよ。誰がその恥ずかしい姿を見てるいるかワカラナイ。ワタシは外では怖くて、コロッケうどんは食べません。

  
【冷かけうどん】

 
擦りおろした生姜と貝割れ大根のみ。シンプルだ。
何年か前、冷やかけに嵌まっていた時期があった。
今はもう移転してしまったが、道頓堀の裏に『白庵』という店があった。そこの店の冷やかけが、いりこの出汁が効いていて、誠に旨かった。形容が難しいが、麺はコシがあるのにモチモチでグミのような食感なのだ。小麦の香りも仄かにしていて、エッジも立っている。シンブルなだけに、麺の美味さに悶えた。

 

 
あっ、こんな画像が出てきた。
冷やかけと思いきや、ちゃう。どうも「キッコーマン すだちおろしつゆ」を使っているようだ。
んー( ̄ー ̄)、まさかの展開である。この冷やかけへの愛を、アタシャ、何処へ持っていけばいいのだ?…。嗚呼、無性に冷やかけが食べたくなってきたよ。

 
【肉うどん】

 
この年、最後に食ったのが肉うどんとは予想外である。
う~ん、でも全然記憶にないや。
ゴメン。だから、特にコメントは無いです。
ラストがグダグダの終わり方でスマンとです。だって、まるで記憶に無いんだもん。書きようがない。

 
                  おしまい

 
追伸
昔から京極夏彦の小説を読んできてるから、それなりに日本の妖怪の事は知っている。だから、各パートに「砂かけババア」とか「ぬりかべ」とかの妖怪を当てはめて書こうかとも思ったが、1個、1個リンクさせて話を進めるのは、流石に厳しいと下書き途中で解った。砂かけババアとうどんを関連立てて書けるワケがない。
それに、だいたい日本の妖怪を世間の人たちがどれだけ知っているというのだ?少しでもマニアックな妖怪ならば、その都度、妖怪本体の解説から始めねばならない。そんな事してたら、膨大な文章になってしまう。原点に立ち返れば、そもそもがこの文章は携帯のストレージが溜まっているので、過去の画像を消すことが目的なのだ。いつも脱線しきりだけど、そのパターンの脱線はヤバイと阿呆なりに気づいたよ。
だから、妖怪を意識させるが如くの言葉をちょいちょい入れつつ、話を進めた。
次はどう誤魔化すか考えてないが、素麺(そうめん)か蕎麦ヴァージュンを予定しています。