青春18切符1daytrip 春 第二章(3)

 
去年、第二章の2話目まで書いて頓挫、長らく放置していた青春18切符 春シリーズを再開します。

 
  第三話 流浪のプチトリッパー 前編

 
 2020年 4月6日

 

 
武田尾駅の周辺の桜は、今が盛りと咲き誇っている。朝も満開だったが、この陽気で更に開花が進んだのだろう。華やかさは増している。
よく晴れた春うららかな一日だったし、ギフチョウ(註1)にもそれなりに会えた。それによく歩いた。充実した疲れが全身を薄布のように覆っている。
思い出したように時折そよぐ風に花びらが舞うのを和やかな心で見送る。でも世の中はコロナ騒ぎで大変な事になってるんだなと思うと、妙な気分だった。

時計に目をやると、まだ午後3時前だった。
晩飯の時間まではかなりある。汗を流しに行くにしても時間潰しが必要だろう。さて、どうしたものか…。まあいい、流浪の民だ。流されるまま、気の向くままでいい。
取り敢えずは、2:57の篠山口行の列車に乗る。丹波方面をうろつくのも悪かない。

道場を過ぎ、三田駅を過ぎる。ここから先は福知山線になるのかな❓いや尼崎からか…。
毎年、道場はクロツバメシジミ、三田はギフチョウに会いに来てるから武田尾から三田までは馴染み深いが、そっから先は殆んど未知の世界だ。城崎温泉に行く際に何度か通ってはいるものの、特急ゆえに途中下車はしていないし、オネーチャンと一緒なんだから外の風景なんかロクすっぽ見てないのだ。この地方は、ほぼほぼ未知だと言っても差し支えないだろう。

車窓から外をぼんやりと眺める。
列車の両側には田畑が広がっている。しかし作物は殆んど無く、枯れた野が延々と続く。「夢は枯野を駆けめぐる。」と呟く。
このまま福知山辺りまで行って、デンして帰ってこようか❓取り敢えず流れる風景さえ見ていれば退屈することはない。時間は確実に流れてゆくのだ。電車に乗ってると時間が早く流れるような気がするのは、自分だけだろうか…。
ふと思う。電車で移動するのと歩くのとでは、物理的にスピードに雲泥の差がある。だとすれば自(おの)ずと時間の流れ方は変わるのではないか❓いや、時間は時間だ。スピードが速かろうが遅かろうが同じだ。
でも江戸時代の人と現代の人とでは、時間の流れの感じ方は違っていたのではないだろうか❓少なくとも昔はもっとゆるやかに時間が流れていたのではあるまいか❓
そんな事を考えてると、列車のスピードが突然弱まり、車内アナウンスが入った。

 『次は、あいの〜、あいの〜。』

「あいの」という地名は聞いたことがある。「あいの」って、もしかして「相野」かな❓
3、4年前だったろうか、大阪昆虫同好会の夏合宿の帰りに、兄貴こと河辺さんに肉屋に寄るからつきあえと言われて少し遠回りした事があった。兄貴曰く、そこのハンバーグが死ぬほど旨いらしい。その肉屋があったのが相野駅のすぐそばだった筈だ。

列車は駅のホームへとゆっくりと入ってゆく。すかさず駅名表示を見る。
やはり「相野」だ。でも、ホントにそれであってんのか❓
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻えーい、ままよ。降りちまえー。

 

(出典『改札画像.net』)

 
これでもし記憶違いだったら、とんだ笑いもんだが、所詮は特に行くあてのない流浪の旅なのだ。それもまた縁だ。ここで運命的な女性との出会いが無いとは言い切れないのだ。そして二人は💋ぶっちゅう〜。
まあ、そんな事は万に一つもないだろうけどさ。

スマホでググると、確かに駅近くに肉屋があった。
しかも、そこそこ有名みたいだ。店の名前でピンとはこなかったけど、そんな名前だったような気もしてきた。おそらくそこで間違いなかろう。そして、肉屋だけにコロッケやメンチカツとかもあった筈だ。それならオヤツ代わりにもなる。ハンバーグは高かった覚えがあるし、そんな生肉なんぞを持って歩く気にはなれないけど、コロッケなら1つだけ食って、あとは持って帰る事だって出来る。

5分ほどで着いた。

 

