虫マニアはデビルマンの歌を歌う

先週の春分の日はむしむし展示即売会があった。
ようするに昆虫の標本や生きてる虫の展示即売会ってことね。


朝、10時半というのに既に結構な人混みである。
世の中において虫好きは超少数派であり、気持ち悪がられる最たる趣味の一つだろう。マニアック以外の何者でもない。
でも、いるところにはそれなりにいるのである。
にしても、年齢層が圧倒的に高い。ほぼ爺さん達だ。
そして、当たり前の事だが女性が殆んどいない。今時、こんな業界とか他にあるのかね(-。-;)❓

一瞬、盆栽とか苔マニアとかが頭に浮かんだが、これとて最近は若者の間で密かなブームらしいぞ。
ならば石マニアか❓でも、虫よりマニアック過ぎてよくわかんないや。

とにかく、女子にとっては最悪の趣味の持ち主だろう。きっと萌え系アニメおたくよか市民権は無いな。
もしワシが女の子にモテたい若い頃だったら、おそらくやってない趣味だ。もしくはひた隠しにしていただろう。

そういえば、若い男子で蝶が趣味の子がいたけど、彼女には隠しているとか言ってたな。

🎵だあ~れも知らない 知られちゃいけないー
🎵虫マニアがだあ~れなのかあー
🎵何も言えないー
🎵話しちゃいけないー
🎵蝶マニアがだあ~れなのかあー

🎵人の世に蝶がい~る
🎵人の世にカブトい~る
🎵この美しいものを 守りたいだけー
🎵今日もどこかで蝶マニア
🎵今日もどこかで 虫マ~ニア~

(by 『今日もどこかでデビルマン』替え歌)

(^○^)ハハハ…、その時にこのデビルマンのエンディングテーマを即興で歌ってやったんだよなあ。
相変わらず酷い男だよ。

それで思い出したんだけど、彼にはこんな質問もしてみた。

『もし、彼女に蝶マニアだということがバレてだな。「蝶をやめてくれなければ、アタシ別れる」とか言われたらどうする?キミは彼女と蝶とどっちを取るの?』

彼は一瞬躊躇するような素振りを見せたが、答えるまでには二拍も無かった。
『蝶です。』
キッパリとした答えだった。

解るよ、その答え。
俺だって、もう少し悩みこそすれ、答えは同じだ。
でも彼女よか蝶の方が大事って、それってどうよ❓(笑)

まあ、虫の魅力に取り憑かれたら、それくらい当たり前なんだけどね。

今さら冬の献立2 鯨三昧

今さらながらの冬の献立の第二弾である。
使わずにストックされている画像を見ると、アホほどある。多分、冬の献立という題名だけで何十話と書けそうだ。正直、ウンザリである。
しかし、書かないと画像はお蔵入りである。それもまた勿体ないような気もするので、それなりにボチボチ書いていきますわ。

去年の末、何かのイベントで買った鯨のハリハリ鍋セットです。たしか二千円ぐらいだったものが、終わり間際で千円くらいにマケて貰ったのだ。
店の名前は勇魚(いさな)だったかと思う。鯨の別名は勇魚だから記憶にあるのだろう。間違っている可能性もないではないが、とにかく高知にある店だった。

さてさて、大阪人大好きのハリハリ鍋じゃよ。
でも上の写真じゃ、肉の部位とか説明しにくいな。別な画像を貼り付けよう。

う~ん、何かこれも今イチだ。
というワケで、もう1枚添付。

これならよかですたい。
右上は尾ノ身。鯨の中では最も高級な部位とされ、脂たっぷりの霜降りロースみたいなもんですな。
左下の白いのが本皮。謂わば鯨の皮下脂肪ってとこ。
真ん中上のドス黒いのが赤身。
ここまでが売っていたハリハリ鍋セットである。多分、種類はナガスクジラだったと思う。真ん中左は、イワシクジラの刺身用の赤身。帰りに寄ったスーパーで、たまたまタイミング良く売っていたものだ。

鯨の肉といえば、流通しているのは主にこの二種類とミンククジラだろう。何れもヒゲクジラの仲間である。
因みにホエールウォッチングで有名なマッコウクジラはハクジラ類に分類され、一部の地域を除き食用にはされない。肉のクセが強すぎるからだそうだ。きっと獣(ケダモノ)臭が凄いのだろう。

鍋用の出汁がついていたので、それを土鍋に移して火にかける。
先ずは白ネギ、続いて水菜を投入する。ここからが勝負だ。水菜は茹で過ぎるとシャキシャキ感が台無しになる。30秒、好みによっては10秒で上げても可だ。だから、すかさず鯨も投与してゆかなければならぬ。
先ずは赤身。サッとくぐらせ、水菜と食す。やや臭みがあって、かたい。続いて本皮。結構脂っぽい。そして、尾ノ身。当然ながら美味い。
ここで、基本方針が決まった。赤身と本皮は一緒にして食って、尾ノ身はそのままで戴くことにした。

旨いからそこそこ満足なんだけど、強いて言えば肉が薄いかなあ…。その分、ちよっとかたい。もっと厚めの肉だと片栗粉をつけられるんだけどね。その方が肉がしっとりとしてジューシーに仕上がるのだ。

