京都・原谷苑の枝垂れ桜

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4月10日に京都の原谷苑に行ってきた。
ここは知る人ぞ知る枝垂(しだ)れ桜の名所である。
京都にそこそこ詳しい自分も最近まで知らなかったくらいだから、まだまだ穴場の部類に入るだろう。

阪急京都線・西院駅で降りる。
何だか懐かしい。高校生の頃にバイクの中型免許を取る為にわざわざ此処にある教習所に通っていたのだ。
下手したら、降りるのはそれ以来かもしれない…。

確かデルタ教習所って名前だったんだよね。何で大阪からわざわざ京都くんだりまで通っていたのかというと、合格率が高かったのである。だから、デルタの卒業生は運転が荒いと言われたものだ。実際、周りの教習生は暴走族の予備軍みたいな奴ばっかだったなあ…。結構、メンチの切り合いとかあったわ。

駅前にあるバス乗場に行く。
ひっきりなしにやって来るバスはどれも人で一杯である。外国人も多い。京都は外国人の観光客が確実に増えているんだなあと改めて実感する。
金閣寺方面ゆきのバスに乗り、わら天神前で下車。
そこから少し歩いてわら天神まで行き、さらに無料の送迎シャトルバスに乗り換える。

バスは急勾配の坂を上がってゆく。
結構、山ん中にあるんだね。

10分程で、ようやく原谷苑に辿り着く。
因みに辿り着く方法は、徒歩を除けばこのシャトルバスとタクシーだけだ。タクシーもチャーター車(貸切車)は不可で、賃走タクシーのみ。マイカーは完全禁止である。観光バスやマイクロバスも不可。
何でなのかというと、駐車場も無いし、一帯は狭い道ばかりなので渋滞になるとにっちもさっちもいかなくなるからだそうだ。それに過去に路駐の横行があって、近隣住民から苦情が出たらしい。

入口で料金を払う。
値段は今日は1200円。正直、お寺の拝観料の500円と比べれば随分と高い。でも、もっと高いときには1500円もするのである。驚きの値段変動制なのである。解りやすくいうと、満開の時は高くて、その前と散りそめの時は安くなるようだ。
まあ、送迎も付いていてこの値段なら納得ではある。タクシーだと片道三千円はかかるだろうからね。

園内は枝垂れ桜だらけだ。ソメイヨシノは1本も無い。
だが、残念ながらまだ開花していないものが多い。
だから、1200円なんだね。
考えてみたら、今はソメイヨシノが満開の時期である。此処に来る前にも、いたるところで艶やかな花を咲かせていた。という事は、それより少し遅れて咲くシダレザクラにはまだ早い。そんな当たり前の事も、女の子とデートをしなくなると忘れてゆくんだね。

それでも何本かの枝垂れ桜は満開になっていた。

しかし、ここの良いところは、桜がダメでも他の花がたくさん咲いている事だ。

【木瓜(ぼけ)】

コレも木瓜の花だ。

梅とか桜とかの仲間(バラ科)だね。
漢字の由来は、瓜のような果実がなるからだったと思う。
木瓜と書くから、この字をキュウリだと思ってる人もいるんだろうなあ…。因みに、皆さん知ってるとは思うけど、キュウリの漢字は「胡瓜」ね。

【山吹(やまぶき)】

山吹色の語源は、多分この山吹からなんだろね。

【連翹(れんぎょう)】

思い出すのは奈良・不退寺の連翹だ。
高校生の時、一人で西大寺から秋篠寺、法華寺、海龍王寺、不退寺、興福院と巡り、東大寺まで歩いた事があったっけ…。
学生の頃は随分と京都や奈良の寺を歩き回ったものだ。センチメンタルで暗かったのだ。
まあ、お陰でデートの時は困らなかったけどね。
そういえば、何で女の人って寺や神社が好きなんだろね❓圧倒的に男性よりも女性の方が好きな人は多いと思う。多分、女性の方が感性が優れているんだろね。基本、男はがさつなのだ。

【沈丁花(じんちょうげ)】

何か良い匂いがするなと思ってたら、沈丁花さんだった。姿より先に匂いでその存在を知るのは、この沈丁花と金木犀くらいだろう。
咲く時期は主に早春3月なので、今年は会えなかったなと思っていたから嬉しい。とても良い香りがする花だから好きなんだよね。
そういえば石川優子に『沈丁花』っていうそこそこヒットした曲があったな。