 
『肉のマルセ』。
こんな店だったかなあ。見憶えがあるような、無いような…。
まあいい。この際、たとえ別な店であっても構わん。もうコロッケさえ食えれば、それでいいや。
しかし、店内を覗いて此処で間違いないと確信した。完全に見憶えのある風景だったからだ。そいでもって、コロッケとかも売ってるぞなもし。
だが店内には入らず、スマホで近隣の酒屋とスーパーマーケットを探す。揚げ物があるとなったら、ここは当然ビールでしょうよ。
ガビー\(◎o◎)/ーン❗
しかーし、行ったらスーパーは潰れてやがった。
(--;)マジかよ❓である。
もうスマホなんぞに頼るかボケッ(ノ ̄皿 ̄)ノ❗ スーパーの斜め前の和菓子屋でビールの売ってる場所を尋ねる。すると婆さんが雑貨屋を教えてくれた。そこに売ってるらしい。雑貨屋にビール❓それってド田舎パターンだ。屋久島を思い出したよ。半信半疑で店に入ったら、奥にちゃんと売ってた。
ケッ(-
-メ)、スマホの情報なんぞを鵜呑みしたからだ。人に聞く方が早い。但し、選ぶ人を間違えれば最悪だけどね。
 
🎵コーロッケ、🎵ビール、🎵コーロッケ、🎵ビール
肉屋にマッハで戻り、コロッケを買う。

 

 
ミートコロッケじゃよ。
でもビール(発泡酒)を買った時点で、タガがハズレていた。

 

 
他のもんまで買っちまったよ。
マジックでちゃんと何なのかを書いてくれてるところが親切だ。
左上から時計回りに牛カツ、カレーコロッケ、そして下段はメンチカツである。ちょっと買い過ぎのような気もするが、すぐに腐るもんでもなし、余ったら家に持って帰ればいいのだ。

 

 
揚がるまでにビール(発泡酒)片手に突っ立っていたものだから、店員さんに笑われた。ワシも笑って軽口で返す。したら、店の端のテーブルを使って食べてもいいよと言われた。何かと得なセーカクー✌️😄

チラシを横にどけて陣地を確保して、先ずはやっぱりミートコロッケから。

 

 
(≧▽≦)うみゃーい🎉
すかさず発泡酒をグビグビいく。
(≧▽≦)うみゃーい🎊

続いて牛カツ。
(人´∀`)。゚+うみゃーい🥰
やっぱ関西人は牛好き文化なのだ。豚カツも勿論美味いけど、牛カツには敵わない。関西では串カツといえば牛カツだかんね。

お次はカレーコロッケ。
感動する程ではないが、旨いっぺよ(◠‿・)—☆

そして、最後はメンチカツ。
うま、うま、うまっ、✨💕激うま〜(☆▽☆)
他のも旨かったが、コヤツが断トツに美味い。玉ねぎと肉汁の甘みが渾然一体となってジュパ〜と襲ってくる。

午後4時半。
駅まで戻ってきた。
扠てと、どうしたものか…❓相野駅周辺に他に寄るような所はない。となると、このまま前に進むか戻るかだが、思案のしどころだ。
(ー_ー゛)う〜ん、上手い具合にだいぶ時間が潰せた事だし、時刻を考えれば、ここはやっぱワシ的王道コースかなあ。

                         つづく

 
追伸
間が9ヶ月も開いての連載再開である。別に誰も続きを待ってなかったとは思うけど、中途半端なのはどうにも心苦しい。心の片隅のどこかで頓挫したことが、ずっと気にはなっていたのだ。
とはいえ、再開したはいいが当時の事をどこまで憶えているかは心許なかった。オジンになると、忘却スピードは加速度的に早まるのだ。
けど書き始めたら、意外と憶えてた。記憶とゆうものは1つ思い出せば、数珠繋ぎに甦ってくるものだと改めてわかったよ。

えーと、頓挫した理由も書いとこう。

①カトカラ(蛾のグループの1つ)の方の連載再開の時期が迫っていたので、そっちの下書きを優先したから。
アサマキシタバの話は長くなりそうだったので、早めに2019年の分だけでも下書きをしておこうと思ったのだ。そして、そのままソチラの連載に掛かりきりになってしまったのである。

 
【アサマキシタバ Catocala streckeri】

(2020.5 東大阪市枚岡)

 
②飽きたから。
文字通りである。この連載も長くなっていた。第一章だけでも5話も要した。オマケに各話が長い。愚かなことに、いつも簡単にサラッと書けるだろうと考えてシリーズものを始めるのだが、書くうちにアレもコレもと付け加え、また脱線もしてしまうので長くなってしまう。で、結局途中で書くのがウンザリになって放り出したくなるのだ。カトカラの連載再開は、放り投げる格好の理由にもなったワケだ。

本文が一部斜めの字体になってて読みにくい箇所がありますが、どうしても治らないので、そのまましておきました。すいません。

 
(註1)ギフチョウ

 
春先にだけ現れ、「春の女神」とも呼ばれるアゲハチョウの1種。