話は相前後するが、ハリハリ鍋をする前のツマミ軍団も鯨で攻めておりました。

👻オバケである。関東で言うところの「さらし鯨」だ。オバケとは関西特有の呼び名で、語源は尾羽毛だと言われる。尾っぽ近くの皮下の部分を茹でて脂抜きをして晒したものだ。
冷やして、辛子酢味噌で食べるのが一般的である。特別旨いもんではないが、わりと好きで時々食べたくなる。

鯨ベーコンも用意した。
鯨ベーコンは、畝須(うねす)という鯨の顎から腹にかけての蛇腹の部分である。縁は昔からなぜか食紅で染められている。見映えの為なんだろうけど、いつも別に無くてもいいんじゃないかと思ってしまう。

自分は基本的に辛子をつけて食う。醤油をつけても良い。試した事は無いけど、酢醤油なんかも合うんじゃないかな?

鯨ベーコンといえば思い出すのが、大阪は法善寺横町にある割烹の名店『美加佐』だ。
故高松宮殿下もお忍びで通われていたという店で、ここの自家製の皮くじら(鯨ベーコン)が死ぬほど美味い。カウンターの目の前にデンと塊であって、それを分厚く切って供されるのだが、日本一美味い鯨ベーコンと言っても過言ではない。それほど美味いのだ。

それにしても、まだ店有るのかね?
長いこと行ってないけど、親方は高齢の爺さんで病気持ちだったもんなあ。そういえば爺さん、いつも鬼嫁に厳しく叱られてたっけ…。
久し振りに行きたいけど、でも一人二万円だもんなあ…。今のオイラじゃ、とてもじゃないが行けそうにないや。

最後は鹿の子の刺身。

アゴ横辺りの肉である。
ハリハリ鍋セットを買った時に一緒に買ったものだ。
ブロック売りで、たしかこれもマケて貰ったんだよね。
千いくらかのものが、800円くらいになったかと記憶している。

冷凍したものを少し解凍して、薄く切り分ける。
カチカチだと切れないし、完全に解凍すると、ぶよにゅるで上手く切れないので解凍具合が難しい。コツはようは鮭のルイベの要領と同じだね。

生姜が無かったので、仕方なく生七味を添え、パクチーを飾る。

それを今回は醤油をつけて食べることにした。
ポン酢なんかも合うかと思うが、パクチーと酢というのが何かイメージが湧かなかったからだ。
先ずは薬味をつけずに醤油のみで食ってみる。

う~ん、美味いがかなり脂ギトギト。それに、ちよっと肉の臭みが感じられる。

次に薬味と一緒に食う。
わおっ(゜ロ゜)❗断然、美味くなる。
生七味が脂を緩和し、パクチーが臭みを消してくれたようだ。
そういえば、「美加佐」でも皮くじらにはパクチーが乗っかってたなあ。たまたま飾り物がパクチーしかなくて全く意図なく使ったが、奇しくもベストな組み合わせになった。

とはいえ、脂っぽいので厭きてくる。
というワケで、オン・ザ・ライス。

脂が熱々のご飯で溶けて、美味い。
これはサッと焼いても御飯に合いそうだな。

鯨は捨てるところが無いと言うが、今回ほぼ食用部分は登場したんじゃないかな❓
抜けてるのは、さえずり(舌の部分)くらいだろう。

あ~、でもコレ書いてると、無性に鯨カツが食いたくなってきた。

追伸
今思い出したけど、ハリハリ鍋といえば「鯨と水菜の鍋」に限定されると思われがちだが、実を言うとそうではない。正式には、鶏でも豚でも牛でも水菜と食す鍋は全部ハリハリ鍋なのだ。つまり、ハリハリは鯨を指す言葉ではなくて、水菜のことなのだ。
以上、ついでの豆知識でした。

『西へ西へ、南へ南へ』第7話

ー蝶に魅せられた旅人アーカイブス―
2012-08-09 00:18:25

ー捕虫網の円光ー
『西へ西へ、南へ南へ』

第五番札所その3 脇田丸

 

シャワーを浴びて、晩飯を食いに行く。
雨は既に上がっている。夜空を見上げると、雲間からもう星が瞬き始めていた。
南国のスコールというのはザッと降って、そのあとは急速に天気が回復するということが多い。その逆もまた然りで、晴れていたと思ったら、あっという間に空が暗くなってザアーッときたりもする。
だから天候を読むのは難しい。だが、嫌いじゃない。それもまた南国らしさと思えば楽しいものだ。

店が有りそうな方向に向かって歩く。
5分足らずで居酒屋を見つけた。

『海鮮居酒屋・脇田丸』。
名前の最後に丸とついてあるから、漁船を持ってる店か、もしくは昔、漁師をやっていたオヤジの店だろうか❓
勘で、入ることにする。こういう時は直感に身を任す事にしている。大概はそれで上手くいく。今までさんざんぱら飛び込みで店に入ってきているのだ。その経験値が有れば、そう勘は大きく外れない。