【雪柳(ゆきやなぎ)】

シモツケの仲間で、園芸種が随分と広まった。見たことのある方も多いかと思う。
おかげでホシミスジ(蝶の1種)が増えた。今やその辺の里山なら普通に見られるようになった蝶だ。大概は庭にこの木が植えられているからだろう。
今年は、奈良の山奥に棲む年1化のホシミスジに久し振りに会いに行こっかなあ…。黒くて、シャープな感じがしてカッコイイんだよね。

【吉野躑躅(よしのつつじ)】

一瞬ミツバツツジかと思ったが、よりゴージャス。
ならばシャクナゲかとも思ったが、花の形が違うし、葉っぱが出てないので違うと判断できた。
あまり見ないツツジだけど、新しい品種なのかな?

【三葉躑躅(みつばつつじ)】

ちゃんとミツバツツジもあった。
これは花が大きいので園芸種だろう。
春に山肌で咲く野生種はもっと控えめで品がある。正直言って、そっちの方が好きだ。何でもかんでも大振り派手派手ゴージャスにすればいいと云うものでもあるまい。
花は女性に似てるよね。いや、女性は花に似てるか。
どちらもゴージャスなのから控えめで目立たないものまである。
個人的好みは、派手派手ゴージャスなのよりも、品があって凛とした美しさがある方が好きだ。

普通のツツジやサツキは花と葉がセットだけど、ミツバツツジは葉が出る前に花が咲く。それがいい。
そういえば春の女神ギフチョウも吸蜜にやってくるんだよね。カタクリの花や桜には敵わないかもしれないけど、ミツバツツジとギフチョウの組み合わせも美しいことには変わりはない。

【馬酔木(あしび・あせび)】

いにしえの短歌によく詠われた花だ。
漢字は、馬が食うと酔っ払う事からきているらしいんだけど、ホントかね❓
そういえばアセビって、この時期だけに現れる春のシジミチョウ、コツバメちゃんのホスト植物(食樹)なんだよね。

【三股(みつまた)】

昔の紙の原料、コウゾ、ミツマタのミツマタである。
名前の通り花の手前で3つに枝分かれしている。

ちよっとビックリしたのだが、紅いタイプもあるんだね。初めて見たよ。

どんどんマニアックなってゆく。

【日向水木(ひゅうがみずき)】

独特の良い香りがする。
名に日向とつくんだから、宮崎県原産なのだろう。

【土佐水木(とさみずき)】

花が小さいのがヒュウガミズキで、大きいのがトサミズキ。
どちらもマンサク科だ。
マンサクといえば、ウラクロシジミの食樹だ。トサミズキでも育てられるのかな?
何だか結局、蝶に行き着いちゃうなあ…(笑)

マニアック過ぎたので、定番の花を二題。

【椿(つばき)】

下の画像は五色椿。
色んな色が混じってる椿だね。
椿も花の時期としてはそろそろ終わりかな。

【石楠花(しゃくなげ)】

シャクナゲもあった。
これから咲き始める花だ。シャクナゲは、ゴージャスなんだけど品があるので好きな花の一つだ。

最後はやはり桜で締めよう。

【薄墨桜(うすずみざくら)】

よく見るとシダレザクラだけではないんだね。
まだ咲いていなかったけど、八重ザクラの木もチラホラあった。

【紅枝垂れ桜】

紅枝垂れが桜の中で最もゴージャスな桜だと思う。
でも曇りだと、どうしても花が映えないよね。写真だと尚更だ。多分、光が足らないんだろね。
桜にはやっばり青空が似合うと
思う。

これ、全部満開なら凄いだろなあ。

ここ原谷苑は山の斜面にある。
元々は果樹園だったそうな。そこに花好きの二代目が桜や楓などの樹を植えたのが始まりらしい。
だから、お寺の桜とはまた違った風情だ。ただ植えてるだけといえばそうなんだけど。これはこれで良いだろう。

開苑時間は午前9時~午後5時。
弁当、酒類、敷物、ペットなどの持ち込みは禁止。及び三脚の持ち込みも禁止。その代わり売店で弁当や寿司、おでん、酒類などが売っている。
また、予約をすれば部屋ですき焼きなどの料理も食べられるようだ。

枝垂れ桜は、今日辺りから週末が見頃かなあ。
週末は天気が悪そうだけど、見る価値はある桜だと思う。

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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