今さら冬の献立2 鯨三昧

今さらながらの冬の献立の第二弾である。
使わずにストックされている画像を見ると、アホほどある。多分、冬の献立という題名だけで何十話と書けそうだ。正直、ウンザリである。
しかし、書かないと画像はお蔵入りである。それもまた勿体ないような気もするので、それなりにボチボチ書いていきますわ。

去年の末、何かのイベントで買った鯨のハリハリ鍋セットです。たしか二千円ぐらいだったものが、終わり間際で千円くらいにマケて貰ったのだ。
店の名前は勇魚(いさな)だったかと思う。鯨の別名は勇魚だから記憶にあるのだろう。間違っている可能性もないではないが、とにかく高知にある店だった。

さてさて、大阪人大好きのハリハリ鍋じゃよ。
でも上の写真じゃ、肉の部位とか説明しにくいな。別な画像を貼り付けよう。

う~ん、何かこれも今イチだ。
というワケで、もう1枚添付。

これならよかですたい。
右上は尾ノ身。鯨の中では最も高級な部位とされ、脂たっぷりの霜降りロースみたいなもんですな。
左下の白いのが本皮。謂わば鯨の皮下脂肪ってとこ。
真ん中上のドス黒いのが赤身。
ここまでが売っていたハリハリ鍋セットである。多分、種類はナガスクジラだったと思う。真ん中左は、イワシクジラの刺身用の赤身。帰りに寄ったスーパーで、たまたまタイミング良く売っていたものだ。

鯨の肉といえば、流通しているのは主にこの二種類とミンククジラだろう。何れもヒゲクジラの仲間である。
因みにホエールウォッチングで有名なマッコウクジラはハクジラ類に分類され、一部の地域を除き食用にはされない。肉のクセが強すぎるからだそうだ。きっと獣(ケダモノ)臭が凄いのだろう。

鍋用の出汁がついていたので、それを土鍋に移して火にかける。
先ずは白ネギ、続いて水菜を投入する。ここからが勝負だ。水菜は茹で過ぎるとシャキシャキ感が台無しになる。30秒、好みによっては10秒で上げても可だ。だから、すかさず鯨も投与してゆかなければならぬ。
先ずは赤身。サッとくぐらせ、水菜と食す。やや臭みがあって、かたい。続いて本皮。結構脂っぽい。そして、尾ノ身。当然ながら美味い。
ここで、基本方針が決まった。赤身と本皮は一緒にして食って、尾ノ身はそのままで戴くことにした。

旨いからそこそこ満足なんだけど、強いて言えば肉が薄いかなあ…。その分、ちよっとかたい。もっと厚めの肉だと片栗粉をつけられるんだけどね。その方が肉がしっとりとしてジューシーに仕上がるのだ。

話は相前後するが、ハリハリ鍋をする前のツマミ軍団も鯨で攻めておりました。

👻オバケである。関東で言うところの「さらし鯨」だ。オバケとは関西特有の呼び名で、語源は尾羽毛だと言われる。尾っぽ近くの皮下の部分を茹でて脂抜きをして晒したものだ。
冷やして、辛子酢味噌で食べるのが一般的である。特別旨いもんではないが、わりと好きで時々食べたくなる。

鯨ベーコンも用意した。
鯨ベーコンは、畝須(うねす)という鯨の顎から腹にかけての蛇腹の部分である。縁は昔からなぜか食紅で染められている。見映えの為なんだろうけど、いつも別に無くてもいいんじゃないかと思ってしまう。

自分は基本的に辛子をつけて食う。醤油をつけても良い。試した事は無いけど、酢醤油なんかも合うんじゃないかな?

鯨ベーコンといえば思い出すのが、大阪は法善寺横町にある割烹の名店『美加佐』だ。
故高松宮殿下もお忍びで通われていたという店で、ここの自家製の皮くじら(鯨ベーコン)が死ぬほど美味い。カウンターの目の前にデンと塊であって、それを分厚く切って供されるのだが、日本一美味い鯨ベーコンと言っても過言ではない。それほど美味いのだ。

それにしても、まだ店有るのかね?
長いこと行ってないけど、親方は高齢の爺さんで病気持ちだったもんなあ。そういえば爺さん、いつも鬼嫁に厳しく叱られてたっけ…。
久し振りに行きたいけど、でも一人二万円だもんなあ…。今のオイラじゃ、とてもじゃないが行けそうにないや。

最後は鹿の子の刺身。

アゴ横辺りの肉である。
ハリハリ鍋セットを買った時に一緒に買ったものだ。
ブロック売りで、たしかこれもマケて貰ったんだよね。
千いくらかのものが、800円くらいになったかと記憶している。

冷凍したものを少し解凍して、薄く切り分ける。
カチカチだと切れないし、完全に解凍すると、ぶよにゅるで上手く切れないので解凍具合が難しい。コツはようは鮭のルイベの要領と同じだね。

生姜が無かったので、仕方なく生七味を添え、パクチーを飾る。

それを今回は醤油をつけて食べることにした。
ポン酢なんかも合うかと思うが、パクチーと酢というのが何かイメージが湧かなかったからだ。
先ずは薬味をつけずに醤油のみで食ってみる。

う~ん、美味いがかなり脂ギトギト。それに、ちよっと肉の臭みが感じられる。

次に薬味と一緒に食う。
わおっ(゜ロ゜)❗断然、美味くなる。
生七味が脂を緩和し、パクチーが臭みを消してくれたようだ。
そういえば、「美加佐」でも皮くじらにはパクチーが乗っかってたなあ。たまたま飾り物がパクチーしかなくて全く意図なく使ったが、奇しくもベストな組み合わせになった。

とはいえ、脂っぽいので厭きてくる。
というワケで、オン・ザ・ライス。

脂が熱々のご飯で溶けて、美味い。
これはサッと焼いても御飯に合いそうだな。

鯨は捨てるところが無いと言うが、今回ほぼ食用部分は登場したんじゃないかな❓
抜けてるのは、さえずり(舌の部分)くらいだろう。

あ~、でもコレ書いてると、無性に鯨カツが食いたくなってきた。

追伸
今思い出したけど、ハリハリ鍋といえば「鯨と水菜の鍋」に限定されると思われがちだが、実を言うとそうではない。正式には、鶏でも豚でも牛でも水菜と食す鍋は全部ハリハリ鍋なのだ。つまり、ハリハリは鯨を指す言葉ではなくて、水菜のことなのだ。
以上、ついでの豆知識でした。