入ってみると、カウンターの手前に多種多様な魚たちが並べられていた。

当たりだ。
間違いなく旨いもんを食わせる店だろう。
アカボシゴマダラも採れたし、スコールを上手く掻い潜って宿に帰ってもこれたし、今日のオイラは冴えている。

当然の如くカウンターに座る。
一人旅ならば尚更のことだ。板前の人たちに色々と訊けるし、さみしさも少しは紛れる。

飲み物の注文を取りにきた店員に訊くと、やはり魚屋経営の居酒屋らしい。ちゃんと脇田丸という船も持っているようだ。

カウンターの隣に並べられた魚を物色する。
漁師経営ゆえ、地魚のオンパレードだ。

南国らしい派手な色の魚たちも並ぶ。
元ダイビングインストラクターだっただけに、南国の魚にも詳しい筈だが、ある程度予想はつくものの特定は出来ない。多分、死んだら体色が変わるものが多いからだろう。

メニューを開く。
(@_@;)何じゃこりゃ⁉
メニューにある名詞が理解不能な言葉だらけだじょー。さっぱりワカラン。

基本的にチャレンジャーな性格なので、あえて未知なるものを攻めてゆくことにする。
現地でしか食えない食材との出会いは、いつも新鮮な驚きを与えてくれる。好奇心を刺激されない旅なんてつまらない。

先ずは、刺身の盛り合わせ(690円)から入る。

ラインナップは地鰹、シビ(キハダマグロ若魚)、シマアジ、地蛸、ソデイカ、地マグロ。
美味い❗❗
やる(^_-)≡★ねっ。

お次は揚げ物でいこう。
揚げ物の項を目でなぞってゆく。
変な単語が目に入った。
(・。・;アバス❓
何じゃそりゃ⁉ 語源さえも想像がつかない。
考えても仕方がないので、すかさず板さんに尋ねる。

板さん曰く、アバスとは奄美大島ではフグの事を指すようだ。でも、トラフグは南の海には生息しない筈だ。となると、別の種類の食用フグなのだろう。でも南の海で食えるフグなんてあるのかね❓
気になるので重ねて尋ねたら、ハリセンボンだと云う答えが返ってきた。
ハリセンボン❓
それって、あのトゲトゲで、怒らせるとパンパンに膨らむ奴だよね❓ダイビングインストラクター時代に、よくオモチャにしてた奴だ。
そんなもんを食うなんて聞いた事がないし、それに食べるだけの量の身があるとも思えない。
ホントかよ(-。-;)❓

まあいい。百聞は一見に如かずだ。そのアバスとやらの唐揚げを頼む事にする。

d=(^o^)=bウルトラ絶品❗
歯を心地好く押し返してくる弾力、淡泊ではあるが、滋味あふれる旨みの奥深さ。下手な河豚よりも数10倍旨いぜ。
しかも、たったの390円だ。

三品目は、シマアジのカマの塩焼き(390円)。
この量とこの旨さで、この値段はオカシイだろうが⁉
(=`ェ´=)何か嬉しくて怒っちゃうぞっ。

四品目は、島雲丹(註1)。
こんな南の海で、食えるウニなんていたっけ❓

さばく前の本体を見せてもらった。トゲが白くて短い。何だか饅頭みたいな形をしている。
板さんが、夏場からこの時期にしか出回らない高級ウニだとつけ加える。

記憶が繋がる。
あーっ、これ見たことあるわ。そういえば、沖縄でも奄美でも水中に転がっとったわ。アレって食えるんだ。惜しいことしたなあ…。

やがて、殻付きウニが運ばれてきた。
普段目にするウニよりも色がかなり黄色い。
ちょい引くが、意を決してスプーンで掬い、人生初の島ウニを口に運ぶ。

ハッ(゜〇゜;)❗、美味いぞなもし。
鹿児島で食った阿久津の雲丹には劣るが、このクオリティーで690円は尋常な値段ではない。

思わず、黒糖焼酎・高倉30℃をボトルで頼む。

魚が旨いのは屋久島までだと思っていたが、認識を改めねばなるまい。

板前の兄さんに色々教えて貰いながらの談笑。
意識がどんどん溶けてゆく。

午前0時前、ヘベレケで撤退。
ボトルキープをして、支払いが5千円ちょい。
恐るべし、脇田丸❗彗星の如く現れた店だな。
頼む、大阪に支店を出してくれ!!
出してくれたら、毎日通う。

店の外に出たら、空はいつしか満点の星空になっていた。明日も晴れそうだ。
南国の生暖かい風が、そよと頬を撫でて通り過ぎていった。

 

追伸
結局、二回に分けた事により、オリジナルの文章に大幅に手を入れる事になった。組み替えもしてるし、加筆もかなりした。記事を移すのって思った以上に大変だ。

(註1)島雲丹
島ウニは地方名で、本当の名前はシラヒゲウニという。沖縄では7、8月の夏場に出回り、高値で取引されるらしい。
因みに本文に画像が無いのは、舞い上がって写メを撮り忘れたからです。
一応、ネットで検索した画像を添付しておきます。


(出展『ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑』)